JP4475330B2 - 酸化イリジウム粉、その製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペースト - Google Patents

酸化イリジウム粉、その製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペースト Download PDF

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Description

本発明は、酸化イリジウム粉、その製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストに関し、さらに詳しくは、厚膜抵抗体用の導電粉として用いてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、ペースト中での分散性が良好であり、さらに良好な電気的特性の抵抗体を形成することができる酸化イリジウム粉とその工業的に安価な製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストに関する。
厚膜抵抗体は、チップ抵抗器、厚膜ハイブリッドIC及び抵抗ネットワーク等に広く用いられている。厚膜抵抗体の製造方法としては、通常、絶縁体基板の表面に形成された導電体回路パターン又は電極の上に、導電粉を均一に分散させたペーストを印刷し、これを焼成する工程が用いられる。
上記厚膜抵抗体の製造に用いるペーストは、導電粉とガラス結合剤をビヒクルと呼ばれる有機媒体中に均一に分散させることにより製造されている。このうち、導電粉は厚膜抵抗体の電気的特性を決定する最も重要な役割を担い、酸化ルテニウム(RuO)やルテニウム酸鉛(PbRu)の微粉末が広く用いられている。一般に、酸化ルテニウムは低抵抗値から高抵抗値まで広範囲の導電物として使用され、高抵抗領域では導電物濃度に対する抵抗値の変動がより小さいルテニウム酸鉛が用いられることが多い。
ところが、近年、電子機器から毒性のある鉛の使用を排除することが求められることにより、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電粉としてルテニウム酸鉛粉に代わる鉛を含有しない導電粉が望まれている。この解決策として、導電粉として、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuO、LaRuO等の化学式で表わされる種々のルテニウム複合酸化物が提案されているが、実用化されるには至っていない。
ところで、一般に、酸化イリジウム(IrO)はその粉末を用いたペーストで抵抗体を形成したとき、酸化ルテニウム粉を用いた場合に比べて高抵抗の抵抗体が得られることが知られている。このような酸化イリジウム粉は、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電粉として、ルテニウム酸鉛粉の鉛を含有しない代替品として期待されている。
この酸化イリジウム粉を製造する方法としては、一般に、以下の(1)〜(3)の方法を応用することが考えられる。
(1)金属イリジウム箔を原料として用いて、管状炉内で酸化性雰囲気下に加熱して酸化イリジウム粉を得る方法(例えば、非特許文献1参照。)。
(2)塩化イリジウムを原料として用いて、酸素雰囲気下で焙焼する方法(例えば、非特許文献2参照。)。
(3)塩化イリジウム、塩化イリジウム酸、あるいは塩化イリジウム塩を溶解した水溶液を原料として用いて、これを中和し得られた水酸化イリジウムを焙焼する方法(例えば、非特許文献3参照。)。
しかしながら、上記(1)の方法では、酸化イリジウムの生成速度が極めて遅いので、工業的に利用することはできないという問題があった。また、上記(2)の方法では、出発原料である塩化イリジウムが高価であるため、工業的には極めてコスト高となるという問題があった。また、上記(3)の方法では、適度な粒径の酸化イリジウム粉を得るために焙焼温度を高めると、部分的に粗粒の酸化イリジウム粉が発生するので、これを用いたペーストで形成した抵抗体では、その電気的特性が低下するという問題があった。
以上の状況から、厚膜抵抗体形成用ペーストに用いるルテニウム酸鉛粉に代わる鉛を含まない導電粉として、酸化イリジウム粉が望まれ、そのために上記のような問題点を解決して工業的に安価に製造する方法が求められている。
「貴金属元素の化学と応用」,講談社,1984年,p.342 「化学大辞典」,共立出版,1960年,第3巻,p.895 「白金属と工業的利用」,産業図書,1956年,p.58
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、厚膜抵抗体用の導電粉として用いてペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、ペースト中での分散性が良好であり、さらに良好な電気的特性の抵抗体を形成することができる酸化イリジウム粉とその工業的に安価な製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、厚膜抵抗体用の導電粉に用いる酸化イリジウム粉とその製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストについて、鋭意研究を重ねた結果、カリウム成分を特定の含有量に調整したヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム((NHIrCl)を特定の条件で焙焼したところ、ペースト中での分散性が良好であり、さらに良好な電気的特性の抵抗体を形成することができる導電粉が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、カリウム成分を全量に対し0.02〜0.3重量%含有するヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムを、酸化性雰囲気下に700〜1000℃の温度で焙焼することを特徴とする酸化イリジウム粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記酸化性雰囲気は、酸素雰囲気又は空気雰囲気であることを特徴とする酸化イリジウム粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記カリウム成分の含有量は、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムにカリウム化合物を添加して調整することを特徴とする酸化イリジウム粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記カリウム化合物は、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム又はカリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする酸化イリジウム粉の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明の製造方法によって得られる、カリウム濃度が0.03〜0.2重量%、かつ金属イリジウム濃度が3重量%以下であり、組織が酸化イリジウム単相又は酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなるとともに、平均粒径が20〜100nmである酸化イリジウム粉が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明の酸化イリジウム粉を用いてなる厚膜抵抗体用ペーストが提供される。
本発明の酸化イリジウム粉は、厚膜抵抗体用の導電粉として用いて、ガラス結合剤と共に有機ビヒクルに混練してペーストを得て、該ペーストを焼成して抵抗体としたときに、ペースト中での分散性が良好であり、さらに良好な電気的特性の抵抗体を形成することができる酸化イリジウム粉であり、また、その製造方法は、上記酸化イリジウム粉を工業的に安価に製造することができるので、その工業的価値は極めて大きい。さらに、高抵抗領域の厚膜抵抗体用ペーストとして、ルテニウム酸鉛粉の代替品として使用して鉛を含まない厚膜抵抗体を形成することができるので、より有利である。
以下、本発明の酸化イリジウム粉、その製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストを詳細に説明する。
本発明の酸化イリジウム粉の製造方法は、カリウム成分を全量に対し0.02〜0.3重量%含有するヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムを、酸化性雰囲気下に700〜1000℃の温度で焙焼することを特徴とする。
本発明の方法において、出発原料としてカリウム成分の所定量を含有するヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムを用いて、特定温度で酸化性雰囲気下に焙焼することが重要である。これによって、ペースト中での分散性が良好であり、さらに良好な電気的特性の抵抗体を形成することができる厚膜抵抗体用の導電粉として好適な酸化イリジウム粉が得られる。
すなわち、酸化性雰囲気下に焙焼する際、カリウム成分を全量に対し0.02〜0.3重量%含有するヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムは酸化分解され、カリウムを全量に対し0.03〜0.2重量%、かつ金属イリジウムを全量に対し3重量%以下含有し、組織が酸化イリジウム単相又は酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなるとともに、平均粒径が20〜100nmである酸化イリジウム粉が得られる。ここで、得られる酸化イリジウム粉の平均粒径は、主として、出発原料のカリウム成分の含有量と焙焼温度を選ぶことにより制御される。また、酸化イリジウム粉中に含有される金属イリジウムの含有割合と形成される組織は、主として、焙焼温度と焙焼雰囲気を選ぶことにより制御される。
上記出発原料中のカリウム成分の含有割合としては、全量に対し0.02〜0.3重量%である。ここで、前記含有割合は、酸化性雰囲気下に焙焼する際に生成される酸化イリジウム粉の粒成長を制御するために調整される。つまり、カリウムは酸化イリジウムの結晶粒界に偏析することにより、酸化イリジウムの成長を抑制する役割をはたす。なお、カリウム成分の含有量が0.02重量%未満では、粒成長抑制効果が弱く、酸化イリジウムが急激に粒成長してしまう。その結果、所望の20〜100nmの平均粒径を有する酸化イリジウム粉が得られないため、ペースト中に均一に分散させることができない。一方、カリウム成分の含有量が0.3重量%を超えると、得られる酸化イリジウム粉中の残留カリウムが多くなるためカリウム塩等の異相が現れてしまう。
