JP7254559B2 - 透明基材用硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、遮光用部材およびディスプレイ用部材 - Google Patents

透明基材用硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、遮光用部材およびディスプレイ用部材 Download PDF

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本発明は、透明基材用硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、遮光用部材およびディスプレイ用部材、特に、アルカリ現像可能な硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、遮光用部材およびディスプレイ用部材に関する。
カラーフィルタは、通常、ガラス、プラスチック等の透明基板の表面に黒色の隔壁(ブラックマトリックスともよばれる)を形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる画素を順次、ストライプ状またはモザイク状等のパターンで形成したものである。
隔壁の代表的な製造方法としては、現在、顔料分散法が用いられている。この方法では、まず黒色顔料を含有する感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布した後に乾燥させ、さらに画像露光、現像した後、150℃以上の高温処理により硬化させることで隔壁を形成する。
隔壁は、赤、緑、青等の画素の間に格子状、ストライプ状またはモザイク状に配置するのが一般的であり、画素間の混色抑制によるコントラスト向上または光漏れを防止する役目を持っている。このため、隔壁には高い遮光性が要求される。
特許文献1には、隔壁の遮光性を確保するために、光重合性化合物と、光重合開始剤と、遮光剤としての着色剤と、を含有する着色感光性組成物を開示しており、これにより、隔壁の遮光性が確保される。
特開2009-168948号公報
特許文献1に記載されるような従来の黒色の隔壁(ブラックマトリックス)の高い遮光性は光をよく吸収するものの、同時にディスプレイの輝度を低下させるという問題が潜在しており、輝度を向上させるためには発光素子の出力を上げて対応することになるがエネルギー消費が高くなるため省エネの観点から好ましくない。
このような問題がある中、高い遮光性と輝度の向上はトレードオフの関係にあるため、黒色の隔壁で両方の課題を解決することは非常に困難であり、両方の問題を解決する新たな方策が望まれていた。
また、輝度を向上させることが可能な材料として、高い反射率を有する酸化チタンが知られているが、その高い反射率が原因でハレーションを激しく発生させ、現像後の解像性を著しく悪化させるというデメリットも持っており、特に波長400nmから500nmの全光透過率が20%以上あり、アンカー効果が得られない表面粗度が低いガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のような透明又は半透明の基材(以下、「透明基材」とも称する)上では200μm以下の隔壁のラインを残す高解像を達成することは非常に困難であった。
特に、透明基材上にて反射率の高い酸化チタンを用いると、塗膜自体の光散乱に加え、透明基材中を光が乱反射することにより著しく解像性を悪化させてしまい、フォトリソグラフィー工程で幅100μm以下の隔壁のラインを残す解像性を確保することは非常に解決が困難な問題であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化チタンのような白色顔料が添加された場合であっても、透明基材上で現像後の解像性が良い透明基材用硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、遮光用部材およびディスプレイ用部材を提供することにある。
本発明者らは、上記目的達成に向け鋭意検討を行った。その結果、アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和結合当量(単体、あるいは2種類以上の混合物、混合物であるときは平均)を規定し、白色顔料を併用することによって上記目的が実現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、
(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂と、
(B)熱硬化性成分と、
(C)光重合性モノマーと、
(D)白色顔料と、
(E)オキシム系光重合開始剤と、
を含むことを特徴とする透明基材用硬化性組成物により達成されることが見出された。
本発明の透明基材用硬化性組成物は、さらに(F)シランカップリング剤を含むことが好ましい。
さらに、(G)表面改質剤を含むことが好ましく、(G)表面改質剤が、フッ素系表面改質剤であって、エチレン性不飽和基を含むことがさらに好ましい。
そのうえ、(H)ブロックイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
また、(I)黒色着色剤を含むことが好ましい。
さらに、(D)白色顔料が酸化チタンであることが好ましい。
そのうえ、(B)熱硬化性成分のうち30℃で液体の(B)熱硬化性成分の割合が、(B)熱硬化成分の合計質量に対して70質量%以上であることが好ましい。
また、本発明の上記目的は、本発明の透明基材用硬化性組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥させて得られることを特徴とするドライフィルム、
本発明の透明基材用硬化性組成物を、基材上に塗布、乾燥させて得られる乾燥塗膜、または、前記透明基材用硬化性組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥させて得られるドライフィルムが基材にラミネートされてなる塗膜を、硬化させて得られることを特徴とする硬化物、
この硬化物を備えることを特徴とする遮光用部材、および
この硬化物を備えることを特徴とするディスプレイ用部材
によっても達成することができる。
本発明によれば、透明基材用硬化性樹脂組成物により形成された硬化物は、(C)白色顔料の添加による輝度向上効果を得つつ、高い遮光性及び現像後の解像性が確保されたものとなっている。よって、透明基材上において、精細な隔壁パターンが実現可能である。
<透明基材用硬化性組成物>
本発明の透明基材用硬化性組成物は、
(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和結合を有さないアルカリ可溶性樹脂と、
(B)30℃において液状の熱硬化性成分と、
(C)光重合性モノマーと、
(D)白色顔料と、
(E)オキシム系光重合開始剤と、
を含む。
[(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂]
(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂は、透明基材用硬化性組成物のアルカリ現像液への溶解、すなわち、アルカリでの現像を可能とする樹脂である。
エチレン性不飽和基とは、エチレン性不飽和結合を有する置換基であって、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタアクリロイル基を総称する用語である。
