JP5849750B2 - 微細構造の形成方法およびインプリント装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所望のインプリント方法による微細構造の形成方法とこれに用いるインプリント装置に関する。
微細加工技術として、基材の表面に微細な凹凸構造を形成した型部材(モールド)を用い、凹凸構造を転写材料に転写することで微細構造を等倍転写するインプリント方法に注目が集まっている。このインプリント方法では、流動性を有する転写材料を使用し、モールドを押し当て、モールドの凹凸構造に転写材料を充填させた後に硬化させ、その後、モールドと転写材料とを引き離す剥離工程が存在する。この剥離工程においては、基板上の転写材料に転写された凹凸構造を維持したままモールドと転写材料をきれいに引き剥がす技術が要求されている。一般的に、引き剥がしの際に、転写材料がモールドに付着するという不都合の発生のリスク、およびモールドの破損というリスクは、剥離の際に要する剥離力と相関性を有している。特に、単位時間(msec)における剥離力(NまたはPa)の増加あるいは減少を荷重速度(N/msecまたはPa/msec)で表した場合、この荷重速度の絶対値が大きくなるということは、剥離が起こっている点あるいは面に対して急峻な剥離応力の増減があったことを示す。そして、転写材料の強度あるいは転写材料と基板との密着性が剥離力に耐えきれない場合、モールドへの転写材料の付着、あるいは、転写材料の破損を生じることになる。
上述の荷重速度の発生を抑制するためには、剥離力を低減することが好ましく、例えば、モールドの凹凸構造面にフッ素成分等を含む離型層を形成しておく方法(特許文献1)が提案されている。また、ダミーパターンを設けることによって剥離力の急激な増大を抑制する方法(特許文献2)も提案されている。さらに、剥離力を計測し、目標の剥離力となるように制御する装置(特許文献3)が提案されている。
特許第4154595号公報 特開2010−225683号公報 特開2010−274635号公報
しかしながら、上記のモールドの凹凸構造面に離型層を設ける方法は、モールドに複数種の凹凸構造が存在する場合、凹凸構造領域毎に剥離に要する応力が変化するので、凹凸構造領域の境界で荷重速度が大きくなる可能性を排除できないという問題がある。また、モールドの凹凸構造が一様である場合であっても、生産性を向上させる等の目的によって接触面積が大きくなったときには、剥離に要する力が格段と大きくなってしまい、剥離に対する問題解決が十分ではない。さらに、離型層の離型作用が大きすぎる場合、モールドの凹凸構造への転写材料の充填性が低下するという問題もあった。
また、ダミーパターンを形成する方法は、本来必要とされないパターンまでが転写されてしまうために、その後の工程で、当該剥離用のパターンが悪影響を及ぼし得ることがある。
さらに、荷重速度の変化はmsec単位の非常に短い時間内でも起こりうるため、上記のような剥離力を計測し、目標の剥離力となるように制御する装置では、荷重速度の変化を検知しても、これをフィードバックして瞬時に応答することは難しく、また、瞬時の応答を可能とした場合、装置コストが大幅に増大すると考えられる。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、モールドと転写材料との剥離が安定しており、欠陥、破損の発生が抑制された微細構造の形成方法と、これに使用するインプリント装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の微細構造の形成方法は、モールドの凹凸構造を有する主面と基板との間に、転写材料を介在させる押し当て工程と、該転写材料を硬化させる硬化工程と、硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がして、硬化後の前記転写材料を前記基板上に位置させる剥離工程と、を有し、該剥離工程では、モールドの前記主面と硬化後の前記転写材料との接触領域を、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしに必要な剥離力の大きさに応じた複数の単位領域に区画し、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線が、剥離力が変化するように前記単位領域上を移動する経路を予め設定し、前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して前記境界線が前記経路を移動するように引き剥がしを行うような構成とした。
本発明の他の態様として、前記剥離工程では、前記境界線が移動する前記経路として、引き剥がし開始から剥離力が増大傾向で変化するような経路Aと、剥離力が減少傾向で変化して引き剥がしが終了するような経路Bを設定するような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記単位領域から、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしに必要な剥離力が最大である剥離力最大領域を設定し、引き剥がし開始から前記剥離力最大領域に到達するまでを前記経路Aとし、前記剥離力最大領域に到達後、引き剥がしが終了するまでを前記経路Bとするような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記単位領域から、引き剥がしを開始して前記剥離力最大領域に到達するまで隣接しながら剥離力が増大傾向で変化する複数の単位領域を選択して前記経路Aのための剥離順路Aとし、前記剥離力最大領域から引き剥がし終了まで隣接しながら剥離力が減少傾向で変化する複数の単位領域を選択して前記経路Bのための剥離順路Bとし、前記境界線が前記剥離順路Aにそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行い、その後、前記境界線が前記剥離順路Bにそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行うような構成とした。
本発明の他の態様として、前記剥離順路Aと前記剥離順路Bは、異なる剥離順路に重複して属する単位領域が存在しないように設定するような構成とした。
