以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図14に、本発明の実施形態1を示している。図1に示すように、冷却設備1とポンプ室2との間には冷却水などの液体が流通する配管3が設置されており、この配管3の中心軸線方向の複数ヶ所には、可撓継手4やバタフライバルブなどの弁装置5が設置されている。なお、6は配管ピットである。
なお、配管3における可撓継手4の設置場所は中心軸線方向で分離されており、この分離部分については、冷却設備1側に向いている側(図1の左側)を「第1分離端3a」と言い、また、ポンプ室2側に向いている側(図1の右側)を「第2分離端3b」と言うことにする。この第1、第2分離端3a,3bは、例えば図2に示すように、径方向外向きに張り出すようなフランジ形状とされている。
ここで、可撓継手4の構成について、図7および図8を参照して詳細に説明する。図7では、図1のポンプ室2の外側に設置される可撓継手4を示している。
可撓継手4は、弾性環体4aの中心軸線方向の一端側および他端側に設けられる径方向外向きの第1、第2環状部4b,4cの各中心軸線方向の内側にそれぞれ第1、第2金属製環体4d,4eを一体に設けた構成とされている。
弾性環体4aは、円筒形でかつその中心軸線方向の中間部分が径方向外向きに膨らむように湾曲されたアーチ形状、言い換えると前記中間部分の上半分の断面が「Ω」形状または半円形状になっている。この中間部分によって可撓継手4そのものの中心軸線方向ならびに径方向の動きを許容するようになっている。
この弾性環体4aは、詳細に図示していないが、例えば適宜の強化繊維を編み込んだ補強布とゴムなどの弾性体とを積層したような構造になっている。
この弾性環体4aの中心軸線方向の両端には、径方向外向きに張り出す第1、第2環状部4b,4cが設けられている。第1、第2環状部4b,4cの外径寸法は配管3の第1、第2分離端3a,3bの外径寸法と同一である。
第1、第2金属製環体4d,4eは、環状板とされており、弾性環体4aの第1、第2環状部4b,4cの中心軸線方向内側に重ね合わされるように一体に設けられている。
そして、第1環状部4bが配管3における第1分離端3aに、また、第2環状部4cが配管3における第2分離端3bにそれぞれ中心軸線方向に重ね合わされて結合されている。このような結合形態は、一般に、「フランジ結合」と呼ばれる。
このフランジ結合の形態を詳しく説明する。配管3の第1、第2分離端3a,3bの円周数ヶ所と、可撓継手4の第1、第2金属製環体4d,4eの円周数ヶ所と、弾性環体4aの第1、第2環状部4b,4cの円周数ヶ所とには、それぞれ、厚み方向に貫通するねじ通孔(符号省略)が設けられている。
まず、第1、第2金属製環体4d,4eの前記ねじ通孔(符号省略)と弾性環体4aの第1、第2環状部4b,4cの前記ねじ通孔と配管3の第1、第2分離端3a,3bの前記ねじ通孔(符号省略)とに跨ってねじ軸7を挿通する。
このねじ軸7において第1、第2金属製環体4d,4eの前記ねじ通孔から内側に突出する内側突出端に内側ナット8を螺合して、配管3の第1、第2分離端3a,3bの前記ねじ通孔(符号省略)から外側に突出する外側突出端に外側ナット9を螺合するようにしている。なお、ねじ軸7、内側ナット8ならびに外側ナット9が、特許請求の範囲に記載の「ねじ部材」に相当している。
第1、第2金属製環体4d,4eの外径寸法は、弾性環体4aの第1、第2環状部4b,4cの外径寸法と同一に設定されており、この第1、第2金属製環体4d,4eの外周面の円周数ヶ所には、径方向外向きに突出する板状の第1、第2突片4f,4gが一体に設けられている。
第1、第2突片4f,4gの外接円の直径寸法は、弾性環体4aの第1、第2環状部4b,4cの外径寸法よりも大きくなっている。
第1、第2突片4f,4gは、第1、第2金属製環体4d,4eと別体物として製作されていて、第1、第2金属製環体4d,4eに溶接などにより一体に取り付けられている。但し、これら第1、第2突片4f,4gは、第1、第2金属製環体4d,4eと一体物として製作することも可能である。
第1、第2突片4f,4gは、可撓継手4を配管3の第1、第2分離端3a,3bの間に組み付ける際に、可撓継手4の軸方向寸法を不変とするために設けられている。
ここで、可撓継手4の軸方向寸法を不変にするための構成について説明する。第1、第2突片4f,4gには、板厚方向に貫通するねじ通孔4f1,4g1が設けられている。
