以下、本発明のフィルム付容器の製造方法およびフィルム付容器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、フィルム付容器の実施形態を示す側面図である。なお、図1(b)は、フィルムの前端部と後端部とを折り曲げて示してある。
図1に示すように、本発明のフィルム付容器1は、容器18と、この容器18の外周面に取り付けられたフィルム2Aとを有している。
容器18は、例えば、清涼飲料水、調味料、洗剤、シャンプー、食用油、化粧品、医薬品などに使用される容器である。容器18の具体例としては、例えば、ガラス瓶のようなガラス容器、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルのようなプラスチック容器、紙容器等が挙げられる。
かかる容器18は、底部181と、底部181から立設する四角筒状の胴部182と、口部183と、口部183と胴部182とを連結する肩部184とを備えている。容器18内には、例えば、飲料用の液体等が収納され、口部183に蓋(キャップ)185が螺合により装着されている。これにより、前記液体が容器18内に密封される。
また、胴部182は、その高さ方向の途中に形成されたクビレ部182aと、その側面に凹没して形成された複数の凹部(パネル)182bとを有している。すなわち、本実施形態の容器18は、いわゆる、異型ボトルである。本発明のフィルム付容器の製造方法によれば、かかる複雑な形状を有する容器18であっても、フィルム2Aを確実にかつ高い密着性で、容器18に取り付けることができる。
フィルム2Aは、容器18に取り付けられる前の状態で帯状をなし、熱収縮性をしている。帯状のフィルム2Aの前端部(他端部)2Aaを、第1の粘着部70を介して容器18の外周面に貼り付けた後、フィルム2Aを容器18に巻き付ける。次いで、フィルム2Aの後端部(一端部)2Abを、第2の粘着部72を介して前端部2Aaの表面(容器18と反対側の面)に貼り付けて、フィルム2Aを容器18に対して位置決めする。その後、フィルム2Aを収縮させることにより、フィルム2Aを容器18に密着させて取り付けることができる。
本実施形態において、第1の粘着部(他の粘着部)70は、90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に溶解または分散可能な第1のホットメルト粘着剤(他のホットメルト粘着剤)で構成されている。一方、第2の粘着部(粘着部)72は、軟化点が125〜165℃のポリプロピレンワックスを15〜35重量%、熱可塑性エラストマーを10〜25重量%、粘着付与剤を25〜40重量%および合成オイルを10〜40重量%で含み、加熱時における120℃での粘度が200〜10,000Pa・sかつ冷却時における110℃での粘度が10〜150Pa・sである第2のホットメルト粘着剤(ホットメルト粘着剤)で構成されている。なお、第1のホットメルト粘着剤および第2のホットメルト粘着剤については、後に詳述する。
フィルム2Aには、前端部2Aaに後端部2Abを重ね合わせて形成された重複部71の両側に、重複部71(容器18の高さ方向)に沿って第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3が形成されている。これにより、フィルム2Aを容器18から取り外す際には、フィルム2Aを第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3に沿って破断することができる。このため、フィルム2Aを容器18から取り外しやすい。すなわち、フィルム2Aと容器18とを分別しやすい。
また、図1に示すように、本実施形態のフィルム2Aは、容器18に取り付けた状態(収縮後)において、容器18の胴部182のほぼ全体および肩部184の一部を覆っている。これにより、フィルム2Aの表面に、例えば印刷等を施すことにより、フィルム2Aに遮光性を付与することができる。この場合、容器18内に収納される液体の光による劣化を防止することができる。また、本発明のフィルム付容器の製造方法によれば、このように比較的大きいサイズ(幅)を有するフィルム2Aであっても、容器18に確実にかつ高い密着性で取り付けることができる。
次に、このようなフィルム付容器1の製造に用いられる製造装置100について説明する。
図2は、フィルム付容器の製造装置を示す全体図、図3は、図2に示すラベラの全体構成を示す図、図4は、図3に示すフィルム移送ドラムが有する円筒部の構成、および、円筒部と第1および第2の粘着剤塗布手段との関係を示す図、図5は、図4に示す第1の粘着剤塗布手段が備えるヘッドの斜視図、図6は、図4に示す第2の粘着剤塗布手段が備えるヘッドの斜視図である。
図2に示す製造装置100は、フィルム2Aを容器18に位置決め(固定)するラベラ200と、フィルム2Aを加熱して収縮させ、容器18の外周面に密着させる加熱トンネル300と、容器18およびフィルム付容器1を搬送する搬送装置400とを有している。
図3に示すラベラ200は、図示しないロールスタンドを有している。このロールスタンドには、所定の幅を有する帯状のフィルム2がロール状に巻かれて支持されている。このフィルム2が引き出され、ミシン目形成部3に送られる。このミシン目形成部3では、フィルム2の長さ方向(長手方向)の所定の位置に、その幅方向(短手方向)に沿って、複数の第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3が形成される。次いで、フィルム2は、複数のローラ4を介してカッタ6に送られる。カッタ6は、一対の回転体6A、6Bで構成されており、フィルム2を所定の長さに切断して、複数のフィルム2Aに分断する。
切断されたフィルム2Aは、受け渡しドラム8を介して、フィルム移送ドラム10に引き渡される。フィルム移送ドラム10の外周面には、その円周方向に沿って等間隔で複数(本実施例では、4箇所)のフィルム保持部12が設けられている。これらのフィルム保持部12は、それぞれ1枚ずつフィルム2Aを保持して回転搬送する。
フィルム移送ドラム10は、フィルム受け渡し位置Aにおいて、受け渡しドラム8からフィルム2Aを受け取る。このフィルム移送ドラム10は、ベースプレート上に回転自在に設けられた円筒状の壁部(円筒部)10bを有し、その外周面に、複数のフィルム保持部12が形成されている。本実施形態では、円筒部10bの円周方向に沿って等間隔で4箇所のフィルム保持部12が形成されている(図3参照)。各フィルム保持部12は、フィルム2Aの搬送方向の前後2箇所を吸着保持するようになっており、それぞれ第1および第2の突出部12a、12bを有している。第1の突出部12aは、フィルム移送ドラム10の回転方向の前方側に設けられ、第2の突出部12bは、回転方向の後方側に設けられている。
図4に示すように、第1および第2の突出部12a、12bは、それぞれ、上面視で、上底が下底より短い台形をなしている。具体的には、第1の突出部12aは、その前方側および後方側の側面が円筒部10bの外周面に対して傾斜している。一方、第2の突出部12bは、その前方側の側面が円筒部10bの外周面に対して傾斜し、その後方側の側面が円筒部10bの外周面に対してほぼ垂直をなしている。また、第1および第2の突出部12a、12bは、それぞれ、熱可塑性エラストマー、ゴムのような弾性体で構成され、円筒部10bの外周面と反対側からの押圧(加圧)により弾性変形する。
各突出部12a、12bには、その厚さ方向に貫通する複数(本実施形態では、縦3個、横2個の合計6個)の吸引口12cが形成されている。各吸引口12cは、フィルム移送ドラム10に接続された吸引手段(図示せず)に連通している。フィルム移送ドラム10が回転すると、フィルム貼り付け位置B以外の位置では、各フィルム保持部12の吸引口12cに吸引手段により吸引力が作用して、各フィルム保持部12にフィルム2Aを吸着することができる。一方、フィルム移送ドラム10が回転してフィルム貼り付け位置Bに達すると、吸引手段による吸引口12cに対する吸引力が遮断され、各フィルム保持部12は、保持するフィルム2Aを離脱させるようになっている。
なお、本実施形態のフィルム保持部12では、吸引口12cに対する吸引力が遮断された直後に、この吸引口12cから短時間エアを吹き出すようにして、フィルム2Aを確実に容器18に引き渡すようにしている。
このフィルム移送ドラム10の円筒部10bに対向するように、フィルム搬送経路の外側には、第1および第2の粘着剤塗布手段14aおよび14bが設けられている。第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bは、それぞれ、フィルム受け渡し位置Aの下流側で、かつ、フィルム貼り付け位置Bの上流側に配置されている。また、第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bは、それぞれ、図示しない駆動機構により、フィルム移送ドラム10に対して接近および離間し得るようになっている。
第1の粘着剤塗布手段14aは、フィルム2Aの前端部2Aaの裏面に、第1のホットメルト粘着剤(以下、単に「第1の粘着剤」とも言う。)を吐出して、その幅方向(短手方向)に沿って第1の粘着部70を形成する。図3および図4に示すように、第1の粘着剤塗布手段14aは、フィルム移送ドラム10側に、第1の粘着剤を吐出する複数の吐出口が形成されたヘッド60aを備えている。図5に示すように、本実施形態では、6個の吐出口60a1〜60a6が縦方向にかつほぼ一直線に並んで設けられている。これにより、第1の粘着部70を、フィルム2Aの幅方向に沿って間欠的に形成することができる。
このように、第1の粘着部70を間欠的に形成することにより、使用する第1の粘着剤の量を低減することができるため、フィルム付容器1の製造コストの削減に寄与する。また、第1の粘着剤の量を低減することができることから、フィルム2Aを容器18から取り外す際には、容器18の外表面に第1の粘着部70(第1の粘着剤)が残存する可能性がより低くなる。
6個の吐出口60a1〜60a6は、2個ずつ一組になっており、各組の吐出口(60a1と60a2、60a3と60a4、60a5と60a6)に、それぞれ1本の供給路から第1の粘着剤が供給される。3本の供給路は、ポンプに接続されており、このポンプの作動によって、第1の粘着剤を貯留する貯留タンク14a1から各組の吐出口に、第1の粘着剤を供給するようになっている。なお、各供給路には、それぞれ電磁弁が設けられており、制御手段によって第1の粘着剤を吐出するタイミング、吐出時間等が制御される。これにより、第1の粘着部70を形成する第1の粘着剤の量を調整することができる。
