以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
[ 第1の実施形態]
図1は、平面図で部品実装装置を概略的に示している。同図及び後に用いる図面には、方向関係を明確化するためにXYZ直角座標軸が示されている。
部品実装装置は、基台1と、この基台1上でプリント配線板(PWB;Printedwiring board)等の基板3を搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4と、実装用のヘッドユニット5と、このヘッドユニット5を駆動するヘッドユニット駆動機構等とを備える。
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のベルトコンベア2aを含む。これらベルトコンベア2aは、同図の右側(−X方向側)から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、当該基板3の保持を解除し、この基板3を同図の左側(+X方向側)に搬出する。
前記部品供給部4は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながらヘッドユニット5に対して供給するものである。なお、部品供給部4の一部は、前記基台1の所定位置に着脱可能に装着(付設)される部品供給装置10により構成されている。この部品供給装置10は、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品(以下、単に部品と略す)をトレイに収納した状態でヘッドユニット5に対して供給するものである。この部品供給装置10については後に詳述する。
前記ヘッドユニット5は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の可動域MA内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、基台1上に設けられる一対の高架フレーム1a、1aにそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール110と、これら固定レール110に支持されてX方向に延びるユニット支持部材113と、このユニット支持部材113に螺合挿入されてY軸サーボモータ111により駆動されるボールねじ軸112とを含む。また、ユニット支持部材113に固定され、ヘッドユニット5をX方向に移動可能に支持する固定レール114と、ヘッドユニット5に螺合挿入されてX軸サーボモータ116を駆動源として駆動されるボールねじ軸115とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ116の駆動によりボールねじ軸115を介してヘッドユニット5をX方向に移動させるとともに、Y軸サーボモータ111の駆動によりボールねじ軸112を介してユニット支持部材113をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット5を一定の可動域MA内でX方向およびY方向に移動させる。
前記ヘッドユニット5は、先端にそれぞれ部品吸着用のノズルを備える複数本の実装用ヘッド5a(図2参照;本発明のヘッドに相当する)と、これら実装用ヘッド5aをヘッドユニット5に対して昇降(Z方向の移動)およびノズル中心軸回りに回転させるための図外のサーボモータを駆動源とするヘッド駆動機構等とを備える。各実装用ヘッド5aのノズルは、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。つまり、前記ノズルに負圧が供給されることで当該ノズルによる部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。なお、当実施形態では、ヘッドユニット5の上記可動域MA内であって実装用ヘッド5aにより部品の吸装着が可能な空間が本発明のヘッドの可動域に相当する。
次に、前記部品供給装置10について詳細に説明する。図2は、部品供給装置10を斜視図で概略的に示している。なお、部品実装装置及び部品供給装置10は、何れも、図中に示す+Y方向側が装置前側であり、−Y方向側が装置後側である。
図1及び図2に示すように、部品供給装置10は、フレーム12、マガジン14、部品供給テーブル15(本発明のパレット支持手段に相当する)、中継装置16(本発明の出し入れ手段に相当する)、テープフィーダ保持部18及び中継装置16の昇降駆動機構などを備えている。
前記フレーム12は、移動用の車輪を備えた平面視略矩形のベース11aと、このベース11aの略中央に立設される断面略矩形の中空柱部11bとからなる。
前記マガジン14は、このフレーム12の中空柱部11bの上端であってその後側(−Y方向側)に組み付けられている。マガジン14は、部品が収納された複数のトレイ(図1にのみ符号Tを付して示す)を収納する箱形の部材である。トレイは、上向きに開きかつマトリクス状に並ぶ複数の部品収納用凹部を有する平面視矩形の皿形の部材である。前記マガジン14の内部には、当該トレイを支持する複数のパレットPが上下方向(Z方向)に並列に、かつ装置前側に引き出し可能に収納されている。当実施形態では、20枚〜30枚のパレットPがマガジン14に収納されている。
ここで、パレットPの構造について説明する。パレットPは、図5(a)に示すように、周壁部を備えた平面視矩形の皿形の本体部6と、この本体部6の幅方向(X方向)両端において前記周壁部の上端から外向きに延びるフランジ部7とを備えており、これらフランジ部7が幅方向外側から支持されることにより、装置前側に引き出し可能な状態でマガジン14内に支持されている。また、パレットPは、本体部6の前後両端であってその幅方向中央にそれぞれ被係合部8を備えている。これら被係合部8は、マガジン14等に対するパレットPの出し入れの際に、後述する中継装置16に連結されるためのものであり、各被係合部8には、幅方向両側にそれぞれ外向きに開く平面視半円形状の切欠部8aが形成されている。なお、上述したトレイは、パレットPのうち前記本体部6の周壁部の内側に、当該周壁部に沿うように載置され、例えば磁石等の固定部材により当該本体部6に固定される。
前記マガジン14には、その背面(−Y方向側の側面)に部品交換用の開口部が設けられており、部品交換や部品補充の際には、この開口部を介してマガジン14の背面側からパレットPの出し入れが行われる。図示を省略するが、パレットPは、例えば10枚を一単位として所定のケース(図示省略)に収納されており、このケースごとマガジン14に収納されることで、当該ケースを介して前記マガジン14内に引き出し可能に支持されている。この構成により、部品実装装置での生産基板3の変更時などには、マガジン14内の複数のトレイ(部品)を一括して交換可能となっている。
