JP5838992B2 - 遊技機 - Google Patents

Description

本発明は、遊技機に関し、いわゆるセブン機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球式の遊技機や、スロットマシン（若しくはパチスロ）と称される回胴式の遊技機に対して適用することができる。

遊技機は、遊技の基本進行を司る主制御部と、遊技上の演出制御を行うサブ制御部とを備える。そして、主制御部は、所定の抽選実行条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特定遊技（大当り遊技やボーナス遊技など）を行うか否かを決定するための抽選を行い、その抽選の結果を、表示装置等を用いて遊技者に報知する。また、かかる遊技機の中には、副制御部によって駆動を制御される演出手段（演出表示装置、スピーカ、可動演出装置）を備え、その時点の演出状態（演出モード）に応じた種々の遊技演出を、この演出手段で行うものがある。

この種の遊技機に対して、電源投入後の演出状態を、電源供給が停止されたとき（電源断時）の演出状態に復帰させるための技術として、サブ制御部に設けられたバックアップ機能を用いて復帰させる技術が開示されている（特許文献１を参照、以下「従来例」という。）。

特開２００３−１８０９６６号公報

しかしながら、前述の従来例によると、サブ制御部（サブ制御基板）にバックアップ機能（バックアップ電源、蓄電器など ）を設けることが必要なため、サブ制御部（サブ制御基板）に搭載されるハードウェアーの構成が複雑化するという問題点を有している。

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ハードウェアーの構成を簡略化しつつも、電源投入後の演出状態を、電源断時の演出状態に復帰可能な遊技機を提供することである。

本発明の遊技機は、
前方から視認不能な駆動停止位置で停止しているときに前方から視認不能とされ、駆動することで前方から視認可能とされ、駆動を終了することで前記駆動停止位置で停止するように駆動制御される可動役物を備え、演出態様が異なる複数の演出状態を有するとともに実行中の演出状態を他の演出状態に切り換え可能な遊技機であって、
前記可動役物の駆動停止位置として、前記複数の演出状態の各々に対応する複数の駆動停止位置を設け、
前記可動役物が何れかの駆動停止位置で停止しているときに、当該駆動停止位置が、その時点の演出状態に対応する駆動停止位置でない場合、当該駆動停止位置を、その時点の演出状態に対応する駆動停止位置に変更する駆動停止位置変更手段と、
前記可動役物が何れかの駆動停止位置で停止しているときに電源断を生じた場合に、電源投入に基づいて、当該電源投入前の電源断時における前記可動役物の駆動停止位置を特定する停止位置特定手段と、
前記停止位置特定手段が特定した駆動停止位置に対応する演出状態を、電源投入に基づく演出状態として設定する演出状態設定手段と、
を備えることを特徴とする。

本発明では、可動役物の駆動停止位置として、複数の演出状態の各々に対応するものを予め設ける。そして、遊技機への電源の供給が開始されたとき（電源投入時）における「現実の可動役物の駆動停止位置」を実測、検知等することを通じて、電源投入前の電源断時における可動役物の駆動停止位置を特定し、この特定した駆動停止位置に対応する演出状態を、電源投入時の演出状態として設定する。

よって、本発明によると、遊技上の演出を制御するための制御部（制御基板）に対して、バックアップ機能を設けることが必要とされないため、サブ制御部（サブ制御基板）に搭載されるハードウェアーの構成の簡素化を図ることができる。また、本発明によれば、遊技上の演出を制御するための制御部（制御基板）にバックアップ機能を設けない状況下においても、複数の同一機種間で電源投入時（パチンコホールの営業開始時など）の演出状態にバラツキを生じさせることも可能となる。

また、本発明の遊技機では、
前記複数の駆動停止位置のうち１つが初期位置とされ、
前記電源断時における前記可動役物の駆動停止位置が前記初期位置でない場合、前記停止位置特定手段は、電源投入に基づく初期化処理で前記可動役物を、初期位置に位置させる際の駆動量を基に、前記電源断時の駆動停止位置を特定する
こととしてもよい。

この場合、電源断時における可動役物の駆動停止位置を、初期化処理に基づく可動役物の移動量を用いて確実に特定することができる。

また、本発明の遊技機では、
前記可動役物が駆動停止したまま所定期間が経過した場合に、前記可動役物の駆動停止位置を、該所定期間が経過したときの演出状態に対応する位置とする
こととしてもよい。

この場合、演出状態が変更される度に可動役物の駆動停止位置を変更するのではなく、可動役物の駆動停止状態が所定期間継続されることを条件に可動役物の駆動停止位置を変更する。つまり、遊技者が普通に遊技を行っているときなど電源断の発生可能性が低い状況下では、可動役物の駆動停止位置の変更が行われることはなく、可動役物の駆動停止状態が所定期間継続され、電源断の発生可能性が高い状況下となった場合に、可動役物の駆動停止位置の変更が行われる。これにより、「可動役物の駆動停止位置を変更する処理」が頻繁に実行され、遊技機の制御が徒に煩雑化することを回避できる。

なお、本明細書において、「前」および「表」は、「遊技機を基準とする前方（つまり、遊技者に近接する方向）」を示し、「後」および「裏」は、遊技機を基準とする後方（つまり、遊技者から離間する方向）」を示す。また、「左」とは、遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは「遊技者から見て右」であることを示す。更に、本体枠、前面枠、上皿部材、下皿部材等のように、「扉の如く、開閉可能な部材（以下、「扉型部材」という。）」において、「左」、「右」、「前」、「後」等は、これらの扉型部材が使用状態にある場合、つまり、閉鎖された状態にある場合を基準としたものである。

また、本明細書において、遊技盤面に設けられた各種入賞口に遊技球が入る（受け入れられる）ことを、「入賞」若しくは「入球」と表記することがある。このうち、「入賞」とは、賞球の払い出しの前提となる入賞口に遊技球が入球することを示すもので、入賞口に遊技球が入る（受け入れられる）ことを示す点では、「入球」と実質的に同義である。更に、後述する大入賞装置や第２始動入賞装置のように、入賞不能（若しくは、入賞困難）な状態と入賞可能（若しくは、入賞容易）な状態とに変化可能な入賞装置において、入賞不能（若しくは、入賞困難）な状態を第１状態と称し、入賞可能（若しくは、入賞容易）な状態を第２状態と称することがある。

以上記述したように各請求項の発明によると、ハードウェアーの構成を簡略化しつつも、電源投入後の演出状態を、電源断時の演出状態に復帰可能な遊技機を得ることができる。

本発明の各実施例に係る遊技機を示す斜視図である。 本発明の各実施例に係る遊技機の遊技盤を示す正面図である。 本発明の各実施例に係る遊技機の遊技盤の縦断面図（図２の１−１断面図に相当）である。 各実施例に係る遊技機の演出表示装置の表示画面を概略的に示す正面図である。 （ａ）は各実施例に係る遊技機の下部表示装置を概略的に示す正面図であり、（ｂ）は各実施例に係る遊技機の下部表示装置で実行される特別図柄の変動表示態様を示す説明図であり、（ｃ）は演出図柄（停止図柄）の内容を説明するための説明図である。 可動役物装置の概略的な縦断面図（図２の２−２断面図に相当）である。 可動役物装置の概略的な横断面図である。 （ａ）は被検知体を示す正面図であり、（ｂ）は被検知体およびセンサを示す説明図である。 可動役物装置の概略的な正面図（可動役物は基本駆動停止位置）である。 可動役物装置の概略的な正面図（可動役物は駆動限度位置）である。 可動役物装置の概略的な正面図（可動役物は第１特別駆動停止位置）である。 可動役物装置の概略的な正面図（可動役物は第２特別駆動停止位置）である。 本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。 （ａ）は各実施例（実施例２を除く）に係る電子制御装置を示すブロック図であり、 （ｂ）は各実施例に係る遊技機において主制御部からコマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。 （ａ）〜（ｃ）は演出表示装置で実行される図柄変動演出等を示す説明図である。 （ａ）〜（ｃ）は演出モード（演出状態）の差異を説明するための説明図である。 各実施例に係る遊技機の遊技制御処理を示すフロー図である。 各実施例に係る遊技機のデモ表示処理を示すフロー図である。 各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。る。 各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。る。 各実施例に係る遊技機の図柄変動開始処理を示すフロー図である。 各実施例に係る大当り用変動パターンテーブルを示す説明図である。 各実施例に係る外れ用変動パターンテーブルを示す説明図である。 各実施例に係る遊技機の演出制御処理を説明するためのフロー図である。 各実施例（実施例３を除く）に係る遊技機の初期設定処理を説明するためのフロー図である。 各実施例に係る遊技機のデモ演出処理を説明するためのフロー図である。 各実施例に係る遊技機の演出モード設定処理を説明するためのフロー図である。 各実施例に係る遊技機の演出モード設定処理を説明するためのフロー図である。 各実施例に係る遊技機の図柄変動演出処理を示すフロー図である。 各実施例に係る遊技機の可動役物制御処理を示すフロー図である。 実施例１に係る遊技機の停止位置設定処理を示すフロー図である。 （ａ）は実施例２に係る電子制御装置を示すブロック図であり、（ｂ）は変形例１に係る電子制御装置を示すブロック図である。 実施例２に係る遊技機の停止位置設定処理を示すフロー図である。 （ａ）は実施例３の被検知体を示す正面図であり、（ｂ）は実施例３の被検知体およびセンサを示す説明図である。 （ａ）〜（ｄ）は実施例３の特徴を説明するための説明図である。 実施例３に係る遊技機の初期設定処理を説明するためのフロー図である。 実施例３に係る遊技機の停止位置設定処理を示すフロー図である。 変形例２に係る遊技機の遊技盤を示す正面図である。 変形例２に係る可動役物装置の特徴を説明するための説明図である。

以下、発明を実施するための形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、本発明を「セブン機」と称する遊技機（パチンコ機）１に適用した各具体例について説明する。

（１）機械的な構造
ａ．遊技機の全体構造
先ず、この遊技機１の全体構造について、図１を参照して説明する。この遊技機１は、外枠２と、この外枠２に装着された遊技機本体Ｈとを備えている。この外枠２は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体２Ａと、外枠本体２Ａの前面下部を覆う前板部２Ｂとを備えている。

遊技機本体Ｈは、外枠２の左端側上下のヒンジＨ１、Ｈ２を用いて、外枠２の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Ｈは、遊技機１のうち外枠２を除く部分であって、本体枠３と、前面枠４と、前面枠４に一体化された皿部材（上皿部材５および下皿部材６）５Ａと、遊技盤１０（図２を参照）と、裏機構盤１０２等を主要部としている。

本体枠３は、外枠２に嵌めこまれ、外枠２に対して開閉可能に軸支されている。この本体枠３は、全体がプラスチック製であり、遊技盤１０を保持可能な枠状体によって構成されている。この本体枠３が遊技盤１０（図２を参照）を保持したとき、「遊技盤１０の盤面（表面）に構成される遊技領域１１」が、本体枠３の前方から視認可能とされる。

前面枠４は、本体枠３の前面側に配置され、本体枠３の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠４は、前後に貫通する状態に設けられた視認窓４１ａを具備する枠本体４１と、視認窓４１ａに填め込まれたガラス板４３とを備えている。そして、遊技盤１０に形成された遊技領域１１（正面視で略円形の遊技領域１１）が前面枠４を閉じたときにその背後に位置する状態とされるため、この遊技領域１１は視認窓４１ａ（ガラス板４３）を介して前面枠４の前方から視認可能とされる。

また、本遊技機１では、「上皿部材５および下皿部材６を一体化した皿部材５Ａ」が前面枠４に一体化され、本体枠３に対して前面枠４と一体で開閉可能とされている。但し、皿部材５Ａを、本体枠３における前面枠４の装着部位よりも下方に装着し、前面枠４とは別に開閉可能としてもよい。また、上皿部材５および下皿部材６を別体に設け、本体枠３における前面枠４の装着部位よりも下方に配置し、上方に配置される上皿部材５を前面枠４とは別に開閉可能とし、下方に配置される下皿部材６を開閉不可能としてもよい。

前面枠４の前面部の上方側の左右には、スピーカＳＰ１、ＳＰ２が装着され、前板部２Ｂの左右両端にも、スピーカＳＰ３、ＳＰ４が内蔵されている。そして、本遊技機１においては、これらのスピーカＳＰ１〜ＳＰ４を用いて、遊技状態に応じた効果音や、その他の音（音声）を発生させる。また、前面枠４の前面部において、上皿部材５の配置位置を構成する箇所には、遊技機１から排出される遊技球を受け入れるための受入口５ｂを備えている。更に、上皿部材５の裏側には、球貸表示基板４１０（図１３参照）および演出ボタン基板２２８（図１３参照）が設けられ、上皿部材５の上面部には「演出ボタンＳＷ」が配置されている。

上皿部材５の下方の部位には下皿部材６が設けられ、この下皿部材６の略中央には、その略容器形状とされる内部に上皿部材５から排出される遊技球を受け入れるための受入口６ａを備えている。また、下皿部材６の右端側には発射ハンドル９が設けられている。そして、本体枠３の前面部裏側（本体枠３の内部）であって、遊技盤１０よりも下方の左端側に位置する部位には、発射装置ユニット９０（図２を参照）が配設されており、この発射装置ユニット９０に発射ハンドル９が接続されている。ここで、発射装置ユニット９０は球送り装置（図示を省略）から送り出される遊技球を略鉛直上方に発射して、遊技領域１１に到達させるためのものである。なお、発射ハンドル９には、遊技者が触れていることを検知するタッチスイッチ（タッチセンサ）９ａが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ９ｂが装着されている。

ｂ．遊技盤１０の構成
次に、遊技盤１０の構成について図２および図３を用いて説明する。この遊技盤１０は、図２に示すように、正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体１０Ａと、この遊技盤本体１０Ａに装着される各種の盤部品（外側レール１２、内側レール１３、メイン役物装置２０等）が装着されている。また、図３に示すように、遊技盤本体１０Ａの後方が樹脂製の収納体２８で覆われているとともに、この収納体２８の内部に可動役物装置７０が配設されている。尚、遊技盤本体１０Ａの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。

収納体２８は、図３に示すように、略箱形状に構成され、略矩形状の開口部２８Ｋを前方に向けた状態で配置されている。そして、遊技盤本体１０Ａは、その前面部を前方に向けた状態とされつつ、収納体２８の開口部２８Ｋを略封止する状態に配設されている。また、収納体２８は、正面視で略矩形板に構成されつつ立設配置される背板部２８ａと、背板部２８ａの外周縁から前方に突出する周壁部２８ｂとを備える。そして、背板部２８ａには正面視で略矩形状とされつつ背板部２８ａの肉厚方向を貫通する装着部２８ｃが設けられている。

図２に示すように、遊技盤本体１０Ａは、正面視で略円形とされる領域形成部１０Ｂと、領域形成部１０Ｂの周囲に位置する領域外部１０Ｃとを備える。また、遊技盤本体１０Ａの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール１２と、内側レール１３とが配設されている。そして、領域形成部１０Ｂの前面部は、この外側レール１２および内側レール１３が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ遊技領域１１を構成している。この領域形成部１０Ｂ（遊技領域１１内に位置する部位）には、メイン役物装置２０と、普通図柄作動ゲート（普通図柄作動口）１６と、始動入賞装置１７と、大入賞装置３１と、下部表示装置６０（図柄表示装置）と、２個の一般入賞装置４５、４６と、多数の障害釘（図示を省略）と、風車１９等が配設されている。なお、図２に示す一点鎖線は本体枠３を示している。

メイン役物装置２０は、取付部材（化粧板）２１と、演出表示装置２７とを備えている。このうち、取付部材２１は、領域形成部１０Ｂの前面部に装着される板状体によって構成され、遊技領域１１の略中央部を構成している。この取付部材（化粧板）２１には、正面視で略矩形状の開口部が前後に貫通する状態に設けられ、この開口部によって表示画面２７ａ（後述する。）を遊技盤１０の前方から視認可能とするための表示窓２１ｅを構成している。