一方、第2の粘着剤塗布手段14bは、フィルム2Aの後端部2Abの裏面に、第2のホットメルト粘着剤(以下、単に、「第2の粘着剤」とも言う。)を吐出して、その幅方向(短手方向)に沿って第2の粘着部72を形成する。図6に示すように、第2の粘着剤塗布手段14bは、フィルム移送ドラム10側に、第2の粘着剤を吐出する1つのスリット状の吐出口60b1が形成されたヘッド60bを備えている。これにより、第2の粘着部72を、フィルム2Aの幅方向に沿って連続的に形成することができる。このように、第2の粘着部72を連続的に形成することにより、フィルム2Aを収縮させる際に、重複部71にズレや剥離が生じるのをより確実に防止することができる。
吐出口60b1には、供給路から第2の粘着剤が供給される。供給路は、ポンプに接続されており、このポンプの作動によって、第2の粘着剤を貯留する貯留タンク14b1から吐出口60b1に、第2の粘着剤を供給するようになっている。なお、供給路には、電磁弁が設けられており、制御手段によって第2の粘着剤を吐出するタイミング、吐出時間等が制御される。これにより、第2の粘着部72を形成する第2の粘着剤の量を調整することができる。
なお、ヘッド60bは、ヘッド60aと同様に複数の吐出口を有する構成であってもよい。この場合、複数の吐出口を密に配設することにより、第2の粘着部72を、フィルム2Aの幅方向に沿って連続的に形成することができる。
このように、第1の粘着部70および第2の粘着部72が裏面の所定の位置に形成されたフィルム2Aは、フィルム移送ドラム10によって、フィルム貼り付け位置Bに向かって回転搬送される。
一方、容器18は、搬送装置400の一部を構成する供給コンベヤ20によって搬送され、インフィードスクリュー構22によって、所定の間隔に分離されて、入口スターホイール24に引き渡される。入口スターホイール24は、受け取った容器18を回転搬送して、ロータリ式の容器搬送装置16に供給する。この容器搬送装置16の回転体26には、その外周部に円周方向に沿って等間隔で多数の容器台26aが設けられている。この容器台26aに載せられた容器18は、図示しない容器保持手段により自転可能に保持されつつ、回転(公転)搬送される。
容器搬送装置16は、フィルム移送ドラム10と同期して運転されており、搬送される各容器18が、フィルム貼り付け位置Bで、フィルム移送ドラム10の各フィルム保持部12に保持されているフィルム2Aと密接する。このとき、フィルム2Aの前端部2Aaが第1の粘着部70を介して容器18の外周面に貼り付けられる。さらに、容器18自体が自転することにより、フィルム2Aが容器18に巻き付けられ、フィルム2Aの後端部2Abが第2の粘着部72を介してフィルム2Aの表面に貼り付けられる。これにより、フィルム2Aが容器18に対して位置決め(固定)される。
フィルム貼り付け位置Bの下流側には、フィルム押圧部17が配置されている。このフィルム押圧部17は、複数(本実施形態では、6個)の押圧ローラ171を有している。各押圧ローラ171は、ローラ支持部172により回転可能に支持され、各ローラ支持部172は、共通の固定部173に接続されて固定されている。各押圧ローラ171の外周面と容器搬送装置16によって回転搬送される容器18の外周面との距離は、フィルム貼り付け位置Bにおけるフィルム移送ドラム10(円筒部)10bの外周面と容器搬送装置16によって回転搬送される容器18の外周面との距離より小さく設定されている。
このため、フィルム2Aが位置決めされた容器18がフィルム押圧部17を通過する際には、フィルム2Aは、各押圧ローラ171によって容器18に押し付けられる。また、この際の圧力は、第1の粘着部70を容器18に貼り付ける際の圧力および第2の粘着部72をフィルム2Aの表面に貼り付ける際の圧力より大きくなる。これにより、特に、第1の粘着部70および第2の粘着部72が容器18側に強く押圧され、フィルム2Aを容器18により確実に貼り付けることができる。このため、フィルム2Aを収縮させる工程において、フィルム2Aの前端部2Aaの容器18の外周面からのズレや剥離、フィルム2Aの後端部2Abのフィルム2Aの表面からのズレや剥離をより確実に防止することができる。
なお、各ローラ171の形状は、容器18の形状に併せて適宜設定される。例えば、容器18が、胴部182の高さ方向の途中に縮径したようなクビレ部を有する円筒形状である場合、各ローラ171として、例えば、高さ方向の途中が拡径したような膨らみを有する円筒(円柱)ローラが用いられる。
このようにしてフィルム2Aが固定された容器18は、容器搬送装置16によって回転搬送されて、出口スターホイール28に引き渡される。その後、このフィルム2Aが固定された容器18は、搬送装置400の一部を構成する排出コンベヤ30に排出されて、加熱トンネル300に向かって搬送される。
フィルム2Aが位置決めされた容器18は、加熱トンネル300に搬送される。加熱トンネル300は、複数(本実施形態では、6個)の第1〜第6の加熱エリア300a〜300fを有している。図2に示すように、各加熱エリア300a〜300fは、その内部を通過する容器18に位置決めされたフィルム2Aに対して、蒸気または熱風を吹き付けて衝突させる第1〜第6の吹き出し口301a〜301fを備えている。フィルム2Aは、各吹き出し口301a〜301fから送られる蒸気または熱風が衝突することにより、その熱で収縮して容器18の外周面に密着する。
また、図2に示すように、第1〜第6の吹き出し口301a〜301fは、異なる高さに設けられており、各加熱エリア300a〜300fでは、フィルム2Aの幅方向(容器18の高さ方向)の異なる位置に、蒸気または熱風を衝突させるようになっている。本実施形態では、第1の吹き出し口301aから第6の吹き出し口301fに向かって、設置位置が順に高くなっている。すなわち、フィルム2Aの加熱は、フィルム2Aに対して蒸気または熱風を衝突させる位置を、容器18の高さ方向に沿って、下から上に向かって変化させつつ行われる。これにより、フィルム2Aと容器18との隙間に存在する空気を、フィルム2Aの収縮によりその隙間から効率よく排出(除去)することができる。このため、フィルム2Aと容器18の外周面との密着性をより高めること、すなわち、フィルム2Aに浮きが生じることを防止することができ、より品質の高いフィルム付容器1が得られる。
このフィルム2Aの加熱は、フィルム2Aに対して衝突させる蒸気または熱風の温度を一定に設定して行ってもよいが、変化させつつ行うようにすることが好ましい。本実施形態では、第1の吹き出し口301aにおいて最も低く、第2の吹き出し口301bから第6の吹き出し口301fに向かって順に高くなり、第6の吹き出し口301fで最も高くなるように、蒸気または熱風の温度が設定されている。このような構成にすることにより、フィルム2Aが段階的に加熱されるので、フィルム2Aが急激に収縮するのを阻止することができる。このため、フィルム2Aに皺が生じることや、重複部71にズレや剥離が生じることをより確実に防止することができる。その結果、より品質の高いフィルム付容器1を製造することができる。
このような製造装置100を用いて、フィルム付容器1が製造される。以下、本発明のフィルム付容器の製造方法について説明する。
<1> まず、容器18と、切断されることによりフィルム2Aとなる長尺のフィルム2と、第1のホットメルト粘着剤と、第2のホットメルト粘着剤とを準備する。すなわち、本工程<1>が準備工程である。
<容器18>
容器18は、上述した通りである。
<フィルム2A(フィルム2)>
フィルム2A(フィルム2)は、熱収縮性を有するフィルムであり、横一軸延伸フィルム、縦一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。中でも、フィルム2Aには、その搬送方向(長手方向)に沿って熱収縮可能である一軸延伸フィルムが好適に用いられる。これにより、フィルム2Aを、容器18の外周面により確実かつより高い密着性で取り付けることができる。
また、フィルム2Aの構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)のようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられ、これらのうちの1種または任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フィルム2Aの構成材料としては、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、収縮性が高く、かつ、リサイクルし易いことから好ましい。
なお、フィルム2Aには、不織布とポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層フィルムを用いることもできる。さらに、フィルム2Aの表面および/または裏面には、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、アルミニウム等を蒸着するようにしてもよい。
かかるフィルム2Aの延伸方向における熱収縮率は、5〜85%程度であることが好ましい。なお、本明細書において熱収縮率とは、100℃の温水に浸漬したときの熱収縮率であって、延伸方向の熱収縮率は、下記式に従って計算される。したがって、縦一軸延伸フィルムは、その搬送方向に収縮するため、搬送方向に対する熱収縮率が5〜85%程度であることが好ましく、横一軸延伸フィルムは、その幅方向に収縮するため、幅方向に対する熱収縮率が5〜85%程度であることが好ましい。なお、二軸延伸フィルムの場合、いずれかの延伸方向における熱収縮率が上記範囲内であることが好ましい。
熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/(加熱前の寸法)×100
また、フィルム2Aの平均厚さは、耐熱性、剛性、機械適性や外観等に応じて適宜設定され、特に限定されない。具体的には、フィルム2Aの平均厚さは、15〜35μm程度であることが好ましく、15〜25μm程度であることがより好ましい。本発明のフィルム付容器の製造方法によれば、このように薄いフィルム2Aであっても、破断することなく、容器18に確実に取り付けることができる。これにより。フィルム付容器1の製造コストの低減を図ることができる。
なお、フィルム2Aの構成材料であるポリエチレンテレフタレートには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤のような各種添加剤を添加してもよい。また、フィルム2Aの表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理のような表面処理を施してもよい。これにより、フィルム2Aの表面に対する印刷適性を向上させることができる。
<第1の粘着剤>
第1の粘着剤は、90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に溶解または分散可能であることが好ましい。第1の粘着剤で構成される第1の粘着部70は、フィルム2Aを容器18に取り付ける際に、容器18の外周面に直接貼り付けられる部位である。したがって、フィルム付容器1をリサイクルする際には、そのリサイクル効率を向上させるために、第1の粘着部70(第1の粘着剤)は、容器18の外周面から確実に除去される必要がある。再生資源利用促進法の規定によれば、PETボトルのリサイクルでは、85〜90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液によりラベル(フィルム)の除去が行われる。したがって、かかる規定を満足すべく、第1の粘着剤は、90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に溶解または分散可能に調製されることが好ましい。
この第1の粘着剤は、熱可塑性エラストマーと、酸価が100〜300mgKOH/gのロジン系粘着付与剤とを含むことが好ましい。これにより、第1の粘着剤は、90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に、より確実に溶解または分散することができるようになる。このため、フィルム付容器1をリサイクルする際に、容器18(またはこれを切断して得られたペレット)から第1の粘着剤を確実に除去することができる。
<<熱可塑性エラストマー>>
熱可塑性エラストマーは、第1の粘着剤の凝集力、ひいては粘着力を向上させるために用いられる。この熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、一般的に、ポリスチレンブロックとゴム弾性を付与する中間ブロックとを有している。スチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、ポリスチレンブロックは、物理的架橋(ドメイン)を形成することにより橋掛け点となる。中間ブロック(ソフトセグメント)は、例えば、ポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)、ポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン、EP)から選択され、ハードセグメントであるポリスチレンブロック(S)との配列の様式に応じて、直鎖状(リニアタイプ)と放射状(ラジカルタイプ)とに分類される。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(S−B:ジブロック)、(S−B−S:トリブロック)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(S−I:ジブロック)、(S−I−S:トリブロック)またはスチレン/ブタジエン−イソプレンブロック共重合体(S−B・I:ジブロック)、(S−B/I−B:トリブロック)、これらの水添物(例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)の水添物、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEPS))、あるいは、これらのカルボン酸変性物等が挙げられる。なお、スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレンブロックを構成するスチレンの一部が、α−メチルスチレンのような芳香族系ビニル化合物で置き換えられていてもよい。中でも、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(SEBS)が好適である。スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマーは、熱安定性が高い(熱分解し難い)ためである。
<<酸価が100〜300mgKOH/gのロジン系粘着付与剤>>
ロジン系粘着付与剤は、第1の粘着剤のフィルム2Aの裏面および容器18の外表面に対する粘着性(密着性)を向上させるために用いられる。このロジン系粘着付与剤は、その酸価が100〜300mgKOH/gであるが、170〜250mgKOH/gであることが好ましい。このような酸価を有するロジン系粘着付与剤を用いることにより、第1の粘着剤の水酸化ナトリウム水溶液に対する分散性または溶解性を向上することができる。また、第1の粘着剤の粘度や軟化点が高くなるのを防止することができるので、第1の粘着剤を容易に取り扱うことができる。なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6863−1994に規定された環球法による軟化点試験方法に基づいて測定される値である。
ここで、ロジンとは、松から得られる琥珀色、無定形の天然樹脂であり、製造工程の違いで、ガムロジンと、ウッドロジンと、トール油ロジンとに分類される。ロジンの主成分は、3つの環構造、共役2重結合およびカルボキシル基を有するアビエチン酸と、その異性体との混合物である。アビエチン酸およびその異性体は、バルキーな構造を有しているため、反応性が高く、熱安定性が低い。このため、ロジンは、一般的に、水添(水素添加)することにより、その安定性が図られる。
このようなロジン系粘着付与剤としては、例えば、前述のような酸価を有する生ロジン(変性処理されていないロジン)、水添ロジン、(メタ)アクリル酸変成ロジン、水添(メタ)アクリル酸変成ロジン、マレイン酸変成ロジン、水添マレイン酸変成ロジン、フマール酸変性ロジン、水添フマール酸変成ロジン等が挙げられる。
また、フィルム2Aを容器18から手で剥がした際に、容器18に第1の粘着剤が残存し難くするために、第1の粘着剤には、各種の添加剤を添加することが好ましい。かかる添加剤としては、例えば、テルペンフェノール樹脂と、合成オイルと、無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックスとの組み合わせ、合成オイルと、25℃の針入度が10dmm以下であるワックスと、数平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールとの組み合わせ、合成オイルおよび/またはポリブテンと、25℃の針入度が10dmm以下であるワックスとの組み合わせ等が挙げられる。
<<テルペンフェノール樹脂>>
テルペンフェノール樹脂は、環状テルペンモノマーとフェノール類とを、例えば、有機溶媒中で、フリーデルクラフツ型触媒の存在下に共重合することにより合成することができる。なお、得られたテルペンフェノール樹脂は、水添して、水添テルペンフェノール樹脂としてもよい。
環状テルペンモノマーとしては、単環のテルペンモノマーであってもよいし、双環のテルペンモノマーであってもよい。これらのテルペンモノマーとしては、例えば、ピネン、リモネン、イソリモネン、カンフェン、テルピネン、テルピノレン、フェランドレン、ボルニレン、または、これらの混合物等が挙げられる。一方、フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノールのようなアルキル置換フェノール、メトキシフェノールのようなアルコキシ置換フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロールのような多価フェノール類、クロロフェノール、ブロモフェノールのようなハロゲン化フェノール、ナフトール、ジオキシナフタレン、ビスフェノールA等が挙げられる。
<<合成オイル>>
合成オイルは、第1の粘着剤の粘着力が、低温時に低下するのを防止するよう機能する。この合成オイルとは、ゴムや熱可塑性エラストマー等の可塑剤として一般的に用いられるオイル、いわゆる石油精製等において生産されるプロセスオイルである。かかるプロセスオイルは、パラフィン系プロセスオイルと、ナフテン系プロセスオイルと、芳香族系プロセスオイルとに大別される。
プロセスオイルは、芳香族系炭化水素と、ナフテン系炭化水素と、パラフィン系炭化水素との混合物である。一般に、全炭化水素に対して30重量%以上で芳香族系炭化水素を含むプロセスオイルは、芳香族系プロセスオイルと呼ばれ、全炭化水素に対して35〜45重量%でナフテン系炭化水素を含むプロセスオイルは、ナフテン系プロセスオイルと呼ばれ、全炭化水素に対して50重量%以上でパラフィン系炭化水素を含むプロセスオイルは、パラフィン系プロセスオイルと呼ばれている。
パラフィン系原油に対して、例えば、蒸留、水素化改質、溶剤抽出、溶剤脱ロウ等の処理を施すことにより、パラフィン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が分離される。ナフテン系原油に対して、例えば、蒸留、溶剤抽出等の処理を施すことにより、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が分離される。
中でも、合成オイルとしては、ナフテン系プロセスオイルおよび/またはパラフィン系プロセスオイルが好適である。かかるプロセスオイルを含有する第1の粘着剤を用いることにより、フィルム2Aを容器18から手で剥がした際に、残渣を極めて少なくすることができる。
<<無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックス>>
無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックスとしては、ポリプロピレンワックスに無水マレイン酸がグラフト重合されたものであれば、いかなるも使用可能である。かかる無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックスは、例えば、押出機等を用いて、ポリプロピレンワックスと、無水マレイン酸および過酸化物とを混合して、ポリプロピレンワックスに無水マレイン酸をグラフト重合させることにより製造することができる。
なお、原料であるポリプロピレンワックスとしては、公知のポリプロピレンワックスを用いることができ、特に限定されるものではない。ポリプロピレンワックスは、ポリマーを分解する分解法、または、モノマーを重合する重合法を用いて製造することができる。分解法では、ポリプロピレン(ポリマー)を熱溶融させた状態で、ポリマー鎖をせん断応力により切断して、ポリプロピレンワックスを製造する。一方、重合法では、ポリプロピレンモノマーを、例えば、アニオン重合させて、ポリプロピレンワックスを製造する。