前記部品供給テーブル15は、図1及び図2に示すように、前記フレーム12の中空柱部11bの上端であってその前側(+Y方向側)に組み付けられている。そして、この部品供給テーブル15と前記マガジン14との間の位置、つまり平面視でフレーム12の前記中空柱部11bの内側の位置に、中継装置16が昇降可能(Z方向に移動可能)に配置されている。
前記中継装置16は、主に、マガジン14と後に詳述する部品供給テーブル15との間でパレットPの受け渡しを行うものである。図3に示すように、中継装置16は、フレーム20と、2つの出し入れ用ヘッド25A、25B(第1出し入れ用ヘッド25A、第2出し入れ用ヘッド25B)と、これら出し入れ用ヘッド25A、25Bを前後方向(Y方向)に移動させるための出し入れ用ヘッド駆動機構と、出し入れ用ヘッド25A、25Bの後記係合部253を駆動するための係合部駆動機構とを含む。
前記フレーム20は、平面視略矩形のベースプレート21と、このベースプレート21の幅方向(X方向)両端に立設されて前後方向に延びる一対の側壁22とを有する。各側壁22の上端部には、前後方向に延びるガイド部24が備えられている。これらガイド部24は、前記パレットPを前後方向に案内するものである。各ガイド部24は、パレットPのフランジ部7を支持し、当該パレットPを幅方向(X方向)に拘束しつつ前後方向に案内することが可能な断面形状を有しており、少なくともパレットPの摺接部分には、摩擦係数を低減させるための例えば硬質アルマイト処理等の表面処理が施されている。
前記第1、第2の出し入れ用ヘッド25A、25Bは、マガジン14及び部品供給テーブル15に対してパレットPを出し入れするものである。当例では、第1出し入れ用ヘッド25Aがマガジン14に対するパレットPの出し入れを行い、第2出し入れ用ヘッド25Bが部品供給テーブル15に対するパレットPの出し入れを行う。
これら出し入れ用ヘッド25A、25Bは、フレーム20の幅方向中間を境にしてその両側に設けられている。各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、ベースプレート21上に固定されたY方向に延びるレール26にそれぞれ移動可能に支持されている。
各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、前記レール26に装着される本体部251と、この本体部251に対してX方向に移動可能となるように当該本体部251の上部に支持される可動部252とを備える。
可動部252には、係合部253が設けられている。この係合部253は、マガジン14等に対するパレットPの出し入れの際に、当該パレットPに対して当該出し入れ用ヘッド25A、25Bを連結するためのものである。
図4(a)、(b)に示すように、係合部253は、パレットPに係合可能な形状、具体的には前記被係合部8の切欠部8aに係合可能な断面円形の軸状を成す係合爪253aを備えており、この係合爪253aが可動部252から上向きに突出する作動位置(同図に実線で示す位置)と当該係合爪253aが可動部252に対して横向きに倒れる退避位置(図4(b)の二点鎖線に示す位置)とに亘って傾動可能に設けられ、前記係合部駆動機構により駆動されるようになっている。詳しく説明すると、前記可動部252には、Y方向に延びる支持軸254がその軸回りに回転自在に支持されており、この支持軸254の一方側の端部に前記係合部253が固定され、他方側の端部にピニオン255が固定されている。そして、前記本体部251にラック256が固定され、このラック256に前記ピニオン255が噛合している。この構成により、前記本体部251に対して可動部252がX方向に移動すると、この可動部252の移動に伴い前記ピニオン255、支持軸254及び係合部253が一体に回転し、その結果、係合部253が前記作動位置と退避位置とに変位するようになっている。そして、係合部253が作動位置に配置された状態では、図5(a)に示すように、パレットPの被係合部8(切欠部8a)に係合爪253aが係合可能となる一方、係合部253が退避位置に配置された状態では、同図(b)に示すように、当該係合状態が解除されるようになっている。
前記係合部駆動機構は、可動部252を進退駆動することにより前記係合部253を前記作動位置と退避位置とに亘って変位させるものである。この係合駆動機構は、図3に示すように、X方向において出し入れ用ヘッド25A、25Bの外側にそれぞれ配置され、Y方向と平行な支持軸281を介して前記ベースプレート21(フレーム20)上に揺動可能に支持される揺動部材28と、この揺動部材28に連結され、エア圧の給排切り換えに応じて当該揺動部材28を揺動させるエアシリンダ29とを含む。揺動部材28は、Y方向に延びるガイド軸282を備えており、前記出し入れ用ヘッド25A、25Bの可動部252がベアリング等を介してこのガイド軸282に移動可能に装着されている。つまり、前記係合部駆動機構は、エアシリンダ29の作動により揺動部材28を支持軸281回りに揺動させ、この揺動部材28の揺動に伴い前記ガイド軸282を介して可動部252をY方向に移動させる。
各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、前記出し入れ用ヘッド駆動機構により、レール26に沿って互いに反対向きに移動するようになっている。この出し入れ用ヘッド駆動機構は、ベースプレート21上の両レール26の間の位置であってX方向の両端にそれぞれ回転可能に支持される一対のプーリ30と、これらプーリ30に掛け渡される無端状の駆動ベルト32と、モータ34と、前記プーリ30のうち一方側のプーリ30に対して前記モータ34の回転駆動力を伝達する伝動機構とを含む。そして、出し入れ用ヘッド25A、25Bの前記本体部251がそれぞれ駆動ベルト32に対してその外側から連結(固定)されている。つまり、出し入れ用ヘッド駆動機構は、モータ34により駆動ベルト32を周方向に移動させ、この駆動ベルト32の移動に伴い出し入れ用ヘッド25A、25Bをそれぞれレール26及びガイド軸282に沿って互いに反対方向に移動させるように構成されている。
なお、各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、同図に示すように、互いに対称な構成を有している。すなわち、各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、前後方向(Y方向)においてフレーム20の外側に係合部253が位置し、かつ当該係合部253が退避位置にセットされた状態で係合爪253aが互いにフレーム20の幅方向(X方向)外側を向くように構成されている。また、両出し入れ用ヘッド25A、25Bのうち一方側がフレーム20の前後方向の一方側の端部に位置するときには、他方側がフレーム20の他方側の端部に位置するように、それぞれ出し入れ用ヘッド25A、25Bが前記ベルト32に連結されている。