そして、可撓継手4の第1、第2環状部4b,4cの対向間隔を、配管3の第1、第2分離端3a,3bの対向間隔より若干小さい程度に設定しておき、その間隔を維持するために、図7の二点鎖線で示すように第1、第2金属製環体4d,4eの第1、第2突片4f,4gのねじ通孔4f1,4g1に調整用ボルト11を挿通するとともに、この調整用ボルト11に調整用ナット12を螺合装着する。なお、調整用ナット12は、第1、第2突片4f,4gの内側と外側とにそれぞれ配置されている。
このように調整用ボルト11および調整用ナット12を用いることにより、可撓継手4の第1、第2環状部4b,4cの対向間隔が不変になる。この状態で配管3に組み付けるようにすれば、作業が比較的簡易に行えるようになる。この作業が終了すると、調整用ボルト11および調整用ナット12は取り外される。
ところで、上記可撓継手4の設置領域には、動き規制機構13が設置されている。この動き規制機構13は、配管3における第1分離端3aと第2分離端3bとの中心軸線方向ならびに径方向に動くときの変位量を制限することにより、可撓継手4の中心軸線方向ならびに径方向の動きを制限するものである。つまり、この動き規制機構13は、可撓継手4に過剰な負荷が作用することを抑制または防止するために設けられている。
具体的に、動き規制機構13は、配管3の円周数ヶ所(この実施形態では8ヶ所)に設けられており、単一のタイバー14、第1ストッパ15、第2ストッパ16、第1取付片17A、第2取付片17B、第1緩衝環体18A、第2緩衝環体18Bなどを備えている。
タイバー14は、丸棒形状とされていて、その中心軸線方向の両端の所定長さ範囲には、雄ねじが形成されている。第1、第2ストッパ15,16は、タイバー14において第1、第2取付片17A,17Bよりも外側の雄ねじ(符号省略)に隣り合わせに螺合される2つのナットとされており、そのダブルナット効果によってタイバー14に対する取り付け位置が不動とされている。
第1、第2取付片17A,17Bは、配管3における第1分離端3aおよび第2分離端3bの外側面(可撓継手4の存在していない側の面)にボルト19およびナット(図示省略)により取り付けられている。第1、第2取付片17A,17Bには、タイバー14の外径寸法よりも適宜大きく設定された貫通孔17A1,17B1が設けられている(図3参照)。第1、第2取付片17A,17Bの貫通孔17A1,17B1には、タイバー14が中心軸線方向ならびに径方向に変位可能な状態で挿入される。
第1、第2緩衝環体18A,18Bは、配管3における第1分離端3aまたは前記第2分離端3bに衝突したときに衝撃を減衰するために設けられる。なお、第1、第2緩衝環体18A,18Bの代わりに、球面ワッシャを用いることが可能である。
ここで、仮に、上述した構成の可撓継手4が過負荷または経年劣化によって破損すると、配管3の内部を流通する冷却水が外側へ漏れるおそれがある。そのような場合、前記漏水を防止するために、配管3において可撓継手4の存在する領域の外径側に止水カバー20を設置することが可能である。
この止水カバー20の詳細について、図2から図6を参照して説明する。
止水カバー20は、弾性シール環体30と、第1、第2支持部40,50と、第1、第2密封装置としてのスラストシールリング60,70とを含む構成である。
弾性シール環体30は、配管3に組み付けられた可撓継手4の外径側を覆うものである。この弾性シール環体30は、例えば平坦な一枚の帯状のシートを円筒形に丸めて、その長手方向の両端を結合することにより作成されたものであって、その中心軸線方向の中間部分が折り畳まれている。
この弾性シール環体30の長手方向両端を結合する形態としては、一枚の帯状のシートの長手方向両端を重合させておいて、当該重合部分をゴム系接着剤などにより接着してから、当該接着部分の両面から補強用パッチシートを接着するようにしている。なお、弾性シール環体30の長手方向両端を結合する形態としては、一枚の帯状のシートの長手方向両端を重ね合わせておいて、当該重ね合わせ部分の間に未加硫ゴムシートを挟み、当該重合部分全体を加熱、加圧することにより、加硫接合する形態とすることが可能である。
具体的に、弾性シール環体30は、詳細に図示していないが、適宜の補強布(例えばポリアミド、ポリエステルなどの強化繊維)を芯材として適宜のゴム材(シリコンゴム、ニトリルブタジエンラバー、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなど)などを被覆した構成とされている。
