JP5850475B2 - カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ - Google Patents

カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ Download PDF

Info

Publication number
JP5850475B2
JP5850475B2 JP2013541707A JP2013541707A JP5850475B2 JP 5850475 B2 JP5850475 B2 JP 5850475B2 JP 2013541707 A JP2013541707 A JP 2013541707A JP 2013541707 A JP2013541707 A JP 2013541707A JP 5850475 B2 JP5850475 B2 JP 5850475B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
rice
mutant
seq
treca
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013541707A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013065517A1 (ja
Inventor
石川 覚
覚 石川
正人 倉俣
正人 倉俣
匡 安部
安部  匡
将人 井倉
将人 井倉
中西 啓仁
啓仁 中西
西澤 直子
直子 西澤
Original Assignee
国立研究開発法人農業環境技術研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立研究開発法人農業環境技術研究所 filed Critical 国立研究開発法人農業環境技術研究所
Priority to JP2013541707A priority Critical patent/JP5850475B2/ja
Publication of JPWO2013065517A1 publication Critical patent/JPWO2013065517A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5850475B2 publication Critical patent/JP5850475B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8242Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits
    • C12N15/8243Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits involving biosynthetic or metabolic pathways, i.e. metabolic engineering, e.g. nicotine, caffeine
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、根によるカドミウム(以下Cdと略記する。)吸収を抑制する変異トランスポーター遺伝子及び変異トランスポータータンパク質、並びにCd吸収が抑制されるイネ変異体及び低Cd吸収イネ品種に関する。
FAO/WHOの合同食品規格委員会では、食品中に含まれるCdの摂取による健康被害リスクを軽減するため、食品中のCd濃度を規制する国際基準値を制定した。その基準値を受けて、2011年2月に我が国の食品衛生法が改正され、コメの規制値は1mg kg-1(玄米)から0.4mg kg-1(玄米と精米)に大幅に変更された。それゆえ、イネのCd吸収を低減させる技術開発が急務である。
イネのCd吸収低減技術として、これまで客土による土壌復元や土壌改良資材の投入、湛水管理等の営農技術が従来実施されてきた(例えば特許文献1及び2を参照。)。しかし従来の方法は必要年数、コスト、効果の面からも問題点が多い。
特開2011−83194号公報 特開2011−6529号公報
従来の方法に替わる技術としては、低Cd吸収イネ品種の開発・導入が経済的で、環境負荷が少なく、さらに持続的なメリットを持つが、これまで低Cd吸収イネ品種が開発された報告例は全くない。本発明は、根によるCd吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質、変異トランスポーター遺伝子及びその変異遺伝子、並びにCd吸収が抑制されるイネ及びCd吸収抑制イネの選抜、育成方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、重イオンビームをイネ種子に照射し、得られた植物体から低Cd吸収イネ変異体を選抜した。さらに、得られた変異体の原因遺伝子を特定し、本発明に至った。すなわち本発明は以下の通りである。
<1>
<2>本発明は、配列番号3で表されるDNA塩基配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質をコードする遺伝子である。
<3>さらに本発明は、配列番号4で表されるDNA塩基配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質をコードする遺伝子である。
<4>
<5>さらに本発明は、配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質である。
<6> さらに本発明は、下記(P)又は(R)のアミノ酸配列を含むカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質である。
(P)配列番号6に記載のアミノ酸配列。
(R)配列番号6に記載のアミノ酸配列と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、カドミウム吸収を抑制するタンパク質のアミノ酸配列。
<7> さらに本発明は、前記<2>乃至<3>のいずれかに記載のDNAを含む組み換えベクターである。
<8> さらに本発明は、前記<2>又は<3>に記載のDNAを含む形質転換体である。
<9>さらに本発明は、前記<7>に記載の組み換えベクターを用いた形質転換体である。
<10> さらに本発明は、前記<2>又は<3>に記載のDNA塩基配列を含む個体を特定するための遺伝子マーカー。
<11>
<12>さらに本発明は、前記<5>又は<6>に記載されたタンパク質が発現するカドミウム吸収抑制イネである
<13>さらに本発明は、イネ品種コシヒカリと出穂、収量、食味が同程度である、前記<12>に記載のカドミウム吸収抑制イネである。
<14>
<15>
<16>さらに本発明は、前記<12>又は<13>に記載のカドミウム吸収抑制イネ変異体と既存のイネ品種との交配により得られるカドミウム吸収抑制イネである。
本発明は、実用性の高い低Cd吸収イネ品種を提供する。さらに本発明の低Cd吸収イネ品種を母本とすることにより、遺伝子組み換え操作を行わずに新たな低Cd吸収イネ品種を育成することができ、また本発明のDNAマーカーを用いることにより、効率的に低Cd吸収イネ品種を選抜することができる。
図1は、Cd汚染圃場で栽培した時の玄米(brown rice)のカドミウム濃度を示す。 図2は、コシヒカリ(Koshihikari)と低Cd変異系統の生育状態を示した説明図である。 図3は、#3-6-4とカサラス(Kasalath)を交配したF2個体(92個体)の茎葉Cd濃度の頻度分布を表した図である。 図4は、遺伝子マッピングより推定された低Cd遺伝子の存在位置を示す図である。 図5は、#7-3-6と#3-6-4のゲノムDNA上での塩基の欠損と挿入位置を示す図である。 図6は、コシヒカリ(Koshihikari)と変異体のPCRによるDNA増幅断片長の違いを示す電気泳動の結果図である。 図7は、TRECA遺伝子とtreca-1遺伝子を導入した各酵母変異株をSD寒天培地でそれぞれ処理したときの酵母の増殖程度を示す結果図である。 図8は、TRECAタンパク質とtreca-1タンパク質の局在性を示す蛍光観察図である。 図9は、遺伝子マーカーを用いて、コシヒカリ(Koshihikari)と変異体(#3-6-4, #3-5-20)のDNA増幅断片長の違いを示す電気泳動の結果図である。 図10は、遺伝子マーカーを用いて、コシヒカリ(Koshihikari)と変異体(#7-3-6)のDNA増幅断片長の違いを示す電気泳動図である。