取付部材２１の下縁部には、ステージ部２１ｐが前方に突出する状態に装着され、取付部材２１の周縁部のうちのその他の部位には装飾部材２１Ａが、前方に突出する状態に装着されている。この装飾部材２１Ａは、取付部材２１の上縁部から突出する庇部２１Ｈと、取付部材２１の左縁部から突出する左側装飾部２１Ｌと、取付部材２１の右縁部から突出する右装飾部２１Ｒとを備えている。

左側装飾部２１Ｌの内部に遊技球の通路（所謂「ワープ通路」）２１ｗが形成されている。つまり、左側装飾部２１Ｌの左側面部において、この通路２１ｗの進入口（図示を省略）が、左斜め上方に向かって開口し、遊技領域１１を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、ステージ部２１ｐ上（メイン役物装置２０の内部）に進入させる。また、ステージ部２１ｐは、その上面部によって遊技球の転動面を構成する。この転動面は、左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面として構成されているが、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。

本遊技機１においては、遊技領域１１を流下し、ワープ通路２１ｗを通じて転動面の左端部に到達した遊技球は、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球はメイン役物装置２０外に排出されるが、転動面の中央部から排出される遊技球の多くは、始動入賞装置１７に入球する。尚、遊技領域１１を流下して始動入賞装置１７に入球する遊技球の中には、メイン役物装置２０に進入せずに始動入賞装置１７に入球するものと、メイン役物装置２０に進入し、ステージ部２１ｐ上を転動した後に始動入賞装置１７に入球するものがある。なお、始動入賞装置１７に遊技球が入球することを「始動入賞」と称することがある。

演出表示装置２７は液晶表示装置を用いて構成され、下部表示装置６０における特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて図柄変動演出を実行する。本実施例では、下部表示装置６０（特別図柄表示部６２ａ）が、特別図柄（本図柄）を用いて変動表示（図柄変動遊技）を行い、演出表示装置２７が、演出図柄（疑似図柄）を用いて図柄変動演出を行う。ここで、図柄変動演出は、図柄変動遊技の結果を遊技者に示すために、図柄変動遊技の進行（特別図柄の変動表示，停止表示）に合わせて行う表示演出である。また、図３に示すように、演出表示装置２７は当該演出表示装置２７を構成する液晶パネル２７Ｐの前面部（つまり、表示画面２７ａ）を前方に向けつつ、背板部２８ａの装着部２８ｃに装着されている。

図４に示すように、演出表示装置２７の表示画面２７ａは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を遊技者が視認可能となるように表示可能である。つまり、図柄変動演出を行う場合には、この表示画面２７ａの略全体に背景を示す図柄（以下、背景図柄という。）や背景色（青、赤等の画面の地色）等を表示した状態とされ、この背景図柄や背景色の前面に重ね合わせた状態で「３桁の演出図柄」を表示する演出図柄表示領域２７ｂが設けられる。この演出図柄表示領域２７ｂでは、「演出図柄」が横方向に３つ並んで表示され、それら「演出図柄」を用いた演出表示と停止表示等がなされる。また、背景図柄としてキャラクタを示す図柄（以下、キャラクタ図柄という。）を表示したり、実写映像（図示を省略）を表示したりすることがある。なお、演出図柄表示領域２７ｂにおいて「演出図柄」が変動表示しているときには、演出図柄表示領域２７ｂを透かした状態で、背景図柄や背景色が視認可能となる。

図４に示すように、表示画面２７ａのうち、一縁部寄りの上方側の位置には保留表示領域（Ｄ１、Ｄ２、Ｄ３、Ｄ４）が設けられ、始動入賞装置１７への入球に基づいて生ずる「特別図柄」に関する保留数を「４個」を上限個数として表示する。この保留表示領域（Ｄ１〜Ｄ４）は下方から上方に向かって４個の表示部（Ｄ１〜Ｄ４）を並べた構成を備え、始動入賞装置１７に入球したが、未だ、未消化の遊技球の数（即ち、保留数）を、使用中（点灯表示中）の表示部Ｄ１〜Ｄ４の数によって表示するとともに、未消化の遊技球が消化される毎に使用中の表示部Ｄ１〜Ｄ４の数を減少させることによって、「未消化の遊技球」の数（保留数）を順次、デクリメントして表示する。なお、各特別図柄に関する「未消化の遊技球（保留球）」とは、始動入賞装置１７に入球したが、特別図柄表示部６２ａにおいて当該入球に伴う図柄変動遊技がなされていない遊技球を指す。

図２に示すように、始動入賞装置１７は、ステージ部２１ｐ（転動面）の中央部の略鉛直下方に位置され、入口側部分に普通電動役物１７ｄを備えている。この普通電動役物１７ｄは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部１７ｅ、１７ｆが開閉するべく形成されている。つまり、始動入賞装置１７は、この一対の翼片部１７ｅ、１７ｆを作動させるための普通電動役物ソレノイド１７ｃ（図９参照）を備えている。また、始動入賞装置１７の内部には、始動入賞装置１７に入球した遊技球を検知するための始動口入球検知スイッチ１７ｓが配設されている（図１３参照）。

そして、普通電動役物ソレノイド１７ｃに通電を行わないと、一対の翼片部１７ｅ、１７ｆが立設状態（図２の実線を参照）とされる。これにより、一対の翼片部１７ｅ、１７ｆ間に１球の遊技球の通過を許容する大きさの遊技球受入口が設けられ、始動入賞装置１７への遊技球の入球可能性が低い閉鎖状態（第１状態）となる。一方、普通電動役物ソレノイド１７ｃに通電を行うと、一対の翼片部１７ｅ、１７ｆが、下端部側を支点として互いの上端部間の間隔を拡大するように傾動し（図２の破線を参照）、遊技球の入球可能性が高くなる開放状態（第２状態）となる。ここで、本遊技機１では、その遊技モードが開放延長モード（後述する。）である場合には、始動入賞装置１７が開放状態（第２状態）となる時間が長くなる（例えば、「５秒」）。一方、非開放延長モード（通常開放モード）である場合には、始動入賞装置１７が開放状態（第２状態）となる時間が短くなる（例えば、「０．２秒」）。

大入賞装置３１は可変入賞装置の具体例を構成するものであり、図２に示すように、始動入賞装置１７の下方に位置する部位に配設されている。この大入賞装置３１は、遊技盤１０の前面部１０ａで開口する大入賞口３１ａと、この大入賞口３１ａを開放・閉鎖するための開閉板３１ｂと、この開閉板３１ｂを駆動するための大入賞口ソレノイド３１ｃ（図１３参照）と、大入賞装置３１に入球した遊技球を検知するための大入賞口入球検知スイッチ３１ｓ（図１３参照）とを備えている。この大入賞装置３１は、開閉板３１ｂが起立姿勢となると、この開閉板３１ｂが大入賞口３１ａを閉鎖するため、大入賞装置３１への遊技球の入球が不可能となる。一方、開閉板３１ｂが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口３１ａが開放されるとともに、開閉板３１ｂの後面部（背面部）が遊技領域１１を流下し、大入賞装置３１へ到達した遊技球を大入賞口３１ａに誘導する誘導部を構成する。

図２に示すように、下部表示装置６０は大入賞装置３１の左側方に配置されている。この下部表示装置６０は、図５（ａ）に示すように、遊技盤本体１０Ａの前面部に取り付けられる取付板６１を備えている。そして、この取付板６１には、特別図柄表示部６２ａと、普通図柄表示部６３と、普通図柄保留表示部６５等が設けられている。また、特別図柄表示部６２ａおよび普通図柄表示部６３は、何れも「７セグメント表示体」を用いて構成されている。なお、特別図柄表示部６２ａにおいて表示される図柄変動遊技の結果（当否判定の結果）と、演出表示装置２７において表示される図柄変動演出の表示結果（当否判定の結果）は一致するものとされる。

普通図柄表示部６３は、図５（ａ）に示すように「７セグメント表示体」によって構成され、普通図柄作動ゲート１６を遊技球が通過することに基づいて図柄変動開始条件が成立すると、普通図柄の変動表示を開始する。この普通図柄の変動表示は、普通図柄表示部６３において「０」〜「９」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「０」〜「９」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。そして、普通図柄の変動表示の実行時間が経過すると、普通図柄が停止表示されて、その停止表示が一定時間実行される。このとき、停止表示された普通図柄が「奇数数字」である場合、その図柄が普通図柄の当り図柄に該当し、停止図柄が「偶数数字」である場合、その図柄が普通図柄の外れ図柄に該当する。この閉鎖状態（第１状態）にある始動入賞装置１７を開放状態（第２状態）とするか否かの抽選を行う抽選手段は、後述する主制御部２００Ａによって構成される。

普通図柄保留表示部６５も２個のＬＥＤを用いて構成され、普通図柄作動ゲート１６を通過したが、未だ未消化の遊技球の数（保留数）を、４個を上限数として表示するとともに、未消化の遊技球が消化される毎に、未消化の遊技球の数（保留数）を順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球（保留球）」とは、普通図柄作動ゲート１６を通過したが、普通図柄表示部６３において当該通過に伴う抽選の結果の表示（普通図柄の停止表示）と、これに先行する変動表示（本実施例では、７セグメント表示体を用いた表示）とがなされていない遊技球を指す。なお、普通図柄保留表示部６５では、（ａ）２個のＬＥＤを消灯させて「保留数」が「ゼロ」であることを示し、（ｂ）１個のＬＥＤを点灯させつつ１個のＬＥＤを消灯させて「保留数」が「１」であることを示し、（ｃ）２個のＬＥＤを点灯させて「保留数」が「２」であることを示し、（ｄ）１個のＬＥＤを点滅させつつ１個ＬＥＤを点灯させて「保留数」が「３」であることを示し、（ｅ）２個のＬＥＤを点滅させて「保留数」が「４」であることを示す。

図２に戻り、２個の一般入賞装置４５、４６は、メイン役物装置２０の左右に配置され、各一般入賞装置４５、４６の内部には、遊技球の入球を検知するための一般入球検知スイッチ４５ｓ、４６ｓ（図１３参照）が配設されている。また、多数の障害釘（図示を省略）は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域１１にパチンコ遊技に適するべく配設され、遊技盤１０の下方にはアウト口１８が設けられている。更に、アウト口１８の下部にはバック球防止部材（図示を省略）が設けられている。そして、遊技領域１１に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。

次に、図３、６〜１２を用いて可動役物装置７０について説明する。この可動役物装置７０は、図３および図６を用いて示すように、ブラケット８０を用いて遊技盤本体１０Ａの裏面部に装着されている。そして、この可動役物装置７０は、図６および図７に示すように、可動役物７１と、モータ７２｛図１４（ａ）を参照｝と、駆動ギア７３と、中間ギア７５と、従動ギア７６と、被検知体７７と、負荷ギア７８とを備える。また、ブラケット８０は、所定間隔をおいて前後に対向配置される一対の支持板８１、８２を立設させている。そして、この支持板８１、８２間には支持軸８４が軸心を前後に向けつつ略水平に配置されている。

また、可動役物装置７０は遊技盤本体１０Ａの裏面部の後方うち、表示窓２１ｅの右側に位置する部位に配置されるため（図２を参照）、当該可動役物装置７０が駆動を停止している状態にあるときは、その構成部品（可動役物７１、モータ７２、駆動ギア７３、中間ギア７５と、従動ギア７６、被検知体７７、負荷ギア７８）は遊技盤本体１０Ａの前方から視認不可能な状態とされる。そして、可動役物装置７０が駆動すると、可動役物７１の一部が表示窓２１ｅを通じて、遊技盤本体１０Ａの前方から視認可能な状態とされる。

図９に示すように、可動役物７１は、「手をあしらった造形物７１ｄ」を先端部に一体化しつつ長尺な役物本体７１ａと、役物本体７１ａの基端部に一体化された軸受部７１ｂと、を備える。そして、軸受部７１ｂに支持軸８４を挿通することで、軸受部７１ｂの軸心回りに傾動（左右に傾動）可能とされている。また、従動ギア７６は軸受部７１ｂの後端側に装着されて、軸受部７１ｂと一体で回転可能とされている。更に、図７に示すように、被検知体７７は軸受部７１ｂの前端側に装着されて、軸受部７１ｂと一体で回転可能とされている。なお、「軸受部７１ｂの前端部および支持板８１の間」と、「軸受部７１ｂの後端部および支持板８２の間」には、軸受部７１ｂが前後方向（軸心方向）に移動することを防止するためのスペーサ部材８５、８６が配設されている。そして、軸受部７１ｂの前端部は前方のスペーサ部材８５に対して摺動可能とされ、軸受部７１ｂの後端部は後方のスペーサ部材８６に対して摺動可能とされている。

図８（ａ）に示すように、被検知体７７は、略円板形状に構成されるとともに中心部に軸受部７１ｂが挿入される挿入孔７７ｈを備える。また、被検知体７７は第１被検知孔７７ａおよび第２被検知孔７７ｂを、被検知体７７の前後を貫通する状態に備える。そして、第１被検知孔７７ａおよび第２被検知孔７７ｂにおいては、被検知体７７の中心部（回転中心）Ｐからの距離が異なっている。また、第１被検知孔７７ａおよび被検知孔７７ａの形成位置は、中心部（回転中心）Ｐ回りに所定角度だけ「位置ずれ」を生じている。つまり、被検知体７７を正面から観察すると、第２被検知孔７７ｂの形成位置は、第１被検知孔７７ａの形成位置を基準として反時計回りに所定の角度だけ「ずれた状態」とされている。また、被検知体７７に軸受部７１ｂを挿入することで、軸受部７１ｂと一体で回転可能（支持軸８４の軸心回りに回転可能）とされている。

また、被検知体７７の近傍には、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置（後述する。）にあるときに、第１被検知孔７７ａを検知する「第１センサＳ１」と、可動役物７１の回転位置（支持軸８４の軸心回りの回転位置）が駆動限度位置（後述する。）にあるときに、第２被検知孔７７ｂを検知する「第２センサＳ２」とが配置されている。これらのセンサＳ１，Ｓ２は、何れも透過型のフォトセンサ（フォトインタラプタ）であり、装飾駆動基板２２６を介してサブ制御基板２２０に接続されている｛図１４（ａ）を参照｝。また、図８（ｂ）に示すように、何れのセンサＳ１，Ｓ２も、発光部（例えば、ＬＥＤで構成される発光素子）Ｓ１１，Ｓ２１と、受光部（例えば、フォトトランジスタで構成される受光素子）Ｓ１２，Ｓ２２とを、被検知体７７を挟んで対向配置した構成を備える。そして、これらのセンサＳ１，Ｓ２では、発光部Ｓ１１，Ｓ２１と、受光部Ｓ１２，Ｓ２２との間に対応する被検知孔７７ａ、７７ｂが到達し、発光部Ｓ１１，Ｓ２１から照射される光を、受光部Ｓ１２，Ｓ２２が受光すると、ＣＰＵ２２０ａは対象となる被検知孔７７ａ，７７ｂを検知したと判断する。

図７に示すように、モータ７２は、後方の支持板８２に向けられた挿通孔８２ａに駆動軸７２ａを挿通させた状態で、支持板８２の後面部に装着されている。また、本実施例では、モータ７２としてステッピングモータを使用している。そして、モータ７２は装飾駆動基板２２６を介してサブ制御基板２２０｛図１４（ａ）を参照｝に接続され、その回転動作（回動動作）と停止動作は、サブ制御基板２２０から出力される制御信号を用いて制御される。

駆動ギア７３は、後方の支持板８２の前方において、モータ７２の駆動軸７２ａに対して一体回動可能な状態に配置されている。また、中間ギア７５は、後方の支持板８２の前面部であって、駆動ギア７３の配設位置と、支持軸８４の配設位置との中間部から突出する支持軸８２Ｊに対して回転可能な状態に支持されている。そして、中間ギア７５は、その右側に位置する駆動ギア７３と、その左側に位置する従動ギア７６とに噛合しているため、駆動軸７２ａから駆動ギア７３に与えられる回転力は、中間ギア７５を介して従動ギア７６に伝達される。

