JP5428673B2 - 画像形成材料 - Google Patents
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そして、その750nm以上1000nm以下の近赤外領域に吸収を有する画像形成材料としては、例えば、ナフタロシアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素などを用いた画像形成材料が挙げられる(例えば、下記特許文献1から6を参照)。
すなわち、請求項1に係る発明は、
下記式(I)で表される構造を有し、Cuターゲットで波長が1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示し、前記24.9°に示された回折ピークの半値全幅が0.8°以下であり、体積平均粒径が10nm以上300nm以下であるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する、画像形成材料である。
電子写真用トナー、インクジェットプリンター用インク、又は活版、オフセット、フレキソ、グラビア若しくはシルク印刷用のインクである、請求項1に記載の画像形成材料である。
[画像形成材料]
本実施形態に係る画像形成材料は、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素(以下、「ペリミジン系スクアリリウム色素」と称する場合がある)を含有する。
ここで、上記粉末X線回折スペクトルは、X線回折装置(「D8 DISCOVER」、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用い、Cuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射による粉末X線回折の測定を行って得られたものである。
ここで、上記体積平均粒径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA 9230:日機装社製)を用いて測定された値である。測定法としては、例えば、試料を固形分で2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分待ったところで測定する。得られたチャンネルごとの粒径を、粒径の小さい方から累積し、体積で累積50%になったところを体積平均粒径とする。
合成により得られたペリミジン系スクアリリウム色素は通常、粒径が50nmのものから50μmのものまで広く分布している。そのため、ペリミジン系スクアリリウム色素を画像形成装置に用いる場合は、体積平均粒径が10nm以上300nm以下の範囲となるように顔料化処理を行う必要がある。そして顔料化処理を行うと、外的な力により顔料化処理を行う前に比べてペリミジン系スクアリリウム色素の結晶性が崩れ、粉末X線回折スペクトルにおける回折ピークの半値全幅が大きくなっていくと考えられる。そして従来では、体積平均粒径を10nm以上300nm以下の範囲にするための顔料化処理により、上記半値全幅が0.8°より大きくなったペリミジン系スクアリリウム色素の粒子を用いて画像形成材料の製造を行っていた。
そこで本発明者は、体積平均粒径が10nm以上300nm以下であり、かつ、上記半値全幅が0.8°以下である(すなわち結晶性の高い)ペリミジン系スクアリリウム色素を用いた画像形成材料の製造に成功し、その画像形成材料が従来よりもさらに耐光性に優れ、室内のみならず屋外のような太陽光にさらされる環境下においても優れた耐光性を発揮することを見出した。
なお、本明細書において、「不可視」とは、可視光において、目視により認識されにくい(即ち、理想的には不可視である)ことを意味する。
本実施形態の画像形成材料は、後述するようにペリミジン系スクアリリウム色素以外の成分を更に含有してもよいが、画像形成材料全体に対するペリミジン系スクアリリウム色素の含有量が0.05重量%以上3重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上2重量%以下がより好ましい。
帯電制御剤としては正帯電用のものと負帯電用のものがあり、正帯電用の帯電制御剤としては、例えば、第4級アンモニウム系化合物が挙げられる。また、負帯電用の帯電制御剤としては、例えば、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
有機溶媒は、吸湿性、保湿性、ペリミジン系スクアリリウム色素の溶解度、浸透性、インクの粘度、氷点等を考慮して選択される。インクジェットプリンター用インク中の有機溶媒の含有率としては、例えば、1重量%以上60重量%以下の範囲が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。また、比抵抗調製剤としては、例えば、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、例えば、キレート剤等が挙げられる。
ポリマーとしては、例えば、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
また、有機溶媒としては、例えば、上記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
以下、上記本実施形態に係る画像形成材料の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る画像形成材料の製造方法としては、例えば、ペリミジン系スクアリリウム色素に対して顔料化処理を行い、体積平均粒径を上記範囲とする顔料化処理工程を含んだ製造方法が挙げられる。
なお、顔料化処理の方法及び処理条件は、得られるペリミジン系スクアリリウム色素粒子が、Cuターゲットで波長が1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示すように選定されることが好ましい。
