JP3195381U - サンダル基板及びサンダル - Google Patents

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Abstract

【課題】屋内・屋外を問わず常時は履いて使用するだけで、自然にすべての足指の使用が促され、現代人一般に増加している骨盤後傾と猫背に起因する疾病や体調不良を改善でき、極めて簡易な構造で、低コストに実現できるサンダル基板及びサンダルを提供する。【解決手段】サンダル基板1は、足骨の中足趾節関節から中足部(土踏まず)後端までの長さを有する。サンダルは、サンダル基板1の前端上面に、足指の第一趾と第二趾の間及び第四趾と第五趾の間の2か所に鼻緒係止部として鼻緒孔13を設け、鼻緒係止部に鼻緒20を取り付けて成る。【選択図】図3

Description

本考案は、履物としてのサンダルの本体となるサンダル基板及び該サンダル基板を用いて成るサンダルに関し、特に、歩行時において、着装者に足の五指を積極的に使うよう促すことにより、身体全体の姿勢を矯正し、以て新陳代謝を改善することのできるサンダル基板及びサンダルに関する。
身体の不適正な姿勢が、腰痛、肩凝り、頭痛、内臓の不調等の症状の原因となることが知られている。日常生活で靴を履いている時間が長い現代人においては、歩行時に足指をあまり使用しないという実態が、その根本的な原因の一つとなっている。
本来、活動時の人体は骨盤がやや前傾した状態が基本姿勢である。歩行時に脚で前方への推進力を得る際には、足裏の前足部、特に中足骨と趾骨とが屈曲する中足趾節関節(いわゆるMP関節)付近で体重の大半を支持し、次いで足指のすべてが接地し協調して動くことが自然である。しかし、現代人の多くは、靴により足指の動きが制約されることに馴化して歩行に足指をあまり使わなくなっており、その結果、体重が踵に掛かる傾向が生じて、骨盤が後傾しがちとなっている。
骨盤が後傾すると、大腿部の内転筋が活用されにくくなるため、必然的に両脚は内股となって、歩行時には足先が十分に上がらない「摺り足」気味になる。そのため、脹脛のヒラメ筋や太腿から臀部に渡るハムストリング筋群も有効に使われなくなる。その結果、脚部の血流が低調となり、特に女性の場合、足の「冷え」や「むくみ」といった症状の原因となるほか、高齢者の場合、膝痛、股関節痛、腰痛が出るようになる。
また、骨盤後傾によって「猫背」となり、内臓にも影響が出る。全身の筋肉は基本的に表裏一体・左右一対で動くため、背中の筋肉を使わない「猫背」では腹筋群も緩んだ状態となって内臓下垂を生じ、下腹が出てくる原因となる。さらに「猫背」の状態では、呼吸のための筋肉である横隔膜も緩んだ状態となって呼吸が常時浅くなるため、新陳代謝が低下し、様々な体調不良の原因ともなる。かかる「猫背」の弊害は、近年のスマホ等の普及により、一層低年齢化している。
さらに、骨盤後傾により「猫背」となった状態では、体重は踵に掛かりがちとなるために足指の先端は上方に反り返って浮き気味となり、これが足指があまり使われない原因となっている。
かかる骨盤後傾の問題を無理なく手軽に解決するためには、足指を積極的な使用を促すことが効果的である。図1の足骨の骨格図に示す如く、人間の足指は、第一趾(拇趾)と第二から第五趾の4つの指とでは趾骨の個数が違い、構造が異なる。そのため、第一趾とその他の指の動きは連携しにくく、特に「内股」状態では、第二趾から第五趾の動きは一体となって低調となりがちである。一方、骨盤が後傾して内股傾向にある人間の場合、体重は第一趾に掛かりがちとなっており、逆に第五趾は浮き上がり気味となる。
周知の通り、従来の鼻緒付きのサンダルや草履では、第一趾と第二趾の間に鼻緒の取付部(伝統的な草履や下駄の場合は「前坪孔」あるいは「先坪孔」と呼ばれている。)を設けている。そのため、第一趾は単独で、第二趾から第五趾までは一体として動く形となり、足指の積極的な使用を促す構造とはなっていない。
ところで、殊更特別な機械器具等を用いずに身体の姿勢の矯正を手軽に行うための手段としては、これまでにも特許文献1乃至5に示されるような靴の中敷や草履、サンダル等が提案されている。
