JP5845917B2 - 樹脂組成物、画像形成材料及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、置換アセチレン類化合物を用いることを特徴とする、所定の一般式(1)で表されるカルコゲノピリリウム化合物の製造方法が開示されている。
例えば、特許文献2には、所定の一般式〔1〕で表されるスクアリリウム化合物が開示されている。
例えば、特許文献3には、所定の一般式〔1〕で表されるスクアリリウム化合物が開示されている。
例えば、特許文献4には、メチルエチルケトン中で極大吸収波長における透過濃度が1.0であるときに420nmにおける透過濃度が0.03未満である染料を含有することを特徴とする画像形成材料が開示されている。
請求項1に係る発明は、
下記式(I)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物(以下、「式(I)で表される化合物」とも称する。)と、樹脂と、を含有する樹脂組成物。
下記式(I)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物と、熱可塑性樹脂と、を含有する画像形成材料。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が50℃以上150℃以下である、請求項2に記載の画像形成材料。
さらに、顔料を含有する、請求項2又は請求項3に記載の画像形成材料。
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成材料に、波長760nm以上970nm以下の光を照射して、前記画像形成材料を記録媒体に定着させる工程を含む画像形成方法。
請求項3に係る発明によれば、熱可塑性樹脂が上記特定の熱可塑性樹脂でない場合に比べ、記録媒体への定着性に優れる画像形成材料が提供される。
請求項4に係る発明によれば、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物を含有する画像形成材料に比べ、含まれる顔料に応じた色味に優れる画像形成材料が提供される。
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記式(I)で表される化合物と、樹脂と、を含有する。本実施形態に係る樹脂組成物は、目的に応じて、その他の成分を含んでもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物を含有する樹脂組成物に比べ、近赤外線吸収材料であるペリリウム系スクアリリウム化合物の分散性に優れる。そのため、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物を含有する樹脂組成物に比べ、近赤外線吸収材料であるペリリウム系スクアリリウム化合物の含有量が少なくても、近赤外の光(例えば、波長760nm以上970nm以下の光)を効率的に吸収する。
本実施形態に係る樹脂組成物に含まれるペリリウム系スクアリリウム化合物は、下記式(I)で表される化合物である。
また、前記式(I)で表される化合物は、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物に比べ、樹脂に対する分散性に優れる。そのため、前記式(I)で表される化合物は、樹脂組成物に含まれる近赤外線吸収材料として有用である。
具体的には、テトラヒドロフランへの溶解性に優れる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。
他方、前記式(I)におけるR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが、炭素数6以上のアルキル基であるペリリウム系スクアリリウム化合物は、グラム吸光係数が低下する傾向にある。そのため、当該ペリリウム系スクアリリウム化合物を含む樹脂組成物は、本実施形態に係る樹脂組成物に比べて、ペリリウム系スクアリリウム化合物の質量濃度が同じな場合においては波長760nm以上970nm以下の光の吸収効率に劣る。
R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、前記式(I)で表される化合物の合成の容易性および分子の安定性の観点から、R1とR3とが同一でR2とR4とが同一であることが望ましく、R1、R2、R3及びR4のすべてが同一であることがより望ましい。
R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、前記式(I)で表される化合物が樹脂に対する分散性に優れる観点と、前記式(I)で表される化合物の合成の容易性および分子の安定性の観点とから、すべてが同一の炭素数2以上4以下のアルキル基であることが望ましく、すべてが同一の炭素数4のアルキル基(n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基のいずれか)であることがより望ましい。
第1段階では、(A)4−tert−ブチルフェニルアセチレンと、有機マグネシウムハロゲン化物と、ギ酸誘導体とを用いて、(B)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オールを得る。
第2段階では、(B)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オールを酸化して、(C)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オンを得る。
第3段階では、(C)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オンと、ナトリウムエトキシドと、硫黄と、水素化ホウ素ナトリウムとを用いて、(D)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4H−チオピラン−4−オンを得る。
第4段階では、(D)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4H−チオピラン−4−オンと、メチルマグネシウムハロゲン化物と、過塩素酸とを用いて、(E)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4−メチルチオピリリウムの過塩素酸塩を得る。
第5段階では、(E)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4−メチルチオピリリウムの過塩素酸塩と、スクアリン酸とを用いて、(F)前記式(I−1)で表される化合物を得る。
第1段階の反応は、(A)4−tert−ブチルフェニルアセチレンに有機マグネシウムハロゲン化物(以下、「グリニャール試薬」とも呼称する。)を作用させ、次いでギ酸誘導体を作用させる。
第1段階の反応はグリニャール試薬を用いる反応であるので、水分を含まない溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応を行うことが望ましい。