この弾性シール環体30の幅方向(中心軸線方向)の一端側および他端側には、第1、第2厚肉部31,32が設けられている。
第1、第2支持部40,50は、弾性シール環体30の中心軸線方向の一端側および他端側を支持するとともに、配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分にそれらを挟むような状態で取り付けられる。
第1、第2支持部40,50は、第1、第2内側部材41,51と、第1、第2外側部材42,52と、第1、第2押さえ部材43,53とを含む構成である。
第1、第2支持部40,50の構成要素(第1、第2内側部材41,51、第1、第2外側部材42,52、第1、第2押さえ部材43,53と)については、円周方向で複数に分離されている。
その分離の形態としては、図5および図6に示されているが、この図5および図6には、第1、第2内側部材41,51と第1、第2外側部材42,52と第1、第2押さえ部材43,53とをそれぞれ構成する複数の分離体のうちの1つをそれぞれ示している。そのうち、第1、第2内側部材41,51については、その分離体それぞれの円周方向両端を結合することにより円周方向に連続する環体とされるようになっている。
ところで、第1、第2内側部材41,51ならびに第1、第2押さえ部材43,53の各分離体それぞれの当接部位については、円周方向に所定角度ずつずらすように配置すると、止水カバー20からの漏水防止効果をさらに高めることが可能になる。
第1、第2内側部材41,51は、第1、第2金属製環体4d,4eの内側面にそれぞれ対応して中心軸線方向で重ね合わされる。
この第1、第2内側部材41,51の外側面の外径側の円周数ヶ所には、ねじ穴41a,51aが設けられている。第1、第2内側部材41,51の外側面の径方向中間領域の円周数ヶ所には、内側ナット8およびねじ軸7の突出部分との干渉を回避するための逃げ部41b,51bが設けられている。
この逃げ部41b,51bとしては、板厚方向に凹む凹部とされている。この逃げ部41b,51bとしての凹部は、内側のナット8およびねじ軸7の内側突出端に対して非接触となるように大きく形状とされている。
また、第1、第2内側部材41,51の外周面には、それぞれ円周方向に連続する外周溝41c,51cが設けられている。この外周溝41c,51cは、下記するように弾性シール環体30の一端側および他端側を支持するために設けられている。
さらに、第1、第2内側部材41,51の内側における内径側角部には、それぞれ径方向外向きに凹む環状凹部41d,51dが設けられている。この環状凹部41d,51d内には、下記する第1、第2スラストシールリング60,70が取り付けられる。
第1、第2内側部材41,51の円周方向の一端側の分離部分(分離端とも言う)には、それぞれ締結用凹部41e,51e(図3、図5、図6参照)が設けられており、この締結用凹部41e,51eを設けることによって前記分離部分の端壁面が板状になっている。この複数に分離されている第1、第2内側部材41,51を結合するには、その分離部分をそれぞれ円周方向で突き合わせて、当該各突き合わせ部分をボルト83およびナット84(図3のみ記載)により結合するようにしている。前記各突き合わせ部分には、図示していないが、適宜のシールパッキンを介装することがある。
第1、第2外側部材42,52は、配管3における第1、第2分離端3a,3bの外側面にそれぞれ対応して中心軸線方向から重合されるように配置される。
この第1、第2外側部材42,52は、円周数ヶ所で分離されており、複数の扇形の分離体それぞれが円周方向で並ぶように配置される。このように分離しているのは、上記動き規制機構13の第1、第2取付片17A,17Bとの干渉を避けるためである。但し、動き規制機構13を設置しない場合には、第1、第2外側部材42,52を円周方向に連続して環状板のような形状とすることが可能である。
この第1、第2外側部材42,52の外接円の直径寸法は、第1、第2内側部材41,51の外径寸法と同一に設定されており、これら第1、第2内側部材41,51の外径寸法および第1、第2外側部材42,52の外接円の直径寸法は、第1、第2金属製環体4d,4eよりも大きく設定されているが、第1、第2金属製環体4d,4eの第1、第2突片4f,4gの外接円の直径寸法よりも小さく設定されている。
