JP5841354B2 - くつ下 - Google Patents

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Description

本発明は、特に高齢者や身体の不自由な人のような使用者が容易に履くことができるくつ下に関する。
高齢者等の使用者が履くためのくつ下に類したものとして、高齢者が外反母趾の矯正をする目的で使用する外反母趾矯正用具が、特許文献1に提案されている。
この外反母趾矯正用具は、親指を収容する外反母趾袋部と、他の指を収容する大袋部を有し、高齢者がこの外反母趾矯正用具を履くことにより、外反母趾矯正用具が苦痛等を与えることなく外反母趾を矯正して、外反母趾に起因する転倒の危険性を防止するようになっている。
特開2009−279399号公報
ところで、使用者がくつ下を履く場合には、通常、使用者は右手の指と左手の指を用いてくつ下の履き口部を持って拡げて、拡げた履き口部から足の先端をくつ下の中に入れて、そしてくつ下を両手で引き上げることで、くつ下により足全体と足首を覆う。
ところが、高齢者や身体の不自由な人等の使用者がくつ下を履く場合には、両手の指を使うことが必ずしもできない場合があり、この場合には両手の指を用いてくつ下の履き口部を持って拡げることができないことから、高齢者や身体の不自由な人がくつ下を容易に履くことができないという問題がある。
そこで、本発明は、高齢者や身体の不自由な人のような使用者が容易に履くことができるくつ下を提供することを目的とする。
本発明のくつ下は、使用者の足の指を収容する足指覆い部と、足底を覆う足底覆い部と、足甲を覆う足甲覆い部と、前記甲覆い部よりも上部に設けた履き口部とを一体に有するくつ下であって、前記履き口部は、足首に対する締め付けの弱い編み方により編成されている足首主部と、前記足首主部よりも上部に連続して形成された第1伸縮部及び第2伸縮部と、を有し、前記第1伸縮部の伸縮度合いは、前記足首主部の伸縮度合いに比べて大きく、前記第2伸縮部の伸縮度合いは、前記足首主部の伸縮度合いに比べて大きいが、前記第1伸縮部の伸縮度合いに比べて小さくなっており、さらに、前記第1伸縮部の前側に形成された第1の指掛け部と、前記足首主部の後側に形成された第2の指掛け部と、を有し前記第1の指掛け部と前記第2の指掛け部は、使用者の指を前記履き口部の内側から挿入する凹状の袋部からなることを特徴とする。
上記構成によれば、使用者が足の指先部を先端だけ前記履き口部に差し入れた状態で、指掛け部に自らの指を掛けてくつ下を引き上げることで、高齢者や身体の不自由な人のような使用者であっても、くつ下を容易に履くことができる。すなわち、使用者が両手でくつ下の履き口部を広げて両手の指で引き上げてくつ下を履くことができなくても、片手の指を指掛け部に掛けてくつ下を足首側に引き上げるだけで、くつ下を容易に履くことができ、履いた後は、日常活動においてピッタリとフィットしてズレが発生することがない。
好ましくは、前記第1の指掛け部は、使用者の指の一部を挿入できる凹状の袋部もしくは引っかけ部でなることを特徴とする。
上記構成によれば、使用者にとって、視覚的にも理解し易い指掛け部を形成することができる。
好ましくは、前記履き口部は他の部分の各覆い部よりも緩い力で使用者の足首よりも上の位置をソフトに締めて覆う筒状の部分であることを特徴とする。
上記構成によれば、足首の周りでしっかり足首周りを引き締めつつ、その上の部分は履き口部でソフトに覆い、使用者に着用中の不快な感触や負担をかけないで、かつずり下がることがないくつ下を提供することができる。
好ましくは、前記足指覆い部は、第1足趾(親指)を収容する母趾袋部と、第2足趾から第5足趾を収容する大袋部とに区分されていることを特徴とする。
上記構成によれば、足指覆い部が母趾袋部と大袋部に区分されているので、第1足趾(親指)を他の足趾から離すことができ、外反母趾を有効に防止することができる。
