JP5831055B2 - 板状酸化ルテニウム粉末とその製造方法、それを用いた厚膜抵抗組成物 - Google Patents
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Description
ところが、抵抗体サイズが小さくなると電気的な負荷による抵抗値変化が大きくなり、抵抗器の信頼性が懸念される。この為、一般的には小さい抵抗器は定格の電力を軽減するなどの考慮がされる。しかしながら、静電気やサージ電流等はサイズの小さい抵抗器でも軽減されない。したがって、抵抗体のサイズが小さくても静電気やサージ電流によって抵抗値変化が小さい厚膜抵抗体が望まれている。
固有抵抗値が1×10−2Ω・cm以上の厚膜抵抗体では、一般に静電気やサージ電流によって抵抗値がマイナスに変化する。しかし、1×10−2Ω・cmよりも小さい厚膜抵抗体では、抵抗値がプラスに大きく変化する場合がある。これは、Ru酸化物を導電成分としガラス結合剤を絶縁成分する厚膜抵抗体の構造に起因していると予想される。一般に固有抵抗値を小さくするには導電成分の配合を増やし絶縁成分の配合を減らす必要がある。しかし、Ru酸化物それ自身は焼結しないため、導電成分の配合が多い厚膜抵抗体は膜構造が脆くなり易く、微細なクラック等も入りやすい。このため固有抵抗値が低い厚膜抵抗体では静電気やサージ電流が負荷されると、微細なクラック等が広がり大きなクラックとなり抵抗値がプラスに変化してしまう。
この様なことから、固有抵抗値が1×10−2Ω・cm以上の厚膜抵抗体において、静電気やサージ電流による抵抗値変化が小さい厚膜抵抗体を形成するには、導電成分としてのRu酸化物の配合を多くするが、焼成後に膜構造が強固でクラック等が入り難い焼成膜にする必要がある。
ルテニウム酸化物は焼結する事が無く、酸化雰囲気で500℃以上の高温で熱処理しても粉末のままである。ルテニウム酸化物は焼結しないため、厚膜抵抗体を調製する焼成過程で軟化するガラス結合材によって固められ膜構造を維持している。そのため微細な焼結しないルテニウム酸化物を固め、膜構造を維持させるためには一定量のガラス結合材が必要となるが、ガラス結合材の配合量を多くすると厚膜抵抗体の固有抵抗値が高くなってしまい、低い抵抗値を得る事が難しい。逆にガラス結合材の量を少なくするには粒径の大きいルテニウム酸化物の粉末を用いれば良いが、導電成分であるルテニウム酸化物同士の接触点が少なくなり、これでも低い抵抗値が得られない。
次に、得られた板状複合酸化物に酸化ホウ素もしくはホウ酸を混合した後、500℃以上の温度で熱処理を行って板状複合酸化物を板状の酸化ルテニウム粉末と酸化ホウ素と酸化バリウムの溶融物中に生成させる工程、
さらに、得られた溶融物に溶剤を添加し、酸化ホウ素と酸化バリウムを溶解して板状酸化ルテニウム粉末を回収する工程、
からなることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、板状の複合酸化物を溶融する工程において、熱処理温度が500〜1000℃であることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記酸化ホウ素もしくはホウ酸に、さらにMn、Nb、Ta、Ti、又はSnから選ばれる少なくとも1種類以上を含む化合物を混合し熱処理を行う事によって、Mn、Nb、Ta、Ti、又はSn元素が固溶した板状酸化ルテニウム粉末を得ることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、板状酸化ルテニウム粉末を回収する工程において、添加される溶剤が、鉱酸あるいは有機酸の水溶液である事を特徴とする板状酸化ルテニウム粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、長径が1×10−6〜5×10−6mであり、厚みが1.5×10−7〜5×10−7mであり、RuO 2 (ルチル)の単相であることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、結晶子径が1.0×10 −8 〜2.5×10 −8 mの多結晶体からなることを特徴とする請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、Mn、Nb、Ta、Ti及びSnから選ばれる少なくとも1種類以上が固溶していることを特徴とする請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第6の発明の板状酸化ルテニウム粉末に、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を配合してなる厚膜抵抗組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、この板状のルテニウム酸化物粉末を用いることで、導電物の割合が非常に高くてもクラック等の欠陥の無い厚膜抵抗体が形成できる。また、この板状のルテニウム酸化物粉末を熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂と混合することによって抵抗値の低い樹脂系の厚膜抵抗体が形成できる。
(1)板状複合酸化物の合成
本発明の製造方法では、ルテニウム化合物とバリウム化合物を混合し酸化雰囲気で熱処理する事で、ルテニウムとバリウムの板状の複合酸化物を形成させる。ルテニウム原料やバリウム原料の種類、あるいは熱処理の方法によって、ルテニウムとバリウムの板状複合酸化物の粒径が変わり、最終的に得られる板状のルテニウム酸化物の大きさも変える事ができる。