エチレン性不飽和結合当量とは、グラム当量でエチレン性不飽和結合数あたりの質量である。エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基である場合は一般的に(メタ)アクリル当量とも呼ばれる。例えば、エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基である場合は、(メタ)アクリロイル基1個あたりの有機成分(溶剤を含む場合は溶剤を除く)の質量と定義される。すなわち、エチレン性不飽和結合当量は、有機成分(溶剤を含む場合は溶剤を除く)の質量合計を組成物中のエチレン性不飽和結合の数で除することにより得ることができる。
本発明では、(A)アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和結合当量が1200以上であるか、または(A)アルカリ可溶性樹脂はエチレン不飽和性基を有さない。エチレン性不飽和結合当量が1200未満であると、透明基材用硬化性組成物の光硬化が進みやすくなることから、白色顔料により乱反射した光によっても透明基材用硬化性組成物が硬化し、結果として高い解像性を得ることが困難となる。
エチレン性不飽和結合当量は、好ましくは1600以上、より好ましくは1900以上、最も好ましくは3000以上である。
アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂またはフェノール樹脂を用いると好ましい。特に、カルボキシル基含有樹脂を用いると現像性の面からより好ましい。
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有し、さらにエチレン性不飽和基を有さない(非感光性の)、又はこれを有する(感光性の)従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用することができる。
エチレン性不飽和基を有さないカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基を含有する、ジアルコール化合物、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(2)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(4)2官能エポキシ樹脂または2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(5)エポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を開環させ、生成した水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(6)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちポリフェノール化合物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドと反応させて得られるポリアルコール樹脂等の反応生成物に、多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
また、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。なお、カルボキシル基含有樹脂におけるエチレン性不飽和結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。
(7)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基を含有する、ジアルコール化合物、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(9)上述の(7)または(8)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(10)上述の(8)または(9)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(11)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(13)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル感光性樹脂。
(14)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちポリフェノール化合物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドと反応させて得られるポリアルコール樹脂等の反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に、更に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(15)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(16)上述の(3),(7)~(15)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
これら感光性カルボキシル基含有樹脂は、(7)~(16)として述べた以外のものも使用することができ、1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。特にカルボキシル基含有樹脂の中で芳香環を有している樹脂が、解像性に優れるので好ましい。
上述のカルボキシル基含有樹脂は、感光性、非感光性問わず、以下のことが言える。すなわち、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45~120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価がこのような範囲内であれば、アルカリ現像が容易となり、現像液による露光部の溶解が抑制され、必要以上にラインが痩せることなく、現像液による溶解剥離のない正常なパターンの描画が可能となる。
また、上述のカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000、さらには5,000~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量がこのような範囲内であれば、タックフリー性能に優れ、露光後の塗膜の耐湿性が良好であり、解像度や現像性、貯蔵安定性に優れる。
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、透明基材用硬化性組成物(固形分)中に、20~80質量%、好ましくは30~70質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有樹脂の配合量がこのような範囲内であれば、塗膜強度が低下せず、増粘や、作業性の低下が起こらない。
また、本発明においては、(A)アルカリ可溶性樹脂として、感光性カルボキシル基含有樹脂、および、感光性を有しないカルボキシル基含有樹脂のいずれか一方を用いることも、これらを混合して用いることも可能である。
混合比は、(A)アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和結合当量が1200以上となるように調整されるのであれば、どのようなものであってもよい。
感光性カルボキシル基含有樹脂、および、感光性を有しないカルボキシル基含有樹脂は、上述以外のものも使用することができ、それぞれ1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。カルボキシル基含有樹脂の中でも、特に、芳香環を有している樹脂は、屈折率が高く、解像性に優れるので好ましい。
フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を有する化合物、例えば、ビフェニル骨格若しくはフェニレン骨格またはその両方の骨格を有する化合物、または、フェノール性水酸基含有化合物、例えば、フェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール等を用いて合成した、様々な骨格を有するフェノール樹脂を用いてもよい。
