JP5994488B2 - インプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被転写物に所望のパターン(線、模様等の図形)を転写形成するインプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置に関する。
微細加工技術として、インプリント方法に注目が集まっている。このインプリント方法とは、基材の表面に微細な凹凸構造を形成した型部材(モールド)を用い、凹凸構造を被転写物に転写することで微細構造を等倍転写するパターン形成技術である。
上記のインプリント方法として、例えば、光インプリント方法が知られている。光インプリント方法では、例えば、基板表面に被転写物として流動性を有する光硬化性の樹脂層を配設させ、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールドが押し当てられる。しかる後、この状態でモールド側ないし基板側から樹脂層に光を照射して硬化させ、その後、モールドと樹脂層とを引き離すことにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)が被転写物である樹脂層に形成される。
このようにインプリント方法では、基板表面への被転写物である樹脂材料の供給工程、モールドの凹凸構造への樹脂の充填工程、樹脂層の硬化工程、モールドと樹脂層との剥離工程等が存在する。
このような工程の中で、モールドの凹凸構造への樹脂の充填工程においては、モールドの凹凸構造を欠陥なく忠実に樹脂層に転写できることが要求されている。しかしながら、例えば、樹脂材料が塗布された基板にモールドを近接させてモールドの凹凸構造へ樹脂材料を充填させる際、モールドと基板表面の樹脂との間に気泡が残留すると、形成される凹凸の樹脂パターンに欠陥が生じてしまうおそれがある。
このような欠陥の発生を防止するために、特表2007−509769号公報(特許文献1)には、モールドと基板との間に気泡が残留しにくいように拡散性が高い又は樹脂に対して溶解性が高いヘリウムや二酸化炭素などのガスを流し込み、基板とモールドとの隙間の空気を置換する技術が開示されている。さらに、モールドと基板との間の空間の圧力を低下させて、気泡の発生源である気体を除去する技術も開示されている。
また、特許第3700001号公報(特許文献2)には、モールドと基板の間に気泡が残留しにくいように凝縮性ガスを用い、凝縮性ガス雰囲気中でインプリントを実施し、気体を液化させることで未充填となる領域を最小にする旨の技術の開示がなされている。
また、特開2012−39057号公報(特許文献3)には、干渉計の光路へのガス漏れを抑制しつつ、インプリント処理時に基板とモールドの隙間にガスを迅速に高い濃度に充填させるために、複数の気体の供給ノズルと、排気ノズルを有し、これらのノズルをインプリント動作に応じて逐次に動作させることで、干渉計への影響の無い状態で、転写雰囲気を制御しつつ転写を実施することができるインプリント装置の提案がなされている。
また、特許第4536148号公報(特許文献4)には、基板とモールドとの隙間の所望ガス濃度を高めやすいように、モールドを囲む所望の容積内に、部分真空環境を形成させ、これによって基板に所望のガスを流すことを可能にしたインプリントシステムの開示がなされている。
また、特開2009−200345号公報(特許文献5)には、モールドを傾斜させながら基板および基板上に配設された樹脂材料に近接させ、モールドの端部が接触してから、端部を支点としてモールドを基板と平行となるように姿勢を調整することのできるインプリント装置であって、基板とモールド角部との擦れを回避でき、高速での押印操作を可能とするインプリント装置の提案がなされている。
特表2007−509769号公報 特許第3700001号公報 特開2012−39057号公報 特許第4536148号公報 特開2009−200345号公報
しかしながら上記特許文献1〜4においては、基板とモールドとの隙間に所望のガスを高濃度に置換充填させることによって、転写される凹凸欠陥の発生を防止できる旨の開示や、モールドと樹脂との接触動作が始まる前に、予め、モールドと基板との間隙に所望のガスを高濃度に置換充填させる手法等の開示がなされているに留まり、モールドと樹脂との接触動作との関係で、如何様に置換ガスを流せばよいのかの具体的な開示はなされていない。
また、特許文献5には、モールドを傾斜させながら基板に近づけ、モールドの端部が基板に接触してから、当該端部を支点としてモールドを回動させる動作を行わせても、基板とモールド角部との擦れを回避できる制御機構を備えるインプリント装置の提案がなされているに留まり、転写される樹脂層の凹凸欠陥の発生を防止するために、モールドと樹脂との接触動作との関係で、如何様に置換ガスを流せばよいのかの具体的開示はなされていない。実際に、大気中で所望の置換ガスを効率よく送り込み、充満させることは決して容易なことではない。例えば、モールドと樹脂の接触領域が伝播する際、伝播方向に排除される気流によって、入り込もうとする所望の置換ガスの気流が排除されることがあったり、あるいは周辺に存在している大気等の意図しない気体を巻き込む確率が高まることがあるからである。
このような実情の基に本発明は創案されたものであって、その目的は、転写される被転写材料凹凸構造における凹凸欠陥を低減させることができるインプリント方法およびそれを実施するためのインプリント装置を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面と、基材との少なくとも一方に被転写材料を供給する供給工程と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に前記被転写材料を充填する充填工程と、を有し、前記充填工程は、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材とを近接させる近接操作と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作を含み、前記近接操作は、前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点から、当該接触が完了する第2の点に至るまで前記モールドと前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作され、前記改善気体流入操作は、前記改善気体の流入方向が、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角方向とされるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点は、前記モールドの中心位置を除いた位置に設定されるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記充填工程の後に、前記被転写材料を硬化させる硬化工程が設けられ、当該硬化工程において前記被転写材料を硬化させる際、前記被転写材料の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記被転写材料を充填する充填工程が完了した時点で、前記被転写材料の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記近接操作において、前記モールドと基材とを相対的に傾斜させつつ近接させることによって前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させる操作が行なわれるように構成される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記気体流入操作において、当該改善気体の比重が空気よりも小さい場合には、前記モールドは基材よりも上方に位置するように配置され、当該改善気体の比重が空気よりも大きい場合には、前記モールドは基材よりも下方に位置するように配置される。
また、本発明のインプリント方法の好ましい態様として、前記モールドは、パターンを形成するための凹凸構造領域と、当該凹凸構造領域に連接しつつ凹凸構造領域と一体化された連接保持部を有し、当該連接保持部に撓み可能な撓み領域が形成されており、当該撓み領域を撓ませて撓み領域に近い前記凹凸構造領域側から前記被転写材料との接触を開始させるように構成される。
本発明のインプリント装置は、モールドの凹凸構造領域を有する面、あるいは基材の少なくとも一方に被転写材料を供給することができる被転写材料供給部と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材とを前記被転写材料を介して近接可能とすることができ、かつ前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点から接触が完了する第2の点に至るまで前記モールドと前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるようにすることができる近接操作駆動部と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させることができる改善気体流入操作機構部と、を有し、前記改善気体流入操作機構部は、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ伝播方向に対して、前記改善気体を同一方向ないしは直角を含む鋭角方向に流し込むことができるように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、前記改善気体流入操作機構部は、前記モールドの周辺に配置された流体方向調整部を有し、当該流体方向調整部は、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ直線に対して、前記改善気体を直角を含む鋭角方向に流し込むように作用してなるように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、前記改善気体流入操作機構部は、前記モールドと前記被転写材料との接触領域の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられる機構を有するように構成される。
また、本発明のインプリント装置の好ましい態様として、前記近接操作駆動部は、記モールドの凹凸構造領域を有する面と基材とを相対的に傾斜させることができる傾斜機構を有すように構成される。
本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面と、基材との少なくとも一方に被転写材料を供給する供給工程と、モールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に被転写材料を充填する充填工程と、を有し、充填工程はモールドの凹凸構造領域を有する面と基材とを近接させる近接操作と、モールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作を含み、近接操作はモールドと被転写材料との接触が開始する第1の点から、接触が完了する第2の点に至るまでモールドと被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作され、改善気体流入操作は、改善気体の流入方向が、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角方向となるように構成されているので、モールドと基材との間の改善気体の濃度を迅速かつ効率良く高めることができ、転写される被転写材料凹凸構造における凹凸欠陥(転写欠陥)を低減させることができる。
図1(A)〜(D)は、それぞれ、インプリント方法の工程の一実施例を経時的に示した概略断面図である。 図2(A)〜(E)は、それぞれ、充填工程において、モールドと被転写材料との接触が開始する始点となる第1の点から、接触が完了する終点となる第2の点に至るまでモールドと被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作される近接操作と、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して改善気体の流入方向が同一方向ないしは直角を含む鋭角方向となるように操作される改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図である。 図3(A)〜(E)は、図2(A)〜(E)の変形例であって、近接操作と、改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図である。 図4(A)〜(E)は、図2(A)〜(E)の変形例であって、近接操作と、改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図である。 図5は、インプリント装置の好適な一例を示す正面図である。 図6(A)および(B)は、それぞれ、主としてモールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作機構部を説明するための平面図および断面図である。 図7(A)および(B)は、それぞれ、主としてモールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作機構部を説明するための平面図および断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための複数の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する形態に限定されることはなく、技術思想を逸脱しない範囲において種々変形を行なって実施することが可能である。また、添付の図面においては、説明のために上下、左右の縮尺を誇張して図示することがあり、実際のものとは縮尺が異なる場合がある。
