JP5841570B2 - 硬化性樹脂組成物、ソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物、硬化塗膜およびプリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物、硬化塗膜およびプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、LED等の発光素子が実装されるプリント配線板の絶縁層として好適な硬化性樹脂組成物、特にソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物、および当該組成物から得られる硬化塗膜、並びにこの硬化塗膜を有するプリント配線板に関するものである。
近年、プリント配線板においては、携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト、また照明器具の光源など、低電力で発光する発光ダイオード(LED)に直接実装して用いられる用途が増加している。
プリント配線板に保護膜として被覆形成されるソルダーレジスト膜(絶縁膜)では、ソルダーレジスト膜に通常要求される耐溶剤性、硬度、はんだ耐熱性、電気絶縁性等の特性に加え、LEDの発光を有効に利用することも要求されている。そのために、光の反射率に優れた白色の絶縁膜を形成する場合が多い。即ち、前述の液晶ディスプレイのバックライト、また照明器具の光源などに直接実装して用いられる用途においては、絶縁膜を形成するために、一般に、白色の絶縁性硬化性樹脂組成物が使用される。そして、このように白色に着色するためには、通常、着色剤として酸化チタンが使用されている。
このような白色の絶縁性硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1では、ソルダーレジスト膜を薄膜化しても導体回路のパターンを隠蔽できるように、酸化チタン等の白顔料にカーボンブラック等の着色顔料を配合したソルダーレジスト組成物が提案されている。また特許文献2では、優れた保存安定性を得るために、フタロシアニンを配合して、酸化チタンを高含有率で含有するプリント配線板用白色硬化性樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1に提案されている着色顔料を配合しても、ソルダーレジスト組成物をプリント配線板に塗布して硬化させる際の熱履歴により、ソルダーレジスト膜が黄褐色に変色して、導体回路パターンに対する隠蔽力が低下する場合がある。
また、特許文献2のフタロシアニンを含有する白色硬化性樹脂組成物では、フタロシアニンを熱履歴による変色性が低い顔料ということから配合しているが、熱履歴による樹脂成分の黄変によりソルダーレジスト膜が黄褐色に変色して、導体回路パターンに対する隠蔽力が低下する場合がある。
上記不利を解決するため、特許文献3では、反射率、解像性及び寸法精度等の諸特性を損なうことなく、隠蔽力に優れ、熱履歴による変色を抑えたソルダーレジスト膜が得られる白色硬化性樹脂組成物として、酸化チタンの着色剤として、スレン系青色着色剤を用いたものが提案されている。
特開2005−311233 特開2009−238771 特開2012−150461
しかしながら、特許文献3のスレン系青色着色剤を用いた場合でも、反射率および熱履歴による反射率の低下において充分とは言えなかった。
本発明は、優れた隠蔽力と高い反射率を有し、且つ熱履歴による反射率の低下が抑えられた硬化塗膜が得られる硬化性樹脂組成物、特にソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物、この組成物から得られる硬化塗膜およびプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者等は、酸化チタンを含むソルダーレジストであって、優れた隠蔽力と高い反射率(特に680nmの波長の光の反射率)が得られ、且つ熱履歴による反射率の低下および変色が抑えられたレジストを得るため、鋭意検討を重ねてきた。そして、下記のように青色無機着色剤を用いることにより、反射率の顕著な向上と熱履歴による低下の抑制が得られることを見出し、本発明に到達した。また、青色以外の無機着色剤を用いた場合でも隠蔽力に優れることを見出した。
本発明は、有機バインダーおよび酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、さらに、青色無機着色剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物にある。
本発明の硬化性樹脂組成物の好適態様を以下に列記する。
(1)有機バインダーとして反応性希釈剤を含み、さらに光重合性開始剤を含んでいる。
(2)青色無機着色剤がケイ酸塩を含む顔料である。優れた隠蔽力と高い反射率が得られる。
(3)青色無機着色剤がケイ酸アルミニウムナトリウムを含む顔料である。少量でも、優れた隠蔽力と高い反射率が得られる。
(4)青色無機着色剤を、酸化チタン100質量部に対して0.001〜10質量部で含有する。0.01〜5質量部、特に0.1〜5質量部が好ましい。
(5)さらに、熱硬化性成分(特にエポキシ化合物)を含む。これにより優れた耐久性が得られる。
(6)さらに、酸化防止剤を含む。これにより反射率の低下をより抑制する。
(7)さらに、別の着色剤を含む。
また、本発明は、
カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、および酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、
さらに、無機着色剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物にもある。この硬化性樹脂組成物にも前述の好適態様(1)〜(7)も適用することができる。特に、別の着色剤を含むことが好ましい。
本発明は、また上記硬化性樹脂組成物からなるソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物にもある。
前記本発明の硬化性樹脂組成物の好適態様を、上記本発明のソルダーレジスト形成用硬化性樹脂組成物に適用することができる。
さらに、本発明は、上記硬化性樹脂組成物から形成された硬化塗膜であって、膜厚20μmの時の塗膜表面において、680nmの波長の光に対する反射率が70%以上であることを特徴とする硬化塗膜にもある。
上記硬化塗膜の好適態様を以下に列記する。
(1)膜厚20μmの時の塗膜表面において、450〜740nmの波長の光に対する反射率が70%以上である。
(2)IPC/JETEC J−STD−020の規格に準拠して、加熱温度を260℃に設定し、リフロー5回実施した後の、塗膜表面の680nmの波長の光に対する反射率が70%以上である。リフロー5回は、260℃の赤外線炉に10秒通過、常温に戻す操作を5回繰り返したことを意味する。
また、前記本発明の硬化性樹脂組成物の好適態様を、上記本発明の硬化塗膜に適用することができる。
さらにまた、本発明は、上記硬化塗膜を有することを特徴とするプリント配線板にもある。