無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックスは、その酸価が30〜100mgKOH/g程度、かつ、DSC融点が60〜150℃程度であることが好ましい。なお、DSC融点は、次のような測定法により測定される。すなわち、測定装置として、パーキンエルマー社製のパーキンエルマーPyris 1を用い、その測定は、まず、0℃で5分間保持し、170℃まで10℃/分の昇温速度で加熱して、該温度で1分間保持し、0℃まで40℃/分の降温速度で冷却して、該温度で1分間保持し、その後、170℃まで再度10℃/分の昇温速度で加熱することにより行われる。そして、DSC融点は、2回目の加熱の際に測定されるポリプロピレンワックスの融点とされる。
<<25℃の針入度が10dmm以下であるワックス>>
25℃の針入度が10dmm以下であるワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。中でも、25℃の針入度が10dmm以下であるワックスとしては、油分を0.2重量%以下で含むパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が好適である。
パラフィンワックスは、石油ワックスの一種である。ここで、石油ワックスは、パラフィンワックス(減圧蒸留留分油から分離精製した、常温において固形のワックス)と、マイクロクリスタリンワックス(減圧蒸留ボトムまたは重質流出油から分離精製した、常温において固形のワックス)と、ペトロラタム(減圧蒸留ボトムから分離精製した、常温において半固形のワックス)とに分類される。
パラフィンワックスは、減圧蒸留留分から分離されるので、炭素数分布が約20〜40程度、かつ、分子量が約300〜500程度の炭化水素から構成される。なお、パラフィンワックスの融点は、64〜80℃程度であることが好ましく、75〜77℃程度であることがより好ましい。
ポリエチレンワックスとしては、例えば、分子量が100〜5,000程度、かつ、150℃程度の粘度(JIS K 6862−1984 A法に準拠)が500mPa・s以下のポリエチレンが好適に用いられる。なお、ポリエチレンワックスの融点は、70〜100℃程度であることが好ましく、85〜95℃程度であることがより好ましい。
フィッシャートロプッシュワックスは、合成石油を石炭より炭化水素合成法を用いて製造する際に、副生成物として産生されるワックスである。フィッシャートロプッシュワックスは、分枝した少数のメチル基を有する長鎖の直鎖状飽和炭化水素であり、イソパラフィン含有量が約10%である。フィッシャートロプッシュワックスは、通常のパラフィンワックスと比較して、鎖長がより長く、また、マイクロワックスと比較して、側鎖が少ない。なお、フィッシャートロプッシュワックスの融点は、70〜110℃程度であることが好ましく、90〜105℃程度であることがより好ましい。
なお、本明細書において、針入度とは、石油ワックス(試料)の硬さを求める測定法として、JIS K 2235−5.4に規定されている。この針入度は、針入度計を用いて、測定温度下に、針に100gの荷重を付与し、5秒間で試料に針の何mmの部分が挿入されるかを測定し、この測定値を10倍して表した数値(dmm)である。また、融点とは、JIS K 2235−5.3に規定された融点測定方法に基づいて測定される値である。
<<数平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコール>>
数平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールは、エチレンオキサイドを開環重合させて得られ、末端にヒドロキシル基を有している。なお、この数平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。また、かかるポリエチレングリコールの数平均分子量は、1,000〜60,000程度であることが好ましく、3,000〜20,000程度であることがより好ましい。これにより、第1の粘着剤の粘着力(凝集力)の低下を防止することができ、フィルム2Aを容器18から剥がした際に、容器18の外周面に残渣が残り難くなる。また、他の成分との相溶性が向上し、第1の粘着剤を容易かつ確実に調製することができる。
なお、数平均分子量の測定は、高温Gel Permeation Chromatography(GPC)法を用いて、ポリスチレン換算により行うことができる。測定条件は、温度:40℃、溶剤:THF、カラム:Polymer Laboratories社製のPLgel 5μm MIXD−Dとされる。
<<ポリブテン>>
代表的なポリブテンは、イソブテンを主モノマーとし、副モノマーとしてノルマルブテンが一部反応した長鎖の共重合体である。かかるポリブテンのモノマー(原料)には、精製イソブチレンを主モノマーとする低分子量ポリイソブチレンと異なり、ナフサ分解で生成するC4留分からブタジエンを抽出した残りの留分をそのまま用いることができる。なお、ポリブテンは、若干のブテン−1が共重合した液状ポリマーであってもよい。
<第2の粘着剤>
第2の粘着剤は、軟化点が125〜165℃のポリプロピレンワックスを15〜35重量%、熱可塑性エラストマーを10〜25重量%、粘着付与剤を25〜40重量%および合成オイルを10〜40重量%で含み、加熱時(昇温時)における120℃での粘度が200〜10,000Pa・sかつ冷却時(降温時)における110℃での粘度が10〜150Pa・sである特性を有する。
ここで、第2の粘着剤は、加熱時における120℃での粘度が200〜10,000Pa・sであるが、かかる粘度を有する第2の粘着剤は、熱収縮温度において凝集力が高なるのに伴って高い粘着力を発揮するので、極めて優れた熱収縮適性を有する。その結果、フィルム2Aを収縮させる際に、フィルム2Aの重複部71(フィルム2Aの前端部2Aaと後端部2Abとの間)にズレや剥離が生じることがない。なお、第2の粘着剤の加熱時における120℃での粘度は、200〜8,000Pa・s程度であることが好ましい。これにより、フィルム2Aの収縮時における重複部71のズレや剥離をより好適に防止することができる。
ここで、熱収縮適性(シュリンク適性)とは、熱収縮前のフィルム2Aが貼り付けられた容器18を、温度が90℃に調整された湯浴に3秒間浸漬した際に、重複部71にズレや剥離が生じるか否かを確認することにより評価される。
また、第2の粘着剤は、冷却時110℃の粘度が10〜150Pa・sである。かかる粘度が前記下限値未満の第2の粘着剤は、フィルム2Aに対する塗工量が不安定になる。一方、かかる粘度が前記上限値を上回る第2の粘着剤は、第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から吐出する際に、擦れや糸曳きが生じやすくなる。なお、第2の粘着剤の冷却時110℃の粘度は、20〜100Pa・s程度であることが好ましい。これにより、第2の粘着剤をフィルム2Aにより確実に塗工することができる。
ここで、第2の粘着剤の冷却時および加熱時の粘度は、具体的には、レオメーターによって測定される値である。レオメーターによれば、粘着剤における粘度の温度依存性を容易に測定可能である。なお、上記粘度は、例えば、動的粘度粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム社製、「Rheosol−G3000」)を用いて測定することができる。
次に、本発明における第2の粘着剤の粘度挙動について、図7に基づいて説明する。図7は、レオメーターを用いて測定した第2の粘着剤の粘度挙動を示す模式図である。なお、図7は、特定の組成の第2の粘着剤の粘度挙動を示すグラフであり、第2の粘着剤は、その組成に応じて粘度挙動が若干変化することは言うまでもない。
高温(図7においては、140℃以上)の状態から第2の粘着剤を冷却していくと、Iの経路を辿って、2つの変曲点A、Bを通過して粘度が上昇する。次いで、低温(図7においては、60℃以下)の状態から加熱していくと、IIの経路を辿って、すなわち、冷却時とは異なった経路を辿って、2つの変曲点C、Dを通過して粘度が低下する。このように、冷却時と加熱時の粘度挙動が異なり(ヒステリシス特性を示し)、それらの差が大きいことが、本発明における第2の粘着剤の特徴である。このような特性(物性)を有することにより、次のような効果が得られる。
すなわち、従来のホットメルト粘着剤では、第2の粘着剤塗布手段14bのヘッド60bとして、貯留タンク14a1から吐出口60b1までの距離(供給路の距離)が短いタイプのものを用いた場合、ホットメルト粘着剤は、その温度が高い状態で、フィルム2Aに塗工されることになる。そのため、ホットメルト粘着剤の温度が高過ぎて、フィルム2Aが不本意に収縮してしまう。一方、これを回避すべく、貯留タンク14a1から吐出口60b1までの距離(供給路の距離)が長いタイプのヘッド60bを用いると、従来のホットメルト粘着剤では、吐出口60b1に至るまでに過度に冷却されてしまう結果、吐出口60b1から吐出する際に擦れや糸曳きが生じてしまい、フィルム2Aに塗工することができない。
これに対して、本願発明において用いられる第2の粘着剤は、冷却時において比較的広い温度範囲において、十分に低い粘度を維持する。このため、第2の粘着剤は、貯留タンク14a1から吐出口60b1までの距離(供給路の距離)の長短に係わらず、ヘッド60bから確実に吐出することができ、フィルム2Aに良好に塗工することができる。
一方、加熱トンネル300内で、フィルム2Aを収縮させる際(加熱時)には、図7中のIIの経路で示されるように、第2の粘着剤は、温度が比較的高くなっても、十分に高い粘度を維持するので凝集力が高く、良好な粘着性を維持する。このため、フィルム2Aが収縮しても、重複部71にズレや剥離が生じるのを確実に防止することができる。なお、従来のホットメルト粘着剤の粘度挙動は、冷却時および加熱時においてほぼ一致して直線的である。このため、従来のホットメルト粘着剤は、高温になると、粘度が極端に低くなるので、本発明のフィルム付容器の製造方法には使用することができない。
したがって、本発明のフィルム付容器の製造方法によれば、フィルム付容器1を高い歩留まりで、高い品質のフィルム付容器1を製造することができる。
