JP5832507B2 - 交流発電機 - Google Patents

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Description

この発明は、交流発電機に関し、特に、車載バッテリの充電および車載電気装置へ電力を供給する車両用の交流発電機に係わるものである。
従来の車両用の交流発電機は、国際公開第2008−037294号公報に示されるように、ブラケットに形成されているファンの吸い込み口の断面が円形を有している。吸い込み口の径は、ファンに向かって滑らかに小さくなった後、ファンと最も隣接する位置まで徐々に拡大している構造となっている。
しかし、従来の車両用交流発電機においては、吸い込み口の径がファンに向かって徐々に拡大しているため、冷却空気がファンによって運動量を与えられる範囲が減少し、ファンによって圧力上昇される量が減少してしまう。
その結果、ファン先端側に空間を設け、ファンの出口側の圧力損失を低減させても、ファンよりも上流側の風路の圧力損失がある程度の大きさがある場合、冷却空気の風量の増加量が低下するなどの問題があった。
また、ファンから流出した空気流は圧力が高く、ファンの吸い込み口付近は圧力が低いため、ファンの下流側からファンの吸い込み口に向かって、ファンの先端付近の空間で冷却空気の漏れ流れが発生する。しかし、ファンの吸い込み口がファンと最も隣接する位置まで徐々に拡大するような構造であるため、冷却空気の漏れ流れに対して抵抗が小さく、冷却空気の漏れ流れの流量が増加しやすい。冷却空気の漏れ流れが多いとファンの仕事量としては一定であるため、吐出される冷却空気の風量が低下してしまう。
国際公開 WO2008/037294号
このように、特許文献1に示された従来の車両用の交流発電機は、冷却空気の風量が減少することによって、ファンによって作り出される空気流によって冷却されるべき部品の温度が上昇するという問題があった。
この発明は、従来の交流発電機における前述のような課題を解決するためになされたものであり、車両用の交流発電機のファンの作り出す空気流の風路の圧力損失を低減するとともに、冷却空気の風量を増加させ、固定子巻線や整流素子などの冷却効果を向上することを目的とするものである。
この発明に係わる交流発電機は、外周に排気口を、軸方向の端部に吸気口を有するケーシング、前記ケーシング内に配置された固定子、前記固定子内に軸により回転自在に支持された回転子、前記ケーシング内の前記吸気口に対向して配置されており、前記回転子と一体に回転される遠心ファンとを備え前記遠心ファンにより前記吸気口から吸引された空気が、前記ケーシング内を流通した状態で前記排気口から排気されており、前記遠心ファンの先端部と前記ケーシングが対向する面であって、前記ケーシングの前記吸気口の外周に隣接する位置に空気の流通側に突出した状態で形成された突起、を備えたものである。
この発明の交流発電機によれば、遠心ファンにより吸気口から吸引された空気が、ケーシング内を流通した状態で排気口から排気されており、遠心ファンの先端部とケーシングが対向する面であって、ケーシングの吸気口の外周に隣接する位置に空気の流通側に突出した状態で形成された突起を設けることにより、冷却空気の風路の面積を拡大でき、遠心ファンによって発生する風量を増加させることができるので、交流発電機内の固定子巻線や整流素子などの冷却効果を向上させることができる。
この発明の実施の形態1における車両用の交流発電機を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における車両用の交流発電機の保護カバー未装着状態を示すリヤ側端面図である。 この発明の実施の形態1における車両用の交流発電機のファンの斜視図である。 この発明の実施の形態1における交流発電機のリヤブラケットの斜視図である。 この発明の実施の形態2における交流発電機を示す要部断面図である。 この発明の実施の形態3における交流発電機を示す要部断面図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車両用の交流発電機を示す断面図である。また図2は、この発明の実施の形態1に係る車両用の交流発電機における保護カバー未装着状態を示すリヤ側端面図である。