前記本発明の硬化性樹脂組成物の好適態様を、上記本発明のプリント配線板に適用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機バインダーを含む硬化性樹脂組成物に、着色剤として酸化チタンに加えて青色無機顔料を添加したものである。そしてこの組成物から得られる硬化塗膜は、優れた隠蔽力と高い反射率を有すると共に、熱履歴による反射率の低下も抑制されている。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は白色の硬化塗膜、例えば、ソルダーレジストの形成に有用であり、当然これを用いたプリント配線板にも有用である。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、白色以外の着色硬化塗膜の形成にも有用である。
図1は、実施例3で得られた塗膜の波長360〜740nmにおける反射率を示すグラフである。 図2は、比較例2で得られた塗膜の波長360〜740nmにおける反射率を示すグラフである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基本構成成分として、有機バインダーおよび酸化チタンを有する。そして、優れた隠蔽力と高い反射率(特に680nmの波長の光の反射率)を有し、且つ熱履歴による反射率の低下が抑えられた塗膜が得られるように、さらに青色無機着色剤を含んでいる。
酸化チタン:
本発明において、白色着色剤として用いられる酸化チタンは、ルチル型酸化チタンでもアナターゼ型酸化チタンでもよいが、ルチル型チタンを用いることが好ましい。同じ酸化チタンであるアナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度が高く、白色着色剤としてよく使用されるが、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒活性を有するために、特にLEDから照射される光により、絶縁性樹脂組成物中の樹脂の変色を引き起こすことがある。これに対し、ルチル型酸化チタンは、白色度はアナターゼ型と比較して若干劣るものの、光活性を殆ど持たないために、酸化チタンの光活性に起因する光による樹脂の劣化(黄変)が顕著に抑制され、また熱に対しても安定である。このため、LEDが実装されたプリント配線板の絶縁層において白色着色剤として用いられた場合に、高反射率を長期にわたり維持することができる。また、酸化チタンは、一般にTiO2で表される二酸化チタンであるが、TiOXで表され、xが2未満、1.5以上であっても良い。
ルチル型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。ルチル型酸化チタンの製造法には、硫酸法と塩素法の2種類あり、本発明では、いずれの製造法により製造されたものも好適に使用することができる。ここで、硫酸法は、イルメナイト鉱石やチタンスラグを原料とし、これを濃硫酸に溶解して鉄分を硫酸鉄として分離し、溶液を加水分解することにより水酸化物の沈殿物を得、これを高温で焼成してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。一方、塩素法は、合成ルチルや天然ルチルを原料とし、これを約1000℃の高温で塩素ガスとカーボンに反応させて四塩化チタンを合成し、これを酸化してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。その中で、塩素法により製造されたルチル型酸化チタンは、特に熱による樹脂の劣化(黄変)の抑制効果が顕著であり、本発明において用いることが好ましい。
市販されているルチル型酸化チタンとしては、例えば、タイペークR−820、タイペークR−830、タイペークR−930、タイペークR−550、タイペークR−630、タイペークR−680、タイペークR−670、タイペークR−680、タイペークR−670、タイペークR−780、タイペークR−850、タイペークCR−50、タイペークCR−57、タイペークCR−80、タイペークCR−90、タイペークCR−93、タイペークCR−95、タイペークCR−97、タイペークCR−60、タイペークCR−63、タイペークCR−67、タイペークCR−58、タイペークCR−85、タイペークUT771(以上、石原産業(株)製);タイピュアR−100、タイピュアR−101、タイピュアR−102、タイピュアR−103、タイピュアR−104、タイピュアR−105、タイピュアR−108、タイピュアR−900、タイピュアR−902、タイピュアR−960、タイピュアR−706、タイピュアR−931(以上、デュポン(株)製);R−25、R−21、R−32、R−7E、R−5N、R−61N、R−62N、R−42、R−45M、R−44、R−49S、GTR−100、GTR−300、D−918、TCR−29、TCR−52、FTR−700(以上堺化学工業(株)製)等を使用することができる。
上記の中で塩素法により製造されたタイペークCR−50、タイペークCR−57、タイペークCR−80、タイペークCR−90、タイペークCR−93、タイペークCR−95、タイペークCR−97、タイペークCR−60、タイペークCR−63、タイペークCR−67、タイペークCR−58、タイペークCR−85、タイペークUT771(石原産業(株)製);タイピュアR−100、タイピュアR−101、タイピュアR−102、タイピュアR−103、タイピュアR−104、タイピュアR−105、タイピュアR−108、タイピュアR−900、タイピュアR−902、タイピュアR−960、タイピュアR−706、タイピュアR−931(デュポン(株)製)を使用することが好ましい。
また、アナターゼ型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。市販されているアナターゼ型酸化チタンとしては、TITON A−110、TITON TCA−123E、TITON A−190、TITON A−197、TITON SA−1、TITON SA−1L(堺化学工業(株)製);TA−100、TA−200、TA−300、TA−400、TA−500、TP−2(富士チタン工業(株)製);TITANIX JA−1、TITANIX JA−3、TITANIX JA−4、TITANIX JA−5、TITANIX JA−C(テイカ(株)製);KA−10、KA−15、KA−20、KA−30(チタン工業(株)製);タイペーク A−100、タイペークA−220、タイペークW−10(石原産業(株)製)等を使用することができる。
酸化チタンの配合比は、有機バインダーがカルボキシル基含有樹脂の場合、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは20〜600質量部、より好ましくは20〜400質量部である。配合率が600質量部を超えると、酸化チタンの分散性が悪化し、分散不良となり好ましくない。一方、20質量部未満であると、隠ぺい力が低くなり、高反射率の絶縁膜を得ることが困難となるため好ましくない。また、酸化チタンの配合比は、組成物全体の20〜80%でもよい。
青色無機着色剤:
本発明の青色無機着色剤(一般に青色無機顔料)は、白色着色剤としての酸化チタンの隠蔽力を向上させるために添加されるが、当該着色剤の添加による反射率の低下も十分に抑制されている。特に、本発明の組成物が青色無機着色剤含むことにより、組成物から得られる塗膜表面の680nmの波長の光に対する反射率が極めて高い値を示す。680nmの波長の光は、ほぼ橙色の光であるが、この光の反射率が高いと全可視光線の反射率が向上する傾向にあることが、本発明者等の検討により明らかになった。一般に、青系の着色剤を用いると、680nmの波長の光の反射率が低下しがちであるが、青色無機着色剤を用いることにより680nmの波長の光の反射率がほとんど低下しないことが分かった。従って、本発明の硬化性樹脂組成物から形成された硬化塗膜(膜厚20μm)の680nmの波長の光の反射率は、一般に70%以上であり、75%以上が好ましく、特に80%が好ましい。
膜厚20μmの時の塗膜表面において、450〜740nmの全波長域での光に対する反射率も70%以上であることが好ましい。
さらに、この硬化塗膜は、長期間加熱(熱履歴)後においても、高い反射率を示すことも分かった。例えば、IPC/JETEC J−STD−020の規格に準拠して、加熱温度を260℃に設定し、リフロー5回実施した後の、塗膜表面の680nmの波長の光に対する反射率が一般に60%以上であり、65%以上が好ましく、特に70%が好ましい。
本発明の青色無機着色剤は、青色を示す無機着色剤であるが、一般に、可視光(380〜750nm)の波長範囲において、410〜470nmの波長範囲に極大(最大)吸収率を示す無機着色剤(一般に無機顔料)である。
青色無機顔料の例としては、
ウルトラマリン青(カラーインデックス名(Colour Index Generic Name)):Pigment Blue 29)、フレンチウルトラマリン、ラピスラズリ、アズライト、プルシアンブルー(プロシア青;カラーインデックス名:Pigment Blue 27);
アルミニウム-コバルト酸化物、アルミニウム-亜鉛-コバルト酸化物、珪素-コバルト酸化物および珪素−亜鉛−コバルト酸化物等の青色複合酸化物顔料;
スマルト(カラーインデックス名:Pigment Blue 32)、コバルト青(アルミ酸コバルト(カラーインデックス名:Pigment Blue 28))、錫酸コバルト(カラーインデックス名:Pigment Blue 35)、コバルトクロム青(カラーインデックス名:Pigment Blue 36)、コバルト-アルミニウム-珪素酸化物、ケイ酸コバルト亜鉛(カラーインデックス名:Pigment Blue 74)、コバルト-亜鉛-珪素酸化物(組成式:CoO・Al2O3・SiO2のスピネル)等のコバルト顔料等を挙げることができる。
また、天然の雲母に酸化チタンを被覆した粒子等の珪酸塩を含む顔料も使用することができる。天然の雲母は、一般的に I M2-31-0 T4 O10 A2(Iは、K、Na、Ca であり、所望によりBa、Rb、Cs、NH4 であり、MはAl、Mg、Fe、Li、Ti であり、所望によりMn、Cr、Zn、V であり、□は空孔であり、T はSi、Al、Fe3+ であり、所望によりBe、B であり、AはOH、F であり、所望によりCl、O、Sである)で表される。
ウルトラマリン青(カラーインデックス名:Pigment Blue 29)、天然の雲母に酸化チタンを被覆した粒子が好ましく、特にウルトラマリン青(カラーインデックス名:Pigment Blue 29)が好ましい。これにより、優れた隠蔽力と高い反射率が得られる。ウルトラマリン青は、通常、硫黄を含んだケイ酸ナトリウムの錯体 (Na8-10Al6Si6O24S2-4) である。これにより、少量でも、優れた隠蔽力と高い反射率が得られる。
青色無機着色剤の平均粒径は、一般に0.01〜10μm、0.05〜5μmが好ましく、特に0.05〜3μmが好ましい。ここで、平均粒径とは、平均一次粒径を意味する。平均粒径(D50)は、レーザー回折/散乱法により測定することができる。
青色無機着色剤は、酸化チタン100質量部に対して0.001〜10質量部で含まれることが好ましい。0.01〜5質量部がより好ましく、特に0.1〜5質量部が好ましい。配合比が0.001質量部を未満の場合、隠蔽性が低下するので好ましくない。一方、10質量部を超えると、初期の反射率が劣るため好ましくない。
青色以外の無機着色剤としては、赤、緑、黄、白、黒、紫、オレンジ、茶色などの慣用公知の着色剤を使用することができる。例えば、金属酸化物系、チタンブラックなどが挙げられる。
有機バインダーとしては、カルボキシル基含有樹脂、モノマーとしての反応性希釈剤、熱硬化性成分、熱可塑性成分などが挙げられる。
カルボキシル基含有樹脂
カルボキシル基含有樹脂としては、特に、限定するものではなく任意のカルボキシル基を含有する樹脂を使用することができるが、特に芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。このカルボキシル基を有する樹脂は、それ自体に感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および感光性の不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定のものに限定されるものではない。特に以下に列挙する樹脂の中で芳香環を有さないもの(オリゴマーまたはポリマーのいずれでもよい)を好適に使用することができる。なお、芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂として、エポキシ樹脂を出発原料としたもの、フェノール樹脂を出発原料としたものなどを使用してもよい。
(1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)上述した(1)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)上述した(1)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物の共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂、
(7)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂に、1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物との反応により得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂、
(8)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂、
(9)水酸基含有ポリマーに、飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に、1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性の水酸基およびカルボキシル基含有樹脂
である。