負荷ギア７８は、後方の支持板８２の前面部であって、従動ギア７６の配設位置の左側から突出する支持軸８２Ｋに対して回転可能な状態に支持されている。この負荷ギア７８は、その右側に位置する従動ギア７６と噛合しつつ、従動ギア７６に対して回転抵抗（従動ギア７６を回転させる際の重み）を負荷する。但し、本実施例と異なり、可動役物装置７０から負荷ギア７８を排除することとしてもよい。

本実施例では、可動役物装置７０を作動しない状態にあるとき、図９に示すように、可動役物７１が、その回転位置（支持軸８４の軸心回りの回転位置）を基本駆動停止位置として停止した状態に維持される。具体的には、可動役物７１は軸心を右方向に傾動させた状態で、その回転を停止した状態とされる。また、可動役物７１が基本駆動停止位置にあるとき、第１センサＳ１が被検知孔７７ａを検知するため、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、可動役物７１の回転位置が基本駆動停止位置にあると判断することになる。このとき、前述のように、可動役物装置７０の構成部品（可動役物７１、モータ７２、駆動ギア７３、中間ギア７５と、従動ギア７６、被検知体７７、負荷ギア７８）は遊技盤本体１０Ａの前方から視認不可能な状態とされる。

また、可動役物装置７０を作動させると、図１０に示すように、可動役物７１が支持軸８４の軸心回りの反時計回りの方向に回転し、可動役物７１の軸心が左方向に傾動した状態となる。具体的には、可動役物７１が基本駆動停止位置にある場合を基準として、モータ７２の駆動軸７２ａを反時計回りの方向（以下、「正転方向」という。）にＭステップ分（例えば、６ステップ分）回転させることで、可動役物７１の軸心が左方向に傾動し、可動役物７１の回転位置（支持軸８４の軸心回りの回転位置）が駆動限度位置となる。これにより、可動役物７１の先端部の造形物７１ｄが、表示窓２１ｅを通じて遊技盤本体１０Ａの前方から視認可能な状態とされる。

また、可動役物７１の回転位置が駆動限度位置に到達すると、第２センサＳ２が被検知孔７７ｂを検知するため、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、可動役物７１の回転位置が駆動限度位置に到達したと判断することになる。なお、可動役物７１の回転位置が駆動限度位置にあるとき、モータ７２の駆動軸７２ａを時計回りの方向（以下、「逆転方向」という。）にＭステップ分（例えば、６ステップ分）回転させ、可動役物７１の軸心が右方向に傾動した状態となると、可動役物７１が基本駆動停止位置となる。

更に、可動役物７１の回転位置（支持軸８４の軸心回りの回転位置）が基本駆動停止位置にあるとき、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向にｍステップ分（例えば、２ステップ分）回転させることで、可動役物７１は、その軸心を略垂直とした回転停止位置（以下、「第１特別駆動停止位置」という。）に移行する。また、可動役物７１の回転位置（支持軸８４の軸心回りの回転位置）が基本駆動停止位置にあるとき、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に２ｍステップ分（例えば、４ステップ分）回転させることで、可動役物７１は、その軸心を僅かに左方向に傾けた回転停止位置（以下、「第２特別駆動停止位置」という。）に移行する。

このように、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、可動役物７１の回転位置が基本駆動停止位置にあるとき、モータ７２に供給する駆動パルスの個数を選択することで、可動役物７１の駆動停止位置を適宜変更することができる。なお、本実施例では、可動役物７１の駆動停止位置（回転位置）が「第１特別駆動停止位置」にあるときと「第２特別駆動停止位置」にあるときには、可動役物装置７０の構成部品（可動役物７１、モータ７２、駆動ギア７３、中間ギア７５と、従動ギア７６、被検知体７７、負荷ギア７８）が遊技盤本体１０Ａの前方から視認不可能な状態とされる。

（２）制御回路の構成
次に、図１３および図１４（ａ）を用いて本実施例の遊技機１の制御回路の構成について説明する。本遊技機１の制御回路は、主制御部２００Ａと、複数の副制御部（２２０Ａ、２２２Ａ、２４０Ａ、２６０Ａ）とを含んで構成されている。つまり、主制御基板２００を用いて構成されるとともに遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部２００Ａと、複数の副制御部（２２０Ａ、２２２Ａ、２４０Ａ、２６０Ａ）とを備えている。また、副制御部としては、（ａ）サブ制御基板２２０を用いて構成されるとともに、遊技上の演出の制御を司るサブ制御部２２０Ａと、（ｂ）演出表示制御基板２２２を用いて構成されるとともに、演出表示装置２７の制御を司る演出表示制御部２２２Ａと、（ｃ）払出制御基板２４０を用いて構成されるとともに貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部２４０Ａと、（ｄ）発射制御基板２６０を用いて構成されるとともに遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部２６０Ａを備える。

これらの制御部（２００Ａ、２２０Ａ、２２２Ａ、２４０Ａ、２６０Ａ）を構成する制御基板（２００、２２０、２２２、２４０、２６０）は、各種論理演算および算出演算を実行するＣＰＵや、ＣＰＵで実行される各種プログラムやデータが記憶されているＲＯＭ、プログラムの実行に際してＣＰＵが一時的なデータを記憶するＲＡＭ、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース（ＰＩＯ）、ＣＰＵが演算を行うためのクロックを出力する発振器、ＣＰＵの暴走を監視するウォッチドッグタイマなど、種々の周辺ＬＳＩがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図１３および図１４（ａ）中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、主制御基板２００においては、搭載されたＣＰＵ２０１、ＲＡＭ２０２、ＲＯＭ２０３を図示し、サブ制御基板２２０においても、搭載されたＣＰＵ２２０ａ、ＲＡＭ２２０ｂ、ＲＯＭ２２０ｃを図示し、その他の制御基板に搭載されているＣＰＵや、ＲＡＭ、ＲＯＭなどについては図示を省略している。更に、本実施例では、電源断時においてサブ制御基板２２０に電源を供給するためのバックアップ電源を備えないため、ＲＡＭ２２０ｂに記憶された情報（後述する通常演出フラグ、第１特別演出フラグ、第２特別演出フラグ等）は、電源断を生ずると消去される。

主制御部２００Ａは、普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ１６ｓ、始動口入球検知スイッチ１７ｓ、一般入球検知スイッチ４５ｓ、４６ｓ等から遊技球の検知信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部２２０Ａや、払出制御部２４０Ａ、発射制御部２６０Ａ等に向かって、後述する各種の信号（コマンド）を出力する。また、主制御部２００Ａ（主制御基板２００）には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検知するカウントスイッチ８ｓも接続されている。また、主制御部２００Ａは、普通電動役物ソレノイド１７ｃや、大入賞口ソレノイド３１ｃ、下部表示装置６０に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。また、主制御部２００Ａ（主制御基板２００）を構成するＣＰＵ２０１により決定された所定の信号（コマンド）は、サブ制御基板２２０や払出制御基板２４０に対してそれぞれ送信される。

サブ制御部２２０Ａは、主制御部２００Ａからの各種信号（コマンド）を受け取ると、信号（コマンド）の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部２２０Ａは、主制御部２００Ａからの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部２２０Ａには、図１４（ａ）に示すように、演出表示制御部２２２Ａと、アンプ基板２２４と、装飾駆動基板２２６と、演出ボタンＳＷ（図１を参照）が接続された演出ボタン基板２２８と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、装飾駆動基板２２６には、前述のモータ７２と第１センサＳ１、第２センサＳ２が接続されている。

サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、主制御基板２００からの制御信号を受けて演出表示制御基板２２２、アンプ基板２２４、装飾駆動基板２２６および演出ボタン基板２２８などの各基板を制御する。また、ＲＯＭ２２０ｃには、各基板の制御に必要なデータ（特に遊技の装飾に関する情報）が記憶されている。また、ＣＰＵ２２０ａは、主制御部２００Ａから送出された表示制御コマンド（表示制御信号）を受信するとともに、ＲＯＭ２２０ｃに記憶されたプログラムに従って受信した表示制御コマンドを解析する。そして、ＣＰＵ２２０ａは、主制御部２００Ａから送信された表示制御コマンドに基づき新たに生成したコマンドや、主制御部２００Ａから送信されたままの表示制御コマンドを、図柄制御コマンドとして演出表示制御部２２２Ａに対して送信する。

アンプ基板２２４には、所定の効果音を出力するスピーカＳＰ１〜ＳＰ４が電気的に接続されている（図１を参照）。また、装飾駆動基板２２６には、前面枠４や遊技盤１０等に設けられる装飾用の各種ＬＥＤ（ランプ）を搭載した各種ＬＥＤ基板が接続されている。また、装飾駆動基板２２６は、サブ制御基板２２０からの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。

払出制御部２４０Ａには、中継端子板、発射制御部２６０Ａ、下皿満タンスイッチ６ｓ等が接続されている。また、払出制御部２４０Ａには中継端子板を介して、本体枠３の裏側（裏機構盤１０２側）に配置された遊技球払出装置（図示を省略）を構成する払出モータ１０９ｍと、前側払出スイッチ１０９ａと、後側払出スイッチ１０９ｂとが接続されている。また、払出制御部２４０Ａには、主制御部２００Ａが双方向通信可能な状態に接続されている。この払出制御部２４０Ａは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出ボタンや返却ボタンを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板４１０から中継端子板を介して払出制御基板２４０に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ１０９ｍを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置の払出モータ１０９ｍに伝達される。

また、主制御部２００Ａが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部２４０Ａが受け取って、払出モータ１０９ｍに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、２つの払出スイッチ（前側払出スイッチ１０９ａ、後側払出スイッチ１０９ｂ）によって検知されて、払出制御部２４０Ａに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチによっても検知されて、主制御部２００Ａでも計数されている。

（３）遊技機１による遊技の流れ
前述のように、本遊技機１では、始動入賞に基づいて行われる当否判定の結果を示す図柄の停止表示（確定表示）と、この停止表示の前段階に行われる変動表示とを、下部表示装置６０および演出表示装置２７の２種類の図柄表示装置で実行する。ここで、「下部表示装置６０における特別図柄の変動表示および停止表示」、つまり「図柄変動遊技」の実行に際して、主制御部２００Ａにおいて特別図柄の「停止図柄」と「変動時間（変動パターン）」が決定される。

一方、演出表示装置２７の表示画面２７ａにおいては「演出図柄」が表示され、主制御部２００Ａの制御の下で遊技上の演出を制御する「サブ制御部２２０Ａ」によって、その変動態様と停止図柄とが決定される。そして、「図柄変動遊技」の実行に伴って、演出表示装置２７において図柄変動演出が実行される。ここで、通常、「演出図柄」の変動表示は「本図柄」と同一の時間だけ実行され、「演出図柄」が停止表示したときの表示内容（大当り、外れ等）は、特別図柄表示部６２ａにおける「本図柄」の表示内容（大当り、外れ等）と矛盾を生じないものとされる。以下、「図柄変動遊技」と「図柄変動演出表示」の概要について説明する。

ａ．図柄変動遊技
「図柄変動遊技」は特別図柄（本図柄）の変動表示および停止表示によって構成される。この変動表示は、図５（ｂ）に示すように、特別図柄表示部６２ａを構成する７セグメント表示体によって、算用数字を構成できない不完全な図柄（以下、不完全図柄という。）の「循環表示」を行うことを内容とし、始動入賞に基づく当否判定の結果（大当り図柄、外れ図柄）を表示して終了する。なお、遊技機１の確率モードが低確率モード（通常確率モード）である場合には、当否判定においても、大当りを示す判定結果が導出される確率は約「１／４００」とされ、遊技機１の確率モードが高確率モードである場合には、当否判定において、大当りを示す判定結果が導出される確率は約「１／４０」とされる。そして、特別図柄表示部６２ａに大当りを示す判定結果が停止表示されると「大当り」が発生し、大当り遊技が実行される。また、本実施例では、当否判定の結果が大当りの場合、特別図柄表示部６２ａに停止表示する大当り図柄が乱数抽選によって決定される。

大当り遊技を開始すると、主制御部２００Ａが大入賞口ソレノイド３１ｃの駆動及び駆動停止を行うことで「大入賞口３１ａを開閉する開閉動作」が実行される。ここで、「大入賞装置３１の開放」は大入賞口ソレノイド３１ｃを駆動して、起立姿勢にある開閉板３１ｂを前傾姿勢とし、大入賞口３１ａを開放状態（第２状態）に変化させることによって実現され、「大入賞装置３１の閉鎖」は、大入賞口ソレノイド３１ｃの駆動を停止して開閉板３１ｂを起立姿勢に戻し、大入賞口３１ａを閉鎖状態（第１状態）に戻すことによって実現される。そして、大当り遊技中の各ラウンド遊技においては、大入賞装置３１に対して、大入賞口３１ａを１回だけ開放状態（第２状態）に変化させる開閉動作が施される。なお、大入賞口３１ａに規定数（１０個）の遊技球が入球するか、或いは、大入賞口３１ａの開放時間が開放限度時間（３０秒）に到達すると、ラウンド終了条件が成立して、実行中のラウンド遊技（大当りラウンド）を終了する。そして、大入賞装置３１の開閉動作が、所定のインターバルを挟みつつ複数回繰り返されると大当り遊技を終了する。

本遊技機１では、遊技状態が大当り遊技状態（特別遊技状態）に移行すると、所定回数（８ラウンド若しくは１６ラウンド）に亘る「ラウンド遊技」を実行する。そして、最終回の「ラウンド遊技」を終了すると、大当り遊技が終了する。なお、本実施例では、特別図柄表示部６２ａに停止表示（確定表示）される大当り図柄の態様に応じて、実行される大当り遊技（ラウンド遊技）の内容や、大当り遊技終了後の遊技機１の遊技状態が異なったものとなる。また、「１６Ｒ確変大当り」若しくは「８Ｒ確変大当り」を生ずると、対応する大当り遊技を実行した後、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率とされるとともに、対応する大当り遊技を実行した後、開放延長手段及び変動時間短縮手段が作動する遊技モード、つまり「開放延長モード」となる。この開放延長モードは、実質的に、次回の大当りを生ずるまで開放延長モードが継続する。

一方、「１６Ｒ通常大当り」若しくは「８Ｒ通常大当り」を生ずると、対応する大当り遊技を実行した後、当否判定の結果が大当りとなる確率が低確率（通常確率）とされるとともに、対応する大当り遊技を実行した後、開放延長手段及び変動時間短縮手段が作動する遊技モード、つまり「開放延長モード」となる。そして、この開放延長モードは対応する大当り遊技の終了後に大当りを生ずることなく実行される特別柄変動遊技の累積回数が「１００回」になるまで継続される。

ｂ．図柄変動演出
本遊技機１は、図柄変動演出を行う演出手段として、演出表示装置２７や可動役物装置７０等を備える。そして、これらの演出手段を用いて図柄変動演出が始動入賞に基づいて開始される。この図柄変動演出では、図１５（ａ）〜（ｃ）に示すように、演出表示装置２７の表示画面２７ａの所定の部位において演出図柄表示領域２７ｂが出現し、演出図柄の変動表示（演出図柄を用いた図柄変動演出）を開始する。そして、演出図柄の変動表示の実行時間（変動時間）が経過すると、演出図柄の停止表示が一定時間（約０．６秒間）実行される。この演出図柄の停止表示は、前述の下部表示装置６０（特別図柄表示部６２ａ）による停止表示と同様に、当否判定の結果を表示するものである。

図１５（ａ）〜（ｃ）に示すように、演出表示装置２７の表示画面２７ａでは、演出図柄表示領域２７ｂに３つ（３桁）の演出図柄を表示しつつ演出図柄の変動表示と停止表示がなされる。この演出図柄の変動表示は、「１」〜「９」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「１」〜「９」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示（スクロール変動表示）」によって構成される。

