JP2006069836A - ルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法 - Google Patents

ルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚膜抵抗体用の導電物として、ガラス結合剤とともにビヒクルに分散させてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、良好な電気的特性が得られるルテニウム複合酸化物微粉末、およびその工業的に効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】ルテニウムとその他の金属元素の酸化物からなるルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕してBET径が50nm以下の粉末を得た後、該粉末を500〜800℃の温度で焼成することを特徴とするルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法などによって提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、厚膜抵抗体用の導電物として、ガラス結合剤とともにビヒクルに分散させてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、良好な電気的特性が得られるルテニウム複合酸化物微粉末、およびその工業的に効率的な製造方法に関する。
厚膜抵抗体は、チップ抵抗器、厚膜ハイブリッドICや抵抗ネットワーク等に広く用いられている。前記厚膜抵抗体の製造方法としては、通常、絶縁体基板の表面に形成された導電体回路パターン又は電極の上に、導電物を均一に分散させたペーストを印刷しこれを焼成する工程が用いられる。
厚膜抵抗体用ペーストは、導電物とガラス結合剤とをビヒクルと呼ばれる有機媒体中に均一に分散させることにより製造されている。このうち、導電物は、厚膜抵抗体の電気的特性を決定する最も重要な役割を担い、酸化ルテニウム(RuO)やルテニウム酸鉛(PbRu)の微粉末が厚膜抵抗体の導電物として広く用いられている。一般に酸化ルテニウムは、低抵抗値から高抵抗値まで広範囲の導電物として用いられる。また、高抵抗領域では、導電物濃度に対する抵抗値の変動がより小さいルテニウム酸鉛が選択されて用いられることが多い。
ところが、近年、電子機器から毒性のあるPbの使用を排除するため、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電物として、ルテニウム酸鉛に代わる鉛を含有しない導電物が望まれている。この解決策として、代替の導電物として、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuO、LaRuO等のルテニウム複合酸化物粉が提案されている。ここで、これらを製造する方法としては、以下に開示されている方法を応用することが考えられる。
(1)金属ルテニウム粉と炭酸塩や水酸化物の粉末を機械的に混合して焙焼する(例えば、非特許文献1参照。)。
(2)塩化ルテニウムと硝酸塩の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に加えて得た澱物を焙焼する(例えば、非特許文献2参照。)。
(3)金属ルテニウムを次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムで溶解したアルカリ溶液に硝酸塩を添加して得た澱物を焙焼して、PbRuを製造する(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、上記方法で作製したルテニウム複合酸化物をペースト中に均一に分散させるため、所望の粒径まで機械的に粉砕する方法も考えられる。
しかしながら、上記(1)の方法で作製されたルテニウム複合酸化物粉を用いて、ガラス結合剤とともにビヒクルに混合してペースト化した後、ペーストを膜状に印刷し焼成して得られた抵抗体の電気的特性を測定したところ、ルテニウム酸鉛の微粉末を用いたものに匹敵する性能が得られないという問題がある。この理由としては、十分に小さい粒径が得られていないため、ペースト中に均一に分散しないことによるものと考えられた。
また、上記(2)の方法では、使用する塩化ルテニウムの価格が高く、また希薄溶液の反応であるので、工業的な製造方法としては不向きであるという問題がある。また、この方法で溶液を濃厚にして行った場合には、得られる粒径が粗大となるため、ペースト化した後、該ペーストを膜状に印刷し焼成して得られた抵抗体の電気的特性を測定したところ、ルテニウム酸鉛の微粉末を用いたものに匹敵する性能が得られないという問題がある。