(10)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基の一部または全部に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(11)多官能エポキシ化合物と、1分子中に2個以上の水酸基およびエポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)フェノール性水酸基をもつ樹脂とアルキレンオキシドまたは環状カーボネートとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(13)多官能エポキシ化合物と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基および1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して多塩基酸無水物の無水物基を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
これらの中でも、上記(7)の感光性のカルボキシル基含有樹脂である、(a)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂と、(b)1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物との反応により得られるカルボキシル基を有する共重合系樹脂が好ましい。
(a)のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルと、1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物とを共重合させて得られる。共重合樹脂(a)を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のグリコール変性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタアクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
また、1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和基とカルボン酸の間が鎖延長された変性不飽和モノカルボン酸、例えばβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性等によりエステル結合を有する不飽和モノカルボン酸、エーテル結合を有する変性不飽和モノカルボン酸、さらにはマレイン酸等のカルボキシル基を分子中に2個以上含むものなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
(b)1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、1分子中にエチレン性不飽和基とオキシラン環を有する化合物であればよく、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアミノアクリレート等を挙げることができる。中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましい。これら(b)1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、その酸価が50〜200mgKOH/gの範囲にあることが望ましい。酸価が50mgKOH/g未満の場合には、弱アルカリ水溶液での未露光部分の除去が難しい。200mgKOH/gを超えると、硬化被膜の耐水性、電気特性が劣るなどの問題がある。また、カルボキシル基含有樹脂(A)の質量平均分子量は、5,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。質量平均分子量が5,000未満であると指触乾燥性が著しく劣る傾向がある。また、質量平均分子量が100,000を超えると現像性、貯蔵安定性が著しく悪化する問題を生じるために好ましくない。
光重合開始剤
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、チオキサントン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシルホスフィンオキシド系、オキシムエーテル系、オキシムエステル系、チタノセン系などの公知慣用のラジカル光重合開始剤を挙げることができるが、下記一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤、下記一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、下記一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び下記一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。
Figure 0005841570
式中、R1は、水素原子、フェニル基(炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい。)、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素原子数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。)を表わす。R2は、フェニル基(炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい。)、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素原子数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。)を表わす。R3、R4は、各々独立に、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表わし、R5、R6は、各々独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表わし、あるいはR5、R6が結合して環状アルキルエーテル基を形成してもよい。R7、R8は、各々独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、又はハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたアリール基、又は炭素原子数1〜20のカルボニル基(但し、R5、R6の両方が炭素原子数1〜20のカルボニル基である場合を除く。)を表わす。R9、R10は、各々独立に、ハロゲン原子、アリール基、ハロゲン化アリール基、複素環含有ハロゲン化アリール基を表わす。
前記一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、下記式(I−1)で表される化合物、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、及び下記一般式(I−2)で表わされる化合物などを挙げることができる。
Figure 0005841570
Figure 0005841570
