JP5831407B2 - リチウムイオン電池用負極材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用の負極材料、特に、大容量用途に供されるリチウムイオン電池に適した負極材に関するものである。
従来の鉛蓄電池、Ni−Cd電池、ニッケル水素電池といった二次電池が、水系電解液中で水素の電離反応(H→H++e-)と、プロトンの移動とにより充放電を行っているのに対し、リチウムイオン電池は、有機電解液中におけるリチウムの電離(Li→Li++e-)と、生じたリチウムイオンの移動により充放電動作がなされる。
このようなリチウムイオン電池では、リチウム金属が標準酸化還元電位に対して3Vの電位をもつため、従来の二次電池に比べて高い電圧での放電が可能である。加えて、酸化還元を担うリチウムは軽量であるため、放電電圧の高さと相俟って、従来の二次電池を大きく超える単位質量当たりのエネルギー密度を得ることができる。
このような軽量大容量を特徴とするリチウムイオン電池は、昨今のノートパソコン、携帯電話といった充電池を必要とするモバイル機器の普及に伴い、広く用いられている。更に、近年はその利用分野がパワーツール、ハイブリッド自動車、電気自動車といった、屋外にて大電流の放電を必要とする領域にまで拡大しつつある。
しかし、電気自動車や電動バイクといった用途を拡充するには走行距離を延ばす必要があるため、更なる高容量化が必要となってくる。現在リチウムイオン電池に使用されている負極材は、黒鉛が主流で、容量は372mAh/gが限界である。そこで、新たな負極材として検討されているのが金属Siや金属Snなどの材料である。例えば、Siについて言えば、理論容量は黒鉛の10倍以上(4200mAh/g)あることから、多くの研究者によって検討が進められてきている。
しかしながら、金属Siは充放電時の膨張・収縮が大きいため、微粉化や導電性ネットワークの断絶が起こりサイクル寿命を劣化させている。この対策として、合金化や非晶質化のためにメカニカルアロイングなどの検討が進められている(例えば、特許第4752996号公報(特許文献1),特許第4789032号公報(特許文献2)参照。)が、量産化には至っていない。これは、メカニカルアロイングの構造上、実験室レベルの少量サンプルの試作はできるものの、量産化に不向きなためと考えられる。
特許第4752996号公報 特許第4789032号公報
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、Si系合金をベースとした物質で、高容量かつサイクル寿命の長いリチウムイオン電池用負極材を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、Siと遷移金属および第4,5族金属の合金に対し、その一部をIn,Sn,Sb,Pb,Mgの1種又は2種以上で置換することにより、Si単相−Si合金相粒子の粒界にIn,Sn,Sb,Pb,Mg相が析出した三相以上の複合合金を得ることができ、この複合合金を負極材料として用いることにより、リチウムイオン電池のサイクル寿命が改善することを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、下記のリチウムイオン電池用負極材を提供する。
〔1〕
Si単相とSi−Al−M合金相(Mは遷移金属及び第4,5族金属から選ばれる1種又は2種以上)とで構成される複合合金と、L相(LはIn,Sn,Sb,Pb及びMgから選ばれる1種又は2種以上の金属)とを有する三相以上の複合合金であり、上記複合合金がSi−Al−M合金粒子の粒界にSi相が網目状に配させた構造を有することを特徴とするリチウムイオン電池用負極材料。
〔2〕
複合合金組成が、Si:40〜70原子%、Al:5〜25原子%、M:10〜35原子%、L:0.5〜10原子%である〔1〕のリチウムイオン電池用負極材料。
〔3〕
上記Mとして、Tiを1〜20原子%と、Ti以外の遷移金属及び第4,5族金属から選ばれる1種又は2種以上の金属1〜34原子%とを含む〔2〕のリチウムイオン電池用負極材料。
〔4〕
上記Si−Al−M合金粒子の大きさが1〜500nm、Si単相の網目構造を有するSi−Al−M合金粒子間距離が200nm以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかのリチウムイオン電池用負極材料。
〔5〕
上記Si単相とSi−Al−M合金相とで構成される複合合金の粒子間に、上記L相が点在する〔1〕〜〔4〕のいずれかのリチウムイオン電池用負極材料。
〔6〕
平均粒径(D50)が10μm以下の上記合金材料からなる粒子で構成された〔1〕〜〔5〕のいずれかのリチウムイオン電池用負極材料。