例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ビスフェノールF、ビスフェノールS型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物など公知慣用のフェノール樹脂を用いることができる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
かかるフェノール樹脂の市販品としては、HF-1M(明和化成社製)、フェノライトTD-2090、フェノライトTD-2131(DIC社製)、ベスモールCZ-256-A(DIC社製)、シヨウノールBRG-555、シヨウノールBRG-556、シヨウノールCGR-951(アイカ工業社製)、または、ポリビニルフェノールのCST70、CST90、S-1P、S-2P(丸善石油社製)等を挙げることができる。これらのフェノール樹脂は、単独で、あるいは2種類以上を適宜組合せて用いることができる。
本発明においては、(A)アルカリ可溶性樹脂として、エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないという条件を満たす限り、カルボキシル基含有樹脂およびフェノール樹脂のいずれか一方、または、これらの混合物を用いてもよい。
[(B)熱硬化性成分]
本発明の透明基材用硬化性組成物は、その硬化物の耐熱性、形状安定性を向上させるため、光硬化に加えて、さらに熱硬化を受ける。
よって、本発明の透明基材用硬化性組成物は、(B)熱硬化成分を含む。
熱硬化性成分としては、イソシアネート化合物(ブロックイソシアネート化合物を除く)、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
本発明では、特にエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する公知慣用の多官能エポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂は、液体のものであってもよく、固形又は半固形のものであってもよいが、固形又は半固形のエポキシ樹脂が用いられる場合、液体のエポキシ樹脂が、エポキシ樹脂の合計質量に対して70質量%以上(すなわち、固形又は半固形のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の合計質量に対して30質量%未満)でなければならない。
液体のエポキシ樹脂が、エポキシ樹脂の合計質量に対して70質量%を下回ると、透明基材用硬化性組成物から得られる硬化物の解像性が悪化する。液体のエポキシ樹脂が、エポキシ樹脂の合計質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ここで、液体、固形、半固形とは、それぞれ、30℃におけるエポキシ樹脂の状態をいう。
エポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のEPICLON 840、850、850-S、1050、2055、東都化成社製のエポトートYD-011、YD-013、YD-127、YD-128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ-エポキシESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL903、DIC社製のEPICLON 152、165、東都化成社製のエポトートYDB-400、YDB-500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ-エポキシESB-400、ESB-700等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のEPICLON N-730、N-770、N-865、東都化成社製のエポトートYDCN-701、YDCN-704、日本化薬社製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020、EOCN-104S、RE-306、NC-3000、住友化学工業社製のスミ-エポキシESCN-195X、ESCN-220、新日鐵化学社製のYDCN-700-2、YDCN-700-3、YDCN-700-5、YDCN-700-7、YDCN-700-10、YDCN-704 YDCN-704A、DIC社製のEPICLON N-680、N-690、N-695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のEPICLON 830、三菱ケミカル社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST-2004、ST-2007、ST-3000(商品名)、三菱ケミカル社製のYX8034等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH-434、住友化学工業社製のスミ-エポキシELM-120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-933、日本化薬社製のEPPN-501、EPPN-502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS-200、ADEKA社製EPX-30、DIC社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL-931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN-190、ESN-360、DIC社製HP-4032、EXA-4750、EXA-4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP-7200、HP-7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR-102、YR-450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
これらのエポキシ樹脂は、30℃で液体、固形、半固形のものと様々であるが、液体のエポキシ樹脂が、エポキシ樹脂の合計質量に対して70質量%以上となる限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)熱硬化性成分の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、液体の(B)熱硬化性成分が40質量部超80質量部未満となる割合であり、50質量部超70質量部未満となる割合であることが好ましい。
液体の(B)熱硬化性成分配合量がこのような範囲内であれば、現像速度が遅くならず、タック性(指触乾燥性)も良好となる。
[(C)光重合性モノマー]
本発明の透明基材用硬化性組成物は、公知慣用の光重合性モノマーを含んでもよい。光重合性モノマーは、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。光重合性モノマーは、(エチレン性不飽和基が含まれる場合には、)活性エネルギー線照射によるアルカリ可溶性樹脂の光硬化を助け、透明基材用硬化性組成物を硬化させるものである。
前記光重合性モノマーとして用いられる化合物としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか一種などが挙げられる。
(C)光重合性モノマーは、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。