また、本発明の他の態様として、前記剥離工程では、特定の単位領域を終了点単位領域として設定し、前記境界線が移動する前記経路として、引き剥がし開始後は剥離力が増大傾向で変化し、その後、前記終了点単位領域に向けて剥離力が変化するような経路を設定するような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記単位領域から、引き剥がしを開始して前記終了点単位領域到達するまで隣接しながら剥離力が変化する複数の単位領域を選択して2種以上の剥離順路を設定し、前記境界線が前記剥離順路にそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行うような構成とした。
本発明の他の態様として、2種以上の前記剥離順路は、引き剥がしを開始する単位領域を除いて、異なる剥離順路に重複して属する単位領域が存在しないように設定するような構成とした。
本発明のインプリント装置は、モールドを保持するためのモールド保持部と、インプリント用の基板を保持するための基板保持部と、モールドとインプリント用の基板とを離間させて引き剥がし動作を行うための剥離駆動部と、を備え、前記剥離駆動部は、モールドとインプリント用の基板との対向面の少なくとも1箇所を任意に離接させるための離接作動部材を備えるとともに、該離接作動部材によるモールドとインプリント用の基板との離接の作用力を制御する応力制御ユニットと、モールドとインプリント用の基板との離間時に前記離接作動部材を作動させることによりモールド保持部に加わる力を計測する応力計測器と接続しており、前記応力制御ユニットと前記応力計測器はデータ処理ユニットに接続しており、前記データ処理ユニットは、前記応力計測器からのデータ、または、予め設定された剥離の経路、あるいは、該経路のための剥離順路を構成する単位領域に関するデータに基づいて、前記応力制御ユニットを介して前記剥離駆動部に対して信号を出力するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記離接作動部材は、前記モールド保持部および前記基板保持部の少なくとも一方に配設されているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記剥離駆動部は、モールドとインプリント用の基板との対向面と平行な面内で前記モールド保持部と前記基板保持部とを共に回転させるための回転作動部材を備え、前記離接作動部材は、回転する前記モールド保持部および前記基板保持部を除く部位に配設されているような構成とした。
本発明の微細構造の形成方法では、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線が、予め設定してある剥離力が変化するような経路で移動するように、モールドおよび/または基板に加える力を制御して引き剥がしを行うので、急峻な剥離応力の増減を抑制することができ、モールドと転写材料との安定した引き剥がしが可能であり、欠陥、破損の発生が低減された微細構造の形成が可能である。
また、本発明のインプリント装置は、本発明の微細構造の形成方法を安定して実施することができるとともに、装置コストの増大を抑制することができる。
図1は、本発明の微細構造の形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。 図2は、モールドの主面と硬化後の転写材料との接触領域および単位領域を説明するための図である。 図3は、本発明における単位領域を説明するための図である。 図4は、剥離工程の引き剥がしの第1の実施形態を説明するための図である。 図5は、剥離工程の引き剥がしの第1の実施形態を説明するための図である。 図6は、本発明における単位領域を説明するための図である。 図7は、剥離工程の引き剥がしの第2の実施形態を説明するための図である。 図8は、剥離工程の引き剥がしの第2の実施形態を説明するための図である。 図9は、本発明のインプリント装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図10は、モールド保持部材上に配設された3個の離接作動部材と、接触領域、複数の単位領域の位置関係の一例を示す図面である。 図11は、本発明のインプリント装置の剥離駆動部の動作の一例を示す図である。 図12は、本発明のインプリント装置の剥離駆動部の動作の他の例を示す図である。 図13は、本発明のインプリント装置の剥離駆動部の動作の他の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[微細構造の形成方法]
本発明の微細構造の形成方法は、モールドの凹凸構造を有する主面と基板との間に転写材料を介在させる押し当て工程と、転写材料を硬化させる硬化工程と、硬化後の転写材料とモールドとを引き剥がす剥離工程と、を有している。図1は、このような本発明の微細構造の形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。
<押し当て工程>
本発明では、モールド11とインプリント用の基板15との間に転写材料17を供給し(図1(A))、モールド11と基板15とを近接させて、モールド11の凹凸構造14を有する主面13と基板15との間に転写材料17を介在させる(図1(B))。
モールド11は、基材12の主面13に凹凸構造領域13Aと非凹凸構造領域13Bが設定されており、主面13の凹凸構造領域13Aに所望の凹凸構造14を有している。尚、図示例では、主面13の凹凸構造領域13Aに便宜的に均一な微細凹凸を記載している。
モールド11の基材12の材質は適宜選択することができ、転写材料が光硬化性である場合には、これらを硬化させるための照射光が透過可能な材料を用いて形成してもよく、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類の他、サファイアや窒化ガリウム、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、使用する転写材料が光硬化性ではない場合や、基板15が光透過性を有し該基板15を介して転写材料を硬化させるための光照射が可能である場合には、基材12は光透過性の材料でなくてもよく、上記の材料以外に、例えば、シリコンやニッケル、チタン、アルミニウム等の金属およびこれらの合金、酸化物、窒化物、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、モールド11は、主面13に離型を促すための層、例えば、フッ素が含有されることで表面エネルギーが小さくなり離型が容易となるような層を備えていてもよい。