また、フィルム付容器1をリサイクルする際も、第2の粘着剤は、85〜90℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液により加熱(昇温)されるが、第2の粘着剤は、前述したように粘度が低下し難い。このため、フィルム2Aに対する粘着状態が維持され、重複部71にズレや剥離が生じることが防止される。また、重複部71が分離しないので、第2の粘着部72が容器18の外周面に付着することもない。
本発明では、この第2の粘着剤は、軟化点が125〜165℃のポリプロピレンワックスを15〜35重量%、熱可塑性エラストマーを10〜25重量%、粘着付与剤を25〜40重量%および合成オイルを10〜40重量%で含んでいる。
<<軟化点が125〜165℃のポリプロピレンワックス>>
軟化点が125〜165℃のポリプロピレンワックスは、第2の粘着剤において、冷却時の粘度と加熱時の粘度との差を大きくするために用いられる。ここで、軟化点が125℃未満のポリプロピレンワックスを用いた場合、第2の粘着剤は、熱収縮温度での粘着力(凝集力)が低くなり、熱収縮適性を有さない。一方、軟化点が165℃を上回るポリプロピレンワックスを用いた場合、第2の粘着剤のフィルム2Aへの塗工時に、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から吐出することが困難となったり、擦れや糸曳きが生じる。特に、このポリプロピレンワックスの軟化点は、130〜150℃程度であるのが好ましい。これにより、第2の粘着剤は、良好な熱収縮適性を発揮するとともに、吐出口60b1からより安定的に吐出することが可能となる。
なお、軟化点の測定は、JIS K−2207(石油アスファルト)に規定された「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して行うことができる。
また、ポリプロピレンワックスの含有量は、15〜35重量%とされる。含有量が15重量%未満であると、第2の粘着剤は、熱収縮温度での粘着力が低くなり、熱収縮適性を有さない。一方、含有量が35重量%を超えると、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から吐出することが困難となったり、擦れや糸曳きが生じる。なお、ポリプロピレンワックスの含有量を前記範囲とすることにより、第2の粘着剤の熱収縮適性を向上させるとともに、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から確実に吐出させることができる。
このようなポリプロピレンワックスは、例えば、純度95%以上のプロピレンのガスを、触媒を添加した溶剤中に、30〜70℃で吹き込んでプロピレンを重合させ、その後、アルコールを溶剤に添加して触媒を溶解・除去することにより製造することができる。なお、かかる方法によれば、ポリプロピレンワックス(重合体)は、白色の粉末として得られる。触媒には、例えば、トリエチレンアルミニウムと三塩化チタンとの混合物等のチーグラー・ナッタ触媒が好適に用いられ、溶剤には、例えば、n−ヘプタン等の飽和炭化水素が好適に用いられる。また、重合反応は、常圧ないし8MPaの範囲で行われる。なお、イソタクチック型の重合体の含有量は、例えば、触媒の種類、濃度、トリエチルアルミニュウムと三塩化チタンとのモル比、反応温度、時間等を設定することにより調整することができる。
<<熱可塑性エラストマー>>
熱可塑性エラストマーは、第2の粘着剤の凝集力、ひいては粘着力を向上させるために用いられる。この熱可塑性エラストマーには、前記第1の粘着剤と同様のものを用いることができるが、その溶融粘度が、1〜10Pa・s程度であることが好ましく、1〜5Pa・s程度であることがより好ましい。溶融粘度が上記下限値未満の場合、第2の粘着剤の熱収縮温度で粘着力が低くなり、熱収縮適性が低下する場合がある。その結果、重複部71にズレや剥離が生じるおそれある。一方、溶融粘度が上記上限値を超えると、第2の粘着剤のフィルム2Aへの塗工時に、その塗工量等によっては、第2の粘着剤に擦れや糸曳きが生じやすくなる場合がある。
なお、熱可塑性エラストマーの溶融粘度とは、熱可塑性エラストマーを濃度25重量%で含有するトルエン溶液の粘度を、25℃でB型粘度計を用いて測定した際の値である。
熱可塑性エラストマーの含有量は、10〜25重量%とされる。含有量が10重量%未満であると、第2の粘着剤の凝集力が小さくなる。このため、第2の粘着剤は、熱収縮温度での粘着力が低くなり、熱収縮適性を有さない。その結果、重複部71にズレや剥離が生じる。含有量が25重量%を上回ると、第2の粘着剤のフィルム2Aへの塗工時に、第2の粘着剤に擦れや糸曳きが生じる。なお、熱可塑性エラストマーの含有量は、15〜20重量%程度であることが好ましい。これにより、第2の粘着剤は、良好な熱収縮適性を発揮するとともに、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から確実に吐出させることもできる。
<<粘着付与剤>>
粘着付与剤は、第2の粘着剤のフィルム2Aの裏面および表面(印刷面)対する粘着性(密着性)を向上させるために用いられる。この粘着付与剤としては、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、脂肪族系樹脂、脂環族系樹脂、芳香族系樹脂のような石油樹脂、その水素添加された石油樹脂、フェノール変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、酸変性ロジン樹脂、水素添加されたロジン樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、粘着付与剤の含有量は、25〜40重量%とされる。含有量が25重量%未満であると、第2の粘着剤の粘着性が低く、第2の粘着剤は、熱収縮適性を有さない。その結果、重複部71にズレや剥離が生じる。一方、含有量が40重量%を上回ると、第2の粘着剤の凝集力が発揮されず、粘着性が得られない結果、同様に、第2の粘着剤は、熱収縮適性を有さない。なお、粘着付与剤の含有量を前記範囲とすることにより、第2の粘着剤は、良好な熱収縮適性を発揮することができる。
<<合成オイル>>
合成オイルは、第2の粘着剤の粘着力が、低温時に低下するのを防止する機能を有する。この合成オイルには、前記第1の粘着剤と同様のものを用いることができる。また、合成オイルの含有量は、10〜40重量%とされる。これにより、第2の粘着剤の粘着力が、低温時に低下するのを確実に防止することできる。
以上のポリプロピレンワックス、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤および合成オイルを、所定の配合比(重量%)で混合して、第2の粘着剤を調製することができる。具体的には、第2の粘着剤は、まず、合成オイルおよび熱可塑性エラストマーを加熱・溶解して混合物を得た後、この混合物に粘着付与剤を完全に溶解し、その後、ポリプロピレンワックスを溶解することにより調製することができる。この際、混合物を加熱しつつ、回転数200〜500rpmでプロペラ式の攪拌翼を用いて攪拌することが好ましい。
各成分を上記のような配合比(重量%)で含有する第2の粘着剤は、優れた凝集力を維持することにより、良好な粘着性を発揮し、フィルム2Aを加熱により収縮させる際の重複部71のズレや剥離を確実に防止することができる。
このような第2の粘着剤の軟化点は、110〜140℃程度であることが好ましく、110〜135℃程度であるのがより好ましい。これにより、第2の粘着剤の熱収縮適性を向上させるとともに、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bの吐出口60b1から確実に吐出させることができる。
以上のような第1の粘着剤を第1の粘着剤塗布手段14aに充填し、第2の粘着剤を第2の粘着剤塗布手段14bに充填する。また、容器18を供給コンベヤ20(搬送装置400)にセットし、フィルム2をフィルムスタンドにセットする。
<2> 次に、製造装置100の運転を開始すると、供給コンベヤ20によって容器18がラベラ200に搬送される。このラベラ200内では、フィルムスタンドからフィルム2が繰り出され、ミシン目形成部3において、その長さ方向(長手方向)の所定の位置に、その幅方向(短手方向)に沿って、複数の第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3が形成される。次いで、各ミシン目2A2、2A3が形成されたフィルム2は、複数のローラ4を介して一対の回転体6A、6Bを備えたカッタ6に送られる。これにより、フィルム2が容器18のサイズに応じた所定の長さのフィルム2Aに切断される。
第1のミシン目2A2は、第1の粘着部70の近傍であって、第2の粘着部72をフィルム2Aの表面に貼り付けた際に、第2の粘着部72と重ならない位置に、フィルム2Aの幅方向(短手方向)に沿って形成される。一方、第2のミシン目2A3は、第2の粘着部72の近傍に、フィルム2Aの幅方向に沿って形成される。このように、第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3をフィルム2Aに形成することにより、フィルム2Aを容器18から取り除く際には、この操作をより確実に行うことができる。なお、第1のミシン目2A2および第2のミシン目2A3は、いずれか一方のみ設けるようにしてもよいし、不用であれば双方を省略してもよい。
<3> 切断されたフィルム2Aは、受け渡しドラム8を介してフィルム移送ドラム10に引き渡される。フィルム2Aは、その前端部(他端部)2Aa側が第1の突出部12aに接触すると、吸引口12cに作用する吸引力によって第1の突出部12aに吸着され、一方、その後端部(一端部)2Ab側が第2の突出部12b上に接触すると、吸引口12cに作用する吸引力によって第2の突出部12bに吸着される。なお、第1および第2の突出部12a、12bに吸着されたフィルム2Aの中間部分は、フィルム移送ドラム10の円筒部10bの外周面に密着した状態で保持される。
<4> フィルム保持部12に保持されたフィルム2Aは、フィルム移送ドラム10により回転移動する。そして、フィルム2Aの前端部2Aaおよび後端部2Abが、それぞれ第1の粘着剤塗布手段14aおよび第2の粘着剤塗布手段14bと対向する位置に到達すると、各粘着剤塗布手段14a、14bが作動を開始する。