グリニャール試薬としては、臭化エチルマグネシウム又はヨウ化エチルマグネシウムが望ましい。グリニャール試薬は(A)4−tert−ブチルフェニルアセチレンに対して0.5倍モル以上1.5倍モル以下で用いるのが望ましい。
ギ酸誘導体としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル等のギ酸エステル類、又はギ酸アミド類が挙げられる。ギ酸誘導体としては、ギ酸メチル及びギ酸エチルが望ましい。
いずれの滴下の工程においても、混合が終了した後で反応混合物を冷却することを停止して、室温(例えば23℃乃至25℃)若しくはそれ以上の温度にて反応を完結させてもよい。反応を完結させるために行うこの操作において、望ましい温度範囲は10℃以上40℃以下であり、特に望ましくは15℃以上30℃以下である。
抽出に用いる有機溶媒は、水と混合しにくく(B)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オールを溶解するものであればよい。望ましくは、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒である。
(B)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オールを含む抽出液をそのまま若しくは濃縮して、精製することなく第2段階に進んでもよく、精製を行って第2段階に進んでもよい。精製法としては、例えば、減圧下におけるものを含む蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
第2段階の反応の反応温度および反応時間は、例えば、−10℃以上30℃以下、1時間以上3時間以下である。
第4段階の反応に用いる溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。メチルマグネシウムハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化メチルマグネシウムが挙げられる。メチルマグネシウムハロゲン化物は、(D)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4H−チオピラン−4−オンに対して0.9倍モル以上6倍モル以下で用いるのが望ましい。
アルコール類に他の溶媒を混合する場合、混合する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンが挙げられる。混合される限りにおいて混合比は制限されないが、望ましくはアルコールに対して体積で0.5倍以上2倍以下である。
(F)前記式(I−1)で表される化合物を精製・単離する方法としては、例えば、再結晶、カラムクロマトグラフィー、昇華精製などが挙げられ、中でも再結晶により単離を行うことが望ましい。
次に、本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる樹脂について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物に含まれる樹脂は、その種類を特に問わず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの中から樹脂組成物の用途に合わせて選択すればよい。樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、その用途は特に限定されないが、具体的には、例えば、後述する画像形成材料の他に、赤外光の吸収により発熱する発熱体用の塗料や、可視光を透過させ赤外光を遮断する赤外線フィルター用のフィルター膜形成用組成物が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成材料は、前記式(I)で表される化合物と、熱可塑性樹脂とを含有する。前記式(I)で表される化合物は、光を吸収し熱を発する。熱可塑性樹脂は、加熱により軟化し又は溶融し、その後再固化し、記録媒体上に画像形成材料を定着させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成材料は、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物を含有する画像形成材料に比べ、近赤外線吸収材料の分散性に優れる。
そして、前記式(I)で表される化合物は、テトラヒドロフラン溶液中の最大吸収波長が908nmである。
以上のことから、本実施形態に係る画像形成材料は、前記式(I)で表される化合物以外のペリリウム系スクアリリウム化合物を含有する画像形成材料に比べ、波長760nm以上970nm以下の光の吸収性に優れる。
したがって、本実施形態に係る画像形成材料が、さらに顔料を含有する場合、顔料による色味が保たれた画像形成材料が提供される。
また、本実施形態に係る画像形成材料がさらに顔料を含有する光定着トナーである場合、顔料による色味が保たれた光定着トナーが提供される。
また、本実施形態に係る画像形成材料が不可視トナーである場合、光の照射によって記録媒体に定着される不可視性に優れる不可視トナーが提供される。
なお、本明細書において「不可視性」とは、ヒトの目視により認識されにくいことを意味し、まったく認識されないこと(不可視)が理想的である。
本実施形態に係る画像形成材料は、前記式(I)で表される化合物の含有量が低いほど、不可視性により優れる画像形成材料となり、顔料を含有する場合には顔料による色味がより保たれた画像形成材料となる。
本実施形態に係る画像形成材料は、熱可塑性樹脂を含有する。本実施形態に係る画像形成材料は、熱可塑性でない樹脂を含有する場合に比べて、少ない光エネルギーで十分な定着効果を得る。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、前記式(I)で表される化合物の分散性の観点から、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂が望ましい。
本実施形態に係る画像形成材料は、目的とする画像を形成するために必要な色味を画像形成材料に付与するために、顔料を含有していてもよい。顔料としては、特に制限はなく、公知の種々の顔料を使用してよい。顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る画像形成材料が電子写真用トナー(光定着トナー、不可視トナー等)である場合、必要に応じて、帯電制御剤、オフセット防止剤等をさらに含有していてもよい。
帯電制御剤には、正帯電用のものと負帯電用のものがある。正帯電用としては、例えば、第4級アンモニウム系化合物が挙げられる。負帯電用としては、例えば、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤が挙げられる。