(C)光重合性モノマーの配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、10質量部超30質量部未満の割合であり、15質量部超25質量部未満の割合であることが好ましい。
(C)光重合性モノマーの配合量がこのような範囲内であれば、透明基材用硬化性組成物の光硬化性に優れ、現像時にパターンニングが良好となり、タック性(指触乾燥性)も良好となる。
[(D)白色顔料]
本発明の透明基材用硬化性組成物には、得られた硬化物の輝度向上のため、(D)白色顔料を含む。
(D)白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛など公知の白色顔料を用いることができる。中でも、高い着色性および反射率から酸化チタンが好ましい。これら白色顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。酸化チタンは、ルチル型酸化チタンでもアナターゼ型酸化チタンでもよいが、着色性、隠蔽性および安定性からルチル型チタンを用いることが好ましい。同じ酸化チタンであるアナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度が高く、白色顔料としてよく使用されるが、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒活性を有するために、特にLEDから照射される光により、絶縁性樹脂組成物中の樹脂の変色を引き起こすことがある。これに対し、ルチル型酸化チタンは、白色度はアナターゼ型と比較して若干劣るものの、光活性を殆ど有さないために、酸化チタンの光活性に起因する光による樹脂の劣化(黄変)が顕著に抑制され、また熱に対しても安定である。
市販されているルチル型酸化チタンとしては、例えば、タイペークR-820、タイペークR-830、タイペークR-930、タイペークR-550、タイペークR-630、タイペークR-680、タイペークR-670、タイペークR-680、タイペークR-670、タイペークR-780、タイペークR-850、タイペークCR-50、タイペークCR-57、タイペークCR-Super70、タイペークCR-80、タイペークCR-90、タイペークCR-93、タイペークCR-95、タイペークCR-97、タイペークCR-60、タイペークCR-63、タイペークCR-67、タイペークCR-58、タイペークCR-85、タイペークUT771(石原産業社製)、タイピュアR-100、タイピュアR-101、タイピュアR-102、タイピュアR-103、タイピュアR-104、タイピュアR-105、タイピュアR-108、タイピュアR-900、タイピュアR-902、タイピュアR-960、タイピュアR-706、タイピュアR-931(デュポン社製)、R-25、R-21、R-32、R-7E、R-5N、R-61N、R-62N、R-42、R-45M、R-44、R-49S、GTR-100、GTR-300、D-918、TCR-29、TCR-52、FTR-700(堺化学工業社製)等を使用することができる。
また、アナターゼ型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。市販されているアナターゼ型酸化チタンとしては、TITON A-110、TITON TCA-123E、TITON A-190、TITON A-197、TITON SA-1、TITON SA-1L(堺化学工業社製)、TA-100、TA-200、TA-300、TA-400、TA-500、TP-2(富士チタン工業社製)、TITANIX JA-1、TITANIX JA-3、TITANIX JA-4、TITANIX JA-5、TITANIX JA-C(テイカ社製)、KA-10、KA-15、KA-20、KA-30(チタン工業社製)、タイペークA-100、タイペークA-220、タイペークW-10(石原産業社製)等を使用することができる。
(D)白色顔料の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、20質量部超70質量部未満であり、好ましくは30質量部超60質量部未満である。(D)白色顔料の配合量が(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して20質量部以上の場合、反射率及びOD値が良好となり、70質量部以下ではハレーションの発生を抑えることができ、解像性も良好となる。
また、本発明で使用される透明基材用硬化性組成物は、更に以下のオキシム系光重合開始剤を含む。
[(E)オキシムエステル系光重合開始剤]
光重合開始剤は、エネルギー線の照射により、(メタ)アクリレートを重合させる。中でも、(E)オキシムエステル系光重合開始剤は、高い光重合能力を発揮する。
(E)オキシムエステル系光重合開始剤は、一般式(I)
Figure 0007254559000001
で表される構造部分を含む。
(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1~6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1~6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
は、フェニル基(炭素数1~6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1~6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す)。
一般式(I)で表される構造部分を含む(E)オキシムエステル系光重合開始剤としては、好ましくは、下記式(II)で表される2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007254559000002
Figure 0007254559000003
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、又はフェノキシカルボニル基を表し、
、Rは、それぞれ独立に、フェニル基(炭素数1~6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1~6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
は、水素原子、フェニル基(炭素数1~6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1~6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す)、
Figure 0007254559000004
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表し、
、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、及び
nは0~5の整数を表す)
(E)オキシムエステル系光重合開始剤の中でも、前記式(II)で表される2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン、及び式(III)で表される化合物がより好ましい。市販品としては、BASFジャパン社製のCGI-325、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、日本化学工業株式会社製のTOE-04-A3、アデカ株式会社製のN-1919、NCI-831等が挙げられる。これらのオキシムエステル系光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(E)オキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。上記のように、(E)オキシムエステル系光重合開始剤の配合量が、0.01質量部以上であると、透明基材用硬化性組成物の光硬化性が不足することなく、塗膜特性も良好となり、5質量部以下であると、硬化膜表面での光吸収と、深部硬化性のバランスも良く、解像性も良好となる。より好ましくは、0.5質量部以上3質量部以下である。