第1、第2外側部材42,52を構成する複数の分離体それぞれには、板厚方向に貫通する複数のねじ通孔42a,52aが設けられている。また、第1、第2外側部材42,52のを構成する複数の分離体それぞれには、外側ナット9およびねじ軸7の突出部分との干渉を回避するための逃げ部42b,52bが設けられている。この逃げ部42b,52bは、板厚方向に貫通する貫通孔とされている。この逃げ部42b,52bとしての貫通孔の内径寸法は、外側ナット9の外径寸法よりも大きく設定されている。
この逃げ部42b,52bとしての貫通孔の外側開口には、当該貫通孔を閉塞するためのカバー42c,52cが配置されている。このカバー42c,52cは、環状板からなり、下記ナット85により固定される。
この第1、第2外側部材42,52は、配管3における第1、第2分離端3a,3bのそれぞれに中心軸線方向から重ね合わされた状態で、ねじ軸7の外側突出部分において外側ナット9のさらに外側領域にナット85を螺合することにより配管3の第1、第2分離端3a,3bに固定されるようになっている。
そして、ボルト82を第1、第2外側部材42,52のねじ通孔42a,52aに挿通して第1、第2内側部材41,51のねじ穴41a,51aに螺合することにより、第1、第2内側部材41,51と第1、第2外側部材42,52とが一体に連結されることになる。この連結によって第1、第2内側部材41,51と第1、第2外側部材42,52とが配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分に対して軸方向から圧接されることになって当該フランジ結合部分を挟むようになる。
第1、第2押さえ部材43,53は、円筒形に形成されており、第1、第2内側部材41,51の外周面に外嵌装着されることにより固定されるようになっている。
この第1、第2押さえ部材43,53は、円周数ヶ所で分離されており、複数の部分円筒形の分離体それぞれが円周方向で並ぶように配置される。この第1、第2押さえ部材43,53の分離体それぞれは、互いに結合されずに、個別に第1、第2内側部材41,51に結合されるようになっている。
ここで、前記した弾性シール環体30の一端側および他端側を第1、第2支持部40,50に支持させるには、弾性シール環体30の第1、第2厚肉部31,32を第1、第2内側部材41,51の外周溝41c,51c内に嵌入しておいて、第1、第2押さえ部材43,53を第1、第2内側部材41,51の外周面にボルト81で留めることにより行う。
これら第1、第2内側部材41,51、第1、第2押さえ部材43,53ならびに第1、第2外側部材42,52は、例えばアルミニウム合金、炭素鋼またはステンレス鋼などの適宜の材料により形成されるが、軽量な材料を選択すれば配管3に対する負荷を軽減するうえで有利となる。
第1、第2スラストシールリング60,70は、可撓継手4からの漏水を第1、第2支持部40,50のそれぞれから外側への漏水を個別に防止するものである。
この第1、第2スラストシールリング60,70は、第1、第2内側部材41,51の環状凹部41d,51d内に嵌入されることによって取り付けられるものであって、そのリップが可撓継手4の第1、第2金属製環体4d,4eの内側面に軸方向から圧接されるようになっている。
このように密封装置として第1、第2スラストシールリング60,70を用いている理由について説明する。
仮に、可撓継手4からの漏洩した水分が止水カバー20の内側空間内に存在している場合には、当該水分が、可撓継手4の第1、第2金属製環体4d,4eと第1、第2支持部40,50の第1、第2内側部材41,51とが当接する面を経て外側へ漏洩する可能性が高くなるが、第1、第2内側部材41,51の逃げ部41d,51dを凹部にしているので、ねじ部材(ねじ軸7、内側ナット8、外側ナット9)を伝って外側へ漏洩することは防止できる。
そこで、前記水分漏洩の可能性が高い場所に、第1、第2密封装置としての第1、第2スラストシールリング60,70を配置しているのである。このような第1、第2密封装置であれば、仮に可撓継手4から漏水が発生した場合においても当該漏水を止水カバー20の内側空間に閉じ込めることが可能になる。
次に、止水カバー20の設置手順について、図9から図14を参照して詳細に説明する。図9から図14は、図2を基準として示されている。
要するに、配管3における第1分離端3aと可撓継手4の第1環状部4bとの一端側のフランジ結合部分に第1支持部40を設置するとともに、配管3における第2分離端3bと可撓継手4の第2環状部4cとの他端側のフランジ結合部分に第2支持部50を設置してから、第1、第2支持部40,50に弾性シール環体30を支持させる。