好ましくは、前記足甲覆い部の編成の引張力は、前記足底覆い部の編成の引張力に比べて大きくなるように設定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、使用者が足をくつ下に収容した際に、足甲覆い部は足指覆い部を強く上方向に引き上げることができるから、使用者の足の各指を上方に向けるように作用する。このため、使用者が高齢者や身体の不自由ない人であっても、椅子に座った状態から容易に立ちあがることができるようになり、使用者が立ち上がる際に転倒することを有効に防止できる。
好ましくは、前記足底覆い部と前記足首覆い部の間には後覆い部分を有し、前記後覆い部分には、ゴム編み部分が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、後覆い部分は、くつ下が足首からずり落ちるのを防ぐことができる。
本発明は、高齢者や身体の不自由な人のような使用者が容易に履くことができるくつ下を提供することができる。
本発明のくつ下の好ましい実施形態を示す斜視図。 図2(A)は、図1に示すくつ下の上面を示し、図2(B)は、図1に示すくつ下の下面を示す図。 使用者が指を用いて、くつ下を使用者の足に装着しようとする動作例を示す側面図。 くつ下が使用者の足に装着された後の状態を示す斜視図。 図5(A)は、本発明の実施形態のくつ下において、足に荷重がかかるポイントP1、P2、P3を示す図であり、図5(B)は、比較例のくつ下において、足に荷重がかかるポイントP1、P2、P3を示す図。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明のくつ下の好ましい実施形態を示す斜視図であり、図1ではくつ下は、使用者の足に装着された状態を示している。
図2(A)は、図1に示すくつ下1の上面を示し、図2(B)は、図1に示すくつ下1の下面を示しているが、図2では、くつ下1には足が挿入されていない。
図1と図2に示すくつ下1は、代表して右足用のくつ下を示しているが、左足用のくつ下の形状は、右足用のくつ下1の形状と左右対称形状であり、左足用のくつ下の機能や効果は、図1と図2に示す右足用のくつ下1の機能や効果と同じである。
図1と図2に示すくつ下1の使用者例としては、好ましくは高齢者や身体の不自由な人であり、このくつ下1は、使用者の足全体と足首Fを覆う編地からなり、例えば好ましくは表側は、530デニール程度の繊維径の綿製、裏側(肌側)は、160デニール程度の繊維径で、弾性糸として機能する、ナイロンカバーがされたポリウレタン製である。530デニールを越えると伸縮性がほぼなくなり、160デニールより小さいと強度が低下する。
以下に詳細に説明するが、くつ下1は、使用者が両手の指を用いて履き口部を広げなくても、片手の指の動作だけで容易に履くことができる構造を有している。
しかも、このくつ下1は、好ましくは外反母趾を防止する機能を有しており、使用者が履いて装着することで、親指を外側に向けることにより外反母趾を防ぎ、歩行時の身体のバランスを保つことにより転倒の危険性を少なくすることができる等、後述するように種々の利点を備えるものである。
図1に示すくつ下1は、素肌への刺激が少ないものとなるように考慮されている。
くつ下1は、先端の足指覆い部2と、下側の足底覆い部3と、上側の足甲覆い部4と、履き口部5と後覆い部分7とを一体に有しており、全体的に、少なくともくつ下に求められる伸縮性を有している。符号8はゴム編み部分である。
図1と図2に示す足指覆い部2は、使用者の足先の第1足趾から第5足趾を収容する部分であり、足底覆い部3は、使用者の足の足底を覆う部分である。足甲覆い部4は、使用者の足の甲部分を覆う部分で、履き口部5は特に柔軟な布地でなり、足首Fの上方を筒状にソフトに締め付けて覆う部分である。履き口部5の上部には、履き口開口部6が形成されており、この履き口開口部6は、使用者の足を挿入するための開口部分である。