本発明は、花の育種等でよく使用されている重イオンビームをイネに照射して得られた低Cd吸収イネ品種の遺伝子を解析することにより得られた、Cd吸収を抑制する変異トランスポーター(Transporter regulating cadmium absorption、以下TRECAと略称する。)タンパク質、TRECA遺伝子及び該TRECA遺伝子の変異遺伝子(以下trecaと略称する。)であり、さらに核変異遺伝子を含む低Cd吸収イネ品種及び該低Cd吸収イネ品種を用いて得られる新たな低Cd吸収イネ品種である。以下本発明について詳説する。
<TRECA遺伝子について>本発明のTRECA遺伝子は、配列番号1に示されるカドミウム吸収に関与するトランスポータータンパク質をコードする、配列番号2に示される遺伝子である。配列番号2に示す塩基配列は、前記重イオンビームを照射して得られたCd吸収抑制イネの遺伝子を解析することにより特定されたものである。本発明は、TRECA遺伝子に由来する重金属トランスポーター遺伝子の開始コドンから終始コドンまでの、いわゆるオープンリーディングフレーム(以下ORFという。)である。
前記TRECA遺伝子は、RAP−DB(The Rice Annotation Project Database)やNCBI(The National Center for Biotechnology Information)等の遺伝情報が記載されたデータベースにおいて、機能が既知のシロイヌナズナの塩基配列との相同性等から重金属輸送の機能を有する遺伝子として注釈が付けられたNramp遺伝子の一種である。RAP−DBでは「similar to OsNramp1」、NCBIでは「OsNramp5」と記載されているが、その機能について、特にイネのカドミウム吸収に関する遺伝子であることについては従来全く知られていなかったものである。
本発明に係るTRECA遺伝子は好ましくは、配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドからなるORFであるが、この部分に相当する部分が含まれる限り、いずれの遺伝子であってもよい。例えば、該ORFに5'および3'UTRを加えた遺伝子も本発明に含まれる。
本発明のTRECA遺伝子には、例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする変異体、誘導体が含まれる。
また、たとえ塩基配列が変異した場合でも、それがタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わない場合(縮重変異)もあり、このような縮重変異体も本発明の遺伝子に含まれる。
上記遺伝子を獲得する方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法が採用される。例えば、当該遺伝子を、それを有する生物のゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリーなどから適切な制限酵素で切り出し、精製すればよい。即ち、本発明の重金属トランスポーター遺伝子には、ゲノムDNAおよび化学合成DNAが含まれる。ゲノムDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。ゲノムDNAは、例えば、対象生物からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できる)を作成し、これを展開して、本発明のタンパク質をコードするDNA(配列番号2)を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより調製することが可能である。
また、本発明の重金属トランスポータータンパク質をコードするDNA(配列番号2)に特異的なプライマーを作成し、これを利用したPCRを行うことによって調製することも可能である。
具体的には、配列番号1に記載の重金属トランスポータータンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする遺伝子を調製するために、当業者によく知られた方法としては、「Southern, E.M. Journal of Molecular Biology, 98, 503(1975)」に記載のハイブリダイゼーション技術や、「Saiki, R. K. et al. Science, 230, 1350-1354(1985)、Saiki, R. K. et al. Science, 239,487-491(1988)」に記載のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を利用する方法が挙げられる。このようにハイブリダイズ技術やPCR技術により単離しうる本発明の重金属トランスポータータンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子もまた本発明の遺伝子に含まれる。
前記により単離された遺伝子は、それがコードするアミノ酸レベルにおいて、本発明のタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)と高い相同性を有すると考えられる。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の配列の同一性を指す。配列の同一性は、FASTA検索 (Pearson W.R. and D.J. Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85:2444-2448)やBLASTP検索により決定することができる。
<TRECAタンパク質について>本発明に係るTRECAタンパク質は、TRECA遺伝子によってコードされ、細胞膜上に存在し、カドミウム及びマンガンの吸収に関与するタンパク質である。後記の本発明のTRECAタンパク質をコードする遺伝子を全部欠失している系統(#7−2−13)や一部変異が生じた系統(#3−6−4や#7−3−6等)において、カドミウム及びマンガンの吸収が大幅に抑制されることから、該タンパク質がカドミウム及びマンガンの吸収に関与することが明らかである。また、酵母にTRECA遺伝子を導入した系ではTRECAタンパク質は鉄の輸送活性を示し、変異型のtrecaタンパク質を持つ酵母では鉄の輸送活性を示さないことから、TRECAタンパク質は鉄の吸収にも関与する。しかし、上述の欠失系統や変異系統は鉄の濃度に変化がない(表2)ことから、これまで報告されている鉄吸収関連タンパク質であるIRTやZIPファミリー(Bughio N.et al.(2002)Journal of Experimental Botany.53:1677−1682)に比べ、鉄吸収能力が低いと予想される。
本発明に係るTRECAタンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、TRECAタンパク質の重金属輸送機能を有するタンパク質、もしくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質とアミノ酸レベルで80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を示し、かつTRECAタンパク質の重金属輸送機能を有するタンパク質である。
<TRECA遺伝子の変異型treca-1遺伝子及びtreca-1タンパク質ついて>
本発明は、配列番号3に示されるTRECA遺伝子の変異遺伝子(以下treca-1遺伝子という。)である。配列番号3に示す塩基配列は、前記重イオンビームを照射して得られたCd吸収抑制イネ#3-6-4に由来する遺伝子であり、前記配列番号2に示すTRECA遺伝子においてcDNAの第10エキソンの末端部位、塩基番号1025から1056番目の32bpに置き換わって 50bpとなったものである。
本発明は、前記配列番号3に示されるtreca-1遺伝子の開始コドンから終始コドンまでのORFであるが、この部分に相当する部分が含まれる限り、いずれの遺伝子であってもよい。例えば、該ORFに5'および3'UTRを加えた遺伝子も本発明に含まれる。