上記方法により顔料化処理を行う場合、例えば、処理時間、ディスク回転数、及びビーズ径を調整することにより、上記半値全幅及び体積平均粒径が制御される。上記半値全幅及び体積平均粒径が上記範囲内となる顔料化処理条件としては、例えば、顔料を含む溶液が1L程度の場合、処理時間が1時間以上20時間以下、ディスク回転数が400rpm以上3000rpm以下、かつ、ビーズ径が0.3mm以上2mm以下の範囲が挙げられる。
以下、ペリミジン系スクアリリウム色素の合成方法について説明する。
ペリミジン系スクアリリウム色素は、例えば以下の反応スキームに従って得られる。
い。
本実施形態に係る画像形成材料は、印字被覆率100%の部分において、下記式(6)及び(7)で表される条件を満たすことが好ましい。下記式(6)及び(7)で表される条件を満たすことで、画像形成材料の色味によらず、情報の不可視性と不可視情報の読み取りやすさとが両立され、不可視情報が記録された記録媒体における長期信頼性が実現される。
式(6):0≦ΔE≦16
式(7):(100−R)≧75
ただし、上記式(6)中、ΔEは下記式(8)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(7)中、R(単位:%)は前記画像部における波長850nmの赤外線反射率を示す。
上記L1、a1、b1、L2、a2、b2は反射分光濃度計を用いて得られる。本実施形態においては、反射分光濃度計として、例えばエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定される。
<ペリミジン系スクアリリウム色素の調製:二段階合成>
1,8−ジアミノナフタレン4.843部(98%,30.0mmol)、3,5−ジメチルシクロヘキサノン3.886部(98%,30.2mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物10m部(0.053mmol)とトルエン45部の混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、5時間還流させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体はアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製し、乾燥してから、茶色固体7.48部(収率93.6%)を得た。得られた茶色固体の1H−NMRスペクトル(CDCl3)による分析結果を以下に示す。
δ=7.25、7.23、7.22、7.20、7.17、7.15(m,4H,Harom);6.54(d×d,J1=23.05Hz,J2=7.19Hz,2H,Harom);4.62(br s,2H,2×NH);2.11(d,J=12.68Hz,2H,CH2);1.75、1.71、1.70、1.69、1.67、1.66(m,3H,2×CH、CH2);1.03(t,J=12.68Hz,2H,CH2);0.89(d,J=6.34Hz,6H,2×CH3);0.63(d,J=11.71Hz,1H,CH2)
νmax=3487、3429、3336(NH),3053(=C−H),2947(CH3),2914、2902(CH2),2864(CH3),2360,1618、1599、1558、1541(C=C ring),1450、1421、1363(CH3、CH2),1315、1223、1201(C−N),1163、1119(C−O−),941,924,822,783,715cm−1
δ=10.52(m,2H,NH);7.80、7.78(d,2H,Harom);7.35、7.33(m,2H,Harom);7.25(m,2H,NH);6.82、6.80、6.78(m,4H,Harom);6.74、6.72、6.52、6.50(m,2H,Harom);2.17(m,5H,CH2);1.91(m,3H,CH2);1.71(m,2H,CH、CH2);1.15、1.12(m,4H,CH2);0.92、0.91(m,12H,4×CH3);0.66(m,2H,CH2)
m/z=610(M+,100%),611(M++1,47.5%)
C:78.6%(実測値)、78.66%(計算値)
H:6.96%(実測値)、6.93%(計算値)
N:9.02%(実測値)、9.17%(計算値)
O:5.42%(実測値)、5.24%(計算値)
λmax=809nm(テトラヒドロフラン溶液中)
εmax=1.68×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
次に、得られたペリミジン系スクアリリウム色素(色素化合物A)51gと、界面活性剤水溶液(具体的にはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)450gをビーズミル加工装置(アイメックス株式会社製 SVM−015)に投入し、1mmφビーズ485g、ディスク回転数400rpmで4時間の運転を行い、顔料粒子1を得た。
<画像形成材料1の調整>
得られた顔料粒子1を界面活性剤水溶液中に分散させた分散液(試料濃度0.165質量%)40.4μlと、樹脂(ポリスチレンアクリル酸n−ブチル)を水中に分散させた水溶液(試料濃度40質量%)15μlと、蒸留水5gと、を混合した混合液を、ウルトラタックス(イカジャパン社製)で分散化処理して、混合スラリーとした。得られた混合スラリーにアルミニウム系凝集剤を加えてトナー分散液を調整し、フィルター紙(商品名「GSWP04700」、MILLIPORE社製、孔径:220nm)上にろ過堆積させ、空気中で乾燥して画像形成材料1を得た。
得られた画像形成材料に含まれる顔料粒子の粉末X線回折スペクトル及び体積平均粒径を以下のようにして行った。
まず、顔料粒子1を、粉末X線回折測定用ホルダにセットし、測定を行った。また、顔料粒子1を界面活性剤水溶液中に分散させた分散液を粒度分布測定器UPA(日機装社製)を用いて粒度分布を測定した。