本発明のリチウムイオン電池用負極材は、Si相とSi−Al−M相で構成されている複合合金粒界にIn,Sn,Sb,Pb,Mgの1種又は2種以上からなるL相が点在する三相以上の合金である。この場合、上記複合合金の構造はSi−Al−M合金粒子の粒界にSi相が網目状に配された構造を有する二相合金であり、本発明の負極材料によれば、この二相合金粒子間の粒界に上記L相が点在することで高容量かつ長寿命が実現できる。更に、Si相とSi−Al−M相及び上記L相とが合金化しているため、純Siとは異なり材料自体の導電性も高く、導電化処理や導電材の添加などの必要が無いので、電池とした場合の体積当りのエネルギー密度も高くすることができる。従って、この負極材を用いたリチウムイオン電池は、大容量で耐久性が要求される電気自動車用などのリチウムイオン電池として好適に用いられる。
実施例2で得られた合金の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例2で得られた合金の電子線マイクロアナライザー(EPMA)による反射電子像(BEI像)及びSn分布観察像である。 実施例2で得られた合金の相構造を示す模式図である。 実施例2で得られた合金の粒度別の電極断面を示す模式図であり、(A)はD50:15μmの場合、(B)はD50:10μmの場合、(C)はD50:3.8μmの場合である。 実施例2と同様の合金について、その粒度と電極密度の関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係るリチウムイオン電池用負極材の実施形態について説明する。
本発明に係るリチウムイオン電池用負極材は、構成元素として、Si,Al,M(遷移金属及び第4,5族金属から選ばれる1種又は2種以上),L(In,Sn,Sb,Pb及びMgから選ばれる1種又は2種以上の金属)を含有し、Si単相とSi−Al−M合金相との複合合金、及びL相からなる三相以上の複合合金である。
ここで、本発明のリチウムイオン電池用負極材を構成する合金材料において重要なのは、合金中にSi相およびL相(In,Sn,Sb,Pb,Mgから選ばれる1種以上の相)が析出していることである。この場合、Siはリチウムイオン電池用負極材の主体となる負極活物質である。リチウムイオン電池を構成し充放電を行なうと、充電時には正極活物質よりリチウムが抜けて負極活物質に取り込まれる。負極活物質が黒鉛の場合は層状構造を有しているためにこの層間に取り込まれる(インターカーレーション LiC6)。これに対し、Siはリチウムを合金化し取り込むが(Li4.4Si)、既に合金になっているSi−Al−Mには殆ど取り込まれない。つまり、合金中にSi単体が存在しないと負極として機能しないことになる。
この考え方に基づき、合金組成としてのSi量は40〜70原子%が好ましく、50〜70原子%がより好ましく、55〜65原子%が更に好ましい。Si量が40原子%未満では、前述のように合金中にSi単体がほとんど存在しなくなり、負極材として機能しなくなる場合がある。一方、Si量が70原子%を超えると合金中のSi相の網目状構造を維持できず長寿命が実現できなくなるおそれがある。
一方、L相のIn,Sn,Sb,Pb,Mgは金属の中で比較的柔らかい金属である上、融点が低くSiや遷移金属と金属間化合物を生成し難い性質を持っている。従って、溶解から凝固する時に粒界析出する。通常、上記Si単相だけではLiとの合金化反応により体積変化を起こし微粉化して機能が低下してしまう。本発明ではSi相とSi−Al−M−Lで構成されている網目構造を有する複合合金とすることで微粉化を抑制すると共に、更に金属の中で比較的柔らかいIn,Sn,Sb,Pb,Mgの単相を合金粒界間に点在させることで応力緩和を図るものである。
このL相の割合は、複合合金の0.5〜10原子%が好ましく、2〜8原子%がより好ましく、3〜6原子%が更に好ましい。L相の割合が0.5原子%未満では上述した応力緩和が不十分となり、充放電によるリチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮により微粉化や脱離が発生する場合がある。一方、L相の割合が10原子%を超えると主相であるSi合金比が小さくなり、結果として容量が低下してしまう等の不都合を生じる虞がある。
このL相は、上記Si単相とSi−Al−M合金相とで構成される複合合金の粒子間に点在する状態で存在することが好ましい。このような形態で上記適正量のL相が存在することにより、上述した応力緩和が効果的に発揮される。
次に、構成元素のAlは、Si−Al系合金相を形成し、導電性を確保するための元素である。合金組成としてのAl量は5〜25原子%が好ましく、8〜18原子%がより好ましく、10〜16原子%が更に好ましい。Al量が5原子%未満では、Si−Al系合金相の結晶粒を十分に形成することが困難になり、導電性を確保することが難しい場合がある。一方、Al量が25原子%を超えるとSi単相の形成を阻害するおそれがある。