また本発明のtreca-1遺伝子には、例えば、配列番号5に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする変異体、誘導体が含まれる。
本発明に係るtreca-1遺伝子によりコードされたtreca-1タンパク質は、アミノ酸配列が、配列番号5に示すように前記TRECAタンパク質から変異しCd吸収機能が抑制されたものである。treca-1タンパク質は、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、あるいは配列番号5で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、TRECAタンパク質の重金属輸送機能が失われたタンパク質、もしくは、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質とアミノ酸レベルで80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を示し、かつTRECAタンパク質の重金属輸送機能が失われたタンパク質である。
<TRECA遺伝子の変異型treca-2遺伝子及びtreca-2タンパク質について>
本発明は、配列番号4に示されるTRECA遺伝子の変異遺伝子(以下treca-2遺伝子という。)である。配列番号4に示す塩基配列は、前記重イオンビームを照射して得られたCd吸収抑制イネ#7-3-6に由来する遺伝子であり、前記配列番号2に示すTRECA遺伝子(cDNA)における塩基番号915番目に一塩基欠損(シトシンの欠損)がみらる。
本発明に係るtreca-2遺伝子は好ましくは、配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドからなるORFであるが、この部分に相当する部分が含まれる限り、いずれの遺伝子であってもよい。例えば、該ORFに5'および3'UTRを加えた遺伝子も本発明に含まれる。
本発明のtreca-2遺伝子には、例えば、配列番号6に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする変異体、誘導体が含まれる。
本発明に係るtreca-2遺伝子によりコードされたtreca-2タンパク質は、アミノ酸配列が、配列番号6に示すように前記TRECAタンパク質から変異しCd吸収機能が抑制されたものである。treca-2タンパク質は、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、あるいは配列番号6で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、TRECAタンパク質の重金属輸送機能が失われたタンパク質、もしくは、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質とアミノ酸レベルで80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を示し、かつTRECAタンパク質の重金属輸送機能が失われたタンパク質である。
<TRECA遺伝子およびその変異型treca遺伝子の組換えベクターについて>
本発明による組換えベクターは、前記TRECA遺伝子、変異型のtreca-1遺伝子又はtreca-2遺伝子のいずれかが組み込まれたものである。前記ベクターは、公知の形質転換方法によって目的植物に発現可能に導入されることにより、当該植物において組み込まれた遺伝子あるいは遺伝子断片を発現させて本発明に係るタンパク質を得ることが出来るものである。
本発明による組換えベクターは、バイナリーベクターが好ましく、中でも特開平10-155485号公報に記載の「大容量バイナリーシャトルベクター」が特に好ましい。
<形質転換体について>
本発明の遺伝子を発現する形質転換体を作製する場合には、前記遺伝子が挿入された前記ベクターを目的とする植物細胞に導入する。該植物細胞へのベクターの導入は、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、アグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等が用いられるが、中でもアグロバクテリウム法が最も好ましい。
前記本発明の遺伝子を発現する形質転換体は、イネに限定されるものではなく、根によるCd吸収を制御するタンパク質、遺伝子を持つ植物であれば、制限されるものではない。
<遺伝子マーカーについて>
本発明における遺伝子マーカーは、前記TRECA遺伝子と変異型treca遺伝子との塩基配列の違いから個体を識別するものである。
前記遺伝子マーカーは、本発明の遺伝子が交配や形質転換によって他のイネ品種に導入されたかどうか、塩基配列の違いから判断するための目印となる。イネから抽出したゲノムDNAを鋳型にし、ゲノムDNAの塩基配列に従って適当に選択された塩基配列を持つ合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中においてPCR増幅反応を行い、その生成物を含む反応液を例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が本発明のゲノムDNAに対応することを確認できる。
本方法により、例えばコシヒカリ(Koshihikari)等のイネ品種と#3-6-4変異体からゲノムDNAを抽出し、目的とする塩基部分(塩基が挿入された部分)を増幅できるプライマーセットの種類に応じて、抽出物のPCRによるDNA増幅断片を電気泳動にかけるとそれぞれ200〜500bpと600〜800bpに分画され、各個体の識別に利用できる。#7-2-13変異体の場合はDNAの増幅断片が現れないことで他の品種と識別できる。なお、プライマーは、変異領域を増幅できる塩基配列であれば、制限されるものではない。
#7-3-6変異体の場合は、一塩基欠損領域を含む塩基部分を増幅できるプライマーセット[例えば[Os7g2572_F2976g (5'- TATATTCAGCCTGGGCAGATCGAG -3':配列番号7)、Os7g2572_R3815g (5'- TGATGTACTGTCCAGCGTATGTGC -3':配列番号8)]等で、PCR反応によってDNA断片を増幅させ、一塩基欠損によって新たに発生する制限酵素サイトを持つDNA増幅断片を、特定の制限酵素(例えばFspI)等で切断処理することによって、他品種と識別することが可能である。なおプライマーは、変異領域を増幅できる塩基配列であれば、制限されるものではない。また、制限酵素は変異領域を切断できるものであれば、制限されるものではない。
また、#7-3-6変異体の場合は、DNA増幅断片をスピンカラム法やガラスビーズ吸着法等によって精製し、増幅部分のDNA塩基配列をシーケンサーによって読み取ることで、本発明のDNA塩基配列に含まれる一塩基欠損を検出し、この情報を基にSNP(一塩基多型)マーカーを開発することで個体の識別が可能になる。
<重イオンビームを利用したカドミウム吸収抑制イネ変異体の作出>
イネ種子に重イオンビームを照射する。カドミウム吸収抑制イネ変異体を作出する重イオンビームの線量としては、イネ種子に損傷を与えず、変異を誘発できる範囲内であれば特に限定されないが、高頻度で誘発できる炭素イオンビームであれば、20〜60Grayの範囲が好ましい。
前記重イオンビームが照射された種子(第1世代種子、以下M1と略記する。第2世代以降も同様である。) は、通常の栽培に供され、得られたM2種子が低Cd変異体の選抜に供される。M2種子を用いて、低Cd変異体を選抜する方法は下記の2つ方法がある。
M2の選抜には、播種後10日経過した幼苗をCdが入った水耕液で処理した後に、幼苗の茎部を切断し、切断面から出液してくる導管液を原子吸光光度計等でCd濃度を測定し、低Cdの変異体を選抜する方法が、培養室等の省スペースしかなく、Cd汚染土壌が入手できない場合においては特に望ましい。また次世代種子(M3種子)は、切断後の切り株から出てくる新芽(ひこばえ)を生やすことにより確保することができる。さらにその種子(M3種子)を自殖させることで、M4やM5等の世代が進んだ低Cd吸収イネを得ることができる。