また、本発明の透明基材用硬化性組成物は、(E)オキシムエステル系光重合開始剤に加えて、他の光重合開始剤を含んでいても良い。
他の光重合開始剤としては、例えば、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、およびアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、Omnirad 819などが挙げられる。
さらに、ガラス基材等の無機基材上に本発明の透明基材用硬化性組成物が施される場合、無機基材と透明基材用硬化性組成物の硬化物との密着性を向上させるために、本発明の透明基材用硬化性組成物は、(F)シランカップリング剤をさらに含むことが好ましい。
[(F)シランカップリング剤]
(F)シランカップリング剤に含有される有機基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、ポリスルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。
(F)シランカップリング剤の市販品としては、例えば、KA-1003、KBM-1003、KBE-1003、KBM-303、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-1403、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KBM-602、KBM-603、KBE-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103、KBM-9103、KBM-573、KBM-575、KBM-6123、KBE-585、KBM-703、KBM-802、KBM-803、KBE-846、KBE-9007(いずれも商品名;信越シリコーン社製)などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(F)シランカップリング剤の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。上記のように、(F)シランカップリング剤の配合量が、0.1質量部以上であれば、無機基材と透明基材用硬化性組成物の硬化物との密着性向上効果が確認でき、10質量部以下であれば、無機基材と透明基材用硬化性組成物の硬化物との密着性のさらなる向上もあり、タック性(指触乾燥性)が悪化することもない。
さらに、本発明の透明基材用硬化性組成物は、(I)黒色着色剤を含むことが好ましい。
[(I)黒色着色剤]
(I)黒色着色剤が本発明の透明基材用硬化性組成物に含まれることで、例えば、カラーフィルタの隔壁を形成するために使用される場合に、遮光性を高めることが容易となる。
(I)黒色着色剤としては、公知慣用の黒色着色剤を使用することができる。黒色着色剤としては、C.I.Pigmentblack 6、7、9および18等に示されるカーボンブラック系の顔料、C.I.Pigment black 8、10等に示される黒鉛系の顔料、C.I.Pigmentblack 11、12および27,Pigment Brown35等で示される酸化鉄系の顔料:例えば戸田工業(株)製KN-370の酸化鉄、三菱マテリアル(株)製13Mのチタンブラック、C.I.Pigment black 20等で示されるアンスラキノン系の顔料、C.I.Pigmentblack13、25および29等で示される酸化コバルト系の顔料、C.I.Pigment black 15および28等で示される酸化銅系の顔料、C.I.Pigmentblack 14および26等で示されるマンガン系の顔料、C.I.Pigmentblack 23等で示される酸化アンチモン系の顔料、C.I.Pigment black 30等で示される酸化ニッケル系の顔料、C.I.Pigmentblack 31、32で示されるペリレン系の顔料、PigmentBlack 1で示されるアニリン系の顔料および硫化モリブデンや硫化ビスマスも好適な顔料として例示できる。これらの顔料は、単独で、または適宜組合せて使用される。特に好ましいのは、カーボンブラックであり、例えば、三菱化学(株)製のカーボンブラック、M-40、M-45、M-50、MA-8、MA-100、またペリレン系の顔料は有機顔料の中でも低ハロゲン化に有効である。
(I)黒色着色剤の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、0.1質量部以上5質量部以下の割合であることが好ましい。(I)黒色着色剤の配合量が、このような範囲内であれば、OD値は上昇し、かつ反射率が著しく低下することもない。
[(H)ブロックイソシアネート化合物]
(H)ブロックイソシアネート化合物は、1分子内に複数のブロック化イソシアネート基を有する化合物である。ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。(H)ブロックイソシアネート化合物を加えることにより硬化性および得られる硬化物の強靭性を向上させることができる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε-カプロラクタム、δ-パレロラクタム、γ-ブチロラクタムおよびβ-プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL-3175、BL-4165、BL-1100、BL-1265、デスモジュールTPLS-2957、TPLS-2062、TPLS-2078、TPLS-2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B-830、B-815、B-846、B-870N、B-874、B-882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA-B80E、17B-60PX、E402-B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)、7950、7951、7960、7961、7982、7990、7991、7992(いずれもBaxenden chemicals社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL-3175、BL-4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(H)ブロックイソシアネート化合物の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、0.1質量部以上10質量部以下の割合であることが好ましい。(H)ブロックイソシアネート化合物の配合量が、このような範囲内であれば、硬化性のさらなる向上が期待でき、解像性も良好である。
さらに、本発明の透明基材用硬化性組成物は、(G)表面改質剤を含むことが好ましいい。
[(G)表面改質剤]
例えば、カラーフィルタの形成において、インクジェット方式で赤、緑、青等の各色のインクが吐出される画素領域を区画する隔壁を形成するために本発明の透明基材用硬化性組成物が使用される場合に、各色のインクが隔壁(硬化物)上に吐出された場合にインクの一部が隔壁上に残り、インクの塗り分けが不完全になることが懸念された。
(G)表面改質剤は、隔壁(硬化物)の表面を改質し、画素領域からずれて隔壁上にかかったインクの一部を画素領域内に弾き返す目的で用いられる。
