JP5851641B1 - 難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法 - Google Patents

難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法を提供する。【解決手段】本難燃性付与剤は、繊維体に難燃性を付与するためのものであって、アミノ酸(例えば、グルタミン酸等)又はその含有体と、包接複合体形成用組成物とを混合して得られるアミノ酸複合体を含んでおり、アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算)は、本難燃性付与剤全体を100質量%とした場合に2質量%以上であり、包接複合体形成用組成物は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び水を含有しており、α、β及びγの各種シクロデキストリンの合計を100質量%とした場合に、α−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%、β−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%、γ−シクロデキストリンの含有割合は30〜90質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法に関する。
従来、α−シクロデキストリンやβ−シクロデキストリン等の環状オリゴ糖の一種であるシクロデキストリンは、その分子中に形成されている空孔のサイズに応じて、ゲスト分子(被包接物質)を包接することができるホスト分子として知られている。
そして、シクロデキストリンを用いて得られる包接複合体(包接錯体)は、超分子素材として期待されており、種々の分野での利用が検討されている。具体的には、上記包接複合体では、ゲスト分子が水に対して難溶性であっても、包接複合体全体としては水溶性の物質として取扱うことができたり、ゲスト分子を介して、それに伴う機能を付与したりすることができるため、医療分野、化粧品分野、食品分野等においての利用が検討されている(例えば、特許文献1等を参照)。
特開2005−002005号公報
しかしながら、難燃材料分野における包接複合体の利用はあまり知られていないのが現状である。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、包接複合体を利用する新規な難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]繊維体に難燃性を付与するための難燃性付与剤であって、
アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、を混合して得られるアミノ酸複合体を含んでおり、
前記アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算)は、本難燃性付与剤全体を100質量%とした場合に、2質量%以上であり、
前記包接複合体形成用組成物は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び水を含有しており、
前記α−シクロデキストリン、前記β−シクロデキストリン、及び前記γ−シクロデキストリンの合計を100質量%とした場合に、
前記α−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、
前記β−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、
前記γ−シクロデキストリンの含有割合は30〜90質量%であり、
前記アミノ酸として、カルボキシル基を2つ有するアミノ酸が用いられていることを特徴とする難燃性付与剤。
]前記[1]に記載の難燃性付与剤の製造方法であって、
α−シクロデキストリンと、β−シクロデキストリンと、γ−シクロデキストリンと、水と、を混合して包接複合体形成用組成物を調製する工程と、
得られた包接複合体形成用組成物と、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、を混合してアミノ酸複合体を調製する工程と、を備えていることを特徴とする難燃性付与剤の製造方法。
]繊維体の少なくとも一部の領域に、前記[1]に記載の難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体が配されていることを特徴とする難燃性繊維体。
]繊維体と、前記[1]に記載の難燃性付与剤と、を接触させることによって、前記繊維体の少なくとも一部の領域に、前記難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体を配する工程を備えていることを特徴とする難燃性繊維体の製造方法。
本発明の難燃性付与剤によれば、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、を混合して得られるアミノ酸複合体を含んでいるため、繊維体に対して十分な難燃性を付与することができる。
アミノ酸としてグルタミン酸を含む場合、繊維体に対して、難燃性を確実に付与することができる。
本発明の難燃性付与剤の製造方法によれば、アミノ酸複合体を含む難燃性付与剤を容易に形成することができる。
本発明の難燃性繊維体は、上記難燃性付与剤に含まれているアミノ酸複合体が配されているため、優れた難燃性を備える。
本発明の難燃性繊維体の製造方法によれば、アミノ酸複合体が配された難燃性繊維体を容易に製造することができる。
被包接物質としてアクリル樹脂を用いて得られた包接複合体の光学顕微鏡画像である。 被包接物質としてアミノ変性シリコーンオイル乳化物を用いて得られた包接複合体の光学顕微鏡画像である。 被包接物質としてキトサンを用いて得られた包接複合体の光学顕微鏡画像である。 被包接物質としてアルギン酸ソーダを用いて得られた包接複合体の光学顕微鏡画像である。 被包接物質としてアミノ酸(グルタミン酸)を用いて得られた包接複合体の光学顕微鏡画像である。 シクロデキストリンを含む包接複合体形成用組成物のIRチャート図である。 アクリル樹脂のIRチャート図である。 参考例7の包接複合体のIRチャート図である。 参考例8の包接複合体のIRチャート図である。 アミノ酸複合体の光学顕微鏡画像である。 アミノ酸複合体の光学顕微鏡画像である。 アミノ酸複合体(精製前)のマススペクトルである。 アミノ酸複合体(精製後)のマススペクトルである。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]難燃性付与剤(防燃剤)及びその製造方法
本発明の難燃性付与剤は、繊維体に難燃性を付与するためのものであって、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物(アミノ酸複合体形成用組成物)と、を混合して得られるアミノ酸複合体(包接複合体)を含んでいることを特徴とする。
また、この難燃性付与剤は、包接複合体形成用組成物を調製する工程と、得られた包接複合体形成用組成物と、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、を混合してアミノ酸複合体を調製する工程と、を備える難燃性付与剤の製造方法によって製造することができる。