本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面と、基材との少なくとも一方に被転写材料を供給する供給工程と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に前記被転写材料を充填する充填工程と、を有して構成される。そして、通常、充填工程の後に、被転写材料を硬化させる硬化工程が行われ、しかる後、基材側に転写された被転写材料層からモールドを引き離す剥離工程が行われる。
本発明における被転写材料層を構成する被転写材料としては、例えば上述した光硬化性樹脂があり、当該樹脂には、一般にはラジカル重合型とイオン重合型が存在する。スループットを考慮すると紫外線などを照射することにより即座に硬化が開始されるラジカル重合型を用いることが好ましい。イオン重合型の樹脂は、アニオン重合型でも、カチオン重合型でも構わない。
無機物と有機物との混合物を用いることも可能である。例えばシルセスキオキサンを主成分とした材料は、含有する材料により光硬化性樹脂とみなすことが出来る。シルセスキオキサンはSi−O−Si骨格を有するため、無機物に分類することができる。オキセタニル基やアクリル基などの光重合性基を有することで、光による硬化性を持つことが可能であり、この場合には光硬化性樹脂として利用することも可能である。
以下、本発明の説明では、被転写材料の好適な一例として樹脂材料を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
<インプリント方法の説明>
図1を参照しつつ、インプリント方法について詳細に説明する。
インプリント方法として、例えば、光インプリント方法や熱インプリント方法が知られているが、ここでは光インプリント方法を好適な一例として取り挙げて説明する。転写側となるインプリント用の基材として、板状のインプリント用基板を例にとって説明する。
光インプリント方法では、例えば、図1(A)に示されるように、インプリント用の基板7の表面7aに被転写物として光硬化性の樹脂材料5が供給・配設される。樹脂材料5を供給する手段としては、ディスペンサやインクジェット等を挙げることができる。また、図示の例では、樹脂材料5の液滴が複数個示されているが、樹脂材料5の液滴の数、滴下位置は適宜設定することができる。樹脂材料5の液滴の数は、1滴であってもよい。また、スピンコート等により、基板7の表面7aに光硬化性の樹脂材料5を一様な膜として形成してもよい。
インプリント用の基板7は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また基板7は必ずしも平坦である必要はなく、予め所定の構造を有していてもよい。例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラムのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。ただし転写の際、それらの構造が転写の阻害とならないよう、モールド1の形状を考慮したり、モールド1が有する凹凸構造とは緩衝しないよう配置するか、または例えばパターン構造体の凹部に材料を充填して平坦化するなど転写方法を考慮することが好ましい。
また、図1(A)に示されるように、インプリント用の基板7に対向するようにモールド1が配置、準備される。モールド1の面1aは、転写すべき構造である凹部2を有する凹凸構造領域A1と、転写すべき凹凸構造が形成されていない非凹凸構造領域A2から構成されている。なお、図面では転写すべき構造が、非凹凸構造領域A2に対して凹状となっているが、転写すべき構造は凸状であってもよいし、凹凸の両方を含む多段凹凸構造であってもよい。
モールド1の材質は適宜選択することができるが、樹脂材料5が光硬化性である場合には、樹脂材料5を硬化させるための照射光が透過可能な透明基材を用いて形成され、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラスや、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。ただし、基板7が照射光を透過可能である場合にはモールド1は必ずしも透明基材である必要はなく、例えばニッケル、チタン、アルミニウムなどの金属、シリコンや窒化ガリウム等の半導体などを用いてもよい。モールド1の厚みは凹凸構造の形状、基材の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。また、モールド1は、凹凸構造領域A1全体が非凹凸構造領域A2に対して凸構造となっている、いわゆるメサ構造としてもよい。メサ構造の段数の数も1段に限らず、複数段としてもよい。
次いで、図1(B)〜図1(C)に示されるように、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と基板7との間に樹脂材料を充填する充填工程が実施される。そして本発明の充填工程は、前記モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7とを近接させる近接操作と、前記モールド1の凹凸構造領域を有する面と前記基板7との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作を含み、これらの近接操作と改善気体流入操作とは所望の条件を満たした状態で、双方の操作が重複して行われる。重複とは双方の操作の内、一部が重複する場合、双方の操作が完全に重複する場合のいずれであってもよい。