(G)表面改質剤としては、フッ素系表面改質剤を用いることができる。フッ素系表面改質剤としては、エチレン性不飽和基などのUV反応性基を有するもの、有さないもののどちらも使用することができるが、UV反応性基を有するものを使用することが好ましい。
市販されている、UV反応性基を有する(G)表面改質剤としては、例えば、DIC社製のメガファックRS-56、RS―75、RS-72-K、RS-76-E、RS-76-NS、RS-78、RS-90が挙げられ、UV非反応性の(G)表面改質剤としては、例えば、メガファックF―555、F-558、F-572などが挙げられる。(G)表面改質剤の配合量は、(A)エチレン性不飽和結合当量が1200以上、またはエチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、0.1質量部以上3質量部以下の割合であることが好ましく、0.5質量部以上2質量部以下の割合であることがより好ましい。上記のように、(G)表面改質剤の配合量が、0.1質量部以上であれば、その効果が確認でき、5質量部以下であれば、透明基材用硬化性組成物に気泡が発生しやすくなるという問題が生じることもない。
本発明において、表面改質剤とは少量添加することによって、塗布あるいは成形して得られる固体表面に対して機能性を付与する添加剤をいう。表面改質剤と類似の概念として界面活性剤が挙げられるが、界面活性剤は、形成された固体表面の性質を変化させるものと、変化させないものの両方が含まれる点において表面改質剤と異なる(すなわち、表面改質剤は形成された固体表面の性質を変化させないものを含まない)。
また、一般に、撥液性を示す表面改質剤は透明基材用硬化性組成物に発泡を生じさせることから、通常、表面改質剤が透明基材用硬化性組成物に添加されることはない。しかし、本発明において、インクジェット方式を用いた画素インクの塗り分け性向上を目的とする場合には、(G)表面改質剤を添加することが好ましく、この場合、発泡の問題は、(G)表面改質剤の添加量、および、必要により後述する消泡剤の添加によって解消されることがわかった。
[他の成分]
本発明の透明基材用硬化性組成物には、さらに、必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の重合禁止剤、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの無機充填材、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくとも何れか1種、酸化防止剤、光重合増感剤、光安定剤、分散剤、硬化促進剤、難燃剤、難燃助剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
また、本発明の透明基材用硬化性組成物は、透明基材用硬化性組成物の調製や粘度調整のために用いられる有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを使用することができる。これらの有機溶剤は、単独で、または、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の透明基材用硬化性組成物は、一定の遮光性を確保しつつ高い輝度を有し、且つ、解像性が良好であるので、本発明の透明基材用硬化性組成物を用いることで、高品質のディスプレイ用部材を得ることができる。本発明の透明基材用硬化性組成物は、その他、印刷インク、印刷用プルーフ作製材料、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、(輝度を向上させた)ブラックマトリックス等の遮蔽画像等の作製に用いられ、特に本発明の透明基材用硬化性組成物は、カラー液晶表示装置等に用いるカラーフィルタの表示特性向上のために、着色パターンの間隔部、周辺部分、及びTFTの外光側等に遮光画像(ブラックマトリックスを含む。)を設けるためや、タッチパネル用遮光膜に好適に用いることができる。特に好ましくは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、無機ELを備えたEL表示装置、CRT表示装置、タッチパネルを具備した表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁(ベゼル形成)や赤、青、緑の着色画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更に好ましくはTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のブラックマトリックスとして好適に用いられる。なお、上記ブラックマトリックスや黒色の部分については、本発明の透明基材用硬化性組成物を用いることで、遮光性を確保しつつ実質的に白色を呈する部材となる。
<本発明の透明基材用硬化性組成物のドライフィルム、および硬化物>
本発明の透明基材用硬化性組成物は、キャリアフィルム(支持体)上に塗布、乾燥させて得られるドライフィルムの形態とすることができる。ドライフィルム化に際しては、本発明の透明基材用硬化性組成物を上記有機溶剤により希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して、乾燥塗膜とすることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で0.1~100μm、好適には0.5~50μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、0.1~150μmの範囲で適宜選択される。
この場合、キャリアフィルム上に塗膜を成膜した後、塗膜の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、塗膜の表面にさらに、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバーフィルムを剥離する際に、塗膜とカバーフィルムとの接着力が、塗膜とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
また、本発明の透明基材用硬化性組成物につき上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整した後、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、ダイコーター法等の方法により塗布して、約50℃~90℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの乾燥塗膜を形成することができる。また、本発明の透明基材用硬化性組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、これを、ラミネーター等により透明基材用硬化性組成物の塗膜が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に塗膜の層を形成することができる。
これらの塗膜を、例えば、活性エネルギー線照射により光硬化させるか、または、100℃~250℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、硬化物を得ることができる。
上記基材としては、400~800nmの全光透過率が20%以上、好ましくは50%以上の透明又は半透明基材を用いる。具体的には、ガラス基材、PEN基材、PET基材である。