Cd汚染土壌を利用することが可能な場合は、M2種子を培養土に播種後、1ヶ月経過した幼苗を、Cd汚染土壌に移植し、収穫、乾燥、脱穀、籾すりの工程を経て得た玄米についてCd濃度を分析し、玄米Cd濃度の低い個体を選抜することにより、低Cd吸収イネ(M3種子)を得ることができる。さらにその種子を自殖させることで、M4やM5等の世代が進んだ低Cd吸収イネを得ることが可能な点は、前記水耕栽培と同様である。
<低Cd吸収イネからの重金属トランスポーター遺伝子の獲得>
本発明に関わる遺伝子を獲得する方法として、ハイブリダイゼーション技術やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が挙げられる。前者は、例えば本発明における遺伝子の塩基配列もしくはその一部と特異的にハイブリダイズするプローブを調製し、ゲノムDNAライブラリーやcDNAライブラリーをスクリーニングする。後者は、例えば公知の日本晴の配列情報を用いて、本発明における遺伝子をPCR法によって増幅させるためのプライマーセット(5’側と3’側)を設計し、cDNAを鋳型にしてPCRを行い、両プライマーに挟まれるDNA領域を増幅させることで、本発明に関わる遺伝子を取得することができる。
<重金属トランスポータータンパク質の同定>
本発明に関わるタンパク質は、上記で単離した遺伝子の塩基配列をサイクルシークエンス法によって決定し、塩基配列をコドンに従ってアミノ酸配列に変換することができる。そのアミノ酸配列をイネゲノムデータベース(RAP-DB)で照合し、タンパク質を同定することが可能である。
<低Cd吸収イネ変異体を母本とする新たな低Cd吸収イネの育種方法>
本発明によって得られたDNAを有する低Cd吸収イネ変異体と既存の品種を交配し、本発明による遺伝子マーカーを利用することで、効率良く新たな低Cd吸収イネ品種を作出することが可能である。
該作出方法として、以下のような手順がある。
1)低Cd吸収イネ(A植物)と既存のイネ品種(B植物)を交配し、F1を作出する
2)前記F1と前記B植物を交雑させる
3)交雑後の植物から低Cd遺伝子を有する個体を遺伝子マーカーで選抜する
4)B植物に交雑を重ねていく「戻し交雑」によって、A植物が有する低Cd遺伝子(例えばtreca-1遺伝子やtreca-2遺伝子)を意図的にB植物に導入する。
5)その際、多数の戻し交雑個体の中から、低Cd遺伝子を有する個体のみを選抜するため、遺伝子マーカーを活用することができる。本発明の遺伝子マーカーは、低Cd遺伝子を有する個体とそれ以外の個体を識別できる。
6)前記個体選抜をする際は、幼植物段階の茎葉や根から抽出したゲノムDNAを使用すればよい。
7)B植物に交雑を繰り返し、低Cd遺伝子が入った個体のみをマーカーで選抜することで、ゲノム構造のほとんどがB植物であるが、Cd吸収のみA植物の遺伝形質の入った新たな品種(例えば、低Cdのあきたこまち)が作出できる。
8)B植物はジャポニカ種でもインディカ種でもかまわない。
以下に、本発明の内容を実施例によりさらに具体的に示すが、本発明は本実施例の記載に限定されるものではない。
<実施例1−Cd吸収の少ないイネ変異体の選抜>
(重イオンビーム照射)
独立行政法人日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所のTIARAを用いて、重イオンビーム照射(炭素イオン、320MeV, 40Gy)したイネ(品種コシヒカリ(Koshihikari))種子(本種子が第1世代種子で、以下M1と略記し、第2、第3世代等をM2、M3等という。)3500粒を、培養土(住友化学社製、商品名:ボンソル1号)に播種し、得られた幼苗を(独)農業環境技術研究所が所有する水田圃場に一個体づつ移植し、(独)農業環境技術研究所における慣行の栽培管理で各個体からM2種子を得た。得られたM2種子約100,000粒をすべて混合し、以下の低Cd変異体の選抜工程に供試した。
(低Cd変異体の選抜方法 その1−導管Cd濃度を指標した簡易選抜法)
M2の催芽種子を、底面に3mm口径の穴を開けた96穴のPCRプレートに播種し、スタイロホームで作成した浮遊台にプレートを乗せ、木村B水耕液(1/2濃度)の入った20L容コンテナ容器に置いた。
播種後10日経過した幼苗を0.1ppmのCd濃度が入った水耕液で4日間処理した。処理後、各個体の茎部をプレートから2cm上部で切断し、切断面から出液してくる導管液を脱脂綿にしみ込ませ、遠心分離(2,000 rpm、1分)によって、導管液のみを回収した。採取用のプレートは、96穴PCRプレートの底に2mm口径の穴を空け、脱脂綿を充填後、穴を開けていないプレートと二枚重ねにした。導管液を綿にしみ込ませ、遠心分離(2,000 rpm、1分)することで、下方のプレートに回収した。
前記により回収した導管液は、0.1 M硝酸で50〜200倍に希釈後、原子吸光光度計(アジレント・テクノロジー社製、商品名;spectrAA 220Z)でCd濃度を測定した。なお、コシヒカリ(Koshihikari)から採取した導管液のCd濃度よりも、1/5以下のCd濃度を示した個体のみを回収し、ひこばえ(刈り株から出てくる新芽)を生やして、次世代種子(M3)を確保するため、培養土に移植して採種した。
前記方法によって、約3,000個体がCd処理され、その中から生育がコシヒカリ同等で、導管Cd濃度がコシヒカリよりも1/5〜1/20であった4つの変異体(#3-5-20, #6-4-10, #11-6-12, #12-3-5)を選抜し、また前記方法によりM3種子を採種した。該変異体の導管Cd濃度を表1に示す。なお表1において、同一プレート上で栽培されたコシヒカリと変異体とをそれぞれ比較した。
Figure 0005850475
(低Cd変異体の選抜方法 その2−玄米Cd濃度を指標にした選抜法)
導管液のCd濃度を指標にした選抜法は省スペースで、簡便に実施できる方法である一方、玄米Cd濃度の低い個体が選ばれたかどうかについては評価できない。それゆえ、玄米Cd濃度の低い変異体を選抜する目的では、玄米Cd濃度を直接分析する方法がよいが、多数の変異体を登熟期までCd汚染圃場で栽培するには、特定の場所でしか実施できない。ここでは、少量のCd汚染土壌と温室等の比較的省スペースがあれば、多数の変異体を栽培でき、玄米Cd濃度によって低Cd変異体を選抜できる方法を考案した。
M2の催芽種子を培養土に播種後、1ヶ月経過した幼苗2,592個体を、Cd汚染土壌(0.1M塩酸抽出の土壌Cd濃度:1.8mg kg-1)を詰めた小型ポリ鉢(Yポット、7.5cm径、底面に穴有り)に1個体づつを移植し、対照として重イオンビーム無処理のコシヒカリ288個体を同様に移植した。プラスチックコンテナ(ニューTOトレイ)に40ポットづつ分けて配置し、穂ばらみ期まで湛水管理した。その後、落水することで土壌に含まれるCdを溶出させ、土壌が乾かない程度に水道水を登熟期まで与え続けた。施肥は、最大分げつ期に各ポット0.05g-N/ポット(土壌300g)を与えた。収穫は各個体別に実施し、乾燥、脱穀、籾すりの工程を経てM3世代の玄米を得た。得られたM3玄米を硝酸−過塩素酸で完全に分解し、その分解液をmill-Q水で適宜希釈後、希釈液中のCd濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置(パーキンエルマー社製、商品名;ELAN DRC-e)にて測定した。
前記方法によって、M3種子の玄米Cd濃度が低い3つの変異体(#3-6-4, #7-3-6, #7-2-13)が選抜された。
<実施例2−低Cd変異形質の安定性確認>
(水耕栽培での評価)
玄米Cd濃度を指標に選抜された低Cd変異体(#3-6-4, #7-3-6, #7-2-13)のM3系統と重イオンビーム無処理のコシヒカリ(以下単にコシヒカリという。)の種子を播種し、実施例1と同様10日経過した苗を水耕法でCd処理した。Cd処理してから4日間経過後、収穫して、茎葉部と根部に分けて乾燥した。該乾燥物を実施例3の玄米と同様の方法で強酸で分解した。分解液中にはCdの他、植物にとっては必須元素であるマンガン(Mn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)含量も含まれており、これら全ての元素は誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-OES)(アジレント・テクノロジー社製、商品名;Vista-Pro)にて、同時に測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005850475