以下、図面を参照しながら、実施の形態1における交流発電機の構成と動作について詳細に説明する。図1及び図2において、車両用の交流発電機1は、それぞれ椀形状のアルミニウム製のフロントブラケット2とリヤブラケット3とからなるケーシング4を備えている。
また、交流発電機1は、ケーシング4に一対の軸受5を介して回転自在に支持されたシャフト6と、ケーシング4のフロント側に延出するシャフト6の端部に固着されたプーリ7と、シャフト6に固定されてケーシング4内に配設された回転子8を備えている。
さらにまた、交流発電機1は、回転子8の軸方向6aの両端面に固定されたファン11と、回転子8を囲繞するようにケーシング4に固定された固定子12と、ケーシング4のリヤ側に延出するシャフト6の延出部に固定され、回転子8に電流を供給する一対のスリップリング15と、各スリップリング15の表面に摺動する一対のブラシ16と、これらのブラシ16を収容するブラシホルダ17とを備えている。
また、交流発電機1は、リヤブラケット3のリヤ側に配置されて、固定子12で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器22と、リヤブラケット3のリヤ側に配置されて、電圧調整器22などと外部装置(図示せず)との信号の入出力を行うコネクタ24と、リヤブラケット3のリヤ側に配置されて、固定子12で生じる交流電圧を直流電圧に整流する整流装置28と、ブラシホルダ17、電圧調整器22、整流装置28を覆うようにリヤブラケット3に装着された保護カバー50とを備えている。
回転子8は、ランデル型回転子であり、励磁電流が流されて磁束を発生する界磁巻線9と、界磁巻線9を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成されるポールコア10とを備えている。
また、固定子12は、円筒状の固定子鉄心13と、固定子鉄心13に巻装され回転子8の回転に伴い界磁巻線9からの磁束の変化で交流が生じる固定子巻線14とを備えている。さらに固定子12は、固定子鉄心13をフロントブラケット2およびリヤブラケット3の開口端に軸方向両側から挟持されて回転子8を取り囲むように配設されている。
整流装置28は、複数個の正極側整流素子30が実装された正極側ヒートシンク29と、複数個の負極側整流素子32が実装された負極側ヒートシンク31と、サーキットボード33とを備えている。正極側ヒートシンク29と負極側ヒートシンク31との間にサーキットボード33を挟み込んで略C字状に構成されている。サーキットボード33は、PBTなどの絶縁性樹脂をモールド成形して作製されている。
そして、正極側整流素子30と負極側整流素子32とがサーキットボード33にインサート成形されている電気導体を介して所定のブリッジ回路を構成するように接続される。
次に、車両用の交流発電機1の動作について説明する。なお、車両用の交流発電機1では、12極、36スロットの3相交流発電機として動作するが、極数、スロット数はこれに限定されない。
車両用の交流発電機1では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ16およびスリップリング15を介して回転子8の界磁巻線9に供給され、磁束が発生される。この磁束により、N極とS極とがポールコア10の外周面に周方向に交互に形成される。
一方、エンジンの回転トルクがエンジンの出力軸からベルトおよびプーリ7を介してシャフト6に伝達され、回転子8が回転される。そこで、回転磁界が固定子12の固定子巻線14に与えられ、起電力が固定子巻線14に発生する。この起電力で発生する交流電流が整流装置28で整流されて、バッテリを充電し、あるいは電気負荷に供給される。
ファン11は、回転子8の回転に連動して回転する。フロント側では、冷却空気がフロント側吸気口2aからフロントブラケット2内に吸気され、軸方向に回転子8近傍まで流れる。そして、冷却空気は、回転子近傍においてファン11により遠心方向に曲げられ、フロント側排気口2bから排出される。
リヤ側では、冷却空気が保護カバー50に設けられた複数の吸気口53から保護カバー50内に吸気され、正極側ヒートシンク29および負極側ヒートシンク31に設けられた放熱フィンの間を通ってリヤブラケット3まで流れる。次に、冷却空気は、リヤ側吸気口3aからリヤブラケット3内に吸気され、軸方向に回転子8近傍まで流れる。そして、冷却空気は、回転子8近傍においてファン11により遠心方向に曲げられ、リヤ側排気口3bから排出される。