上記方法に用いる焙焼温度としては、700〜1000℃であり、800〜950℃が好ましい。すなわち、酸化イリジウム相は600℃以上の温度で生成され、しかも、共存する金属イリジウムは、焙焼温度が上昇するにつれて酸化され減少する。したがって、焙焼温度が700℃未満では、酸化イリジウム相のほかに金属イリジウム相が多量に残るため、金属イリジウムの含有割合が全量に対し3重量%を超える。そのため、これを用いて形成される抵抗体の電気的特性等のペースト特性上好ましくない。なお、酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなる酸化イリジウム粉においても、金属イリジウムの含有割合が全量に対し3重量%以下であれば、ペースト特性は酸化イリジウム単相からなる酸化イリジウム粉と同等であり、特に、少量の金属イリジウムを除去する処理は必要ない。一方、焙焼温度が1000℃を超えると、酸化イリジウムの揮発が起り、ロスが多くなるため好ましくない。
上記方法に用いる焙焼雰囲気としては、酸化性雰囲気であれば、特に限定されるものではなく、空気、酸素ガス、酸素富化空気等の酸化性ガスからなる雰囲気が用いられる。ここで、酸化イリジウム粉中に含有される金属イリジウムの含有割合は、焙焼温度のほかに、酸化性雰囲気の酸素濃度により影響される。すなわち、前記金属イリジウムの含有割合は、酸化性雰囲気の酸素濃度が高いほど低下されやすい。したがって、金属イリジウムを含有しない酸化イリジウム単相の酸化イリジウム粉を得るためには、焙焼雰囲気としては、強酸化性の雰囲気制御が容易な酸素雰囲気が好ましい。また、金属イリジウムを全量に対し3重量%以下含有する、酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなる酸化イリジウム粉を得るためには、焙焼雰囲気としては、雰囲気制御と金属イリジウムの含有割合の制御が容易な空気雰囲気が好ましい。
上記方法に用いる焙焼時間としては、特に限定されるものではなく、得られる酸化イリジウム粉の平均粒径の所望値、異相の混入状態、酸化イリジウム粉中に含有される金属イリジウムの含有割合等に応じて適宜選定することができる。すなわち、焙焼時間が短いと、酸化イリジウム相以外の異相としてカリウム塩の相、又は所望値を超える多量の金属イリジウム相が残りやすく、望ましい酸化イリジウム粉が得られない。逆に、焙焼時間が長くなると、得られる酸化イリジウム粉の粒子が粗大になり、ペースト調製時に分散性が悪化する。
上記方法で用いる出発原料としては、所定含有量にカリウムが調整されたヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムを用いられるが、この他にヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム((NHIrCl)にカリウム化合物をカリウム成分の含有量が0.02〜0.3重量%となる範囲で添加し調整したものを用いることができる。ここで、所定含有量にカリウムが調整されたヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムとしては、水酸化イリジウム(IV)を塩酸に溶解し、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸水溶液を得た後に、所定量の塩化カリウムと塩化アンモニウムを添加して結晶化する方法等で製造される。
上記出発原料はいずれも乾燥粉末が望ましく、水分を含む場合は乾燥処理して使用することが好ましい。
上記方法に用いるカリウム化合物としては、特に限定されるものではなく、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム、又は炭酸カリウム、重炭酸カリウム、塩基性炭酸カリウム等のカリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム又は塩化カリウムがより好ましい。
上記方法に用いる焙焼の方法としては、特に限定されるものではなく、上記出発原料をアルミナなどの耐熱性材料からなる容器に入れ、所定の焙焼雰囲気及び焙焼温度に設定した管状炉、マッフル炉等の一般的な焼成装置を用いて、所望の焙焼時間で行うことができる。
本発明の酸化イリジウム粉は、上記製造方法により得られるものであり、カリウムを全量に対し0.03〜0.2重量%、かつ金属イリジウムを全量に対し3重量%以下含有し、組織が酸化イリジウム単相又は酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなるとともに、粒径が均一で、かつBET法で求めた比表面積から算出された平均粒径が20〜100nmの範囲にあり、ペースト中に均一に分散させるための要件を満足している。
したがって、上記酸化イリジウム粉は、ペースト調製時にガラス結合剤とともに有機ビヒクル中に均一に分散させることができる。そして、得られたペーストを用い、通常の方法にしたがって塗布し、その後焼成することにより、電気特性が優れた厚膜抵抗体を形成することができる。なお、上記濃度範囲のカリウムは、得られた厚膜抵抗体の電気特性に影響を与えない。
本発明の厚膜抵抗体形成用ペーストは、上記酸化イリジウム粉を用いてなるものである。