上記構成元素Mは、前述の通り、遷移元素及び周期律表第4族、第5族から選ばれる1種又は2種以上の金属元素である。この場合、遷移元素としてはSc,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Y,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,LaやCeなどのランタノイド元素、W,Re,Os,Ir,Pt,Auなどが例示され、好ましくはFe,Ni,Co,Mnのいずれかである。また、周期律表第4族、第5族の金属元素としては、Ti,V,Zr,Nb,Hf,Taなどが例示され、好ましくはTi,V,Zr,Nb,Taのいずれかである。
合金組成としての金属元素Mの量は、10〜35原子%が好ましく、15〜35原子%がより好ましく、20〜30原子%が更に好ましい。金属元素Mの量が10原子%未満ではSiの偏析を抑制すること(つまりSi相の微細化)が困難になり、リチウムイオン電池の負極材としての充放電サイクルに対する耐久性が劣化する場合がある。一方、金属元素Mの量が35原子%超ではSi単相の形成を阻害するおそれがある。
ここで、特に制限されるものではないが、この金属元素Mとして、Tiを1〜20原子%含有することが好ましく、更にTi以外の遷移元素及び周期律表第4族、第5族から選ばれる1種又は2種以上の金属元素を1〜34原子%含有することが好ましい。
即ち、本発明における上記Si−Al−M合金は、40〜70原子%ものSiを含有しているために、通常の溶解法では鋳造時に余剰のSiが分離析出してSi相を含む大粒子の2相以上の組織となってしまう。この場合、これを急冷することにより、微細な2相以上の組織とすることが可能であるが、Si−Al−M合金に含まれる周期律表第4,5族元素の含有量で組織の粒径が大きく変化する。この粒径は、リチウムイオン電池の負極材としたときのサイクル寿命に大きく影響し、組織の粒径が小さいほど寿命は良好となる。ここで、前記合金組織に対するTiの添加は効果的であり、Tiを1〜20原子%含有することでより微細化が進行する。このメカニズムについては、はっきりと分かっていないが、急冷法と組み合わせることで他の第4,5族元素を含有するよりも微細な組織が得られる。この場合、Ti含有量が1原子%未満ではその効果が得られない場合があり、20原子%を超えるとSi−Al−M合金の融点が高くなり過ぎて溶解自体が難しくなるおそれがある。なお、Ti含有量のより好ましい範囲は6〜18原子%であり、更に好ましくは8〜16原子%である。
このように、Tiを1〜20原子%含有する際の、その他の遷移元素及び周期律表第4族、第5族から選ばれる1種又は2種以上の金属元素としては、特に制限されるものではないが、Fe、Co、Ni、Cu、V、Zrであることが好ましい。Tiと共に、これらその他の遷移元素や周期律表第4族、第5族の金属元素を含有することにより、微細な網目構造を有するSi相が析出した合金を製造することができる。なお、これらTi以外の遷移元素や周期律表第4族、第5族の金属元素のより好ましい含有量は5〜25原子%、更に好ましくは8〜20原子%である。
本発明のリチウムイオン電池用負極材を構成する合金材料の組織は、図3に示すように、Si−Al−M合金相(図3では、MはFe−Ti)からなる微細な結晶粒の粒界にSi単相が析出して網目状構造を呈する複合合金と、この複合合金の粒子間に上記L相(図3では、LはSn)が点在した状態の三相以上の複合合金となる。
ここで、Si−Al−M合金相からなる結晶粒の粒径は、1〜500nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、30〜200nmが更に好ましい。結晶粒の粒径が1nm未満ではリチウムイオンの吸蔵・放出が難しくなり、リチウムイオン電池として高容量化が困難となるおそれがある。一方、結晶粒の粒径が500nm超ではリチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮によりSi相の微粉化や脱落が発生し、電池の負極材としての充放電サイクルに対する耐久性が劣化するおそれがある。
また、Si相の網目状構造は、Si相が前記結晶粒の粒界に析出することにより実現されており、合金材料の表面においてSi相からなる微細な網目が比較的大きな割合で均一に露出している。
また、このSi単相からなる網目の幅、すなわち結晶粒間の距離が200nm以下、特に1〜200nmであることが好ましい。結晶粒間の距離が1nm未満では、リチウムイオン電池として高容量化が困難となる場合がある。一方、結晶粒間の距離が200nmを超えると、Si単相の領域において充放電時の膨張・収縮が大きくなり、微粉化や集電体との導電パスが起こることによりサイクル寿命が悪化するおそれがある。
