JP5742312B2 - びびり振動検出方法 - Google Patents
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Description
また、振動の大きさと一定時間内における振動の変化の度合いに基づきびびり振動の有無を判定する従来技術2(例えば、特許文献2参照)がある。
従来技術2では振動の大きさと一定時間内における振動の変化の度合いに基づきびびり振動を検出しているが、びびり振動が発生していない場合にも、加工条件や、工具の切味の変化により振動の大きさは変化するのでびびり振動の検出ができない恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、びびり振動の検出を確実にできるびびり振動検出方法を提供することを目的とする。
第1の位相ばらつき検出工程で演算された第1位相ばらつき値と、第2の位相ばらつき検出工程で演算された第2位相ばらつき値の差が、所定値以上のとき前記第2の位相ばらつき検出工程中にびびり振動が発生したと判定し、
前記第1の位相ばらつき検出工程と前記第2の位相ばらつき検出工程が、
振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い周波数領域の周波数における位相を算出する第1工程と、
前記第1工程から所定時間後に振動を測定し、時間領域の振動のフーリエ解析を行い、周波数領域の周波数における位相を算出する第2工程と、
前記第1工程における所定周波数の振動の位相と、前記第2工程における前記所定周波数の振動の位相との位相差を演算する第3工程と、
前記第2工程、前記第3工程を所定の回数繰り返し演算された複数の前記位相差のばらつきを演算する第4工程と、からなり、
前記第1の位相ばらつき検出工程を前記工作物または前記工具が駆動中でかつ加工をしていないときに実施し、前記第2の位相ばらつき検出工程を加工中に実施することである。
図1に示すように、工作機械1は工具2を回転保持する主軸3と工作物4を相対運動させて所望の加工を行う。主軸2の回転、送りなどの運動制御はNC装置6により制御される。主軸3には振動を検出する振動センサ5を備え、振動センサ5の出力はびびり振動検出装置8に出力される。びびり振動検出装置8の内部には、フーリエ解析を行うFFT演算装置81、位相差を演算する位相差演算装置82、びびり振動の発生の有無を判定するびびり判定装置83を備えている。
はじめに、回転工具を用いた加工を例にして、加工中に発生する振動の形態について図2に示す概念図に基づき説明する。
加工中には各種の周波数の振動が同時に発生しているが、同一周波数の振動でもその発生原因により継続して振動する場合と、断続的にランダムに発生する場合がある。図2(a)は振動W1が継続する振動であり、図2(b)は振動W2、W3、W4が断続的に発生している振動である。継続する振動はその原因が継続しているので継続し、断続する振動はその原因が断続するので断続し、振動振幅もばらつく。継続する振動には、回転工具軸のアンバランスに基づく振動、転がり軸受を用いた主軸の場合は軸受の玉数に基づく振動、工具の刃数と工具回転速度で決まる切れ刃の作用周期に基づく振動、再生型びびり振動などがある。断続する振動としては、工作物の硬度変化、冷却液の供給変動、切屑排出の変動、外部からの外乱振動などがある。
びびり振動は、継続する振動のなかから工作機械1が運動中でかつ、加工をしていない時にも発生している振動を除いた振動である可能性が高い。
図2において、継続する振動W1の場合は、振動測定開始時の振動の位相が分かれば、時間t1後の位相は振動周期を用いて推定可能である。この推定した位相と、時間t1後に実測した位相は同じになる。しかし、断続する振動では振動W2とW4は互いに独立し関連はないため、振動W2の位相から推定した時間t1後の位相は、時間t1後に実測した位相W4の位相とは異なる可能性が高い。この特性を利用して継続する振動か否かの判定を行う。
ここで、図4では、簡略化するため振動周期T1の整数倍の時間t1、t2、t3を設定した場合について表している。