また、図５（ｃ）に示すように、演出図柄の停止図柄には「大当りを示す停止図柄（大当り図柄）」と「外れ示す停止図柄（外れ図柄）」とがある。そのうち「確変大当りを示す大当り図柄」は演出図柄表示領域２７ｂに「同一の奇数数字」を３個並べて構成され、「通常大当りを示す大当り図柄」は演出図柄表示領域２７ｂに「同一の偶数数字」を３個並べて構成される。また、「外れ図柄」は、演出図柄表示領域２７ｂに停止表示される３つの演出図柄のうちの少なくとも１つを、他と異なる数字図柄として構成される。尚、図１５（ｃ）に示すように、演出表示装置２７において「大当り図柄」を表示する場合、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行うが、「外れ図柄」を表示する場合、図１５（ｂ）に示すように、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行う場合と、図１５（ａ）に示すように、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行わない場合がある。

また、図柄変動遊技（図柄変動演出）の開始時に決定される変動パターンが特定変動パターン（後述する。）である場合、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、図柄変動演出の途中において可動役物装置７０を駆動させる。つまり、可動役物装置７０の作動開始タイミングとなる前においては、可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）は基本駆動停止位置に維持される。そして、可動役物装置７０の作動開始タイミングとなると、モータ７２の駆動軸７２ａを反時計回りの方向（正転方向）に回転させ、可動役物７１の回転位置を駆動限度位置とする。その後、可動役物装置７０の作動終了タイミングとなると、モータ７２の駆動軸７２ａを時計回りの方向（逆転方向）に回転させ、可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）を基本駆動停止位置に戻すことが行われる。

なお、本遊技機１では、可動役物装置７０の駆動を伴う図柄変動演出（以下、「駆動型図柄変動演出」という。）を開始する際に、可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）が基本駆動停止位置ではなく、第１特別駆動停止位置若しくは第２特別駆動停止位置にある場合も想定される（詳細は後述する。）。このため、駆動型図柄変動演出を開始する際の可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）が第１特別駆動停止位置にある場合、可動役物装置７０の作動開始タイミングとなると、ＣＰＵ２２０ａがモータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に（Ｍ−ｍ）ステップ分回転させることで、可動役物７１の回転位置が駆動限度位置となる。また、駆動型図柄変動演出を開始する際の可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）が第２特別駆動停止位置にある場合、可動役物装置７０の作動開始タイミングとなると、ＣＰＵ２２０ａがモータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に（Ｍ−２ｍ）ステップ分回転させることで、可動役物７１の回転位置を駆動限度位置となる。

また、図１６に示すように、図柄変動演出を行う際に演出表示装置２７の表示画面２７ａに表示される背景図柄は、当該図柄変動演出が可動役物装置７０の駆動を伴うか否かを問わず、その時点の演出状態（演出モード）に対応したものに設定される。例えば、その時点の演出状態（演出モード）が「通常演出状態（通常演出モード）」である場合には、図１６（ａ）に示すように、表示画面２７ａに「都市をあしらった背景図柄」が表示され、その時点の演出状態が「第１特別演出状態（第１特別演出モード）」である場合には、図１６（ｂ）に示すように、表示画面２７ａに「水中をあしらった背景図柄」が表示される。更に、その時点の演出状態が「第２特別演出状態（第２特別演出モード）」である場合には、図１６（ｃ）に示すように、表示画面２７ａに「空中をあしらった背景図柄」が表示される。なお、図示を省略するが、本遊技機１では、スピーカＳＰ１〜ＳＰ４から、その時点の演出状態（演出モード）に対応する効果音が出力される。更に、本遊技機１に搭載された電飾装置（図１４（ａ）のＬＥＤ基板４ｂ〜４ｈ、４ｊ〜４ｒを参照）は、その時点の演出状態（演出モード）に対応する態様の発光演出を実行する。

（５）コマンドの送信
本実施例の遊技機１は、前述の「図柄変動遊技」等を実現するために種々の制御を行っている。この制御を実行する際に、主制御部２００Ａ（主制御基板２００）からサブ制御部２２０Ａ（サブ制御基板２２０）に向かって、種々のコマンドが送信される。次に、このコマンドが送信される様子について、図１４（ｂ）の模式図を用いて説明する。

主制御部２００Ａとサブ制御部２２０Ａとは、９ビット幅のパラレル信号ケーブルで接続されている。このうちの１ビット分はストローブ信号の出力用に割り当てられており、残りの８ビット分がコマンド出力用に割り当てられている。そして、主制御部２００Ａからサブ制御部２２０Ａにコマンドを出力する際には、先ず初めに、コマンド出力用に割り当てられた８ビット幅の信号ケーブルに８ビット分のコマンドデータが出力され、続いて１ビットのストローブ信号が出力される。また、サブ制御部２２０Ａは、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、主制御部２００Ａから送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。ここで、主制御部２００Ａからサブ制御部２２０Ａに出力されるコマンドとしては、例えば、（Ａ）変動パターン指定コマンド、（Ｂ）特別図柄停止情報指定コマンド等を例示できる。尚、変動パターン指定コマンドは変動パターンを指定するコマンドである。

（６）主制御部２００Ａによる遊技制御の概要
図１７は、主制御基板２００に搭載されたＣＰＵ２０１が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。この遊技制御処理では、デモ表示処理（Ｓ５０）、賞球払出処理（Ｓ８０）、普通図柄遊技処理（Ｓ１００）、普通電動役物遊技処理（Ｓ２００）、特別図柄遊技処理（Ｓ３００）、大当り遊技処理（Ｓ６００）等の各処理が繰り返し実行されている。尚、本実施例の主制御基板２００に搭載されたＣＰＵ２０１は、電源投入後、４ｍｓｅｃ周期のタイマ割込みが発生する毎に、図１７のＳ５０〜Ｓ６００の処理を実行するように構成されている。つまり、図１７のＳ５０〜Ｓ６００の処理は、４ｍｓｅｃ毎に繰り返し実行される。

本実施例では、図１７に示す遊技制御処理を構成する各処理のうち、デモ表示処理（Ｓ５０）について図１８を用いて説明し、特別図柄遊技処理（Ｓ３００）について、図１９〜図２３を用いて説明する。なお、賞球払出処理（Ｓ８０）は入賞装置（１７、３１、４５、４６）に遊技球が入賞したときの賞球払出に関する処理であり、普通図柄遊技処理（Ｓ１００）は、普通図柄表示部６３において普通図柄の変動表示と、普通図柄の停止表示（当り図柄若しくは外れ図柄の停止表示）とを行うための処理である。また、普通電動役物遊技処理（Ｓ２００）は始動入賞装置１７の開閉に関する処理であり、大当り遊技処理は大当り遊技を実行するための処理である。更に、デモ表示（デモンストレーション表示）とは、遊技機１が、いわゆる客待ち状態のとき（つまり、非遊技時）に行われる表示である。

ａ．デモ表示処理（Ｓ５０）
ＣＰＵ２０１はデモ表示処理（Ｓ５０）を開始すると、先ず初めに、特別図柄の図柄変動が実行停止中であるか否かを判断する（Ｓ５２）。そして、実行停止中であれば、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、特別図柄の図柄変動が実行停止してからの経過時間を計測し（Ｓ５４）、実行停止となっている時間が所定時間（例えば、２分）に達しているか否かを判断する（Ｓ５６）。

そして、経過時間が所定時間に達していない場合は（Ｓ５６；ＮＯ）、客待ち状態ではないと判断してデモ表示処理（Ｓ５０）を終了し、図１７の遊技制御処理に復帰する。これに対して、所定時間に達している場合は（Ｓ５６；ＹＥＳ）、サブ制御部２２０Ａへデモ演出コマンドを出力する処理と、デモ演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行った後（Ｓ５８）、図１７の遊技制御処理に復帰する。

一方、図柄変動が実行停止中でない場合は（Ｓ５２）、客待ち状態ではないと判断される（Ｓ６０）。この場合、デモ演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていれば（Ｓ６０；ＹＥＳ）、デモ表示処理（Ｓ５０）を直ちに終了して、図１７の遊技制御処理に復帰する。これに対して、デモ演出フラグがセット（ＯＮ設定）されている場合（Ｓ６０；ＮＯ）、つまり、特別図柄の図柄変動を開始した直後の場合には（Ｓ６０；ＮＯ）、サブ制御部２２０Ａへデモ演出停止コマンドを出力する処理と、デモ演出フラグを解除（ＯＦＦに設定）する処理とを行った後（Ｓ６２）、デモ表示処理（Ｓ５０）を終了して、図１７の遊技制御処理に復帰する。

ｂ．特別図柄遊技処理（Ｓ３００）
特別図柄遊技処理（Ｓ３００）が起動すると、図１９に示すように、先ず、始動入賞を生じたか否か（始動口入球検知スイッチ１７ｓが遊技球を検知したか否か）が判断される（Ｓ３０２）。そして、Ｓ３０２の処理の処理において否定的な判断がなされる場合（Ｓ３０２；ＮＯ）、そのままＳ３０８以降の処理に移行する。一方、始動入賞を生じたと判断される場合（Ｓ３０２；ＹＥＳ）、「特別図柄の保留数」が上限個数未満（本実施例は４個未満）であるか否かが判断される（Ｓ３０４）。このＳ３０４の処理において上限個数未満と判断されると（Ｓ３０４；ＹＥＳ）、始動入賞に関連する判定用乱数値（抽選用乱数値）を取得し、この判定用乱数値が主制御基板２００に搭載されたＲＡＭ２０２の所定アドレス（以下、「判定用乱数値メモリ」という。）に記憶するとともに「特別図柄の保留数」が「＋１」される（Ｓ３０６）。この後、Ｓ３０８以降の処理に移行する。

ここで、この「判定用乱数値メモリ」には判定用乱数値が「始動入賞の時系列にシフトメモリ形式」で記憶される。また、Ｓ３０６の処理で取得される判定用乱数値としては、（ａ）始動入賞に基づいて実行される大当り抽選に際して用いる抽選用乱数値（以下、「大当り抽選乱数値」という。）、（ｂ）特別図柄表示部６２ａに停止表示される大当り図柄を決定するための決定用乱数値（以下、「大当り図柄決定乱数値」という。）、（ｃ）演出表示装置２７の表示画面２７ａで実行される演出図柄の変動表示（図柄変動演出）においてリーチ表示（リーチ演出）を行うか否かを決定するためのリーチ乱数値などがある。なお、本実施例では、リーチ表示（リーチ演出）を行う場合に、可動役物装置７０の駆動を伴う図柄変動演出が実行される可能性が高くなる。

Ｓ３０８の処理では、「大当り遊技フラグ」がセット（ＯＮに設定）されているか否かが判断される。この「大当り遊技フラグ」は「特別遊技実行手段（制御プログラムであってＲＯＭ２０３に格納されている。）」が作動中であるか否かを示すもので、特別遊技実行手段が作動中（大当り遊技中）の場合に、大当り遊技フラグがＯＮとなる。そして、ＣＰＵ２０１は、Ｓ３０８の処理で肯定的な判断を行うと（Ｓ３０８；ＹＥＳ）、特別図柄遊技処理を終了して図１７の遊技制御処理に復帰する。一方、Ｓ３０８の処理で否定的な判断を行うと（Ｓ３０８；ＮＯ）、特別図柄が変動中であるか否かを判断し（Ｓ３１０）、特別図柄が変動中でない場合は（Ｓ３１０；ＮＯ）、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄が停止表示されているか、の何れかであると考えられる。

そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中（本実施例ではこの停止表示時間を０．６秒とする。）であるか否かを判断する（Ｓ３１２）。そして、特別図柄が変動表示されておらず（Ｓ３１０；ＮＯ）、且つ、特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間中でもない場合は（Ｓ３１２；ＮＯ）、「特別図柄の保留数」が「ゼロ」であるか否かを判断する（Ｓ３１４）。

「特別図柄の保留数」が「ゼロ」である場合には（Ｓ３１４；ＹＥＳ）、特別図柄の変動表示を開始することはできないので、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図１７の遊技制御処理に復帰する。これに対して、「特別図柄の保留数」が「ゼロ」でない場合には（Ｓ３１４；ＮＯ）、「特別図柄の変動表示を開始できる条件」が成立していることとなる。この場合には、前述の判定用乱数メモリから最も古い判定用乱数値等を読み出し（Ｓ３１６）、特別図柄に関する当否判定処理を行った後（Ｓ３２０）、図柄変動開始処理（Ｓ５００）に移行する。ここで、当否判定処理（Ｓ３２０）においては、大当り抽選に関する処理を行うが、遊技機１の遊技モードが高確率モードであるときには、「高確率用のデータテーブル」と「Ｓ３１６の処理で読み出した大当り抽選乱数値」とを用いて「大当り抽選結果の導出（当否判定）」が行われ、遊技機１の遊技モードが低確率モード（通常確率モード）であるときには、「低確率用のデータテーブル」と「Ｓ３１６の処理で読み出した大当り抽選乱数値」とを用いて「大当り抽選結果の導出（当否判定）」が行われる。

尚、本実施例では、高確率モードにおいて、特別図柄の変動時間および普通図柄の変動時間を通常に比べて短くする変動短縮機能が作動するとともに、普通電動役物１７ｄを開放状態とする時間を延長する機能（つまり、開放延長機能）が作動するが、変動短縮機能および作動延長機能を作動させない場合を設けることもできる。また、「確変フラグ」は遊技機１の遊技モード（遊技状態）が高確率モード（高確率状態）にあることを示すフラグであり、後述する「変動短縮フラグ」は遊技機１の遊技モード（遊技状態）が変動短縮モード（変動短縮状態）にあることを示すフラグである。更に、後述する「開放延長フラグ」は遊技機１の遊技モード（遊技状態）が開放延長モード（開放延長状態）にあることを示すフラグである。

図柄変動開始処理（Ｓ５００）が起動すると、図２１に示すように、当否判定（Ｓ３２０）の結果が「大当り」であるか否かが判断され、「大当り」であると判断されると（Ｓ５０２；ＹＥＳ）、Ｓ５１０に移行して「大当り変動設定処理」を行う。この大当り変動設定処理（Ｓ５１０）では、前述のＳ３１６の処理で読み出した判定用乱数値に含まれる図柄決定乱数値を用いた判定（図柄判定）の結果に基づき特別図柄表示部６２ａに停止表示される図柄（大当り図柄）を決定（選択）する処理を行った後、決定された大当り図柄の態様および遊技機１の遊技状態（遊技モード）を基に、特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターンテーブルを選択する。そして、その選択された変動パターンテーブルを用いて、乱数抽選によって変動パターンを設定（決定）する処理を行う。

ここで、変動パターンの決定（選択）に際し、大当り確率が低確率であって通常変動を行う遊技状態では、図２２に示す「低確率通常変動モード」用の変動パターンテーブルが用いられ、大当り確率が低確率であって短縮変動を行う遊技状態では、「低確率短縮変動モード」用の変動パターンテーブル（図示を省略）が用いられ、大当り確率が高確率であって短縮変動を行う遊技状態では、「高確率短縮変動モード」用の変動パターンテーブル（図示を省略）が用いられる。

一方、Ｓ５０２の処理にて、当否判定の結果が「大当り」でないと判断されると（Ｓ５０２；ＮＯ）、Ｓ５４０に移行して「外れ変動設定処理」を行う。この外れ変動設定処理（Ｓ５４０）では、「遊技機１の遊技状態（遊技モード）と、リーチ演出の実行の有無とを考慮して選択される変動パターンテーブル」を用いて、乱数抽選によって変動パターンを設定（決定）する処理を行う。この後、図柄決定乱数値を取得し、停止図柄を設定する処理を行う。なお、リーチ演出の実行の有無は、Ｓ３０６の処理において取得したリーチ乱数値を読み出し、この読み出したリーチ乱数値に基づいて決定される。