前記中継装置16は、図2に示すように、前記中空柱部11b(フレーム12)に固定された上下方向(Z方向)に延びるレール36に移動可能に支持されており、前記昇降駆動機構の作動により昇降駆動されるようになっている。この昇降駆動機構は、前記中空柱部11bに回転可能に支持され、フレーム20に組み込まれた図外のナット部材に螺合挿入されるねじ軸38と、このねじ軸38を回転駆動するモータ(図示省略)等とを有しており、当該モータによりねじ軸38を正逆回転駆動することにより前記中継装置16を昇降させる。この昇降駆動機構は、マガジン14においてパレットPが収納されるパレット収納領域全体、および後述する部品供給テーブル15においてパレットPが支持されるパレット支持領域全体に亘って中継装置16を移動させるように構成されている。従って、中継装置16は、マガジン14に収納される任意のパレットPを出し入れ可能で、かつ、部品供給テーブル15の任意の後記支持段に対してパレットPを出し入れ可能である。なお、中継装置16は、ねじ軸38の回転が停止されることにより、パレットPを保持したままで、部品供給テーブル15の後記最上段の高さ位置を含む所望の高さ位置に保持されることが可能である。
前記部品供給テーブル15は、マガジン14から引き出されたパレットPを中継装置16から受け取り、前記ヘッドユニット5による部品の取り出しが可能となるように当該パレットP(トレイ)を支持するものである。図6に示すように、部品供給テーブル15は、平面視矩形のベースプレート40と、パレットPを支持するための4本のねじ軸42と、これらねじ軸42に支持されたパレットPを上下方向に移動させるためのパレット昇降機構(本発明の昇降手段に相当する)と、パレットPを幅方向(X方向)に位置決めするための幅方向位置決め機構44と、パレットPを前後方向に位置決めするための前後方向位置決め機構46とを含む。
部品供給テーブル15は、パレットPが無い状態で、4本のねじ軸42の内側の空間(ストック部Spという)がベースプレート40から上方に開放されている。
前記4本のねじ軸42は、その基端部近傍の位置から先端部に亘って同一形状のねじ山が連続的に螺旋状に形成された同一のねじ軸である。各ねじ軸42は、前記ベースプレート40の四隅にそれぞれ立設されており、図2及び図8に示すように、ベースプレート40の幅方向(X方向)両端にそれぞれ位置するねじ軸42の間にパレットPが挿入され、かつそのフランジ部7が各ねじ軸42のねじ溝(谷部)に挿入されることで、当該パレットPを支持するようになっている。当例では、図8に示すように、側面視でねじ溝一つおきにパレットPを支持するようになっており、各ねじ軸42は、同図に示すように、最大5枚のパレットPを上下方向に並列に支持できるようにその軸長及びねじのピッチが設定されている。そして、このように5枚のパレットPを支持したときの最上段(最上位)のパレットPの高さ位置、正確には、当該パレットPに支持されるトレイ内の部品の高さ位置が、部品実装装置の前記ヘッドユニット5(実装用ヘッド5a)による部品の取り出し高さ位置と等しくなるように、部品供給テーブル15の高さ位置が設定されるとともに、当該最上位のパレットPの高さ位置とマガジン14に支持される最上位のパレットPの高さ位置とが略同一となるように部品供給テーブル15に対する前記マガジン14の高さ位置が設定されている。すなわち、各ねじ軸42のねじ溝(谷部)は、2ピッチ毎にパレットPを支持する支持段を構成し、これらの支持段のうち、前記ヘッドユニット5(ヘッド5a)による部品の取り出し高さ位置となる最上位の支持段が最上段となる。
なお、ねじ軸42に複数枚のパレットPが支持される場合には、その最上位のパレットPに支持されるトレイ(最上位のトレイ)が上方に開放される。上記のように前記部品実装装置に部品供給装置10が連結された状態で、部品供給テーブル15は、ヘッドユニットのXY方向における可動域MA(図1参照)内に位置し、前記実装用ヘッド5aは、最上段に支持されることで、上方が開放された最上位のパレットPに支持されるトレイから部品を吸着する。
前記パレット昇降機構は、各ねじ軸42を同一方向に同期して回転させることで、当該ねじ軸42に支持されている各パレットPをそれらの位置関係を保ちながら一体的に昇降させるように構成されている。このパレット昇降機構は、図6及び図7に示すように、各ねじ軸42をその軸回りに回転可能となるように支持する、ベースプレート40に設けられるベアリング等のねじ支持部410(本発明のねじ軸の支持部)と、ベースプレート40の下方において各ねじ軸42に装着されるプーリ411と、これらプーリ411に掛け渡される無端状の伝動ベルト413と、この伝動ベルト413を張設するためのテンションプーリ412、414と、テンションプーリ414と同軸に設けられる駆動プーリ415と、モータ430と、当該モータ430の出力軸に装着されるプーリ431と、当該プーリ431と前記駆動プーリ415とに掛け渡される駆動ベルト432とを含む。つまり、パレット昇降機構は、モータ430の回転駆動力を、前記各プーリ及びベルトを介して各ねじ軸42に伝達することにより各ねじ軸42を同期して回転させさせるとともに、モータ430の駆動方向の切り換えによりねじ軸42の回転方向を切り換えることで、各ねじ軸42の回転に伴いそれらのねじ溝に沿ってパレットPを上下方向に移動させる。
前記幅方向位置決め機構44は、ねじ軸42に支持されているパレットPをその幅方向両側から挟み込むことにより、ベースプレート40の幅方向中央を基準として各パレットPを位置決めするものである。詳しくは、幅方向位置決め機構44は、図6に示すように、ベースプレート40の幅方向(X方向)両端に設けられる一対の位置決めプレート440と、これら位置決めプレート440をX方向に移動させるプレート駆動機構とを含む。
各位置決めプレート440は、互いに平行にかつX方向に向かい合わせに並んでおり、これらの対向面には、ねじ軸42に支持されているパレットPのフランジ部7を介在させるためのガイド溝441が形成されている。各位置決めプレート440は、前後に並んだねじ軸42の間に位置し、前記ベースプレート40に固定されたX方向に延びるレール442にそれぞれ移動可能に支持されている。具体的には、各位置決めプレート440は、ねじ軸42に支持されたパレットP(フランジ部7)の端部が前記ガイド溝441の内底部に当接するように互いに接近した作動位置と、この作動位置から外側に移動した位置であって、当該各位置決めプレート440の間で各パレットPが上下方向に移動することを許容する退避位置とに亘って移動可能となるように支持されている。
