JP5853120B1 - 車輪装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、このような車輪装置は、走行中に段差を乗り越えることが困難といった問題がある。
そこで、走行車輪の前方位置に、前後にシーソー揺動するアーム、或いは、前後に回転する三叉状のアームを設け、そのアームの下端部に段差端面に接触させるための小車輪を設けると共に、上端部に段差上面に接触させるための小車輪を設けて、下端部側の小車輪が段差端面に接触することで、上端部側の小車輪が段差上面に接触して、段差を乗り上げるように構成した車輪装置があった(例えば、特許文献2参照)。
また、上記第1上端部及び上記第2上端部は上記ブラケットの上部領域において枢着され、かつ、上記第1上端部を上記第2上端部よりも前方位置に配設して、側面視で上記第1揺動アームと上記第2揺動アームをX字状に交叉させたものである。
また、上記補助車輪が上記段差上面に押し付けを開始する乗り上げ開始状態で、上記第1揺動アームは略鉛直状にまで揺動するように構成したものである。
本発明の車輪装置は、図1及び図2に示すように、歩行器本体である被取付部材Kの前方かつ左右下端に夫々取着されるブラケット8と、水平状の走行回転軸心L9廻りに回転自在にブラケット8に付設される左右一対の走行車輪9,9と、走行車輪9の前方位置に配設される1つの段差検知ローラ1と、段差検知ローラ1の前方位置に配設される左右一対の補助車輪2,2と、を備えている。
第2揺動アーム20は、ブラケット8の上部領域において第2上端部20aが枢着され、第2下端部20b及び補助車輪2を水平状の第2枢着軸心L20廻りに揺動自在としている。
本発明においてブラケット8の上部領域とは、走行車輪9の上端9aより上方の範囲をいう。
第2上端部20aは、走行回転軸心L9の前方位置かつ上方位置に配設し、第1上端部10aよりも後方位置に配設している。
つまり、第1揺動アーム10と第2揺動アーム20を側面視でX字状に交叉させている。
弾発付勢部材3は引っ張り用のコイルバネであって、一端部3aがブラケット8の前部かつ上部(前壁部88)に取着すると共に他端部3bが第2揺動アーム20に取着して、第2下端部20bを引き上げるように弾発付勢する。
なお、弾発付勢部材3は、中間部を二点鎖線で簡略化して図示している。
したがって、走行車輪9と段差検知ローラ1と補助車輪2が一緒に(一体状に)鉛直状軸心La廻りに旋回可能である。
また、ブラケット8は左右一対の側壁部86と、側壁部86の上端を連結する上壁部87と、側壁部86の前上部を連結する前壁部88と、を有する横断面コの字状に形成され、正面視で、一対の側壁部86,86の間に、第1上端部10aと第2上端部20aとを内装し、一対の側壁部86,86の左右外方側に走行車輪9を設けている。
また、走行車輪9(左右幅中心線)よりも左右内方に、段差検知ローラ1と補助車輪2と弾発付勢部材3と第1揺動アーム10と第2揺動アーム20を配設している。
第2揺動アーム20は、基準状態において、弾発付勢部材3及びストッパ部60によって前方下傾状姿勢に保持され、補助車輪2を段差検知ローラ1の前方かつ上方位置に保持する。
基準状態において段差検知ローラ1は自重によって、その車軸部19が、逃がし用長孔11の下端縁部11bに配設されており、逃がし用長孔11の上端縁部11aに移動自在であり、被取付部材Kからの荷重は支持しない。被取付部材Kからの荷重は、走行車輪9や、被取付部材Kの後下端に付設している別の車輪装置によって支持されている。
そして、第1揺動アーム10が鉛直状の姿勢となった際(図7参照)、車軸部19が逃がし用長孔11の下端縁部11bに配設する(下端縁部11bの内面に当接する)ように構成している。
また、基準状態において、第2枢着軸心L20と水平状軸心(連動用ローラ52の軸心)L5と第2回転軸心L2は側面視で第2揺動アーム20の長手方向に沿った第2の一直線S2上に配設され、第2枢着軸心L20よりも前下方位置に水平状軸心L5が配設され、水平状軸心L5よりも前下方位置に第2回転軸心L2が配設されている。
基準状態において、第1揺動アーム10と第2揺動アーム20は前振れ(前方下傾状)姿勢である。
例えば、逃がし高さ寸法ΔHを1mm以上10mm以下に設定し、補助車輪高さ寸法H2を31mm以上40mm以下に設定している。
また、段差検知ローラ1の直径寸法を、40mm以上60mmに設定し、走行車輪9の直径寸法を100m以上130mm以下にするのが望ましい。
上述のように設定することで、段差高さ寸法Hdが30mmを越える段差Dが少ない室内向けの歩行器に適用するのに最適となる。つまり、下限値未満であると、30mmの段差Dにスムーズかつ容易に乗り越えることが困難になる虞れがある。また、上限値を越えると全体が大きくかつ重くなり歩行器の操作性が低下してしまう。
また、第1上下中間部10cに左右一対の連動用ローラ52,52を設けている(連動用ローラ52を左右外方突出状に設けている)。
そして、上記一対の板状部28,28の間に、第1揺動アーム10の第1上下中間部10cを上下方向に挿通している。
また、板状部28,28を左右方向に連結する連結杆29を有し、その連結杆29に弾発付勢部材3の下端部(他端部)3bを取着している。
また、本発明の車輪装置は、被取付部材Kの前方側の左右下端に、夫々付設するのが望ましいが、被取付部材Kの後方の左右下端や、前後左右下端の4箇所全てに、付設するも良い。
