JP4700924B2 - ソルダーレジスト組成物及びそれから形成されたソルダーレジストを有するプリント配線板 - Google Patents

ソルダーレジスト組成物及びそれから形成されたソルダーレジストを有するプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、プリント配線板の回路パターン隠蔽性に優れたソルダーレジスト組成物及びそれから形成されたソルダーレジストを有するプリント配線板に関する。
一般に、民生用乃至産業用プリント配線板においては、電子部品実装時のはんだ供給に当たって、不要部分へのはんだ不着防止や回路保護を目的として、ソルダーレジストが形成される。このソルダーレジスト用の樹脂組成物としては、熱硬化型、光硬化型、光硬化・熱硬化型など種々の組成物が従来から知られているが、微細なパターンが容易に形成できることからフォトリソ法にてパターンを形成する現像型ソルダーレジスト組成物が普及しており、なかでも環境への配慮、コストの面から希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプのソルダーレジスト組成物が主として用いられている(特許文献1〜3参照)。
従来、プリント配線板のソルダーレジストにおいては、その色調は一般的に作業者の視覚に刺激を与えないように緑色とされ、その色素(もしくは着色顔料)としてはフタロシアニングリーンが多用されている。
しかしながら、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に応えるためにプリント配線板の回路パターンの微細化が進んでおり、また、それに伴ってソルダーレジスト層もより一層薄膜化されつつある。その結果、ソルダーレジスト層を通して回路パターンが見えてしまうという問題がある。すなわち、プリント配線板の重要な構成部分である回路パターンについて、第三者が容易に模倣、盗用し易い状況となっている。そこで、本発明者らは、例えば黒などの有色顔料を多量に配合して回路パターンを隠蔽しようと試みたが、ソルダーレジスト層の薄膜化と回路パターンの隠蔽を同時に達成することはできなかった。
特開昭61−243869号公報(特許請求の範囲) 特開平7−50473号公報(特許請求の範囲) 特公平7−17737号公報(特許請求の範囲)
本発明は、前述したような問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、形成されるソルダーレジスト層を薄膜化しても、電気絶縁性、耐熱性、密着性、耐薬品性、耐めっき性、硬度等のソルダーレジストに要求される諸特性を損なうことなく、その下に存在する回路パターンを隠蔽できる有色ソルダーレジスト組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、かかるソルダーレジスト組成物を用いて形成されたソルダーレジストを有し、該ソルダーレジストにより回路パターンが隠蔽されているプリント配線板を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分を含有するソルダーレジスト組成物において、顔料として、白顔料以外の着色顔料としてのカーボンブラックと隠蔽性向上のための白顔料としての酸化チタンのみを組み合わせて、カーボンブラック:酸化チタン=1:10〜10:1の割合で、且つ、組成物全体の0.5〜10質量%の合計量で含有することを特徴とするプリント配線板用ソルダーレジスト組成物が提供される。
さらに本発明によれば、上記ソルダーレジスト組成物から形成されたソルダーレジストを有するプリント配線板が提供される。
本発明のプリント配線板用ソルダーレジスト組成物は、顔料として、白顔料以外の着色顔料としてのカーボンブラックと隠蔽性向上のための白顔料としての酸化チタンのみを組み合わせて、カーボンブラック:酸化チタン=1:10〜10:1の割合で、且つ、組成物全体の0.5〜10質量%の合計量で含有しているため、形成されるソルダーレジスト層を薄膜化しても、電気絶縁性、耐熱性、密着性、耐薬品性、耐めっき性、硬度等のソルダーレジストに要求される諸特性を損なうことなく、回路パターンの隠蔽性に優れている。そのため、プリント配線板の重要な構成部分である回路パターンについて、第三者が模倣、盗用することを効果的に防止できる。
本発明者らは、ソルダーレジストによるプリント配線板の回路パターン隠蔽性について鋭意研究の結果、顔料として白顔料以外の着色顔料と隠蔽性向上のための白顔料を組み合わせて含有している場合、ソルダーレジストに要求される諸特性を損なうことなく、ソルダーレジスト層を薄膜化しても回路パターンを有効に隠蔽できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明のソルダーレジスト組成物は、顔料(A)として上記着色顔料(A−1)としてのカーボンブラックと白顔料(A−2)としての酸化チタンを組み合わせて含有している他は、他の光硬化性成分、熱硬化性成分等については従来のソルダーレジスト組成物をそのまま適用できる。
着色顔料(A−1)としては、カーボンブラックを用いることができる。
一方、白顔料(A−2)としては、酸化チタンを用いることができる。着色力と無毒性という点から酸化チタンが好ましい。
これら着色顔料(A−1)と白顔料(A−2)の配合比率は、(A−1):(A−2)=1:10〜10:1の割合が好ましい。白顔料(A−2)の配合比率が上記範囲よりも低い場合、回路パターンを有効に隠蔽できず、一方、上記範囲よりも高い場合、着色顔料による着色が薄くなるので好ましくない。
また、ソルダーレジスト組成物中のこれら着色顔料と白顔料の合計量は、組成物全体の0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲が好適である。着色顔料と白顔料の合計量が0.5質量%未満の場合、回路パターンの隠蔽性が悪く、一方、10質量%を超えて多量に配合した場合、隠蔽性は10質量%で既に最大限発揮された状態に達しており、それ以上の添加は経済的に無駄であるため、好ましくない。
本発明によれば、上記のように、より少ない顔料の配合量にて回路パターンを有効に隠蔽できる。従って、光特性に悪影響を及ぼすことなく、薄膜でも回路パターンを有効に隠蔽できる。