Ｓ５４０の処理において用いる変動パターンテーブルは以下のように選択される。つまり、遊技機１の遊技状態が「低確率通常変動モード」であってリーチ演出を行わない場合には、図２３の「リーチ演出なし」と表記された各変動パターンテーブルのうち、変動開始時の保留数に対応する変動パターンテーブルがセットされ、リーチ演出を行う場合には、図２３の「リーチ演出あり」と表記された変動パターンテーブルがセットされる。また、図示省略するが、遊技機１の遊技状態が「低確率短縮変動モード」若しくは「高確率短縮変動モード」である場合にも、「リーチ演出の有無」、「変動開始時の保留数」を考慮した変動パターンテーブルがセットされる。

ここで、Ｓ５１０若しくはＳ５４０の処理にセットされる変動パターンテーブルには、図２２および図２３に示すように、「特定変動パターン（図２２および図２３で、三角印を付加）」と、「第１特別変動パターン（図２２および図２３で、一重丸を付加）」と、「第２特別変動パターン（図２２および図２３で、二重丸を付加）」と、その他の変動パターンが記憶されている。そして、「特定変動パターン」は可動役物装置７０を用いた可動演出を行う上で十分な変動時間（例えば、２５秒以上）を確保可能となるものであり、「特定変動パターン」が選択される可動役物装置７０の可動演出が実行される。また、「第１特別変動パターン」が選択されると、第１特別演出モードが開始され、「第２特別変動パターン」が選択されると、第２特別演出モードが開始される。そして、何れの変動パターンテーブルがセットされる場合においても、「第１特別変動パターン」が選択される確率と、「第２特別変動パターン」が選択される確率は何れも低く（例えば、１／１５０）されている。また、「大当り用の変動パターンテーブル」若しくは「リーチ演出有りの外れ用の変動パターンテーブル」がセットされた場合、「特定変動パターン」が選択される確率は「１／５」とされ、「リーチ演出無しの外れ用の変動パターンテーブル」がセットされた場合、「特定変動パターン」が選択される確率は「１／１００」とされている。

Ｓ５１０若しくはＳ５４０の処理で決定される変動パターンのうち、変動短縮機能が作用しているときに選択される変動パターンによって特定される変動時間は、変動短縮機能が作用していないときに選択される変動パターンによって特定される変動時間に比べて短くされる可能性が高い。また、当否判定の結果が「外れ」である場合、特別図柄に関する保留数と、リーチ演出の有無を考慮して変動時間の長短が決定され、リーチ演出を行わないと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間は、リーチ演出を行うと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間に比べて短くされる。また、特別図柄の保留数が少ない場合には、長めの変動時間を特定する変動パターンが選択され、保留数が多い場合には短めの変動時間を特定する変動パターンが選択される。

ＣＰＵ２０１は、以上のように「大当り変動設定処理（Ｓ５１０）」若しくは「外れ変動設定処理（Ｓ５４０）」を行ったら、特別図柄表示部６２ａにおいて特別図柄の変動を開始させ（Ｓ５９０）。この後、ＣＰＵ２０１は、サブ制御部２２０Ａ（サブ制御基板２２０）に向かって特別図柄の変動表示の開始を示す所定のコマンド（図柄変動開始時コマンド）を送信する（Ｓ５９２）。つまり、主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、サブ制御基板２２０に向かって「変動パターン指定コマンド（変動パターンを指定するコマンド）」、「特別図柄停止情報指定コマンド」などを送信する。そして、Ｓ５９２の処理の後、ＣＰＵ２０１は、「特別図柄の保留数」を「１」減算する処理と、減算された後の保留数を特定するためのコマンドをサブ制御基板２２０に送信する処理とを行った後（Ｓ５９５）、特別図柄変動開始処理（Ｓ５００）を終了し、更に特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を終了して図１７の遊技制御処理に復帰する。

ここで、変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドは、図１４（ｂ）に示したように、ストローブ信号とともにサブ制御基板２２０に向かって出力される。このストローブ信号は、サブ制御基板２２０に搭載されたＣＰＵ２２０ａの割り込み端子に接続されており、サブ制御基板２２０側のＣＰＵ２２０ａは、ストローブ信号が入力されると直ちに各指定信号を受け取って、指定信号の内容を解析する。詳細な説明は省略するが、変動パターンは、リーチ演出を行うか否か、特別図柄を停止表示させる図柄が大当り図柄であるか否か等の種々の条件を考慮して決定されており、変動パターンが分かれば、特別図柄が変動表示する時間を決定することができる。また、特別図柄停止情報指定コマンドを解析すれば、特別図柄が大当り図柄で停止するのか外れ図柄で停止するのか、更には大当り図柄で停止する場合、その大当り図柄が「通常大当り図柄」、「確変大当り図柄」の何れであるかを知ることができる。

サブ制御基板２２０に搭載されたＣＰＵ２２０ａは、これらの情報に基づいて、演出表示装置２７での演出態様を決定した後、演出表示制御基板２２２に対して演出図柄の表示制御信号を出力し、演出図柄の変動・停止表示等を行う。また、特別図柄の変動時間（変動パターン指定コマンド）に基づいて、演出表示装置２７でいわゆるリーチ演出を行うか否か、更にはどのような種類のリーチ演出とするかも決定する。そして、サブ制御基板２２０は、こうして決定した演出内容に従って、演出表示制御基板２２２や、アンプ基板２２４、装飾駆動基板２２６などを制御することにより、決定した内容の演出を行うことになる。

図１９に戻り、特別図柄が変動中であると判断された場合は（Ｓ３１０；ＹＥＳ）、既に特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて特別図柄の変動表示が開始されていることとなる。

特別図柄が変動中であると判断された場合は（Ｓ３１０；ＹＥＳ）には、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されていることとなる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する（Ｓ３４１）。即ち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は（Ｓ３４１；ＮＯ）、そのまま特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を終了して図１７の遊技制御処理に復帰する。

これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は（Ｓ３４１；ＹＥＳ）、変動している特別図柄を停止させ（Ｓ３４４）、停止図柄を表示するとともに、図柄停止コマンドをサブ制御基板２２０に向かって出力する（Ｓ３４６）。そして、特別図柄を停止表示させる停止表示時間を設定した後（Ｓ３４８）、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する（Ｓ３５０）。

Ｓ３５０の処理で、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判断されれば（Ｓ３５０；ＮＯ）、そのまま特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を終了して、図１７の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は（Ｓ３５０；ＹＥＳ）、停止表示の態様が大当りを示す態様（大当り図柄）か否かを判断する（図２０のＳ３５２）。

図２０のＳ３５２の処理で肯定的な判断がなされると、主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、後述する「大当り遊技」の終了時に参照するためのバッファ（ＲＡＭ２０２の特定領域）に、現在の遊技進行状況を示す情報をセット（記憶）する（Ｓ３５４）。具体的には、「大当りの種類」、「遊技状態フラグの状態」をセット（記憶）する（Ｓ３５４）。ここで、「遊技状態フラグ」とは「遊技機１の遊技状態」を示すフラグ、つまり、「確変フラグ」、「変動短縮フラグ」、「開放延長フラグ」などであり、Ｓ３５４の処理においては、これらのフラグが「ＯＮ」「ＯＦＦ」の何れに設定されているかを示すデータ、つまり、現在の遊技状態（遊技モード）を示すデータがセットされる。

Ｓ３５４の処理に続いて、発生した大当りの態様に応じて大入賞装置３１の開閉パターンをセットする処理を行う（Ｓ３７０）。つまり、「８Ｒ通常大当り」若しくは「８Ｒ確変大当り」が発生した場合には、前述のラウンド遊技を「８ラウンド」行う開閉パターンがセットされ、「１６Ｒ通常大当り」若しくは「１６Ｒ確変大当り」が発生した場合には、前述のラウンド遊技を「１６ラウンド」行う開閉パターンがセットされる。

Ｓ３７０の処理に続いて、大当り遊技フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行う（Ｓ３７８）。この「大当り遊技フラグ」のセットにより、大当り遊技実行手段が作動を開始して遊技機１の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行する。そして、Ｓ３７８の処理に続いてＳ３８０以降の処理に移行する。ここで、Ｓ３７８の処理で「大当り遊技フラグ」がセットされると、遊技機１の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行するが、本遊技機１では、「大当り遊技フラグ」の設定中（大当り遊技実行手段の作動中）は、確変機能、時短機能、開放延長機能は働かないこととしている。このため、Ｓ３８０以降の一連の処理を以下のように行った後、特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を終了する。

つまり、Ｓ３８０の処理において、確変フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し（Ｓ３８０）、セットされていない場合は（Ｓ３８０；ＮＯ）、そのままＳ３８４の処理に移行し、セットされている場合は（Ｓ３８０；ＹＥＳ）、確変フラグを解除（ＯＦＦに設定）した後（Ｓ３８２）、Ｓ３８４の処理に移行する。そして、Ｓ３８４の処理においては、変動短縮フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し、セットされていない場合は（Ｓ３８４；ＮＯ）、そのまま特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を抜けて、図１７の遊技制御処理に復帰する。

一方、Ｓ３８４の処理において、変動短縮フラグがセット（ＯＮに設定）されていると判断される場合は（Ｓ３８４；ＹＥＳ）、変動短縮フラグと開放延長フラグとを解除（ＯＦＦに設定）した後（Ｓ３８６、Ｓ３８７）、特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を抜けて、図１７の遊技制御処理に復帰する。そして、何れの場合においても、図１７の遊技制御処理に復帰すると大当り遊技処理が開始され、大当り遊技が実行される。

なお、大当り遊技を終了するときに、前述の「大当り遊技終了時参照用バッファ（図２０のＳ３５４を参照）」を参照することによって、今回の大当り遊技の前提となった大当り図柄の種類（通常大当り図柄、確変大当り図柄）に関する情報を取得し、この情報に基づいて、大当り遊技終了後の遊技モード等を設定する処理を行う。つまり、当該大当り図柄が「通常大当り図柄」であった場合には、変動短縮カウンタに「１００」をセットする処理と、変動短縮フラグをセットする処理と、開放延長フラグをセットする処理とを行う。これにより、「通常大当り」に係る大当り遊技を終了した後、特別図柄の変動回数が「１００回」になるまで（変動短縮カウンタの値がゼロになるまで）、開放延長機能及び変動時間短縮機能は作動状態となる。但し、次回の大当りを発生すると、開放延長機能及び変動時間短縮機能は作動を停止する。

また、当該大当り図柄が「確変大当り図柄」である場合は、確変フラグをセット（ＯＮに設定）する処理と、変動短縮カウンタに「１０，０００」をセットする処理と、変動短縮フラグをセットする処理と、開放延長フラグをセットする処理とを行う。つまり、「確変大当り」を生ずると、当該大当りに係る大当り遊技終了後に、次回の大当りを発生するまで、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率とされる。また、当該大当りに係る大当り遊技終了後に、特別図柄の変動回数が「１０，０００回」になるまで（変動短縮カウンタの値がゼロになるまで）、開放延長機能及び変動時間短縮機能は作動状態となる。但し、次回の大当りを発生すると、開放延長機能及び変動時間短縮機能は作動を停止する。

次に、図２０のＳ３５２の処理で否定的な判断がなされる場合の処理について説明する。つまり、特別図柄表示部６２ａにおいて停止表示された特別図柄が「外れ図柄」の場合には（Ｓ３５２；ＮＯ）、変動短縮フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かが判断される（Ｓ３９８）。そして、変動短縮フラグがセットされていない（ＯＦＦに設定されている）場合には（Ｓ３９８；ＮＯ）、 そのまま特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を抜けて、図１７の遊技制御処理に復帰する。

一方、変動短縮フラグがセット（ＯＮに設定）されている場合（Ｓ３９８；ＹＥＳ）、つまり、外れ発生時の遊技モードが「低確率短縮変動モード」若しくは「高確率短縮変動モード」である場合には、変動短縮カウンタの値を「−１」した後（Ｓ４００）、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する（Ｓ４０４）。そして、「ゼロ」になっていない場合には（Ｓ４０４；ＮＯ）、 そのまま特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を抜けて、図１７の遊技制御処理に復帰する。ここで、「変動短縮カウンタ」は変動短縮しつつ実行する特別図柄の変動回数の上限回数を示すものであり、その値が「ゼロ」になると次回の特別図柄の変動において短縮変動は行われない。

これに対して、Ｓ４０４の処理で変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合には（Ｓ４０４；ＹＥＳ）、遊技機１の遊技モードが低確率短縮変動モードから低確率通常変動モードに切り換わることになる。このため、変動短縮フラグを解除（ＯＦＦに設定）する処理（Ｓ４１０）と、開放延長フラグを解除（ＯＦＦに設定）する処理（Ｓ４１６）と、モード指定コマンドをサブ制御基板２２０に送信する処理（Ｓ４３０）とを行った後、特別図柄遊技処理（Ｓ３００）を抜けて図１７の遊技制御処理に復帰する。なお、Ｓ４３０の処理では、低確率通常変動モードを指定する「モード指定コマンド」がサブ制御基板２２０に送信される。

（６）演出制御処理（Ｓ９００）
次に、図２４を用いて、サブ制御部２２０Ａ（サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａ）が、演出表示制御部２２２Ａ（演出表示制御基板２２２の図示しないＣＰＵ）と協働して行う「演出制御処理（Ｓ９００）」の概要について説明する。なお、図２４には、演出制御処理を構成する各処理のうちで主要な処理のみを図示している。

この演出制御処理（Ｓ９００）では、遊技機１に電源投入されるか、リセットスイッチが押されると（９１０；ＹＥＳ）、先ず、初期設定理を行う（Ｓ９２０）。この後、電源がＯＦＦになるまでの間、デモ演出処理（Ｓ９８０）、遊技モード設定処理（Ｓ１０００）、図柄変動演出処理（Ｓ１１００）、可動役物制御処理（Ｓ１２００）、停止位置設定処理（Ｓ１５００）、大当り遊技演出処理（Ｓ１８００）などの主要な処理が繰り返し実行される。尚、図２４の一周の処理に要する時間は、ほぼ２ｍｓｅｃとなっているため、これらの処理は約２ｍｓｅｃ毎に実行される。

以下、図２４のフロー図に従って演出制御処理（Ｓ９００）について説明する。但し、図２４のフロー図に示す処理のうち、大当り遊技演出処理についての説明は省略する。また、初期設定処理（Ｓ９２０）は「初期化処理」の具体例を構成する。

ａ．初期設定処理（Ｓ９２０）
初期設定処理（Ｓ９２０）は、電源投入時において演出モード（演出状態）を設定（セット）する処理である。つまり、初期設定処理（Ｓ９２０）では、電源投入の時点における「可動役物７１の現実の回転位置（駆動停止位置）」を実測することによって、今回の電源投入前の電源断時における可動役物の駆動停止位置を特定し、この特定した駆動停止位置に対応する演出状態を、電源投入時の演出状態として設定することを行う。以下、初期設定処理（Ｓ９２０）に関し、図２５を用いて具体的に説明する。

サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、初期設定処理（Ｓ９２０）を起動すると、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ９２５）。具体的には、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知しているか否かを判断する。そして、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知している場合、ＣＰＵ２２０ａは、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であると判断し（Ｓ９２５；ＹＥＳ）、通常演出フラグをセット（ＯＮに設定）する（Ｓ９３０）。これにより、電源投入当初の演出モード（演出状態）が通常演出モードに設定される。この後、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

また、ＣＰＵ２２０ａが、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置でないと判断すると（Ｓ９２５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる復帰処理と、この復帰処理の際にモータ７２に供給するステップパルスの数（ステップ数）を実測する実測処理（計測処理）とを行った後（Ｓ９３５）、Ｓ９４０の処理に移行する。