前記近接操作は、モールド1と樹脂材料5との接触が開始する始点となる第1の点から、当該接触が完了する終点となる第2の点に至るまでモールド1と樹脂材料5との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作される。具体的な一例として、図1(B)に示されるように、所望の凹凸構造を有するモールド1の面1aを傾斜させた状態で樹脂材料5に近接させ、ある時点で、最も近接した片端位置を起点としてモールド1の面1aを回動させるようにして基板7側に近づけていき、モールド1の凹凸内に樹脂材料を押し込み、図1(C)の状態を形成させる操作を例示することができる。
このような近接操作の際、本発明においては、モールド1の凹凸構造領域を有する面と前記基板7との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作が重複して行われる。
そして、本発明における改善気体流入操作は、その改善気体の流入方向が、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角方向とされる。
このような近接操作と改善気体流入操作との相互関係について、図2(A)〜(E)に示される実施態様を参照しつつさらに詳細に説明する。図2(A)〜(E)は、それぞれ、充填工程において、モールドと樹脂材料との接触が開始する第1の点(始点)から、接触が完了する第2の点(終点)に至るまでモールドと樹脂材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作される近接操作と、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して改善気体の流入方向が同一方向ないしは直角を含む鋭角方向に流入されるように操作される改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図であり、丁度、図1(B)の上方に位置するモールド1側から下方を見た平面図に相当する。
図2(A)〜(E)において、モールド1の平面形状は、a−b−c−dの四隅を有する四角形状である。そして、本実施形態においては、近接操作によりモールド1と樹脂材料5との接触が開始する始点が第1の点aであり、接触が完了する終点が第2の点dである。つまり、モールドと樹脂材料との接触領域は、a点から開始され終点であるd点で完了することとなり、a点からd点に向かう対角線が接触領域が伝播する基準の伝播方向となる。以下、図2(A)〜(E)を参照しつつ経時的動作について説明する
まず、最初に、近接操作によりモールド1と樹脂材料5との接触がa点から開始する。図2(A)には、a点から開始したモールド1と樹脂材料5のわずかな接触領域Eが見られる。この接触開始の際、あるいは接触開始の前から、すでに、改善気体流入操作が開始されており、流入される改善気体の流入方向は、第1の点(a点)と第2の点(d点)とを結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角θ方向に流入される。
本発明でいう鋭角θとは、直角を含む直角以下の角度(θ≦90°)をいい、一般に定義されている鋭角の概念よりも直角を含む点で広い概念となっている。図面においては、約45°の鋭角方向で改善気体G(矢印で示される)が流入されている場合が例示されている。なお、同一方向とは、θ=0°の場合であり、第1の点(a点)と第2の点(d点)とを結ぶ伝播方向と同じ方向である。本発明において、より好ましいθの範囲は、30〜90°である。
θが90°を超えてしまうと、モールドと樹脂材料との接触領域が伝播する際、伝播方向に排除される気流によって、入り込もうとする改善気体の気流が排除される傾向が大きくなるとともに、周辺に存在している改善気体以外の大気等の気体を巻き込む確率が高まることがあり、本発明の改善効果が顕著に発現しない傾向が生じるからである。
また、θが90°を超えるということは、モールドと樹脂材料接触を開始した箇所からさらに離れた箇所から改善気体が送り込まれていることになり、必然的に接触を開始した箇所から最も離れた箇所に塗布された樹脂材料は、接触領域が伝播されるまでの間、供給される改善気体に曝され続けることになる。これにより樹脂材料の揮発が生じ、接触領域が伝播されるまでに意図しない樹脂量、あるいは組成比へと変化してしまい、転写結果に悪い影響を及ぼし得る。
本発明の効果を特に顕著とさせるためには、流入される改善気体の流速が、モールドと樹脂材料との接触領域が伝播する速さに比べて充分に速くなるように設定することが好ましい。改善気体の流速を充分に速くすることにより、接触領域が進行することで気体が排除される向きは、接触領域が進行する方向に集約され、気体の流れに指向性が生じやすくなる。すなわち大気等の気体を排除しつつ、接触領域の前に送り込まれた改善気体も共に伝播方向に向かって送り込まれる傾向が生じ得る。このときの改善気体の流速と接触領域が伝播する速さとの速度差は1.0m/sec以上であることが好ましく、より好ましくは3.0m/sec以上であると良い。
このように改善気体の流速が、モールドと樹脂材料との接触領域の伝播速さよりも速いときにより高い効果を奏することから、本発明は、所定のいわゆる転写部において、例えば大気などの気体が存在する転写部へ、瞬時に改善気体を送り込む必要がある転写操作を実施する場合に有効である。
ここで、改善気体とは、転写される被転写材料凹凸構造における凹凸欠陥を低減させることができる気体をいい、例えば、モールドと基板との間に気泡が残留しにくいような拡散性が高い気体や転写材料に対して溶解性が高い気体などのことを言う。具体的にはヘリウム、二酸化炭素、PFP(ペンタフルオロプロパン)などの気体を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
次いで、図2(B)〜(D)に示されるように、a点から開始したモールド1と樹脂材料5の接触領域Eの外周縁は、基本となる伝播方向a−dに沿って略円弧を描き、その略円弧はd点に向かって徐々に拡張されていく。そして、最終的に、図2(E)に示されるように、接触領域Eの外周縁は、終点であるd点まで到達し、モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7との間に樹脂材料5を充填する充填工程が完了する。この充填工程が完了するまで、改善気体は、第1の点(a点)と第2の点(d点)とを結ぶ伝播方向に対して、所定の角度θで流入される。なお、伝播方向に対する改善気体が流入される角度θは、充填工程の開始から完了に至るまで同じ角度を維持する必要はなく、本発明で規定される範囲内の角度で経時的に変えることもできる。