図1と図2に示すように、足指覆い部2は、母趾袋部2Aと大袋部2Bを有しており、母趾袋部2Aと大袋部2Bは、分け目部分2Cにより区分されている。
母趾袋部2Aでは、その先端部2Gが袋状になって足の第1足趾(親指)を収容することができる。大袋部2Bでは、その先端部2Fが袋状になって足の第2足趾から第5足趾を収容するようになっている。このように、足指覆い部2が母趾袋部2Aと大袋部2Bに明確に区分されているので、足の第1足趾を第2足趾から第5足趾から離れた外側に向けることができ、足指覆い部2は第1足趾が第2足趾側に向くことを阻止して、外反母趾を有効に防止することができる。
図1と図2(B)に示すくつ下1の足底覆い部3は、袋状の母趾袋部2Aの先端部2Gと袋状の大袋部2Bの先端部2Fから、後覆い部分7にかけて連続して編成されている。この足底覆い部3と母趾袋部2Aと大袋部2Bは、厚みのある生地でソフトな感触をえられるようにされた構造であり、好ましくは、例えば、あぜ編みにより編成されている。このように、足底覆い部3と母趾袋部2Aと大袋部2Bがあぜ編みにより編成されていることにより、足裏(足底)と足の第1足趾から第5足趾を収容して覆う際に、図2(B)に示すT方向とS方向に沿って十分に柔軟性をもって使用者が楽にこの部分を伸ばすことができ、しかも足裏と第1足趾から第5足趾を保温することができる。図1と図2(B)に示すT方向は、足裏の長手方向であり、S方向は足裏の幅方向である。
一方、図1と図2(A)に示すくつ下1の足甲覆い部4は、母趾袋部2Aの上側内端部2Dと大袋部2Bの上側内端部2Eから、履き口部5にかけて連続して編成されている。この足甲覆い部4は、足底覆い部3と母趾袋部2Aと大袋部2Bのあぜ編みに比べて伸びにくく引張力が強くなるように、好ましくは、例えばタック(重ね)編みにより編成されている。すなわち、足甲覆い部4の編成部分の引張力は、足底覆い部3の編成部分の引張力に比べて大きく(強く)なるように設定されている。
このように、足甲覆い部4は、足底覆い部3とは異なり、タック(重ね)編みにより編成されているので、使用者が足をくつ下1内に収容した際に、足甲覆い部4の領域を強く引くことで、母趾袋部2Aと大袋部2B内の第1足趾から第5足趾を強くR方向(上方向)に引き上げることができる。このように、使用者の第1足趾から第5足趾の先端が上向きに引き上げることができることから、高齢者や身体の不自由ない人であっても、椅子に座った状態から容易に立ちあがることができるようになり、使用者が立ち上がる際に転倒することを有効に防止できる。
ここで、足甲覆い部4のタック編み部は、図示の実施形態では、その全体に施されているが、全体でなくても、例えば、母趾袋部2Aに対応する領域だけに施されるようにしてもよいし、大袋部2Bに対応した領域にだけ設けられても良い。しかしながら、もし部分的に設ける場合、少なくとも母趾袋部2Aに対応する領域に設けると、高齢者等の足の力の弱い人が使用する場合に、立ち上がりの際や、方向の安定に特に効果的である。
足底覆い部3には、幅方向全体にわたる少なくとも3本の襞と、両側に少なくとも10本の襞を設けている。こうすることで、伸縮性,柔軟性に優れ、高齢者や身体の不自由ない人であっても容易にくつ下1をしっかりと装着することができる。