前記プレート駆動機構は、前後方向に延びてその長手方向の略中間で支持軸448を介して前記ベースプレート40に回転可能に支持される第1リンク部材445と、この第1リンク部材445の長手方向両端と各位置決めプレート440とを各々ヒンジ構造を形成しつつ繋ぐ一対の第2リンク部材446と、前記第1リンク部材445に連結され、エア圧の給排切り換えに応じて当該第1リンク部材445をその支持軸448回りに駆動するエアシリンダ447とを備える。つまり、プレート駆動機構は、エアシリンダ447により第1リンク部材445をその支持軸448回りに揺動させ、この第1リンク部材445の揺動に伴い各第2リンク部材446を介して各位置決めプレート440を作動位置と退避位置とに亘って幅方向(X方向)に移動させる。
前記前後方向位置決め機構46は、ねじ軸42に支持されているパレットPをベースプレート40の前端部を基準として前後方向に位置決めするとともに、パレットPの昇降時には、当該位置決め状態で各パレットPをそれぞれ上下方向に案内するものである。
前後方向位置決め機構46は、それぞれ前後方向(Y方向)に厚みを有し、ベースプレート40の前端面に沿って幅方向(X方向に)に並ぶ一対の位置決めプレート460と、これら位置決めプレート460をX方向に移動されるプレート駆動機構とを含む。
各位置決めプレート460は、図1及び図5に示すように、正面視で略直角三角形状を成し、X軸方向に互いに対向して上下方向に延びるガイド部460aをそれぞれ備えている。各位置決めプレート460のガイド部460aは、図9に示すように、パレットPの前側の被係合部8に対して外側(X方向外側)から係脱可能で、かつ当該係合状態を保ちながらパレットPの上下方向への変位を許容するように、当該被係合部8の切欠部8に対応した断面半円形に形成されている。なお、位置決めプレート460の各ガイド部460aには、パレットP(被係合部8)との摩擦係数を低減させるための例えば硬質アルマイト処理等の表面処理が施されている。
各位置決めプレート460は、ベースプレート40の前端面に固定された、X方向に延びるレール461にそれぞれ移動可能に支持されている。具体的には、互いに接近することにより、ねじ軸42に支持されているパレットPの被係合部8(各切欠部8a)にガイド部460aが係合する作動位置(図9の二点鎖線に示す位置)と、この作動位置から外側に退避する退避位置(図9の実線に示す位置)とに変位可能に支持されている。そして、各位置決めプレート460が作動位置にセットされた状態で、各ガイド部460aがパレットPの前側の被係合部8に外側から係合し、この係合によりパレットPを前後方向に位置決めする一方で、各位置決めプレート460が退避位置にセットされた状態で、パレットPの前後方向の移動を許容するようになっている。
前記プレート駆動機構は、図7に示すように、両ベースプレート40の中心線(幅方向中心を通りY方向と平行に延びる線)に沿って出力軸が進退するようにベースプレート40の下面に固定されるエアシリンダ462と、このエアシリンダ462の作動軸と各ベースプレート40とにそれぞれヒンジ構造を形成しつつ連結される一対のリンク463とを含み、前記エアシリンダ462の作動により、リンク463を介してそれぞれ各ベースプレート40を幅方向に均等に移動させるように構成されている。
図6中において、符号48は、ベースプレート40の後端であってその幅方向両端に立設されたパレットガイド部材である。これらパレットガイド部材48は、前記中継装置16による部品供給テーブル15へのパレットPの出し入れの際に、各パレットPのフランジ部7をそれぞれ案内するものであり、各パレットガイド部材48には、前記位置決めプレート440のガイド溝441と同等のガイド溝481が形成されている。
前記テープフィーダ保持部18は、図1及び図2に示すように、前記フレーム20の中空柱部11bの側方に固定されている。このテープフィーダ保持部18は、複数のテープフィーダ4を幅方向に並列に並べた状態で支持するものである。
なお、上述した部品供給装置10は、図1及び図2に示すように、部品実装装置(基台1)の所定位置に付設(連結)された状態で、中継装置16の前端部を含む領域が前記部品供給テーブル15と共に実装用ヘッド5aの可動領域、つまり、ヘッドユニット5の可動域MA内であって実装用ヘッド5aにより部品の吸着が可能な領域内に位置するように構成されている。
これにより、部品供給装置10は、部品供給テーブル15に支持されるパレットP上のトレイに加え、中継装置16に保持されたパレットP上のトレイからの部品供給も可能となっている。詳しくは、部品供給装置10は、図5(b)中に一点鎖線示すように、例えば中継装置16の前端にパレットPが配置され状態で、当該パレットPの全体が前記可動域MA内に位置するように構成されている。従って、この状態で中継装置16が部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置に配置されることで、前記ヘッドユニット5による当該パレットP(トレイ)からの部品の取り出しが可能となる。なお、中継装置16において、パレットPは、上記の通りフランジ部7を介してガイド部24上に支持される。つまり、当該パレットP上のトレイは、上方に開放された状態で中継装置16に保持されるため、ヘッドユニット5は、当該トレイの上から部品を取り出すことができる。
次に、上述した部品供給装置10による部品の供給動作について説明する。なお、図示を省略するが、部品供給装置10は、部品供給テーブル15や中継装置16を制御する制御装置を備えており、以下の動作は、この制御装置により部品供給テーブル15や中継装置16が制御されることにより行われる。
<マガジン14からのパレットPの引き出し>
中継装置16が上下方向に移動し、所望のトレイが支持されたパレットPに対応する高さ位置、つまりガイド部24上へパレットPを引き出すことが可能となる高さ位置で停止する。この際、各出し入れ用ヘッド25A、25Bは、その可動範囲内の所定の待機位置に配置されており、各係合部253は前記退避位置にセットされている。
中継装置16が所望のパレットPに対応する高さ位置に到達すると、図10(a)に示すように、第1出し入れ用ヘッド25Aがその可動範囲内の後端まで移動した後、当該第1出し入れ用ヘッド25Aの係合部253が退避位置から作動位置に切り換えられる。この切り換えにより、係合爪253aがパレットPの前側の被係合部8(切欠部8a)に係合し、当該パレットPと第1出し入れ用ヘッド25Aとが連結される。そして、この状態で第1出し入れ用ヘッド25Aが前方(+Y方向)に移動することにより、パレットPがガイド部24に支持されつつ中継装置16内に引き込まれる。また、この第1出し入れ用ヘッド25Aの移動に連動して第2出し入れ用ヘッド25Bが後方(−Y方向)に移動する。この際、第2出し入れ用ヘッド25Bの係合部253は退避位置にセットされており、従って、当該係合部253(係合爪253a)がパレットPに干渉することはない。