また、図2(E)に示されるように、樹脂材料を充填する充填工程が完了した時点で、接触させた樹脂材料領域の全外周に向けて、改善気体が吹き付けられるようにすることが望ましい。すなわち、図2(E)において、辺c−d側、辺b−d側からそれぞれ改善気体G0が新たに導入されている。次工程での例えば紫外線照射による樹脂の硬化工程において樹脂材料領域の外周から酸素をシャットアウトして、樹脂材料の硬化反応を円滑に行なわせるためである。このような操作を可能とするために、モールドの外周を取り囲むように改善気体を吹き付けることが可能な機構を配置しておくことが望ましい。また、樹脂材料を充填する充填工程が完了した時点で、樹脂材料領域の全外周に向けて吹き付ける改善気体の種類を変えることもできる。この場合、窒素ガス等の不活性ガスを用いることもできる。
次いで、図3(A)〜(E)を参照しつつ、他の実施形態における近接操作と改善気体流入操作との相互関係について説明する。図3(A)〜(E)は、上記の図2(A)〜(E)と同様に、充填工程において、モールドと樹脂材料との接触が開始する第1の点(始点)から、接触が完了する第2の点(終点)に至るまでモールドと樹脂材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作される近接操作と、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して改善気体の流入方向が同一方向ないしは直角を含む鋭角方向に流入されるように操作される改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図であり、丁度、図1(B)の上方に位置するモールド1側から下方を見た平面図に相当する。この実施例においても、モールド1の平面形状は、a−b−c−dの四隅を有する四角形状である。
本実施形態においては、まず最初に、図3(A)に示されるように近接操作によりモールド1と樹脂材料5との接触が図面のモールドの下端であるa点とb点を結ぶ辺a−bから開始する。この場合、モールド1と樹脂材料5との接触の開始は、点ではなく辺a−bの線として開始されるが、本発明においては、辺a−bは複数の点から構成され、これらの複数の点が同時に接触するとして、これらの複数の点を第1の点(始点)として考える。そして、このような複数の点が存在する場合には、その辺を二等分する中心の点eを代表点として考え、この点を第1の点e(始点)とする。同様に、モールド1と樹脂材料5との接触の終わりは図面のモールドの上端であるc点とd点を結ぶ辺c−dで完了する(図3(D),(E)参照)。この場合も上記の辺a−bが同時に接触する場合と同様に、辺c−dを二等分する中心の点fを代表点として考え、この点を第2の点f(終点)とする。
図3(A)に示されるように、辺a−b近傍には、接触初期の段階として、辺a−bから接触を開始したモールド1と樹脂材料5のわずかな接触領域Eが存在する。この接触開始の際、あるいは接触開始の前から、すでに、改善気体流入操作が開始されており、流入される改善気体の流入方向は、第1の点(e点)と第2の点(f点)とを結ぶ伝播方向(矢印α)に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角θ方向に流入される。前述したように本発明における鋭角θとは、直角以下の小さい角度(θ≦90°)をいい、ここでは約45°の鋭角方向で改善気体G(矢印で示される)が流入されている場合が例示されている。なお、同一方向とは、θ=0°の場合であり、第1の点(e点)と第2の点(f点)とを結ぶ伝播方向(矢印α)と同じ方向である。本発明において、より好ましいθの範囲は、30〜90°である。上述したようにθが90°を超えると、モールドと樹脂材料との接触領域が伝播する際、伝播方向に排除される気流によって、入り込もうとする改善気体の気流が排除される傾向が大きくなるとともに、周辺に存在している改善気体以外の大気等の気体を巻き込む確率が高まることがあり、本発明の改善効果が顕著に発現しない傾向が生じるからである。また、θが90°を超えるということは、モールドと樹脂材料接触を開始した箇所からさらに離れた箇所から改善気体が送り込まれていることになり、必然的に接触を開始した箇所から最も離れた箇所に塗布された樹脂材料は、接触領域が伝播されるまでの間、供給される改善気体に曝され続けることになる。これにより樹脂材料の揮発が生じ、接触領域が伝播されるまでに意図しない樹脂量、あるいは組成比へと変化してしまい、転写結果に悪い影響を及ぼし得る。
次いで、図3(B)〜(D)に示されるように、辺a−bから開始したモールド1と樹脂材料5の接触領域Eが、伝播方向αに進むにつれ、四角形状の接触領域Eが徐々に拡張されていく。
そして、最終的に、図3(E)に示されるように、接触領域Eは、終点である辺c−dの端部まで到達し、モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7との間に樹脂材料5を充填する充填工程が完了する。この充填工程が完了するまで、改善気体は、第1の点(e点)と第2の点(f点)とを結ぶ伝播方向αに対して、所定の角度θで流入される。なお、伝播方向に対する改善気体が流入される角度θは、充填工程の開始から完了に至るまで同じ角度を維持する必要はなく、本発明で規定される範囲内の角度で適宜変えることもできる。
また、図3(E)に示されるように、樹脂材料5を充填する充填工程が完了した時点で、接触させた樹脂材料領域の全外周に向けて、改善気体が吹き付けられるようにすることが望ましい。すなわち、図3(E)において、辺a−b側、辺c−d側からそれぞれ改善気体G0が新たに導入されている。次工程での例えば紫外線照射による樹脂の硬化工程において樹脂材料領域の外周から酸素をシャットアウトして、樹脂材料の硬化反応を円滑に行なわせるためである。このような操作を可能とするために、モールドの外周を取り囲むように改善気体を吹き付けることが可能な機構を配置しておくことが望ましい。
次いで、図4(A)〜(E)を参照しつつ、他の実施形態における近接操作と改善気体流入操作との相互関係について説明する。図4(A)〜(E)は、上記の図2(A)〜(E)と同様に、充填工程において、モールドと樹脂材料との接触が開始する第1の点(始点)から、接触が完了する第2の点(終点)に至るまでモールドと樹脂材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作される近接操作と、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して改善気体の流入方向が同一方向ないしは直角を含む鋭角方向となるように操作される改善気体流入操作が重複して行われる状態を経時的に示す平面図であり、丁度、図1(B)の上方に位置するモールド1側から下方を見た平面図に相当する。この実施例においても、モールド1の平面形状は、a−b−c−dの四隅を有する四角形状である。