第1の粘着剤塗布手段14aのヘッド60aがフィルム2Aに接触すると、制御手段の信号に基づいて、供給路に設けられている電磁弁のうちの所定の電磁弁が開放される。これにより、第1の粘着剤がヘッド60a内に供給され、所定の吐出口60a1〜60a6から吐出されてフィルム2Aの裏面(一方の面)に塗工される。第1の粘着剤は、フィルム2Aの前端部(他端部)2Aaの裏面に塗工されて、その幅方向(短手方向)に沿って間欠的に、第1の粘着部70が形成される。
また、これとほぼ同時に、第2の粘着剤塗布手段14bのヘッド60bがフィルム2Aに接触する。このとき、制御手段の信号に基づいて、供給路に設けられている電磁弁が開放される。これにより、第2の粘着剤がヘッド60b内に供給され、吐出口60b1から吐出されてフィルム2Aの裏面(一方の面)に塗工される。第2の粘着剤は、フィルム2Aの裏面の後端部(一端部)2Abに塗工されて、その幅方向(短手方向)に沿って連続的に、第2の粘着部72が形成される。
第1の粘着剤の塗工時の温度は、90〜110℃とされ、第2の粘着剤の塗工時の温度は、110〜145℃とされる。これにより、第1の粘着部70および第2の粘着部72を、所定の形状およびサイズで、フィルム2Aの裏面に確実に形成することができる。なお、第1の粘着剤の塗工時の温度は、95〜105℃程度であることが好ましく、第2の粘着剤の塗工時の温度は、120〜145℃程度であることが好ましい。
以上のようにして、図8(a)に示すように、第1の粘着部70および第2の粘着部72が形成されたフィルム2Aが得られる。すなわち、本工程<4>が粘着部形成工程である。
第1および第2の粘着剤の吐出を開始するタイミングは、フィルム移送ドラム10の位置信号に基づいて決定される。具体的には、第1の突出部12aが所定の位置に到達したことが検出されると、第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bは、それぞれ第1および第2の粘着剤の吐出を開始する。その後、所定の時間を経過すると。第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bは、第1および第2の粘着剤の吐出を停止する。なお、フィルム2Aに第1および第2の粘着剤を塗工する長さ(フィルム2Aの回転方向の長さ)に応じて、吐出時間を調整する。
一方、第1の粘着剤塗布手段14aが第1の粘着剤を吐出しない場合、制御手段の信号に基づいて、全ての電磁弁が閉鎖されて、吐出口60a1〜60a6への第1の粘着剤の供給が阻止される。また、第2の粘着剤塗布手段14bが第2の粘着剤を吐出しない場合、制御手段の信号に基づいて、電磁弁が閉鎖されて、吐出口60b1への第2の粘着剤の供給が阻止される。さらに、このとき、ヘッド60a、60bがフィルム2Aと接触しないように、第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bがフィルム移送ドラム10から後退する。
第1の粘着部70は、フィルム2Aを容器18に取り付ける際には、フィルム2Aの前端部2Aaを容器18の外周面に仮止めできれば十分であり、フィルム2Aを容器18から取り外す際には、第1の粘着部70(第1の粘着剤)が容器18の外表面にできるだけ残存しないようにするのが好ましい。かかる観点から、第1の粘着部70のサイズ(第1の粘着剤の量)が設定される。一方、第2の粘着部72は、フィルム2Aを収縮させる際に、重複部71にズレや剥離が生じないように、フィルム2Aの表面の前端部2Aaに密着していることが求められる。かかる観点から、第2の粘着部72のサイズ(第2の粘着剤の量)が設定される。
したがって、第2の粘着部72の幅は、第1の粘着部70の幅より広いことが好ましい。これにより、フィルム2Aを収縮(シュリンク)させる際に重複部71にズレや剥離が生じることや、フィルム2Aを容器18から取り外す際に、容器18の外表面へ第1の粘着部70が残存することをより確実に防止することができる。なお、各粘着部70および72の幅とは、フィルム2Aの巻き付け方向(長手方向)における長さである。
具体的には、第1の粘着部の幅をX[mm]とし、前記第2の粘着部の幅をY[mm]としたとき、Y/Xが1.1〜3なる関係を満足するのが好ましく、1.5〜2.2なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
なお、第1の粘着部70の幅Xは、2〜15mm程度であることが好ましく、5〜10mm程度であることがより好ましい。これにより、フィルム2Aを容器18から取り外す際に、容器18の外表面へ第1の粘着部70が残存することを防止する効果がより顕著となる。一方、第2の粘着部の幅Yは、3〜30mm程度であることが好ましく、10〜25mm程度であることがより好ましい。これにより、フィルム2Aを収縮させる際に、重複部71のズレや剥離を防止する効果がより顕著となる。
同様に、第2の粘着剤の量は、第1の粘着剤の量より多いことが好ましい。これにより、フィルム2Aを収縮(シュリンク)させる際に重複部71にズレや剥離が生じることや、フィルム2Aを容器18から取り外す際に、容器18の外表面へ第1の粘着部70が残存することをより確実に防止することができる。
具体的には、第1の粘着剤の量をA[g/m2]とし、第2の粘着剤の量をB[g/m2]としたとき、B/Aが1.2〜7なる関係を満足するのが好ましく、1.5〜5なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
なお、第1の粘着剤の量Aは、10〜50g/m2であることが好ましく、20〜30g/m2であることがより好ましい。これにより、フィルム2Aを容器18から取り外す際に、容器18の外表面へ第1の粘着部70が残存することを防止する効果がより顕著となる。一方、第2の粘着剤の量Bは、50〜150g/m2であることが好ましく、80〜120g/m2であることがより好ましい。これにより、フィルム2Aを収縮させる際に、重複部71のズレや剥離を防止する効果がより顕著となる。
<5> 一方、容器18は、供給コンベヤ20によって搬送され、インフィードスクリュー構22により、所定間隔に分離され、入口スターホイール24に引き渡される。入口スターホイール24は、受け取った容器18を回転搬送して容器搬送装置16に引き渡す。容器搬送装置16は、この容器18をフィルム貼り付け位置Bへ回転(公転)搬送する。
このように容器搬送装置16に供給された容器18は、図示しないセンサによって検出されており、容器18が検出されると、この容器18に対応するフィルム2Aが供給される。本実施形態では、容器18が検出されると、この容器18に貼り付けられるフィルム2Aが、前述したように、フィルム2からカッタ6によって切断され、フィルム移送ドラム10に受け渡され、その後、第1の粘着剤および第2の粘着剤が塗布されるようになっている。
なお、容器18が検出されない場合には、フィルム移送ドラム10へのフィルム2Aの供給を中止する。さらに、このフィルム2Aを保持する予定のフィルム保持部12が第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bに対向する位置に到達する前に、駆動機構(例えば、エアシリンダ)によって、ヘッド60a、60bを後退させて、フィルム2Aを保持していないフィルム保持部12に、第1および第2の粘着剤が付着しないようにする。
容器搬送装置16によって搬送されてきた容器18は、フィルム貼り付け位置Bに到達すると、まず、第1の粘着部70が容器18の外周面に押し付けられて貼り付けられる。これにより、図8(b)に示すように、フィルム2Aの前端部2Aaが容器18に固定される。この状態で、容器18は、フィルム移送ドラム10と密接することにより自転するので、フィルム2Aが容器18に巻き付けられる。その後、第2の粘着部72がフィルム2Aの前端部2Aaの表面(他方の面)に押し付けられて貼り付けられる。これにより、図8(c)に示すように、フィルム2Aが容器18の外周を取り囲んだ状態で位置決めされる。すなわち、本工程<5>が貼り付け工程である。
このとき、第2の粘着部72で第1の粘着部70を包含するように、第2の粘着部72を、フィルム2Aの表面に貼り付けるようにすることが好ましい。これにより、重複部71のサイズ(幅)をより小さくすることができる。このため、フィルム2Aの長さを不要に大きくする必要がないので、フィルム付容器1の製造方法のコスト削減に寄与する。
なお、フィルム2Aの容器18への巻き付けは、前記工程<4>(粘着部形成工程)とほぼ同時から3秒以内に開始されることが好ましい。これにより、第2の粘着部72を構成する第2の粘着剤が必要以上に冷却され、その粘度が極端に高くなるのを防止することができる。このため、第2の粘着部72をフィルム2Aの前端部2Aaの表面により確実に貼り付けることができる。また、このフィルム2Aの容器18への巻き付け開始時間は、0.9秒以内であることが好ましく、0.7秒以内であることがより好ましい。なお、フィルム2Aの容器18への巻き付け開始時間は、理想的には粘着部の形成とほぼ同時であるのがよいが、現実的には0.001〜3秒程度が好ましく、0.01〜3秒程度がより好ましく、0.01〜2秒程度がさらに好ましく、0.01〜1秒が最も好ましい。
したがって、フィルム移送ドラム10の回転速度は、5〜350rpm程度であることが好ましく、10〜150rpm程度であることがより好ましい。また、容器搬送装置16の回転速度は、1〜100rpm程度であることが好ましく、8〜40rpm程度であることがより好ましい。
なお、フィルム2Aを収縮させて、フィルム2Aを容器18の外周面に密着させる際には、第1の粘着部70は、容器18の外周面から部分的に剥がれていても、フィルム付容器1の使用時等には、何ら問題ない。フィルム2Aが一旦収縮した後は、フィルム2Aは、主に、その収縮応力によって容器18に固定されるからである。
次いで、フィルム2Aが位置決めされた容器18は、フィルム押圧部17を通過する。このとき、フィルム2Aは、第1の粘着部70を容器18に貼り付ける際の圧力および第2の粘着部72をフィルム2Aの表面に貼り付ける際の圧力より大きい圧力で、各押圧ローラ171によって容器18に押し付けられる。これにより、フィルム2Aを収縮させる次工程<6>において、重複部71にズレや剥離が生じることをより確実に防止することができる。
<6> 次に、フィルム2Aが位置決めされた容器18は、容器搬送装置16の回転体26の回転によって回転搬送され、出口スターホイール28によって、排出コンベヤ30上に排出される。そして、この容器18は、排出コンベヤ30によって、順次、加熱トンネル300に搬送される。加熱トンネル300では、フィルム2Aが位置決めされた容器18は、第1〜第6の加熱エリア300a〜300fを順に通過する。このとき、フィルム2Aが収縮し、容器18の外周面に密着する。すなわち、本工程<6>が収縮工程である。