式(I−2)中、R11は、一般式(I)におけるR1と同義であり、R12およびR14は、それぞれ独立に、一般式(I)におけるR2と同義である。R13は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素原子数2〜12のアルカノイル基、炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素原子数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有してもよい)又はフェノキシカルボン基を表す。
これらの中で、上記式(I−1)で表される化合物、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、及び一般式(I−2)で表わされる化合物が特に好ましい。上記化合物の市販品としては、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02を挙げることができる。
前記一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン、1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などを挙げることができる。
前記一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、BASFジャパン社製のイルガキュアー819などを挙げることができる。
前記一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤としては、ビス(η5−2、4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2、6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムを挙げることができる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー784などを挙げることができる。
このような光重合開始剤の配合比は、有機バインダーがカルボキシル基含有樹脂の場合、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の割合である。光重合開始剤の配合比が、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対し0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下するので、好ましくない。一方、光重合開始剤の配合比が、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対し30質量部を超えると、光重合開始剤の光吸収により、深部硬化性が低下するので、好ましくない。
尚、前記式(I−1)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤の場合、その配合比は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の割合である。このようなオキシムエステル系光重合開始剤を使用する場合、銅箔との界面で銅原子と反応し、光重合開始剤としての機能が失活する場合があるため、前記α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤などと併用することが好ましい。なお、光重合開始剤の配合比は、組成物全体の0.01〜30%でもよい。
反応性希釈剤
反応性希釈剤としては、分子中にエチレン性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の官能性基を有する化合物が一般に用いられる。特に、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが好ましい。分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線の照射により光硬化して、本発明の感光性樹脂組成物をアルカリ水溶液に不溶化にするか、または不溶化を助けることができる。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが使用でき、具体的には、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか1種などを挙げることができる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物等を挙げることができる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
上記のような分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に1分子内に4個から6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が光反応性と解像性の観点から好ましく、さらに1分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いると、硬化物の線熱膨張係数が低下し、PCT時における剥がれの発生が低減されることから好ましい。
上記のような分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、組成物全体の2〜50質量%が好ましい。配合量が、2質量%未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、50質量%を超えた場合、希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなる。より好ましくは、3〜40質量%である。
(有機溶剤)
有機溶剤は、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
熱硬化性成分(熱硬化成分ともいう。)
本発明の硬化性樹脂組成物には、熱硬化性成分を含有する。熱硬化性成分を加えることにより耐熱性が向上することが期待できる。本発明に用いられる熱硬化性成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくとも何れか1種を有する熱硬化成分である。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を挙げることができる。