上記アミノ酸としては、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、オキシリジン、オキシプロリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン等が挙げられる本発明においては、カルボキシル基(−COOH)を2つ有するもの(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等)が用いられる。特に、グルタミン酸が用いられていることがより好ましい。
尚、これらのアミノ酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記アミノ酸含有体としては、上記アミノ酸を溶質として含んでいる溶液や分散体等が挙げられる。溶媒としては、水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水等の水が挙げられる。
上記包接複合体形成用組成物は、α−シクロデキストリン(シクロヘキサアミロース)、β−シクロデキストリン(シクロヘプタアミロース)、γ−シクロデキストリン(シクロオクタアミロース)、及び水を含有する。
この際、上記α−シクロデキストリン、上記β−シクロデキストリン及び上記γ−シクロデキストリンの合計を100質量%とした場合の、α−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、β−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、γ−シクロデキストリンの含有割合は30〜90質量%である。これらの含有割合が、上記範囲である場合、安定した水溶液系又は分散系とすることができる。
また、α−シクロデキストリンの含有割合は、5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%、更に好ましくは8〜10質量%である。β−シクロデキストリンの含有割合は、10〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%、更に好ましくは15〜20質量%である。γ−シクロデキストリンの含有割合は、30〜85質量%であることが好ましく、より好ましくは35〜85質量%、更に好ましくは40〜80質量%である。
また、上記包接複合体形成用組成物全体を100質量%とした場合に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンの含有割合の合計は、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは7〜70質量%、であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%である。この含有割合が上記範囲内である場合、組成物中におけるシクロデキストリンの包接力が向上し、汎用性の高い包接複合体形成用組成物となるため好ましい。
上記水は特に限定されず、水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水等を用いることができる。
この水の含有割合は特に限定されないが、包接複合体形成用組成物全体を100質量%とした場合に、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30〜95質量%である。この含有割合が上記範囲内である場合、組成物中におけるシクロデキストリンの包接力が向上し、汎用性の高い包接複合体形成用組成物となるため好ましい。
上記包接複合体形成用組成物には、上記各シクロデキストリン及び水以外にも、凝集抑制剤を含有させることができる。
上記凝集抑制剤は、包接複合体形成用組成物と、被包接物質(アミノ酸)又はそれを含む被包接物質含有体とを混合して包接複合体(アミノ酸複合体)を形成する際に、急激な凝集を抑制し、十分な混合を行えるようにするためのものである。
この凝集抑制剤としては、複合体形成時における急激なゲル化(凝集)を抑制することができる限り特に限定されないが、分子サイズが、α−シクロデキストリンの分子中に形成されている空孔のサイズよりも小さいものが好ましい。特に、水溶性[水への溶解度(20℃)が0.5g/mL以上]のものであり、分子サイズが、α−シクロデキストリンの分子中に形成されている空孔のサイズよりも小さいものが好ましい。更には、沸点又は分解温度が150℃以下(特に、135℃以下)であり、水溶性であり、分子サイズが、α−シクロデキストリンの分子中に形成されている空孔のサイズよりも小さいものが好ましい。
具体的な凝集抑制剤としては、例えば、アルコール、尿素等が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノ−ル(イソプロピルアルコール)等の炭素数1〜8(特に1〜6、更には1〜4)のアルコールが挙げられる。
尚、これらの凝集抑制剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記凝集抑制剤の含有割合は、包接複合体形成用組成物全体を100質量%とした場合に、5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。この含有割合が上記範囲内である場合、包接複合体形成用組成物と、被包接物質又はそれを含む被包接物質含有体とを混合して包接複合体を形成する際に、急激な凝集を抑制でき、十分な混合を行うことができるため好ましい。
また、包接複合体形成用組成物には、上述の成分以外にも、他の添加剤を含有させることができる。
他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
尚、これらの他の添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
包接複合体形成用組成物のpHは特に限定されないが、4〜8であることが好ましく、より好ましくは4〜7である。
包接複合体形成用組成物を調製する方法は特に限定されず、例えば、各原料を上述の含有割合となるように配合し、公知の方法によって混合することで調製することができる。
上記アミノ酸複合体は、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、を混合して得られるものである。
尚、このアミノ酸複合体の構造及びその形成メカニズムの詳細は判明していないが、この複合体は、ゲル状の形態であり、複数の分子が配位結合や水素結合等の比較的に弱い相互作用により集合(自己組織化)して形成された超分子化合物であると推定される。また、このアミノ酸複合体の形成工程は、以下のように進行すると推定される。
まず、最初に包接される物質(アミノ酸)とシクロデキストリンが、ランダムに混合される。その後、攪拌が進むと、アルファ、ベータ及びガンマの各シクロデキストリンの内側のわずかな穴の直径の差がファンデルワールス力のひずみを生み、包接される物質を核として、周りを取り囲むように成長し始める。核になる物質はそれぞれになんらかの引き合う力が働き、自己組織化をしはじめ、それを保護するようにシクロデキストリンが覆いこむ。
アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、を混合する際の混合割合は、アミノ酸複合体が形成される限り特に限定されないが、質量比(アミノ酸:包接複合体形成用組成物)で、1:(1〜20)であることが好ましく、より好ましくは1:(1〜15)、更に好ましくは1:(1〜10)である。この混合割合が上記範囲内である場合、アミノ酸の量比が包接複合体形成用組成物の量比以下となり、包接化が十分になされるため好ましい。
アミノ酸又はそれを含むアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、の混合条件は特に限定されず、アミノ酸の種類等により適宜の条件とすればよい。例えば、常温(15〜30℃)において、10〜100時間(特に30〜100時間、更には50〜100時間)の混合を行うことが好ましい。
また、混合時における包接複合体形成用組成物の液温は、30℃以下であることが好ましく、より好ましくは15〜25℃、更に好ましくは20〜25℃である。
尚、2種以上のアミノ酸を配合する場合には、配合の順序は特に限定されず、まとめて配合してもよいし、間隔を空けて1種類ずつ混合してもよい。
アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物とを混合した際には、通常、アミノ酸複合体の溶液又は分散液が得られる。本発明においては、この溶液又は分散液に対し、必要に応じて濃度調整を行ない、難燃性付与剤として用いることができる。また、上記アミノ酸複合体の溶液又は分散液から、従来の分離方法を用いてアミノ酸複合体を分離し、必要に応じて精製した後、分離物又は精製物を難燃性付与剤として用いることもできる。更には、上記分離物又は精製物と、水等の溶媒とを混合し、必要に応じて濃度調整を行い、難燃性付与剤として用いることもできる。
尚、本発明においては、アミノ酸複合体の形成が可能であり、本発明の効果を阻害しない限り、アミノ酸複合体を得る際、即ち、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物とを混合する際に、アミノ酸以外の他の被包接物質を更に配合してもよい。
上記他の被包接物質としては、例えば、アミノ酸エステル、グアニジン、アルギン酸ソーダ、キトサン等の多糖類、合成樹脂[例えば、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンオリゴマー、ポリエステル、シリコーン、アミノ変性シリコーン等の変性シリコーン]等が挙げられる。尚、これらの他の被包接物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの他の被包接物質は、そのまま混合してもよいし、これらを溶質として含む溶液や分散体の形状で混合してもよい。この際における溶媒としては、水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水等の水が挙げられる。
本発明におけるアミノ酸複合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、500以上であることが好ましく、より好ましくは700〜10000、更に好ましくは1000〜10000である。
尚、このMwは、液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS)等の質量分析計によって測定することができる。また、初期の溶液粘性(mPas)に比較して、包接複合体が完成した後の溶液粘性の対数比によって算出することもできる。
また、本発明の難燃性付与剤において、アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算)は、難燃性付与剤全体を100質量%とした場合に、2質量%以上(100質量%を含む)であり、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%以上である。この含有割合が上記範囲内である場合、繊維体に十分な難燃性を付与することができる。特に、この含有割合が2〜20質量%である場合には、水系の難燃性付与剤とすることができ、粘度の観点から扱いやすく、繊維体にアミノ酸複合体を十分に密着させ、耐久性を向上させることができるため好ましい。
尚、本発明の難燃性付与剤には、アミノ酸複合体が1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
また、本発明の難燃性付与剤には、上記アミノ酸複合体以外にも、水等の溶媒、他の添加剤が配合されていてもよい。他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、界面活性剤、反応促進剤(例えば、酢酸、蟻酸等)等が挙げられる。尚、これらの他の添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における上記繊維体については、後段にて詳細を説明する。
[2]難燃性繊維体及びその製造方法
本発明の難燃性繊維体は、繊維体の少なくとも一部の領域に、上述の難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体が配されていることを特徴とする。
上記繊維体としては、無機繊維、有機繊維、及び無機有機複合繊維が挙げられる。
上記無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維等が挙げられる。
上記有機繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。合成繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維(アラミド繊維等)、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維及びビニロン系繊維等が挙げられる。半合成繊維としては、例えば、セルロース系半合成繊維、タンパク質系半合成繊維等が挙げられる。再生繊維としては、例えば、セルロース系再生繊維等が挙げられる。天然繊維としては、植物及び動物に由来する繊維が挙げられる。
また、上記繊維体の形態は特に限定されず、例えば、綿状、短繊維状、長繊維状、かせ状、布帛状(織物、編物、不織布)、網状、衣類やその他の繊維製品のいずれの形態であってもよい。
本発明の難燃性繊維体において、アミノ酸複合体は、繊維体の少なくとも一部の領域に配されていればよく、例えば、繊維体の全体又は一部がアミノ酸複合体によってコーティングされていてもよいし、繊維体の表面にアミノ酸複合体が部分的に付着されていてもよい。
また、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、アミノ酸複合体の含有割合は、1.0〜30.0質量%であることが好ましい。この含有割合が上記範囲内である場合、難燃性能が十分に発揮されるため好ましい。
また、本発明の難燃性繊維体(改質繊維体)は、繊維体と、上述の難燃性付与剤と、を接触させることにより、繊維体の少なくとも一部の領域に、難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体を配する工程を備える難燃性繊維体の製造方法により製造することができる。
