以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に示す図面の人の足の骨、足のアーチ、足ユニットの改善用具等は左足であるが、これが右足であっても実質的に差異はない。
<人の足の骨と、足のアーチ及び足ユニットの改善用具>
まず、人体の足の底面(裏面)の骨と、足のアーチの構造とについて説明する。
人体の足の裏の骨1は、図1(A)に示すように、主として、足根骨2と、中足骨3と、趾骨4(指骨)とに区分される。前記足根骨2は、立方骨21、舟状骨22、踵骨23、距骨24、第1楔状骨25−第3楔状骨27の7個の骨から構成される。又、前記中足骨3は、第1中足骨31−第5中足骨35の5個の骨から構成される。更に、前記趾骨4は、親指の骨を構成する基節骨41と末節骨42、人差指の骨から小指の骨を構成する基節骨43、中節骨44、末節骨45の14個の骨から構成される。これらの骨が、多数の腱と筋肉とにより連結されることで、人体の足の裏となる。
又、親指の基節骨41と第1中足骨31との間には、第1中足趾節関節51が存在し、人差指の基節骨43と第2中足骨32との間には、第2中足趾節関節52が存在する。中指から小指までの基節骨43と第2中足骨−第5中足骨33−35との間に、それぞれ第3中足趾節関節−第5中足趾節関節53−55が存在する。そして、中足骨3と足根骨2(第1楔状骨−第3楔状骨25−27、立方骨21)との間に足根中足関節56が存在し、立方骨21及び舟状骨22と、距骨24及び踵骨23との間に横足根関節57が存在する。
更に、人体の足の底面には、上述した骨が、上述した多数の腱と筋肉によって上方(上面)に引き上げられて、3種類のアーチが形成されている。
先ず、図1(A)、図1(C)に示すように、踵骨23、距骨24、舟状骨22、第1楔状骨25−第3楔状骨27、第1中足骨31−第3中足骨33で構成され、舟状骨22及び第1楔状骨25付近を頂点とし、踵部分71と親指の付根部分72とを結んだアーチが内側縦アーチ61という。
次に、図1(A)、図1(B)に示すように、踵骨23、立方骨21、第4中足骨34、第5中足骨35で構成され、立方骨21付近を頂点(中央部)とし、踵部分71と小指の付根部分73とを結んだアーチが外側縦アーチ62という。
そして、図1(A)、図1(B)に示すように、第1中足骨31−第5中足骨35、親指から小指までの基節骨41、43で構成され、第2中足骨32から第3中足骨33までの付近を頂点(中央部)とし、親指の付根部分72と小指の付根部分73とを結んだアーチが横アーチ63という。尚、足の土踏まずTは、図1(A)に示すように、第1中足骨−第3中足骨31−33、第1楔状骨−第3楔状骨25−27に対応する半円形状の領域が、足の底面に向かって窪むことで、足の底面に形成される。前記3種類のアーチ61−63を構成する各骨をアーチユニットと称する。
上述した3種類のアーチ61−63は、人が起立、歩行、走行、運動する場合に、バネとして機能し、地面(底面)からの衝撃を緩和・吸収する機能を有する。特に、人が起立したり歩行したりする場合では、内側縦アーチ61の頂点と、外側縦アーチ62の頂点とは、地面に当接せず、内側縦アーチ61の末端と、外側縦アーチ62の末端、つまり、踵部分71、親指の付根部分72、小指の付根部分73と、足趾5本の腹部分81−85(足趾の底面の膨らみ部分)が地面に当接することが好ましく、これに伴い、人の体重が適正に分散されるのである。特に、人の立位時又は歩行時において、足の底面の踵部分71、親指の付根部分72、小指の付根部分73、全ての足趾の腹部分81−85の計8点で、人の体重を支持する状態が理想的である。
しかしながら、人は、前述のような靴等の履物を着用するようになって、足の内側に自己の体重を掛けるようになり、上述した内側縦アーチ61の頂点及び土踏まずTを地面(履き物の底面)にぴったり当接させた状態で、起立したり歩行したりするようになる。すると、内側縦アーチ61の前端である親指の付根部分72、親指の腹部分81、人差指の腹部分82などが地面に当接された状態となり、人は、起立時又は歩行時に足の親指や人差指しか使わなくなる(使えなくなる)。これが、足の外側の足趾の使用を阻害し、回内扁平(扁平足)を誘発する。回内扁平は、更に、外反母趾、開帳足、関節痛などを引き起こす。
そこで、本発明に係る足の底面に配置される、立位時における足部主動筋及び足部骨格ユニット(足ユニット)の改善用具aは、図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)に示すように、足の第1中足骨31の遠位部から第5中足骨35の遠位部までを足幅方向に沿って横切る第1の弧状線a1と、踵骨24の遠位部を足幅方向に沿って横切る第2の弧状線a2とで囲まれた領域に対面する部分を、地面から当該領域に向かって膨出させている。遠位とは、体幹から遠い部位のことであり、図2では、前方又は先端に対応する。
更に、前記改善用具aは、前記膨出形状における前記第1の弧状線a1に沿った方向に直交する方向の断面形状を、断面の位置に関わらず当該膨出形状と同一形状に形成している。ここで、前記膨出形状は、略半楕円形状である。
これにより、着用者が改善用具aに足を乗せれば、当該改善用具aが、足の外側縦アーチ62をアーチユニットに則した状態で地面から、正面視で(前額面の方向から見て)で上方(天井)に向かって支持し、図3(B)、図3(D)、図4(B)に示すように、足の立方骨21近傍の底面21aを所定の(適正な)高さtに挙上する。前額面とは、立位時の身体を前後に切断する面で前方の面のことである。