また、本発明において原料とするBa化合物は、酸化物、水酸化物、炭酸塩などがあげられる。Ba酸化物やBa水酸化物は、Ru化合物との混合が容易であるという観点から本発明の方法には最適である。また、Ba炭酸塩も原料の湿度などに対する安定性が高いので、湿度が高い雰囲気では特に使い易い。Ba炭酸塩は、高温下でも比較的安定であるが、Ru化合物とともに酸化雰囲気中で熱処理を行うと800℃以下の温度で分解し、ルテニウムと複合酸化物を形成する。
ルテニウム化合物に対するバリウム化合物の割合は、特に制限されないが、ルテニウム:バリウムのモル比で0.8:1.2〜1.2:0.8の範囲が好ましい。この範囲から外れると、BaRuO3の他に酸化ルテニウムや原料に由来するバリウム化合物が残ってしまうことがある。ルテニウムとバリウムの複合酸化物の粒径や形状は出発原料、熱処理温度によってコントロールでき、この粒径や形状がルテニウムとバリウムの複合酸化物を酸化ホウ素と混合・熱処理して得られるルテニウム酸化物粉末の粒径や形状に影響する。ルテニウム化合物に対するバリウム化合物のより好ましい範囲は、ルテニウム:バリウムのモル比で0.9:1.1〜1.1:0.9である。
熱処理の温度が400℃より低いと、ルテニウムとバリウムの複合酸化物が完全に生成されないため望ましくない。一方、熱処理温度が1000℃を超えると、ルテニウムとバリウムの複合酸化物の粒径が大きくなり過ぎたり、ルテニウムが6価や8価の酸化物となって揮発する割合が高くなり好ましくない。したがって、好ましい熱処理温度は、500〜900℃とする。また、熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが15分以上とし、好ましくは30〜120分とする。
これにより得られるルテニウムとバリウムの複合酸化物は、X線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが明らかになっている。そして、このルテニウムとバリウムの複合酸化物は導電性を有しているが、固有抵抗値が酸化ルテニウムに比べ一桁高く、また厚膜抵抗体を形成した時に抵抗値の安定性が劣る。そのため、本発明では、ルテニウムとバリウムの複合酸化物に酸化ホウ素を混合し熱処理する事によって、ルテニウムとバリウムの複合酸化物を分解し、ルテニウム酸化物、および酸化バリウムと酸化ホウ素からなる溶融物にする。
ルテニウムとバリウムの複合酸化物に酸化ホウ素を混合する方法は、両者が充分に混合できれば特に制限されない。一般的な方法は、ボールミル、らいかい機、シェーカーミキサーなどである。このルテニウムとバリウムの複合酸化物を酸化ホウ素と混合する際、Mn、Nb、Ta、Ti、又はSnから選ばれる1種以上を含む化合物を同時に混合することができる。
熱処理すると、ルテニウムとバリウムの複合酸化物が分解し、ルテニウム酸化物及び酸化バリウムと酸化ホウ素からなるガラスになる。また、ルテニウムとバリウムの複合酸化物がMn、Nb、Ta、Ti、又はSnから選ばれる化合物との混合物である場合は、Mn、Nb、Ta、Ti、又はSnが固溶したルテニウム酸化物及び酸化バリウムと酸化ホウ素からなる溶融物になる。板状の複合酸化物が分解しても、板状の形状は維持される。
最後に、得られたルテニウム酸化物及び酸化バリウムと酸化ホウ素からなるガラスから、溶剤によりガラス成分を溶解し、ルテニウム酸化物微粉末を回収し、必要に応じて洗浄・乾燥する。
酸化ホウ素を溶解する方法は、特に制限されないが、硝酸や塩酸、硫酸などの鉱酸や蟻酸、酢酸等の有機酸水溶液を溶剤として用いる方法が簡便である。これらの中でも硝酸や塩酸、硫酸などの鉱酸の使用が好適である。ルテニウム酸化物及び酸化バリウムと酸化ホウ素からなるガラスは、これら酸性の水溶液に浸すことによって、ガラス成分だけが溶け出して、酸に溶解しないルテニウム酸化物を粉末として回収できる。ガラス溶解に使用した酸は、水洗によって除去できる。
本発明の製造方法で得られる板状酸化ルテニウム粉末は、実質的に酸化ルテニウムからなるが、前記ルテニウムとバリウムの複合酸化物を酸化ホウ素と混合する際、Mn、Nb、Ta、Ti、Snのうち少なくとも1種類以上を含む化合物を同時に混合した場合には、Mn、Nb、Ta、Ti、Snが固溶した板状酸化ルテニウム粉末を得ることができる。該化合物の混合量は、特に制限されるわけではないが、板状酸化ルテニウム粉末全体に対して、5〜30wt%とすることが好ましく、10〜20wt%とすることがより好ましい。
本発明は、板状のルテニウム酸化物粉末を合成し、それを厚膜抵抗組成物の導電成分とすることで、ガラス結合材の配合を少なくし、更に導電成分の間の接触を点から面にすることで厚膜抵抗体の固有抵抗値を低くしようとするものである。
しかしながら、ルテニウム酸化物は、Ag粉末とは異なり延性がほとんど無いので、ボールミルやスタンプミルでつぶす事によって、板状あるいはフレーク状の粉末を得る事が出来ない。また、ルテニウム酸化物粉末の合成方法は、前記のとおり、Ruの酸化アルカリ塩を中和反応や有機物で還元した水和酸化物、あるいはRuの塩化物水溶液を中和反応によって合成できる水和酸化物を酸化雰囲気で焙焼する方法が一般的である(特許文献2)。しかし、この一般的な方法でルテニウム酸化物の粉末を板状やフレーク状にコントロールすることは出来ない。