熱硬化型のソルダーレジスト組成物は、必須成分として(B)分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物と、その硬化剤としての(C)分子中にフェノール性水酸基、カルボキシル基等の環状エーテル基と反応し得る基を2個以上有する化合物を含有し、必要に応じて(D)硬化触媒を含有する。分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(B−1)及び/又は分子中に2個以上のオキセタニル基を有する多官能オキセタン化合物(B−2)を好適に用いることができる。
多官能エポキシ化合物(B−1)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートに代表される複素環式エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
多官能オキセタン化合物(B−2)としては、例えば、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタンなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
前記した分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多官能フェノール性水酸基含有化合物(C−1)としては、例えばフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビニルフェノールなどが挙げられる。
分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(C−2)としては、例えば、ジョンクリル67(ジョンソンポリマー社製)、CIC酸(四国化成工業社製)などが挙げられる。
前記した分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)と分子中にフェノール性水酸基、カルボキシル基等の環状エーテル基と反応し得る基を2個以上有する化合物(C)との配合割合は、通常の割合でよいが、前記環状エーテル基を有する化合物(B)の環状エーテル基1当量に対し、フェノール性水酸基、カルボキシル基等の環状エーテル基と反応し得る基を2個以上有する化合物(C)の官能基が0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.2当量となる割合が望ましい。
本発明のソルダーレジスト組成物は、その熱硬化特性を向上させるために硬化触媒(D)を含有することが好ましい。この硬化触媒としては、例えば、イミダゾール類、アミン類などが挙げられるが、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。
硬化触媒(D)の配合量は通常の量的割合で充分であり、例えば前記分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15.0質量部の割合である。
一方、本発明の光硬化型のソルダーレジスト組成物は、少なくとも光硬化性成分(E)及び光重合開始剤(F)を含有する。光硬化性成分(E)としては、各種光重合性モノマー(E−1)や感光性プレポリマー(E−2)を用いることができる。
光重合性モノマー(E−1)の代表的なものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類、エチレングリコール等のグリコール類のモノ又はジアクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類、多価アルコールもしくはフェノール類又はそれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類、グリシジルエーテルのアクリレート類など、及び上記アクリレート類に対応する各メタクリレート類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感光性プレポリマー(E−2)としては、従来知られている各種光硬化性樹脂を用いることができ、特定のものに限定されないが、アルカリ水溶液による現像が可能であり、しかも基板に対する密着性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、硬度等の皮膜特性に優れたレジスト皮膜が得られる点から、分子中にカルボキシル基と2個以上のエチレン性不飽和結合を併せ持つ感光性プレポリマー(オリゴマー又はポリマー)が好ましい。
上記感光性プレポリマー(E−2)としては、例えば、
(1)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能のエポキシ化合物のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基をエステル化反応(全エステル化又は部分エステル化、好ましくは全エステル化)させ、生成した水酸基にさらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(2)アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートからなる共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(4)アルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを部分的に反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(5)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、1分子中に少なくとも2個の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個の他の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(6)無水マレイン酸等の不飽和多塩基酸無水物とスチレン等のビニル基を有する芳香族炭化水素との共重合体に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(7)1分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の一級水酸基に対して飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(8)ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物に不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂や、