ここで、足の立方骨21近傍の底面21aは、丁度、外側縦アーチ62の中央部62aの足の底面を含み、具体的には、第4中足骨34と第5中足骨35の近位部から立方骨21を含み、踵骨24の遠位部までの足の底面の特定の領域に対応する。近位とは、体幹から近い部位のことである。すると、足の小指の付根部分73、小指の腹部分85、薬指の腹部分84が自然に(又は強制的に)地面に当接することとなる。その結果、前記改善用具aは、着用者の外側の足趾の使用を促し、当該着用者は、起立時又は歩行時において足の親指などの他に、薬指と小指を使って地面をしっかり掴むようになるのである。
特に、起立時又は歩行時の人の足は、土踏まずTが存在することから、図3(C)、図4(A)に示すように、内側縦アーチ61の中央部の足の底面が、外側縦アーチ62の中央部62aの足の底面と比較して、地面から離れた状態であることが多い。これに対して、図3(A)、図3(C)に示すように、立位時又は歩行時において外側縦アーチ62が垂下して、外側縦アーチ62の中央部62aの足の底面全体が地面にペタッと当接された状態であることが多い。言い換えると、外側縦アーチ62を構成する骨格ユニット、つまり、第4中足骨34、第5中足骨35、立方骨21、踵骨23が前後方向に伸びきった状態であることが多い。この状態では、人が、外側縦アーチ62の骨格ユニットが屈曲し難く、足趾(薬指と小指)を使って踏ん張る運動がし難く、立位時又は歩行時におけるバランスを保持したりすることがし難いのである。更に、上述した靴を履く習慣により、人が、足の内側(内側縦アーチ61)に体重を掛けるようになれば、足の親指と人差指とを主動的に使用することとなり、外側の足趾の不使用を助長する。
そこで、上述した人に、本発明に係る足ユニットの改善用具aを装着すれば、図3(A)、図3(C)、図4(A)に示す扁平足の人であっても、所定の高さt(厚さ)を有する足ユニットの改善用具aが、着用者の足の立方骨21近傍の底面21a(外側縦アーチ62の中央部62aの底面を含む)を適度に持ち上げる。図3(B)、図3(D)に示すように、着用者の足の立方骨21近傍の底面21aが所定の高さtまで挙上されれば、足の底面21aと足の立方骨21との間の軟部組織21b(筋肉等)が多少圧縮するものの、当該軟部組織21bが足の立方骨21などを持ち上げ、当該立方骨21近傍が僅かな高さd(例えば、0.7mm−1.0mmなど)挙上される。つまり、着用前の外側縦アーチ62の中央部62aの高さH1が、着用後の外側縦アーチの中央部62aの高さH2となる。すると、外側縦アーチ62の骨格ユニットが屈曲状態となり、通常では屈曲し難い状態の足の薬指と小指が屈曲し易い状態となる。
又、前記内側縦アーチ61を構成する骨格ユニット、つまり、距骨24、舟状骨22、第1楔状骨25−第3楔状骨27、第1中足骨31−第3中足骨33は、正面視で(前額面の方向から見て)、外側縦アーチ62の骨格ユニットの上方に位置するようになっている。そのため、外側縦アーチ62の立方骨21近傍が挙上されると、当該外側縦アーチ62の上に位置する内側縦アーチ61の骨格ユニット、つまり、舟状骨22、第1楔状骨25−第3楔状骨27なども自動的に僅かな高さ(例えば、0.5mmなど)挙上される。例えば、図3(D)に示すように、舟状骨22の位置が、足ユニットの改善用具aを着用する前の舟状骨22の位置と比較すると、少しだけ挙上されていることが理解される。
又、外側縦アーチ62の立方骨21近傍の底面21aの挙上により、外側の足趾(薬指、小指)の使用が促されることで、内側縦アーチ61が支持する体重が、外側縦アーチ62に少しでも移る。そのため、内側縦アーチ61、土踏まずTに掛かっていた体重が減少し、外側縦アーチ62とともに内側縦アーチ61が、元来のアーチユニットに即した状態となる。つまり、アーチが復活する。その結果、着用者に足趾で地面を掴む感覚がよみがえり、人は5本全ての足趾を使った、理想的な立位、歩行をすることが可能となるのである。これは、着用者に対して、起立時又は歩行時で踏ん張りを利かすことを可能とし、外力に抗して転倒やつまずき等を効果的に防止することを可能とする。
尚、前記膨出形状における前記第1の弧状線a1に沿った方向に直交する方向の断面形状は、前記足ユニットの改善用具aの中央部から前後の足軸方向の両端縁に向かって厚みが漸減するように滑らかな曲線を描くと好ましいが、着用者に違和感を生まない範囲であれば、略台形状や、前記改善用具aの中央部から前後の足軸方向の両端縁に向かって厚みが段階的に減少する凸形状に形成しても構わない。
ところで、前記改善用具aは、足の立方骨21近傍の底面21aのみを挙上するように、足の立方骨21近傍の底面21aに対面する部分のみを膨出する構成も考えられるが、以下の理由により当該構成は実用的でない場合がある。即ち、足の底面は、足の他の皮膚と比較して敏感であるため、仮に、足の立方骨21近傍の底面21aに対面する部分のみを膨出する構成とすると、当該立方骨21に隣接する舟状骨22、第1楔状骨−第3楔状骨25−27などの底面には、当該膨出形状が当接しないことになる。すると、着用者は、足の立方骨21近傍の底面21aのみにサポート感を感じ、舟状骨22近傍の底面には何も感じないこととなり、足の底面の感触が不均等で、足の底面に著しく違和感を感じることになる。そのため、上述した構成とすると、上述した作用・効果が多少なり発揮されるものの、商品としては実用的でない可能性が高い。
さて、前記改善用具aが、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの所定の高さtは、着用者の外側縦アーチ62の高低(アーチ形状)によるものの、着用者が違和感を感じない程度の高さから、心地よいサポート感を感じる程度の高さまでの範囲であると好ましい。更に、前記改善用具aの材質は、当該改善用具aが足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを所定の高さtに挙上するのであれば、弾性材を用いても可撓性材を用いても構わない。つまり、着用前の前記改善用具aの高さt0は、当該改善用具aの材質、着用者の体重、着用者の足の軟部組織の厚さなどに応じて、任意に設計しても構わない。