具体的に、第1工程として、図9に示すように、この可撓継手4の第1金属製環体4dの内側で第1内側部材41の分離体それぞれを重合させるように配置するとともに、この第1内側部材41の環状凹部41d内に第1スラストシールリング60を嵌め入れる。
第2工程として、図10に示すように、前記第1内側部材41の各分離体において円周方向で隣り合うもの同士をボルト83およびナット84でそれぞれ結合する。これにより、第1内側部材41が前記配置場所に仮止めされることになる。
第3工程として、図11に示すように、第1外側部材42を配管3の第1分離端3aの外側面に軸方向から重合させるように配置し、ねじ軸7の外側突出部分において外側ナット9のさらに外側領域にカバー42c,52cを介してナット85を螺合することにより第1外側部材42を配管3の第1分離端3aに固定する。
第4工程として、図12に示すように、ボルト82を第1外側部材42のねじ通孔42aに挿通して第1内側部材41のねじ穴41aに螺合する。これにより、第1内側部材41と第1外側部材42とが前記一端側のフランジ結合部分を軸方向から挟むようになる。
上記第1〜第4工程により第1支持部40の設置が完了する。この後、上記第1〜第4工程と同様の手順により、図13に示すように、前記他端側のフランジ結合部分に第2支持部50を設置する。
続いて、図14に示すように、弾性シール環体30を可撓継手4の外径側に覆い被せるように配置し、この弾性シール環体30の幅方向(中心軸線方向)の一端側を第1内側部材41に第1押さえ部材43およびボルト81を用いて固定するとともに、弾性シール環体30の幅方向の他端側を第2内側部材51に第2押さえ部材53およびボルト81を用いて固定する。これにより、止水カバー20の設置が完了する。
ところで、止水カバー20は、第1、第2内側部材41,51、第1、第2外側部材42,52を円周方向に複数に分離しているから、配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分に動き規制機構13を設置している場合であっても、当該動き規制機構13のタイバー14と干渉しないように取り付けることが可能になっている。
以上説明したように本発明を適用した実施形態1では、止水カバー20の設置対象となる配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分に特別な変更を加えることなく、可撓継手4の外径側に配管3の中心軸線方向ならびに径方向の動きを許容可能でかつ前記フランジ結合部分の外径側への張り出しが小さい止水カバー20を比較的簡易に設置できるようにしている。
これにより、可撓継手4から漏水が発生したときに、この漏水が止水カバー20の外側に漏洩することを防止できるようになる。
また、第1、第2支持部40,50を構成する第1、第2内側部材41,51の外径寸法および第1、第2外側部材42,52の外接円の直径寸法を前記フランジ結合部分の外径寸法より大きくかつ第1、第2金属製環体4d,4eの外接円の直径寸法よりも小さく設定したうえで、第1、第2内側部材41,51と第1、第2外側部材42,52とで前記フランジ結合部分を軸方向両側から挟むようにしているから、前記フランジ結合部分の外径側への止水カバー20の張り出しを可及的に小さくした状態で設置できるようになる。これにより、可撓継手4の外径側に余裕のスペースを大きく確保できない場合に適した止水カバー20を提供できるようになる。
しかも、止水カバー20の弾性シール環体30による中心軸線方向ならびに径方向の動きの許容量を、可撓継手4による中心軸線方向ならびに径方向の動きの許容量よりも大きく設定することが可能になるから、配管3が中心軸線方向ならびに径方向に動くことによって止水カバー20に過負荷がかかるような状況においても当該止水カバー20が破損しにくくなるなど、止水カバー20による漏水防止構造を維持することが可能になる。
さらに、止水カバー20の弾性シール環体30の一端側および他端側を第1、第2内側部材41,51にそれぞれボルト81で固定するようにしているから、いずれか片側のボルト81を緩めて弾性シール環体30のいずれか片側を捲れば止水カバー20の内側を点検できるようになる。また、弾性シール環体30を交換するときもボルト81および第1、第2押さえ部材43,53を脱着するだけで比較的簡易に行えるようになる。