特開2007−175532号公報 特開2004−215870号公報 特開2002−345501号公報 特開平10−328219号公報 特開2009−225919号公報
しかし、特許文献1に記載のような靴の中敷は、靴を履く際に使用することが前提であるため、使用者の足や靴の形状や大きさに合わせて個別に製作する必要があるだけでなく、主として足骨の前後及び左右方向のアーチ形状を整えることにより姿勢の矯正を目的とするものであり、前述の足指の使用を促して骨盤後傾を矯正するものではない。
また、特許文献2乃至4に記載された履物は、サンダルの形状のものであって、使用者の足の形状や大きさの違いについては比較的適応範囲が広いものの、いずれも主に外反母趾や内反小指の矯正を目的とするものであり、矯正のためにむしろ足指を固定する構造となっているため、やはり足指の使用を促して骨盤後傾を矯正するものではない。
また、特許文献5に記載された草履は、伝統的な草履と同様に足指の動きは自由であり、草履本体の全長を爪先から踵骨の前端までと小さ目とすることにより、足裏の土踏まずを刺激する効果を奏するものである。しかし、鼻緒は従前の草履と同様第一趾と第二趾との間にのみ設けられており、前述のような第二趾の動きと第三趾から第五趾の動きとを分離させることによりすべての足指の使用を促すような効果は期待できない。また、踵を接地させず、身体を前傾させた爪先立ちで足指を踏ん張ることを強制する構成のため、足指の筋肉の強化には有効であっても、歩行には不安定で疲労しやすいという問題がある。
本願考案は、以上のような先行技術の問題を解決するとともに、屋内・屋外を問わず常時は履いて使用するだけで、自然にすべての足指の使用が促され、現代人一般に増加している骨盤後傾と猫背に起因する疾病や体調不良を改善できるサンダルを極めて簡易な構造で実現し、低コストで提供することを課題とするものである。
前記の課題を解決するために、本願考案の請求項1に記載したサンダル基板は、足骨の中足趾節関節の位置から中足部(土踏まず)後端までの長さを有することを特徴とする。
かかるサンダル基板を用いたサンダルでは、サンダル基板の前端が足骨の中足趾節関節に沿う形に位置するため、5つの足指はサンダル基板の前方に突出する形となる。これにより、着装時にはサンダル基板の厚み分の段差によって、すべての足指先が中足趾節関節で下垂して接地する形となる。これにより、足指は常時軽く曲がった状態となり、前述の「浮き指」も防がれる。
一方、サンダル基板の後端は踵骨の前方、すなわち土踏まずの部分までしかないため、直立時には踵も接地する形となり、歩行時には通常のサンダルと同様に踵から着地することになる。このため、歩行時に特段不安定にはならず疲労も少ないが、サンダル基板により土踏まずが押し上げられて足裏の前後方向のアーチ形状が整えられるとともに、常時足指が接地することでその使用が意識されるという効果が期待できる。
次に、請求項2に記載したサンダル基板は、請求項1に記載したサンダル基板であって、前記サンダル基板の前方に、足指用の接地板を設けて成ることを特徴とする。また、請求項3に記載したサンダル基板は、請求項2に記載したサンダル基板であって、サンダル基板の後方に、さらに踵用の接地板を設けてなることを特徴とする。
請求項1に記載したサンダル基板は、足指先と踵が接地するため、屋外での使用には必ずしも適さない。そこで、サンダル基板底面と面一を成す形状に、サンダル基板の前方のみ、あるいは前後両方に接地板を設けることにより、屋外で着装した際に足指先や踵が汚れることを防ぐ。接地板は、足指や踵を直接接地させないことが目的であるため、足指先及び踵の外縁に対応した柔軟な薄板であれば良い。
次に、請求項4に記載したサンダル基板は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサンダル基板であって、サンダル基板の前端上面の足指の第一趾と第二趾の間及び第四趾と第五趾の間の2か所に鼻緒係止部を設けて成ることを特徴とする。