次に、図1と図2(B)に示すくつ下1の後覆い部分7は、足底覆い部3の後端部3Sと履き口部5の下端部Rの間に編成されている。足底覆い部3の後端部3Sと後覆い部分7の下部分7Bは、足の踵を覆う部分9を編成している。足の踵を覆う部分9は、図2(B)に示すように足を入れていない状態では、弛んだ袋状になるように外側に突き出すように編成されており、後覆い部分7は、好ましくは、その中心部にあぜ編み部8a、その両側にタック編み部8b,8c、さらにタック編み部8b,8cの外側に、あぜ編み部8d,8eで編成している。あぜ編み部8aの幅は10mm程度、タック編み部8b,8cの幅は25mm程度、あぜ編み部8d,8eの幅は、25mm程度である。また、あぜ編み部8a,あぜ編み部8a,8d,8eには、幅方向全体にわたる少なくとも4本の襞を設けている。あぜ編み部8a,8d,8eにより、足を収容する際に図2(B)に示すP方向とQ方向に沿って十分に伸縮性,柔軟性をもって伸ばすことができ、高齢者や身体の不自由ない人であっても容易にくつ下1をしっかりと装着することができる。しかも足の踵を保温することができる。一方、タック編み部8b,8cにより、装着後にくつ下1がズレ落ちることなくしっかり固定できるようになる。
これらのあぜ編み部8a,8d,8e、タック編み部8b,8cは、図2(B)に示すように、P方向に平行に編成されている。
足甲覆い部4の後端部4Lと後覆い部分7の上端部7Lと、あぜ編み部8a,8d,8e、タック編み部8b,8cとで、足首覆い部を形成している。この足首覆い部は、装着状態で使用者の足首を、履き口部5よりも強めに締めることにより、くつ下1が容易に脱げないように機能する。
図1に示すように、くつ下1の履き口部5は、足甲覆い部4の後端部4Lと後覆い部分7の上端部7Lの上に一体に編成されている。すなわち、履き口部5は、履き口部は他の部分の各覆い部よりも緩い力で使用者の足首よりも上の位置をソフトに締めて覆う筒状の部分である筒状の履き口部5の上端部は履き口開口部6となっている。
このため、足首の周りでしっかり足首周りを引き締めつつ、その上の部分は履き口部でソフトに覆い、使用者に着用中の不快な感触や負担をかけないで、かつずり下がることがない。
この履き口部5は、長手方向の長さが80〜90mm、好ましくは85mmで、足首主部5Aと第1伸縮部5Bと第2伸縮部5Cを有している。
足首主部5Aは、足首に対する締め付けの弱い編み方により編成されている。第1伸縮部5Bと第2伸縮部5Cはこの足首主部5Aに連続して形成されており、リング状の第1伸縮部5Bの伸縮度合いは、足首主部5Aの伸縮度合いに比べてかなり大きくなっている。リング状の第2伸縮部5Cの伸縮度合いは、第1伸縮部5Bの伸縮に追従できるようにするために、足首主部5Aの伸縮度合いに比べて大きいが、第1伸縮部5Bの伸縮度合いに比べて小さくなっている。
くつ下1は少なくとも一つの指掛け部を有している。指掛け部は、くつ下の履き口部5よりも上側に少なくとも一つ設けることが好ましくは、該指掛け部は、使用者の指の一部を挿入できる凹状の袋部もしくは凹状となっていなくても、くつ下の幅方向に横切るヒモ部、あるいは細幅のベルト部等でなる引っかけ部で形成することができる。
第1伸縮部5Bの前側(表側)、すなわち足甲覆い部4よりも上側の位置には、第1の指掛け部10が、くつ下1の幅方向のほぼ中心部に外側に基部の幅(35mm程度)よりも先端部の幅(20mm程度)を小さくして、8mm程度突き出して編成されている。後で説明するが、この指掛け部は、この実施形態では、形成箇所の布地を凹状の袋状としたものである。
第1の指掛け部10は、使用者の手の指(例えば人差し指)Gを挿入することで、指Gの力を用いてくつ下1を足に対して引き上げて足を挿入する第1動作を行うために形成されている。
また、図1に示すように、履き口部5の足首主部5Aの後側(裏側)には、第2の指掛け部11が、くつ下1の幅方向のほぼ中心部に外側に基部の幅(40mm程度)よりも先端部の幅(15mm程度)を小さくして、20mm程度突出して形成されている。第2の指掛け部11は、第1の指掛け部10とは反対側の位置に形成されているが、第1の指掛け部10よりはさらに下側に長手方向で、50mm程度離間して設けてあり、第2の指掛け部11は、後覆い部分7のすぐ上側の位置に編成されている。後で説明するが、この袋状の第2の指掛け部11は、使用者の手の指(例えば人差し指)Gを挿入することで、指Gの力を用いてくつ下1をさらに足に対して引き上げて足を挿入する第2動作を行うために形成されている。