基材12の厚みは、主面12に備える凹凸構造14の形状、基材の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。
尚、モールド11は、凹凸構造14を有する主面13が、その周囲の領域に対して1段、あるいは、2段以上の凸構造となっている、いわゆるメサ構造であってもよい。また、非凹凸構造領域13Bが存在せず、主面13の全域が凹凸構造領域13Aであってもよい。
また、使用する基板15は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコン、窒化ガリウム、ガリウム砒素等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、サファイア、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、基板15は必ずしも平坦である必要はなく、予め構造を有していてもよい。例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
また、使用する転写材料17は、インプリントが可能な流動性を有する材料であればよく、例えば、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂を挙げることができる。また、例えば、石英、ソーダライムガラス、金属イオン含有ガラス等の無機物も、加熱することにより流動性を有するので、転写材料として用いることができる。更に無機物と有機物との混合物を用いることも可能である。例えばシルセスキオキサンを主成分とした材料は、含有する材料により熱硬化性材料あるいは光硬化性樹脂とみなすことができる。シルセスキオキサンはSi−O−Si骨格を有するため、無機物に分類することができる。また流動性を持たせることができ、しかも熱により硬化させることが可能であるため、熱硬化性樹脂とほぼ同等の方法で使用することが可能である。一方でオキセタニル基やアクリル基などの光重合性基を有することで、光による硬化性を持つことが可能であり、この場合には光硬化性樹脂として利用することも可能である。このような転写材料17は、インクジェットやディスペンサ等を用いて図示例のように液滴として基板15上に供給することができ、また、スピンコート法等を用いて塗布膜として基板15上に供給してもよい。さらに、転写材料17は、インクジェットやディスペンサ等を用いて液滴としてモールド11の主面13上に供給することもできる。
<硬化工程>
次いで、モールド11の主面13と基板15との間に転写材料17が介在する状態で、転写材料17を硬化する。転写材料17の硬化は、転写材料17が光硬化性であり、モールド11がこれらを硬化させるための照射光を透過可能である場合には、モールド11側から光照射することができる。この転写材料17を硬化させるための光照射では、上述のように、基板15が光透過性を有する場合には、基板15側から照射してもよいし、モールド11側および基板15側の両方から照射してもよい。また、転写材料17が熱硬化性、あるいは、熱可塑性である場合には、それぞれ転写材料17に対して加熱処理、あるいは、冷却(放冷)処理を施すことができる。これにより、モールド11の主面13と基板15との間に硬化後の転写材料18が介在する状態となる(図1(C))。
<剥離工程>
次に、モールド11と硬化後の転写材料18とを引き剥がし、基板15上に微細構造を備えた転写材料形成する。
本発明では、モールドが有する凹凸構造の形状、例えば、長さ、幅、深さ、密度、方向等、装置の剥離速度、転写材料の強度等により、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしに必要な剥離力の大きさが変化することに着目した。また、モールドの材質の相違により引き剥がしに必要な剥離力の大きさが変化すること、および、モールドの一部に光透過性の相違があり、硬化後の転写材料とモールドとの界面における密着力に相違が生じ、引き剥がしに必要な剥離力の大きさが変化することにも着目した。
そして、本発明では、剥離工程において、モールド11の主面13と硬化後の転写材料18との接触領域21を、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしに必要な剥離力の大きさに応じた複数の単位領域に区画し、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線が、徐々に剥離力が変化するように単位領域上を移動する経路を予め設定し、モールド11および/または基板15に加える力を制御して境界線が上記の経路を移動するように引き剥がしを行うようにした。
以下に、この剥離工程について詳しく説明する。
まず、複数の単位領域の区画について説明する。図2は、上述のモールド11の主面13と硬化後の転写材料18との接触領域21を示す図面であり、図示例では略方形状の接触領域21が9個の単位領域21a〜21iに区画されている。
接触領域21からの複数の単位領域の区画は、例えば、次のような手順で行うことができる。
(1): 任意の単位面積を定める。
単位面積は、例えば、以下の(1−1)〜(1−4)の手順で定めることができる。
(1−1): 凹凸構造のない平坦な主面13と硬化後の転写材料18との引き剥がしに必要な応力、すなわち、最も低い剥離力を求める。
(1−2): モールド11および/または基板15に加える力の制御可能な大きさ、すなわち、装置側の剥離動作の制御が可能な大きさを求める。
(1−3): 上記の制御可能な最小の大きさの力によってモールド11および/または基板15が単位時間当りに変形する量を求める。
(1−4): 以上から、単位時間当りにどの程度の面積が剥離するかを求め、これを単位面積とする。
また、例えば、装置側における制御可能な最小の面積以上の任意の単位形状を単位面積としてしてもよい。