図4(A)〜(E)に示される実施形態が前記図2(A)〜(E)に示される実施形態と異なるのは、充填工程において、モールドと樹脂材料との接触が開始する第1の点(始点)が、a点の角部ではなく、モールドの平面を4分割した1つの領域a−e−g−hの中ほどややa点に寄った位置に、接触開始点である第1の点Pが設けられている点にある。そして、図4(A)〜(E)に示されるように、モールド1と樹脂材料5との接触領域は、点Pを始点として、円の波面が広がるように外側に拡張しつつ伝播されている。なお、図4(A)において、e点は、辺a−bを二等分する中心の点であり、f点は、辺c−dを二等分する中心の点であり、h点は、辺a−cを二等分する中心の点であり、i点は、辺b−dを二等分する中心の点であり、g点はモールドの中心であり、実質的に重心とみなすことができる。伝播方向はP点を第1の点(始点)とし、d点を第2の点(終点)とするP−d方向となる。
このような態様におけるモールド1と樹脂材料5との接触領域の伝播の仕方を考察するに、P点からa点に至る一時的な接触領域の伝播方向は、主たる伝播P−d方向とは逆方向となるために、わずかな領域ではあるが、改善気体を所望の流入角度θで流入させても、P点からa点に至るまでは当該方向に排除される気流によって、入り込もうとする改善気体の気流が排除される傾向が生じ得る。
従って、例えば、モールドの平面を4分割した1つの領域a−e−g−hの中に、モールドと樹脂材料との接触が開始する第1の点(始点)を設定する場合には、モールド1の中心位置gを除いた位置とすることが望ましい。より好ましくは、モールドの周縁にできるだけ近い位置に設定することが望ましい。
このような充填工程の後に、樹脂材料を硬化させる硬化工程が設けられる。そして、この硬化工程において樹脂材料を硬化させる際、前述したように接触させた領域の全外周に向けて、改善気体が吹き付けられることが好ましい。なお、接触させた領域の全外周に向けて、改善気体を吹き付ける操作は、被転写材料を充填する充填工程が完了した時点で行うことが好ましい。充填工程完了後、硬化工程が開始されるまでの間においても、特にラジカル重合を阻害する要因となる酸素をシャットアウトさせておくためである。
上述してきた近接操作においては、図1(B)に示されるように、基材の平面に対して、モールド1を傾斜させることによって前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させる操作を行なう場合を例にとって説明を行ってきたが、モールド1を傾斜させる代わりに基板側を傾斜させるようにしてもよい。
また、モールド1を傾斜させる手法として、モールド1の撓みを利用してもよい。すなわち、モールド1をパターンを形成するための凹凸構造領域と、この凹凸構造領域に連接しつつ凹凸構造領域と一体化された連接保持部を有する構成とし、連接保持部に撓み可能な撓み領域を形成しておき、この撓み領域を撓ませて撓み領域に近い前記凹凸構造領域側から順次、樹脂材料との接触を開始させるようにしてもよい。
また、気体流入操作において、改善気体の比重が空気よりも小さい場合には、モールド1を基板7よりも上方に位置するように配置することが望ましい(図1(B)参照)。この一方で、改善気体の比重が空気よりも大きい場合には、モールド1を基板7よりも下方に位置するように配置することが望ましい。いずれも、モールドの凹構造領域内に改善気体が入り込みやすくなるようにするためである。
上述の充填工程によって、樹脂材料5は凹凸構造を有する樹脂層となり、この樹脂層に対して例えば紫外線照射が行なわれることによって、樹脂材料5が硬化される(図1(C)参照:樹脂硬化工程)。
しかる後、図1(D)に示されるように、基板7とモールド1との間隙距離を広げるように引き剥がし力を作用させて樹脂層5´からモールド1を引き離す剥離工程が行なわれる。基板7上に樹脂層5´が転写される。
〔インプリント装置についての説明〕
次いで、上述してきた本発明のインプリント方法を実施するためのインプリント装置について説明する。
本発明のインプリント装置の好適な一例が図5に示される。
本発明のインプリント装置100は、モールド1の凹凸構造領域を有する面、あるいは基板7の少なくとも一方に被転写材料を供給することができる被転写材料供給部10と、モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7とを前記被転写材料を介して近接可能とすることができ、かつモールド1と被転写材料との接触が開始する第1の点から、接触が完了する第2の点に至るまでモールド1と被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるようにすることができる近接操作駆動部20と、モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作機構部30と、を有している。
そして、前記改善気体流入操作機構部30は、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ接触領域の伝播方向に対して、前記改善気体を同一方向ないしは直角を含む鋭角方向に流し込むことができる流体方向調整部を有している。
図5に示されるように被転写材料供給部10は、被転写材料として例えば樹脂材料を貯留しているタンク12と、基板7の表面に樹脂材料を供給して塗布するための樹脂供給ヘッド11を有して構成されている。このような装置による被転写材料の基板への供給は、図示しないプロセス制御部からの信号により制御されている。
近接操作駆動部20は、モールド1を駆動させる機能を有し、モールド1を保持するための保持部21と、モールド1を上下方向に昇降させるインプリント駆動部25とを有して構成されている。インプリント駆動部25は、モールド1の上下動をさせるだけでなくモールドの転写面の姿勢を調整する機能(例えば、図1(B)に示されるごとくモールドを傾ける操作)や、モールド1と被転写材料との接触が開始する第1の点から接触が完了する第2の点に至るまでモールド1と被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させる操作を行なわせる機能等を備えている。このような機能は、例えば、近接操作駆動部20に搭載される複数のアクチュエータによって実現させることができる。