次に、上述したくつ下1の使用例、すなわち使用者が片手の指Gを用いてくつ下1を足に履く動作例を、図3と図4を参照して説明する。図3は、使用者が指を用いて、くつ下を使用者の足に装着しようとする途中の動作例を示す側面図であり、図4は、くつ下が使用者の足に装着された後の状態を示す斜視図である。
図3(A)に示すように、使用者は指でくつ下1の履き口部5を持って、足Dのつま先Hをくつ下1の履き口開口部6に入れる。そして、指Gを袋状の第1の指掛け部10に履き口部5の内側から挿入して、指Gの力を用いてくつ下1を足Dに対してM方向に沿って斜め上方向に引き上げて足Dを挿入する第1動作を行う。すなわち、足Dのつま先Hを履き口開口部6に挿入した後、使用者は指Gを第1の指掛け部10に挿入して履き口部5をM方向に引き上げると、図3(B)に示すように、くつ下1は足Dの踵部分Wを覆うことができる。
この場合に、指Gを第1の指掛け部10に挿入して履き口部5をM方向に引き上げるのに伴って、例えば図3(C)に例示するように、第2伸縮部5Cが第1伸縮部5B側の上に外側に向けてまくれて重なることにより、足Dの足首Fは、履き口開口部6から、より挿通されやすくなるので、この点からもより容易にくつ下1内に挿入できる。
さらに、図3(B)に示すように、使用者の指Gを履き口部5の内側から袋状の第2の指掛け部11に挿入して、指Gの力を用いてくつ下1を足Dに対してN方向に沿って上側にさらに引き上げる第2動作を行う。これにより、使用者は片手の1本の指Gを用いるだけで、図4に示すように、足Dは、くつ下1内に完全に容易に収容することができ、使用者はくつ下1を容易に履くことができる。
このように、高齢者や身体の不自由な人のような使用者は、指Gを第1の指掛け部10と第2の指掛け部11順に、履き口部5の内側から挿入して、第1の指掛け部10と第2の指掛け部11を利用してくつ下1を順次引き上げる動作を行うことで、使用者が両手でくつ下1の履き口開口部6を広げて両手の指で引き上げてくつ下1を履くことができなくても、使用者はくつ下1を引き上げて容易に履くことができる。
従って、本発明の実施形態のくつ下1は、従来、両手の指を用いてくつ下の履き口部を持って拡げることができず、高齢者や身体の不自由な人がくつ下を容易に履くことができないという問題を解消することができる。第1の指掛け部10と第2の指掛け部11は、指Gの力がかかっても、十分に対応して伸長することができるので、使用者は容易にくつ下1の履き口部5を引き上げることができる。握力の弱い人、片手が麻痺している人や高齢者等が、第1の指掛け部10と第2の指掛け部11を利用してくつ下1を引き上げる動作を順次行うことで、両手でくつ下1の履き口開口部6を広げて両手の指で引き上げてくつ下1を履くことができなくても、くつ下1を容易に履くことができる。
図1に示すくつ下1では、足指覆い部2は母趾袋部2Aと大袋部2Bに明確に区分されているので、図4に示すように、使用者が足をくつ下1内に収容すると、図1に示す母趾袋部2Aは、足の第1足趾(親指)を収容し、大袋部2Bは、足の第2足趾から第5足趾を収容することができる。このように、足指覆い部2が母趾袋部2Aと大袋部2Bに区分されているので、足の第1足趾(親指)を第2足趾から第5足趾から離れた外側に向けることができ、外反母趾を有効に防止することができる。
本発明の実施形態のくつ下1を使用した場合には、足にかかる荷重の分散は、図5(A)に示すように、3つのポイントP1、P2、P3に分散される。ポイントP1は親指にあり荷重分散率は25%であり、ポイントP2は第2足趾から第5足趾側にあり荷重分散率は25%、そしてポイントP3は踵にあり荷重分散率は50%である。このように、ポイントP1、P2は位置が明確に離れており、25%ずつ荷重を分散できるので、C方向について足の安定性を保つことができ、歩行安定性を維持できるので、使用者が転倒することを防止できる。