固定子12で発生する熱の一部は、ファン11から流出しフロント側排気口2bおよびリヤ側排気口3bに向かう冷却空気により、コイルエンド12aから放熱される。
また一部の固定子12の熱は、フロントブラケット2およびリヤブラケット3に伝導し、フロント側排気口2bの複数のフロント側リブ51、およびリヤ側リブ52から冷却空気に放熱され、固定子12が冷却される。また、正極側整流素子30および負極側整流素子32は、正極側ヒートシンク29および負極側ヒートシンク31に設けられた放熱フィン間を流通する冷却空気によって冷却される。
ここで、リヤブラケット3とファン11の周辺の構造と動作について説明する。回転するファン11の先端11aと静止しているリヤブラケット3の間には隙間60が存在する。ファン11のシャフト6側の圧力が低く、リヤブラケット排気口3b側は圧力が高いため、隙間60において、リヤ側排気口3b側からシャフト6側に向かって、漏れ流れが生じる。
この漏れ流れの量が大きくなると、固定子12や正極側整流素子30や負極側整流素子32などを冷却するための空気量が低下する。それによって、固定子12や正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度が上昇し、交流発電機1の発電量が低下する。
隙間60の漏れ流れの量を低減させるため、リヤブラケット3とファン11の先端部11aを平行に対面させ、隙間60を極力小さくなるようにしている。このようにすると、漏れ流れの量を低減できることはあるが、回転するファン11の翼面には圧力が高い側と低い側が形成されており、それらの圧力がリヤブラケット3側に伝播し、リヤブラケット3の表面で圧力の変動が生じ、大きな騒音を発生してしまうという問題がある。
一方、一般的な車両用の交流発電機1では、固定子12のコイルエンド12aから整流装置側にリード14aが接続されており、そのリード14aの存在はファン11から流出する空気の流路の面積を縮小させる。また、コイルエンド12aの先端についても、ファン11の底面部11bより軸方向にファン11の先端11aに近いこともあり、ファン11から流出する空気の流路の面積を縮小させることがある。ファン11から流出する空気の流路の面積が縮小すると、固定子12や正極側整流素子30や負極側整流素子32などを冷却するための空気量が低下する。それによって、固定子12や正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度が上昇し、車両用交流発電機1の発電量が低下する。
次に、本発明の実施の形態1のリヤブラケット3とファン11の周辺の構造について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用の交流発電機におけるファンの斜視図である。図3において、ファン11は、ファン本体83とファン本体に設けられた複数の翼(羽根)84を備えている。複数の翼84は、それぞれファン本体83の内周80から外周82の間において、翼の高さが最も高い部分81を有している。また、翼の高さが最も高い部分81から外周82までの翼は、同一の高さを有している。
また、図4はこの発明の実施の形態1に係る車両用の交流発電機におけるリヤブラケットの斜視図である。リヤブラケット3は、冷却空気を通すための吸気口3aを複数備えている。また、リヤブラケット3は、リブ52によって区切られた排気口3bを備えている。リヤブラケット3の複数の吸気口3aの外周の直径85は、ファン11の外周の直径より小さく形成されている。また、吸気口3aの外周の半径方向6bの位置におけるファン11の翼の高さは、最も翼の高い部分を有している。リヤブラケット3の吸気口の外周の直径は、ファンの翼の高さが最も高い部分81となる周の直径よりも大きく形成されている。
また、図1を参照して、実施の形態1における交流発電機1は、前述した構成に加えて、ファン11の先端部11aとリヤブラケット3が対向する面のリヤブラケット3の吸気口3aの外周に隣接する位置に突起を備えている。
リヤブラケットのファン11側の端部70は、シャフト6の軸方向6aと平行であり、ファン11に最も近接している。突起は、端部70から半径方向6bに向かって、ファン11から離れるように傾斜している。以上のような構成により、ファンの先端部11aとリヤブラケット3が対向する面のリヤブラケット3の吸気口3aの外周に隣接する位置に、断面形状が直角三角形の突起が形成される。