本発明の透明基材用硬化性組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど、蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触させる方法、および、ノズルより支持体に吹き付ける方法を用いて行うことができる。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接活性エネルギー線を照射し画像を描くダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機の光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にある光を用いているものであればよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
また、現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味するものとする。
(アルカリ可溶性樹脂の合成)
[合成例1(エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂)]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管および撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、メタクリル酸42部、メチルメタクリレート43部、スチレン35部、ベンジルアクリレート35部、カルビトールアセテート100部、ラウリルメルカプタン0.5部およびアゾビスイソブチロニトリル4部を加え、窒素気流下で75℃で5時間加熱して重合反応を進行させて、共重合体溶液(固形物酸価117.3mgKOH/g、固形分濃度50質量%)を得た。
[合成例2(エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂)]
温度計、撹拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えたフラスコに、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテル325.0部を110℃まで加熱し、メタクリル酸174.0部、ε-カプロラクトン変性メタクリル酸(平均分子量314)174.0部、メタクリル酸メチル77.0部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル222.0部、および、重合触媒としてのt-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製商品名:パーブチルO)12.0部の混合物を、3時間かけて滴下し、さらに110℃で3時間撹拌し、重合触媒を失活させて、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を冷却後、サイクロマーM100(株式会社ダイセル社製商品名)を289.0部、トリフェニルホスフィン3.0質量部およびハイドロキノンモノメチルエーテル1.3部を加え、100℃に昇温し、撹拌することによってエポキシ基の開環付加反応を行い、固形物酸価79.8mgKOH/g、固形分45.5質量%であるカルボキシル基含有樹脂溶液A-2を得た。
<1.実施例1~4および比較例1~4の透明基材用硬化性組成物の調製>
合成例の樹脂溶液及び表1に示す各材料をそれぞれ配合、撹拌機にて予備混合し、次いで3本ロールミルにより混練して第1液を調製し、同じく表1に示す各材料をそれぞれ配合、撹拌機にて予備混合して第2液を調製した。その後、第1液及び第2液を混合・撹拌することで透明基材用硬化性組成物を調製した。表1中、(A-1)、(A-2)については、溶媒を含むそれぞれの樹脂溶液の質量を示す。
Figure 0007254559000005
*1:ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのヘキサアクリレート(DPCA-60:日本化薬社製)
*2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP:新中村化学工業社製)
*3:EO付加トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量約340)(ラロマーLR8863:BASFジャパン社製)
*4:ルチル型酸化チタン(CR-58:石原産業社製)
*5:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(Irgacure OXE02:BASFジャパン社製)
*6:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad 819:IGM Resins社製)
*7:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―403:信越化学工業社製)
*8:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103:信越化学工業社製)
*9:二官能ブロックイソシアネート化合物(B-870N:三井武田ケミカル社製)
*10:MA100:三菱ケミカル社製
*11:ペンタエルトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox 1010:BASFジャパン社製)
*12:DISPERBYK(登録商標)―111:ビックケミー・ジャパン社製
*13:シメチコン(ジメチコンとケイ酸の混合物)(KS-66:信越化学工業社製)
*14:液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂(850-S:DIC社製)
*15: 液体の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YX8034:三菱ケミカル社製)
*16:固形のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(NC-3000H:日本化薬社製)のカルビトールアセテート溶液(固形分75%)
*17:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(メガファックRS―78:DIC社製)
<2.1.で調製された透明基材用硬化性組成物からの硬化塗膜(硬化物)の作成>
実施例1~4及び比較例1~4により調製された各透明基材用硬化性組成物をガラス基材(イーグルXG)上にスクリーン印刷にて10μm厚となるように印刷し、80℃/30分で乾燥を行った。次に、露光機(680GW:ORC社製)にて後述する各評価項目に適したパターンを形成できる露光マスクを用いて、あるいは露光マスクを用いないで、1,000mJ/cmで露光した。続いて、30℃ 1質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて50秒間現像を行った後、150℃/60分でポストキュアを行い、硬化塗膜を形成した。形成した硬化塗膜を用い、以下の評価を行った。
<2-1.現像速度の測定>
現像速度の測定は、<2.1.で調製された透明基材用硬化性組成物からの硬化塗膜(硬化物)の作成>における、10μm厚となるように印刷し、乾燥された後の、ガラス基材(イーグルXG)上の各透明基材用硬化性組成物に対して実施された。
具体的には、乾燥後の各透明基材用硬化性組成物の塗膜を30℃ 1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、下地のガラス基材が露出するまでの時間をストップウォッチにて計測して現像速度を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:45秒以上60秒未満
×:60秒以上
<2-2.ガラス基材上の解像性(ハレーション)>