これに対して、比較例として示す図5(B)のように、足指覆い部が母趾袋部と大袋部に区分されていない場合には、ポイントP1とポイントP2は近接してしまうことから、使用者はC方向について足の安定性を欠くことになり、歩行安定性を維持し難くなり、転倒し易くなる。
図1に示す足甲覆い部4は、好ましくはゴム編みにより編成されているので、使用者が足をくつ下1に収容した際に、足甲覆い部4は、母趾袋部2Aと大袋部2B内の第1足趾から第5足趾を強くR方向(上方向)に引き上げることができる。このため、本発明の実施形態のくつ下1は、第1足趾から第5足趾を強くR方向に引き上げることができない場合に比べて、使用者が高齢者や身体の不自由ない人であっても、椅子に座った状態から容易に立ちあがることができるようになり、使用者が立ち上がる際に転倒することを有効に防止できる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図示例のくつ下1では、足指覆い部2が母趾袋部2Aと大袋部2Bに区分されているが、足指覆い部2が母趾袋部と大袋部に区分されていなくても良い。また、足指覆い部2の大袋部2Bは、第2足趾から第5足趾にそれぞれ区分されるようになっていても良い。くつ下1の材質は綿製に限らず、例えば綿、ナイロン(登録商標)、ポリウレタンの混紡等であっても良い。
1・・・くつ下、2・・・足指覆い部、2A・・・母趾袋部、2B・・・大袋部、3・・・足底覆い部、4・・・足甲覆い部、5・・・履き口部、6・・・履き口部開口部、7・・・後覆い部分、8・・・ゴム編み部分、9・・・足の踵を覆う部分、10・・・第1の指掛け部、11・・・第2の指掛け部、D・・・使用者の足、F・・・足首、G・・・使用者の手の指

Claims (5)

  1. 使用者の足の指を収容する足指覆い部と、足底を覆う足底覆い部と、足甲を覆う足甲覆い部と、前記足甲覆い部よりも上部に設けた履き口部とを一体に有するくつ下であって、
    前記履き口部は、足首に対する締め付けの弱い編み方により編成されている足首主部と、前記足首主部よりも上部に連続して形成された第1伸縮部及び第2伸縮部と、を有し、
    前記第1伸縮部の伸縮度合いは、前記足首主部の伸縮度合いに比べて大きく、
    前記第2伸縮部の伸縮度合いは、前記足首主部の伸縮度合いに比べて大きいが、前記第1伸縮部の伸縮度合いに比べて小さくなっており、
    さらに、前記第1伸縮部の前側に形成された第1の指掛け部と、
    前記足首主部の後側に形成された第2の指掛け部と、を有し、
    前記第1の指掛け部と前記第2の指掛け部は、使用者の指を前記履き口部の内側から挿入する凹状の袋部からなる
    ことを特徴とするくつ下。
  2. 前記履き口部は他の部分の各覆い部よりも緩い力で使用者の足首よりも上の位置をソフトに締めて覆う筒状の部分であることを特徴とする請求項1に記載のくつ下。
  3. 前記足指覆い部は、第1足趾(親指)を収容する母趾袋部と、第2足趾から第5足趾を収容する大袋部とに区分されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のくつ下。
  4. 前記足甲覆い部の編成の引張力は、前記足底覆い部の編成の引張力に比べて大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のくつ下。
  5. 前記足底覆い部と前記足甲覆い部の間には後覆い部分を有し、前記後覆い部分には、ゴム編み部分が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のくつ下。
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