例えば、前記改善用具aの材質を弾性とする場合、人が当該改善用具aを着用すると人の体重により当該改善用具aが弾性変形するため、当該変形を考慮して、着用前における当該改善用具aの所定の高さt0は、足の立方骨21近傍の底面21aを挙上したい所定の高さtよりも高く設計される。又、前記改善用具aの材質を可撓性とする場合、人が当該改善用具aを着用したとしても当該改善用具aは殆ど変形しないため、当該改善用具aの所定の高さt0は、足の立方骨21近傍の底面21aを挙上したい所定の高さtと同等に設計される。
又、前記改善用具aは、前記第1の弧状線a1と前記第2の弧状線a2とで囲まれた領域に対面する部分を膨出させた形状であれば、いずれの部分が他の部分より膨出されても、外側縦アーチ62を元来のアーチユニットに即した状態とするが、下記に示す構成であると更に好ましい。即ち、前記改善用具aは、図2(A)−図2(D)に示すように、前記膨出形状が、足根中足関節56近傍部を足幅方向に沿って横切る第3の弧状線a3と、横足根関節57近傍部を足幅方向に沿って横切る第4の弧状線a4とで囲まれた領域に対面する部分asを、他の部分よりも膨出させた形状であると好ましい。これにより、足の立方骨21近傍の底面21a、つまり、足の外側縦アーチ62の中央部62aが確実に挙上されるとともに、足の内側縦アーチ61の中央部も挙上され、第1中足骨−第5中足骨31−35が、丁度、放射状に広がるように配置される。そのため、各中足骨31−35の前方に位置する各足趾の腹部分81−85が地面に対して均等に当接され、着用者の各足趾の使用を適切に促すことが可能となる。
尚、第3の弧状線a3と第4の弧状線a4とで囲まれた領域に対面する部分asが、他の部分より滑らかな面(平坦面)で、且つ、前記膨出形状の最膨出面であると、好ましい。
又、前記改善用具aにおける前記膨出形状の最底面a5から最膨出面(例えば、図2(A)に示す最膨出面as)までの高さtが、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを1.0mm−5.0mmの範囲内の高さに挙上する高さであると、好ましい。これにより、着用者の各足趾の使用を確実に促すだけでなく、前記改善用具aの着用者の足の底面に、心地よい僅かなサポート感を与えるとともに、当該改善用具aの長期使用を可能とする。
例えば、足の大きさ(長さ)が25.0cm(標準的なサイズ)である日本人男性において、内側縦アーチ61と外側縦アーチ62とがともに極端に垂下した人、つまり、扁平足の人に用いられる改善用具aであれば、前記膨出形状の最底面a5から最膨出面asまでの高さtが、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを1.0mm−2.5mmの範囲内の高さに挙上する高さであると、好ましい。又、平均的な足の人に用いられる改善用具aである場合、前記膨出形状の最底面a5から最膨出面asまでの高さtが、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを2.0mm−3.5mmの範囲内の高さに挙上する高さであると、好ましい。更に、内側縦アーチ61と外側縦アーチ62とが極端に高い人、つまり、ハイアーチの人に用いられる改善用具aである場合、前記膨出形状の最底面a5から最膨出面asまでの高さtが、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを3.0mm−5.0mmの範囲内の高さに挙上する高さであると、好ましい。
尚、足の底面は、上述したように、足の他の皮膚と比較して敏感であるため、前記改善用具aの高さt0が低過ぎて、当該改善用具aの装着時で、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さtが、あまりにも低すぎると、足の外側の足趾の使用を促さない場合がある。又、当該高さtが高すぎると、つまり、足の立方骨21近傍の底面21aを挙上し過ぎると、着用者が抵抗ある不快感を感じるとともに、足の外側の足趾の使用を促さない場合がある。
又、前記足ユニットの改善用具aは、以下に示すように、靴下、サポーター、足袋、靴中敷き、靴などに用いられるが、人が素足の状態で、人の足の底面の所定の位置に直接貼り付けたり、巻き付けたりするよう構成しても構わない。
<足ユニットの改善用具を用いた靴下>
本発明の足ユニットの改善用具aを用いた靴下は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はないが、上述した改善用具aを用いた靴下の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
前記靴下9は、図5(A)、図5(B)、図5(C)、図5(D)に示すように、底面の足のサイズに対応したサイズの足ユニットの改善用具aが、靴下9の底面91に取り付け(縫い付け)られている。当該改善用具aを、靴下9の底面91の特定の位置に取り付ける場合、例えば、靴下9の底面91の先端部92、又は後端部93を基準として、前記改善用具aの前端部が、靴下9を着用した足の第1中足骨31の遠位近傍部から第5中足骨35の遠位近傍部までを足幅方向に沿って横切る第1の弧状線a1に対応するとともに、前記改善用具aの後端部が、靴下9を着用した足の踵骨23の遠位近傍部を足幅方向に沿って横切る第2の弧状線a2に対応するように取り付ける。
これにより、足ユニットの改善用具aが取り付けられた靴下を人が着用すれば、着用者の足の底面の特定の位置に当該改善用具aが適切に配置されることとなる。そのため、上述したように、当該改善用具aが、着用者の足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを、所定の高さtに挙上し、着用者の足の小指の付根部分73、小指の腹部分85、薬指の腹部分84を確実に靴下の底面に当接させることが可能となる。