20μm L/Sの露光マスクを用いて、<2.1.で調製された透明基材用硬化性組成物からの硬化塗膜(硬化物)の作成>の工程を経て硬化塗膜を形成した。形成したパターンに関して、形成されたパターンのライン幅を測定した。ここで、露光マスクが20μm L/Sであるから、ライン幅の設計値は20μmであり、形成されたパターンのライン幅から20μmを除した値をライン幅増加量として評価した。すなわち、ライン幅増加量が大きいほどハレーションが発生して設計値よりもライン幅が増大し、解像性が悪化していることになる。評価基準は以下のとおりである。
ライン幅増加量
◎:15μm以下
○:15μm超20μm以下
△:20μm超30μm以下
×:30μm超40μm以下
××:40μm超
<2-3.ガラス基材上の解像性(最小解像可能幅)>
各透明基材用硬化性組成物について、20um、30um、50um、100um、150um及び200um L/Sとなる露光マスクを用いて、<2.1.で調製された透明基材用硬化性組成物からの硬化塗膜(硬化物)の作成>の工程を経て硬化塗膜を形成した。その後、形成されたパターンのライン幅を測定した。ガラス基材上においては、露光マスクのL/Sの値が小さくなるにつれて硬化物のパターンがガラス基材上に残りづらくなる傾向にあるが、パターンが残り始めた時のライン幅を測定し、このライン幅を解像可能となった最小のライン幅、すなわち、最小解像可能幅とした。評価基準は以下のとおりである。
最小解像可能幅
◎:30μm以下
○:30μm超50μm以下
△:50μm超150μm以下
×:150μm超
<2-4.ガラス基材密着性(クロスカットテープピール)>
<2.1.で調製された透明基材用硬化性組成物からの硬化塗膜(硬化物)の作成>における乾燥後の各透明基材用硬化性組成物の塗膜を露光マスクを用いることなく全面露光し、上記に記載の工程を経て硬化塗膜を形成後、1mm幅の碁盤目状(100マス)となるようにカットしてクロスカットテープピール試験(JIS K 5600)を行った。評価基準は以下のとおりである。
塗膜片の残存量
○:100/100(塗膜片の剥離なし)
△:90以上99以下/100
×:90未満/100
××:10未満/100
<2-5.反射率>
実施例1~4及び比較例1~4により調製された各透明基材用硬化性組成物をソーダライムガラスにスクリーン印刷により10μm厚となるように全面塗布し、80℃/30分で乾燥を行った。次に、露光機(680GW:ORC社製)にて1,000mJ/cmで露光した。続いて、150℃/60分でポストキュアを行い、硬化塗膜を形成した。得られた基板の塗膜表面について、分光測色計(CM-2600d、コニカミノルタセンシング(株)製)にて、波長450nmにおける反射率を測定した。評価基準は以下のとおりである。
反射率
○:60%以上
×:60%未満
<2-6.遮蔽性評価(OD値) (10μm)>
実施例1~4及び比較例1~4により調製された各透明基材用硬化性組成物をソーダライムガラスにスクリーン印刷により10μm厚となるように全面塗布し、80℃/30分で乾燥を行った。次に、露光機(680GW:ORC社製)にて1,000mJ/cmで露光した。続いて、150℃/60分でポストキュアを行い、硬化塗膜を形成した。この硬化塗膜の透過光量を光学濃度計(X-Rite 361T(V):サカタインクスエンジニアリング社製)により測定し、OD値を以下の数式
OD値=-log10(T/100)
に基づいて算出した。遮蔽性の評価基準は以下のとおりである。
OD値
◎:0.6以上
○:0.5以上0.6未満
△:0.4以上0.5未満
×:0.4未満
以下、表2に現像速度、ガラス基材上の解像性(ハレーション)、ガラス基材上の解像性(最小解像可能幅)、反射率、および遮蔽性評価(OD値)の評価結果を示す。
Figure 0007254559000006
表2に示すように、本発明に係る実施例1~4に関しては、解像性とガラス基材との密着性、及び隠蔽性と輝度向上に必要な光の反射率について良好な結果が得られた。一方、(A)アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和結合当量が1200を下回る比較例1と2では、解像性が悪化している。また、比較例3では(I)カーボンブラックを大量に配合することで遮蔽性が向上する一方で反射率が低下し、解像性も悪化している。また、比較例4は、比較例3から熱硬化性成分を液状から固形のものに置き換えたものであるが、その結果、解像性が著しく悪化したことが示された。

Claims (12)

  1. (A)ルカリ可溶性樹脂と、
    (B)熱硬化性成分と、
    (C)光重合性モノマーと、
    (D)白色顔料と、
    (E)オキシム系光重合開始剤と、
    前記(E)オキシム系光重合開始剤以外の光重合開始剤と、
    を含む透明基材用硬化性組成物であって、
    前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、感光性カルボキシル基含有樹脂、感光性を有しないカルボキシル基含有樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択され、且つ
    前記(A)アルカリ可溶性樹脂が感光性カルボキシル基含有樹脂を含む場合には、前記(A)アルカリ可溶性樹脂のエチレン性不飽和結合当量が1200以上であり、
    前記(E)オキシム系光重合開始剤の配合量は、前記(A)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部(固形分)に対して、0.01質量部以上5質量部以下である、
    ことを特徴とする透明基材用硬化性組成物。
  2. さらに、(F)シランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明基材用硬化性組成物。
  3. さらに、(G)表面改質剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明基材用硬化性組成物。
  4. さらに、(H)ブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の透明基材用硬化性組成物。
  5. さらに、(I)黒色着色剤を含むことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の透明基材用硬化性組成物。
  6. (D)白色顔料が酸化チタンであることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の透明基材用硬化性組成物。
  7. (G)表面改質剤が、フッ素系表面改質剤であって、エチレン性不飽和基を含むことを特徴とする、請求項3に記載の透明基材用硬化性組成物。
  8. (B)熱硬化性成分のうち30℃で液体の(B)熱硬化性成分の割合が、(B)熱硬化成分の合計質量に対して70質量%以上であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の透明基材用硬化性組成物。
  9. 請求項1~8のうちいずれか1項に記載の透明基材用硬化性組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥させて得られることを特徴とするドライフィルム。
  10. 請求項1~8のうちいずれか1項に記載の透明基材用硬化性組成物を、基材上に塗布、乾燥させて得られる乾燥塗膜、または、前記透明基材用硬化性組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥させて得られるドライフィルムが基材にラミネートされてなる塗膜を、硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
  11. 請求項10に記載の硬化物を備えることを特徴とする遮光用部材。
  12. 請求項11に記載の硬化物を備えることを特徴とするディスプレイ用部材。
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