また、上記(1)及び(2)の方法では、アルカリ溶液に酸を添加して澱物を得る際の反応で、四酸化ルテニウムが発生する。また、金属ルテニウムを次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムで溶解したときにも四酸化ルテニウムが発生する。前記四酸化ルテニウムは沸点が低く揮発してガスとなる。このガスは毒性があり、アルコールなどの有機物と爆発的に反応する特性も有しているため、これらの方法は製造において危険度が高いという問題点もあった。
また、上記方法で作製したルテニウム複合酸化物を粉砕する方法では、粉砕しすぎると粒径が小さくなりすぎて、かえって凝集してしまうため、ペースト中に均一に分散することができないので、ペーストの焼成時に凝集粒子が焼結し粗大粒子を生成させるという問題がある。
以上の状況から、高抵抗領域の抵抗体として、ペースト中での分散性が良好で、かつ抵抗体としたときに良好な電気的特性が得られるルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法が求められている。
なお、本明細書中では、BET径とは、BET法で求めた比表面積から算出された平均粒径を意味する。
特公平6−37309号公報(第1頁) 「インオーガニック ケミストリ(Inorganic Chemistry)」,(米国),1966年,第6巻,第9号,p.1572−1576 「マテリアルス ケミストリ アンド フィジクス(Materials Chemistry and Phsics)」,(英国),1999年,第57巻,p.285−288
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、厚膜抵抗体用の導電物として、ガラス結合剤とともにビヒクルに分散させてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、良好な電気的特性が得られるルテニウム複合酸化物微粉末、およびその工業的に効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、厚膜抵抗体用の導電物について、鋭意研究を重ねた結果、ルテニウムとその他の金属元素の酸化物からなるルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕して特定の粒径の粉末を得た後、該粉末を特定の温度で焼成した粉末を導電物として用いたところ、ペースト中での分散性が良好で、かつ抵抗体としたときに良好な電気的特性が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ルテニウム(Ru)とその他の金属元素(M)の酸化物からなるルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕してBET径が50nm以下の粉末を得た後、該粉末を500〜800℃の温度で焼成することを特徴とするルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ルテニウム複合酸化物は、下記(1)の組成式で表されるペロブスカイト型構造を有することを特徴とするルテニウム酸化物微粉末の製造方法が提供される。
MRuO …(1)
(式中、Mは、Ca、Sr又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記ルテニウム複合酸化物の組成は、Ru/M原子比で、0.9〜1.1であることを特徴とするルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記ルテニウム複合酸化物の粗粒子は、酸化ルテニウム粉末とその他の金属元素の水酸化物粉末を機械的に混合した後に焙焼して得られたものであることを特徴とするルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明の製造方法によって得られるルテニウム複合酸化物微粉末が提供される。
本発明のルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法は、厚膜抵抗体用の導電物として、ガラス結合剤とともにビヒクルに分散させてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、良好な電気的特性が得られるルテニウム複合酸化物微粉末であり、またそれを工業的に効率的に製造する方法であるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法を詳細に説明する。
本発明のルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法は、ルテニウムとその他の金属元素の酸化物からなるルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕して、BET径が50nm以下の粉末を得た後、該粉末を500〜800℃の温度で焼成することを特徴とする。