表2より、コシヒカリに比較して、変異系統の茎葉部Cd濃度はどれも1/7程度であった。また、根Cd濃度においても、全ての変異系統でコシヒカリの1/4程度であった。この事からすべての変異系統における低Cdの原因は、根のCd吸収が低いことに起因することがわかった。また他の重金属濃度を比較した結果、変異系統は茎葉部・根部共にマンガン濃度が著しく低いことが特徴的であり、すべての変異系統で同じ現象が認められた。
(Cd汚染圃場での評価)
実施例1の玄米Cd濃度で選抜された低Cd変異体(#3-6-4, #7-3-6, #7-2-13)の世代の進んだM4系統とコシヒカリをCd汚染圃場(Cd濃度1.8mg kg-1)で栽培した。水管理は水稲栽培の慣行法に従い、中干しと間断灌漑で行った。施肥は元肥として5kg-N/10a, 8kg-P2O5/10a, 8kg-K2O/10aを与え、穂肥として2kg-N/10aと施用した。登熟期の玄米を収穫し、強酸による分解後、溶液中に含まれるCdをICP-MS(パーキンエルマー社製、商品名;ELAN DRC-e)で、他の重金属をICP-OES(アジレント・テクノロジー社製、商品名;Vista-Pro)で測定した。結果を図1に示し、栽培時の生育状況を図2に示した。
図1より、3つの変異系統のM5玄米のCd濃度はコシヒカリに比べて著しく低く、低Cd変異形質は世代が進んだ玄米でも安定して低いことがわかった。さらに(水耕栽培での評価)と同様、玄米でもマンガン濃度が低く、コシヒカリの半分以下であった。玄米の亜鉛、銅、鉄濃度は変異系統とコシヒカリで同程度であった。
図2より、実施例1で選抜された変異体のうち、1系統(#7−2−13)はコシヒカリに比べて出穂が2週間早く、草丈が小さかった。その他の変異系統はコシヒカリと同等の出穂期であり、達観による評価ではコシヒカリと区別が付かなかった。マンガン濃度が少ないことによる葉色への影響や不稔等は全く認められなかった。
<実施例3−遺伝解析>
(マイクロアレイ実験)
前記変異体(#3-6-4)とコシヒカリの根から、RNA精製キット(株式会社リーゾ製、商品名:RNAすいすい-S)のプロトコールに従ってRNAを抽出した。RNA濃度を分光光度計(Thermo Fisher Scientific製、商品名:ナノドロップNanoDrop 1000)で、抽出されたRNAが分解されていないかどうか、その品質をAgilent社のバイオアナライザー2100でチェックした。
抽出した全RNA(400ng)からT7promoter primer(Agilent社)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。蛍光標識のためCyanine3(以下Cy3という。)とCyanine5(以下Cy5という。) を添加し、T7 RNA ポリメラーゼを含むTranscription Mix溶液(Agilent社)中で反応させることで標識cRNAを合成した。
前記各個体から抽出・合成した標識cRNAをQiagen RNeasy Kit(Qiagen社製)で精製後、前記Agilent社のバイオアナライザー2100を用いてRNA濃度と品質をチェックした。Cy3とCy5でラベル化したcRNAをcRNAターゲット溶液中で混合し、ターゲットの断片化のためfragmentation buffer(Agilent社)を添加し、60℃、30分インキュベートした。その溶液をイネのオリゴDNAマイクロアレイ4×44 RAP-DB(Agilent社製)の43,803の合成オリゴヌクレオシドが配置されたプローブ面に滴下し、カバーガラスで被覆後、恒温槽内(60℃、17時間、10rpm)でハイブリダイゼーション反応させた。
前記カバーガラスを2種類の洗浄液でリンス後、窒素ガスによって水滴を除去し、マイクロアレイスキャナー(Agilent社製)を用いて蛍光シグナルを測定した。蛍光シグナルの定量化はAgilent社のFeature Extraction ソフトウェアを用いた。マイクロアレイに関する作業工程は、マイクロアレイ実験&解析テキスト(独立行政法人 農業生物資源研究所による編集・発行)に準拠して行った。
前記実施例2により選抜された低Cd変異体(#3-6-4)は、カドミウムとマンガンを細胞内に運び入れるトランスポーターに変異があると考えられた。そこで、上記のマイクロアレイ実験の結果では、これまでシロイヌナズナ(Thomine et al., 2000, PNAS, 97, 4991-4996)や酵母(Cohen et al., 2000, J. Biol. Chem., 275, 33388-33394)で報告例があり、2価カチオン(Fe2+やMn2+ 等)の輸送体として特定されているNrampファミリーの遺伝子発現に特に着目した。イネのNrampファミリーには、OsNramp1からOsNramp7まで見いだされている(Takahishi et al., 2011,J. Exp. Bot., 62,4843-4850)が、その中でOsNramp5(Os07g0257200) の遺伝子発現は、変異体とコシヒカリ間で2.5倍の発現差が認められ、他のNrampファミリーには有意な発現差がなかった(1.0〜1.7倍の差)。
(遺伝子マッピング)
低Cd変異体(#3-6-4)が持つ低Cd吸収遺伝子の同定のため、遺伝子マッピングを行った。#3-6-4とインディカ品種であるカサラス(Kasalath)の交配から得られたF2種子を播種し、92個体の幼苗を0.02ppmのCd濃度が入った木村B水耕液(1/2濃度)で4日間栽培し、各個体の茎葉Cd濃度を測定した。結果を図3に、Cd濃度を4mgkg-1毎にクラス分けして示した。
図3より、茎葉Cd濃度が8-12mg kg-1を境界に、2つのグループに分かれ、92個体のうち22個体が低Cdグループ、残りの70個体が高Cdグループとなり、その分離比は1:3(χ2=0.058, p=0.810)を示した。これにより、低Cd変異体は単一の劣性遺伝子によって制御されることがわかった。
次に、劣性遺伝子の染色体上の位置を同定(マッピング)するため、92個体の遺伝子型を97のマイクロサテライト(SSR)マーカーを利用して、調査した。連鎖地図をMAPMAKER/EXP ver. 3.0のソフトウェアで構築した。遺伝子マッピングは92個体のCd濃度と遺伝子型データをもとに、ソフトウェア(QTL Cartographer ver.2.5)で実施した。
遺伝子マッピングの結果を図4に示すが、図4から低Cd遺伝子は第7染色体上のSSRマーカーRM3767の近くに存在することがわかった。RAP-DBによる遺伝子検索の結果、このマーカー近くに重金属トランスポーター遺伝子と注釈が付されたOsNramp5が存在したが、OsNramp5の機能、例えばどの重金属元素を運搬するのかについては不明であった。
(塩基配列の決定)
前記(マイクロアレイ実験と遺伝子マッピング)の結果から、OsNramp5にターゲットを絞り、変異の挿入の有無を確認した。変異体(#3-6-4、# 7-3-6、#7-2-13)とコシヒカリの根からRNAを前記RNA精製キット(RNAすいすい-S )で抽出し、その後、逆転写酵素(TOYOBO 社製、商品名:ReverTra Ace)により、1本鎖cDNAを合成した。そのcDNA を鋳型として,プライマーセット CNPorf5 (5′-CAC CAT GGA GAT TGA GAG AGA GAG CAG TG-3′:配列番号9)および CNPrt3 (5′-ACA CCC TTG TCG ATC GAT CGA TCT G-3′:配列番号10) (オペロン社製)を用いて PCR を行い,全長 ORF を含む増幅断片をpENTR/D-TOPOベクター(Invitrogen社製)にクローニングした。本ベクターに含まれるUniversal M13 シークエンシングサイト[M13 Forward (-20)(5′-GTA AAA CGA CGG CCA G-3′:配列番号11)、M13 Reverse(5′-CAG GAA ACA GCT ATG AC-3′:配列番号12)]およびTRECA遺伝子特異的プライマー[CNP_GcheckFW(5′-GCA AGT CGA GTG CGA TCG TG-3′:配列番号13)、CNP_GcheckRV(5’- CGC CGA TGA TGG AGA CGA TG-3’ :配列番号14)]を用いて、pENTR/D-TOPOベクター(Invitrogen社製)にクローニングされたTRECA遺伝子の塩基配列をDNAシークエンサABI3130xl(Applied Biosystems社製)で決定した。