前述の通り、骨盤が後傾して内股傾向にある人間の場合、体重は第一趾に掛かりがちとなっており、逆に第五趾は浮き上がり気味となる。そこで、請求項4に係るサンダル基板には、第一趾と第二趾の股部に相当する位置に第一の鼻緒係止部を、第四趾と第五趾の股部に相当する位置に第二の鼻緒係止部を設け、各鼻緒係止部にそれぞれ1本づつ鼻緒の一端を係止し、他端をサンダル基板の後端付近の適宜の位置に係止する。
これにより、足指は第一趾、第二趾から第四趾、第五趾の3つに分割されてサンダル基板に保持されることになり、足の外側(第五趾側)は第二の鼻緒係止部に係止した鼻緒によってサンダル基板に密着させられるので、第五趾の浮き上がりが防止される。
なお、鼻緒係止部の形状は任意であり、たとえばサンダル基板に係止孔を設けて紐状又は帯状の鼻緒の一端を係止孔に挿入固定しても良いし、あるいは、鼻緒の一端を取り付け可能な係止体を予めサンダル基板から突出する形状に設置しても良い。また、各鼻緒の他端をサンダル基板の後端付近の適宜の位置に係止する方法は任意である。
さらに、前記鼻緒は、少なくとも第一趾と第二趾の股部と第四趾と第五趾の股部においてサンダル基板に中足部を固定するものでさえあれば良く、必ずしも従前の草履やサンダルに用いられる鼻緒のような形状のみに限定されない。たとえば、十分な長さの紐体または帯体を前後の係止部を経由させて足部及び足首を緊縛してサンダル基板を足裏に固定することにより装着するようにしても良い。
最後に、請求項5に記載したサンダルは、請求項1乃至4のいずれかに記載のサンダル基板を有するサンダルである。
本考案に係るサンダル基板を有するサンダルは、着装時に足指が中足趾節関節で自然に曲がって接地する形となる。そのため、浮き指が防止されるとともに、着装者は足指を使用するように促され、五本の足指の動き全体の協調が図られて次第に足指の力が強化される。
これにより、自然に骨盤後傾が改善され、姿勢の矯正、筋力の維持、新陳代謝の向上を図る効果を奏するだけでなく、歩行時や運動時における身体の重心軸の保持能力が高まるので、特に筋力の低下した高齢者等の転倒事故の防止にも繋がるという効果が期待できる。
さらに、本考案に係るサンダル基板を用いたサンダルは、極めて簡易な構造であるため、低コストで提供可能という利点を有するものである。
以下、本考案の実施形態について図を用いて説明する。図2は、本考案の一実施形態に係るサンダル基板の右足用の概略斜視図である。なお、左足用は対称に表されるため、以下では図示は省略する。
サンダル基板1は、底板11上に基板本体10を接着して一体化させることで形成し、基板本体10の前方に底板11の前端を突出させることで接地板12を形成する。基板本体10は、たとえばウレタンフォーム等、弾力性と変形復元性の高い素材を用いることが望ましい。前後長は着装者の足裏の中足趾節関節に相当する位置を前端として土踏まずの後端までとし、幅は前足部に対応する幅とする。また、基板本体10の前端は中足趾節関節に沿って湾曲する形状とする。その厚みは、着装時にすべての足指先が自然に中足趾節関節で下垂して無理なく接地する程度とし、成人男性用としては15mm程度が好適である。
一方、底板11は、たとえばゴム又は合成樹脂等から成る板材で、弾力性と耐摩耗性の高い素材を用い、裏面は防滑性を備えることが望ましい。接地板12となる底板11の突出部は足指の先端外縁に対応する形状、それ以外は基板本体10に対応する形状とする。
また、基板本体10の上面には、前端寄り、着装時に足指の第一趾と第二趾の股部に当る位置と、第四趾と第五指の股部に当る位置、及び後端の両隅にそれぞれ鼻緒20を係止するための鼻緒係止部として鼻緒孔13を設けている。なお、鼻緒20の係止方法は、図3に示すように前方片側の鼻緒孔から後方反対側の鼻緒孔に掛けて2本の鼻緒20の両端をクロスさせる形に係止しても良いし、図4に示すように前方片側の鼻緒孔から後方同側の鼻緒孔に掛けて2本の鼻緒20をクロスさせずに係止しても良いが、前者の係止方法の方が歩行時にサンダル基板1が容易に脱落しにくいため好適である。
なお、図7、図8の写真のように、十分な長さの紐を4つの鼻緒孔13を経由させて装着しておき、草鞋のように足甲及び足首を緊縛して装着することも可能である。かかる構成によれば容易にサンダルが脱落するおそれがなくなるので、走ったりスポーツを行う際にもサンダルを着装することができる。