又、取り付けられた足ユニットの改善用具aの足幅方向の両端部(右端部a7、左端部a6)は、靴下9を着用した着用者の足の足幅方向の両端部(右端部、左端部)よりも所定の幅だけ(ヒレのように)延出されており、図5(D)に示すように、足幅方向の両端の延出部a6、a7が、着用者の足の底面から、足の足幅方向の両側面の一部に当接するように構成されている。これにより、人が、前記改善用具aを備えた靴下9を着用して、立位したり、歩き回ったり、走り回ったりしても、当該改善用具aが足の底面の特定の位置に固定され、当該改善用具aが捩じれて特定の位置から外れてしまうことを防止する。
尚、靴下9に足ユニットの改善用具aを取り付ける方法は、特に限定されるものではなく、例えば、糸による縫い付けの他に、両面粘着テープによる取り付け、接着剤による取り付け、面ファスナーによる取り付け等の公知の方法が採用される。
ところで、図5(A)、図5(B)、図5(C)、図5(D)に示した靴下9は、通常の靴下であるが、縫い付けられる足ユニットの改善用具aは所定の形状を有し、靴下9及び靴下9の足首部に設けられたバンド部92は弾性を有しているため、着用前の靴下9は、当該改善用具aが靴下9内部で嵩張り、人が当該靴下9を履き難い場合がある。従って、前記改善用具aを用いた靴下9は、適宜、特定の部位を削除する構成としても構わない。
例えば、図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)に示すように、前記靴下9から、各足趾の付根部分から各足趾の先端部までに対応する靴下の第一の部位101を削除するとともに、足の上面の第1楔状骨−第3楔状骨25−27、舟状骨22、立方骨21の上面に対応する靴下の第二の部位102を削除する。当該構成とすると、人が、図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)に示す靴下9を履いた際に、削除された第一の部位101、第二の部位102を介して、手の指先を靴下9の内部に入れることが可能となり、当該靴下9の足ユニットの改善用具aの位置を特定の位置に適切に調整することが可能となる。又、当該靴下9を着用すれば、着用者の各足趾の付根部分から各足趾の先端部まで当該靴下9の第一の部位101から露出されるため、着用者の各足趾の使用を更に促すことが可能となる。
尚、本発明に係る足ユニットの改善用具aを用いた靴下9は、図5、図6に示すように、足首までの丈の靴下を示したが、丈の長さは、これに限定されるものではない。
又、本発明の足ユニットの改善用具aは、靴下9に代えて、足の所定の部位を矯正するサポーター(足用サポーター)に採用しても構わない。当該サポーターは、例えば、足の先端から足首までの部位のうち、足の底面の外側縦アーチ62をサポートするサポーターであれば、当該底面に対面する位置に足ユニットの改善用具aを取り付けることで、当該足ユニットの改善用具aの作用・効果を得ることが可能となる。
又、本発明の足ユニットの改善用具aは、靴下9に代えて、足の二つの足趾(例えば、親指と人差指)の間に切れ込みが入った足袋に採用しても構わない。当該足袋には、例えば、着物用の足袋、業務用の地下足袋、祭事用の地下足袋、安全用の地下足袋等が挙げられる。
又、本発明の足ユニットの改善用具aは、当該改善用具aの材質(弾性、可撓性)に拠るものの、靴下9に代えて、足部を覆う繊維製のストッキング、パンティストッキング、スポーツ用タイツ、業務用タイツ等に採用しても構わない。
<足ユニットの改善用具を用いた靴中敷き>
本発明の足ユニットの改善用具aを用いた靴中敷き(インソール)は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はないが、上述した改善用具aを用いた靴中敷きの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
前記靴中敷き11は、図7(A)、図7(B)、図7(C)、図7(D)に示すように、所定の足のサイズの靴内の底面に載置される形状を有し、靴中敷き11の足のサイズに対応したサイズの足ユニットの改善用具aが靴中敷き11の底面111に取り付けられている。取り付け方法は、上述した靴下9と同様である。
これにより、足ユニットの改善用具aが取り付けられた靴中敷き11を人が着用すれば、当該改善用具aの作用・効果を得ることが可能となる。
尚、前記靴下9の場合は、改善用具aの足幅方向の両端部a6、a7を延出するよう構成したが、靴中敷き11の場合は、上述した延出部a6、a7を設けても、設けなくても構わない。
又、図7に示す靴中敷き11は、足ユニットの改善用具aと別個に形成されているが、当該改善用具aと一体として形成されていても構わない。又、靴中敷き11の材質は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はないが、例えば、弾性ポリウレタン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等の合成樹脂、ゴム、エラストマー、コルク等が採用される。
<足ユニットの改善用具を用いた靴>
本発明の足ユニットの改善用具aを用いた靴は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はないが、上述した改善用具aを用いた靴の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
前記靴12は、図8(A)、図8(B)、図8(C)、図8(D)に示すように、男性用の靴であり、靴12の足のサイズに対応したサイズの足ユニットの改善用具aが靴12の底面121に取り付けられている。取り付け方法は、上述した靴下9と同様である。
これにより、足ユニットの改善用具aが取り付けられた靴12を人が着用すれば、当該改善用具aの作用・効果を得ることが可能となる。