また、候補遺伝子のゲノム配列を解読するため、ゲノムDNAをXu et al. (2005, Plant Molecular Biology Reporter 23,291-295)の方法に従って抽出した。RAP-DBのデータベースを基にORF配列に変異の認められた領域を挟み込むプライマーを設計[CNP_GcheckFW(5′-GCA AGT CGA GTG CGA TCG TG-3′:配列番号13)、CNP_GcheckRV(5’- CGC CGA TGA TGG AGA CGA TG-3’ :配列番号14)]し、ゲノムDNAをPCRで増幅させた後、ダイレクトシークエンス解析で塩基配列を決定した。
前記決定された塩基配列において、日本晴とコシヒカリは全く同一の配列を示し、該配列を配列番号2に示した。また変異体(#3-6-4)のORF配列を配列番号3に、変異体(# 7-3-6)のORF配列を配列番号4に示した。
前記コシヒカリ/日本晴のORFの長さは1617bpであった。#7-3-6のORFは、コシヒカリ/日本晴の配列の915番目に一塩基欠損(シトシンの欠損)が認められた。また#3-6-4のORFは、コシヒカリ/日本晴のORFの1025から1056番目までの32bpが50bpの挿入に変わり、ORFの長さが1635bpになった。
なお#7-2-13は、PCRによる増幅産物が得られないことから、候補遺伝子の塩基配列がほとんど欠損していると判断した。
配列番号1にコシヒカリ/日本晴のアミノ酸配列を示した。# 7-3-6は一塩基の欠損のため、フレームシフト(読み枠のずれ)が起こり、306番目以降のアミン酸が大きく変化し、またコシヒカリよりも、より手前で終始コドンが現れたため、358番目で翻訳がストップした。該変異体(# 7-3-6)のアミノ酸配列を配列番号6に示した。
また#3-6-4は塩基の挿入があったため、341〜352番目まで11アミノ酸(TGTYAGQYIMQ)が17アミノ酸(RPVTMGVSLVCHAHLIG)に置き換わった。なお、挿入があっても読み取り枠にずれが生じず、それ以降のアミノ酸はコシヒカリと全く同じであった。該変異体(#3-6-4)のアミノ酸配列を配列番号5に示した。
さらに#7-3-6と#3-6-4のゲノムDNA上での塩基の欠損と挿入位置を模式的に図5に示した。#7-3-6は第9エキソン内の138番目のシトシン(C)が欠損していた。#3-6-4は第10エキソン内の73番目のアデニン(A)以降に433bpの塩基の挿入が認められた。該433bpの塩基のうち、50bpがエキソン内に、残りの383bpがイントロン内に挿入された。挿入された433bpはmPingA1というトランスポゾン(転位因子)であった。
また、導管液のCd濃度を指標に選抜した4つの低Cd変異体(#3-5-20, #6-4-10, #11-6-12, #12-3-5)もすべて、#3-6-4と同じ位置に同じ塩基数の挿入が認められ、変異箇所のPCRによるDNA増幅断片長を比較すると、これらの個体は#3-6-4と同じであった。前記各変異体とコシヒカリとのPCRによるDNA増幅断片長の違いを図6に示した。
これらの結果を基に、OsNramp5遺伝子がコードするタンパク質がCd吸収を制御していると予想されたので、コシヒカリ由来のOsNramp5遺伝子をTRECA (Transporter regulating cadmium absorption)遺伝子と命名し、その変異型をtreca-1(#3-6-4由来)遺伝子、treca-2(#7-3-6由来)遺伝子、treca-3(#7-2-13由来)遺伝子とした。
<実施例4−酵母を用いた機能解析>
コシヒカリおよびその変異体 (#3-6-4) の cDNA を鋳型として,プライマーセット CNPorf5 (5′-CAC CAT GGA GAT TGA GAG AGA GAG CAG TG-3′:配列番号9)および CNPrt3 (5′-ACA CCC TTG TCG ATC GAT CGA TCT G-3′:配列番号10) (オペロン社製)を用いて PCR を行い,全長 ORF を含む増幅断片をpENTR/D-TOPO にクローニングした。
さらに LR 反応によってマルチクローニングサイトを gateway 化した酵母発現用ベクター pDR195 (Rentsch et al., 1995) にそれぞれ挿入した。各コンストラクトおよび pDR195 (ベクターコントロール) を酢酸リチウムによって (1) Cd 感受性変異株 Δycf1 (MATalpha trp1-63 leu2-3, 112 gcn4-101 his3-609 ura3-52 ycf1::TRP1),(2) Mn 要求性変異株 Δsmf1 (MATa, his3Δ1; leu2Δ0; met15Δ0; ura3Δ0; YOL122c::kanMX4) および (3) Fe 要求性変異株 Δfet3fet4 (MATa/MATalpha ade2/+ can1/can1 his3/his3 leu2/leu2 trp1/trp1 ura3/ura3 fet3-2::His3/fet3-2::HIS3 fet4-1::LEU2/fet4-1::LEU2) にそれぞれ導入した。
各酵母のアミノ酸要求性に合わせてSD 液体培地で培養後,通常の SD 寒天培地(-Cd,+Mn, +Fe)あるいは (1) 10 μM CdCl2を含む(+Cd),(2) 10 mM EGTA を含み Mn を含まない(-Mn),(3)10 μM BPDS を含む(-Fe),SD 寒天培地に希釈系列 (OD600= 1,0.1,0.01,0.001) を作製してスポットして、30℃ で3日間培養した。TRECA遺伝子とtreca-1遺伝子をCd感受性株(Δycf1)、Mn要求性変異株(Δsmf1)、Fe要求性変異株(Δfet3fet4)に各々導入し、±Cd, ±Mn, ±Fe処理したときの各変異酵母株の増殖程度から、2つの遺伝子がコードするタンパク質の重金属輸送能の違いを図7に示した。
前記図7から、TRECA遺伝子を導入した株でベクターコントロール(VC)に比べて、増殖が少ない(特にOD600=0.1)ことからCd感受性が増大した。これは酵母内にCdが吸収され、Cd毒性の影響で増殖できないことを意味する。一方、treca-1遺伝子を導入したΔycf1株ではCd吸収能が欠損しているため、Cdによる毒性の影響が小さく、VCとほぼ同じ増殖を示した。Δsmf1はMn輸送能が欠損した酵母株である。TRECA遺伝子を導入した株では、特に-Mn処理区でVCよりも高い増殖(OD600=0.01)が認められた。一方、treca-1遺伝子導入株ではVCと同程度の増殖であった。これはTRECA遺伝子の導入によりMn吸収が回復したためと思われた。Δfet3fet4は鉄輸送能が欠損した酵母株である。+Feもしくは-Fe処理区ともにTRECA遺伝子導入酵母株でVCに比べて高い増殖を示した。一方、treca-1遺伝子導入株ではVCと同じ増殖程度であった。この事から、コシヒカリ由来のTRECAタンパク質は Cd, Mn および Fe を輸送する機能を持ち、#3-6-4 由来のtreca-1タンパク質は,Cd,Mn および Fe に対する輸送活性が失われていることが明らかとなった。
<実施例5−原因遺伝子の局在性確認>
コシヒカリおよびその変異体 (#3-6-4) の cDNA を鋳型として,プライマーセット CNPorf5 (5′-CAC CAT GGA GAT TGA GAG AGA GAG CAG TG-3′:配列番号9)および CNPorf3 (5′- CCT TGG GAG CGG GAT GTC GGC CAG G-3′:配列番号10) (オペロン社製)を用いて、 PCR を行い ORF 領域を増幅した。