オフセット防止剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンが挙げられる。
無機粉粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。これらの無機粉粒子には、例えば、必要に応じて、公知の表面処理を施してもよい。
有機粒子としては、例えば、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体またはソープフリー重合体が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物としては、電子写真用トナー以外の画像形成材料も挙げられる。このような画像形成材料として、例えば、近赤外線吸収インクが挙げられる。前記近赤外線吸収インクとしては、例えば、インクジェットプリンター用インク;活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はシルク印刷用のインク;等が挙げられる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;N−アルキルピロリドン類;酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
有機溶剤は、吸湿性、保湿性、前記式(I)で表される化合物の溶解性、浸透性、インクの粘度、氷点等を考慮して選択される。インクジェットプリンター用インク中の有機溶剤の含有割合は、1質量%以上60質量%以下であることが望ましい。
ポリマーとしては、例えば、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
有機溶剤としては、前記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶剤が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成方法は、本実施形態に係る画像形成材料に、波長760nm以上970nm以下の光を照射して、前記画像形成材料を記録媒体に定着させる工程を含む。
本実施形態に係る画像形成材料に含まれる前記式(I)で表される化合物は、波長760nm以上970nm以下の光の吸収性に優れることから、本実施形態に係る画像形成方法は、効率よく記録媒体に画像形成材料を定着させる画像形成方法を提供する。
本実施形態に係る画像形成材料は、そこに含まれる前記式(I)で表される化合物の最大吸収波長が908nmであることにより、波長760nm以上970nm以下の光の吸収性に優れ、中でも900nm帯の光の吸収性に優れる。
したがって、本実施形態に係る画像形成方法によれば、上記の半導体レーザーと組み合せて、記録媒体に画像形成材料をより効率的に定着させる画像形成方法が提供される。
(式(I−1)で表される化合物の合成)
前記式(I−1)で表される化合物を、以下の合成スキームに従って合成した。
なお、各段階の中間生成物の構造は、NMRスペクトルや質量スペクトル等により確認した。
窒素雰囲気下、ナトリウムエトキシドの20%エタノール溶液0.954gに無水エタノール40ml及び(C)1,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ペンタ−1,4−ジイン−3−オン1.37gを順次に加え、室温(23℃乃至25℃)下14分間撹拌して、溶液IIを得た。この溶液IIを前記溶液Iに加えた。この反応混合液を室温(23℃乃至25℃)下15分間攪拌してから、水200mlに注ぎ入れ、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比1:1)で有機物を抽出し、分離した有機層を水洗した。そして、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮した後、アセトンとヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより精製し、(D)2,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4H−チオピラン−4−オンを1.07g得た。本段階の収率は、71%であった。
上記で得た黒茶色の固体を、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)、1H−NMRペクトル、質量スペクトル、可視近赤外吸収スペクトルにより同定した。その結果、前述の黒茶色の固体が前記式(I−1)で表される分子構造を有することを確認できた。同定データを以下に示し、可視近赤外吸収スペクトルを図1に示す。
νmax =3033(=C−H),2958(CH3),2866(CH3),2346,1726,1593,1560(C=C ring),1474,1410,1352(CH3),1333,1312,1269,1242,1210,1196,1124(C−O−),1084,1005,970,889,832,796,750,726cm−1
7.90(brs,2H),7.55,7.52(d,16H,Harom),1.84(brs,4H),1.36(s,36H,12×CH3)
m/z = 827(M+,100%)
最大吸収波長(λmax)=908nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=2.69×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
前記式(I−1)で表される化合物のテトラヒドロフラン(24±1℃)に対する溶解度を下記の方法で測定した。
10.00mgの前記式(I−1)で表される化合物(黒茶色の固体)と5.00mlのテトラヒドロフランをスクリュー管瓶中に混ぜてから、蓋で密閉したままで超音波を30分間照射し、室温中に一晩静置した。得られた溶液を孔径25nmのメンブレンフィルターで濾過し、フィルター上に残った黒茶色の固体の乾燥質量を測った。これにより、5.00mlのテトラヒドロフランに溶けた前記式(I−1)で表される化合物の質量が分かり、テトラヒドロフランに対する溶解度が計算できる。
その結果を表1に示す。表1中の評価基準は以下の通りである。
A:テトラヒドロフランに対する溶解度≧1mg/ml
B:0.1mg/ml≦テトラヒドロフランに対する溶解度<1mg/ml
C:テトラヒドロフランに対する溶解度<0.1mg/ml
実施例1と同様にして、ただし、4−tert−ブチルフェニルアセチレンの代わりに4−n−ブチルフェニルアセチレンを使用して、前記式(I−2)で表される化合物を合成した。
分子量:827.2
最大吸収波長(λmax)=910nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=2.1×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
実施例1と同様にして、ただし、4−tert−ブチルフェニルアセチレンの代わりに4−エチルフェニルアセチレンを使用して、前記式(I−3)で表される化合物を合成した。