上記厚膜抵抗体形成用ペーストの調製方法としては、従来のルテニウム酸鉛粉を導電粉として使用する通常の方法が用いられる。例えば、酸化イリジウム粉とガラス結合剤及び有機ビヒクルを混合した後、スリーロールミルなどにより混練して調製する。ここで、ガラス結合剤としては、ペーストを用いる対象部品や使用条件などに応じて選定され、例えば、PbO、SiO、B、Al、CaOなどを含むガラスフリットが用いられる。また、有機ビヒクルとしては、ペーストを用いる対象部品や使用条件などに応じて選定することができ、例えば、セルロース系樹脂などの有機バインダーをターピネオールなどの溶剤に溶解させたものが用いられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた原料と焙焼物のカリウムと金属イリジウムの分析、焙焼物の平均粒径と組織の同定、及び抵抗体の電気的特性の評価方法は、以下の通りである。
(1)原料と焙焼物のカリウムの分析:原子吸光分析法で行った。
(2)焙焼物の金属イリジウムの分析:X線回折法により定量分析を行った。
(3)焙焼物の平均粒径の測定:BET法で比表面積を求め、それから算出した。
(4)焙焼物の組織の同定:X線回折で行った。
(5)抵抗体の電気的特性の測定:電気的特性として面積抵抗値とノイズを測定した。面積抵抗値は4端子法で測定した。ノイズは1/10W印加時の電圧変動を測定することにより求めた。
(実施例1)
(1)酸化イリジウム粉の調製
カリウム濃度が0.02重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム(住友金属鉱山製)6gをアルミナ製容器に入れ、これを3リットル/分の流量で酸素ガスを流した小型管状炉に装入し、焙焼した。焙焼条件としては、室温から10℃/分の速度で746℃まで昇温しこの温度で4時間保持した。次に、炉内で冷却して焙焼物を得た。なお、この間、炉内温度が300℃以下になるまで酸素ガスを流し続けた。その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織を評価した。また、組織が金属イリジウム相を含む場合には、金属イリジウム濃度を評価した。結果を表1に示す。
(2)ペーストと抵抗体の調製
次いで、得られた酸化イリジウム粉を導電粉として用いて、ガラス結合剤及び有機ビヒクルと混練してペーストを調製した。ここで、ガラス結合剤としては、10重量%SrO−43重量%SiO−16重量%B−4重量%Al−20重量%ZnO−NaOの組成を有する鉛フリーのガラスフリットを使用した。また、有機ビヒクルとしては、エチルセルロースとターピネオールが主成分のものを使用した。なおペーストの配合は、酸化イリジウム粉とガラス結合剤を合計6g、そして有機ビヒクルを4gとした。ここで、酸化イリジウム粉とガラス結合剤の重量比率を15〜25%の範囲内で調整して、面積抵抗値が100kΩ/□になるようにした。
最後に、得られたペーストを、通常の方法で膜状に塗布し、次いで850℃の温度で30分間焼成して厚膜抵抗体(1mm×1mm)を形成した。その後、得られた抵抗体の電気的特性として面積抵抗値とノイズを測定した。なお、面積抵抗値は100kΩ/□になるように調整されていることを確認した。結果を表1に示す。
(実施例2)
酸化イリジウム粉の調製において、焙焼温度が841℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
酸化イリジウム粉の調製において、カリウム濃度が0.05重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム(住友金属鉱山製)を用いたこと、及び焙焼温度が841℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
酸化イリジウム粉の調製において、カリウム濃度が0.08重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム(住友金属鉱山製)を用いたこと、及び焙焼温度が950℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
酸化イリジウム粉の調製において、出発原料として下記調製方法によるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムと塩化カリウムの混合物を用いたこと、及び焙焼温度が880℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
[出発原料の調製方法]
カリウム濃度が0.02重量%以下でイリジウム濃度が43.6重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム(株式会社フルヤ金属製)10gと塩化カリウム(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)0.06gとをメノウ乳鉢を用いて混合した。混合後のヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムのカリウム濃度は0.3重量%であった。
(実施例6)
酸化イリジウム粉の調製において、出発原料として下記の調製方法によるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムとヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムの混合物を用いたこと以外は、実施例5と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