該増幅断片を pENTR/D-TOPO(invtrogen社製) にクローニングし各エントリークローンを得た。LR clonase II (invtrogen社製)を用いた LR 反応によって pH7FWG2,0 (Karimi et al., 2002) に各 ORF を挿入した。作製したコンストラクトをパーティクルボンバードメント法によってタマネギ表皮細胞に導入し暗黒化で静置した。5〜6 時間後,LSM5 Pascal laser-scanning confocal microscope (Carl Zeiss) を用いて蛍光を観察した。結果を図8に示す。
図8から、コシヒカリ由来のTRECAタンパク質および #3-6-4 株由来のtreca-1タンパク質のC 末端側に GFP を連結した融合タンパク質をタマネギ表皮細胞で発現させ,GFPの緑色蛍光を観察することで、TRECAタンパク質とtreca-1タンパク質の細胞内局在を調べた。いずれのタンパク質も細胞膜に局在していた。また両者の蛍光強度にも大きな違いは認められなかった。
<実施例6−DNAマーカーによる低Cdイネの判別方法>
前記変異体(#3-5-20)、変異体( #3-6-4)、コシヒカリ、及び変異体(#3-6-4)とコシヒカリのF1個体について、それらの根または葉からゲノムDNAを抽出し、分光光度計(Thermo Fisher Scientific社製、商品名:ナノドロップNanoDrop 1000)で濃度を測定した。実施例3の塩基配列データを基に、変異が挿入された箇所を挟み込むプライマーセット[Os7g2572_F3711g(5’-TTC AGA ACG TGC TGG GCA AGT CG-3’ :配列番号11)、Os7g2572_R3951g(5’-ACG GAT TAA CAA ATT AAT TATGTG GCA G-3’ :配列番号12)] を設計した。KAPA2G Fast PCR Kit(KAPA BIOSYSTEMS社製)を使って、ゲノムDNAを鋳型としてPCRによるDNA断片の増幅を行った。得られたPCR産物を3%アガロースゲル上に乗せ、電気泳動を行った。結果を図9に示した。
図9から、コシヒカリは240bpにDNAの増幅断片が見られたが、#3-5-20と#3-6-4は約700bp付近にDNAの増幅断片が見られ、コシヒカリと挿入のある変異体の区別は可能になった。また、#3-6-4×コシヒカリのF1ヘテロ個体の判別も可能であり、共優性マーカーとして活用できる。
前記変異体(#7-3-6)とコシヒカリ、および変異体(#7-3-6)とコシヒカリのF1個体について、前述同様の方法でゲノムDNAを抽出し、一塩基が欠損した箇所を挟み込むプライマーセット [Os7g2572_F2976g (5'- TATATTCAGCCTGGGCAGATCGAG -3':配列番号7)、Os7g2572_R3815g (5'- TGATGTACTGTCCAGCGTATGTGC -3':配列番号8)を設計し、KAPA2G Fast PCR Kitを使ってPCR反応で、DNA断片を増幅させた。得られたPCR産物を制限酵素のFastDigest FspI (Thermo Scientific社製)で切断した。切断後PCR産物を1%アガロースゲル上に乗せ、電気泳動を行った。また、比較のため、FspIで処理しないPCR産物も電気泳動した。結果を図10に示した。図10において、Mはサイズマーカー(Size marker)を、LK2は#7-3-6を、WTはコシヒカリ(Koshihikari)を、F1は#7-3-6×コシヒカリ(#7-3-6 x Koshihikari)をそれぞれ示す。
FspIで処理しない場合、#7-3-6、コシヒカリ、F1個体共に839bpに増幅断片が認められ、3者のバンドパターンに違いがなかった。コシヒカリのDNA断片はFspIで切断される塩基の認識サイトがないため、未処理のバンドパターンと同一であった。一方、#7-3-6は一塩基欠損により、FspIで切断できる新たな認識サイトが生まれ、839bpが419bpと420bpに切断された。切断後のサイズ長がほぼ同程度であるため、2本のバンドが重なり合い、ゲル上では一本のバンドとして現れる。#7-3-6×コシヒカリのF1ヘテロ個体も同様の手法で判別可能となる。
本発明によれば、実用性の高い画期的な低Cd吸収品種を提供する。さらに本発明の低Cd吸収品種を母本とすることにより、遺伝子組み換え操作を行わずに新たな低Cd吸収品種を育成することができ、また本発明のDNAマーカーを用いることにより、効率的に低Cd吸収個体を選抜することができる。

Claims (11)

  1. 配列番号3で表されるDNA塩基配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質をコードする遺伝子。
  2. 配列番号4で表されるDNA塩基配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質をコードする遺伝子。
  3. 配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるカドミウム吸収を抑制する変異トランスポータータンパク質。
  4. 下記(P)又は(R)のいずれかのアミノ酸配列を含むカドミウム吸収を抑制する変位トランスポータータンパク質。
    (P)配列番号6に記載のアミノ酸配列。
    (R)配列番号6に記載のアミノ酸配列と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、カドミウム吸収を抑制する変位トランスポータータンパク質のアミノ酸配列。
  5. 前記請求項2又は請求項3に記載のDNAを含む組み換えベクター。
  6. 請求項2又は請求項3に記載のDNAを含む形質転換体。
  7. 前記請求項7に記載の組み換えベクターを用いた形質転換体。
  8. 前記請求項2又は請求項3に記載のDNA塩基配列を含む個体を特定するための遺伝子マーカー。
  9. 前記請求項5又は請求項6に記載されたタンパク質が発現するカドミウム吸収抑制イネ。
  10. イネ品種コシヒカリと出穂、収量、食味が同程度である請求項12に記載のカドミウム吸収抑制イネ。
  11. 前記請求項12又は請求項13に記載のカドミウム吸収抑制イネ変異体と既存のイネ品種との交配により得られるカドミウム吸収抑制イネ。
JP2013541707A 2011-11-04 2012-10-23 カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ Active JP5850475B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013541707A JP5850475B2 (ja) 2011-11-04 2012-10-23 カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011242041 2011-11-04
JP2011242041 2011-11-04
JP2013541707A JP5850475B2 (ja) 2011-11-04 2012-10-23 カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ
PCT/JP2012/077300 WO2013065517A1 (ja) 2011-11-04 2012-10-23 カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013065517A1 JPWO2013065517A1 (ja) 2015-04-02
JP5850475B2 true JP5850475B2 (ja) 2016-02-03

Family

ID=48191872

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013541707A Active JP5850475B2 (ja) 2011-11-04 2012-10-23 カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20140259233A1 (ja)
JP (1) JP5850475B2 (ja)
CN (1) CN103917646B (ja)
WO (1) WO2013065517A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105052641B (zh) * 2015-07-24 2018-02-13 湖南省水稻研究所 低镉水稻的筛选方法及用其选育低镉常规晚稻品种的方法