本発明のリチウムイオン電池用負極材を構成する合金材料の製法としては、急冷凝固法が好ましい。具体的には、構成元素に対応した各種金属材料(単金属もしくは合金)を目的組成にあわせ秤量した後、ルツボなどに仕込み、高周波誘導加熱もしくは抵抗加熱、アーク溶解により溶解後に鋳型に鋳込んで合金インゴットを形成し、つぎに該合金インゴットを再溶解してガスアトマイズ、ディスクアトマイズ、ロール急冷などにより急冷凝固を行い、目的の結晶構造を有する合金材料を得ることができる。溶解方法については特に制約は無いが、本発明の微細な結晶構造を有する三相相合金材料を得るためには急冷溶解であることが好ましい。
得られた合金材料は、機械粉砕により粉末化することが好ましい。合金材料を粉末化したものを合金粉末と称する。粉砕方法について制約は無いが、乳鉢、ロールミル、ハンマーミル、ピンミル、ブラウンミル、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、遊星ミルなどを用いることができる。合金はこれらの粉砕を組み合わせることで平均粒径(D50)10μm以下、特に8〜2μmに粉砕することが好ましい。なお、アトマイズ法のように最初から10μm以下の粒度を得られていれば粉砕の必要は無い。
合金粉末の平均粒径を10μm以下とすることが好ましいのは、負極材として使用した場合の集電性や短絡防止のためである。即ち、本発明の負極材は高容量であるため正極材とのバランスを考慮すると、集電体に塗布される負極材の厚みは100μm以下とするのが一般的であるが、図4(A)〜(C)に示した模式図のように、合金粒子径が大きいと集電体(図4ではCu箔)への塗布の不具合や集電性の低下、セパレータ貫通による短絡の恐れがある。また、図5のグラフに示された電極密度と合金粉粒度との関係から分かるように、粒径が10μmを超えると電極密度の低下が顕著になり体積当りのエネルギー密度が小さくなってしまう。更に、Liとの合金化反応による膨張・収縮による集電体からの脱落を抑制する観点からも10μm以下であることが好ましい。一方、平均粒径1μm以上が好ましいのは、材料の取り扱い性を確保するためである。なお、合金粉末の平均粒径は、粉体の粒径を測定する公知の方法でよく、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定するとよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
金属Si、Al、Fe、Ti、Lを下記表1のとおり秤量し、それらを抵抗加熱炉にて溶解した後、鋳込みにて合金インゴットA〜Gを作製した。Lは、表1のとおり、In、Sn、Sb、Pb、Mg又は無添加とした。
この合金インゴットを石英製のノズルに入れ、液体急冷単ロール装置(真壁技研製)内にセットし、Arガス雰囲気中において高周波により加熱して溶解した後、その溶融合金をArガスによりノズルの先端孔から噴出させ、高速で回転するCu製の冷却用ロール(周速:20m/秒)の表面に接触させて急冷凝固させた。凝固した合金は、ロールの回転方向に沿って飛行し、リボン状の急冷薄体となった。
次に、得られた急冷薄体をステンレス製乳鉢にて粗粉砕した後、粒径300μm以下に分級し、更にボールミル粉砕にて平均粒径(D50)4μmの粉末サンプル(サンプルA〜G)を試作した。また、サンプルHとして市販のSi粉〔平均粒径(D50)4μm〕を用意した。なお、粉末サンプルの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−7000、島津製作所製)により測定した。
(1)充放電試験
以上のようにして得られた粉末サンプルを、それぞれポリイミドバインダー(N−メチル−2ピロリドン溶液)及びアセチレンブラックと混合し、Cu集電体に塗布、加熱乾燥して、電極材シートを形成した。この電極材シートとともに、対極として金属リチウムを用い、電解液として1mol/L−LiPF6(EC:DEC=1:1V/V%)を用いて、評価用のCR2032型コイン電池を組み立て、充放電試験を行った。このときの充放電条件は、温度20℃、電圧0〜2Vの範囲で、充電、放電共に0.1Cで行い、充放電サイクルを50回行って1回目と50回目の放電容量(負極材(粉末サンプル)1g当たりのmAh)を測定し、容量維持率((50サイクル目の容量)/(1サイクル目の容量)×100(%))を求めた。結果を表2に示す。
表2に示されているように、L相(In,Sn,Sb,Pb,Mg)を含む実施例1〜5はL相を含まない比較例1に比べて放電容量が大きく、容量維持率にも優れるものである。また、Tiを含まない比較例2は放電容量及び容量維持率が実施例1〜5と比べて大きく劣り、Si単相のみの比較例3は初期の放電容量が大きいものの容量維持率が著しく低く、二次電池として使用に耐えないものであった。なお、実施例2,3の1サイクル目の容量が非常に高いのは、L相のSn,Sb自体もLiを吸蔵・放出するため、その分高容量になったと考えられる。