図5は、サンダル基板1に鼻緒20を取り付けて成るサンダルの着装時の状態を示す側面図であり、図6はその平面図である。基板本体10は、着装者の足裏の中足趾節関節に相当する位置を前端として土踏まずの後端まで及び、底板11は基板本体10の前端から爪先まで突出して接地板12を形成している。
かかるサンダルを着装した場合、起立時は、踵が基板本体1の後端から突出して宙に浮いた状態となり、かつ、足指は中足趾節関節で軽く曲がって指先が接地板12に接する状態となる。そのため、着装者はやや前傾姿勢となり、常に指先を意識させられるため、自然に足指の使用が促される。
また、歩行中は、足を着地させる際に踵を接地させようとすると、サンダル基板1がその厚みにより足裏の土踏まずを強く押し上げる形となり、着装者は踵に体重を掛けることに抵抗感を感じて身体の重心を中足趾節関節に移そうとするため、歩行中の後傾姿勢、ひいては骨盤後傾が矯正される。また、着装者は前傾姿勢に移行するために足指に力を入れざるを得なくなるため、やはり自然に足指の使用が促されるのである。
なお、屋外での使用の際には、どうしても踵が接地して足裏が汚れることは避けられないため、図示はしていないが、底板11を後方にさらに延長することにより、踵用の接地板としても良い。
以上、本考案の実施形態について図面を参照しつつ説明したが、本考案は、必ずしも上述した構成にのみ限定されるものではなく、本考案の目的を達成し、効果を有する範囲内において、適宜変更実施することが可能なものであり、本考案の技術的思想の範囲内に属する限り、それらは本考案の技術的範囲に属する。
本考案に係るサンダル基板を用いたサンダルは、整体治療をはじめとする医療分野において姿勢矯正やリハビリテーションに利用できるだけでなく、日常生活で屋内履きとして常用することにより、起立時・歩行時に自然に足指の使用を促して骨盤後傾を改善できるため、不適切な姿勢による各種疾患や体調不良の予防にも利用可能である。
足骨の骨格図である。 実施形態に係るサンダル基板の斜視図である。 実施形態に係るサンダルの一例の斜視図である。 実施形態に係るサンダルの一例の斜視図である。 実施形態に係るサンダルの着装時の状態を示す側面図である。 実施形態に係るサンダルの着装時の状態を示す平面図である。 実施形態に係るサンダル基板を紐で足に緊縛して使用する状態を示す写真である。 実施形態に係るサンダル基板を紐で足に緊縛して使用する状態を示す写真である。
1 サンダル基板
10 基板本体
11 底板
12 接地板
13 鼻緒孔
20 鼻緒

Claims (5)

  1. 足骨の中足趾節関節から中足部(土踏まず)後端までの長さを有するサンダル基板。
  2. サンダル基板の前方に、足指用の接地板を設けて成ることを特徴とする、請求項1に記載のサンダル基板。
  3. サンダル基板の後方に、さらに踵用の接地板を設けてなることを特徴とする、請求項2に記載のサンダル基板。
  4. サンダル基板の前端上面の足指の第一趾と第二趾の間及び第四趾と第五趾の間の2か所に鼻緒係止部を設けて成ることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサンダル基板。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のサンダル基板を有するサンダル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017121388A (ja) * 2016-01-07 2017-07-13 有限会社ユーカリ 足指パッド付き履物
JP2021184778A (ja) * 2020-05-23 2021-12-09 大黒屋グループ株式会社 足裏マット、中敷き、及び靴
EP4311448A1 (en) * 2022-06-10 2024-01-31 Tetsuya Itoh Footwear

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