(2): 単位面積を基準として、接触領域21内におけるモールドが有する凹凸構造の形状等、上記のような引き剥がしに必要な剥離力の大きさが変化する条件が同一となる領域毎に区画する。図2では、接触領域21が9個の同じ面積をもつ単位領域21a〜21iに区画されている。本発明では、後述する剥離順路の設定を考慮して、図示例のように複数の単位領域が同じ面積、形状であることが好ましい。しかし、例えば、接触領域21の外郭形状によっては、接触領域21の周辺近傍の単位領域の面積、形状が他の単位領域の面積、形状と相違せざるを得ない場合がある。このような場合、例えば、以下の(i)、(ii)、(iii)の対応が可能である。まず、(i)は、面積の相違が少なくなるように単位領域を設定することであり、その差は20%以下となるように設定することが好ましい。(ii)は、単位領域の形状を接触領域の外形に合わせて調整することであり、例えば、図2では便宜上、単位領域の形状を正方形に設定しているが、接触領域を隙間なく分割することが可能であるならば、長方形や三角形、六角形等の多角形や、輪郭に曲線を含む形状等、様態に応じて単位領域の形状を適宜調整してもよい。また、(iii)は、単位領域を変更せずにそのまま使用することであり、これについては下記(3)にて仔細を説明する。
(3): 単位領域毎に、引き剥がしに必要な剥離力を比較し、剥離力の相対的な大きさに基づいた剥離しやすい順番を付与する。図3は、このような剥離しやすい順番が付与された例を示す図であり、剥離力が最も小さく剥離しやすい順番1の単位領域21aから、順番6の単位領域21fまで、6段階で剥離しやすい順番が付与されている。図示例では、各単位領域に鎖線で表した数字で剥離しやすい順番を示している。また、図示例では、隣接する単位領域21dと単位領域21gは、共に剥離しやすい順番2であるが、それぞれ単位領域として区画されている。これは、上述のように、本発明では、複数の単位領域が同じ面積、形状であることが好ましいので、単位領域21dと単位領域21gとを1つの大きな単位領域として全体を剥離しやすい順番2とすることはせず、図示例のように、同じ面積、形状で単位領域を設定し、個々の単位領域について剥離しやすい順番を付与していることによる。ここで、先に示した単位領域に対する上記(iii)について説明する。接触領域21の周辺近傍の単位領域が他の単位領域よりも小さくなるということは、引き剥がしに必要な剥離力が小さくなることを意味する。つまり見かけ上、この単位領域は剥離力が小さく剥離しやすい単位領域に分類されることになる。よって、面積に応じて引き剥がしに必要な剥離力を補正し、補正後の剥離力で上記の剥離しやすい順番を付与することができる。この剥離力の補正は、例えば、単位領域の全域が接触領域である場合の面積を1とし、実際に単位領域内に存在する接触領域の面積(1未満の数値となる)を求め、この面積を、単位領域の全域が接触領域である場合に引き剥がしに必要な剥離力に乗じることにより行うことができる。あるいは、予め面積の変動による剥離力の変動をデータベースとしておき、これを参照してもよい。
次に、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしについて、例示的な実施形態を挙げて説明する。
(引き剥がしの第1の実施形態)
図4および図5は、剥離工程の引き剥がしの第1の実施形態を説明するための図である。この実施形態では、徐々に剥離力が変化するように単位領域上を境界線(モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線)が移動するように予め設定する経路として、引き剥がし開始から剥離力が増大傾向で変化するような経路Aと、剥離力が減少傾向で変化して引き剥がしが終了するような経路Bを設定する。尚、本発明において、増大傾向、あるいは、減少傾向とは、境界線が移動する単位領域の境界で剥離力が変化しない場合、すなわち、隣接する単位領域の剥離しやすい順番が同じである場合も含んでいる。
このとき、境界線の任意の箇所で、増大傾向の経路中に微細な剥離力の減少が含まれる可能性がある。また、逆に、減少傾向の経路中に微細な剥離力の増大が含まれる可能性がある。これは、剥離力が一様に増大傾向または減少傾向となるように全ての単位領域が配列されているとは限らないこと、また、装置の駆動を制御しても、モールドおよび基板が連続した物体である限り、境界線の一部を任意の位置で完全に停止させたままで維持することは困難であることから、必然的に起こりうることである。しかし、この事実は、本発明の作用、効果に支障をきたすものではない。何故なら、荷重速度の増大が欠陥の発生を生み出すからであって、急峻な剥離応力の変化が起こらない場合には、本発明の目的に合致しているためである。また、ある任意の時間における境界線の移動が、剥離力の増大傾向または減少傾向であるかを判断することにより、本発明の実施を確認することができる。すなわち、ある任意の時間における境界線と、そこから更に任意の時間だけ経過したときの境界線を求める。次に、各境界線を等間隔となるように任意の数の分割点で分割する。このときの分割数は、各境界線とも同じ数となるようにする。つまり、各境界線の長さに応じて、設定した分割点の間隔が異なることはあるが、各境界線における分割点の数は等しいことになる。また、境界線の両端も、この分割点に含める。そして、各境界線の末端の分割点から数えて同じ順番となる分割点を、剥離の進行に伴う境界線の軌跡にしたがって結ぶことにより得られる複数(分割数より1本多い数)の線分のうち、最も軌跡が長い線分での剥離力の変化が増大傾向または減少傾向にある場合、本発明が実施されたとみなすことができる。
また、境界線の任意の箇所で、増大傾向または減少傾向の経路中に微細な剥離力の減少または増大が含まれる場合において、その微細な剥離力の減少または増大により急峻な剥離応力の変化が起こらないことを検証することが、より好ましい。
上記のような経路Aおよび経路Bとしては、図3に示される6段階で剥離しやすい順番が付与された複数の単位領域21a〜21iから、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしに必要な剥離力が最大である順番6の単位領域21fを剥離力最大領域に設定し、引き剥がし開始から剥離力最大領域(21f)に到達するまでを経路Aとし、剥離力最大領域(21f)に到達後、引き剥がしが終了するまでを経路Bとすることができる。