尚、前記靴下9の場合は、改善用具aの足幅方向の両端部a6、a7を延出するよう構成したが、靴12の場合は、上述した延出部a6、a7を設けても、設けなくても構わない。
又、図8に示す靴12は、足ユニットの改善用具aと別個に形成されているが、当該改善用具aと一体として形成されていても構わない。又、靴12は、本発明の目的を阻害しない限り、どのような形態でもよく、例えば、スポーツシューズ、ウォーキングシューズ、革靴、ゴム靴、布靴、ズック靴、カジュアルシューズ、スニーカー、ビジネスシューズ、ケミカル・シューズ、長靴、雨用長靴、サンダル、ミュール、女性用ハイヒール、スリッパ、雪駄、下駄、草履等の各種の靴(履物)に適用可能である。
<実施例、比較例、試験等>
以下に本発明の実施例1−5、比較例1、参考例について説明するが、本発明は、その適用が本実施例1−5に限定されるものでない。
(実施例1)
図2に示した本発明に係る足ユニットの改善用具aを作成し、図5に示した当該改善用具aを備える靴下を実施例1とした。当該改善用具aは、以下の手順にて作成した。先ず、適当な厚みのポリエステル系の硬い不織布(フェルト)から、左足の底面の第1の弧状線8aと、第2の弧状線8bとで囲まれた領域に対応する形状を切り取り、足ユニットの改善用具aを成形した。次に、成形した改善用具aを左足の底面に当てて、左足の底面の第3の弧状線8cと、第4の弧状線8dとで囲まれた領域に対面する部分が、他の部分よりも膨出させた形状となるように成形し、図2に示す足ユニットの改善用具aを所定の靴下に縫い付けて、図5に示す当該靴下を、本発明の実施例1とした。尚、右足についても同様の足ユニットの改善用具及び靴下を作成した。実施例1に係る足ユニットの改善用具aの膨出形状の最底面から最膨出面までの高さは、3.0mmである。
(実施例2)
実施例1において、3.0mmである前記膨出形状の最底面から最膨出面までの高さに代えて、5.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順を採用して、足ユニットの改善用具及び靴下を作成した。作成した足ユニットの改善用具及び靴下を実施例2とした。
(実施例3)
実施例1において、3.0mmである前記膨出形状の最底面から最膨出面までの高さに代えて、1.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順を採用して、足ユニットの改善用具及び靴下を作成した。作成した足ユニットの改善用具及び靴下を実施例3とした。
(実施例4)
実施例1において、3.0mmである前記膨出形状の最底面から最膨出面までの高さに代えて、6.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順を採用して、足ユニットの改善用具及び靴下を作成した。作成した足ユニットの改善用具及び靴下を実施例4とした。
(実施例5)
実施例1において、3.0mmである前記膨出形状の最底面から最膨出面までの高さに代えて、0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順を採用して、足ユニットの改善用具及び靴下を作成した。作成した足ユニットの改善用具及び靴下を実施例5とした。
(比較例1)
適当な厚みのポリエステル系の硬い不織布(フェルト)から、図1(A)、図9(A)に示すように、足の土踏まずTの部分(即ち、左足の底面の第1中足骨−第3中足骨31−33、第1楔状骨−第3楔状骨25−27、舟状骨22の一部に当接する部分)に対応する形状を切り取り、図9(A)、図9(B)、図9(C)、図9(D)に示すように、左足の底面の土踏まずTに向かって膨出させた足裏設置用具90を作成した。尚、右足についても同様の足裏設置用具を作成した。作成した足裏設置用具90を、実施例1と同様に、所定の靴下に縫い付けて、当該靴下を、本発明の比較例1とした。比較例1に係る足裏設置用具の形状は、市販の靴中敷き、靴下に取り付けられている足裏設置用具の形状として良く見られる形状である。比較例1に係る足裏設置用具の最底面から最膨出面までの高さは、10.0mmである。
(参考例)
前記改善用具(又は前記足裏設置用具)を用いず、素足のままを参考例とした。
(2種類のパワーテスト)
実施例1−5、比較例1の左右の靴下を左右の足に着用した後に、着用者に任意のタイミングで外部から所定の負荷を掛けて、着用者が自己のバランスを崩すか否かの試験(パワーテスト)を2種類実施した。被験者は、足のサイズが25.0cm−27.0cmである健康な男性20名である。
第一のパワーテストは、以下の手順で実施した。先ず、被験者の足に所定の靴下を着用してもらい、被験者を起立した状態となってもらう。この状態を、30秒、保持してもらった後に、被験者に、自己の片腕を前方に持ち上げてもらい、当該片腕が被験者の体の軸に対して直角となるように保持してもらう。次に、被験者の直角に保持した片手の傍に、所定重量(7kg)の荷物(例えば、ダンベル)を持ったサポート役を置いて、当該サポート役が荷物を持った状態で、被験者が前記直角に保持した片手で当該荷物を軽く(負荷の掛からない程度に)持ってもらう。そして、任意のタイミング(例えば、サポート役の合図後、10秒以内の任意のタイミング)で、サポート役が、荷物を離し、当該荷物分だけ被験者の片腕に負荷を掛け、被験者がバランスを崩すか否かを評価した。評価は、以下に示す3段階で行なった。
○:片腕がほぼ垂下することなく直角を維持していた。
△:やや前方に片腕が下がったがバランスを崩すまでに至らなかった。
×:被験者の踵部が浮いて、バランスを崩し、前方に一歩踏み出してしまった。