ここで、「復帰処理」は、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知するまでモータ７２の駆動軸７２ａを「逆転方向」に回転させる処理であり、「実測処理」は、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知するまでの間、モータ７２に供給されたステップパルスの数（ステップ数）をカウントする処理である。そして、ＣＰＵ２２０ａが「復帰処理」および「実測処理」を行うと、「実測処理」で得られたカウント値を基に「電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置」を特定することになる。具体的には、「復帰処理」において、モータ７２の駆動軸７２ａを逆転方向に「ｍ」ステップ分回転させることが必要であった場合には、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置は「第１特別駆動停止位置」となる。また、「復帰処理」において、モータ７２の駆動軸７２ａを逆転方向に「２ｍ」ステップ分回転させることが必要であった場合には、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置は「第２特別駆動停止位置」となる。

Ｓ９４０の処理では、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置が「第１特別駆動停止位置」であるか否かを判断し（Ｓ９４０）、「第１特別駆動停止位置」である場合（Ｓ９４０；ＹＥＳ）、ＣＰＵ２２０ａは、第１特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行う（Ｓ９４５）。これにより、電源投入当初の演出モード（演出状態）が第１特別演出モードに設定される。この後、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

また、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置が「第１特別駆動停止位置」でない場合には（Ｓ９４０；ＮＯ）、当該駆動停止位置が「第２特別駆動停止位置」であるか否かを判断し（Ｓ９５０）、「第２特別駆動停止位置」である場合（Ｓ９５０；ＹＥＳ）、ＣＰＵ２２０ａは、第２特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行う（Ｓ９６０）。これにより、電源投入当初の演出モード（演出状態）が第２特別演出モードに設定される。この後、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。ここで、「Ｓ９２５の処理」および「Ｓ９３５の処理」は、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａが行う「停止位置特定手段」としての処理の具体例を構成し、「Ｓ９３０の処理」、「Ｓ９４５の処理」および「Ｓ９６０の処理」は、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａが行う「演出状態設定手段」としての処理の具体例を構成する。

なお、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置が「基本駆動停止位置」、「第１特別駆動停止位置」および「第２特別駆動停止位置」のうちの何れでもない場合（Ｓ９２５；ＮＯ、Ｓ９４０；ＮＯ、Ｓ９５０；ＮＯ）、ＣＰＵ２２０ａはスピーカＳＰ１〜ＳＰ４や演出表示装置２７の表示画面２７ａ等を用いて、エラー（例えば、モータ７２の脱調）が発生した旨の報知を行った後（Ｓ９６５）、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、例えば、パチンコホールの店員の手作業等によって、エラー状態を解消する作業が行われる。

ｂ．デモ演出処理（Ｓ９８０）
サブ制御基板２２０に搭載されたＣＰＵ２２０ａは、デモ演出処理（Ｓ９８０）を開始すると、図２６に示すように、デモ演出を実行中であるか否かを判断する（Ｓ９８１）。そして、デモ演出を実行中でない場合（Ｓ９８１；ＮＯ）、主制御部２２０Ａからのデモ演出コマンドを受信したか否かを判断する（Ｓ９８２）。そして、デモ演出コマンドを受信した場合は（Ｓ９８２；ＹＥＳ）、演出表示装置２７の表示画面２７ａ等において、デモ演出（デモンストレーション表示）を開始する処理（Ｓ９８５）と、デモ演出タイマをセットする処理（Ｓ９８６）とを行った後、デモ演出処理（Ｓ９８０）を終了する。ここで、デモ演出タイマは、デモ演出の実行時間を計測するためのタイマであり、デモ演出を開始する度にセットされる。

一方、Ｓ９８１の処理でデモ演出を実行中であると判断した場合には（Ｓ９８１；ＹＥＳ）、主制御部２００Ａからのデモ演出停止コマンドを受信したか否かを判断する（Ｓ９８７）。そして、デモ演出停止コマンドを受信していない場合は（Ｓ９８７；ＮＯ）、デモ演出処理（Ｓ９８０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。これに対して、デモ演出停止コマンドを受信した判断すると（Ｓ９８７；ＹＥＳ）、デモ演出を終了する処理と、デモ演出タイマを初期化（停止）する処理（Ｓ９８８）とを行った後、デモ演出処理（Ｓ９８０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

ｃ．演出モード設定処理（Ｓ１０００）
演出モード設定処理（Ｓ１０００）においては、図２７に示すように、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは図柄変動開始時のコマンドを受信すると（Ｓ１００５；ＹＥＳ）、Ｓ１０１０以降の処理を実行する。ここで、Ｓ１００５の処理で受信するコマンドは、変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドである。また、ＣＰＵ２２０ａは、受信した特別図柄停止情報指定コマンドに基づき、主制御部２００Ａにおいて実行された当否判定（Ｓ３２０）の結果を判断することができ、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンを特定することができる。

サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンが第１特別変動パターンであると判断すると（Ｓ１０１０；ＹＥＳ）、第１特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）するとともに、既にセットされていた演出フラグ（通常演出フラグ若しくは第２特別演出フラグ）を解除（ＯＦＦに設定）する処理を行う（Ｓ１０１５）。これにより、以後の演出モード（演出状態）が第１特別演出モードに設定される。この後、第１特別演出カウンタに「５００」をセットする処理を行い（Ｓ１０２０）、演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

ここで、Ｓ１０１５の処理を行う時点で第２特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されていた場合、Ｓ１０２０の処理においては第２特別演出カウンタに「０」をセットする処理（第２特別演出カウンタの初期化処理）も行う。また、第１特別演出カウンタの値は、演出モード（演出状態）を第１特別演出モードに設定した後において実行される図柄変動演出の累積回数を示すものである。つまり、第１特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する毎に、第１特別演出モードでの図柄変動演出が「５００回」を限度に繰り返される。

また、ＣＰＵ２２０ａは、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンが第２特別変動パターンであると判断すると（Ｓ１０１０；ＮＯ、Ｓ１０３０；ＹＥＳ）、第２特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）するとともに、既にセットされていた演出フラグ（通常演出フラグ若しくは第１特別演出フラグ）を解除（ＯＦＦに設定）する処理を行う（Ｓ１０３５）。これにより、以後の演出モード（演出状態）が第２特別演出モードに設定される。この後、第２特別演出カウンタに「５００」をセットする処理を行い（Ｓ１０４０）、演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

ここで、Ｓ１０３５の処理を行う時点で第１特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されていた場合、Ｓ１０４０の処理においては第１特別演出カウンタに「０」をセットする処理（第１特別演出カウンタの初期化処理）も行う。なお、第２特別演出カウンタの値は、演出モード（演出状態）を第２特別演出モードに設定した後において実行される図柄変動演出の累積回数を示すものである。つまり、第２特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する毎に、第２特別演出モードでの図柄変動演出が「５００回」を限度に繰り返される。

更に、ＣＰＵ２２０ａは、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンが、第１特別変動パターンまたは第２特別変動パターンの何れでもないと判断すると（Ｓ１０１０；ＮＯ、Ｓ１０３０；ＮＯ）、第１特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断する（Ｓ１０４５）。つまり、第１特別演出モードを実行中であるか否かを判断し（Ｓ１０４５）、実行中である場合には（Ｓ１０４５；ＹＥＳ）、第１特別演出カウンタの値を「−１」する処理を行った後（Ｓ１０５０）、第１特別演出カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する（Ｓ１０５５）。

Ｓ１０５５の処理で第１特別演出カウンタの値が「ゼロ」になっていないと判断される場合には（Ｓ１０５５；ＮＯ）、そのまま演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、第１特別演出モードが更に継続されることとなる。一方、Ｓ１０５５の処理で第１特別演出カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合には（Ｓ１０５５；ＹＥＳ）、第１特別演出フラグを解除（ＯＦＦに設定）するとともに、通常演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行った後（Ｓ１０６０）、演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、遊技機１の演出モード（演出状態）が、第１特別演出モードから通常演出モードに切り換えられることとなる。

ＣＰＵ２２０ａは、Ｓ１０４５の処理で第１特別演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断すると（Ｓ１０４５；ＮＯ）、図２８に示すように、第２特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断する（Ｓ１０７０）。つまり、第２特別演出モードを実行中であるか否かを判断し（Ｓ１０７０）、実行中である場合には（Ｓ１０７０；ＹＥＳ）、第２特別演出カウンタの値を「−１」する処理を行った後（Ｓ１０７５）、第２特別演出カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する（Ｓ１０８０）。

Ｓ１０８０の処理で第２特別演出カウンタの値が「ゼロ」になっていないと判断される場合には（Ｓ１０８０；ＮＯ）、そのまま演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、第２特別演出モードが更に継続されることとなる。一方、Ｓ１０８０の処理で第２特別演出カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合には（Ｓ１０８０；ＹＥＳ）、第２特別演出フラグを解除（ＯＦＦに設定）するとともに、通常演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行った後（Ｓ１０８５）、演出モード設定処理（Ｓ１０００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、遊技機１の演出モード（演出状態）が、第２特別演出モードから通常演出モードに切り換えられることとなる。

ＣＰＵ２２０ａは、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンが、第１特別変動パターンまたは第２特別変動パターンの何れでもなく、しかも第１特別演出フラグおよび第２特別演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断する場合には（Ｓ１０１０；ＮＯ、Ｓ１０３０；ＮＯ、Ｓ１０４５；ＮＯ、Ｓ１０７０；ＮＯ）には、演出モード設定処理（Ｓ１０００）をそのまま終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。この場合、遊技機１の演出モード（演出状態）が通常演出モードに維持されることとなる。

ここで、前述の初期設定処理（Ｓ９２０）においても、演出モード（演出状態）を示す情報（通常演出フラグ、第１特別演出フラグ、第２特別演出フラグ）はＲＡＭ２２０ｂの所定領域に記憶される（図２５のＳ９３０、Ｓ９４５、Ｓ９６０の処理を参照）。また、遊技中に実行される演出モード設定処理（Ｓ１０００）おいても、演出モード（演出状態）が切り換わると、この演出モード（演出状態）を示す情報が更新（変更）され、ＲＡＭ２２０ｂの所定領域に記憶される（図２７のＳ１０１５、Ｓ１０３５、Ｓ１０６０、図２８のＳ１０８５の処理）。但し、本遊技機１は、電源断時においてサブ制御基板２２０に電源を供給するためのバックアップ電源を備えないため、これらの情報は、電源断を生ずると消去される。

ｄ．図柄変動演出処理（Ｓ１１００）
図柄変動演出処理（Ｓ１１００）においては、図２９に示すように、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａが、図柄変動開始時のコマンドを受信すると（Ｓ１１０５；ＹＥＳ）、Ｓ１１１０以降の処理が実行される。

ＣＰＵ２２０ａは、受信した「特別図柄停止情報指定コマンド」に基づき、主制御部２００Ａにおいて実行された当否判定（Ｓ３２０）の結果を判断することができる。そして、当否判定の結果が大当りである場合には（Ｓ１１１０；ＹＥＳ）、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、大当り時の演出パターンテーブルを振り分ける処理を行う（Ｓ１１１５）。また、当否判定の結果が外れである場合には（Ｓ１１１０；ＮＯ）、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、外れ時の演出パターンテーブルを振り分ける処理を行う（Ｓ１１２０）。

サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、Ｓ１１１５若しくはＳ１１２０の処理を終了すると、Ｓ１１４０の処理を行う。このＳ１１４０の処理では、Ｓ１１１５若しくはＳ１１２０の処理でセットされた演出パターンテーブル（大当り時用若しくは外れ時用）を用いて乱数抽選を行い、図柄変動演出の演出パターンを決定する（Ｓ１１４０）。ここで、Ｓ１１１５の処理を経たＳ１１４０の処理では、Ｓ１１１５の処理でセットした演出パターンテーブルを用いて、表示画面２７ａで実行される表示演出の具体的な実行態様やリーチ表示の具体的な態様等、演出図柄の変動表示の開始から終了（確定表示）までの表示パターンが決定される（Ｓ１１４０）。また、Ｓ１１２０の処理を経て実行されるＳ１１４０の処理では、演出表示装置２７の表示画面２７ａで実行される表示演出の具体的な実行態様、リーチ表示の実行有無、リーチ表示を実行する場合のリーチ表示態様等、演出図柄の変動表示の開始から終了（確定表示）までの表示パターンを決定する処理を行う。このＳ１１４０の処理で決定される図柄変動演出の演出パターンは、当該図柄変動演出が行われるとき（演出パターン決定時）の演出状態（演出モード）に対応するものとなる。これにより、後述のＳ１１５０の処理で開始する図柄変動演出は、そのときの演出状態（演出モード）に応じた内容となる。

ＣＰＵ２２０ａはＳ１１４０の処理を行うと、演出図柄の停止図柄（確定表示する図柄）をセットする処理を行った後（Ｓ１１４５）、Ｓ１１５０の処理に移行する。ここで、Ｓ１１１５の処理およびＳ１１４０の処理を経て実行されるＳ１１４５の処理では、「大当り停止図柄」として「大当りを確定表示する演出図柄」の具体的な態様等が選択・セットされ、Ｓ１１２０の処理およびＳ１１４０の処理を経て実行されるＳ１１４５の処理では、「外れ停止図柄」として「外れを確定表示する演出図柄」の具体的な態様等が選択・セットされる。

Ｓ１１５０の処理では、Ｓ１１４０の処理で決定した「演出パターン」およびＳ１１４５の処理で決定した「演出図柄の停止図柄」を指定するコマンド（演出表示詳細コマンド）を演出表示制御部２２２Ａ（演出表示制御基板２２２）に送信し、演出表示装置２７において、演出図柄の変動表示を開始させる（Ｓ１１５０）。つまり、演出表示装置２７の表示画面２７ａにおける図柄変動演出を開始させる。

次に、Ｓ１１６０の処理において、ＣＰＵ２２０ａは、主制御部２００Ａ（主制御基板２００）から送信される図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する。その結果、図柄停止コマンドを受信した判断すると（Ｓ１１６０；ＹＥＳ）、演出表示装置２７における演出図柄と背景図柄の演出表示を停止させるためのコマンドを演出表示制御部２２２Ａに送信し、図柄変動演出を終了させる（Ｓ１１６５）。

ｅ．可動役物制御処理（Ｓ１２００）
可動役物制御処理（Ｓ１２００）は、可動役物装置７０の駆動を制御するための処理であり、図３０に示すフローチャートに従って実行される。この可動役物制御処理（Ｓ１２００）においては、図柄変動開始時のコマンドを受信すると（Ｓ１２０５；ＹＥＳ）、Ｓ１２１０以降の処理が実行される。このＳ１２１０の処理において、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、今回の図柄変動遊技（図柄変動演出）を開始する際に選択された変動パターンが特定変動パターンであるか否かを判断する（Ｓ１２１０）。

そして、特定変動パターンである場合には（Ｓ１２１０；ＹＥＳ）、可動役物装置７０の駆動開始タイミングを待って（Ｓ１２１５；ＹＥＳ）、可動役物装置７０を駆動する（Ｓ１２２０）。このＳ１２２０の処理は、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に回転させ、可動役物７１の回転位置を駆動限度位置とした後、可動役物装置７０の作動終了タイミングとなると、モータ７２の駆動軸７２ａを逆転方向に回転させ、可動役物７１の回転位置（駆動停止位置）を基本駆動停止位置に戻すことを内容とする処理である。

Ｓ１２２０の処理の後、駆動停止タイマをセットする処理（タイマ計測を開始する処理）を行い（Ｓ１２２５）、可動役物制御処理（Ｓ１２００）を終了する。ここで、駆動停止タイマは、可動役物装置７０が駆動を停止している時間を計測するためのタイマであり、本遊技機１に対して電源投入がなされたときにセットされる。この後、可動役物装置７０が駆動し、この駆動が停止する度に駆動停止タイマはセットされ、「可動役物装置７０が駆動を停止している時間」の計測を改めて開始する。なお、この駆動停止タイマによる駆動停止時間の計測は、パチンコホールの閉店間際（例えば、２２時）に限定して行うこととしてもよい。