ここで、マガジン14から中継装置16に引き出されたパレットPが部品供給テーブル15に移載される場合には、出し入れ用ヘッド25A、25Bの位置が前後に入れ替わり、第2出し入れ用ヘッド25Bの係合部253が当該パレットPの後側の被係合部8に係合可能な位置まで両出し入れ用ヘッド25A、25Bが移動すると、第2出し入れ用ヘッド25Bの係合部253が退避位置から作動位置に切り換えられ、その後、第1出し入れ用ヘッド25Aの係合部253が作動位置から退避位置に切り換えられる。つまり、パレットPと第1出し入れ用ヘッド25Aの連結が解除され、当該パレットPが第2出し入れ用ヘッド25Bに連結される。
一方、マガジン14から中継装置16に引き出されたパレットPが、部品供給テーブル15に移載されることなく、中継装置16に支持されたまま当該中継装置16の上昇端(部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置)に運ばれる場合には、上記のような第1出し入れ用ヘッド25Aから第2出し入れ用ヘッド25BへのパレットPの連結切り換えは行われない。これにより当該切り換え時間の分だけ、動作時間が短縮される。
<部品供給テーブル15へのパレットPの移載>
マガジン14から中継装置16に引き出されたパレットPが部品供給テーブル15に移載される場合には、パレットPがマガジン14から中継装置16に引き込まれると、又はパレットPが中継装置16に引き込まれ、さらに出し入れ用ヘッド25A、25BとパレットPとの上記の連結切り換えが完了すると、中継装置16が上下方向に移動を開始し、ガイド部24から部品供給テーブル15(ねじ軸42)にパレットPを送り出すことが可能となる高さ位置で停止する。この際、ねじ軸42は、上記の通り、パレットPを支持可能な上下5つの支持段を有するため、中継装置16は、これら支持段のうち所望の支持段に対応する高さ位置で停止する。
中継装置16が当該所望の段に対応する高さ位置に到達すると、第2出し入れ用ヘッド25Bが前方に移動し、図10(b)に示すように、パレットPがガイド部24に沿って当該中継装置16から部品供給テーブル15側に押し出される。この際、パレットPは、そのフランジ部7がパレットガイド部材48のガイド溝481に沿って案内されながらまず後側の各ねじ軸42のねじ溝内に導かれ、さらに位置決めプレート440のガイド溝441に沿って案内されながら前側の各ねじ軸42のねじ溝内に導かれる。これにより各ねじ軸42によってパレットPが支持される。この際、幅方向位置決め機構44の各位置決めプレート440及び前後方向位置決め機構46の各位置決めプレート460は、何れも退避位置にセットされている。
第2出し入れ用ヘッド25Bがその可動範囲の前端(又は所定の前方位置)まで移動し、パレットPが中継装置16から完全に押し出されて当該パレットPの全体がねじ軸42に支持されると、前後方向位置決め機構46の位置決めプレート460が退避位置から作動位置に切り換えられる。これにより各位置決めプレート460のガイド部460aがパレットPの前側の被係合部8(切欠部8a)に係合し、当該パレットPが拘束されることで、パレットPが部品供給テーブル15において前後方向に位置決めされるとともに、これと並行して幅方向位置決め機構44の両位置決めプレート440が作動位置に切り換えられ、これによりパレットPが部品供給テーブル15において幅方向に位置決めされる。その後、第2出し入れ用ヘッド25Bの係合部253が作動位置から退避位置に切り換えられることにより、パレットPと当該第2出し入れ用ヘッド25Bとの連結が解除される。
<部品実装装置への部品供給>
例えば、取り出すべき部品が収納されるトレイを支持するパレットPが、部品供給テーブル15の最上段に支持されるとともに、取り出すべき部品が収納される別のトレイを支持するパレットPが、中継装置16に支持された状態(図10(b)の一点鎖線に示す状態)で部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置に配置される。これにより、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットPと中継装置16に支持されるパレットPとが同一高さ位置で前後横並びに配置され、ヘッドユニット5(実装用ヘッド5a)により、両パレットP上のいずれか一方あるいは両方のトレイから部品の取り出しが行われる。
このように部品供給テーブル15及び中継装置16から部品を供給する場合としては、ヘッドユニット5の複数の実装用ヘッド5aを用いて複数の同一部品が取り出される場合と、ヘッドユニット5の複数の実装用ヘッド5aを用いて異なるパレットP(トレイ)に収納された異種部品を取り出す場合がある。そして、この部品実装装置では、後に詳述するように、部品供給テーブル15の最上段および上昇端に配置された中継装置16にそれぞれ支持されるパレットPの交換を効率化したり、交換頻度を低減させることで、ヘッドユニット5による部品の実装効率を向上させることができる。
なお、部品供給テーブル15において、取り出すべき部品が収納されたトレイを支持するパレットPが例えば二段目(上から二段目)に支持された場合であって最上段に未だパレットPが支持されていない場合には、当該二段目のパレットPが最上段に上昇させられた上で当該パレットPから部品の取り出しが行われる。
当該パレットPの上昇は、モータ430の作動により各ねじ軸42が同期して同一方向に回転駆動されることにより行われる。つまり、各ねじ軸42が同期回転することにより、パレットPがねじ溝に沿って二段目から最上段に上昇する。なお、このようにねじ軸42が回転駆動される際には、前後方向位置決め機構46の位置決めプレート460は作動位置にセットされる一方、幅方向位置決め機構44の各位置決めプレート440はそれぞれ退避位置にセットされる。これによりパレットPはその被係合部8が位置決めプレート460(ガイド部460a)に沿って案内されつつ安定的に上昇することとなる。また、パレットPが最上段に達すると、幅方向位置決め機構44の作動により各位置決めプレート440が退避位置から作動位置に変位し、再度退避位置に戻る進退動作が一乃至複数回行われ、これによりパレットPの幅方向の位置決めが行われる。そして、パレットPの位置決めの後、前後方向位置決め機構46の各位置決めプレート460と幅方向位置決め機構44の各位置決めプレート440とがそれぞれ作動位置にセットされたまま、ヘッドユニット5により、当該パレットPに支持されたトレイからの部品の取り出しが行われることとなる。