図15から図25を参照して、本発明の実施形態2を説明する。この実施形態2では、止水対象となる可撓継手4が、例えば図15に示すように、第1、第2金属製環体4d,4eが環状板部4d1,4e1と円筒部4d2,4e2とを含む形状となったタイプ、換言すれば上半分の断面がL字形状に形成されたタイプになっており、このようなタイプの可撓継手4の外径側に設置するのに適した構成の止水カバー20を例示している。
この実施形態2の止水カバー20において、上記実施形態1と相違する構成は第1、第2内側部材41,51と第1、第2密封装置としてのスラストシールリング60,70とであり、その他の構成要素(弾性シール環体30、第1、第2外側部材42,52、第1、第2押さえ部材43,53)の構成については上記実施形態1と基本的に同じになっている。また、第1、第2支持部40,50を配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分に軸方向から挟んで取り付ける形態についても上記実施形態1と基本的に同じになっている。
具体的に、第1、第2内側部材41,51の内径寸法を上記実施形態1に比べて可及的に小さく設定している。
このようにした場合には、第1、第2内側部材41,51の逃げ部41b,51bの存在する領域の内径側の薄肉部分の厚み寸法が上記実施形態1に比べて小さくなるために、上記実施形態1で例示した第1、第2スラストシールリング60,70を上記実施形態1と同じように設置することができなくなる。
そこで、この実施形態2の場合には、第1、第2密封装置として上記実施形態1に例示した第1、第2スラストシールリング60,70の代わりに第1、第2ラジアルシールリング61,71を用いるようにしている。
この第1、第2ラジアルシールリング61,71は、第1、第2内側部材41,51の内側における内径側角部に設置されており、そのリップは可撓継手4の第1、第2金属製環体4d,4eの円筒部4d2,4e2の外周面に径方向から圧接されるようになっている。
詳しくは、第1、第2内側部材41,51の内側における内径側角部には、径方向外向きに凹む環状凹部41d,51dが設けられている。この環状凹部41d,51d内に第1、第2ラジアルシールリング61,71を嵌め入れて、この環状凹部41d,51dの外側開口に第1、第2ラジアルシールリング61,71を抜け止めするための抜け止め部材62,72をボルト86(図23のみ記載)で留めるようにしている。抜け止め部材62,72は、環状板とされている。
このように密封装置として第1、第2ラジアルシールリング61,71を用いている理由について説明する。
仮に、可撓継手4から漏洩した水分が止水カバー20の内側空間内に存在している場合には、当該水分が、可撓継手4の第1、第2金属製環体4d,4eと第1、第2支持部40,50の第1、第2内側部材41,51とが当接する面を経て外側へ漏洩する可能性が高くなるが、第1、第2内側部材41,51の逃げ部41d,51dを凹部にしているので、ねじ部材(ねじ軸7、内側ナット8、外側ナット9)を伝って外側へ漏洩することは防止できる。
そこで、前記水分漏洩の可能性が高い場所に、第1、第2密封装置としての第1、第2ラジアルシールリング61,71を配置しているのである。このような第1、第2密封装置であれば、仮に可撓継手4から漏水が発生した場合においても当該漏水を止水カバー20の内側空間に閉じ込めることが可能になる。
この実施形態2の止水カバー20の設置手順について、図20から図25を参照して詳細に説明する。
要するに、配管3における第1分離端3aと可撓継手4の第1環状部4bとの一端側のフランジ結合部分に第1支持部40を設置するとともに、配管3における第2分離端3bと可撓継手4の第2環状部4cとの他端側のフランジ結合部分に第2支持部50を設置してから、第1、第2支持部40,50に弾性シール環体30を支持させる。
具体的に、第1工程として、図20に示すように、可撓継手4の第1金属製環体4dの内側に第1内側部材41の分離体それぞれを重合させるように配置する。
第2工程として、図21に示すように、前記第1内側部材41の各分離体において円周方向で隣り合うもの同士をボルト83およびナット84でそれぞれ結合する。これにより、第1内側部材41が前記配置場所に仮止めされることになる。
第3工程として、図22に示すように、第1外側部材42を配管3の第1分離端3aの外側面に軸方向から重合させるように配置し、ねじ軸7の外側突出部分において外側ナット9のさらに外側領域にカバー42c,52cを介してナット85を螺合することにより第1外側部材42を配管3の第1分離端3aに固定する。