第一のパワーテストの結果は、以下の手順で算出した。先ず、所定の被験者に、素足の状態で、第一のパワーテストを実施し、その後に、同一の被験者に、実施例1−5、比較例1に対応する所定の靴下を着用してもらって、第一のパワーテストを実施した。実施した被験者の人数は、例えば、10人である。ここで、素足の状態での第一のパワーテストの結果を第一の参考結果とし、所定の靴下を着用した後の第一のパワーテストの結果を第一の試験結果とした。
次に、前記被験者と異なる被験者に、所定の靴下を着用してもらい、第一のパワーテストを実施し、その後に、同一の被験者に、素足の状態で、第一のパワーテストを実施した。実施した被験者の人数は、例えば、20人のうち、残りの10人である。ここで、所定の靴下を着用した後の第一のパワーテストの結果を第二の試験結果とし、素足の状態での第一のパワーテストの結果を第二の参考結果とした。
そして、第一の参考結果と第二の参考結果とを集計したものを、参考例における第一のパワーテストの結果とし、第一の試験結果と第二の試験結果とを集計したものを、実施例1−5、比較例1に対応するそれぞれの第一のパワーテストの結果とした。尚、後述する試験の結果も、同様の方法により算出した。
次に、第二のパワーテストは、以下の手順で実施した。先ず、被験者の足に所定の靴下を着用してもらい、被験者を起立した状態となってもらう。この状態を、30秒、保持してもらった後に、被験者に、自己の両腕を両側面に付けた状態となってもらう。そして、側面に付けた被験者の一方の腕の掌の傍らに、所定の重量(20kg−30kg)の荷物(例えば、ダンベル)を持ったサポート役を置いて、当該サポート役が荷物を持った状態で、被験者が片腕の掌で当該荷物を軽く持ってもらう。そして、任意のタイミング(例えば、サポート役の合図後、10秒以内の任意のタイミング)で、サポート役が、荷物を離し、当該荷物分だけ被験者の片腕の掌に負荷を掛け、被験者がバランスを崩すか否かを評価した。評価は、以下に示す3段階で行なった。
○:ほぼバランスを崩さなかった。
△:やや荷物側に傾いたがバランスを崩すまでに至らなかった。
×:被験者の荷物を持つ片腕の反対側の足の踵部が浮いて、バランスを崩し、荷物側に一歩踏み出してしまった。
いずれのパワーテストでも、被験者が足の外側の足趾を使って地面を掴み、荷物の重量に抗して起立した状態を保つことが出来るか否かを評価することが出来る試験である。
(握力計による握力測定試験)
被験者に、素足のままで、起立した状態となってもらい、市販の握力計を用いて被験者の左右の掌の握力を測定した。次に、被験者に、実施例1−5、比較例1の左右の靴下を左右の足に着用し、被験者に起立した状態となってもらい、この状態を、30秒、保持してもらった。その後に、前記握力計を用いて、被験者の左右の掌の握力を測定した。握力の結果は、左右で平均して算出した。そして、靴下着用後の握力から前記靴下着用前の握力を減算した握力差を算出し、握力差を算出した。
ここで、前記握力測定試験は、上述したように、所定数の被験者(例えば、10人)において、最初、素足のままの状態での握力測定結果(第一の参考結果)と、素足から前記靴下を着用した状態での握力測定結果(第一の試験結果)とを測定し、他の残り数の被験者(例えば、残りの10人)において、最初、所定の靴下を着用した状態での握力測定結果(第二の参考結果)と、当該靴下を脱いだ後の素足のままの状態での握力測定結果(第二の試験結果)とを測定した。そして、第一の参考結果と第一の試験結果とに基づいて算出した握力差と、第二の参考結果と第二の試験結果とに基づいて算出した握力差とを集計したものを、握力計による握力測定試験の結果とした。当該試験結果により、被験者が足の外側の足趾を用いて踏ん張ることが出来るか否かを評価した。評価は、以下に示す3段階で行なった。
○:平均の握力差が+4.0kgUPした。
△:平均の握力差が+1.0kg以上であり、+4.0kg以下でUPした。
×:平均の握力差が+1.0kg未満であった(マイナスの握力差を含む)。
(官能試験)
被験者に、実施例1−5、比較例1の左右の靴下を左右の足に着用してもらい、被験者に起立した状態となってもらう。この状態を、30秒、保持してもらった後に、被験者に、1分間、周囲を自由に歩き回ってもらい、その後、被験者に、当該靴下の着用により、異物感があるか否かの回答を求め、当該回答に基づいて評価をした。
尚、試験結果は、上述したように、所定数の被験者には、最初、素足のままの状態での官能試験結果(第一の参考結果)と、素足から所定靴下を着用した状態での官能試験結果(第一の試験結果)とを採取し、他の残りの数の被験者には、最初、所定の靴下を着用した状態での官能試験結果(第二の試験結果)と、当該靴下を脱いだ後の素足のままの状態での官能試験結果(第二の参考結果)とを採取した。そして、第一の参考結果と第二の参考結果とを集計したものを、参考例における官能試験結果とし、第一の試験結果と第二の試験結果とを集計したものを、実施例1−5、比較例1に対応するそれぞれの官能試験結果とした。
評価は、以下に示す3段階で行なった。
A:異物感を全く感じなかった。
B:異物感はあるが、気にならない、心地の良いサポート感を感じた。
C:抵抗のある、不快な異物感を感じた。
尚、官能試験の評価基準として、異物感はあるが、気にならない、心地の良いサポート感を感じる評価Bは、被験者の足の立方骨21近傍の底面21aを適切に挙上していると推察され、最も好ましい。次に、異物感を全く感じない評価Aは、被験者の足の立方骨21近傍の底面21aを挙上しているか否か不明な場合があり、効果が小さいものと推察される。そして、抵抗のある、不快な異物感を感じる評価Cは、被験者の足の立方骨21近傍の底面21aを挙上し過ぎており、長期使用には不向きであることが推察される。
(試験結果)
実施例1−5、比較例1の足ユニットの改善用具における上述した試験の結果を以下の表1に示した。結果は、3段階評価の個数を百分率(%)で示した。