繊維体と難燃性付与剤とを接触させる方法は特に限定されず、難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体の含有割合に応じて、従来の乾式又は湿式での混合方法等を用いて行うことが好ましい。
具体的には、例えば、水系の難燃性付与剤を用いる場合には、スピンコート法、ディップ法(浸漬法)、キャスト法、スプレー法等の公知の方法により、アミノ酸複合体を繊維体に配することができる。また、高粘度又は粉末状の難燃性付与剤を用いる場合には、難燃性付与剤を繊維体に分散混合等することにより、アミノ酸複合体を繊維体に配することができる。
また、水系の難燃性付与剤を用いる場合、その温度は、10.0〜25.0℃であることが好ましく、より好ましくは15.0〜25.0℃、更に好ましくは20.0〜25.0℃である。この温度が上記範囲内である場合、難燃性付与剤の分散安定性や加工時の経時変化を安定化できるため好ましい。
水系の難燃性付与剤のpHは、4.0〜8.0であることが好ましく、より好ましくは4.0〜7.0である。このpHが上記範囲内である場合、アミノ酸複合体のゼータ電位が繊維と同程度又は等しくなるため好ましい。
水系の難燃性付与剤の粘度(25℃)は、10〜1000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは60〜600mPa・s、更に好ましくは60〜300mPa・sである。この粘度が上記範囲内である場合、難燃性付与剤が繊維に均一に浸透し、加工が安定化できるため好ましい。
尚、この粘度は、B型粘度計等の粘度測定装置により測定することができる。
また、上記難燃性繊維体の製造方法では、繊維体の少なくとも一部の領域に、アミノ酸複合体を配する工程以外にも、その工程後において、乾燥工程を備えていてもよい。
上記乾燥工程における乾燥温度は、80〜170℃であることが好ましい。この乾燥温度が上記範囲内である場合、乾燥が過剰になりすぎて繊維を傷めることなく、また、熱エネルギーの節約もできるため好ましい。
また、乾燥時間は、2〜10分間であることが好ましく、より好ましくは3〜5分間である。この乾燥時間が上記範囲内である場合、乾燥が過剰になりすぎて繊維を傷めることなく、また、熱エネルギーの節約もできるため好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」は、特記しない限り質量基準である。
[1]難燃性付与剤の調製
<実験例1>
水90部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で10部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1:1)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
一方で、水90部と、アミノ酸(グルタミン酸)10部と、を常温で混合し、撹拌することにより、グルタミン酸の含有割合が10質量%のアミノ酸含有体を調製した。
その後、上述のようにして得られた包接複合体形成用組成物100部と、アミノ酸含有体100部と、撹拌用セラミックボールと、を密閉容器に入れた後、回転型撹拌装置にセットして、60rpm、20℃、40時間の条件で撹拌を行った。その後、セラミックボールを取り除くとともに、別容器に移し、ホモディスパー(プライミクス株式会社製)にセットして、2000rpm、20℃、2時間の条件で撹拌を行い、アミノ酸複合体を生成した後、容器から取り出し、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を得た。
<実験例2>
水90部と、1種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン)10部と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例3>
水90部と、1種のシクロデキストリン(β−シクロデキストリン)10部と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例4>
水90部と、1種のシクロデキストリン(γ−シクロデキストリン)10部と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例5>
水90部と、2種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、及びβ−シクロデキストリン)を合計で10部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン=1:1)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例6>
水90部と、2種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で10部(α−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例7>
水90部と、2種のシクロデキストリン(β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で10部(β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例8>
水98部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で2部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が2質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
一方で、水98部と、アミノ酸(グルタミン酸)2部と、を常温で混合し、撹拌することにより、グルタミン酸の含有割合が2質量%のアミノ酸含有体を調製した。
そして、これらの包接複合体形成用組成物及びアミノ酸含有体を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);1質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例9>
水96部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で4部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が4質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
一方で、水96部と、アミノ酸(グルタミン酸)4部と、を常温で混合し、撹拌することにより、グルタミン酸の含有割合が4質量%のアミノ酸含有体を調製した。
そして、これらの包接複合体形成用組成物及びアミノ酸含有体を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);2質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例10>