分子量:715.0
最大吸収波長(λmax)=908nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=1.8×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
特開2001−011070号公報における実施例3の方法によって、下記式(II−1)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物を合成した。以下、この化合物を「式(II−1)で表される化合物」とも称する。
分子量:602.8
最大吸収波長(λmax)=901nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=2.07×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
実施例1と同様にして、ただし、4−tert−ブチルフェニルアセチレンの代わりに4−エチニルトルエンを使用して、下記式(II−2)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物を合成した。以下、この化合物を「式(II−2)で表される化合物」とも称する。
分子量:658.9
最大吸収波長(λmax)=905nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=1.9×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
実施例1と同様にして、ただし、4−tert−ブチルフェニルアセチレンの代わりに4−ヘキシルフェニルアセチレンを使用して、下記式(II−3)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物を合成した。以下、この化合物を「式(II−3)で表される化合物」とも称する。
分子量:939.4
最大吸収波長(λmax)=910nm(テトラヒドロフラン溶液中)
最大吸収波長におけるモル吸光係数(εmax)=2.0×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
(擬似トナー分散液の作製)
前記式(I−1)で表される化合物1.83mgとトナー用樹脂(ポリスチレンアクリル酸n−ブチル)181.2mgをテトラヒドロフラン20.0mlに溶解し、得た溶液からマイクロピペットを用いて500μlを吸い上げ、予め炭酸カリウム20mgを含有し、400rpmで撹拌されていた蒸留水50mlに一気に注入し、再沈を行った。1分後、色素が樹脂中に分散したスラリーを得た。このスラリー(擬似トナー分散液)の体積平均粒径は95nmであった。
内径36mmのガラス濾過器を用い、前記擬似トナー分散液を孔径が50nmのMF−ミリポアメンブレンフィルター(紙、メルク株式会社製、型番VMWP)で濾過し、空気乾燥及び熱圧着(120℃)して、トナー載り量=4.5g/m2、単位面積当たりの前記式(I−1)で表される化合物の量=0.045g/m2(1質量%に相当)のラテックスパッチを作製した。
[反射スペクトル]
上記で得たラテックスパッチについて、日立製作所製の分光光度計U−4100にて反射スペクトルを測定した。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。初期反射率(%)は、小さいほど光の吸収性に優れることを示す。
色差(ΔE)とは、CIE1976L*a*b*表色系において色差と呼ばれるものである。記録媒体(例えば紙)との色差(ΔE)は、反射分光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いた測定で得られるL、a、bから以下の式で算出される。
実施例11のラテックスパッチについて、得られた色差(ΔE)を表1に示す。
色差(ΔE)は、その値が小さいほど視認されにくいこと、即ち、不可視性に優れることを意味する。
実施例11と同様にして、ただし前記式(I−1)で表される化合物の代わりに前記式(I−2)で表される化合物を使用して、擬似トナー分散液の作製、擬似トナー分散液の紙への塗布、及び評価を行った。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。
実施例11と同様にして、ただし前記式(I−1)で表される化合物の代わりに前記式(I−3)で表される化合物を使用して、擬似トナー分散液の作製、擬似トナー分散液の紙への塗布、及び評価を行った。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。
実施例11と同様にして、ただし前記式(I−1)で表される化合物の代わりに前記式(II−1)で表される化合物を使用して、擬似トナー分散液の作製、擬似トナー分散液の紙への塗布、及び評価を行った。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。
実施例11と同様にして、ただし前記式(I−1)で表される化合物の代わりに前記式(II−2)で表される化合物を使用して、擬似トナー分散液の作製、擬似トナー分散液の紙への塗布、及び評価を行った。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。
実施例11と同様にして、ただし前記式(I−1)で表される化合物の代わりに前記式(II−3)で表される化合物を使用して、擬似トナー分散液の作製、擬似トナー分散液の紙への塗布、及び評価を行った。その反射スペクトルを図2に示す。また、920nmにおける初期反射率(%)を表2に示す。
Claims (5)
- 下記式(I)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物と、樹脂と、を含有する樹脂組成物。
(式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数2以上5以下のアルキル基を表す。) - 下記式(I)で表されるペリリウム系スクアリリウム化合物と、熱可塑性樹脂と、を含有する画像形成材料。
(式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数2以上5以下のアルキル基を表す。) - 前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が50℃以上150℃以下である、請求項2に記載の画像形成材料。
- さらに、顔料を含有する、請求項2又は請求項3に記載の画像形成材料。
- 請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成材料に、波長760nm以上970nm以下の光を照射して、前記画像形成材料を記録媒体に定着させる工程を含む画像形成方法。
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