本発明の製造方法において、ルテニウム複合酸化物の粗粒子をそのBET径が50nm以下になるように粉砕することと、得られた粉末を所定の温度で焼成することが重要である。これによって、得られるルテニウム複合酸化物微粉末のBET径を50〜100nmの範囲に調整することができる。すなわち、抵抗体としたときに良好な電気的特性を得るためには、ペースト調製時に用いるルテニウム複合酸化物微粉末の粒径としては、BET径が50〜100nmが好ましく、BET径が50〜70nmがより好ましい。ところが、一般的な機械的粉砕でルテニウム複合酸化物の粗粒子を処理した場合には、粉砕操作の時間を調整しても、BET径は50〜100nmとなるが、SEM観察では100nm以上の大きな粒子と50nm以下の小さな粒子が混在する状態が観察され、所望の50〜100nmの粒径から外れた粒子が多く含まれ好ましくない。
これに対して、前述した所望粒径よりも小さい粒径に一旦粉砕して、その後焼成によって粒径を成長させて調整する方法で、所望粒径のルテニウム複合酸化物微粉末が得られることが見出された。また、焼成には、炭酸塩を分解する効果があり、これによりルテニウム複合酸化物単相を有する微粉末が得られる。
(1)ルテニウム複合酸化物
本発明の製造方法で用いるルテニウム複合酸化物としては、特に限定されるものではなく、ルテニウムとその他の金属元素の酸化物からなる、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuO、LaRuO等のルテニウム複合酸化物が用いられるが、この中で、特に、CaRuO、SrRuO及びBaRuOで表されるペロブスカイト型構造を有するルテニウム複合酸化物が好ましい。すなわち、CaRuO、SrRuO及びBaRuOは、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電物として、抵抗体として用いたときに良好な電気的特性を実現する。
上記ペロブスカイト型構造を有するルテニウム複合酸化物の組成は、特に限定されるものではないが、得られるルテニウム複合酸化物微粉末の結晶相をMRuO型構造の単相とすることができる、Ru/M原子比で0.9〜1.1が好ましい。すなわち、Ru/M原子比が0.9未満では、RuとMの組成比がMリッチ側に大きくずれているので、焼成しても炭酸塩相を消滅させることができない。一方、Ru/M原子比が1.1を超えると、RuとMの組成比がRuリッチ側にずれているので焼成後にRuO相が残る。
上記ルテニウム複合酸化物の粗粒子の粒径としては、所要の粉砕時間により調整することができるので、特に限定されるものではないが、BET径が500nm以下が好ましい。すなわち、500nmを超えると粉砕時間が長くなり、コスト等の経済性の問題がある。
上記ルテニウム複合酸化物の粗粒子の作製方法としては、特に限定されるものではなく、従来の湿式法、例えば、金属ルテニウムを次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムで溶解したアルカリ溶液に硝酸塩を添加して得た澱物を焙焼する方法、塩化ルテニウムとアルカリを混合した溶液に硝酸塩と硝酸を添加して得た澱物を焙焼する方法などいずれの方法も行えるが、この中で、特に、乾式法、例えば酸化ルテニウム粉末とその他の金属元素の水酸化物粉末を機械的に混合した後に焙焼する方法を用いるのが、危険度が高い四酸化ルテニウムが発生しないので安全上及び経済的にも好ましい。
上記乾式法の具体例としては、酸化ルテニウム粉末とともに、所定量の水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のその他の金属元素の水酸化物粉末をボールミル、シェーカ等の混合機を用いて混合し、その後大気中で600〜1000℃で焙焼する工程が含まれる。
(2)製造方法
本発明の製造方法では、上記ルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕してBET径が50nm以下の粉末を得た後、該粉末を500〜800℃の温度で焼成して、ルテニウム複合酸化物微粉末を得る。
上記ルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕して得られる粉末のBET径は、50nm以下が選ばれ、20〜40nmが好ましい。すなわち、BET径が50nmを超えると、焼成後に得られるルテニウム複合酸化物微粉末の粒径が所望の範囲よりも大きくなる。
上記粉砕方法としては、特に限定されるものではなく、ビーズミル装置、遊星ボールミル等の粉砕機を利用した機械的な手段が用いられるが、例えば、ルテニウム複合酸化物の粗粒子を水でスラリー化した後、ビーズミル装置で湿式粉砕する方法が好ましい。また、湿式で粉砕処理した場合には、大気オーブン等で乾燥し乾燥粉を得た後、これを焼成する。