水90部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で10部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)と、を常温で混合して、透明になるまで撹拌することにより、シクロデキストリンの含有割合が10質量%の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
そして、この包接複合体形成用組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、アミノ酸複合体を含有する難燃性付与剤[アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算);5質量%、粘度(25℃);80mPa・s、pH;7.0]を調製した。
<実験例11>
水100部と、アミノ酸(グルタミン酸)10部と、を常温で混合し、撹拌することにより、グルタミン酸の含有割合が10質量%のアミノ酸含有体を調製した。
その後、上述のようにして得られたアミノ酸含有体100部と、水100部と、を混合し、アミノ酸を含有する難燃性付与剤(アミノ酸の含有割合;5質量%)を調製した。
尚、上記実験例1〜11の各組成物における組成及び各成分の含有割合を表1にまとめて示す。
[2]難燃性付与剤の難燃性付与評価及びその評価結果
以下のように、上記[1]で得られた実験例1〜11の各組成物(難燃性付与剤)を用いて、繊維体への難燃性付与性能を燃焼試験により評価した。
(2−1)試験片(難燃性繊維体)の製造
実験例1〜11の各難燃性付与剤1L中に、100×100mm(厚み1.0mm)の繊維体(ポリエステル繊維からなる織物、日本帝人製、型番「ニット」)を、常温にて、10秒間浸漬させた。次いで、繊維体を引き上げ、マングルで絞った後、150℃で3分間乾燥することにより、各試験片を製造した。
(2−2)燃焼試験
FMVSS No.302(水平)法[JIS D 1201に準拠]での燃焼試験を行った。具体的には、まず、上記(2−1)で得られた各試験片を、20℃×50%RH中に24時間以上静置した。その後、各試験片をU字型の専用チャンバーに水平に保持し、38mm高さの炎を15秒間接炎し、A標線[燃焼時間計測ライン(端から38mm)]からB標線[計測終了ライン(端から292mm)]の間の254mmに対する燃焼具合により評価した。その結果を表2に示す。尚、評価基準は以下の通りである。
「◎」;A標線よりも手前にて消火する場合。
「○」;A標線から51mm以内、且つ60秒以内で消火する場合。
「△」;A標線から51mmを超えて、B標線までに消火するか、或いは、A標線を超え、B標線までに消火するが、燃焼時間が60秒を超える場合。
「×」;B標線までに消火しない場合。
(2−3)評価結果
表2によれば、α、β及びγの3種全てのシクロデキストリンが含まれていない包接複合体形成用組成物を用いて調製されており、アミノ酸複合体の含有割合が5質量%である実験例2〜7の各難燃性付与剤では、繊維体に対して十分な難燃性を付与することができず、難燃性の評価結果(総合)は「×」であった。
これに対して、α、β及びγの3種全てのシクロデキストリンを1:1:1の配合比率で含む包接複合体形成用組成物を用いて調製されており、アミノ酸複合体の含有割合が5質量%である実験例1の難燃性付与剤では、繊維体に対して十分な難燃性を付与することができ、難燃性の評価結果(総合)は「○」であった。
また、α、β及びγの3種全てのシクロデキストリンを1:2:7の配合比率で含む包接複合体形成用組成物を用いて調製されており、アミノ酸複合体の含有割合が1質量%である実験例8の難燃性付与剤では、繊維体に対して十分な難燃性を付与することができず、難燃性の評価結果(総合)は「×」であった。
これに対して、α、β及びγの3種全てのシクロデキストリンを1:2:7の配合比率で含む包接複合体形成用組成物を用いて調製されており、アミノ酸複合体の含有割合が2〜5質量%である実験例9〜10の各難燃性付与剤では、繊維体に対して難燃性を付与することができ、難燃性の評価結果(総合)は「△」及び「◎」であった。
また、包接複合体形成用組成物を用いず、アミノ酸のみを含有させ、この含有割合が5質量%である実験例11の組成物では、繊維体に対して十分な難燃性を付与することができず、難燃性の評価結果(総合)は「×」であった。
以上のことから、α、β及びγの3種全てのシクロデキストリンを含む包接複合体形成用組成物を用いて調製されており、アミノ酸複合体の含有割合が2質量%以上の難燃性付与剤を用いた場合には、難燃性を備える難燃性繊維体を得られることが確認できた。
[3]アミノ酸複合体について
(3−1)画像による考察
上記[1]の実験例1と同様にして難燃性付与剤を調製した際、アミノ酸の分子量が大きくなる段階(回転型撹拌装置による40時間の撹拌後における、アミノ酸複合体の形成初期)の様子を光学顕微鏡(オリンパス社製、型番「ST−III」、測定条件;倍率600倍、透過型)にて観察した。その結果を、図10に示す。
この図10によれば、中央のゲル状の固まりがアミノ酸複合体と考えられ、周りの細かい粒子はシクロデキストリンと考えられる。
また、図10における細かい粒子(シクロデキストリンと考えられる)からなる殻を破壊し、ゲル状の固まり(アミノ酸複合体と考えられる)を流出させた際の観察結果を図11に示す。
これらの図10及び図11によれば、アミノ酸複合体は、各配合成分それぞれになんらかの引き合う力が働き、アミノ酸が核となって自己組織化をしはじめ、それを保護するように3種のシクロデキストリンが周りを取り囲むように成長したものと考えられる。
(3−2)分子量による考察
また、静置して、沈降させることにより、上記実験例1の難燃性付与剤から溶媒を除去し、固形分[アミノ酸複合体(精製前)]を得た。更に、この固形分100質量%に対し、硫酸ナトリウム5%溶液を0.5質量%添加することによって、固形分に含まれるシクロデキストリン成分を出来る限り除去し、精製物を得た[アミノ酸複合体(精製後)]を得た。
そして、精製前後の各アミノ酸複合体における平均分子量(Mw)を、液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS)[LC;Ultimate3000(サーモフィッシャー社製)、MS;maXis(ブルカー・ダルトニクス社製)]によって測定した。その際におけるマススペクトルを図11[アミノ酸複合体(精製前)、上段;通常のマススペクトル、下段;価数を表示したマススペクトル]及び図12[アミノ酸複合体(精製後)]に示す。
この結果、精製前のアミノ酸複合体の分子量は1000〜4000であり、精製後のアミノ酸複合体の分子量は1000〜1600であり、グルタミン酸(分子量:約147)と比較して大幅に増加していることが確認できた。
この際、各マススペクトルでは、分子量100〜200の低分子量域にピークが見られず、アミノ酸複合体の形成に使用しているグルタミン酸の分子量が約147であることを考慮すると、得られたアミノ酸複合体は、グルタミン酸単体とは完全に組成の異なる複合体として存在しており、包接複合体形成用組成物の作用により、アミノ酸の構造に何らかの変化が起きたと考えられる。
[4]難燃性繊維体(改質繊維体)の製造
<実施例1>
水50部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で20部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)とを、反応容器内において、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