改善気体流入操作機構部30は、例えば、改善気体を貯留するためのタンク38と、モールド1の周縁を取り囲むように配置された複数のノズル群31,32,33,34(図6(A),(B)参照)と、を有しており、ノズル群31,32,33,34とタンク38とは、それぞれ、配管を通して連結されている。図6(A),(B)に示される態様において、ノズル群31は、モールドの辺a−b近傍に沿って配列されており、ノズル群32はモールド1の辺a−c近傍に沿って配列されており、ノズル群33はモールド1の辺c−d近傍に沿って配列されており、ノズル群34は、モールドの辺b−d近傍に沿って配列されている。また、ノズル群31,32,33,34からの改善気体の噴き出し動作は、図示しないプロセス制御部からの信号により制御されている。
例えば、図2(A)〜(E)に示されるように、モールド1と被転写材料との接触領域が拡張する場合、モールド1と被転写材料との接触が第1の点から開始し、第2の点で完了するまでの間に、図6(A)に示されるノズル群31,32によって、モールド1の凹凸構造領域を有する面と基板7との間に改善気体が流入させられる。そして、これらの接触が完了した時点で、図6(A)に示されるノズル群33,34によって、さらに改善気体を流入させることができ、接触領域の全外周に向けて改善気体を吹き付けることができる。
本実施の形態において、各ノズル群31,32,33,34の改善気体の噴き出し口であるノズルヘッド32a,34a等(図6(B)参照、ただし、当該図において紙面の手前および奥域のノズルヘッド31a,33aは現われていない)は、固定されたままの構造でもよいが、回動可能な構造とされ各噴き出し方向の調整が適宜おこなえるように構成してもよい。このようなノズルヘッドは最終的に流体の流れ方向を規制できるものであり上記の流体方向調整部として機能させることができる。
また、各ノズル群31,32,33,34又はこれらのノズル群の各ノズルの改善気体の噴き出しを個別に制御してもよい。例えば、モールド1と樹脂材料5の接触領域Eがモールド1の周縁部に達した近傍のノズルからは改善気体の噴き出しを停止させ、使用する改善気体を節約するようにしてもよい。
また、各ノズル群31,32,33,34は、それぞれ、板体に穿設した穿設孔に置き換えることができる。すなわち、複数の穿設孔を有する板体を、モールド1の周縁を取り囲むように配置して用いることができる。この場合、穿設孔の噴き出し口は最終的に流体の流れ方向を規制できるものであり上記の流体方向調整部として機能させることができる。また、ノズルや穿設孔の噴き出し口に流れ方向を変える整流板を設置し、最終的に流体の流れ方向を規制するようにしてもよい。この場合、整流板は、最終的に流体の流れ方向を規制できるものであり上記の流体方向調整部として機能させることができる。
図7(A),(B)に示される実施形態は、図6(A),(B)に示される実施形態の変形例であり、図6(A)に示される筒状のノズル群31,32,33,34を、図7(A)に示されるスリットタイプのノズル41,42,43,44に代えたものである。この場合において、スリットタイプのノズル41,42,43,44の改善気体の噴き出し口であるノズルヘッド42a,44a等(図7(B)参照、ただし、当該図において紙面の手前および奥域のノズルヘッド41a,43aは現われていない)は、固定されたままの構造でもよいが、風向変更のためのウイング等を噴き出し口に備える構造とし、噴き出し方向の調整が適宜できるように構成してもよい。
なお、図7では矩形形状に図示されたモールド1の各辺に各々1つずつのスリットタイプのノズル41,42,43,44を配置した例を示したが、モールド1の辺に沿って断続的に複数のスリットタイプのノズルを配置してもよい。この場合、各ノズルの改善気体の噴き出しを個別に制御してもよい。例えば、モールド1と樹脂材料5の接触領域Eがモールド1の周縁部に達した近傍のノズルからは改善気体の噴き出しを停止させ、使用する改善気体を節約するようにしてもよい。
また、図5に示される本発明のインプリント装置100において、充填工程後の凹凸構造を有する樹脂材料に対して例えば紫外線照射を行なうための光硬化部50は、光源51と照明光学系52とを有して構成されており、モールド1と接触した状態にある樹脂材料に光(紫外線)を照射して樹脂材料を硬化させるようになっている。光源51は、例えば、UV光を発生するハロゲンランプ(図示していない)を有し構成されている。照明光学系52は、例えば、樹脂材料を露光し硬化させるための照明光を整えて樹脂面に照射するためのレンズ、アパーチャ、照射と遮光とを切り替えるためのシャッタ等を含み構成することができる。
また、図5に示される本発明のインプリント装置100において、基板駆動部60は、基板7を保持する基板保持部61と、基板7の位置を調整するためのステージ62と、を有し構成される。基板保持部61は、例えば、真空吸着機構を有し、真空吸着によって基板7を保持できるようになっている。ステージ62は、xy平面方向(図面の横方向および紙面奥域方向)に移動可能できるように構成されている。ステージ62は、精密な位置決めも可能であり、基板7への微細なパターンの複数回の転写(いわゆるステップアンドリピート)が実現可能となるように構成することができる。
また、ステージ62は、位置決めだけではなく、基板7の表面の姿勢を調整する機能を備えるように構成することもできる。また、ステージ62の位置を計測する手段としては、例えば、干渉計を用いた距離測定システム等を用いることができる。
また、図5に示されるように、インプリント装置は、他の機構として、基台65、フレーム66、位置合わせ用スコープ15を含んで構成される。基台65は、インプリント装置100の略全体を支えるとともに、ステージ62の移動の基準平面を形成する。また、基台65とフレーム66との接合部には床からの振動を除去するための除振装置を介在させるようにしてもよい。
位置合わせ用スコープ15は、基板7上のアライメントマーク位置を計測することができ、その結果に基づいてステージ62の位置決めを行うことができるようになっている。さらに、転写の対象となる基板7は、図示されていない基板搬送系によって装置内への搬入および装置外への搬出が行われるようにしてもよい。
なお、図5には好適なインプリント装置の一態様が示されているのであって、これに限定されることなく、種々の変形態様が可能である。例えば、モールドの転写面の姿勢を調整する代わりに、基板側の姿勢を調整する機構を備えるようにしてもよい。また、基板7の表面に樹脂材料を供給して塗布するための樹脂供給ヘッド11を駆動できるようにしてもよい。