このような構成にすることで、ファン11の外周における先端11aとブラケットの距離を拡大でき、排出口3bの面積を拡大できる。
これによりリード14aやコイルエンド12aによって閉塞されていた冷却空気の風路の面積を拡大できるため、圧力損失が低減し、ファン11によって発生する風量が増加し、正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度を低減することができる。
また、吸気口3aの外径からファン11の外径の間において、冷却空気は、ファン11によって運動量を与えられ、それによって圧力が上昇する。吸気口3aの外側面(外周側面)を軸方向6aと平行にすることで、吸気口3aの外径とファン11の外径の間の距離を拡大でき、圧力を上昇させることができるようになる。それにより正極側整流素子30や負極側整流素子32の冷却のためのヒートシンクの圧力損失が大きい場合でも、ファン11によって圧力上昇をさせることができ、正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度を低減することができる。
また、本実施の形態のように、ファン11の先端11aとリヤブラケット3は、端部70付近では近接するものの、ファン11の外周に向かって、先端11aとリヤブラケット3の距離を大きくする構成にしたことにより、騒音源であるリヤブラケット3の表面での圧力の変動が減少し、騒音を増加させることなく、漏れ流れの量を抑制し、冷却空気の風量を増加させることができる。
次に、本実施の形態1のフロントブラケット2とファン11周辺の構造について説明する。フロント側にはリード14aなどが存在しないが、ファンの出口面積を縮小させるコイルエンド12aは存在している。フロント側は、リヤ側よりもファンの出口の面積を減少させる構造部材が少ないものの、リヤ側と同様にファンの出口面積を拡大させる構造にすることにより冷却能力を向上させる。
フロント側のファン11の構造は、図3に示したリヤ側のファンの構造と同一である。よって、図3に示したファンの構造についての説明は省略する。ただし、ファン11の複数の翼(羽根)84は、ファン内周80から外周82にかけて翼の高さが同じであってもよい。
また、フロントブラケット2の吸気口2aの外周の直径は、ファン11の外周の直径より小さく形成されている。吸気口2aの外周の半径方向6bの位置におけるファン11の翼の高さは、最も翼の高い部分を有している。
また、図1を参照して、フロントブラケット2の吸気口2aの外周側面は、シャフト6の軸方向6aと平行である。よって、吸気口2aの外周面におけるファン11側の端部71はファン11に最も隣接している。端部71から半径方向6bに向かっては、少しずつファン11から離れるように傾斜している。以上のような構成により、ファンの先端部11cとフロントブラケット2が対向する面のフロントブラケット2の周上の吸気口2aに隣接する位置に、突起が形成されている。突起は、断面形状において直角三角形を有している。
このような構成にすることで、ファン11の外周における先端11cとフロントブラケット2の距離を拡大でき、排出口2bの面積を拡大できる。
これによりコイルエンド12aによって閉塞されていた冷却空気の風路の面積を拡大できるため、圧力損失が低減し、ファン11によって発生する風量が増加し、軸受5や固定子12などの温度を低減することができる。
また、吸気口2aの外径からファン11の外径の間において、冷却空気は、ファン11によって運動量を与えられ、それによって圧力が上昇する。吸気口2aの外側面を軸方向6aと平行にすることで、吸気口2aの外径とファン11の外径の間の距離が大きくなり、圧力を上昇させることができるようになる。
それにより、コイルエンド12の先端が軸方向6a方向に伸びファン先端11cと同等の位置にある場合や、吸気口2aに複数のリブがあり吸気口2aの面積が縮小した場合でも、ファン11によって圧力上昇をさせることができ、軸受5や固定子12などの温度を低減することができる。
また、ファン11の先端11cとフロントブラケット2は、端部71付近では近接するものの、ファン11の外周に向かって、先端11cとフロントブラケット2の距離を大きくしている。これにより、騒音源であるフロントブラケット2の表面での圧力の変動が減少し、騒音を増加させることなく漏れ流れの量を抑制し、冷却空気の風量を増加させることができる。
実施の形態2.