前記多官能エポキシ化合物としては、ADEKA製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;三菱化学(株)製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業(株)製のEHPE3150、DIC(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル(株)製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業(株)製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDC−1312、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、YSLV−80XYビスフェノール型エポキシ樹脂、YSLV−120TEチオエーテル型エポキシ樹脂(いずれも東都化成(株)製);三菱化学(株)製のjERYL903、DIC(株)製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル(株)製のD.E.R.542、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業(株)製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER152、jER154、ダウケミカル(株)製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC(株)製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成(株)製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬(株)製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業(株)製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬(株)製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC(株)製のエピクロン830、三菱化学(株)製jER807、東都化成(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成(株)製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER604、東都化成(株)製のエポトートYH−434、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬(株)製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業(株)製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂(株)製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成(株)製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学(株)製ESN−190、ESN−360、DIC(株)製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂(株)製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業(株)製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成(株)製のYR−102、YR−450等)等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやこれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学(株)製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等を挙げることができる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量またはフェノール樹脂のフェノール基1当量に対して、0.6〜2.5当量が好ましい。配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジストにカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が低下する。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度等が低下する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
また、分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分の配合量は、組成物全体の0.1〜50質量%が好ましい。配合量が0.1質量%未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られない。一方、50質量%を超えた場合、保存安定性が低下する。より好ましくは、1〜30質量%である。
さらに、他の熱硬化性成分としては、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂が挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(いずれも三井サイアナミッド社製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(いずれも三和ケミカル社製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は単独または2種以上を併用することができる。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物には、1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。このような1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。上記ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物を加えることにより硬化性および得られる硬化物の強靭性を向上する。
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマー等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等を挙げることができる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等を挙げることができる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のイソシアネート基、またはブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合量は、組成物全体の0.1〜50質量%が好ましい。配合量が0.1質量%未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られない。一方、50質量%を超えた場合、保存安定性が低下する。より好ましくは、1〜30質量%である。
フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものが挙げられる。これらは、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、任意成分について説明する。
任意成分としては、酸化防止剤、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