酸化ルテニウム(RuO2)粉末にガラス粉末を配合する場合、両者の割合は、目的とする面積抵抗値によって任意に変える事ができる。すなわち、目的とする抵抗値が高い場合には酸化ルテニウム(RuO2)粉末を少なく配合し、目的とする抵抗値が低い場合には酸化ルテニウム(RuO2)粉末を多く配合する。一般的な重量比は、酸化ルテニウム(RuO2)粉末:ガラス粉末=5:95〜50:50の範囲である。これよりも酸化ルテニウム(RuO2)粉末が少ないと抵抗値が高くなり過ぎて不安定となる。また、これよりも酸化ルテニウム(RuO2)粉末が多いと形成される抵抗体膜が脆くなる。好ましい重量比は、酸化ルテニウム(RuO2)粉末:ガラス粉末=5:95〜30:70の範囲である。
本発明の厚膜抵抗体組成物には、酸化ルテニウム(RuO2)粉末、ガラス粉末の他に、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的とした添加剤を含んでもなんら差し支えない。厚膜抵抗体組成物の添加剤としては、MnO2、CuO、TiO2、Nb2O5、SiO2、Al2O3、ZrO2、ZrSiO4などが一般に用いられている。また、添加剤の割合は、酸化ルテニウム(RuO2)粉末とガラス粉末の重量の合計に対して0.05〜20%が一般的である。
本発明の厚膜抵抗体用組成物は、ビヒクルと呼ばれる樹脂成分を溶解した溶剤中に分散されて厚膜抵抗体ペーストになる。本発明では、ビヒクルの樹脂、溶剤の種類や配合によって限定されない。樹脂成分としては、エチルセルロース、マレイン酸樹脂、ロジンなどが一般的であり、溶剤はターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が一般に用いられている。これらの配合比は所望する粘度によって調整される。また、ペーストの乾燥を遅らせる目的で沸点が高い溶剤を加える事もできる。抵抗体用組成物に対するビヒクルの割合は、特に限定されないが重量で30%〜100%が一般的である。好ましいビヒクルの量は、重量で30%〜80%、より好ましいビヒクルの量は、重量で30%〜50%である。
このような酸化ルテニウム(RuO2)粉末とガラス粉末を分散させて厚膜抵抗体用ペーストを作成するには、脂肪酸を分散剤として用いる事が有効である。脂肪酸は酸化ルテニウム(RuO2)粉末の表面に付着して分散を容易にする働きがあると考えられる。
本発明で用いられる脂肪酸は、飽和、不飽和を問わないが、酸化ルテニウム(RuO2)粉末を分散させ、再び凝集するのを防ぐ観点から、炭素数が12以上の高級脂肪酸がより望ましい。脂肪酸は無機原料粉末をビヒクル中に分散させる際に加えても、あるいは予め酸化ルテニウム(RuO2)粉末に付着させた後に、ビヒクル中に分散させても良い。
粉末の形状・物性を評価するために、X線回折により物質同定し結晶子径を測定した。結晶子径はX線回折のピークの広がりより算出できる。ここではX線回折によって得られたルチル構造のピークをKα1、Kα2に波形分離した後、Kα1のピークの広がりとして半価幅を測定し、Scherrerの式より算出した。
予めRu粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥を行い、Ru酸化物の水和物を得た。得られたRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gを、らいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。
また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mの板状粉末である事が確認できた。
次に、得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物を酸化ホウ素60gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
その後、得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を130g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定すると、RuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.7×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径2×10−6〜3×10−6mであり、厚みが2×10−7〜3×10−7mの板状粉末である事が確認できた。
さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状粉末は単結晶ではなく、微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.7×10−8mである事からも裏付けられる。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物を600℃で1時間熱処理することによって、Ru酸化物を得た。このRu酸化物131gと炭酸バリウム試薬195gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を283g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径10×10−6〜15×10−6mであり、厚みが5×10−7〜7×10−7mである板状粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物を酸化ホウ素283gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を128g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定するとRuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は2.0×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径3×10−6〜5×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく、微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が2.0×10−8mである事からも裏付けられる。