上記焼成の温度は、500〜800℃である。すなわち、焼成の温度が500℃未満では、粉砕により生じた炭酸塩が分解消滅せず、また、粉砕後のBET径が小さい場合、得られる粉末の粒径が所望の粒径に至らない。一方、焼成の温度が800℃を超えると、粉末のBET径が所望の粒径を超えてしまう。焼成の温度の選定は、原料であるその他の金属元素によって焼成温度と粒径変化量が変わるため、その他の金属元素の種類と、粉砕後の粒径により、焼成後の所望の粒径を考慮して行われる。上記焼成の具体例として、粉砕後のルテニウム複合酸化物粉末をマッフル炉等に装入し、所定の温度で大気雰囲気下1時間程度保持した後、炉から取り出し冷却する方法が行われる。
(3)ルテニウム複合酸化物微粉末
本発明のルテニウム複合酸化物微粉末は、上記製造方法によって得られる、厚膜抵抗体ペースト用として好適な微粉末である。すなわち、前記微粉末のBET径は、50〜100nm、望ましくは50〜70nmに調整され、かつSEM観察でも100nm以上の大きな粒子が見られないので、ペースト調製時に該微粉末をガラス結合剤とともにビヒクルに均一に分散させることができるとともに、該ペーストを焼成して得られる抵抗体の電気特性が優れている。
さらに、上記製造方法においてルテニウム複合酸化物の組成が、組成式:MRuO(式中、Mは、Ca、Sr又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表されるペロブスカイト型構造を有し、かつRu/M原子比で、0.9〜1.1である場合には、得られるルテニウム複合酸化物微粉末の結晶相はMRuO型構造単相とすることができるので、抵抗体の電気特性の向上においてより有利である。
上記厚膜抵抗体ペーストは、ルテニウム複合酸化物微粉末、ガラス結合剤及びビヒクルを混合した後、スリーロールミル等によって混練、分散して得られる。前記ガラス結合剤としては、厚膜抵抗体ペーストを用いる対象部品、使用条件などで選定されるので限定されないが、例えば、PbO、SiO、B、Al、CaOを含むガラスフリットが用いられる。また、前記ビヒクルとしては、厚膜抵抗体ペーストを用いる対象部品、使用条件などで選定されるので限定されないが、例えば、セルロース系樹脂等の有機バインダーをターピネオール等の溶剤に溶解させたものが用いられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析及び抵抗体の電気特性の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)抵抗体の電気的特性の測定:得られたルテニウム複合酸化物微粉末1〜2gをガラス結合剤(主成分:SiOとB)とビヒクル(主成分:ターピネオール)4〜6gに混合してペースト化し、このペーストを膜状に印刷し、850℃で30分間焼成して得られた抵抗体の電気的特性(抵抗値及びノイズ)を測定した。抵抗値は、2端子法で、ノイズは、一定電圧印加時の電圧変動を測定することで行った。
(実施例1)
ルテニウム複合酸化物の粗粒子を作製し、それを用いてルテニウム複合酸化物微粉末を製造し、評価した。
まず、ルテニウム複合酸化物の粗粒子として、所定量の酸化ルテニウム粉末と水酸化ストロンチウム粉末をボールミルを用いて混合した後、混合物を大気中800℃で2時間焙焼して、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)粉末を得た。得られたルテニウム酸ストロンチウム粉末は、BET径が280nmで、Ru/Sr原子比は0.94であった。
次に、前記ルテニウム酸ストロンチウム粉末を水に混合してスラリー(濃度20%)とし、ビーズミル装置を用いて粉砕した。前記ビーズミル装置(ダイノーミル、KDL−A型)は、バッチ処理式であり、粉砕時間は2時間とした。なお、使用したビーズ径は0.3mmであつた。ここで得られた粉砕後の粉末のBET径は25nmであった。
次いで、粉砕後の粉末を大気オーブンを用いて、110℃で4時間乾燥した。次に得られた乾燥粉をアルミナボートにいれ、マッフル炉で大気雰囲気下700℃で1時間焼成して、ルテニウム酸ストロンチウム微粉末を得た。その後、得られたルテニウム酸ストロンチウム微粉末の特性を評価した。その結果、BET径は59nmであり、SEM観察から100nm以上の粗大粒子がないことが確認された。また、X線回折から、ペロブスカイト型SrRuOの単相であることが分った。なお、RuとSrの濃度分析からRu/Sr原子比は0.97であった。
これに続いて、得られたルテニウム酸ストロンチウム微粉末を用いて、上記測定方法にしたがって、抵抗体の電気的特性を評価した。その結果、抵抗体の抵抗値が9.85kΩで、ノイズが−8.2dBであった。