図5は、実施の形態2における交流発電機を示す要部断面図である。図5において、実施の形態1と同じ符号については、実施の形態1と同一であるので説明を省略する。また、矢印は吸気口3aから排気口3bまでの空気の流れを示す。
リヤ側において、正極側整流素子30や負極側整流素子32の冷却のためのヒートシンクの圧力損失が大きい場合、ファンで発生させる圧力が大きくなり、ファンの中心付近と出口付近の圧力差が大きくなる。その圧力差が大きくなると、隙間60付近のリヤブラケット3の排出口3b側から吸気口3aに向かう漏れ流れが増加し、冷却空気の風量が低減することがある。
ここでは、ファンで発生させる圧力が大きい場合のファン11の周辺構造について、図5を用いて説明する。ファン11は、ファン本体83とファン本体に設けられた複数の翼(羽根)84を備えている。複数の翼84は、それぞれファン本体83の内周80から外周82の間において、翼の高さが最も高い部分81を有している。また、翼の高さが最も高い部分81から外周82までの翼は、同一の高さを有している。
リヤブラケット3は、冷却空気を通すための吸気口3aを複数備えている。また、リヤブラケット3は、リブ52によって区切られた排気口3bを備えている。リヤブラケット3の吸気口3aの外周の直径は、ファン11の外周の直径より小さく形成されている。
また、吸気口3aの外周の半径方向6bの位置におけるファン11の翼高さは、最も翼の高い部分を有している。リヤブラケット3の吸気口3aの外周側面は、シャフト6の軸方向6aと平行である。よって吸気口3aの外周面におけるファン11側の端部70はファン11に最も近接している。端部70から半径方向6bに向かっては、ファン11の先端11aと平行な部分と、ファン11から離れるように傾斜している部分とを有している。以上のような構成により、断面形状が台形の突起が吸気口3aに隣接するようにリヤブラケット3の外周上に形成される。
実施の形態1では、リヤブラケット3の端部70近傍の隙間60が最も小さく、半径方向6bに向かって隙間60が拡大していた。実施の形態2では、リヤブラケット3の端部70から半径方向6bに向かって隙間60は一定であり、ファン11の外周の直径よりも小さい位置から隙間60が拡大している。
隙間60の最も小さくなる範囲が実施の形態1よりも半径方向6bに拡大することで、ファン11の出口の圧力の高い領域から、リヤブラケット3の吸い込み口3a圧力の低い領域に向かって、隙間60を通って逆流する流れに対して抵抗を増加し、逆流する流量を抑制できる。
その結果、冷却空気の風量が増加し、正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度を低減できる。
このような構成にすることでファン11の外周における先端11aとリヤブラケット3の距離を拡大でき、結果的にリヤブラケット3の排出口3bの軸方向6aの長さが延長され、排出口3bの面積を拡大できる。
これによりリード14aやコイルエンド12aによって閉塞されていた冷却空気の風路の面積を拡大できるため、圧力損失が低減される。そして、ファン11によって発生する風量が増加し、正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度を低減することができる。
また、吸気口3aの外周からファン11の外周の間において、冷却空気は、ファン11によって運動量を与えられ、それによって圧力が上昇する。吸気口3aの外側面を軸方向6aと平行にすることで、吸気口3aの外周の直径とファン11の外径の間の距離を拡大でき、圧力を上昇させることができるようになる。
それにより正極側整流素子30や負極側整流素子32の冷却のためのヒートシンクの圧力損失が大きい場合でも、ファン11によって圧力上昇をさせることができ、正極側整流素子30や負極側整流素子32などの温度を低減することができる。
また、実施の形態2のように、ファン11の先端11aとリヤブラケット3の吸気口3aは、端部70付近では近接するもののファン11の外周に向かって、先端11aとリヤブラケット3の距離を大きくしている。これにより、騒音源であるリヤブラケット3の表面での圧力の変動が減少し、騒音を増加させることなく漏れ流れの量を抑制し、冷却空気の風量を増加させることができる。
ここでは、リヤ側の吸気口3aのファン11側の形状について、断面形状が台形の突起が吸気口3aの外周上に形成されることについて説明したが、断面形状を四角形にしても同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3における交流発電機を示す要部断面図である。実施の形態1と同じ符号については、実施の形態1と同一であるので説明を省略する。また、矢印は吸気口2aから排気口2bまでの空気の流れを示す。
実施の形態2では、リヤ側に高い圧力が必要な場合について説明した。一方、フロント側では、吸気口2aや排気口2bの強度を高めるため及び放熱のために、フィン(図示せず)が設けられている。フロント側では、フィンの本数や長さが小さいときはリヤ側ほど圧力を必要としない。以下、図6を用いてフロント側の冷却空気を増加させる構成について説明する。
圧力が必要ない場合、ファンの中心付近と出口との間に圧力差が生じないため、出口からファン中心付近に向かう漏れ流れがほとんどない。よって、実施の形態1で説明した、吸気口の外周の直径とファンの外周の直径の関係のような差異を設ける必要がない。ファン11の複数の翼84は、それぞれファン本体83の内周80から外周82の間において、翼の高さが最も高い部分を有している。また、翼の高さが最も高い部分81から外周82までの翼は、同一の高さを有している。