図5は、周波数が1〜nまでのn個の振動について、非加工時と加工時の位相のばらつきを比較しびびり振動か否かの判定を行う、びびり振動検出方法の全工程を示すフローチャートである。
始めに加工時と同じ動作をし、工具が工作物に作用しない、空加工運転を開始する(S1)。位相ばらつき検出工程(後ほど図6に基づき詳細を説明する)を実施する(S2)。S2で演算された位相ばらつきの標準偏差を基準位相ばらつき(σk1〜σkn)として記録する(S3)。加工運転を開始する(S4)。位相ばらつき検出工程を実施する(S5)。S5で演算された位相ばらつきを加工時位相ばらつき値(σ1〜σn)として記録する(S6)。カウンタC2の値を0とする(S7)。カウンタC2に1を加算する(S8)。周波数C2について、位相ばらつきの差が許容値TKより大きいか否か(σkC2−σC2≧TK?)を判定する。σkC2−σC2≧TKであればS10へ移動、そうでなければS11へ移動(S9)。周波数C2のびびり振動が発生していると出力する(S10)。n個の周波数の判定が終わったか判定する。C2=nなら終了、そうでないならS8へ移動(S11)。
始めに振動測定センサにより振動を測定する(S1)。フーリエ解析により所望のn個の周波数と周波数毎の位相を演算する(S2)。n個の周波数に対応する位相をΦ10〜Φn0として記録する(S3)。カウンタCの値を0とする(S4)。所定の待機時間t1だけ待機する(S5)。カウンタCに1を加算する(S6)。振動測定センサにより振動を測定する(S7)。フーリエ解析によりn個の周波数と周波数毎の位相を演算する(S8)。n個の周波数に対応する位相をC番目のデータとして記録する(S9)。n個の周波数に対応する位相差Φ1SC〜ΦnSCを演算記録する。具体的には、第1工程で記録した位相Φ0を持つ1波長の波形を時間軸方向へC・t1/T1個分延伸した波形の位相と、第2工程で実測・演算した位相ΦCの差を各周波数毎にn個演算する。(S10)。所定回数の測定が終了したか否か判定する、C=mならば計測終了しS12へ移動し、C<mならばS5へ移動する(S11)。n個の周波数毎のm個の位相差データから位相差のばらつきの標準偏差σ1〜σnを演算する(S12)。
振動の測定を工具を回転させる主軸に設置した振動センサにより測定したが、工作物側に振動センサを設置してもよい。また、振動センサに代えてマイクロホンなどの音センサを用いて振動に起因する音波を測定しても良い、この場合は測定場所の制約が少なくなり、容易にびびり振動検出方法を実施できる。
加工していないときの位相ばらつきと、加工中の位相ばらつきを比較してびびり振動の判定をしたが、加工中の位相のばらつきの変化度合いを監視し所定の変化が生じた時にびびり振動が発生したと判定してもよい。
判定周波数の最小値を1Hzとし、1Hz間隔とした事例で説明したが、所望の周波数範囲と所望の間隔で判定すればよく、20〜2000Hz程度の範囲で、5Hz程度の間隔で判定してもよい。
Claims (1)
- 工具を用いて工作物を加工するときに発生するびびり振動の発生を検知する方法であって、
第1の位相ばらつき検出工程で演算された第1位相ばらつき値と、第2の位相ばらつき検出工程で演算された第2位相ばらつき値の差が、所定値以上のとき前記第2の位相ばらつき検出工程中にびびり振動が発生したと判定し、
前記第1の位相ばらつき検出工程と前記第2の位相ばらつき検出工程が、
振動を測定し時間領域の振動のフーリエ解析を行い周波数領域の周波数における位相を算出する第1工程と、
前記第1工程から所定時間後に振動を測定し、時間領域の振動のフーリエ解析を行い、周波数領域の周波数における位相を算出する第2工程と、
前記第1工程における所定周波数の振動の位相と、前記第2工程における前記所定周波数の振動の位相との位相差を演算する第3工程と、
前記第2工程、前記第3工程を所定の回数繰り返し演算された複数の前記位相差のばらつきを演算する第4工程と、からなり、
前記第1の位相ばらつき検出工程を前記工作物または前記工具が駆動中でかつ加工をしていないときに実施し、前記第2の位相ばらつき検出工程を加工中に実施するびびり振動検出方法。
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