JP5842224B2 - 既設可撓管の外面補強構造及びその外面補強方法 - Google Patents
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Description
このような可撓管は老朽化や変位量が許容値を超えた場合には、交換する必要がある。しかし、供用中の管路の可撓管を交換しようとすると、工事期間中、断水状態にする必要があることなどの都合から交換を避け、そのまま継続使用している場合がある。
一方、既設の可撓管が破損すると、一気に漏水し、断水状態となることから既設の可撓管を補強することが行われており、種々提案されている。
このような既設の可撓管1を交換することなく補強する方法として、例えば特許文献1には、可撓管1の外周部を、ゴム製の伸縮カバー2と保護カバー3とで覆った伸縮管用漏水防止装置4が開示されている。
この伸縮管用漏水防止装置4では、伸縮カバー2で可撓管1を構成する伸縮管の外周をその全周、全長に亘って覆うようにし、軸方向両端部を、それぞれ可撓管1を挟んだ両側の管路D,Dに固定具5,5を固定しておき、この固定具5に固定バンド6で伸縮カバー2を締め付けることで水密に固定されている。そして、固定具5,5間に離反防止手段として接続金具6,6が取り付けられ、アラミド繊維からなるロープ7を幾分たるんだ状態で連結してある。さらに、伸縮カバー2を覆うように筒状の保護カバー3が設けられ、伸縮カバー2が内部からの水圧により外側に膨らむことを拘束することで補強し、破損を防止するようにし、管路D,D同士が互いに離反することを拘束して落橋を防止する効果も期待している。
また、伸縮カバー2で水密状態にするためには、可撓管1の外周をその全周、全長に亘って覆うことができる大きな伸縮カバー2を用意しなければならず、しかも可撓管1を覆ったのち、現地で加温加圧接合によって筒状にしなければならず、接合用の治具が必要となり、搬入に手間が掛かるなど施工に要する時間が長くなるという問題がある。
これにより、水管橋などの狭い空間の可撓管を外面から補強してそのまま継続使用することができるとともに、各部材も軽量コンパクトであり、施工も容易かつ短時間に補強することができる。
これにより、水管橋などの狭い空間の可撓管を外面から補強してそのまま継続使用することができるとともに、各部材も軽量コンパクトであり、施工も容易かつ短時間に補強することができる。
この発明が適用される既設の可撓管1としては、例えば図1に示すように、管路D、Dの管路フランジF,Fに可撓管1のフランジ1a、1aを介して連結ボルト1bおよびナット1cで締め付けて取り付けられ、ゴムなどの弾性体で作られた蛇腹状などの伸縮部1dにより温度変化や地震などの変位の吸収と止水性が確保されるものである。なお、可撓管としては、これに限らず、図8に示した伸縮管など他の構造であっても良い。
この既設可撓管の外面補強構造10では、既設の変位が生じた状態などの可撓管1の両端のフランジ1a,1aを利用して外面補強構造の主構造が設置され、管路フランジF,Fを利用して施工後の変位を規制するための構造を設置するようにしており、図8で説明した従来構造に比べコンパクトで、狭い空間に設置し施工できるものである。
これにより、水管橋などの狭い空間の可撓管1を外面から補強してそのまま継続使用することができるとともに、各部材も軽量コンパクトであり、施工も容易かつ短時間に補強することができる。
なお、端部止水ゴムとしては、Oリングに限らず、他の断面形状のものであっても良く、矩形断面や半円などと矩形を組合わせた断面形状のものであっても良い。
まず、第1工程として、可撓管1を管路Dに取り付けている連結ボルト・ナット1b,1cを取り外し(図3(a)参照)、続く第2工程として、管路フランジF側に長く突き出したねじ部を備えたプレート部材20を取り付けるための連結固定用ボルト・ナット18,19に交換する(図3(b)参照)。この連結ボルト・ナット1b,1cと連結固定用ボルト・ナット18,19との交換は、例えば図2に示すように、フランジ1aおよび管路フランジFの円周方向に等間隔に所定箇所のものを交換すれば良く、例えば円周方向6か所のそれぞれ2本ずつを交換する。
なお、連結固定用ボルト18として図示例のものに代え、可撓管1との間にスペースがあれば管路フランジF側に突き出す長さの長い六角ボルトを用いるようにしても良い。
充填部材11の注入充填が完了後、型枠としたプラスチック板22を取り外したり、そのまま残した状態としても良い。
この止水ゴム14は均一な厚みのゴムを使用し、既設の可撓管1が破損した場合に外周部からの漏水を防止する(図4(b)参照)。