以上より、実施例1では、本発明の製造方法にしたがって行われたので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、ペースト中に均一に分散するとともに、それを用いてなる抵抗体は良好な電気的特性を有することが分る。
(実施例2)
まず、ルテニウム複合酸化物の粗粒子として、所定量の酸化ルテニウム粉末と水酸化カルシウム粉末をボールミルを用いて混合した後、混合物を大気中800℃で2時間焙焼して、ルテニウム酸カルシウム(CaRuO)粉末を得た。得られたルテニウム酸カルシウム粉末は、BET径が320nmで、Ru/Ca原子比は0.96であった。
次に、前記ルテニウム酸カルシウム粉末を水に混合してスラリー(濃度20%)とし、ビーズミル装置を用いて粉砕した。前記ビーズミル装置は、バッチ処理式であり、粉砕時間は2時間とした。なお、使用したビーズ径は0.3mmであつた。ここで得られた粉砕後の粉末のBET径は38nmであった。
次いで、粉砕後の粉末を大気オーブンを用いて、110℃で4時間乾燥した。次に得られた乾燥粉をアルミナボートにいれ、マッフル炉で大気雰囲気下500℃で1時間焼成して、ルテニウム酸カルシウム微粉末を得た。その後、得られたルテニウム酸カルシウム微粉末の特性を評価した。その結果、BET径は54nmであり、SEM観察から100nm以上の粗大粒子がないことが確認された。また、X線回折から、ペロブスカイト型CaRuOの単相であることが分った。なお、RuとCaの濃度分析からRu/Ca原子比は0.98であった。
これに続いて、得られたルテニウム酸カルシウム微粉末を用いて、上記測定方法にしたがって、抵抗体の電気的特性を評価した。その結果、抵抗体の抵抗値が9.89kΩで、ノイズが−8.1dBであった。
以上より、実施例2では、本発明の製造方法にしたがって行われたので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、ペースト中に均一に分散するとともに、それを用いてなる抵抗体は良好な電気的特性を有することが分る。
(実施例3)
まず、ルテニウム複合酸化物の粗粒子として、所定量の酸化ルテニウム粉末と炭酸バリウム粉末をボールミルを用いて混合した後、混合物を大気中800℃で2時間焙焼して、ルテニウム酸バリウム(BaRuO)粉末を得た。得られたルテニウム酸バリウム粉末は、BET径が272nmで、Ru/Ba原子比は0.90であった。
次に、前記ルテニウム酸バリウム粉末を水に混合してスラリー(濃度20%)とし、ビーズミル装置を用いて粉砕した。前記ビーズミル装置は、バッチ処理式であり、粉砕時間は2時間とした。なお、使用したビーズ径は0.3mmであつた。ここで得られた粉砕後の粉末のBET径は32nmであった。
次いで、粉砕後の粉末を大気オーブンを用いて、110℃で4時間乾燥した。次に得られた乾燥粉をアルミナボートにいれ、マッフル炉で大気雰囲気下550℃で1時間焼成して、ルテニウム酸バリウム微粉末を得た。その後、得られたルテニウム酸バリウム微粉末の特性を評価した。その結果、BET径は58nmであり、SEM観察から100nm以上の粗大粒子がないことが確認された。また、X線回折から、ペロブスカイト型BaRuOの単相であることが分った。なお、RuとBaの濃度分析からRu/Ba原子比は0.99であった。
これに続いて、得られたルテニウム酸カルシウム微粉末を用いて、上記測定方法にしたがって、抵抗体の電気的特性を評価した。その結果、抵抗体の抵抗値が10.6kΩで、ノイズが−9.1dBであった。
以上より、実施例3では、本発明の製造方法にしたがって行われたので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、ペースト中に均一に分散するとともに、それを用いてなる抵抗体は良好な電気的特性を有することが分る。
(比較例1)
ルテニウム酸カルシウム粉末の粉砕において、ビーズミルの粉砕におけるスラリー濃度を20%から40%に変更したこと以外は、実施例2と同様に行い、ルテニウム酸カルシウム微粉末を得た。ここで得られた粉砕後の微粉末のBET径は78nmであった。次いで、粉砕後の粉末を大気オーブンを用いて、110℃で4時間乾燥した。次に得られた乾燥粉をアルミナボートにいれ、マッフル炉で大気雰囲気下500℃で1時間焼成して、ルテニウム酸カルシウム微粉末を得た。
その後、得られたルテニウム酸カルシウム微粉末の特性を評価した。その結果、BET径は110nmであった。また、X線回折から、ペロブスカイト型CaRuOの単相であることが分った。
これに続いて、得られたルテニウム酸カルシウム微粉末を用いて、上記測定方法にしたがって、抵抗体の電気的特性を評価した。その結果、抵抗体の抵抗値が10.9kΩで、ノイズが+3.4dBであった。前記ルテニウム酸カルシウム微粉末では、ペースト中への均一分散が不十分であった。