より具体的には、図4(A)に示すように、剥離しやすい順番1の単位領域21aを引き剥がし開始とし、この単位領域21aから剥離力最大領域(21f)に到達するまで隣接しながら剥離力が増大傾向で徐々に変化する複数の単位領域21a→21b→21c→21e→(21f)を選択して経路Aのための剥離順路Aとする。また、図4(B)に示すように、剥離力最大領域(21f)から引き剥がし終了まで隣接しながら剥離力が減少傾向で徐々に変化する複数の単位領域(21f)→21i→21e→21d→21gを選択して経路Bのための剥離順路Bとする。尚、上記の例では、剥離順路Aと剥離順路Bに重複して属する単位領域は存在せず、また、剥離順路Aと剥離順路Bの何れにも属していない単位領域も存在しない。
そして、モールド11および/または基板15に加える力を制御して、まず、剥離しやすい順番1の単位領域21aから引き剥がしを開始する(図5(A))。図示例では、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしの境界線L(太線で示す)が矢印⇒方向へ移動を開始している。次いで、境界線Lが上記の剥離順路Aにそって移動するように、モールド11および/または基板15に加える力を制御して引き剥がしを行う。これにより、剥離力最大領域(21f)へ向かって、引き剥がしに必要な剥離力が増大傾向で徐々に変化するような経路Aで境界線Lが移動する(図5(B))。そして、境界線Lが剥離力最大領域(21f)に到達すると(図5(C))、境界線Lが剥離順路Bにそって移動するように、モールド11および/または基板15に加える力を制御して引き剥がしを行う。これにより、剥離力最大領域(21f)から、引き剥がしに必要な剥離力が減少傾向で徐々に変化するような経路Bで境界線Lが移動する(図5(D))。さらに、引き剥がしの境界線Lを矢印⇒方向へ移動させることにより、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしが終了する。これにより、基板15上に微細構造を備えた転写材料が形成される。
このような第1の実施形態での引き剥がしでは、急峻な剥離応力の増減を抑制することができ、したがって、剥離工程でのモールドと転写材料との引き剥がしが安定し、結果として、形成された微細構造での欠陥の発生が低減され、また、モールドへの負担も軽減される。
尚、引き剥がしに必要な剥離力が同じで、かつ、最大である単位領域が接触領域に複数散在する場合にも、上記の引き剥がしを応用することができる。すなわち、剥離力が最大である単位領域と、これを囲む周辺の単位領域とを一つの接触領域(小面積の接触領域)と考え、このような小面積の接触領域が複数隣接して接触領域(モールドの主面と硬化後の転写材料との接触領域)が構成されているものとする。そして、一つの小面積の接触領域で上記の引き剥がしを行い、その後、隣接する次の小面積の接触領域での引き剥がしに移行して、最終的にモールドと転写材料との引き剥がしを行うことができる。このようにすることにより、経路計算も容易となるうえ、本発明の目的である剥離工程でのモールドと転写材料との引き剥がしが安定し、結果として、形成された微細構造での欠陥の発生が低減され、また、モールドへの負担も軽減される。
(引き剥がしの第2の実施形態)
図6〜図8は、剥離工程の引き剥がしの第2の実施形態を説明するための図である。この実施形態では、特定の単位領域を終了点単位領域として設定し、境界線(モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線)が移動する経路として、引き剥がし開始後は剥離力が増大傾向で徐々に変化し、その後、終了点単位領域に向けて徐々に剥離力が変化するような経路を設定する。
図6に示される例では、6段階で剥離しやすい順番が付与された複数の単位領域21a〜21iから、単位領域21i(斜線を付している)を終了点単位領域に設定している。このような終了点単位領域の設定では、当該単位領域内での硬化後の転写材料18の欠陥が許されること、引き剥がしの開始点から剥離力が徐々に変化するような経路で境界線が移動可能であることが基準となる。したがって、本実施形態は、引き剥がしの開始では、剥離力が増大傾向で徐々に変化するような経路をとるが、その後の終了点単位領域までの経路は、剥離力が増大傾向で徐々に変化するような経路でもよく、剥離力が減少傾向で徐々に変化するような経路でもよく、また、剥離力が増大傾向と減少傾向を繰り返して徐々に変化するような経路でもよい。
上記のような経路を境界線が移動してモールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしを行うために、以下のように、2以上の剥離順路を設定する。この実施形態では、まず、図7(A)に示すように、剥離しやすい順番1の単位領域21aを引き剥がし開始とし、この単位領域21aから剥離力が増大傾向で徐々に変化し、その後、終了点単位領域(21i)に到達するまで剥離力が徐々に変化するような隣接した複数の単位領域21a→21b→21c→21e→21f→(21i)を選択して剥離順路Iとする。また、この剥離順路Iとは別に、図7(B)に示すように、単位領域21aから剥離力が増大傾向で徐々に変化し、その後、終了点単位領域(21i)に到達するまで剥離力が徐々に変化するような隣接した複数の単位領域21a→21d→21g→21h→(21i)を選択して剥離順路IIとする。尚、上記の例では、引き剥がしを開始する単位領域21aを除いて、剥離順路Iと剥離順路IIに重複して属する単位領域は存在せず、また、剥離順路Aと剥離順路Bの何れにも属していない単位領域も存在しない。図7に示される例では、2つの剥離順路(I,II)が設定されているが、装置側の制御が可能であれば、3つ以上の剥離順路を設定してもよい。