(2)組織観察及び組成分析
実施例2の粉末サンプルBについて、透過型電子顕微鏡(TEM)及び電子線マイクロアナライザー(EPMA)にて構成材料の組織を観察した。図1にTEM観察像、図2にEPMAによる反射電子像(BEI像)及びSn分布観察像を示す。
Siの分布は、Si−Al−Fe−Ti合金粒の粒界にSi相が網目状に配されていることが図1のTEM観察像で確認できた。また、Snの分布については、図2のEPMA観察像より合金中に点在していることが確認できた。このことから、図3の模式図のようにSi相とSi−Al−M(Fe,Ti)で構成されている複合合金粒界にSnが点在していると推察される。
次に、図1の灰色部および白色部の組成について、エネルギー分散型X線分析(EDX)により分析した。結果を表3に示す。
表3のとおり、白色部はSiが100%、灰色部はSi−Al−Fe−Tiとなっており、Snは存在しなかった。これは合金化に寄与しないSnが単相で複合合金の粒界に析出しているためと考えられる。また、各合金粒子のSi原子比がバルク組成より低いのは、合金化に寄与しなかったSiが単相で合金中に析出しているためである。
(3)粒度と電極密度との関係
実施例2の粉末サンプルを作製するに当たり、粉砕条件を調整して粒度の異なる複数種の粉末を作製し、各粉末を用いて上記と同様にして電極を作製した。得られた各電極の電極密度を下記方法により測定して、合金粉の粒度と電極密度との関係を調べた。結果を図5に示す。
〔電極密度の測定方法〕
電子天秤(最少表示0.01mg)を用い、電極の重量を集電体、導電材、結着材の重量を除いて求め、次にマイクロメーターを用い、電極の厚みを集電体の厚みを除いて求めた。そしてこれらの値を用いて下記計算式により密度を算出した。
活物質(負極材)正味重量÷{(直径÷2)2×π×厚み}=密度(g/cm3
図5のグラフに示されているように、合金粉の粒度(D50)が10μmを超えると、電極密度が低下することが分かる。
[実施例6,7、参考例1,2]
金属Si、Al、Fe、Ti、Snを下記表4のとおり秤量し、実施例1〜5と同様にして、粉末サンプルI〜Lを調製し、同様にCR2032型コイン電池を組み立てて、充放電試験を行った。結果を表5に示す。なお、表4,5には上記実施例2も併記した。
表4,5のとおり、Si量(原子%)が30%以下(参考例1)であると容量維持率は良好であるものの放電容量が低くなってしまい、一方Si量(原子%)が80%以上(参考例2)であると高容量であるが容量維持率が低下してしまう。30%以下では合金中に析出しているSi単相が少なく、80%以上ではSi−Al−Fe−Ti合金による網目構造が十分得られなかった為と考えられる。40〜70%の範囲では、Si−Al−Fe−Ti合金による網目構造の複合合金が得られ、合金粒界にSnが点在したことで容量および容量維持率が良好であったと考えられる。

Claims (6)

  1. Si単相とSi−Al−M合金相(Mは遷移金属及び第4,5族金属から選ばれる1種又は2種以上)とで構成される複合合金と、L相(LはIn,Sn,Sb,Pb及びMgから選ばれる1種又は2種以上の金属)とを有する三相以上の複合合金であり、上記複合合金がSi−Al−M合金粒子の粒界にSi相が網目状に配させた構造を有することを特徴とするリチウムイオン電池用負極材料。
  2. 複合合金組成が、Si:40〜70原子%、Al:5〜25原子%、M:10〜35原子%、L:0.5〜10原子%である請求項1記載のリチウムイオン電池用負極材料。
  3. 上記Mとして、Tiを1〜20原子%と、Ti以外の遷移金属及び第4,5族金属から選ばれる1種又は2種以上の金属1〜34原子%とを含む請求項2記載のリチウムイオン電池用負極材料。
  4. 上記Si−Al−M合金粒子の大きさが1〜500nm、Si単相の網目構造を有するSi−Al−M合金粒子間距離が200nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用負極材料。
  5. 上記Si単相とSi−Al−M合金相とで構成される複合合金の粒子間に、上記L相が点在する請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用負極材料。
  6. 平均粒径(D50)が10μm以下の上記合金材料からなる粒子で構成された請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用負極材料。
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