<パレットPの収納>
上昇端に位置する中継装置16に支持されている不要パレットP(部品供給を終えた不要パレットP)は、上述した動作と逆の動作に従ってマガジン14に戻される。一方、部品供給テーブル15の最上段に支持されている不要パレットPは、上昇端に位置する中継装置16に支持されたパレットPが、部品供給テーブル15あるいはマガジン14の収納段(パレットPを支持していない収納段)に一旦収納された後、上述した動作と逆の動作に従ってマガジン14に戻される。すなわち、最上段のパレットPに対応する高さ位置に中継装置16が移動した後、ねじ軸42に支持されているパレットPを第2出し入れ用ヘッド25Bにより部品供給テーブル15から中継装置16上に引き込む。次に、中継装置16が上下方向に移動するとともに、この移動中に、パレットPと第2出し入れ用ヘッド25Bの連結が解除されて当該パレットPが第1出し入れ用ヘッド25Aに連結される。そして、中継装置16がマガジン14の所望の空のパレット収納高さ位置に達すると、第1出し入れ用ヘッド25Aが後側に移動してパレットPを中継装置16からマガジン14内に押し出し、この押し出し後、当該第1出し入れ用ヘッド25AとパレットPとの連結が解除される。これによりマガジン14へのパレットPの収納が完了する。この場合、幅方向位置決め機構44の各位置決めプレート440は、パレットPの昇降時、及び中継装置16に対するパレットPの受け渡し時には退避位置に保持され、それ以外は作動位置に保持される。一方、前後方向位置決め機構46の各位置決めプレート460は、中継装置16に対するパレットPの受け渡し時には退避位置に保持され、それ以外は作動位置に保持される。
次に、部品供給テーブル15および中継装置16の双方のパレットPから部品の供給を行う場合の具体的な動作例について、その作用効果と共に説明する。なお、同図中では、パレットPを区別するために符号Pに番号を付記している。
(第1動作例)
まず、継続的に同一部品を供給する場合の動作例について図11を用いて説明する。
この例では、まず、中継装置16により、同一部品が支持されたパレットP1〜P5をマガジン14から引き出して部品供給テーブル15に移載し、その後中継装置16を上昇端の位置に待機させる。この状態で、図11(a)に示すように、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP1(トレイ)からヘッドユニット5に部品を供給する。
最上段のパレットP1の部品の残数が所定数以下になると、部品供給テーブル15の最上段のパレットP1を中継装置16に引き出し(図11(b))、必要に応じて中継装置16のパレットPから部品を取り出せる。また、中継装置16の位置を上昇端に保ったまま、前記ねじ軸42を回転駆動して、部品供給テーブル15の各パレットP2〜P5を連動して1段ずつ繰り上げる。これにより、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP2と中継装置16に支持されるパレットP1とを同一高さ位置で前後横並びに配置する(図11(c);本発明のトレイ配置工程に相当する)。
この状態で、部品供給テーブル15の最上段のパレットP2及び中継装置16のパレットP1から部品を供給する(本発明の部品取り出し工程に相当する)。この際、中継装置16のパレットP1から優先的に部品が取り出されるようにヘッドユニット5を制御する。
そして、中継装置16のパレットP1内の部品が無くなると、部品供給テーブル15の最上段のパレットP2から部品を供給する一方で、パレットP1をマガジン14に戻し、その後、中継装置16により新たなパレットP6をマガジン14から引き出して部品供給テーブル15の最下段に移載する(図11(d))。以後、上記の動作を繰り返すことにより、継続的に同一部品を供給する。
この動作によれば、ヘッドユニット5により先行するパレットP1からの部品の取り出しが所定回数行われた時点でパレットP1を部品供給テーブル15から中継装置16に移動させることで、この移動後直ちに、中継装置16に支持されるパレットP1から部品の取り出しを行わせることができ、また、この部品の取り出しの最中に、部品供給テーブル15において後続するパレットP2を最上段に移動させることで、それ以降は、中継装置16のパレットP1と部品供給テーブル15のパレットP2との両方から部品の取り出しを行わせることが可能とする。そして、中継装置16のパレットP1の部品が無くなった場合には、部品供給テーブル15のパレットP2から部品の取り出しを行わせるとともに、この間に中継装置16のパレットP1のマガジン14への収納、新たなパレットP6の搬入等、次に備えた動作を行うことができる。そのため、パレットPの切り替えのために、パレットPからの部品の取り出しを中止せざるを得ない時間を短縮でき、その結果、実装効率を向上させることができる。また、ヘッドユニット5により先行するパレットP1から部品の出しが行われている最中に当該パレットP1の部品が無くなった場合でも、後続するパレットP2から部品を取り出させることで、ヘッドユニット5による部品の取り出し動作中に部品切れが生じることを確実に防止することが可能となる。
(第2の動作例)
次に、異種部品を予め定められた順番で連続的に供給する場合の動作例について図12を用いて説明する。なお、当例では、同図中、パレットPに付記される番号が小さいものから順に供給するものとする。
まず、互いに異なる5種類の部品(トレイ)が支持されたパレットP1〜P5を順次マガジン14から引き出し、部品供給テーブル15及び中継装置16により支持させる。具体的には、図12(a)に示すように、供給順番が最も早い部品(トレイ)が支持されたパレットP1を中継装置16に支持させ、残りの部品が支持されたパレットP2〜P5については、供給順番が早い部品が上位に位置するように、それぞれ部品供給テーブル15(1段目(最上段)〜4段目)に支持させる。また、中継装置16は、部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置に配置する。これにより、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP2と中継装置16に支持されるパレットP1とを同一高さ位置で前後横並びに配置する(本発明のトレイ配置工程に相当する)。
この状態で、部品供給テーブル15の最上段のパレットP2及び中継装置16のパレットP1から部品を供給する(本発明の部品取り出し工程に相当する)。