そして、モールド11および/または基板15に加える力を制御して、まず、剥離しやすい順番1の単位領域21aから引き剥がしを開始する(図8(A))。図示例では、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしの境界線L(太線で示す)が矢印⇒方向へ移動を開始している。次いで、境界線Lが上記の剥離順路Iにそって移動するように、モールド11および/または基板15に加える力を制御して引き剥がしを行う。これにより、終了点単位領域(21i)に向かって、剥離力が徐々に変化するような経路で境界線Lが移動する(図8(B))。また、このように剥離順路Iによる経路を境界線Lが進む途中で、同時に、境界線Lが上記の剥離順路IIにそって移動するように、モールド11および/または基板15に加える力を制御して引き剥がしを行う。これにより、終了点単位領域(21i)に向かって、剥離力が徐々に変化するような経路で境界線Lが移動する(図5(C))。そして、境界線Lが上記の剥離順路Iおよび剥離順路IIにそって移動し(図5(D))、さらに、引き剥がしの境界線Lを矢印⇒方向へ移動させることにより、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしが終了する。これにより、基板15上に微細構造を備えた転写材料が形成される。
このような第2の実施形態での引き剥がしでは、急峻な剥離応力の増減が抑制されるとともに、欠陥が許容される単位領域を終了点単位領域として設定していることにより、剥離時の欠陥を生じる位置を意図的に設定できる。したがって、剥離工程において、意図しない領域での欠陥発生を防止することができ、モールドと転写材料との安定した引き剥がしが可能であり、結果として、形成された微細構造での欠陥の発生が低減され、また、モールドへの負担も軽減される。さらに、終了点単位領域は最も引き剥がしの欠陥が生じやすく、したがって、終了点単位領域を検査箇所とすることにより、この終了点単位領域の検査によって、例えば、一定の転写材料の付着が確認されたらモールドの洗浄、あるいは、交換を行うことができ、安定した微細構造の形成が可能となる。
上述の微細構造の形成方法の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[インプリント装置]
次に、上述のような微細構造の形成方法を実施するための本発明のインプリント装置について説明する。
図9は、本発明のインプリント装置の一実施形態を示す概略構成図であり、上述のモールド11とインプリント用の基板15を使用する例とした。
図9において、本発明のインプリント装置51は、モールド11を保持するためのモールド保持部52と、インプリント用の基板15を保持するための基板保持部54と、モールド11とインプリント用の基板15とを離間させて引き剥がし動作を行うための剥離駆動部56と、を備えている。
モールド保持部52は、凹凸構造14を有する主面13を基板保持部54方向に向けてモールド11を保持するものである。このモールド保持部52は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構等によりモールド11を保持するものであり、保持機構には特に制限はない。
基板保持部54は、インプリント用の基板15を保持するものであり、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構等により基板15保持可能とされている。図示例では、基板保持部54はモールド保持部52の下方に位置している。
剥離駆動部56は、モールド11とインプリント用の基板15とを離間させて引き剥がし動作を行うものであり、図示例では、剥離駆動部56は、モールド保持部52に配設された離接作動部材57を備えている。離接作動部材57は、基板保持部54に保持された基板15に対して、モールド保持部52を介してモールド11を高い精度で離接させるものであり、例えば、電磁ソレノイド、油圧シリンダー、空気シリンダー、電気モータ等のアクチュエーター等を用いることができる。これにより、剥離駆動部56は、モールド11とインプリント用の基板15との対向面の少なくとも1箇所を任意に離接させることができる。尚、図示例では、3個の離接作動部材57がモールド保持部52に配設されているが、離接作動部材57の配設数、配設位置には特に制限はない。
このようなインプリント装置51は、さらに、基板15上に転写材料を液滴等として供給するための転写材料供給部、モールド保持部52と基板保持部54とを、上記の離接作動部材57による離接範囲よりも大きい範囲で相対的に昇降するための昇降機構部を備えることができる。転写材料供給部としては、例えば、インクジェットヘッドやスピン塗布ユニット等が挙げられる。また、転写材料を硬化させるための、光照射機構や加熱機構、冷却機構を備えることができる。
また、インプリント装置51は、剥離駆動部56に応力制御ユニットと応力計測器とが接続され、これらがデータ処理ユニットに接続された構成とすることができる。この応力制御ユニットは、剥離の際に加える力、例えば、離接作動部材57による基板15とモールド11の離接の作用力を制御するためのものである。また、応力計測器は、剥離時に離接作動部材57を作動させたことによりモールド保持部52に加わる力を計測するためのものである。
上記のデータ処理ユニットは、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしを制御するための演算、命令を主として行なうユニットである。このようなデータ処理ユニットとしては、例えば、上記の応力計測器等からのデータや、任意の入力装置からのデータ(例えば、予め設定された剥離の経路、あるいは、この経路のための剥離順路を構成する単位領域に関するデータ等)を受け取るための入力部と、離接作動部材57を作動させることにより作用する力の状態を検証するための検証部と、離接作動部材57により加えられる基板15とモールド11の離接の作用力を算出するための計算部と、上記の各作業に誤りが無いか確認するための判定部と、剥離駆動部56に対して命令を出したり、あるいは、外部出力に情報を出したりする出力部と、入力データや得られたデータを蓄積するための内部記憶部と、を有する構成とすることができる。
このようなインプリント装置51では、図示しない転写材料供給部によって、インプリント用の基板15上に転写材料17を供給し(図1(A)参照)、図示しない昇降機構部によって、モールド保持部52と基板保持部54とを相対的に近接させて、モールド11の凹凸構造14を有する主面13と基板15との間に転写材料17を介在させることができる(図1(B)参照)。そして、図示しない光照射機構、あるいは、加熱機構、冷却機構によって、転写材料17を硬化し(図1(C)参照)、次いで、剥離駆動部56によって、モールド11と硬化後の転写材料18とを引き剥がすことができる。