次いで、エタノール(凝集抑制剤)10部にアミノ酸(グルタミン酸)20部を懸濁させたものを、上記包接複合体形成用組成物に配合し、40℃で約2時間撹拌することによって、アミノ酸複合体(繊維改質剤)含有液[包接複合体の濃度;40%、粘度(25℃);3000mPa・s]を製造した。
その後、包接複合体の濃度が5%となるように希釈した繊維改質剤含有液(粘度(25℃);100mPa・s)1L中に、繊維体(ポリエステル繊維からなる織物、日本帝人製、型番「ニット」)10gを、常温にて、5秒間浸漬させた。次いで、繊維体を引き上げ(溶液の持ち上げ量;約70%)、マングルで絞った後、170℃で2分間乾燥することにより、実施例1の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
<実施例2>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、1:1:8に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
<実施例3>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、2:3:5に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
<実施例4>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、12:18:70に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
<実施例5>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、3:3:4に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
<参考例1>
水50部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で10部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)とを、反応容器内において、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
次いで、エタノール10部にアミノ酸(グルタミン酸)1部を懸濁させたものを、上記包接複合体形成用組成物に配合し、40℃で約20時間撹拌することによって、シクロデキストリン−ペプチド含有液(固形分濃度;11%、粘度(25℃);1000mPa・s)を得た。
その後、得られたシクロデキストリン−ポリペプチド含有液10部と、水80部及びポリウレタン(分子量;約1000万)10部からなるポリウレタン水分散体と、を混合し、常温で、約2時間撹拌することによって、繊維改質剤含有液(包接複合体の濃度;5%、粘度(25℃);100mPa・s)を製造した(尚、この繊維改質剤含有液における包接複合体は、シクロデキストリン−ポリペプチドの結合物質と、ポリウレタンが結合した新規な樹脂と考えられる)。
その後、包接複合体の濃度が5%となるように希釈した繊維改質剤含有液(粘度(25℃);100mPa・s)1L中に、繊維体(ポリエステル繊維からなる織物、日本帝人製、型番「ニット」)10gを、常温にて、5秒間浸漬させた。次いで、繊維体を引き上げ(溶液の持ち上げ量;約70%)、マングルで絞った後、170℃で2分間乾燥することにより、参考例1の難燃性繊維体を製造した。
尚、浸漬前の重量と、浸漬、乾燥後の重量とを比較することにより、難燃性繊維体における包接複合体の含有割合を算出した結果、包接複合体の含有割合は、難燃性繊維体全体を100質量%とした場合に、3.5質量%であった。
[5]難燃性繊維体の防燃性評価及びその評価結果
実施例1〜5及び参考例1の各難燃性繊維体において、JIS L 1091 A−3法(水平法)に準拠する方法にて、燃焼試験(接炎時間;15秒)を行い、防燃性の評価を行った。尚、ブランクとして、未処理の繊維体を用いた。
この結果、繊維改質剤による処理が施されていない繊維体(ブランク)では、ドロップしながらも燃焼が継続していた。
これに対して、繊維改質剤により処理が施されている実施例1〜5及び参考例1の難燃性繊維体では、ドロップして自己消火するか、或いはバーナーの火で着火しなかった。
この結果から、実施例1〜5及び参考例1の難燃性繊維体は、防燃性に優れるものであることが確認できた。
このような防燃性は、包接複合体形成用組成物におけるシクロデキストリンによって、アミノ酸が包接複合化して超巨大分子化されており、繊維表面にこの嵩高い包接複合体が付着されたことによって、繊維体に自己消火性が付与されたことに起因するものと推測することができる。
[6]包接複合体形成用組成物の調製
<参考例2>
水50部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で20部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:7)と、3種のアルコール(エタノール、メタノール、及びイソプロパノール)を合計で20部(エタノール:メタノール:イソプロパノール=1:1:1)と、尿素10部とを、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、参考例2の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<参考例3>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、1:1:8に変えたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例3の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<参考例4>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、2:3:5に変えたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例4の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<参考例5>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、12:18:70に変えたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例5の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<参考例6>
3種のシクロデキストリンの配合比(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン)を、3:3:4に変えたこと以外は、参考例2と同様にして、参考例6の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例1>