本実施形態では、フィルム2Aには、第1〜第6の吹き出し口301a〜301fから供給される蒸気または熱風が、容器18の高さ方向に沿って下から上に向かって順に衝突する。このとき、フィルム2Aと容器18との隙間に存在する空気は、フィルム2Aの収縮に伴って、その隙間から効率よく排出(除去)される。これにより、フィルム2Aと容器18の外周面との密着性をより高めること、すなわち、フィルム2Aに浮きが生じることを防止することができる。
特に、本実施形態では、フィルム2Aに、第1および第2のミシン目2A2、2A3が形成されているので、これらの開口からも、フィルム2Aと容器18との隙間に存在する空気が排出される。したがって、本実施形態によれば、フィルム2Aの容器18の外周面への密着性がさらに高まる。
また、加熱トンネル300では、各吹き出し口301a〜301fから供給される蒸気または熱風が衝突することにより、フィルム2Aが段階的に加熱される。これにより、フィルム2Aが急激に収縮するのを阻止することができ、フィルム2Aにシワが生じることや、重複部71にズレや剥離が生じることをより確実に防止することができる。
なお、加熱トンネル300全体としての平均的な温度は、60〜110℃とされるが、85〜95℃程度であることが好ましい。これにより、フィルム2Aを撓みなく確実に収縮させることができる。本実施形態では、各吹き出し口301a〜301fから供給される蒸気または熱風の温度は、例えば、次のように設定される。
第1の吹き出し口301aから供給される蒸気または熱風の温度は、85〜95℃程度、第2の吹き出し口301bから供給される蒸気または熱風の温度は、87〜97℃程度
、第3の吹き出し口301cから供給される蒸気または熱風の温度は、89〜99℃程度
、第4の吹き出し口301dから供給される蒸気または熱風の温度は、91〜101℃程度、第5の吹き出し口301eから供給される蒸気または熱風の温度は、93〜103℃程度、第6の吹き出し口301fから供給される蒸気または熱風の温度は、95〜105℃程度とされる。
ここで、加熱トンネル300に搬送される容器18の数は、ラベラ200での容器18の処理速度に依存して変化する。このため、加熱トンネル300に供給される容器18の数が減少すると、加熱トンネル300内の温度は上昇し、一方、加熱トンネル300に供給される容器18の数が増大すると、加熱トンネル300内の温度は下降する傾向を示す。したがって、従来、加熱トンネル300内の温度を一定に保持するためには、加熱トンネル300に付与する熱量を、加熱トンネル300に供給される容器18の数に応じて管理する必要があり、手間とコストがかかっている。
これに対して、本発明では、加熱時において比較的高い温度の領域においても、十分な粘度を有する特徴のある第2の粘着剤を使用する。このため、加熱トンネル300内の温度を比較的高い温度に設定しても、重複部71にズレや剥離が生じることが確実に防止される。したがって、本発明では、加熱トンネル300に供給される容器18の数が増大した場合でも、その内部の温度が、フィルム2Aを十分に収縮させ得る程度に維持できるように、予め高い温度に設定しておくことができる。このようなことから、加熱トンネル300に供給される容器18の数に応じて、各吹き出し口301a〜301fから供給される蒸気または熱風の量や温度を管理する必要がなく、手間とコストの削減に寄与する。
以上のような工程を経て、フィルム付容器1が製造される。
なお、本実施形態では、前記工程<5>において、フィルム2Aの前端部2Aaを容器18に固定するのに、第1の粘着部70(第1の粘着剤)を用いたが、これを必ずしも用いる必要はない。前記固定には、例えば、第1の粘着剤に代えて、第2の粘着剤あるいは他の粘着剤や接着剤を用いてもよいし、熱融着やレーザー融着による方法を用いてもよいし、容器台26aにフィルム2Aを容器18に固定する機構を設けて物理的に行うようにしてもよい。
さらに、前記工程<6>において、フィルム2Aが容器18の外周を取り囲んだ状態になっていればよい。例えば、前記工程<5>において、フィルム2Aに第2の粘着剤を塗工して第2の粘着部72を形成した後、これをマンドレルのような筒状あるいは円柱状の部材に巻きつけて、第2の粘着部72介してフィルム2Aの前端部2Aaと後端部2Abとを貼り合わせてフィルム2Aを筒状とし、その後、筒状のフィルム2Aを容器18に被せることにより、フィルム2Aが容器18の外周を取り囲んだ状態となるようにしてもよい。
以上、本発明のフィルム付容器の製造方法およびフィルム付容器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明のフィルム付容器の製造方法では、任意の目的の1以上の工程が追加されてもよい。また、本発明のフィルム付容器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、前記実施形態では、各ミシン目2A2、2A3を、フィルム2をフィルム2Aに切断する前に形成したが、ミシン目2A2、2A3は、フィルム2をフィルム2Aに切断するのと同時にカッタ6で形成してもよく、各粘着部70、72をフィルム2Aに形成する際に、フィルム移送ドラム10にフィルム2Aを保持した状態で形成してもよい。
また、前記実施形態では、ヘッド60aおよび60bをフィルム2Aに接触させて第1および第2の粘着剤を塗工する接触式の方法について説明したが、これに限定されず、粘着剤を噴射する非接触式の方法であってもよい。また、非接触式の方法としては、例えば、カーテンスプレー方式、スパイラルスプレー方式、ドット方式、ビード方式等が挙げられる。非接触式の方法では、ノズルからフィルム2Aまでの距離が大きいので、各粘着剤がフィルム2Aに到達するまでに冷却されるため、フィルム2Aが容器18に位置決めされる前の収縮をより確実に防止することができる。
また、前記実施形態では、フィルム2Aに第1および第2の粘着部70、72をほぼ同時に形成したが、第1および第2の粘着部70、72は、フィルム2Aにいずれか一方を先に形成し、その後、他方を形成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、フィルム押圧部17が押圧ローラ171を備える構成であったが、容器18の形状に応じて、押圧ローラ171を押圧ブラシに変更することもできる。
また、前記実施形態では、加熱トンネル300において、蒸気または熱風を、フィルム2Aに対して容器18の高さ方向に沿って下から上に向かって順に衝突させたが、上から下に向かって順に衝突させるようにしてもよく、中央部から上下に向かって順に衝突させるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
1−1.第1のホットメルト粘着剤の作製
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるパラフィン系プロセスオイル31重量部と、無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックスである無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(酸価:50mgKOH/g、DSC融点:66℃)4重量部と、テルペンフェノール樹脂(軟化点:30℃)10重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、この加熱は、内容物の温度が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行って、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度に保持しつつ、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液に、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:8Pa・s)16重量部を徐々に添加した。次いで、溶融溶液に、ロジン系粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)39重量部を添加して均一化した後、冷却して、第1のホットメルト粘着剤を得た。
1−2.第2のホットメルト粘着剤の作製
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるナフテン系プロセスオイル15重量部と、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:1.35Pa・s)20重量部と、粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)35重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、加熱は、内容物が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行い、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液にポリプロピレンワックス(分子量:7,000、軟化点:131℃)30重量部を添加して均一化した後、冷却して、第2のホットメルト粘着剤を得た。この第2のホットメルト粘着剤の軟化点は、117℃であった。
また、得られた第2のホットメルト粘着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。その結果、加熱時における120℃での粘度が500Pa・s、冷却時における110℃での粘度が100Pa・Sであった。なお、粘度の測定方法および測定条件は下記の通りである。
・測定装置:動的粘度粘弾性測定装置 Rheosol−G3000(株式会社 ユービーエム社製
・測定モード:温度依存性
・チャック:パラレルプレート
・波形:正弦波
・パラレル直径:19.99mm
・キャップ:1mm
・降温粘度測定開始温度:180℃ 測定終了温度: 30℃
・昇温温度測定開始温度: 30℃ 測定終了温度:180℃
・降温速度:3℃/分
・昇温速度:3℃/分
・回転幅:2Hz、3deg
1−3.フィルムの準備
フィルムとして、長手方向に沿って熱収縮可能なポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。なお、このポリエチレンテレフタレートフィルムは、平均厚さ20μm、幅250mm、長さ5,000mであった。