両パレットP1、P2からの部品の取り出しが終了すると、中継装置16のパレットP1及び部品供給テーブル15の最上段のパレットP2を順次、マガジン14に戻すとともに、部品の供給順番に従い、つぎのパレットP6,P7をマガジン14から引き出し部品供給テーブル15に移載する。詳しくは、まず、中継装置16に支持されるパレットP1をマガジン14に戻した後、次のパレットP6を中継装置16によりマガジン14から引き出して部品供給テーブル15の最下段に移載する(図12(b))。次いで、中継装置16により部品供給テーブル15の最上段のパレットP2を引き出してマガジン14に戻した後(図12(c))、前記ねじ軸42を回転駆動して、部品供給テーブル15の各パレットP3〜P6を連動して1段ずつ繰り上げ、さらに、次のパレットP7を中継装置16によりマガジン14から引き出して部品供給テーブル15の最下段(最下位;5段目)に移載する(図12(d))。そして、部品供給テーブル15の最上段のパレットP3を中継装置16に引き出して支持した後、この中継装置16の高さ位置を保ったまま、ねじ軸42を回転駆動し、部品供給テーブル15の各パレットP4〜P7を連動して1段ずつ繰り上げる(図12(e))。これにより、部品供給テーブル15の最上段のパレットP3及び中継装置16のパレットP4から次の2種類の部品を供給する。
以後、同様にして、図12(a)〜(e)の動作を繰り返すことにより、部品供給テーブル15の最上段のパレットP及び中継装置16のパレットPから順次2種類の異なる部品を供給するようにする。
このような動作によれば、一つの実装ターン(各実装用ヘッド5aにより部品供給部4、10から部品を吸着し、その後ヘッドユニット5が基板上方に移動して各部品の実装を行い、その後再び部品供給部4,10上方に戻るまでの工程を言う)において、上記の通り、互いに異なる部品が収納された2つのパレットPを用いて異なる部品をヘッドユニット5の複数の実装用ヘッド5aに供給することが可能となり、パレットPの交換頻度を低減させることができる。
以上のように、上記の部品供給装置10によれば、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP(トレイ)からヘッドユニット5(実装用ヘッド5a)に部品を供給する一方で、必要に応じて、中継装置16に支持されるパレットP(トレイ)からも直接ヘッドユニット5に部品を供給することができる。つまり、この部品供給装置10によれば、同時に2つのパレットP(トレイ)を用いて部品を供給することが可能であり、これにより、上記のように、ヘッドユニット5による部品取り出し動作中に部品切れが発生することを防止でき、また、1つのパレットP(トレイ)に複数種類の部品を収納することなく、ヘッドユニット5に対して複数種類の部品を同時に供給することが可能となる。そのため、常に1つのパレットのみから部品供給が行われる従来の部品供給装置と比べると、非常に効率良く部品を供給することができる。従って、部品切れや異種部品の供給に伴うパレット交換などのためにヘッドユニット5に待機時間が生じることを効果的に抑制でき、これにより部品実装装置における実装作業をより効率良く進めることが可能となる。
また、この部品供給装置10によれば、予め複数のパレットPを部品供給テーブル15に準備しておけば、図11(b)、(c)等に示すように、中継装置16により最上位のパレットPを部品供給テーブル15から引き出しさえすれば、部品供給テーブル15上のパレットPを自動的に繰り上げて、最上段のパレットP及び中継装置16のパレットPから直ちに次の部品の取り出しを行わせることができる。従って、この点でも、ヘッドユニット5に対して効率良く部品の供給を行うことができる。
また、上記部品供給テーブル15は、パレットPを支持するための部材として複数のねじ軸42を備えており、当該ねじ軸42のねじ溝にパレットPのフランジ部7を介在させることで当該パレットPを支持するとともに、各ねじ軸42を同期して回転駆動することにより、当該ねじ軸42の回転に伴いパレットPを同期して上下方向に移動させるように構成されている。このような構成によれば、パレットPを支持する部材(ねじ軸42)の上下方向の移動を伴うことなく、支持部材(ねじ軸42)の作動(回転)のみで各パレットPを連動して円滑に上下方向に移動させることができる。従って、パレットPの上下動を非常に簡単な構成で、しかも、パレット昇降機構の占有スペースを抑えながら比較的小さい駆動力で達成することができるという利点もある。
なお、上述した部品供給テーブル15の例では、4本のねじ軸42によりパレットPを支持するようにしているが、ねじ軸42の数は、パレットPを安定的に支持しつつ上下方向に移動させることが可能な数であれば4本に限定されるものではない。
[第2の実施形態]
次に、図13を用いて、本発明の部品供給装置の他の実施形態について説明する。
同図に示す部品供給装置10Aは、図2に示すものと同様に、部品供給テーブル15A(本発明のパレット支持手段に相当する)、中継装置16、中継装置16の昇降駆動機構及びこれらを支持するフレーム等を備えている。但し、図2のようなマガジン14は備えておらず、部品供給テーブル15Aがマガジンの機能を兼ねている。また、図2のテープフィーダ保持部18も備えていない。
部品供給装置10Aは、部品実装装置の前側(+Y方向側)に連結されており、この連結状態で、部品供給テーブル15A及び中継装置16は、ヘッドユニット5のXY方向の可動域MA内に配置される。部品供給テーブル15Aは、上述した図6の部品供給テーブル15と同等の構成であり、従って、ヘッドユニット5は、実装用ヘッド5aの昇降に伴い、部品供給テーブル15Aの最上段に支持されるパレットP(トレイ)及び中継装置16に支持されるパレットPから部品を取り出すことが可能である。
なお、部品供給テーブル15Aは、上記の通りマガジンとしての機能を兼ねるため、図6に示す部品供給テーブル15に比べてパレットPの支持段の段数が多く、例えば支持段の数は20段に設定さている。但し、部品供給テーブル15Aと中継装置16との間のパレットPの受け渡しは、図6等に示すものと同様に行われる。
このような部品供給装置10Aについても、上述した部品供給装置10と同様の作用効果を奏することができる。例えば、継続的に同一部品を供給する場合には、同一部品(トレイ)が収納されたパレットPを部品供給テーブル15Aに支持させて、最上段のパレットPから部品を供給し、この最上段のパレットPの部品残数が所定数以下になると、当該パレットPを中継装置16に引き出すとともに、部品供給テーブル15の他のパレットPを連動して一段ずつ繰り上げる。これにより、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットPと中継装置16に支持されるパレットP1とを同一高さ位置で前後横並びに配置し(本発明のトレイ配置工程に相当する)、この状態で、部品供給テーブル15の最上段に支持される新たなパレットP2及び中継装置16のパレットP1から部品を供給するようにする。そして、中継装置16のパレットPの部品が無くなると、当該パレットPを、部品供給テーブル15の最下段に支持させるようにする。このようにすれば、上述した部品供給装置10と同様に、ヘッドユニット5による部品取り出し動作中に部品切れが発生することを確実に防止することができる。