水50部と、α−シクロデキストリン20部と、3種のアルコール(エタノール、メタノール、及びイソプロパノール)を合計で20部(エタノール:メタノール:イソプロパノール=1:1:1)と、尿素10部とを、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、比較例1の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例2>
α−シクロデキストリンを、β−シクロデキストリンに変えたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例3>
α−シクロデキストリンを、γ−シクロデキストリンに変えたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例4>
水50部と、2種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、及びβ−シクロデキストリン)を合計で20部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン=1:1)と、3種のアルコール(エタノール、メタノール、及びイソプロパノール)を合計で20部(エタノール:メタノール:イソプロパノール=1:1:1)と、尿素10部とを、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、比較例4の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例5>
シクロデキストリンの組み合わせ及び配合比を、α−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン(α−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1)に変えたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例5の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
<比較例6>
シクロデキストリンの組み合わせ及び配合比を、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン(β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1)に変えたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例6の包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
[7]包接複合体の形成(i)
包接複合体形成用組成物(参考例2〜6の包接複合体形成用組成物、及び比較例1〜6の包接複合体形成用組成物)と、各種の被包接物質とを用いて、以下のように包接複合体の形成を試みた。
(7−1)被包接物質として、アクリル樹脂を使用した場合
予め水で10倍に希釈しておいた包接複合体形成用組成物10部と、アクリル樹脂(ポリアクリル酸エチル、分子量;10万)10部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌した。
その結果、参考例2〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、ゲル状の包接複合体(超分子)を形成することができた。尚、得られた包接複合体(参考例2の包接複合体形成用組成物を使用したもの)の光学顕微鏡図(オリンパス社製、型番「ST−III」の光学顕微鏡を使用、測定条件;倍率600倍、透過型)を、図1に示す。
この図1によれば、アクリル樹脂が包接複合体形成用組成物におけるシクロデキストリンの中に取り込まれて、丸く成長していると推測することができる。
一方、比較例1〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、液状のままの状態となってしまい、包接複合体を形成することができなかった。
(7−2)被包接物質として、変性シリコーンを使用した場合
予め水で10倍に希釈しておいた包接複合体形成用組成物10部と、変性シリコーン(アミノ変性シリコーンオイル乳化物、ワッカー社製、商品名「SLJ1316」、アミノ等量;約4000、分子量;約1万)10部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌した。
その結果、参考例2〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、ゲル状の包接複合体(超分子)を形成することができた。尚、得られた包接複合体(参考例2の包接複合体形成用組成物を使用したもの)の光学顕微鏡図(オリンパス社製、型番「ST−III」の光学顕微鏡を使用、測定条件;倍率600倍、透過型)を、図2に示す。
この図2によれば、アミノ変性シリコーンオイル乳化物が包接複合体形成用組成物におけるシクロデキストリンの中に取り込まれて、丸く成長していると推測することができる。
一方、比較例1〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、液状のままの状態となってしまい、包接複合体を形成することができなかった。
(7−3)被包接物質として、キトサンを使用した場合
予め水で10倍に希釈しておいた包接複合体形成用組成物10部と、キトサン(分子量;約5000)10部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌した。
その結果、参考例2〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、ゲル状の包接複合体(超分子)を形成することができた。尚、得られた包接複合体(参考例2の包接複合体形成用組成物を使用したもの)の光学顕微鏡図(オリンパス社製、型番「ST−III」の光学顕微鏡を使用、測定条件;倍率600倍、透過型)を、図3に示す。
この図3によれば、キトサンは包接複合体形成用組成物におけるシクロデキストリンの親油性部分に直接取り込まれないため、α、β及びγの各シクロデキストリンが最初に集合(成長)して、その集合体の内部に大きな包接用のポケットを形成した後に、キトサンが取り込まれ、不定形で成長していくと推測することができる。
一方、比較例1〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、液状のままの状態となってしまい、包接複合体を形成することができなかった。
(7−4)被包接物質として、アルギン酸ソーダを使用した場合
予め水で10倍に希釈しておいた包接複合体形成用組成物10部と、アルギン酸ソーダ(分子量;約3万)10部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌した。
その結果、参考例2〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、ゲル状の包接複合体(超分子)を形成することができた。尚、得られた包接複合体(参考例2の包接複合体形成用組成物を使用したもの)の光学顕微鏡図(オリンパス社製、型番「ST−III」の光学顕微鏡を使用、測定条件;倍率600倍、透過型)を、図4に示す。