1−4.容器の準備
容器として、周囲400mmの四角筒状のPETボトルを用意した。
1−5.フィルム付容器の製造
図2〜図6に示す製造装置に、第1のホットメルト粘着剤、第2のホットメルト粘着剤、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび1000個のPETボトルをセットして、フィルム付容器を製造した。
なお、第1のホットメルト粘着剤の温度を100℃、塗工量を25g/m2、第2のホットメルト粘着剤の温度を140℃、塗工量を100g/m2とし、幅7mmの第1の粘着部および幅15mmの第2の粘着部が形成されるように、第1および第2の粘着剤塗布手段14a、14bを設定した。また、フィルム移送ドラム10の回転速度を120rpm、容器搬送装置16の回転速度を36rpm、排出コンベヤ30の搬送速度を100bpm(btolle/min)に設定し、第1のホットメルト粘着剤および第2のホットメルト粘着剤のポリエチレンテレフタレートフィルムへの塗工後、ポリエチレンテレフタレートフィルムのPETボトルへの巻きつけ開始時間を0.7秒に設定した。
また、第1の吹き出し口301aから供給される蒸気の温度を、85℃、第2の吹き出し口301bから供給される蒸気の温度を、87℃程度、第3の吹き出し口301cから供給される蒸気の温度を、89℃、第4の吹き出し口301dから供給される蒸気の温度を、91℃程度、第5の吹き出し口301eから供給される蒸気の温度を、93℃、第6の吹き出し口301fから供給される蒸気の温度を、95℃に設定した。
(実施例2)
排出コンベヤ30の搬送速度を500bpmに変更した以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
(実施例3)
排出コンベヤ30の搬送速度を700bpmに変更した以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
(実施例4)
次のようにして作製した第2のホットメルト粘着剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるナフテン系プロセスオイル40重量部と、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:8Pa・s)10重量部と、粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)30重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、加熱は、内容物が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行い、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液にポリプロピレンワックス(分子量:7,300、軟化点:150℃)20重量部を添加して均一化した後、冷却して、第2のホットメルト粘着剤を得た。この第2のホットメルト粘着剤の軟化点は、134℃であった。
また、得られた第2のホットメルト粘着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。その結果、加熱時における120℃での粘度が8,000Pa・s、冷却時における110℃での粘度が19Pa・sであった。
(実施例5)
次のようにして作製した第2のホットメルト粘着剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるナフテン系プロセスオイル24重量部と、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:1.35Pa・s)20重量部と、粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)29重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、加熱は、内容物が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行い、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液にポリプロピレンワックス(分子量:21,000、軟化点:156℃)27重量部を添加して均一化した後、冷却して、第2のホットメルト粘着剤を得た。この第2のホットメルト粘着剤の軟化点は、135℃であった。
また、得られた第2のホットメルト粘着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。その結果、加熱時における120℃での粘度が300Pa・s、冷却時における110℃での粘度が95Pa・sであった。
(実施例6)
次のようにして作製した第2のホットメルト粘着剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるナフテン系プロセスオイル16重量部と、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:1.35Pa・s)20重量部と、粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)34重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、加熱は、内容物が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行い、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液にポリプロピレンワックス(分子量:7,000、軟化点:131℃)30重量部を添加して均一化した後、冷却して、第2のホットメルト粘着剤を得た。この第2のホットメルト粘着剤の軟化点は、134℃であった。
また、得られた第2のホットメルト粘着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。その結果、加熱時における120℃での粘度が300Pa・s、冷却時における110℃での粘度が90Pa・sであった。
(比較例1〜3)
第2のホットメルト粘着剤として、次のようにして作製したポリプロピレンワックスを含まない粘着剤を用いた以外は、前記実施例1〜3と同様にして、フィルム付容器を製造した。
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるナフテン系プロセスオイル35重量部と、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:1.3Pa・s)20重量部と、粘着付与剤である水添ロジン(酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃)35重量部とを投入し、加熱して溶融した。なお、加熱は、内容物が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
その後、攪拌を行い、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液にパラフィンワックス(分子量:500、軟化点:75℃)10重量部を添加して均一化した後、冷却して、第2のホットメルト粘着剤を得た。この第2のホットメルト粘着剤の軟化点は、71℃であった。
なお、この粘着剤の加熱時における120℃での粘度は、10Pa・s、冷却時における110℃での粘度は、5Pa・sであった。
(比較例4)
第1のホットメルト粘着剤として、次のようにして作製した粘着剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、フィルム付容器を製造した。
まず、攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイルであるパラフィン系プロセスオイル30重量部を120〜130℃で加熱し、攪拌しながら、熱可塑性エラストマーであるスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(ジブロック量:0%、溶融粘度:1.3Pa・s)15重量部を徐々に添加した。
その後、攪拌を行って、均一の溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度に保持しつつ、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液に、石油系樹脂であるデシクロペンタジエン(軟化点:100℃)55重量部を投入し、加熱して溶融した。なお、この加熱は、内容物の温度が130℃未満150℃超にならないようにして攪拌して行い、均一な溶液を得た。その後、冷却して、第1のホットメルト粘着剤を得た。
各実施例および各比較例で得られたフィルム付容器について、以下の試験を行った。
2−1.リサイクル性試験
フィルム付き容器を約8×8mm角に粉砕して、フィルムが付いた状態のPETボトルのペレットとした。1,000mLの丸型フラスコに、90℃の1.5wt%水酸化ナトリウム水溶液360gとペレット40gとを入れて、プロペラ(攪拌羽)を用いて250rpmで攪拌した。15分経過後、ペレットを含む水酸化ナトリウム水溶液をフィルターで濾過し、ペレットにホットメルト粘着剤が付着しているか否かを目視で確認した。
2−2.熱収縮適性試験
製造されたフィルム付容器において、フィルムの重複部に剥離やズレが生じているか否かを目視で確認した。
実施例1〜6および比較例4で製造されたフィルム付容器は、排出コンベヤ30の搬送速度に係わらず、フィルムの重複部に剥離やズレが生じていなかった。これに対して、比較例1〜3で製造されたフィルム付容器は、フィルムの重複部に剥離や大きなズレが生じていた。
また、実施例1〜6で製造されたフィルム付容器のリサイクル性試験において、ペレットにホットメルト粘着剤の付着は、認められなかった。これに対して、比較例1〜4で製造されたフィルム付容器のリサイクル性試験においては、ペレットにホットメルト粘着剤の付着が認められた。比較例1〜3においては、90℃の1.5wt%水酸化ナトリウム水溶液の熱により、第2のホットメルト粘着剤が軟化してペレットに付着したものであると考えられる。一方、比較例4においては、フィルム断片が付着したペレットも多数認められた。これは、第1のホットメルト粘着剤自体が水酸化ナトリウム水溶液に溶解または分散し難いことが原因であると考えられる。