ここで、インプリント装置51の剥離駆動部56によるモールド11と硬化後の転写材料18の引き剥がし動作を、上述の引き剥がしの第1の実施形態、第2の実施形態に対応させて説明する。
図10は、モールド保持部材52上に配設された3個の離接作動部材57と、接触領域21、9個の単位領域21a〜21iの位置関係の一例を示す図面である。図示例では、3個の離接作動部材57は、接触領域21を囲む正三角形の頂点に該当する3点P1,P2,P3に配設されている。
(引き剥がしの第1の実施形態における動作)
上述の引き剥がしの第1の実施形態では、単位領域21a→21b→21c→21e→(21f)からなる剥離順路Aにそった経路Aで剥離が行われ、その後、単位領域(21f)→21i→21e→21d→21gからなる剥離順路Bにそった経路Bで剥離が行われ、このような引き剥がしを行うように剥離駆動部56の動作が制御される。
図11は、剥離駆動部56の動作の一例を示す図である。この例では、インプリント装置51は、まず、点P1に配設された離接作動部材57を作動させて、モールド11と基板15とを所定の作用力で離間させる。これにより、単位領域21aにおいて、硬化後の転写材料18とモールド11とに所定の応力が作用して、引き剥がしが開始される(図11(A))。このとき、点P2および点P3に配設された離接作動部材57は作動しない状態とすることができるが、モールド11と基板15とを所定の作用力で接近させるように作動させてもよい。尚、図示例では、モールド11と基板15とを離間させる作動状態にある離接作動部材57は、その配設位置を示す点Pに斜線を付して示している。
その後、境界線Lが上記の剥離順路Aにそって経路Aで移動するように、点P2に配設された離接作動部材57を作動させて、モールド11と基板15とを所定の作用力で離間させる(図11(B))。このとき、点P3に配設された離接作動部材57は作動しない状態とすることができるが、モールド11と基板15とを所定の作用力で接近させるように作動させてもよい。これにより、境界線Lは、剥離力最大領域(21f)に到達した後、剥離順路Bにそって経路Bで移動し(図11(C))、モールド11と硬化後の転写材料18との引き剥がしが終了する。尚、図11(C)に示される状態では、境界線Lを剥離順路Bにそって経路Bで移動させるために、モールド11と基板15とを更に離間させるように点P1および点P2に配設された離接作動部材57を作動させてもよい。
尚、上記の例では、3個の離接作動部材57を配設した場合の動作を説明したが、本発明のインプリント装置は、接触領域21を囲むようにモールド保持部材52上に更に多くの離接作動部材57を配設してもよい。これにより離接作動部材57間の間隔が狭くなり、上記のような剥離順路Aと剥離順路Bにそった境界線Lの移動制御がより容易なものとなる。
また、本発明のインプリント装置は、モールド保持部52と基板保持部54とを共に回転させるための回転作動部材を剥離駆動部56に備え、また、図12(A)に矢印で示される部位でモールド11と基板15とを離接可能なように1個の離接作動部材57を、モールド保持部52と基板保持部54を除く部位に設けてもよい。この場合、離接作動部材57を作動させて、モールド11と基板15とを所定の作用力で離間させ、単位領域21aにて、硬化後の転写材料18とモールド11との引き剥がしを開始し、その後、回転作動部材を作動させて、矢印で示される部位を通過するようにモールド保持部と基板保持部とを共に回転(図示例では、時計回りに回転)させる。これにより、矢印で示される部位を通過するときにモールド11と基板15とが離接作動部材57の作動による所定の作用力で離間され、境界線Lを剥離順路Aにそって経路Aで移動させ(図12(B))、さらに、剥離順路Bにそって経路Bで移動させ(図12(C))、モールド11と硬化後の転写材料との引き剥がしを終了することができる。
(引き剥がしの第2の実施形態における動作)
上述の引き剥がしの第2の実施形態では、単位領域21a→21b→21c→21e→21f→(21i)からなる剥離順路Iにそった経路と、単位領域21a→21d→21g→21h→(21i)からなる剥離順路IIにそった経路と、を境界線が移動し、終了点単位領域(21i)に到達するように剥離が行われ、このような引き剥がしを行うように剥離駆動部56の動作が制御される。
図13は、このような剥離駆動部56の動作の一例を示す図である。この例では、インプリント装置51は、まず、点P1に配設された離接作動部材57を作動させて、モールド11と基板15とを所定の作用力で離間させる。これにより、単位領域21aにおいて、硬化後の転写材料とモールド11とに所定の応力が作用して、引き剥がしが開始される(図13(A))。このとき、点P2および点P3に配設された離接作動部材57は作動しない状態とすることができるが、モールド11と基板15とを所定の作用力で接近させるように作動させてもよい。尚、図示例では、モールド11と基板15とを離間させる作動状態にある離接作動部材57は、その配設位置を示す点Pに斜線を付して示している。
その後、境界線Lが上記の剥離順路Iにそった経路で移動するように、点P2に配設された離接作動部材57を作動させる(図13(B))。このとき、点P3に配設された離接作動部材57は作動しない状態とすることができるが、モールド11と基板15とを所定の作用力で接近させるように作動させてもよい。さらに、境界線Lが上記の剥離順路IIにそった経路で移動するように、点P3に配設された離接作動部材57を作動させる(図13(C))。これにより、境界線Lは終了点単位領域(21i)に向かって移動し、終了点単位領域(21i)に到達して(図13(D))、モールド11と硬化後の転写材料との引き剥がしが終了する。
尚、上記の例では、3個の離接作動部材57を配設した場合の動作を説明したが、本発明のインプリント装置は、接触領域21を囲むようにモールド保持部材52上に更に多くの離接作動部材57を配設してもよい。これにより離接作動部材57間の間隔が狭くなり、上記のような剥離順路Iと剥離順路IIにそった境界線Lの移動制御がより容易なものとなる。