このような接合シート14aを当てて接着剤で接合することで、確実に接合できるとともに、加硫の場合のような治具を必要とせず、短時間に接合できる。
なお、分割押え部材13の分割リング部13aの内周面に、図7(b)に示したように、円弧状断面や矩形状断面のOリング溝13d,13eを形成するようにしても良く、一層確実にOリング13での密封性を向上し止水することができる。
このような高さ調整用部材15で止水ゴム13の外周空間を埋めることで、止水ゴム13が自由に膨らむ空間を無くすことができ、止水ゴム13の破損を防止して止水性を向上することができる(図5(b)参照)。
この耐圧補強部材層16は、少なくとも最内層16aを分割押え部材13の分割リング部13b上に位置するように巻きつけるが、その外側の層については、必ずしも分割リング部13b上まで積層せずに高さ調整用部材15の外側だけに巻きつけるようにしても良い(図5(c)参照)。
なお、この耐圧補強部材層16は、可撓管1が万一破損した場合に止水ゴム13の内面に加わる圧力に耐えるように積層数や使用材料を選択すれば良い。
なお、耐圧補強部材層16および耐候性カバー部材17を分割押え部材13の分割リング部13a上で一層確実に押圧固定するとともに、可撓管1の変位にも一層確実に対応できるようにするため、図7(a)に示すように、分割押え部材13の分割リング部13aに周方向に沿う突出部13fを溶接などで取り付け、この突出部13fの管軸方向前後にカバー固定バンド24を配置して2重に締め付けるようにしても良い。また、突出部13fの横断面形状は、図示例の円形断面のものに限らず、矩形断面など他の形状であっても良く、金属製のものを溶接で固定する場合に限らず、樹脂製のものを接着するなどで固定しても良い。さらに、分割押え部材13の分割リング部13aの管軸方向の幅を大きくすることで、既設の可撓管1が変位しても耐圧補強部材層16と耐候性カバー部材17の端部が外れることを防止できることから、許容変位に応じて幅を適宜設定すれば良い。
このプレート部材20は、フランジ1aおよび管路フランジFへの取り付けのため2つの貫通孔が形成され、径方向外側に突き出した部分に変位規制用ロッド部材21を挿通する1つの貫通孔が形成してある。そして、管路フランジFの外側に当てたプレート部材20は、連結固定用ボルト・ナット18,19の外側にワッシャー25を介してナット26で締め付けられる。また、プレート部材20の変位規制用ロッド部材21が挿通される貫通孔の外側には、変位の方向変化に対応できるように円錐プレート20aが溶接してある。
このようなプレート部材20,20間に変位規制用ロッド部材21が挿通され、両端部にワッシャー21aおよびダブルナット21bがねじ込まれており、両端部のワッシャー21a,21aの間の長さがプレート部材20,20間の距離に許容する変位分の長さを加えた長さとしてある。これにより、許容変位を越えて可撓管1が変位すると、変位規制用ロッド部材21が突っ張るようになり、それ以上の変位が規制されることになる(図6(b)参照)。
また、可撓管1の外周に取り付ける止水ゴム14の側端部を接合シート14aを当てて接着剤で接合するようにしたので、円周方向端部からの漏水を確実に防止することができるとともに、現地での加温加圧接合のための治具を搬入する必要もなく、短時間に接合することができ、施工時間を短縮することができる。
さらに、止水ゴム14の両端部には、Oリング12を介してシールするとともに、分割押え部材13で締め付けるようにしたので、Oリング12での止水圧を確保して端部からの漏水を確実に防止することができる。
また、止水ゴム14の外周に形成される分割押え部材13の厚さによる空間を高さ調整用部材15で埋めるようにしたので、止水ゴム14が自由に膨らむことを防止することができ、耐圧性および止水性を確保することができる。
さらに、止水ゴム14の外周を、高さ調整用部材15を介して耐圧補強部材層16を設けてあるので、止水ゴム14の内面にかかる圧力による止水ゴム14の膨張を抑制することができ、高圧力(常用圧力:1.0MPa)にも耐えることができる。
また、最外周を耐候性カバー部材17で覆ってあるので、耐候性を確保することができるとともに、耐候性カバー部材17を覆う範囲もほぼ可撓管1の範囲であり、従来の保護カバー等の大きなものを使用しないので、狭い空間で取り付け作業を行うことができる。
さらに、耐圧補強部材層16の少なくとも最内層16aと耐候性カバー部材17とを分割押え部材13上でカバー固定バンド24で押えるようにしたので、これら耐圧補強部材層16の少なくとも最内層16aと耐候性カバー部材17とが離脱することを防止できるとともに、分割押え部材13の動きを抑制することができる。