以上より、比較例1では、ルテニウム複合酸化物の粗粒子の粉砕において、粉砕後の粒径が本発明の製造方法の条件に合わないので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、抵抗体のペースト用として有効な特性を有しない。
(比較例2)
ルテニウム酸ストロンチウム粉末の焼成において、焼成の温度を400℃に変えて粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に行い、ルテニウム酸ストロンチウム微粉末を得た。なお、ここで得られた粉砕後の微粉末のBET径は28nmであった。
これに続いて、得られたルテニウム酸ストロンチウム微粉末を評価した。その結果、前記ルテニウム酸ストロンチウム微粉末では、炭酸ストロンチウム相が残りペロブスカイト単一相にならなかった。
以上より、比較例2では、ルテニウム複合酸化物の粗粒子の粉砕後の粉末の焼成において、焼成の温度が本発明の製造方法の条件に合わないので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、抵抗体のペースト用として有効な特性を有しない。
(比較例3)
ルテニウム複合酸化物粉末の焼成において、焼成の温度を900℃に変えて、粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に行い、ルテニウム酸ストロンチウム微粉末を得た。なお、ここで得られた粉砕後の微粉末のBET径は194nmであった。
これに続いて、得られたルテニウム酸ストロンチウム微粉末を用いて、上記測定方法にしたがって、抵抗体の電気的特性を評価した。その結果、抵抗体の抵抗値が5.4kΩで、ノイズが+7.4dBであった。
以上より、比較例3では、ルテニウム複合酸化物の粗粒子の粉砕後の粉末の焼成において、焼成の温度が本発明の製造方法の条件に合わないので、得られたルテニウム複合酸化物微粉末は、抵抗体のペースト用として有効な特性を有しない。
以上より明らかなように、本発明のルテニウム複合酸化物微粉末とその製造方法は、厚膜抵抗体分野で利用されるペースト用の導電物とその製造方法として好適である。得られるルテニウム複合酸化物微粉末は、特に、ペースト中での分散性が良好で、かつ抵抗体としたときに良好な電気的特性が得られるので、ルテニウム酸鉛にかわって、高抵抗領域の抵抗体用の導電物として有用である。

Claims (5)

  1. ルテニウム(Ru)とその他の金属元素(M)の酸化物からなるルテニウム複合酸化物の粗粒子を粉砕してBET径が50nm以下の粉末を得た後、該粉末を500〜800℃の温度で焼成することを特徴とするルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法。
  2. 前記ルテニウム複合酸化物は、下記(1)の組成式で表されるペロブスカイト型構造を有することを特徴とする請求項1に記載のルテニウム酸化物微粉末の製造方法。
    MRuO …(1)
    (式中、Mは、Ca、Sr又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
  3. 前記ルテニウム複合酸化物の組成は、Ru/M原子比で、0.9〜1.1であることを特徴とする請求項2に記載のルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法。
  4. 前記ルテニウム複合酸化物の粗粒子は、酸化ルテニウム粉末とその他の金属元素の水酸化物粉末を機械的に混合した後に焙焼して得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のルテニウム複合酸化物微粉末の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られるルテニウム複合酸化物微粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013053030A (ja) * 2011-09-02 2013-03-21 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 板状酸化ルテニウム粉末とその製造方法、それを用いた厚膜抵抗組成物
JP2017043033A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 住友金属鉱山株式会社 厚膜抵抗体およびサーマルヘッド
CN113735566A (zh) * 2021-09-08 2021-12-03 成都先锋材料有限公司 一种钌酸锶材料及其制备方法与应用
JP2022535020A (ja) * 2019-06-17 2022-08-04 ヒソン カタリスツ コーポレイション 耐熱性ルテニウム複合体、並びにNOx吸蔵及び還元触媒としての用途

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