光硬化性樹脂組成物には、酸化を防ぐために酸化防止剤を添加することが好ましい。高分子材料の多くは、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化劣化が起き、高分子素材の機能低下をもたらすことから、発生したラジカルを無効化するようなラジカル補足剤や発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤などの酸化防止剤が有効である。
ラジカル補足剤として働く酸化防止剤としては、例えばヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンなどのフェノール系、メタキノン、ベンゾキノンなどのキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジンなどのアミン系化合物などを挙げることができる。
ラジカル補足剤は、市販のものであってもよく、例えばアデカスタブAO−30、アデカスタブAO−330、アデカスタブAO−20、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−87(いずれも旭電化社製、商品名)、IRGANOX1010、 IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、 TINUVIN 111FDL、 TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、 TINUVIN 5100(いずれもBASFジャパン社製、商品名)などを挙げることができる。
過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイトなどのリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、 ジステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどの硫黄系化合物などを挙げることができる。
過酸化物分解剤は、市販のものであってもよく、例えばアデカスタブTPP(旭電化社製、商品名)、マークAO−412S(アデカ・アーガス化学社製、商品名)、スミライザーTPS(住友化学社製、商品名)などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機充填剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができ、また本発明の硬化性樹脂組成物の白色を損なわない範囲において着色剤を配合することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、スクリーン印刷法等の方法により塗布する。塗布後、例えば140℃〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、硬化塗膜を得ることができる。或いは、塗布後、例えば、メタルハライドランプにて350nmを中心とする測定波長で5〜5000mJ/cm2の積算光量を照射して硬化塗膜を得ることができる。
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布後、乾燥して形成される硬化性樹脂層を有する。本発明のドライフィルムは、硬化性樹脂層を、基材に接するようにラミネートして使用される。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルムに硬化性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して、前記した硬化性樹脂層を形成し、好ましくはその上にカバーフィルムを積層することにより、製造することができる。カバーフィルムとキャリアフィルムは同一のフィルム材料であっても、異なるフィルムを用いてもよい。
本発明のドライフィルムにおいてキャリアフィルム、カバーフィルムのフィルム材料は、ドライフィルムに用いられるものとして公知のものをいずれも使用することができる。
キャリアフィルムとしては、例えば2〜150μmの厚さのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムなどの熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、硬化性樹脂層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
本発明のキャリアフィルム上の硬化性樹脂層の膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましい。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、基材に、硬化性樹脂組成物から形成された樹脂絶縁層を有する。ここで、樹脂絶縁層とは、上記硬化塗膜を意味する。本発明のプリント配線板は、公知の方法により製造できる。例えば、パターン形成された銅箔基材に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後、所定の露光量でパターン露光することにより樹脂絶縁層が形成される。次いで現像することにより本発明のプリント配線板が得られる。なお、露光の後、樹脂絶縁層に紫外線を照射したり、加熱することにより、さらに、硬化を促進してもよい。基材としては、樹脂製、セラミックス製、金属製が挙げられる。
露光には、最大波長が350〜410nmの範囲にある光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成することができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜5000mJ/cm2の積算光量で硬化させることができる。
現像液としては、希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)
を用いることができる。
本発明のプリント配線板中の樹脂絶縁層の全膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましい。
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[実施例1〜18および比較例1〜3]
(硬化性樹脂組成物の調製)
下記表1及び表2に示す種々の成分と共に表1、2に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 0005841570
Figure 0005841570
前記表1中の使用材料の詳細は以下のとおりである。
カルボキシル基含有樹脂
サイクロマーP(ACA)Z−250(製品名):ダイセル化学工業(株)製。
R−2000(製品名):DIC(株)製。
光重合開始剤
イルガキュアー907(製品名):BASFジャパン社製。
KAYAKURE DETX−S(製品名): 日本化薬(株)製。
ダロキュア1173(製品名):BASFジャパン社製。
反応性希釈剤
DPHA(製品名):日本化薬(株)製。
DPM(製品名):ダウ・ケミカル(株)製。