[出発原料の調製方法]
カリウム濃度が0.02重量%以下でイリジウム濃度が43.6重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム(株式会社フルヤ金属製)10gとヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(KIrCl)(株式会社フルヤ金属製)0.2gとをメノウ乳鉢を用いて混合した。混合後のヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムのカリウム濃度は0.3重量%であった。
(実施例7)
酸化イリジウム粉の調製において、酸素ガスの代わりに空気を流したこと以外は、実施例2と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウムと金属イリジウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
酸化イリジウム粉の調製において、酸素ガスの代わりに空気を流したこと以外は、実施例5と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウムと金属イリジウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
酸化イリジウム粉の調製において、カリウム濃度が0.02重量%以下でイリジウム濃度が43.6重量%であるヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウム((NHIrCl)(株式会社フルヤ金属製)を用いたこと、及び焙焼温度が701℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、その後、得られた焙焼物のカリウム濃度、平均粒径及び組織、また得られた抵抗体の電気的特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004475330
表1より、実施例1〜8では、出発原料のカリウム濃度、焙焼温度及び焙焼雰囲気で、本発明の方法に従って行われたので、得られた酸化イリジウム粉のカリウム濃度、金属イリジウム濃度、組織、及び平均粒径で満足すべき結果が得られた。また、これを用いて得られた抵抗体の面積抵抗値が100kΩ/□でのノイズ特性は、低く好ましいものであることが示された。これより、得られた酸化イリジウム粉はペースト中への均一分散性が良好であり、そのペーストを用いて作製された抵抗体は酸化イリジウム粉を用いた抵抗体として優れた電気的特性を有することが分かる。
これに対して、比較例1では、出発原料のカリウム濃度がこれらの条件に合わないので、得られた酸化イリジウム粉は粒子径が大きくペースト中に均一に分散させることができないため、これを用いて得られた抵抗体の面積抵抗値が100kΩ/□でのノイズ特性において、満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の酸化イリジウム粉、その製造方法及びそれを用いた厚膜抵抗体用ペーストは、特にチップ抵抗器、厚膜ハイブリッドIC及び抵抗ネットワーク等に広く用いられている厚膜抵抗体分野で利用されるペースト用の導電粉とその製造方法として好適であり、これを用いたペーストは特にルテニウム酸鉛粉に代わる鉛を含まない高抵抗領域の厚膜抵抗体用ペーストとして有用である。

Claims (6)

  1. カリウム成分を全量に対し0.02〜0.3重量%含有するヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムを、酸化性雰囲気下に700〜1000℃の温度で焙焼することを特徴とする酸化イリジウム粉の製造方法。
  2. 前記酸化性雰囲気は、酸素雰囲気又は空気雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載の酸化イリジウム粉の製造方法。
  3. 前記カリウム成分の含有量は、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸アンモニウムにカリウム化合物を添加して調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化イリジウム粉の製造方法。
  4. 前記カリウム化合物は、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム又はカリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の酸化イリジウム粉の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られる、カリウムを全量に対し0.03〜0.2重量%、かつ金属イリジウムを全量に対し3重量%以下含有し、組織が酸化イリジウム単相又は酸化イリジウム相と金属イリジウム相からなるとともに、平均粒径が20〜100nmである酸化イリジウム粉。
  6. 請求項5に記載の酸化イリジウム粉を用いてなる厚膜抵抗体用ペースト。
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