CN106086131B (zh) * 2016-06-08 2019-08-13 湖南汇升生物科技有限公司 一种镉超标大米的加工利用方法
CN106011151B (zh) * 2016-08-01 2019-11-29 西南大学 一种重金属转运蛋白基因及其应用方法
CN106399426B (zh) * 2016-10-10 2021-04-30 长沙理工大学 一种利用镉米生产海藻糖的方法
CN109694876B (zh) * 2017-10-24 2020-11-24 中国科学院植物研究所 培育低镉积累水稻的方法及其相关材料的用途
WO2021109344A1 (zh) * 2019-12-03 2021-06-10 湖南杂交水稻研究中心 鉴定理化诱变植物m1代突变及获取突变体的方法及鉴定水稻突变用分型引物、突变型基因及应用
CN110804676A (zh) * 2019-12-03 2020-02-18 湖南杂交水稻研究中心 水稻OsNramp5-18突变型基因及其鉴定方法、鉴定用KASP分型引物及应用
EP3885354A1 (en) 2020-03-23 2021-09-29 Consejo Superior de Investigaciones Científicas (CSIC) Low intake cesium and parthenocarpy plants
CN112301036B (zh) * 2020-10-16 2022-09-27 湖南杂交水稻研究中心 一种调控稻米镉积累的基因OsABCG38及其编码蛋白和应用
CN112746077A (zh) * 2020-12-04 2021-05-04 广东省农业科学院水稻研究所 一种水稻金属转运基因OsNRAMP2及其应用
CN112961866B (zh) * 2021-02-25 2023-05-09 云南农业大学 一种三七中的PnNramp3基因及其应用
CN113099774A (zh) * 2021-05-11 2021-07-13 怀化职业技术学院 一种低镉优质水稻的筛选方法
CN113273417B (zh) * 2021-06-16 2022-09-13 河南农业大学 硼肥在抑制冬小麦吸收、贮藏和转运镉中的应用及抑制方法
CN113969286B (zh) * 2021-10-13 2024-07-30 湖南杂交水稻研究中心 水稻镉低积累分子标记、突变型基因、检测试剂盒及其快速鉴定方法和应用、分型引物
CN114250315B (zh) * 2021-10-20 2023-04-25 华智生物技术有限公司 一种与水稻镉吸收相关基因OsNramp5连锁的SNP分子标记及其应用
CN114438099A (zh) * 2022-02-18 2022-05-06 贵州省烟草科学研究院 一种烟草镉转运基因NtNRAMP6A及其应用
CN115873084B (zh) * 2022-07-07 2023-09-15 中国林业科学研究院林业研究所 一种灰杨金属转运蛋白、基因及其应用
CN117947147B (zh) * 2023-10-24 2024-08-30 湖南省核农学与航天育种研究所 一种基于多重PCR检测OsNramp5突变体的方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110131679A2 (en) * 2000-04-19 2011-06-02 Thomas La Rosa Rice Nucleic Acid Molecules and Other Molecules Associated with Plants and Uses Thereof for Plant Improvement
JP2005185101A (ja) * 2002-05-30 2005-07-14 National Institute Of Agrobiological Sciences 植物の全長cDNAおよびその利用
AU2008300579B2 (en) * 2007-09-18 2014-11-13 Basf Plant Science Gmbh Plants with increased yield

Also Published As

Publication number Publication date
CN103917646A (zh) 2014-07-09
US20140259233A1 (en) 2014-09-11
WO2013065517A1 (ja) 2013-05-10
JPWO2013065517A1 (ja) 2015-04-02
CN103917646B (zh) 2019-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5850475B2 (ja) カドミウム吸収制御遺伝子、タンパク質、及びカドミウム吸収抑制イネ
CN112375130B (zh) 玉米穗长基因和分子标记及其应用
CN111153974A (zh) 玉米抗病基因和分子标记及其应用
US11268102B2 (en) Compositions and methods for identifying and selecting brachytic locus in solanaceae
US20220154202A1 (en) Gene Regulating Seed Weight in Improving Seed Yield in Soybean
CN112725374A (zh) 创制植物单倍体诱导系的方法及其应用
JP2022531054A (ja) 植物病害に対する抵抗性の遺伝子
Lee et al. Identification of a locus controlling compound raceme inflorescence in mungbean [Vigna radiata (L.) R. Wilczek]
CN110041415B (zh) 莴苣基因rll4在控制莴苣叶片颜色中的应用
CN109971763A (zh) 花期调控基因cmp1和相关的载体及其应用
CN109929856B (zh) 水稻脂肪酸羟化酶基因OsFAH2的应用
WO2011046202A1 (ja) 植物の開花性/閉花性を支配する遺伝子およびその利用
CN113774043B (zh) 一种控制水稻颖壳色彩性状的相关蛋白及其编码基因
AU2021103672A4 (en) Protein related to rice wax synthesis and its coding gene WSL5 and application thereof
JP7566303B2 (ja) 重金属輸送を自在に制御する方法、並びにカドミウム及びマンガン吸収が制御された植物
CN110951751B (zh) 表皮毛特异积累花青素调控基因及克隆方法和应用
CN115697043A (zh) 通过靶向诱变获得突变植物的方法
CN112322642A (zh) 栽培种来源的桃趋避性抗蚜基因、蛋白质及其应用
JP7493802B2 (ja) ナス科植物における可食部への同化産物分配量の調節に関与する遺伝子及びその利用
CN117305326B (zh) 青花菜BoCENH3基因及其在单倍体诱导中的应用
WO2023033079A1 (ja) ナス科植物における総乾物生産量の制御に関与する遺伝子及びその利用
CN110229801B (zh) 一种控制水稻叶片衰老的基因及其编码的蛋白质
Borkarg et al. Transcription factor bHLH121 regulates root cortical aerenchyma formation in maize
US20220090114A1 (en) Soybean Transgenic Event IND-00410-5
WO2024098012A2 (en) Brassica ind gene mutations conferring improved pod shatter-resistance

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5850475

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250