熱硬化性成分
JER828(製品名):三菱化学(株)製。
ICTEP−S(製品名):日産化学工業(株)製。
HF−1(製品名):明和化成工業(株)製。
酸化チタン
タイペークCR−97(製品名):石原産業(株)製。
無機着色剤(青色無機顔料)
PB−80(製品名)(ウルトラマリンブルー(平均粒子径:1μm)):第一化成工業(株)製。
Iriodin 221ルチルファインブルー(製品名):メルク社製。
コバルトチタングリーン:ピグメントグリーン50 大日精化製ダイピロキサイドグリーン#9320(緑色無機着色剤)。
黒色酸化鉄:ピグメントブラック11 チタン工業製 TAROX BL-100(無機着色剤)。
(有機顔料)
ファーストゲンブルー5380(製品名):DIC(株)製。
(G)酸化防止剤
IRGANOX1010(製品名): BASF社製。
(添加剤)
メラミン(製品名):日産化学工業(株)製。
2PHZ−PW(製品名):四国化成工業(株)製。
(消泡剤)
KS−66(製品名):信越化学工業(株)製。
(硬化性樹脂組成物の物性)
(実施例1〜14および比較例1〜3)
青色無機顔料を含有する実施例1〜14および比較例1〜3の各熱硬化性樹脂組成物を回路形成されたFR−4基板上にスクリーン印刷で乾燥塗膜が約20μmとなるように印刷し、BOX炉にて80℃で30分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗膜上に露光装置(オーク社製HMW−680GW)にて700mJ/cm2の露光を行なった後、30℃、1%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像した。現像後、BOX炉にて150℃で60分ポストキュアさせて特性試験用基板を作製した。
(実施例15、16)
実施例15、16の熱硬化性樹脂組成物を回路形成されたFR−4基板上にスクリーン印刷で乾燥塗膜が約20μmとなるように印刷し、BOX炉にて150℃で60分ポストキュアさせて特性試験用基板を作製した。
(実施例17,18)
実施例17,18の硬化性樹脂組成物を回路形成されたFR−4基板上にスクリーン印刷で乾燥塗膜が約20μmとなるように印刷し、高圧水銀灯80W3灯のUVコンベア炉にて、1000mJ/cm2照射させて、特性試験用基板を作製した。
評価
(1)導体パターン(回路)に対する隠蔽力
ポストキュア(150℃で1時間)後の試験用基板について、銅箔である導体パターンに対する硬化塗膜の隠蔽力を目視により観察した。評価は、以下の基準に従って行なった。
◎:導体パターン上と基材上の色調に差異なし。
○:導体パターンのエッジ部に若干黄変あり。
△:導体パターン上に若干黄変あり。
×:導体パターン上に黄変あり。
(2)反射率(%)
初期:ポストキュア後の試験用基板について、塗膜表面を分光測色計(CM−2600d、コニカミノルタセンシング(株)製)にて、波長360〜740nmにおける反射率を測定した。
加熱後:IPC/JETEC J−STD−020の規格に準拠して、加熱温度を260℃に設定し、リフロー5回実施した後の塗膜表面を、分光測色計(CM−2600d、コニカミノルタセンシング(株)製)にて、波長360〜740nmにおける反射率を測定した。リフロー5回は、260℃の赤外線炉に10秒通過、常温に戻す操作を5回繰り返したことを意味する。
(3)色調
ポストキュア後の試験用基板について、目視にて確認した。
得られた結果を前記の表1及び表2に示した。
実施例1〜11、15〜18および比較例1〜3の反射率は波長450nm及び波長680nmについて示した。波長360〜740nmにおける反射率は、実施例3および比較例2のみ、図1および図2示した。
上記結果から明らかなように、本発明の青色無機着色剤を含有する硬化性樹脂組成物から形成された塗膜は、高い反射率を保持しながら、優れた隠蔽力を示している。さらに、加熱後の反射率もほとんど低下することがない。また、青色以外の無機着色剤を含有する場合でも、隠蔽性に優れる。
一方、このような青色無機着色剤を含有しない硬化性樹脂組成物(比較例1)で得られる塗膜は、反射率は優れているものの隠蔽力が不十分である。また、青色着色剤として、フタロシアニンブルー(ファーストゲンブルー5380)を含有する硬化性樹脂組成物(比較例2)から形成された塗膜は、優れた隠蔽力を示すが、反射率が低下している。また、680nmの反射率が低下しているため、比較例2の塗膜は黄変傾向を示している。さらに、青色着色剤として、スレン系色素を含有する硬化性樹脂組成物(比較例3)から形成された塗膜も、優れた隠蔽力を示すが、反射率が低下している。加えて、比較例3の塗膜は、680nmの反射率が低下しているため、黄変傾向を示している。また、比較例2及び3の塗膜は、加熱後の反射率の低下が顕著である。

Claims (13)

  1. 有機バインダーおよび酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記有機バインダーとして反応性希釈剤を含み、さらに、青色無機着色剤および光重合開始剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 青色無機着色剤がケイ酸塩を含む顔料であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 青色無機着色剤がケイ酸アルミニウムナトリウムを含む顔料であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 青色無機着色剤を、酸化チタン100質量部に対して0.001〜10質量部で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、および酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、
    さらに、青色無機着色剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  6. さらに、別の着色剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. さらに、熱硬化性成分を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、反応性希釈剤および酸化チタンを含む硬化性樹脂組成物であって、
    さらに、青色無機着色剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  10. ソルダーレジスト形成用であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された硬化塗膜であって、膜厚20μmの時の塗膜表面において、680nmの波長の光に対する反射率が70%以上であることを特徴とする硬化塗膜。
  12. 膜厚20μmの時の塗膜表面において、450〜740nmの全波長域での光に対する反射率が70%以上であることを特徴とする請求項11に記載の硬化塗膜。
  13. 請求項11又は12に記載の硬化塗膜を有することを特徴とするプリント配線板。
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