(9)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、1分子中に少なくとも2個の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸基以外の1個の他の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物と不飽和基含有モノイソシアネートを反応させて得られる生成物等の不飽和基含有ポリカルボン酸ウレタン樹脂などを挙げることができる。
上記感光性プレポリマーがカルボキシル基を有する場合には、アルカリ現像が可能になるが、カルボキシル基を有さない場合には、有機溶剤により現像することになる。カルボキシル基を含有する感光性プレポリマーの酸価は、その種類によって好適な範囲は異なるが、一般に30〜200mgKOH/gの範囲にあることが必要であり、好ましい範囲は40〜120mgKOH/gである。酸価が30mgKOH/gより小さい場合にはアルカリ水溶液への溶解性が悪くなり、逆に200mgKOH/gより大きすぎると、硬化膜の耐アルカリ性、電気特性等のレジストとしての特性を下げる要因となるので、いずれも好ましくない。
光重合開始剤(F)としては、例えば、ベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアミノアセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、有機過酸化物、チオール化合物、ベンゾフェノン類又はキサントン類、オキシム化合物などが挙げられるが、特にこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光開始助剤に限らず、単独であるいは複数併用して使用できる。
前記光重合開始剤(光開始助剤を用いる場合にはそれらの合計量)の使用量は、前記光硬化性成分(E)100質量部に対して0.1〜25質量部、好ましくは0.5〜20質量部の割合が望ましい。光重合開始剤の配合量が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射を行っても硬化しないか、もしくは照射時間を増やす必要があり、適切な皮膜物性が得られ難くなる。一方、上記範囲よりも多量に光重合開始剤を添加すると、経済的に好ましくない。
本発明のソルダーレジスト組成物を光硬化・熱硬化型に組成する場合には、少なくとも前記光硬化性成分(E)、特にカルボキシル基を含有する感光性プレポリマー(E−2)、及び光重合開始剤(F)と共に、前記分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)を含有し、必要に応じて前記硬化触媒(D)を含有する。このような光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合、分子中に2個以上の環状エーテル基を有する化合物(B)の配合割合は、前記光硬化性成分(E)100質量部に対して10質量部以上、100質量部以下の割合で充分であり、好ましくは15〜60質量部の割合である。
本発明のソルダーレジスト組成物は、硬化性成分等を溶解し希釈せしめ、それによって液状として塗布し、次いで乾燥させることにより造膜せしめ、接触露光を可能とするため、有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、石油系溶剤などが挙げられる。
有機溶剤の使用量は特定の割合に限定されるものではなく、選択する塗布方法に応じて適宜設定できる。
本発明のソルダーレジスト組成物は、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ等の公知慣用の無機フィラーを単独で又は2種以上配合することができる。これらは塗膜の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させる目的で用いられる。
本発明のソルダーレジスト組成物は、さらに必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、アセトアセトキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の密着性付与剤、界面活性剤、光吸収剤、チキソ性付与剤などのような公知慣用の各種添加剤類を配合することができる。
以上説明したような本発明のソルダーレジスト組成物は、必要に応じて希釈して塗布方法に適した粘度に調整し、これを例えば、熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、回路形成されたプリント配線板にスクリーン印刷等により所定のパターンに塗布し、加熱硬化することによってソルダーレジストパターンを形成することができる。
一方、光硬化型又は光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、回路形成されたプリント配線板にスクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により塗布し、例えば約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。その後、レーザー光等の活性エネルギー線をパターン通りに直接照射するか、またはパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成できる。さらに、光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、加熱硬化のみ、または活性エネルギー線の照射後加熱硬化もしくは加熱硬化後活性エネルギー線の照射で最終硬化(本硬化)させることにより、密着性、はんだ耐熱性、耐吸湿性、PCT耐性、無電解金めっき耐性、耐屈曲性、耐折性、柔軟性、反り、電気絶縁性に優れた硬化膜(硬化物)が形成される。
上記アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
また、光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども活性エネルギー線として利用できる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実施例1