第4工程として、図23に示すように、ボルト82を第1外側部材42のねじ通孔42aに挿通して第1内側部材41のねじ穴41aに螺合する。これにより、第1内側部材41と第1外側部材42とが前記一端側のフランジ結合部分を軸方向から挟むようになる。
第5工程として、図23に示すように、第1内側部材41の環状凹部41d内に第1ラジアルシールリング61を嵌め入れて、抜け止め部材62をボルト86で留める。
上記第1〜第5工程により第1支持部40の設置が完了する。この後、上記第1〜第5工程と同様の手順により、図24に示すように、他端側のフランジ結合部分に第2支持部50を設置する。
続いて、図25に示すように、弾性シール環体30を可撓継手4の外径側に覆い被せるように配置し、この弾性シール環体30の幅方向(中心軸線方向)の一端側を第1内側部材41に第1押さえ部材43およびボルト81を用いて固定するとともに、弾性シール環体30の幅方向の他端側を第2内側部材51に第2押さえ部材53およびボルト81を用いて固定する。これにより、止水カバー20の設置が完了する。
以上説明したように本発明を適用した実施形態2では、止水カバー20の設置対象となる配管3と可撓継手4とのフランジ結合部分に特別な変更を加えることなく、可撓継手4の外径側に配管3の中心軸線方向ならびに径方向の動きを許容可能でかつ前記フランジ結合部分の外径側への張り出しが小さい止水カバー20を比較的簡易に設置できるようにしている。
これにより、可撓継手4から漏水が発生したときに、この漏水が止水カバー20の外側に漏洩することを防止できるようになる。
また、第1、第2支持部40,50を構成する第1、第2内側部材41,51の外径寸法および第1、第2外側部材42,52の外接円の直径寸法を前記フランジ結合部分の外径寸法より大きくかつ第1、第2金属製環体4d,4eの外接円の直径寸法よりも小さく設定したうえで、第1、第2内側部材41,51と第1、第2外側部材42,52とで前記フランジ結合部分を軸方向両側から挟むようにしているから、前記フランジ結合部分の外径側への止水カバー20の張り出しを可及的に小さくした状態で設置できるようになる。これにより、可撓継手4の外径側に余裕のスペースを大きく確保できない場合に適した止水カバー20を提供できるようになる。
しかも、止水カバー20の弾性シール環体30による中心軸線方向ならびに径方向の動きの許容量を、可撓継手4による中心軸線方向ならびに径方向の動きの許容量よりも大きく設定することが可能になるから、配管3が中心軸線方向ならびに径方向に動くことによって止水カバー20に過負荷がかかるような状況においても当該止水カバー20が破損しにくくなるなど、止水カバー20による漏水防止構造を維持することが可能になる。
さらに、止水カバー20の弾性シール環体30の一端側および他端側を第1、第2内側部材41,51にそれぞれボルト81で固定するようにしているから、いずれか片側のボルト81を緩めて弾性シール環体30のいずれか片側を捲れば止水カバー20の内側を点検できるようになる。また、弾性シール環体30を交換するときもボルト81および第1、第2押さえ部材43,53を脱着するだけで比較的簡易に行えるようになる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態1,2では、弾性シール環体30を例えば平坦な帯状のシートとしてその中心軸線方向の中間部分を折り畳むような状態で設置した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
例えば弾性シール環体30については、その中心軸線方向の中間部分を径方向外向きに膨らむように湾曲したアーチ形状、言い換えると前記中間部分の上半分の断面が「Ω」形状または半円形状になったものにすることが可能である。
(2)上記実施形態1,2では、止水カバー20の設置対象となる場所に動き規制機構13を設置している場合の止水構造を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、前記動き規制機構13を設置していない可撓継手4であっても本発明の止水カバー20を上記した構成のまま利用することができる。
(3)上記実施形態1,2では、第1、第2金属製環体4d,4eに第1、第2突片4f,4gを設けている例を挙げているが、第1、第2突片4f,4gを設けていない場合であっても、本発明の止水カバー20を上記した構成のまま利用することができる。