図10(A)は、実施例1の靴下を着用した一の被験者が第一のパワーテストを実施している状態の側面視を示す写真であり、図10(B)は、実施例1の靴下を着用した一の被験者が第二のパワーテストを実施している状態の正面視を示す写真である。図10(A)、図10(B)に示すように、実施例1の靴下では、2種類のパワーテストにおいて当該被験者が殆どバランスを崩すことが無かった。表1において明らかなように、大多数の被験者においても同様であった。又、実施例1の靴下では、握力計による握力測定試験において平均の握力差が大きかった。更に、官能試験において被験者が殆ど不快な異物感を感じることが無く、心地よいサポート感を感じていることが理解される。そのため、実施例1の靴下は、被験者の足趾の使用を自然に促し、被験者に自己の足趾で地面を掴ませ、転倒を防止することが出来ることが理解される。もちろん、実施例1の靴下を着用した着用者が歩行(走行)する場合も、外側の足趾で地面を掴むようになるから、歩行時における転倒、つまずきも防止することが出来ると推察される。
又、実施例2、3の靴下では、比較例1の靴下と比較して、2種類のパワーテストにおいて被験者がバランスを崩し難かったことが理解される。更に、握力測定試験において平均の握力差が大きかった。そして、官能試験において被験者が心地よいサポート感を感じやすかったことが理解される。
又、実施例4、5の靴下では、2種類のパワーテストにおいて被験者が聊かバランスを崩す場合があったものの、全体としてバランスを崩し難かったことが理解される。更に、筋力測定方法において平均の握力差が小さい場合もあるものの、全体として平均の握力差が大きかった。そして、官能試験において、実施例4の靴下では、被験者が抵抗ある異物感を感じる場合があり、実施例5の靴下では、被験者が何も感じない場合があったが、両者ともに、全体として、被験者が気持ちの良いサポート感を感じ易い割合が高いことが理解される。これは、被験者の外側縦アーチの高低にバラツキがあるためと推察される。
図10(C)は、比較例1の靴下を着用した一の被験者が第一のパワーテストを実施した直後の側面視を示す写真であり、図10(D)は、比較例1の靴下を着用した一の被験者が第二のパワーテストを実施した直後の正面視を示す写真である。図10(C)、図10(D)に示すように、比較例1の靴下では、2種類のパワーテストにおいて被験者がバランスを崩したことが理解される。全ての被験者においても同様であった。更に、比較例1の靴下では、握力測定試験において平均の握力差が小さかった。そして、官能試験において、被験者の土踏まず(内側縦アーチ)の高さによるものの、被験者が異物感を感じる場合が多かった。このような結果は、被験者の内側縦アーチを挙上することにより、被験者は、足の内側に体重を優先的に掛け、足の内側の足趾を使うようになり、足の足趾を全て使わないためと推察される。つまり、従来から存在する比較例1の靴下では、被験者の外側の足趾の使用を殆ど促さないことが理解される。
(表面電極を用いた筋電積分値の比較試験)
本発明に係る足ユニットの改善用具aの有無における被験者の体の所定の箇所に取り付けた表面電極の筋電積分値を測定することで、当該被験者の筋負担を評価した。
先ず、素足のままの状態の被験者の体の所定の箇所に、筋電を検出可能な表面電極を貼り付けて、当該被験者に、所定の動作をしてもらう。そして、当該動作に対応する筋電積分値(mV・sec)を算出し、これを単位時間当たりの筋電積分値(mV)に換算して、前記改善用具a無しの筋負担とした。
次に、前記改善用具aを備える実施例1の左右の靴下を、前記被験者の左右の足に着用してもらい、上述と同様の動作をしてもらう。そして、当該動作に対応する筋電積分値(mV・sec)を算出し、これを単位時間当たりの筋電積分値(mV)に換算して、前記改善用具a有りの筋負担とした。
そして、前記改善用具a有りの筋負担(mV)から、前記改善用具a無しの筋負担(mV)を除算し、その値(−)を、筋負担の大小を示す指標(インソール有り/無しの比)として算出した。
前記指標が、1よりも大きい場合には、実施例1の靴下を着用後の動作は、前記表面電極を付けた筋の負担が大きいと判定し、前記指標が、1よりも小さい場合には、実施例1の靴下を着用後の動作は、前記筋の負担が小さいと判定する。
ここで、前記表面電極を貼り付けた体の所定の箇所は、図11に示すように、正面の右足の母趾外転筋(電極番号1)と、正面の右足の前脛骨筋(電極番号2)と、正面の右足の親指と人差指との間の背側骨間筋(電極番号3)と、背面の右側の脊柱起立筋(電極番号4)と、正面の右足の大腿直筋(電極番号5)との合計5箇所である。
又、前記動作は、体幹前傾動作(1)と、体幹後傾動作(2)と、片足立ち動作(3)と、歩行動作(4)と、椅子起立動作(5)と、椅子着席動作(6)と、荷物持ち上げ動作(7)との合計7種類である。
具体的には、前記体幹前傾動作(1)は、立位姿勢から限界まで前傾し、当該立位姿勢に戻る動作であり、前記体幹後傾動作(2)は、立位姿勢から限界まで後傾し、当該立位姿勢に戻る動作である。又、前記片足立ち動作(3)は、閉眼した状態で、立位姿勢から左足を挙げて片足立ち姿勢となり、その状態から再び左足を下げて、当該立位姿勢に戻る動作であり、前記歩行動作(4)は、距離が3mである直線上を往復歩行する動作である。更に、前記椅子起立動作(5)は、所定の椅子に着座した着座位姿勢から起立し、立位姿勢となる動作であり、前記椅子着席動作(6)は、立位姿勢から所定の椅子に着座した着座位姿勢となる動作である。そして、前記荷物持ち上げ動作(7)は、立位姿勢で、予め床に置かれた約20kgの荷物の持ち手を右手で掴んで、その右手を上方に挙げることで、当該荷物を床から股まで持ち上げて静止する動作である。
所定数(4人)の被験者のそれぞれに、上述した体の所定の箇所に前記表面電極を付けて、上述した動作をしてもらい、各被験者毎に前記指標を算出し、その平均値を算出した。