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物と二酸化マンガン粉末86gを酸化ホウ素150gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を157g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定するとRuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.5×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径2×10−6〜3×10−6mであり、厚みが2×10−7〜3×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.5×10−8mである事からも裏付けられる。
また、得られたルテニウム酸化物微粉末を過酸化ソーダと炭酸ソーダでアルカリ融解し、溶融物を塩酸で溶液にし、IPCで分析したところ、Mn含有量が11wt%であった。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物、および五酸化ニオブ粉末60gを酸化ホウ素150gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を150g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定すると、RuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.2×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径1.5×10−6〜2×10−6mであり、厚みが1.5×10−7〜2×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.2×10−8mである事からも裏付けられる。
また、得られたルテニウム酸化物微粉末を過酸化ソーダと炭酸ソーダでアルカリ融解し、溶融物を塩酸で溶液にし、IPCで分析したところ、Nb含有量が20wt%であった。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物、および五酸化タンタル粉末50gを酸化ホウ素150gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を172g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定すると、RuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.5×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径2×10−6〜3×10−6mであり、厚みが2×10−7〜3×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく、微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.5×10−8mである事からも裏付けられる。
また、得られたルテニウム酸化物微粉末を過酸化ソーダと炭酸ソーダでアルカリ融解し、溶融物を塩酸で溶液にし、IPCで分析したところ、Ta含有量が20wt%であった。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物、および二酸化チタン粉末64gを酸化ホウ素150gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を193g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定すると、RuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.2×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径2×10−6〜2.5×10−6mであり、厚みが2×10−7〜2.5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.2×10−8mである事からも裏付けられる。また、得られたルテニウム酸化物微粉末を過酸化ソーダと炭酸ソーダでアルカリ融解し、溶融物を塩酸で溶液にし、IPCで分析したところ、Ti含有量が21wt%であった。
Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gをらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間焙焼してルテニウムとバリウムの複合酸化物粉末を285g得た。このルテニウムとバリウムの複合酸化物はX線回折パターンより、BaRuO3<Hexagonal>とBaRuO3<Cubic>の混合物であることが確認できた。また、この複合酸化物をTEMで観察すると、長径5×10−6〜10×10−6mであり、厚みが3×10−7〜5×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。
得られたルテニウムとバリウムの複合酸化物、および二酸化スズ粉末50gを酸化ホウ素150gとらいかい機で混合し、空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を165g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定すると、RuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.7×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察すると、長径2×10−6〜3×10−6mであり、厚みが2×10−7〜3×10−7mである板状の粉末である事が確認できた。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、板状の粉末は単結晶ではなく、微細な1次粒子が強固に結合した多結晶体である事が確認できた。この事は、X線回折による結晶子径が1.7×10−8mである事からも裏付けられる。
また、得られたルテニウム酸化物微粉末を過酸化ソーダと炭酸ソーダでアルカリ融解し、溶融物を塩酸で溶液にし、IPCで分析したところ、Sn含有量が17wt%であった。
実施例1と同様に、Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。次に、実施例1とは異なり、得られたRu酸化物の水和物全量と酸化バリウム試薬153gに対して、酸化ホウ素60gを追加し、らいかい機で混合し空気中800℃で1時間熱処理をおこなった。
得られた溶融物を4.5Lの純水と500cm3の硝酸の溶液に入れ、ルテニウム酸化物微粉末を129g回収した。このルテニウム酸化物微粉末をX線回折によって物質同定するとRuO2<Rutile>の単相である事が確認できた。また、結晶子径は1.0×10−8mであった。得られたルテニウム酸化物粉末をTEMで観察しても、板状の粉末ではなかった。さらに倍率をあげたTEM像を観察すると、粉末はほぼ結晶子径と一致する微細な粉末であった。
上記実施例1で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部とSiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗ぺーストを試作した。
次に、こうして試作した抵抗ぺーストを予めAg/Pdぺースト(Ag/Pd=98.5/1.5)によって電極を形成したアルミナ基板に印刷し、ピーク温度850℃、ピーク時間9分のベルト焼成炉によって焼成し、抵抗体を形成した。抵抗体サイズは幅0.3mm、電極間0.3mmとした。形成された抵抗体は、200pFのコンデンサに1kV、2kV、3kVで充電した静電気を10回放電し、抵抗値変化を測定した(この試験をESD試験と呼ぶ)。
形成された抵抗体の膜厚、静電気放電前の抵抗値(初期抵抗値)、25℃から125℃の間の抵抗温度係数(TCR)と、静電気放電後の抵抗値変化率(ESD変化率)を表1にまとめた。
上記実施例3で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記実施例4で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記実施例5で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記実施例6で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、 Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記実施例7で得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
従来法により、Ru粉末:100g、KOH:800g、KNO3:100gを混合し、銀坩堝中において700℃、3時間溶融し、ルテニウム酸カリ(K2RuO4)を得た。このルテニウム酸カリを純水に溶解し、エタノール100cm3を加え、水洗、乾燥をし、Ru酸化物の水和物を得た。このRu酸化物の水和物を600℃で1時間熱処理することによって、ルテニウム酸化物を得た。ルテニウム酸化物の形状は、粒状であった。
得られたルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記比較例1で得られた非板状のルテニウム酸化物粉末36重量部と、SiO2:35wt%、B2O3:20wt%、Al2O3:5wt%、CaO:5wt%、BaO:20wt%、ZnO:15wt%であるガラスフリット24重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースをターピネオールに溶解したもの40重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ぺーストを試作した。
次に、実施例8と同様にして、試作した抵抗体ぺーストから抵抗体を形成し、ESD試験を行い、結果を表1にまとめた。