太陽インキ製造(株)製熱硬化ソルダーレジストインキS−500(主剤S−500E01(ノボラック変性型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール樹脂を主成分とし、顔料としてのカーボンブラック、その他無機フィラー等の添加剤を含有)と硬化剤HD−50(フェノール樹脂を主成分とし、硬化触媒としてイミダゾールを含有)の9:1混合品;カーボンブラック濃度1.2%)100部に対し、酸化チタン3部を配合し、ディゾルバーにて充分攪拌し、3本ロールミルにて分散を3度繰り返し、熱硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
実施例2
太陽インキ製造(株)製紫外線硬化ソルダーレジストインキUVR−182E(アクリレートモノマー含有ノボラック型アクリレート誘導体及びアクリレートモノマーを主成分とし、光重合開始剤、顔料としてカーボンブラック、その他無機フィラー等の添加剤を含有;カーボンブラック濃度0.7%)100部に対し、酸化チタン1部を配合し、ディゾルバーにて充分攪拌し、3本ロールミルにて分散を3度繰り返し、光硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
実施例3
太陽インキ製造(株)製現像型ソルダーレジストインキPSR(主剤PSR−4000EG23(カルボキシル基含有ノボラック型アクリレート樹脂を主成分とし、光重合開始剤と、硬化触媒としてのジシアンジアミドと、着色顔料としてカーボンブラック、その他無機フィラー等の添加剤を含有)と硬化剤CA−40G23(ノボラック変性型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸変性型エポキシ樹脂、アクリレートモノマーを主成分として含有)の7:3混合品;カーボンブラック濃度0.3%)100部に対し、酸化チタン1部を配合し、ディゾルバーにて充分攪拌し、3本ロールミルにて分散を3度繰り返し、光硬化・熱硬化のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例1
実施例1において、酸化チタンを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、熱硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例2
実施例2において、酸化チタンを配合しなかった以外は実施例2と同様にして、光硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例3
実施例3において、酸化チタンを配合しなかった以外は実施例3と同様にして、光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例4
実施例1において、酸化チタン3部に代えてカーボンブラック3部を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例5
実施例2において、酸化チタン1部に代えてカーボンブラック1部を配合した以外は実施例2と同様にして、光硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
比較例6
実施例3において、酸化チタン1部に代えてカーボンブラック1部を配合した以外は実施例3と同様にして、光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物を調製した。
前記各実施例及び各比較例で調製したソルダーレジスト組成物の組成を表1にまとめて示す。
Figure 0004700924
試験例
前記各実施例及び各比較例で調製したソルダーレジスト組成物を、熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、FR−4基材上に回路パターンを作製した基板に150メッシュのポリエステル製版にてスクリーン印刷を行い、150℃で20分間硬化させた。一方、光硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、FR−4基材上に回路パターンを作製した基板に150メッシュのポリエステル製版にてスクリーン印刷を行い、UV照射機で350nmの波長にて積算光量1J/cmのUV光を照射して硬化させた。また、光硬化・熱硬化型のソルダーレジスト組成物の場合には、FR−4基材上に回路パターンを作製した基板に100メッシュのポリエステル製版にてスクリーン印刷を行い、80℃で30分間乾燥させた。その後、露光機で350nmの波長にて積算光量300mJ/cmのUV光を照射し、1%炭酸ソーダ水溶液にて現像後、150℃で60分間硬化させた。
このようにして作製した基板について、以下のようにして回路パターンの隠蔽性について評価した。
隠蔽性の評価方法:
作製した基板をソルダーレジスト上から目視で観察し、回路ターンの見え方を以下の基準で評価した。
○:回路が見えない。
×:回路が見える。
結果を表2に示す。なお、表2には、形成されたソルダーレジストの膜厚も併せて示す。
Figure 0004700924
上記表2に示される結果から明らかなように、カーボンブラック(黒顔料)と酸化チタン(白顔料)を併用した各実施例の場合、回路ターンの隠蔽性に優れていた。これに対し、比較例1〜3のように、カーボンブラック(黒顔料)を単独で用いた場合には、回路ターンの隠蔽性が悪く、また、比較例4〜6のように、その濃度を上げても隠蔽性は改善されなかった。
なお、本発明は、その具体的適用形態としてソルダーレジスト組成物について説明したが、本発明の顔料の組合せは、隠蔽性が要求される他の用途への適用も期待できる。

Claims (2)

  1. 光硬化性成分及び/又は熱硬化性成分を含有するソルダーレジスト組成物において、顔料として、白顔料以外の着色顔料としてのカーボンブラックと隠蔽性向上のための白顔料としての酸化チタンのみを組み合わせて、カーボンブラック:酸化チタン=1:10〜10:1の割合で、且つ、組成物全体の0.5〜10質量%の合計量で含有することを特徴とするプリント配線板用ソルダーレジスト組成物。
  2. 請求項1に記載のソルダーレジスト組成物から形成されたソルダーレジストを有するプリント配線板。
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