図12に示すように、母趾外転筋(電極番号1)に着目すると、体幹後傾動作(2)、片足立ち動作(3)については、前記指標が1よりも大きく、筋負担が大きいことが理解できる。これは、前記動作(2、3)が主として身体のバランスを積極的に取る必要のある動作であるため、前記改善用具aが、被験者の足趾の使用(筋の負担)を自然に促したと推察される。
次に、前脛骨筋(電極番号2)に着目すると、体幹前傾動作(1)、片足立ち動作(3)については、前記指標が1よりも大きく、筋負担が大きいことが理解できる。これは、前記動作(1、3)が上述のように身体のバランスを積極的に取る必要のある動作であるから、前記改善用具aが、被験者の脚の筋を促したと推察される。一方、体幹後傾動作(2)、歩行動作(4)、椅子起立動作(5)、椅子着席動作(6)、荷物持ち上げ動作(7)については、前記指標が1よりも小さく、筋負担が小さいことが理解出来る。これは、前記改善用具aが被験者の足趾の使用を促すことにより身体のバランスが安定したため、各動作(2、4−7)を容易に行うことが出来て、筋負担が小さくなったと推察される。
又、背側骨間筋(電極番号3)に着目すると、体幹前傾動作(1)、体幹後傾動作(2)、片足立ち動作(3)、歩行動作(4)、椅子起立動作(5)については、前記指標が1よりも大きく、筋負担が大きいことが理解できる。これは、前記背側骨間筋(電極番号3)が、まさしく被験者の足のつま先を踏ん張るために必要な筋肉であり、前記改善用具aが、前記被験者の足趾の使用を促し、当該被験者が、前記背側骨間筋に力をかけやすくなり、筋負担が大きくなったと推察される。
又、脊柱起立筋(電極番号4)に着目すると、全ての動作(1−7)について、前記指標が1よりも小さく、筋負担が小さいことが理解できる。これは、前記改善用具aにより被験者の足趾の使用を促し、身体のバランスが安定したため、腰部の筋負担が小さくなったと推察される。
又、大腿直筋(電極番号5)に着目すると、体幹前傾動作(1)、体幹後傾動作(2)、片足立ち動作(3)については、前記指標が1よりも大きく、筋負担が大きいことが理解できる。これは、上述したように、前記動作(1−3)が身体のバランスを積極的に取る必要のある動作であるため、前記前脛骨筋(電極番号2)と同様に、前記改善用具aが、被験者の脚の筋を促したと推察される。一方、歩行動作(4)、椅子起立動作(5)、椅子着席動作(6)、荷物持ち上げ動作(7)については、前記指標が1よりも小さく、筋負担が小さいことが理解できる。これは、前記前脛骨筋(電極番号2)と同様に、前記改善用具aが被験者の足趾の使用を促すことにより身体のバランスが安定したため、各動作(4−7)を容易に行うことが出来て、筋負担が小さくなったと推察される。
又、身体のバランスを積極的に取る必要がある片足立ち動作(3)に着目すると、前記脊柱起立筋(電極番号4)以外の筋肉、つまり、母趾外転筋(電極番号1)、前脛骨筋(電極番号2)、背側骨間筋(電極番号3)、大腿直筋(電極番号5)では、前記指標が1よりも大きいことが理解出来る。ここで、前記片足立ち動作(3)は、身体の重心のコントロールと、身体を支える力とを必要とするが、前記重心のコントロールには、足趾の筋である母趾外転筋(電極番号1)と背側骨間筋(電極番号3)とが使用され、前記身体を支える力には、前脛骨筋(電極番号2)と大腿直筋(電極番号5)とが使用される。今回の試験により、前記改善用具aが、被験者の足趾の使用を促すとともに、所定の動作(3)に対応した筋の活動も促していると推察される。
このような結果により、実施例1の靴下は、上述した動作(1−7)に対して、被験者の足趾の使用を自然に促し、被験者に自己の足趾で地面を掴ませ、身体のバランスを安定化するように作用することが推察される。
このように、本発明の足ユニットの改善用具aは、前記第1の弧状線a1と、前記第2の弧状線a2とで囲まれた領域に対面する部分を、地面から当該領域に向かって膨出させ、前記膨出形状における前記第1の弧状線a1に沿った方向に直交する方向の断面形状を、断面の位置に関わらず当該膨出形状と同一形状に形成することで、足の立方骨21近傍の底面21aにおける地面からの高さを、所定の高さtに挙上することを特徴とする。
これにより、着用者が足ユニットの改善用具aに足を乗せれば、当該改善用具aが、足の外側縦アーチ62をアーチユニットに則した状態で地面から上方に向かって支持し、足の立方骨21近傍の底面21aを所定高さとなるまで挙上する。すると、足の外側縦アーチ62を構成する骨格ユニットが屈曲し、足の小指の付根部分、小指の腹部分、薬指の腹部分が自然に(又は強制的に)地面に当接することとなる。そのため、着用者の外側の足趾の使用を促し、着用者は、起立時又は歩行時において足の親指などの他に、薬指と小指を使って地面をしっかり掴むようになる。その結果、起立時、歩行時において、外力に抗して着用者の転倒やつまずき等を効果的に防止することが可能となる。
尚、本発明の実施形態では、前記膨出形状の、当該第1の弧状線a1に沿った方向に直交する断面形状を、例えば、略半楕円形状に形成したが、実施例1において足ユニットの改善用具aの断面形状を凸形状に形成しても構わない。更に、当該断面形状を略台形状に形成しても、同一の作用効果を奏する。又、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、適宜、変更を行うことが可能であることは、言うまでもない。
又、前記改善用具aの材質は、どのような材質でも構わないが、例えば、弾性である場合、柔らかい不織布(フェルト)、柔らかい不織布を所定数だけ積層させた不織布積層体、厚い布、布を所定数だけ積層させた布積層体、発泡体、スポンジ、ゲル、エラストマー、ゴム等が任意に選択される。又、前記足ユニットの改善用具aの材質が可撓性である場合、例えば、硬い不織布(フェルト)、硬い不織布を所定数だけ積層させた不織布積層体、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、EVA樹脂、ポリプロピレン等の合成樹脂、天然樹脂等が採用される。