被取付部材Kが使用者からの前進操作力を受けて走行している走行中において、図5から図6に示すように、段差検知ローラ1が、段差Dの段差端面Dbに接触すると、ブラケット8と共に第1上端部10aは前進するが、段差検知ローラ1は停止し、基準状態から第1揺動アーム10は後方へ揺動した姿勢となる。
第1下端部10bには逃がし用長孔11を形成しているので、段差検知ローラ1からの影響(突っ張り)を殆ど受けず、こじれや大きな抵抗なく、スムーズに後方へ揺動する。
言い換えると、第1揺動アーム10は段差検知ローラ1を下方へ強く押し付けず、第1枢着軸心L10廻りに後方へ揺動する。
補助車輪2が段差上面Daに強く押し付けられることで、例えば、人が飛び箱を飛ぶ時の腕のように第2揺動アーム20が作用して、前進操作力や被取付部材Kに係る荷重が、走行車輪9から補助車輪2へ移り変わると共に、走行車輪9(ブラケット8)が前上方へ引き上げられる。
さらに、第1比較例は、図13(a)に示すように、段差検知ローラ91が段差端面Dbに当接し、補助車輪92が段差上面Daに当接した乗り上げ開始状態において、揺動アーム部材90の第1比較枢着軸心L90が、図12(a)の第1枢着軸心L10と同位置に配設されるように構成したものである。なお、揺動アーム部材90用の引っ張り戻しバネは図示省略している。
また、図13(b)に示すように、段差Dに走行車輪99が乗り上げた瞬間での前後水平寸法はYb(ほぼゼロ)である。
つまり、第1比較例において、乗り上げ開始状態から走行車輪99が段差Dに乗り上げる瞬間までに、被取付部材(歩行器本体)Kが前進する走行ストロークは、Ya+Ybである。なお、Ya=Xaである。
さらに、第2比較例は、図14(b)に示すように、段差Dに走行車輪99´が乗り上げた瞬間において、揺動アーム部材90´の枢着軸心L90´が、図12(b)の連動用ローラ52の水平状軸心L5と同位置に配設されるように構成したものである。
また、図14(b)に示すように、段差Dに走行車輪99´が乗り上げた瞬間での前後水平寸法はZbである。
つまり、第2比較例において、乗り上げ開始状態から走行車輪99´が段差Dに乗り上げる瞬間までに、被取付部材(歩行器本体)Kが前進する走行ストロークは、Za+Zbである。
これは、本発明に係る車輪走行装置が、第1揺動アーム10の第1下端部10bと、第2揺動アーム20の第2下端部20bと、の間の角度θ(図12参照)が、段差Dを乗り上げようと前進するに伴って、徐々に広がって行くためである(第1・第2比較例は変化しない)。
即ち、第1・第2比較例(従来技術のような一体型揺動アーム部材を備えた車輪装置)に比べて、乗り上げ開始状態から走行車輪9を持ち上げるまでに、被取付部材Kを押す走行ストロークが長いため、あたかも、傾斜が緩やかな段差スロープを登るように、段差Dに軽い力で乗り上げることができる。
2 補助車輪
3 弾発付勢部材
8 ブラケット
9 走行車輪
10 第1揺動アーム
10a 第1上端部
10b 第1下端部
10c 第1上下中間部
11 逃がし用長孔
20 第2揺動アーム
20a 第2上端部
20b 第2下端部
20c 第2上下中間部
51 長孔
52 連結用ローラ
Da 段差上面
Db 段差端面
K 被取付部材
Claims (5)
- 回転自在な走行車輪(9)と、該走行車輪(9)が付設されると共に被取付部材(K)に取着されるブラケット(8)と、を備えた車輪装置に於て、
上記ブラケット(8)に第1上端部(10a)が枢着されると共に上記走行車輪(9)の前方位置に配設される段差検知ローラ(1)が第1下端部(10b)に取着された第1揺動アーム(10)と、上記ブラケット(8)に第2上端部(20a)が枢着されると共に上記段差検知ローラ(1)の前方位置に配設される補助車輪(2)が第2下端部(20b)に取着された第2揺動アーム(20)と、上記第2下端部(20b)を前上方へ常時弾発付勢するための弾発付勢部材(3)と、を備え、
段差端面(Db)に上記段差検知ローラ(1)が接触することで、上記第1揺動アーム(10)が後方へ揺動して上記第2揺動アーム(20)を上記弾発付勢部材(3)に抗して下方へ揺動させ、上記補助車輪(2)を段差上面(Da)に押し付けるように、上記第1揺動アーム(10)の第1上下中間部(10c)及び上記第2揺動アーム(20)の第2上下中間部(20c)の一方に長孔(51)を設けると共に他方に該長孔(51)に差し込まれる連動用ローラ(52)を設けたことを特徴とする車輪装置。 - 上記第1上端部(10a)及び上記第2上端部(20a)は、上記ブラケット(8)の上部領域において枢着されている請求項1記載の車輪装置。
- 上記第1上端部(10a)及び上記第2上端部(20a)は上記ブラケット(8)の上部領域において枢着され、かつ、上記第1上端部(10a)を上記第2上端部(20a)よりも前方位置に配設して、側面視で上記第1揺動アーム(10)と上記第2揺動アーム(20)をX字状に交叉させた請求項1記載の車輪装置。
- 上記段差検知ローラ(1)は、上記第1下端部(10b)に形成した逃がし用長孔(11)を介して、上記第1揺動アーム(10)に取着されている請求項1,2又は3記載の車輪装置。
- 上記補助車輪(2)が上記段差上面(Da)に押し付けを開始する乗り上げ開始状態で、上記第1揺動アーム(10)は略鉛直状にまで揺動するように構成した請求項1,2,3又は4記載の車輪装置。
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