上記実施例1で得られたルテニウム酸化物粉末70重量部と、レゾール型フェノール樹脂10重量部、ブチルセロソルブ20重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ペーストを試作した。
次に、試作した抵抗体ペーストを予めAg/Pdペースト(Ag/Pd=98.5/1.5)によって電極を形成したアルミナ基板に印刷し、温度200℃に保持したオーブンに30分間いれ、フェノール樹脂を硬化させ抵抗体を形成した。抵抗体サイズは幅0.3mm、電極間0.3mmとした。
形成された抵抗体の膜厚、抵抗値、25℃から125℃の間の抵抗温度係数(TCR)を表2にまとめた。
上記比較例1で得られたルテニウム酸化物粉末70重量部と、レゾール型フェノール樹脂10重量部、ブチルセロソルブ20重量部を3本ロールミルによって混練し、抵抗体ペーストを試作した。
次に、実施例14と同様にして、試作した抵抗体ペーストから抵抗体を形成し、形成された抵抗体の膜厚、抵抗値、25℃から125℃の間の抵抗温度係数(TCR)を表2にまとめた。
表1の結果から明らかなように、本発明によって製造したルテニウム酸化物(実施例1〜7)を導電物とした厚膜抵抗体(実施例8〜13)は、ルテニウム酸化物が板状であるため、静電気の放電による抵抗値変化が少なく、抵抗体膜は3kVの静電気を放電しても抵抗体の焼成膜にクラックは確認されなかった。これに対し、従来法によって製造したルテニウム酸化物を導電物とした比較例2、3の抵抗体は、ルテニウム酸化物が粒状又は非板状であるため、焼成膜に微細なクラックが発生しており、静電気を放電すると、この微細なクラックが広がり抵抗値がプラスに変化し、さらに放電の電圧を高くしていくとクラックが更に広がり抵抗体の膜が破壊され、大きなプラスの抵抗値変化を示した。
また、表2から、実施例14で製造した本発明のルテニウム酸化物を導電物とした樹脂硬化型の厚膜抵抗体は抵抗値が低く、抵抗温度係数も0に近いことが判る。これに対し比較例4で製造したルテニウム酸化物を導電物とした樹脂硬化型の厚膜抵抗体は、抵抗値が極度に高く、抵抗温度係数もマイナスに大きい。これは、実施例14では、板状の導電粉末を用いているため導電粒子同士が面で接触しているのに対し、比較例4では、導電粒子同士が点で接触しているために非常に不安定になったものと考えられる。
Claims (10)
- Ruを含む溶液から湿式合成されたRu酸化物の水和物、あるいは該水和物を酸化雰囲気中で焙焼したRu酸化物からなるルテニウム化合物と、酸化バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウム、塩化バリウム、又は硫酸バリウムから選ばれる少なくとも1種のバリウム化合物とを、ルテニウム:バリウムのモル比が0.8:1.2〜1.2:0.8となるように混合した後、この混合物を酸化雰囲気かつ400℃〜1000℃の温度で熱処理してルテニウムとバリウムの板状複合酸化物を合成する工程、
次に、得られた板状複合酸化物に酸化ホウ素もしくはホウ酸を混合した後、500℃以上の温度で熱処理を行って板状複合酸化物を板状の酸化ルテニウム粉末と酸化ホウ素と酸化バリウムの溶融物中に生成させる工程、
さらに、得られた溶融物に溶剤を添加し、酸化ホウ素と酸化バリウムを溶解して板状酸化ルテニウム粉末を回収する工程、
からなることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末の製造方法。 - 酸化ホウ素あるいはホウ酸が、酸化ホウ素に換算して、板状複合酸化物100重量部に対し20重量部以上であることを特徴とする請求項1に記載の板状酸化ルテニウム粉末の製造方法。
- 板状の複合酸化物を溶融する工程において、熱処理温度が500〜1000℃であることを特徴とする請求項1に記載の板状酸化ルテニウム粉末の製造方法。
- 前記酸化ホウ素もしくはホウ酸に、さらにMn、Nb、Ta、Ti、又はSnから選ばれる少なくとも1種類以上を含む化合物を混合し熱処理を行う事によって、Mn、Nb、Ta、Ti、又はSn元素が固溶した板状酸化ルテニウム粉末を得ることを特徴とする請求項1に記載の板状酸化ルテニウム粉末の製造方法。
- 板状酸化ルテニウム粉末を回収する工程において、添加される溶剤が、鉱酸あるいは有機酸の水溶液である事を特徴とする請求項1に記載の板状酸化ルテニウム粉末の製造方法。
- 長径が1×10−6〜5×10−6m、厚みが1.5×10−7〜5×10−7mであり、RuO 2 (ルチル)の単相であることを特徴とする板状酸化ルテニウム粉末。
- 結晶子径が1.0×10 −8 〜2.5×10 −8 mの多結晶体からなることを特徴とする請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末。
- さらに、Mn、Nb、Ta、Ti及びSnから選ばれる少なくとも1種類以上が固溶していることを特徴とする請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末。
- 請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末に、ガラス粉末を配合してなる厚膜抵抗組成物。
- 請求項6に記載の板状酸化ルテニウム粉末に、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を配合してなる厚膜抵抗組成物。
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