ｆ．停止位置設定処理（Ｓ１５００）
停止位置設定処理（Ｓ１５００）においては、図３１に示すように、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａが、可動役物装置７０の駆動停止時間が所定時間（Ｔ時間。例えば、１時間）を超えたと判断すると（Ｓ１５０５；ＹＥＳ）、Ｓ１５０８以降の処理が実行される。ここで、可動役物装置７０の駆動停止時間は、前述の駆動停止タイマを参照して特定することができる（図３０のＳ１２２５の処理を参照）。

Ｓ１５０８の処理では、ＣＰＵ２２０ａは駆動停止タイマをリセット（初期化）する処理を行う（Ｓ１５０８）。この後、通常演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し（Ｓ１５１０）、セット（ＯＮに設定）されている場合には（Ｓ１５１０；ＹＥＳ）、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５１５）。このＳ１５１５の処理では、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知している場合に、ＣＰＵ２２０ａは可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であると判断する。

そして、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５１５；ＹＥＳ）、そのまま停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。これに対して、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっていない場合には（Ｓ１５１５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置とした後（Ｓ１５２０）、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

また、Ｓ１５１０の処理で通常演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断すると（Ｓ１５１０；ＮＯ）、第１特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し（Ｓ１５３０）、セット（ＯＮに設定）されている場合には（Ｓ１５３０；ＹＥＳ）、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５３５）。そして、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５３５；ＹＥＳ）、そのままＳ１５４５の処理に移行し、基本駆動停止位置となっていない場合には（Ｓ１５３５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる処理を行った後（Ｓ１５４０）、Ｓ１５４５の処理に移行する。

Ｓ１５４５の処理では、可動役物７１の駆動停止位置を第１特別駆動停止位置とする処理を行う。具体的には、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に「ｍステップ分（例えば、２ステップ分）」回転させることで、可動役物７１の駆動停止位置が第１特別駆動停止位置とされる。そして、ＣＰＵ２２０ａは、Ｓ１５４５の処理を行うと、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

また、ＣＰＵ２２０ａは、通常演出フラグおよび第１特別演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断すると（Ｓ１５１０；ＮＯ、Ｓ１５３０；ＮＯ）、Ｓ１５５５の処理に移行する。つまり、第２特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されている場合には（Ｓ１５１０；ＮＯ、Ｓ１５３０；ＮＯ）、Ｓ１５５５の処理において、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５５５）。そして、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５５５；ＹＥＳ）、そのままＳ１５７０の処理に移行し、基本駆動停止位置となっていない場合には（Ｓ１５５５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる処理を行った後（Ｓ１５４０）、Ｓ１５７０の処理に移行する。

Ｓ１５７０の処理では、可動役物７１の駆動停止位置を第２特別駆動停止位置とする処理を行う。具体的には、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に「２ｍステップ分（例えば、４ステップ分）」回転させることで、可動役物７１の駆動停止位置が第２特別駆動停止位置とされる。そして、ＣＰＵ２２０ａは、Ｓ１５７０の処理を行うと、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

（７）実施例の効果
本遊技機１では、可動役物７１の駆動停止位置として、複数の演出状態の各々に対応するものを予め設ける。そして、遊技機１への電源投入が行われたときの「現実の可動役物７１の駆動停止位置」を実測することによって、当該電源投入が行われる前の電源断時における可動役物７１の駆動停止位置を特定し、この特定した駆動停止位置に対応する演出状態を「電源投入時の演出状態」として設定する。

よって、本遊技機１によると、遊技上の演出を制御するための制御部（サブ制御基板２２０）に対して、バックアップ機能を設けることが必要とされないため、サブ制御部２２０Ａ（サブ制御基板２２０）に搭載されるハードウェアーの構成を簡素化することができる。また、本発明によれば、遊技上の演出を制御するための制御部（サブ制御基板２２０）にバックアップ機能を設けない状況下においても、複数の同一機種間で電源投入時（パチンコホール営業開始時）の演出状態にバラツキを生じさせることも可能となる。つまり、同一機種間においても、「通常演出モードで遊技を開始する遊技機１」、「第１特別演出モードで遊技を開始する遊技機１」および「第２特別演出モードで遊技を開始する遊技機１」などを存在させることが可能となるため、パチンコホール営業開始時に来店する遊技者に対して、遊技の対象とする遊技機選択の新たな指標（例えば、来店時に好きな演出を実行している遊技機を選択する等）を与えたり、パチンコホール営業開始時を華やか状態とする（多様な演出の実行に伴い華やか状態とする）ことができる。

また、本遊技機１では、電源断時における可動役物７１の駆動停止位置を、初期化処理（図２５の初期設定処理におけるＳ９３５の処理）に基づく可動役物７１の移動量を用いて確実に特定することができる。更に、演出状態が変更される度に可動役物７１の駆動停止位置を変更するのではなく、可動役物７１の駆動停止状態が所定期間継続されることを条件に可動役物７１の駆動停止位置を変更する。つまり、遊技者が普通に遊技を行っているときなど電源断の発生可能性が低い状況下では、可動役物７１の駆動停止位置を変更することは行わず、可動役物７１の駆動停止状態が所定期間継続され、電源断の発生可能性が高い状況下となった場合に、可動役物７１の駆動停止位置を変更することを行う。これにより、「可動役物７１の駆動停止位置を変更する処理」が頻繁に生じ、制御が煩雑となることを回避できる。

次に、実施例２の遊技機について説明する。この実施例２の遊技機は、図１４（ａ）の代わりに図３２（ａ）を用いる点と、図３１の代わりに図３３を用いる点とが実施例１の遊技機と異なる。以下、実施例２の遊技機について、実施例１の遊技機との相違点を中心に説明する。

図３２（ａ）に示すように、実施例２の遊技機を構成するサブ制御基板２２０には「計時手段２２０ｄ」が搭載されている。この計時手段２２０ｄは、現在の日時を特定するためのものであり、実施例の遊技機に電源投入を行うとき、その時点の日時がセットされ、遊技機１への電源供給中は当該供給される電源により動作する。そして、この計時手段２２０ｄは、日時に関する情報を出力可能である。

なお、図３２（ｂ）の変形例１に示すように、サブ制御基板２２０に搭載される「計時手段」として「リアルタイムクロック（ＲＴＣ）２２０ｅ」を用いてもよい。この場合、リアルタイムクロック（ＲＴＣ）２２０ｅの駆動電源として「電池」を用いてもよい。また、このリアルタイムクロック（ＲＴＣ）２２０ｅが、遊技機１への電源供給中は当該供給される電源により動作し、電源供給がない状態ではバックアップ電源により動作するものとしてもよい。

実施例２の停止位置設定処理（Ｓ１５００）においては、図３３に示すように、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａが、「現在の時刻が２２時以降で、かつデモ演出開始後１５分を経過した状態」であるか否かを判断する（Ｓ１５０２）。ここで、「現在の時刻が２２時以降であるか否かの判断」は、「計時手段２２０ｄ」から「現在の日時を特定するための情報」を取得することによって行うことができる。なお、デモ演出の実行時間は、前述のデモ演出タイマ（デモ演出の開始時にセットされるにタイマであって、図２６のＳ９８６の処理を参照）を参照することによって特定することができる。

実施例２の停止位置設定処理（Ｓ１５００）では、Ｓ１５０２の処理を終了すると、Ｓ１５１０以降の処理に移行する。そして、Ｓ１５１０以降の処理に関しては、実施例１の停止位置設定処理（Ｓ１５００、図３１を参照）と同様であるため、説明を省略する。

実施例２の遊技機では、実施例１に示す効果に加えて以下の効果を得ることができる。つまり、「計時手段２２０ｄ」による計時結果に基づき特定される時刻がパチンコホールの閉店時（電源断を確実に行う時刻）に近くなり、しかも、遊技がなされていない時間が継続された状況下において、可動役物７１の駆動停止位置を変更する処理を行う。従って、「可動役物７１の駆動停止位置を変更する処理」が頻繁に生じ、制御が煩雑となることをより確実に回避できる。

また、実施例２の変形例として、上述のＳ１５０２の処理において「現在の時刻がパチンコホールの終業時間間際（例えば、２分前）になったか否かを判断する」もの、「遊技球が発射されていない時間が所定時間（例えば、３０分）継続したか否かを判断する」もの、「前回の駆動停止位置の設定から所定時間（例えば、３時間）が経過したか否かを判断する」もの等を例示できる。更に、「遊技機１に設けられた所定のスイッチ（例えば、終業時若しくは終業間際にパチンコホールの店員が操作するスイッチ）が操作されたか否かを判断する」もの、「遊技機１に設けられた所定の信号（例えば、終業時若しくは終業間際にパチンコホールのホールコンピュータから送信される信号）を当該遊技機１が受信したか否かを判断する」もの等も例示できる。

次に、実施例３の遊技機について説明する。この実施例３の遊技機は、図８の代わりに図３４を用いる点と、図３５が付加されている点と、図２５の代わりに図３６を用いる点とが実施例１の遊技機と異なる。以下、実施例３の遊技機について、実施例１の遊技機との相違点を中心に説明する。

実施例３の被検知体７７も、図３４（ａ）に示すように、略円板形状に構成されるとともに中心部に軸受部７１ｂが挿入される挿入孔７７ｈを備える。また、被検知体７７は、第１被検知孔７７ａおよび第２被検知孔７７ｂの他に、第３被検知孔７７ｃおよび第４被検知孔７７ｄを、被検知体７７の前後を貫通する状態に備える。これら第１被検知孔７７ａ、第３被検知孔７７ｃ、第４被検知孔７７ｄおよび第２被検知孔７７ｂは、それぞれ被検知体７７の中心部（回転中心）Ｐからの半径方向の距離が異なっている。

また、第１被検知孔７７ａ、第３被検知孔７７ｃ、第４被検知孔７７ｄおよび第２被検知孔７７ｂの形成位置は、それぞれ中心部（回転中心）Ｐ回りに所定角度だけ「位置ずれ」を生じている。つまり、図３４（ａ）に示すように、被検知体７７を正面から観察すると、第３被検知孔７７ｃの形成位置は、第１被検知孔７７ａの形成位置を基準として反時計回りに所定の角度だけ「ずれた状態」とされ、第４被検知孔７７ｄは、第３被検知孔７７ｃの形成位置を基準として反時計回りに所定の角度だけ「ずれた状態」とされている。更に、第２被検知孔７７ｂの形成位置は、第４被検知孔７７ｄの形成位置を基準として反時計回りに所定の角度だけ「ずれた状態」とされている。

また、被検知体７７の近傍には、「可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置にあるときに第１被検知孔７７ａを検知する第１センサＳ１」と、可動役物７１の回転位置が駆動限度位置にあるときに第２被検知孔７７ｂを検知する第２センサＳ２」の他に、「可動役物７１の駆動停止位置が第１特別駆動停止位置にあるときに第３被検知孔７７ｃを検知する第３センサＳ３」および「可動役物７１の駆動停止位置が第２特別駆動停止位置にあるときに第４被検知孔７７ｄを検知する第４センサＳ４」が配置されている。これらのセンサＳ１〜Ｓ４は、何れも透過型のフォトセンサ（フォトインタラプタ）であり、装飾駆動基板２２６を介してサブ制御基板２２０に接続されている。

また、図３４（ｂ）に示すように、何れのセンサＳ１〜Ｓ４も、発光部（例えば、ＬＥＤで構成される発光素子）Ｓ１１，Ｓ２１，Ｓ３１，Ｓ４１と、受光部（例えば、フォトトランジスタで構成される受光素子）Ｓ１２，Ｓ２２，Ｓ３２，Ｓ４２とを、被検知体７７を挟んで対向配置した構成を備える。そして、これらのセンサＳ１〜Ｓ４では、発光部Ｓ１１，Ｓ２１，Ｓ３１，Ｓ４１と受光部Ｓ１２，Ｓ２２，Ｓ３２，Ｓ４２との間に対応する被検知孔７７ａ，７７ｃ，７７ｄ，７７ｂが到達し、発光部から照射される光を対応する受光部が受光すると、ＣＰＵ２２０ａは対象となる被検知孔７７ａ，７７ｃ，７７ｄ，７７ｂを検知したと判断する。

具体的には、図３５（ａ）〜（ｄ）に示すように、可動役物７１の傾動に伴って被検知体７７が回転することで、被検知孔７７ａ，７７ｃ，７７ｄ，７７ｂの回転位置が変更される。そして、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置にあるときは第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知し、可動役物７１の駆動停止位置が駆動限度位置にあるときは第２センサＳ２が第２被検知孔７７ｂを検知する。また、可動役物７１の駆動停止位置が第１特別駆動停止位置にあるときは第３センサＳ３が第３被検知孔７７ｃを検知し、可動役物７１の駆動停止位置が第２特別駆動停止位置にあるときは第４センサＳ４が第４被検知孔７７ｄを検知する。

次に、実施例３の初期設定処理（Ｓ９２０）について図３６を用いて説明する。なお、実施例３の初期設定処理（Ｓ９２０）の説明において、実施例１の初期設定処理（Ｓ９２０、図２５参照）と同様の処理に関しては、同一のステップ数を付して説明を省略するか、説明の内容を簡略化する。

実施例３の初期設定処理（Ｓ９２０）においても、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２０ａは、先ず、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断し（Ｓ９２５）、肯定的な判断結果を得ると（Ｓ９２５；ＹＥＳ）、Ｓ９３０の処理を実行し、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了する。

これに対して、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置でないと判断すると（Ｓ９２５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置が「第１特別駆動停止位置」であるか否かを判断する（Ｓ９４０）。つまり、実施例３の初期設定処理（Ｓ９２０）においては、Ｓ９２５の否定的な判断結果を得た場合に、「復帰処理」および「実測処理（計測処理）」を行うことなく、Ｓ９４０の処理を行う。そして、実施例３の「Ｓ９４０の処理」においては、第３センサＳ３が第３被検知孔７７ｃを検知しているか否かを判断することを通じて、可動役物７１の駆動停止位置が「第１特別駆動停止位置」であるか否かを判断する（Ｓ９４０）

そして、「第１特別駆動停止位置」である場合（Ｓ９４０；ＹＥＳ）、ＣＰＵ２２０ａは、第１特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行った後（Ｓ９４５）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる復帰処理を行う（Ｓ９４７）。そして、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

また、電源投入時における可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置でなく、しかも第１特別駆動停止位置でないと判断すると（Ｓ９２５；ＮＯ、Ｓ９４０；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置が「第２特別駆動停止位置」であるか否かを判断する（Ｓ９５０）。つまり、実施例３の初期設定処理（Ｓ９２０）においては、Ｓ９４０の否定的な判断結果を得た場合も、「復帰処理」および「実測処理（計測処理）」を行うことなく、Ｓ９５０の処理を行う。そして、実施例３の「Ｓ９５０の処理」においては、第４センサＳ４が第４被検知孔７７ｄを検知しているか否かを判断することを通じて、可動役物７１の駆動停止位置が「第２特別駆動停止位置」であるか否かを判断する（Ｓ９５０）

そして、「第２特別駆動停止位置」である場合（Ｓ９５０；ＹＥＳ）、ＣＰＵ２２０ａは、第２特別演出フラグをセット（ＯＮに設定）する処理を行った後（Ｓ９６０）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる復帰処理を行う（Ｓ９６２）。そして、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

なお、電源投入時（電源投入前の電源断時）における可動役物７１の駆動停止位置が「基本駆動停止位置」、「第１特別駆動停止位置」および「第２特別駆動停止位置」のうちの何れでもない場合（Ｓ９２５；ＮＯ、Ｓ９４０；ＮＯ、Ｓ９５０；ＮＯ）、ＣＰＵ２２０ａはエラーが発生した旨の報知を行った後（Ｓ９６５）、初期設定処理（Ｓ９２０）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。つまり、第１センサＳ１、第３センサＳ３および第４センサＳ４が、何れも対象とする被検知孔７７ａ，７７ｃ，７７ｄを検知していない場合には（Ｓ９２５；ＮＯ、Ｓ９４０；ＮＯ、Ｓ９５０；ＮＯ）、ＣＰＵ２２０ａはエラーが発生した旨の報知を行う（Ｓ９６５）。