この図4によれば、アルギン酸ソーダは包接複合体形成用組成物におけるシクロデキストリンの親油性部分に直接取り込まれないため、α、β及びγの各シクロデキストリンが最初に集合(成長)して、その集合体の内部に大きな包接用のポケットを形成した後に、キトサンが取り込まれて成長していくと推測することができる。また、針状での成長は、アルギン酸ソーダのソーダ塩の部分が結晶成長するためであり、条件によっては不定形での成長となると推測することができる。
一方、比較例1〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、液状のままの状態となってしまい、包接複合体を形成することができなかった。
(7−5)被包接物質として、アミノ酸を使用した場合
予め水で10倍に希釈しておいた包接複合体形成用組成物10部と、アミノ酸(グルタミン酸)10部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌した。
その結果、参考例2〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、ゲル状の包接複合体(超分子)を形成することができた。尚、得られた包接複合体(参考例2の包接複合体形成用組成物を使用したもの)の光学顕微鏡図(オリンパス社製、型番「ST−III」の光学顕微鏡を使用、測定条件;倍率600倍、透過型)を、図5に示す。
この図5によれば、α、β及びγの各シクロデキストリンが最初に集合(成長)して、その集合体の内部に大きな包接用のポケットを形成した後に、アミノ酸が取り込まれて成長していくと推測することができる。また、網状での成長は、アミノ酸がなんらかの折り畳み構造になっていることが起因していると推測することができる。
一方、比較例1〜6の包接複合体形成用組成物を用いた場合には、粘度が100mPas以下の状態となってしまい、包接複合体を形成することができなかった。
[8]包接複合体の形成(ii)
(8−1)参考例7
水50部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で20部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:1:1)と、3種のアルコール(エタノール、メタノール、及びイソプロパノール)を合計で20部(エタノール:メタノール:イソプロパノール=1:1:1)と、尿素10部とを、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
その後、水で10倍に希釈した包接複合体形成用組成物5部と、アクリル樹脂(ポリアクリル酸エチル、分子量;10万)95部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌し、ゲル状の超分子(参考例7の包接複合体)を形成した。
この際、包接複合体形成用組成物、アクリル樹脂、及び参考例7の包接複合体について、それぞれIR測定を行い、その結果を図6〜図8に示した(但し、図6は包接複合体形成用組成物のIRチャート図を示し、図7はアクリル樹脂のIRチャート図、図8は包接複合体のIRチャート図を示す)。
尚、上記IR測定は、日本分光株式会社製、型番「FT/IR−6000」を用い、分解能は4cm−1、積算回数は16回で実施した。
(8−2)参考例8
水50部と、3種のシクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン)を合計で20部(α−シクロデキストリン:β−シクロデキストリン:γ−シクロデキストリン=1:2:2)と、3種のアルコール(エタノール、メタノール、及びイソプロパノール)を合計で20部(エタノール:メタノール:イソプロパノール=1:1:1)と、尿素10部とを、常温で混合し、透明になるまで撹拌することにより、包接複合体形成用組成物(pH;7)を調製した。
その後、水で10倍に希釈した包接複合体形成用組成物5部と、アクリル樹脂(ポリアクリル酸エチル、分子量;10万)95部とを、反応容器内において、常温にて、泡立たないように、1時間撹拌し、ゲル状の超分子(参考例8の包接複合体)を形成した。
この際、参考例7と同様にして、参考例8の包接複合体についてIR測定を行い、その結果を図9に示した。
図6〜図9によれば、参考例7の包接複合体のチャート図(図8)と、アクリル樹脂のチャート図(図7)には大差が無く、シクロデキストリン(包接複合体形成用組成物)(図6参照)の影響は見られなかった。また、同様に、参考例8の包接複合体のチャート図(図9)と、アクリル樹脂のチャート図(図7)にも大差が無く、シクロデキストリン(包接複合体形成用組成物)の影響は見られなかった。
以上のことから、各包接複合体(超分子)の形成過程における、シクロデキストリン(包接複合体形成用組成物)によるアクリル樹脂の変化(包接複合化)は、化学的な結合の変化ではなく、物理的な結合の変化であることと推定できる。
本発明の難燃性付与剤及びその製造方法、並びに難燃性繊維体及びその製造方法は、難燃材料分野や繊維加工分野において好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 繊維体に難燃性を付与するための難燃性付与剤であって、
    アミノ酸又はアミノ酸含有体と、包接複合体形成用組成物と、を混合して得られるアミノ酸複合体を含んでおり、
    前記アミノ酸複合体の含有割合(アミノ酸換算)は、本難燃性付与剤全体を100質量%とした場合に、2質量%以上であり、
    前記包接複合体形成用組成物は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び水を含有しており、
    前記α−シクロデキストリン、前記β−シクロデキストリン、及び前記γ−シクロデキストリンの合計を100質量%とした場合に、
    前記α−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、
    前記β−シクロデキストリンの含有割合は5〜40質量%であり、
    前記γ−シクロデキストリンの含有割合は30〜90質量%であり、
    前記アミノ酸として、カルボキシル基を2つ有するアミノ酸が用いられていることを特徴とする難燃性付与剤。
  2. 請求項に記載の難燃性付与剤の製造方法であって、
    α−シクロデキストリンと、β−シクロデキストリンと、γ−シクロデキストリンと、水と、を混合して包接複合体形成用組成物を調製する工程と、
    得られた包接複合体形成用組成物と、アミノ酸又はアミノ酸含有体と、を混合してアミノ酸複合体を調製する工程と、を備えていることを特徴とする難燃性付与剤の製造方法。
  3. 繊維体の少なくとも一部の領域に、請求項に記載の難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体が配されていることを特徴とする難燃性繊維体。
  4. 繊維体と、請求項に記載の難燃性付与剤と、を接触させることによって、前記繊維体の少なくとも一部の領域に、前記難燃性付与剤に含まれるアミノ酸複合体を配する工程を備えていることを特徴とする難燃性繊維体の製造方法。
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