このような本発明のインプリント装置は、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線が、予め設定してある徐々に剥離力が変化する経路で移動するように剥離駆動部を制御して引き剥がしを行うことができ、msec単位で変化する剥離力を計測し制御するような装置が不要であり、上述の本発明の微細構造の形成方法を安定して実施することができるとともに、装置コストの増大を抑制することができる。
上述のインプリント装置の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
インプリント方法による種々の微細構造の形成、微細加工等に利用可能である。
11…モールド
13…主面
14…凹凸構造
15…インプリント用の基板
17…転写材料
18…硬化後の転写材料
21…接触領域
21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h,21i…単位領域
51…インプリント装置
52…モールド保持部
54…基板保持部
56…剥離駆動部
57…離接作動部材

Claims (11)

  1. モールドの凹凸構造を有する主面と基板との間に、転写材料を介在させる押し当て工程と、
    該転写材料を硬化させる硬化工程と、
    硬化後の前記転写材料と前記モールドとを引き剥がして、硬化後の前記転写材料を前記基板上に位置させる剥離工程と、を有し、
    該剥離工程では、モールドの前記主面と硬化後の前記転写材料との接触領域を、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしに必要な剥離力の大きさに応じた複数の単位領域に区画し、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしの境界線が、剥離力が変化するように前記単位領域上を移動する経路を予め設定し、前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して前記境界線が前記経路を移動するように引き剥がしを行うことを特徴とする微細構造の形成方法。
  2. 前記剥離工程では、前記境界線が移動する前記経路として、引き剥がし開始から剥離力が増大傾向で変化するような経路Aと、剥離力が減少傾向で変化して引き剥がしが終了するような経路Bを設定することを特徴とする請求項1に記載の微細構造の形成方法。
  3. 複数の前記単位領域から、モールドと硬化後の転写材料との引き剥がしに必要な剥離力が最大である剥離力最大領域を設定し、引き剥がし開始から前記剥離力最大領域に到達するまでを前記経路Aとし、前記剥離力最大領域に到達後、引き剥がしが終了するまでを前記経路Bとすることを特徴とする請求項2に記載の微細構造の形成方法。
  4. 複数の前記単位領域から、引き剥がしを開始して前記剥離力最大領域に到達するまで隣接しながら剥離力が増大傾向で変化する複数の単位領域を選択して前記経路Aのための剥離順路Aとし、前記剥離力最大領域から引き剥がし終了まで隣接しながら剥離力が減少傾向で変化する複数の単位領域を選択して前記経路Bのための剥離順路Bとし、前記境界線が前記剥離順路Aにそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行い、その後、前記境界線が前記剥離順路Bにそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行うことを特徴とする請求項3に記載の微細構造の形成方法。
  5. 前記剥離順路Aと前記剥離順路Bは、異なる剥離順路に重複して属する単位領域が存在しないように設定することを特徴とする請求項4に記載の微細構造の形成方法。
  6. 前記剥離工程では、特定の単位領域を終了点単位領域として設定し、前記境界線が移動する前記経路として、引き剥がし開始後は剥離力が増大傾向で変化し、その後、前記終了点単位領域に向けて剥離力が変化するような経路を設定することを特徴とする請求項1に記載の微細構造の形成方法。
  7. 複数の前記単位領域から、引き剥がしを開始して前記終了点単位領域到達するまで隣接しながら剥離力が変化する複数の単位領域を選択して2種以上の剥離順路を設定し、前記境界線が前記剥離順路にそって移動するように前記モールドおよび/または前記基板に加える力を制御して引き剥がしを行うことを特徴とする請求項6に記載の微細構造の形成方法。
  8. 2種以上の前記剥離順路は、引き剥がしを開始する単位領域を除いて、異なる剥離順路に重複して属する単位領域が存在しないように設定することを特徴とする請求項7に記載の微細構造の形成方法。
  9. モールドを保持するためのモールド保持部と、
    インプリント用の基板を保持するための基板保持部と、
    モールドとインプリント用の基板とを離間させて引き剥がし動作を行うための剥離駆動部と、を備え、
    前記剥離駆動部は、モールドとインプリント用の基板との対向面の少なくとも1箇所を任意に離接させるための離接作動部材を備えるとともに、該離接作動部材によるモールドとインプリント用の基板との離接の作用力を制御する応力制御ユニットと、モールドとインプリント用の基板との離間時に前記離接作動部材を作動させることによりモールド保持部に加わる力を計測する応力計測器と接続しており、
    前記応力制御ユニットと前記応力計測器はデータ処理ユニットに接続しており、
    前記データ処理ユニットは、前記応力計測器からのデータ、または、予め設定された剥離の経路、あるいは、該経路のための剥離順路を構成する単位領域に関するデータに基づいて、前記応力制御ユニットを介して前記剥離駆動部に対して信号を出力することを特徴とするインプリント装置。
  10. 前記離接作動部材は、前記モールド保持部および前記基板保持部の少なくとも一方に配設されていることを特徴とする請求項9に記載のインプリント用装置。
  11. 前記剥離駆動部は、モールドとインプリント用の基板との対向面と平行な面内で前記モールド保持部と前記基板保持部とを共に回転させるための回転作動部材を備え、前記離接作動部材は、回転する前記モールド保持部および前記基板保持部を除く部位に配設されていることを特徴とする請求項9に記載のインプリント用装置。
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