次に、図３７を用いて、実施例３の停止位置設定処理（Ｓ１５００）について説明する。なお、実施例３の停止位置設定処理（Ｓ１５００）の説明において、実施例１の停止位置設定処理（Ｓ１５００、図３１を参照）と同様の処理に関しては、同一のステップ数を付して説明を省略するか、説明の内容を簡略化する。

実施例３の停止位置設定処理（Ｓ１５００）においても、図３７に示すように、Ｓ１５０５の肯定的な判断結果を経て（Ｓ１５０５；ＹＥＳ）、Ｓ１５０８の処理を行うと、通常演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し（Ｓ１５１０）、セット（ＯＮに設定）されている場合には（Ｓ１５１０；ＹＥＳ）、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５１５）。ここで、第１センサＳ１が第１被検知孔７７ａを検知している場合、ＣＰＵ２２０ａは可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置であると判断する。そして、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５１５；ＹＥＳ）、そのまま停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。これに対して、可動役物７１の駆動停止位置が基本駆動停止位置となっていない場合には（Ｓ１５１５；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置とした後（Ｓ１５２０）、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了して、図２４の演出制御処理（Ｓ９００）に復帰する。

Ｓ１５１０の処理で通常演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断すると（Ｓ１５１０；ＮＯ）、第１特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されているか否かを判断し（Ｓ１５３０）、セット（ＯＮに設定）されている場合には（Ｓ１５３０；ＹＥＳ）、可動役物７１の駆動停止位置が第１特別駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５３２）。具体的には、第３センサＳ３が第３被検知孔７７ｃを検知しているか否かを判断する（Ｓ１５３２）。

そして、可動役物７１の駆動停止位置が第１特別駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５３２；ＹＥＳ）、そのまま停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了し、第１特別駆動停止位置になっていない場合には（Ｓ１５３２；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を第１特別駆動停止位置とする処理を行った後（Ｓ１５４５）、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了する。ここで、Ｓ１５４５の処理は、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に所定ステップ分回転させる処理であり、第３センサＳ３が第３被検知孔７７ｃを検知したときに完了する。

また、ＣＰＵ２２０ａは、通常演出フラグおよび第１特別演出フラグが解除（ＯＦＦに設定）されていると判断すると（Ｓ１５１０；ＮＯ、Ｓ１５３０；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置が第２特別駆動停止位置であるか否かを判断する（Ｓ１５５０）。具体的には、第４センサＳ４が第４被検知孔７７ｄを検知しているか否かを判断する（Ｓ１５５０）。

そして、可動役物７１の駆動停止位置が第２特別駆動停止位置となっている場合には（Ｓ１５５０；ＹＥＳ）、そのまま停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了し、第２特別駆動停止位置になっていない場合には（Ｓ１５５０；ＮＯ）、可動役物７１の駆動停止位置を第２特別駆動停止位置とする処理を行った後（Ｓ１５７０）、停止位置設定処理（Ｓ１５００）を終了する。ここで、Ｓ１５７０の処理は、モータ７２の駆動軸７２ａを正転方向に所定ステップ分回転させる処理であり、第４センサＳ４が第４被検知孔７７ｄを検知したときに完了する。

実施例３によると、実施例１の効果に加えて以下の効果を得ることができる。つまり、実施例３では、可動役物７１が第１特別駆動停止位置にあることを検知するためのセンサＳ３と、第３特別駆動停止位置にあることを検知するためのセンサＳ４とを備えるため、図３６の初期設定処理（Ｓ９２０）や図３７の停止位置設定処理（Ｓ１５００）において、可動役物７１の駆動停止位置を基本駆動停止位置に復帰させる処理（図２５のＳ９３５の処理、図３１のＳ１５４０およびＳ５６０の処理）を省略できる。つまり、電源投入に伴う初期化処理で、可動役物７１を初期位置としたり、その際の駆動量を基に電源断時の駆動停止位置を特定したりすることが必要とされないため、遊技機が行う制御の簡略化を図ることができる。

以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限り、特許請求の範囲において本発明を特定するための記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。

すなわち、各実施例では、可動役物７１の駆動停止位置が何れであっても（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）、可動役物７１が遊技者から視認不能な態様を例示した。具体的には、可動役物７１が基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置若しくは第２特別駆動停止位置に停止している場合には、可動役物７１の全体が遊技盤本体１０Ａの背後に隠蔽され、遊技者が可動役物７１の駆動停止位置が何れであるかを判別不可能（視認不可能）となっている。但し、図３８および図３９に示す変形例２のように、可動役物９１Ｌ、９１Ｒの駆動停止位置が視認可能な態様に対しても、本発明を適用可能である。

変形例２の可動役物装置７０は、左可動役物９１Ｌと、右可動役物９１Ｒと、上部レール９２と、下部レール部材９３と、左モータ９５Ｌと、右モータ９５Ｒとを備える。また、上部レール９２および下部レール部材９３は左右方向に長尺に構成されるとともに、遊技盤本体１０Ａの背後であって、表示窓２１ｅの上方および下方にそれぞれ配置されている。更に、左可動役物９１Ｌおよび右可動役物９１Ｒは「扉」をあしらった装飾体であり、表示窓２１ｅの後方において上部レール９２および下部レール９３に支持されつつ左右に動作可能とされている。

左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの上端部には、上車輪部９１ｂが回転可能な状態に軸支されるとともに、下端部の左右方向に沿った２カ所には、略プーリー形状の下車輪部９１ｃ、９１ｄが回転可能な状態に軸支されている。なお、上車輪部９１ｂおよび下車輪部９１ｃ、９１ｄは、何れも回転軸心を前後に向けるとともに略プーリー形状を備え、外周部に周回溝を備える。そして、左可動役物９１Ｌおよび右可動役物９１Ｒは、上車輪部９１ｂの周回溝に上部レール９２をはめ込み、下車輪部９１ｃ、９１ｄの周回溝に下部レール９３をはめ込むことで、上部レール９２および下部レール９３にガイドされつつ左右に動作可能（移動可能）とされている。

図３９に示すように、左可動役物９１Ｌの前面部と、右可動役物９１Ｒの前面部には、それぞれ、ラック９１ｒが設けられている。これらのラック９１ｒは、左右に長尺とされつつ多数の歯を左右方向に連続配置した構成を備える。そして、左モータ９５Ｌの駆動軸９５ａ装着されたギア（ピニオンギア）９５ｂが、左可動役物９１Ｌの前面部のラック９１ｒに噛合し、右モータ９５Ｒの駆動軸９５ａ装着されたギア（ピニオンギア）９５ｃが、右可動役物９１Ｒの前面部のラック９１ｒに噛合している。また、左モータ９５Ｌおよび右モータ９５Ｒとしてステッピングモータを使用しており、これらのモータ９５Ｌ、９５Ｒは装飾駆動基板２２６を介してサブ制御基板２２０に接続されている。そして、その回転動作（回動動作）と停止動作は、サブ制御基板２２０から出力される制御信号を用いて制御される。

変形例２の遊技機においても、可動役物装置７０の駆動制御が図３０に示すフローチャートに従って実行される。つまり、この変形例２に可動役物制御処理（Ｓ１２００）においても、Ｓ１２０５の処理およびＳ１２１０の処理で肯定的な判断結果を得ると（Ｓ１２００；ＹＥＳ、Ｓ１２１０；ＹＥＳ）、可動役物装置７０の駆動開始タイミングを待って（Ｓ１２１５；ＹＥＳ）、可動役物装置７０を駆動する（Ｓ１２２０）。

このＳ１２２０の処理は、左モータ９５Ｌの駆動軸７２ａを反時計回転方向に回転させ、右モータ９５Ｒの駆動軸７２ａを時計回転方向に回転させることで、左可動役物７１Ｌの右端部と、右可動役物７１Ｒの左端部の間隔を狭くした後、可動役物装置７０の作動終了タイミングとなると、左モータ９５Ｌの駆動軸７２ａを時計回転方向に回転させ、右モータ９５Ｒの駆動軸７２ａを反時計回転方向に回転させることで、左可動役物７１Ｌの右端部と、右可動役物７１Ｒの左端部の間隔を元に戻すことを内容とする処理である。そして、変形例２の遊技機においても、Ｓ１２２５の処理を行った後、可動役物制御処理（Ｓ１２００）を終了する。

変形例２の遊技機１においては、可動役物装置７０が駆動を停止しているとき、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの停止位置は基本駆動停止位置となる（図３９の符号ａ１、ａ２で示す停止位置）。また、可動役物装置７０を駆動して、左可動役物７１Ｌの右端部と、右可動役物７１Ｒの左端部の間隔を狭くしたとき、駆動限度位置となる（図３８の符号ｄ１、ｄ２で示す停止位置）。

停止位置設定処理（Ｓ１５００）において、通常演出フラグがセット（ＯＮに設定）されていると判断される場合には、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの停止位置は基本駆動停止位置となる（図３９の符号ａ１、ａ２で示す停止位置）。また、停止位置設定処理（Ｓ１５００）において、第１特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されていると判断される場合には、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの停止位置は第１特別駆動停止位置となる（図３８の符号ｂ１、ｂ２で示す停止位置）。更に、停止位置設定処理（Ｓ１５００）において、第２特別演出フラグがセット（ＯＮに設定）されていると判断される場合には、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの停止位置は第２特別駆動停止位置となる（図３８の符号ｃ１、ｃ２で示す停止位置）。

ここで、変形例２においては、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒが何れの駆動停止位置（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）にあるときにも、遊技者は、左可動役物７１Ｌの右端部側と右可動役物７１Ｒの左端部側を、表示窓２１ｅを通じて視認可能である。ところが、左可動役物７１Ｌの右端部と右可動役物７１Ｒの左端部の間隔は、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒが第１特別駆動停止位置にあるときには基本駆動停止位置にあるときよりも僅かに狭く、第２特別駆動停止位置にあるときには第１特別駆動停止位置にあるときよりも僅かに狭くなる。そして、駆動限度位置にあるときには、何れの駆動停止位置（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）にあるときよりも大幅に狭くなる。このため、変形例２においては、左可動役物７１Ｌおよび右可動役物７１Ｒの駆動停止位置（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）の変更が行われても、この変更は目立たない状態で行われることになる。

本発明においては、変形例２に示すように、可動役物９１Ｌ、９１Ｒの各駆動停止位置を視認可能としてもよいが、この場合、変形例２のように駆動停止位置（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）の変更が目立たない状態で行われることが好ましい。また、本発明において、可動役物の駆動態様は各実施例に示す回転に限定されず、変形例２に示す「所定方向への移動」であってもよい。

各実施例では、遊技機１の遊技モード（「高確率モード、低確率モード等の確率モード」、「通常変動モード、短縮変動モード等の変動モード」等）には関係がない「演出モード」に対応して、可動役物の駆動停止位置（基本駆動停止位置、第１特別駆動停止位置、第２特別駆動停止位置）を変更する態様を例示した。但し、遊技機１の遊技モードの変更に応じて「演出モード」を変更する場合には、「遊技モードの変更に応じた演出モードの変更」に対応して、可動役物の駆動停止位置を変更する態様を例示することもできる。例えば、確率モードが低確率モードである場合には、演出表示装置２７の表示画面２７ａの地色を「白色」とする通常演出モードを実行し、確率モードが高確率モードである場合には、演出表示装置２７の表示画面２７ａの地色を「赤色」とする特別演出モードを実行する場合等を例示できる。

各実施例では、可動役物と、可動役物を駆動する駆動手段（モータ、ギヤ、クランク、カムなど）と、可動役物の原点位置（基本駆動停止位置）を検知する原点センサと、駆動手段を制御する駆動制御手段（サブ制御手段）とを備え、駆動制御手段（サブ制御手段）が、その時点の演出状態を記憶するための揮発性メモリ（サブ制御基板２２０に搭載されたＲＡＭ２２０ｂ）を含む構成の遊技機あって、「電源断時において、駆動制御手段（揮発性メモリ）に電源を供給するためのバックアップ電源」を備えない遊技機についての適用例を説明した。但し、当該「バックアップ電源」を備える遊技機に対しても、本発明を適用することができる。

本発明の可動役物として、例えば、「人形（フィギア）」を例示することもできる。具体的には、メイン役物装置２０に、頭部や腕部を所定の角度範囲で回転可能とした人形を配置し、「演出モード」に対応して、頭部や腕部の回転角を変更する態様を例示できる。つまり、人形（フィギア）を構成するパーツ若しくは人形（フィギア）全体を動作可能な状態に配置し、「演出モード」に対応して、パーツ若しくは人形（フィギア）全体を動作させ、駆動停止位置を変更可能としてもよい。

また、本発明においては、
前記可動役物が前記駆動停止状態のまま所定期間が経過した場合に、前記可動役物の駆動停止位置が、前記所定期間の経過時の演出状態に対応する位置と一致するか否かを判断する位置判断手段と、
前記位置判断手段が一致しないと判断する場合に、前記可動役物の駆動停止位置を前記所定期間の経過時の演出状態に対応する位置に変更する位置変更手段と、を備える
こととしてもよい。

更に、上述した各実施例および変形例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口（第１始動口、第２始動口、大入賞口等）への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益（遊技価値）を遊技者に付与する遊技機１に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益（遊技価値）を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。そのようなタイプの遊技機として、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量（遊技価値の大きさ）を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のＲＡＭに記憶することによって、遊技上の利益（遊技価値）を遊技者に付与する遊技機を例示でき、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益（遊技価値）をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機（いわゆる封入式遊技機）を例示できる。この種の遊技機（いわゆる封入式遊技機）においては、例えば、入賞口に遊技球が入球する毎に、例えば、入球した入賞口毎に定められた賞球量を示すデータを記憶することによって、遊技の結果としての遊技価値を遊技者に付与することができる。

本発明は、遊技機を製造、販売等する分野において利用できる。

１；遊技機（弾球遊技機）、
１０；遊技盤、
１１；遊技領域、
２７；演出表示装置、
２７ａ；表示画面、
２００Ａ；主制御部、
２２０Ａ；サブ制御部（停止位置特定手段、演出状態設定手段）。

Claims (2)

1. 前方から視認不能な駆動停止位置で停止しているときに前方から視認不能とされ、駆動することで前方から視認可能とされ、駆動を終了することで前記駆動停止位置で停止するように駆動制御される可動役物を備え、演出態様が異なる複数の演出状態を有するとともに実行中の演出状態を他の演出状態に切り換え可能な遊技機であって、
   前記可動役物の駆動停止位置として、前記複数の演出状態の各々に対応する複数の駆動停止位置を設け、
   前記可動役物が何れかの駆動停止位置で停止しているときに、当該駆動停止位置が、その時点の演出状態に対応する駆動停止位置でない場合、当該駆動停止位置を、その時点の演出状態に対応する駆動停止位置に変更する駆動停止位置変更手段と、
   前記可動役物が何れかの駆動停止位置で停止しているときに電源断を生じた場合に、電源投入に基づいて、当該電源投入前の電源断時における前記可動役物の駆動停止位置を特定する停止位置特定手段と、
   前記停止位置特定手段が特定した駆動停止位置に対応する演出状態を、電源投入に基づく演出状態として設定する演出状態設定手段と、
   を備えることを特徴とする遊技機。
2. 前記複数の駆動停止位置のうち１つが初期位置とされ、
   前記電源断時における前記可動役物の駆動停止位置が前記初期位置でない場合、前記停止位置特定手段は、電源投入に基づく初期化処理で前記可動役物を、初期位置に位置させる際の駆動量を基に、前記電源断時の駆動停止位置を特定することを特徴とする請求項１に記載の遊技機。

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