JP2018048052A - 金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法 - Google Patents
金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】鉛を含有せずに比抵抗が高く、かつ、厚膜抵抗体を形成したときに抵抗値のばらつきを抑えることができる金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、また、この金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法を提供する。【解決手段】一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、前記一般式におけるAサイトの元素がストロンチウム、または、カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記一般式におけるBサイトの元素の一部分がチタンであり、前記Bサイトの元素の前記一部分を除く他の部分がルテニウムであり、前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合の、前記チタン原子の割合が、0.001〜0.25であり、平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、厚膜抵抗体の導電性粉末として用いることができる金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法に関する。
厚膜抵抗体はチップ抵抗器、厚膜ハイブリッドICや抵抗ネットワーク等に広く用いられている。厚膜抵抗体は、導電性粉末、絶縁ガラス粉末を樹脂、溶剤からなる有機ビヒクルに分散させた厚膜抵抗体用ペーストを、アルミナ等のセラミックス基板上に印刷して、この基板を焼成することによって形成されている。従来の厚膜抵抗体は、鉛を含有した導電性粉末であるルテニウム酸鉛微粉末や鉛を含有した絶縁ガラス粉末を主原料としている。
厚膜抵抗体は、導電性粉末と絶縁ガラス粉末の比率を変えることによって、所望の抵抗値を得ることができる。すなわち、抵抗値が低い抵抗体を望む場合には導電性粉末の比率を高くし、抵抗値が高い抵抗体を望む場合には絶縁ガラス粉末の比率を高くする。しかし、高い抵抗値を得るために導電性粉末を少なく配合すると、導電性粉末が少ないために電流が流れる導電パスが少なくなる。このことから、厚膜抵抗体において、抵抗値のばらつきが大きくなりやすく、電圧を負荷した際に抵抗値が大きく変化してしまう事がある。このため、厚膜抵抗体の抵抗値を高く設定する場合、原料固有の比抵抗が高い導電性粉末を多く配合することが望ましい。鉛を含有しないルテニウム酸化物の導電性粉末に比べて、従来用いられていたルテニウム酸鉛は比抵抗が高く、高い抵抗値の厚膜抵抗体を形成するための導電性粉末として好適であった。
ところで、昨今の環境保護に対する要求から鉛を使用しない製品が望まれており、厚膜抵抗体においても鉛を含有しない原料が求められている。鉛を含有しない、抵抗値の高い厚膜抵抗体を形成するために、従来のルテニウム酸化物粉末よりも比抵抗の高い導電性粉末が望まれている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、導電性粉末が、二酸化イリジウムとルテニウム酸カルシウム、二酸化イリジウムとルテニウム酸ストロンチウム、あるいは二酸化イリジウムとルテニウム酸バリウムのいずれかであり、絶縁ガラス粉末が鉛を含まない厚膜抵抗体用ペースト及びこれを用いた厚膜抵抗体が開示されている。
しかしながら、特許文献1で提案されている厚膜抵抗体用ペースト及び厚膜抵抗体は、導電性粉末中の二酸化イリジウムの割合が30質量%以上100質量%未満であり、製造コストを抑えることが難しい。このことから、厚膜抵抗体に用いることができる、鉛を含まない他の導電性粉末が求められている。また、厚膜抵抗体を形成したときに、抵抗値のばらつきを抑えることができる導電性粉末が求められている。
本発明は、このような状況に鑑み、鉛を含有せずに比抵抗が高く、かつ、厚膜抵抗体を形成したときに抵抗値のばらつきを抑えることができる金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、また、この金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、かかる従来の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ルテニウムと、ルテニウムのイオン半径(Ru4+、0.062nm)と同程度のイオン半径をもつチタン(Ti4+、0.063nm)とを導入することで、ペロブスカイト型の金属酸化物において、ルテニウムとチタンとが固溶した単一相のペロブスカイト構造を有する金属酸化物粉末を得ることができるという知見を得た。これにより、鉛を含有せず、かつ、厚膜抵抗体に好適な導電性粉末として用いる金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、厚膜抵抗体の製造方法の発明に至った。
上記課題を解決するために、本発明の金属酸化物粉末は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、前記一般式におけるAサイトの元素がストロンチウム、または、カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記一般式におけるBサイトの元素の一部分がチタンであり、前記Bサイトの元素の前記一部分を除く他の部分がルテニウムであり、前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合の、前記チタン原子の割合が、0.001〜0.25であり、平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
本発明の金属酸化物粉末の製造方法は、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程1と、前記工程1により得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程2と、を備え、前記チタン原料に含まれるチタンと、前記ルテニウム原料に含まれるルテニウムと、の原子数の合計を1とした場合の、前記チタンの原子数の割合が、0.001〜0.25であることを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体用組成物は、本発明の金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を主成分とすることを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、本発明の金属酸化物粉末からなる導電性粉末及びガラス粉末を主成分とする厚膜抵抗体用組成物と、有機ビヒクルとの混練物であることを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体は、本発明の金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含む焼成体を有することを特徴とする。