上述してきたように、本発明のインプリント方法は、モールドの凹凸構造領域を有する面と、基材との少なくとも一方に被転写材料を供給する供給工程と、モールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に被転写材料を充填する充填工程と、を有し、充填工程はモールドの凹凸構造領域を有する面と基材とを近接させる近接操作と、モールドの凹凸構造領域を有する面と基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作を含み、近接操作はモールドと被転写材料との接触が開始する第1の点から、接触が完了する第2の点に至るまでモールドと被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作され、改善気体流入操作は、改善気体の流入方向が、第1の点と第2の点を結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角方向となるように構成されているので、モールドと基材との間の改善気体の濃度を迅速かつ効率良く高めることができ、転写される被転写材料凹凸構造における凹凸欠陥(転写欠陥)を低減させることができる。さらに、生産性の向上にも寄与することができる。
ナノインプリント技術を用いた微細加工に利用可能である。
1…モールド
2…凹部
5…樹脂材料
5´…樹脂層
7…インプリント用の基板
10…被転写材料供給部
20…近接操作駆動部
30…改善気体流入操作機構部
50…光硬化部
60…基板駆動部
100…インプリント装置

Claims (11)

  1. モールドの凹凸構造領域を有する面と、基材との少なくとも一方に被転写材料を供給する供給工程と、
    前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に前記被転写材料を充填する充填工程と、を有するインプリント方法であって、
    前記充填工程は、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材とを近接させる近接操作と、前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させる改善気体流入操作を含み、
    前記近接操作は、前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点から、当該接触が完了する第2の点に至るまで前記モールドと前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるように操作され、
    前記改善気体流入操作は、前記改善気体の流入方向が、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ伝播方向に対して、同一方向ないしは直角を含む鋭角方向とされることを特徴とするインプリント方法。
  2. 前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点は、前記モールドの中心位置を除いた位置に設定される請求項1に記載のインプリント方法。
  3. 前記充填工程の後に、前記被転写材料を硬化させる硬化工程が設けられ、当該硬化工程において前記被転写材料を硬化させる際、前記被転写材料の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられる請求項1または請求項2に記載のインプリント方法。
  4. 前記被転写材料を充填する充填工程が完了した時点で、前記被転写材料の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられる請求項1または請求項2に記載のインプリント方法。
  5. 前記近接操作において、前記モールドと基材とを相対的に傾斜させつつ近接させることによって前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させる操作が行なわれる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインプリント方法。
  6. 前記気体流入操作において、当該改善気体の比重が空気よりも小さい場合には、前記モールドは基材よりも上方に位置するように配置され、当該改善気体の比重が空気よりも大きい場合には、前記モールドは基材よりも下方に位置するように配置される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインプリント方法。
  7. 前記モールドは、パターンを形成するための凹凸構造領域と、当該凹凸構造領域に連接しつつ凹凸構造領域と一体化された連接保持部を有し、当該連接保持部に撓み可能な撓み領域が形成されており、当該撓み領域を撓ませて撓み領域に近い前記凹凸構造領域側から前記被転写材料との接触を開始させる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインプリント方法。
  8. モールドの凹凸構造領域を有する面、あるいは基材の少なくとも一方に被転写材料を供給することができる被転写材料供給部と、
    前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材とを前記被転写材料を介して近接可能とすることができ、かつ前記モールドと前記被転写材料との接触が開始する第1の点から接触が完了する第2の点に至るまで前記モールドと前記被転写材料との接触領域を拡張しつつ伝播させるようにすることができる近接操作駆動部と、
    前記モールドの凹凸構造領域を有する面と前記基材との間に欠陥低減作用を奏する改善気体を流入させることができる改善気体流入操作機構部と、を有し、
    前記改善気体流入操作機構部は、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ伝播方向に対して、前記改善気体を同一方向ないしは直角を含む鋭角方向に流し込むことができるように構成されてなることを特徴とするインプリント装置。
  9. 前記改善気体流入操作機構部は、前記モールドの周辺に配置された流体方向調整部を有し、当該流体方向調整部は、前記第1の点と前記第2の点を結ぶ直線に対して、前記改善気体を直角を含む鋭角方向に流し込むように作用してなる請求項8に記載のインプリント装置。
  10. 前記改善気体流入操作機構部は、前記モールドと前記被転写材料との接触領域の全外周に向けて、前記改善気体が吹き付けられる機構を有する請求項8または請求項9に記載のインプリント装置。
  11. 前記近接操作駆動部は、記モールドの凹凸構造領域を有する面と基材とを相対的に傾斜させることができる傾斜機構を有する請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のインプリント装置。
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