得られた顔料粒子1の粉末X線回折スペクトルを上記方法により測定した結果を図1に示す。図1に示されたように、顔料粒子1の粉末X線回折スペクトルでは、17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、及び24.9°に回折ピークが現れた。24.9°に現れた回折ピークの半値全幅を表1に示す。
また、得られた顔料粒子1の体積平均粒径を上記方法により測定した結果を表1に示す。
顔料化処理において、ビーズ径を0.3mm、回転数を700rpm、運転時間を4時間にした以外は、顔料粒子1と同様にして顔料粒子2を得た。また顔料粒子1の代わりに顔料粒子2を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料2を得た。
顔料粒子2の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定した結果を図1に示す。図1に示されたように、顔料粒子2の粉末X線回折スペクトルでは、17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、及び24.9°に回折ピークが現れた。24.9°に現れた回折ピークの半値全幅を表1に示す。また、顔料粒子2の体積平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果を表1に示す。
顔料化処理において、運転時間を38時間にした以外は、顔料粒子1と同様にして顔料粒子3を得た。また顔料粒子1の代わりに顔料粒子3を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料3を得た。
顔料粒子3の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定した結果を図1に示す。図1に示されたように、顔料粒子3の粉末X線回折スペクトルでは、17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、及び24.9°に回折ピークが現れた。24.9°に現れた回折ピークの半値全幅を表1に示す。また、顔料粒子3の体積平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果を表1に示す。
顔料化処理において、ビーズ径を0.2mm、回転数を2000rpm、運転時間を4時間にした以外は、顔料粒子1と同様にして顔料粒子4を得た。また顔料粒子1の代わりに顔料粒子4を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料4を得た。
顔料粒子4の粉末X線回折スペクトルを実施例1と同様にして測定した結果を図1に示す。図1に示されたように、顔料粒子4の粉末X線回折スペクトルでは、17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、及び24.9°に回折ピークが現れた。24.9°に現れた回折ピークの半値全幅を表1に示す。また、顔料粒子4の体積平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果を表1に示す。
フィルター紙上にろ過堆積させて空気中で乾燥して得た画像形成材料を、120℃で熱圧着することにより、フィルター紙上にトナー像を形成し、評価用サンプルとした。このトナー像は、色材及び結着樹脂を含むトナーを隙間なく印刷した状態に相当する。またこのトナー像は1平方メートル当たりのグラム数(TMA)が4.0g/m2であり、単位面積当たりの色材量(PMA)が0.04g/m2(色材の、含有割合1質量%に相当)である。
画像形成材料における耐光性の評価は、下記に示す積分指標を用いて評価した。
図2は、積分指標の算出方法を説明するための図である。具体的には、画像形成材料3を用いて形成されたトナー像におけるトナーの吸収率と小型近赤外線画像認識装置の出力感度との積を、波数(単位:cm−1)に対してプロットしたスペクトルが図2に示されている。そして、この図2に示されたスペクトルの積分値が上記「積分指標」である。すなわち上記「積分指標」は、数値が大きいほど小型近赤外線画像認識装置で認識しやすいものである。なおこの小型近赤外線画像認識装置は、画像に照明光を当てて、可視カットフィルタを通った反射光を撮像素子に結像させるものである。毎秒60フレームで取得したパターン画像のデコードを行い、デコードエラー率を求め、これを読み取り性として評価した。照明としては、設計中心波長850nmの赤外LED(OSRAM社製、SFH4350)に100mAを適用している。撮像素子としては、グローバルシャッター方式のセンサを用いた赤外CMOSセンサ(850nmの分光感度が550nmの60%以上のもの、駆動周波数13.5MHz)を採用した。可視カットフィルタとしては、住友ベークライト製のテクナライトIR−R2805を利用した。
上記光照射前におけるトナー像の反射率スペクトルから、光照射前の不可視性の評価を行った。その結果、いずれの実施例及び比較例においても、可視領域(400nmから700nm)における吸収率が低く、不可視性を有することが分かった。
上記顔料化処理を行わず、得られた色素化合物Aをそのまま顔料粒子5として用いた以外は実施例1と同様にして画像形成材料5を得た。
顔料粒子5の体積平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果、検出限界以上の6ミクロン以上が多く含まれるために測定不能であった。
さらに、画像形成材料5を用いて実施例1と同様にトナー像の形成を試みたが、基準外の大きな粒径であるためにトナー像形成はできなかった。
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