また、図6に示すように実施の形態3においては、フロントブラケット2の吸気口2aの外周の径は、ファン11の外周の直径より大きく形成されている。フロントブラケット2の吸気口2aの外周側面は、シャフト6の軸方向6aと平行である。よって吸気口2aの外周面におけるファン11側の端部71は、ファン11に最も近接している。端部71から半径方向6bに向かっては、ファン11の先端11cと平行な部分と、ファン11から離れるように傾斜している部分とを有している。
以上のような構成により、ファン11側におけるフロントブラケット2の吸気口2aに隣接するフロントブラケット2の外周上に、断面形状が台形の突起が形成される。
このような構成により、排出口2bの面積を増加できるとともに、ファン11から流出した冷却空気が吸気口2a側に流れにくくなる。その結果、冷却空気の風量が増加し、軸受5や固定子12の温度を低減することができる。実施の形態3では、断面形状が台形の突起について説明したが、突起の断面形状が三角形でも同様の効果を有する。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 交流発電機、2 フロントブラケット、2a フロント側吸気口、
2b フロント側排気口、2c フロント側吸気口端部、3 リヤブラケット、
3a リヤ側吸気口、3b リヤ側排気口、3c リヤ側吸気口端部、4 ケーシング、
5 軸受、6 シャフト、7 プーリ、8 回転子、9 界磁巻線、10 ポールコア、
11 ファン、11a ファンの先端部、11b ファンの底面部、12 固定子、
12a コイルエンド、13 固定子鉄心、14 固定子巻線、14a リード、
15 スリップリング、16 ブラシ、17 ブラシホルダ、22 電圧調整器、
24 コネクタ、28 整流装置、29 正極側ヒートシンク、30 正極側整流素子、
31 負極側ヒートシンク、32 負極側整流素子、33 サーキットボード、
50 保護カバー、51 フロント側リブ、52 リヤ側リブ、
53 保護カバーの吸気口、60 隙間、80 ファンの内周、
81 翼の高さが最も高い部分、82 ファンの外周、83 ファン本体、
84 翼(羽根)、85 通気口の外周の直径。

Claims (10)

  1. 外周に排気口を、軸方向の端部に吸気口を有するケーシング、
    前記ケーシング内に配置された固定子、
    前記固定子内に軸により回転自在に支持された回転子、
    前記ケーシング内の前記吸気口に対向して配置されており、前記回転子と一体に回転される遠心ファンとを備え
    前記遠心ファンにより前記吸気口から吸引された空気が、前記ケーシング内を流通した状態で前記排気口から排気されており、
    前記遠心ファンの先端部と前記ケーシングが対向する面であって、前記ケーシングの前記吸気口の外周に隣接する位置に空気の流通側に突出した状態で形成された突起、を備えたことを特徴とする交流発電機。
  2. 前記突起の前記遠心ファン側の端部は、前記回転子の前記軸方向と平行でかつ前記遠心ファンに近接しており、前記突起の前記遠心ファン側の端部から径方向に向かって前記遠心ファンから離れるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機。
  3. 前記突起は、三角形の断面形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の交流発電機。
  4. 前記突起の前記遠心ファン側の端部は、前記回転子の前記軸方向と平行であり、前記端部から径方向に向かって前記遠心ファンの先端部と平行な部分と、前記遠心ファンから離れるように傾斜している部分とを有していることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機。
  5. 前記突起は、台形の断面形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の交流発電機。
  6. 前記突起は四角形の断面形状を有し、前記吸気口の側面と平行となる面を有していることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機。
  7. 前記遠心ファンは、遠心ファン本体と前記遠心ファン本体に設けられた複数の翼とを有し、前記複数の翼は、それぞれ前記遠心ファン本体の内周から外周の間においての高さが最も高い部分を有し、前記翼の高さが最も高い部分から外周までの前記翼は同一の高さを有していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の交流発電機。
  8. 前記ケーシングは複数の前記吸気口を有しており、前記ケーシングの前記吸気口の外周の直径は、前記遠心ファンの前記翼の高さが最も高い部分となる周の直径よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の交流発電機。
  9. 前記ケーシングはリヤブラケットであり、前記リヤブラケットの前記吸気口の外周の直径は、前記遠心ファンの前記外周の直径より小さいことを特徴とする請求項8に記載の交流発電機。
  10. 前記ケーシングはフロントブラケットであり、前記フロントブラケットの前記吸気口の外周の直径は、前記遠心ファンの前記外周の直径より大きいことを特徴とする請求項8に記載の交流発電機。
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