また、管路フランジF,Fにプレート部材20を取り付け、プレート部材20,20間に変位規制ロッド部材21を挿通したので、止水ゴム14内面に圧力が加わる場合に管軸方向に推力が生じ、止水ゴム14を管軸方向に伸ばす力が働くが、この管軸方向に働く力を抑制することができ、止水ゴム14に過剰な伸びが発生し、止水性が低下することを防止することができる。
これにより、直径が900mm以上の中口径の管やさらに直径の大きい大口径管の可撓管に対しても部材を運搬可能な範囲で容易に適用することができる。
11 充填部材
12 Oリング(端部止水ゴム)
13 分割押え部材
13a 分割リング部
13b フランジ部
13c ボルト・ナット
13d Oリング溝
13e Oリング溝
13f 突出部
14 止水ゴム(止水ゴム部材)
14a 接合シート
15 高さ調整用部材
16 耐圧補強部材層
16a 最内層
17 耐候性カバー部材
18 連結固定用ボルト
19 連結固定用ナット
20 プレート部材
21 変位規制用ロッド部材
22 プラスチック板
23 ガムテープ
24 カバー固定バンド
25 ワッシャー
26 ナット
A 橋台
B 支承
C リングサポート
D 管路
F 管路フランジ
1 可撓管
1a フランジ
1b 連結ボルト
1c 連結ナット
1d 伸縮部
Claims (6)
- 管路にフランジを介して取り付けられた可撓管を外面から補強する既設可撓管の外面補強構造であって、
前記可撓管のフランジ間を平坦外周面に成形する充填部材と、この充填部材で平坦面とされた可撓管の外周面および両端フランジを覆って側端部が接合されて筒状とされるとともに、フランジ外周に設置した端部止水ゴムを介して分割押え部材で押えられて止水する止水ゴム部材と、この止水ゴム部材を押える分割押え部材の厚みによる外周空間を埋めて当該止水ゴム部材の膨らみを抑える高さ調整用部材と、両端の押え部材間および高さ調整用部材の外周を覆って止水ゴム部材を耐圧補強する耐圧補強部材層と、この耐圧補強部材層の外周を覆って当該耐圧補強部材層の少なくとも最内層とともに押え部材上に押圧固定される耐候性カバー部材と、前記フランジを連結する連結ボルトに代えて取り付けた連結固定用ボルトを介して前記フランジに連結された管路フランジの管軸方向外側の円周方向複数個所に取り付けられて径方向外側に突き出す変位規制用のプレート部材と、プレート部材間に挿通され許容する変位に相当する長さを加えた長さの変位規制用ロッド部材とを備えてなることを特徴とする既設可撓管の外面補強構造。 - 前記フランジ外周に設置する端部止水ゴムをOリングで構成するとともに、前記分割押え部材の内周側にOリング溝を形成してなることを特徴とする請求項1記載の既設可撓管の外面補強構造。
- 前記分割押え部材の外周面に突出部を設け、この突出部の管軸方向両側で前記耐圧補強部材層の少なくとも最内層および耐候性カバー部材を押圧固定してなることを特徴とする請求項1または2記載の既設可撓管の外面補強構造。
- 管路にフランジを介して取り付けられた可撓管を外面から補強する既設可撓管の外面補強方法であって、
前記可撓管のフランジ間を充填部材により平坦外周面に成形し、この充填部材で平坦面とされた可撓管の外周面および両端フランジを止水ゴム部材で覆って側端部を接合して筒状とするとともに、フランジ外周に端部止水ゴムを設置して分割押え部材で押圧固定し、この分割押え部材の厚みによる止水ゴム部材の外周空間を当該止水ゴム部材の膨らみを抑える高さ調整用部材で埋めた後、両端の押え部材間および高さ調整用部材の外周を覆って前記止水ゴム部材を耐圧補強する耐圧補強部材層を設け、この耐圧補強部材層の外周を覆って当該耐圧補強部材層の少なくとも最内層とともに押え部材上に押圧固定される耐候性カバー部材を設け、前記フランジを連結する連結ボルトに代えて円周方向複数個所に取り付けた連結固定用ボルトを介して径方向外側に突き出す変位規制用のプレート部材を、前記フランジに連結された管路フランジの管軸方向外側に取り付け、これらプレート部材間に、許容する変位に相当する長さを加えた長さの変位規制用ロッド部材を挿通するようにしたことを特徴とする既設可撓管の外面補強方法。 - 前記フランジ外周に設置する端部止水ゴムをOリングで構成し、フランジ外周に接着するとともに、環状に接合し、前記分割押え部材の内周側に形成したOリング溝で押圧するようにしたことを特徴とする請求項4記載の既設可撓管の外面補強方法。
- 前記分割押え部材の外周面に突出部を設け、この突出部の管軸方向両側で前記耐圧補強部材層の少なくとも最内層および耐候性カバー部材を押圧固定するようにしたことを特徴とする請求項4または5記載の既設可撓管の外面補強方法。
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