なお、ここでは、最上段のパレットPの部品残数が所定数以下になった場合、当該パレットPを中継装置16に引き出すようにしているが、当該パレットPはそのままで、部品供給テーブル15の最下位の新たなパレットPを中継装置16により引き出し、当該中継装置16を部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置に配置することで、部品供給テーブル15の最上段に支持されているパレットPと中継装置16の新たなパレットPとを用いて部品の供給を行うようにしてもよい。この場合、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP内の部品が無くなると、部品供給テーブル15の全パレットPを連動して一段ずつ繰り下げ、中継装置16のパレットPを最上段に移すようにすればよい。
一方、異種部品を連続的に供給する場合には、部品の供給順番に従い、順番が早い部品が上位に位置するように部品供給テーブル15にパレットPを支持させておく。そして、最上段のパレットPを部品供給テーブル15から中継装置16に引き出すとともに、部品供給テーブル15の他のパレットPを連動して一段ずつ繰り上げ、この状態で、最上段に支持されるパレットP及び中継装置16のパレットPを用いて2種類の部品を供給する。そして、ヘッドユニット5による部品の取り出しが完了すると、中継装置16のパレットP及び部品供給テーブル15の最上段のパレットPを順次、部品供給テーブル15の最下段に移動させる。具体的には、まず、中継装置16のパレットPを部品供給テーブル15の最下段に移した後、最上段のパレットPを中継装置16に引き出し、さらに部品供給テーブル15の各パレットPを連動して一段ずつ繰り上げた後、中継装置16のパレットPを部品供給テーブル15の最下段に移す。そしてさらに、最上段のパレットPを中継装置16に引き出すとともに、部品供給テーブル15の他のパレットPを連動して一段ずつ繰り上げ、この状態で、最上段に支持されるパレットP及び中継装置16のパレットPを用いて次の2種類の部品を供給する。このような動作によれば、上述した部品供給装置10と同様に、1つのパレットP(トレイ)に複数種類の部品を収納することなく、ヘッドユニット5に対して複数種類の部品を同時に供給することが可能となる。
なお、ここでは、部品供給テーブル15の上らか順に、予め部品の供給順番に従ってパレットPを支持させておくが、部品供給テーブル15の下から順に、部品の供給順番に従ってパレットPを支持させておくようにしてもよい。この場合には、まず、最下段のパレットP(最初に取り出される部品)を中継装置16に引き出して部品供給テーブル15のパレットPを連動して一段ずつ繰り下げた後に、中継装置16のパレットPを部品供給テーブル15の最上段に移し、さらに部品供給テーブル15の最下段のパレットP(二番目に取り出される部品)を中継装置16に引き出し、この中継装置16を、部品供給テーブル15の最上段に対応する高さ位置に配置する。この状態で、部品供給テーブル15の最上段に支持されるパレットP及び中継装置16のパレットPを用いて2種類の部品を供給する。ヘッドユニット5による部品の取り出しが終了すると、部品供給テーブル15のパレットPを連動して一段ずつ繰り下げた後に、中継装置16のパレットPを部品供給テーブル15の最上段に移す。そして、上述と同様の手順で、部品供給テーブル15の最下段から次の2つのパレットPを順次引き出し、これらパレットPを部品供給テーブル15の最上段に支持させるとともに中継装置16に保持させ、この状態で、当該パレットPを用いて次の2種類の部品を供給するようにする。
なお、図13の例では、部品供給装置10Aは、部品実装装置に連結された状態で、部品供給テーブル15が後側(−Y方向側)に、中継装置16が前側(+Y方向側)に各々位置するように構成されているが、例えば図14に示すように、部品供給テーブル15A及び中継装置16が逆の配列で並ぶように構成されていてもよい。また、部品供給装置10Aは、図15に示すように、部品供給テーブル15Aと中継装置16とがX方向に配列される構成であってもよい。
以上、本発明に係る部品供給装置10、10A、部品実装装置及び部品供給方法について説明したが、上述した部品供給装置10、10A、部品実装装置及び部品供給方法は、本発明に係る部品供給装置、部品実装装置及び部品供給方法の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成及び方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図11や図12を用いて説明した部品供給装置10による部品の供給動作(部品の供給方法)や、上述した図13による部品供給装置10Aの部品の供給動作は、あくまで部品供給テーブル15および中継装置16の双方のパレットPから部品の供給を行う場合の動作例であり、勿論、これら以外の動作に基づき部品供給を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、部品実装装置に対する位置決めのため、部品供給装置10、10Aを部品実装装置に対して取り外し可能に連結した状態で使用しているが、部品供給テーブル15、15Aの最上段のパレットP及び中継装置16に支持されるパレットPがヘッドユニット5(ヘッド5a)の可動域MA内に位置するように配置できれば、必ずしも部品実装装置に部品供給装置10,10Aを連結した状態で使用する必要はない。この場合には、部品供給テーブル15、15A、中継装置16及びパレットP(トレイ)に複数の基準位置マークを設けておき、ヘッドユニット5に搭載される基板認識カメラなどで当該基準位置マークを撮像することにより、部品実装装置に対する部品供給テーブル15、15A及び中継装置16の位置を検出し、パレットP(トレイ)からの部品の取り出しの際には、この検出結果に基づきヘッドユニット(ヘッド5a)のXY方向の位置決めを行うようにすればよい。この構成によれば、ヘッドユニット5によるパレットP(トレイ)からの部品の取り出しを、部品実装装置に部品供給装置10、10Aを連結した場合と遜色ない精度で行うことができる。