本発明の厚膜抵抗体の製造方法は、本発明の厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程と、前記厚膜抵抗体用ペーストが塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の金属酸化物粉末が、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造のBサイトの一部分にチタンを含むことにより、鉛を含有せず、かつ、比抵抗の高い金属酸化物からなる導電性粉末を得ることができる。また、金属酸化物粉末の平均粒径が0.1μm以下であることから、厚膜抵抗体を形成したときに、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを抑えることができる。
本発明の金属酸化物粉末の製造方法によれば、鉛を含有せず、かつ、比抵抗の高い金属酸化物からなり、平均粒径が0.1μm以下の金属酸化物粉末を得ることができる。よって、本発明の製造方法により得られた金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体を形成したときに、厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを抑えることができる。
また、本発明の厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、及び、厚膜抵抗体の製造方法によれば、本発明の金属酸化物粉末を厚膜抵抗体組成物、厚膜抵抗体用ペースト、及び、厚膜抵抗体に用いることによって、鉛を含有せず、かつ、抵抗値のばらつきが少ない、高抵抗値の厚膜抵抗体を形成することができ、さらに、形成された厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを抑えることができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる金属酸化物粉末、金属酸化物粉末の製造方法、金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、厚膜抵抗体、及び、厚膜抵抗体の製造方法ついて詳細に説明する。
[金属酸化物粉末]
本実施形態の金属酸化物粉末は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、前記一般式におけるAサイトの元素がアルカリ土類金属であり、前記一般式におけるBサイトの元素の一部分がチタンであり、前記Bサイトの元素の前記一部分を除く他の部分がルテニウムであり、前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合の、前記チタン原子の割合が、0.001〜0.25であり、平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
本実施形態の金属酸化物粉末は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、前記一般式におけるAサイトの元素がアルカリ土類金属であり、前記一般式におけるBサイトの元素の一部分がチタンであり、前記Bサイトの元素の前記一部分を除く他の部分がルテニウムであり、前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合の、前記チタン原子の割合が、0.001〜0.25であり、平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
また、本実施形態の金属酸化物粉末は、ルテニウムと、ルテニウムのイオン半径(Ru4+、0.062nm)と同程度のイオン半径をもつチタン(Ti4+、0.063nm)とが導入されたペロブスカイト型の金属酸化物であり、ルテニウムとチタンとが固溶した単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有する。「ルテニウムとチタンとが固溶した」とは、ルテニウムを含有する金属酸化物と、チタンを含有する金属酸化物の単なる混合物ではなく、金属酸化物の結晶において、Bサイトの元素としてルテニウムとチタンとが偏りなく分布していることを指す。
一般式ABO3におけるAサイトの元素は、アルカリ土類金属であるカルシウム、又は、ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種である。カルシウム、又はストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることにより、ペロブスカイト型の結晶構造を有する比抵抗の高い金属酸化物粉末を得ることができる。
また、一般式ABO3におけるBサイトの元素は、一部分がチタンであり、この一部分を除く他の部分がルテニウムである。すなわち、本実施形態の金属酸化物粉末は、一般式ABO3のBサイトの元素であるルテニウム(Ru)、チタン(Ti)を用いて、「ARu1−xTixO3」と表すことができる。一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造のBサイトの一部分にチタンを含むことにより、鉛を含有せず、かつ、比抵抗の高い金属酸化物粉末からなる導電性粉末を得ることができる。また、厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、及び、厚膜抵抗体に用いるときに、抵抗値の高い厚膜抵抗体を形成するために金属酸化物粉末の配合比率を小さくしても、形成された厚膜抵抗体において、従来の鉛を含有する導電性粉末と同等の高い抵抗値を得ることができ、また、抵抗値のばらつきを小さくすることができる。
また、Bサイトにおけるチタンの割合は、前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合に、0.001〜0.25であることが好ましい。すなわち、本実施形態の金属酸化物粉末を、前述したように「ARu1−xTixO3」と表した場合に、Xが0.001〜0.25であることが好ましい。また、Bサイトにおけるチタンの割合Xは、本実施形態の金属酸化物粉末を用いて形成した厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきをより抑えることができることから、0.05〜0.20であることがより好ましい。
Bサイトにおけるチタンの割合が低すぎると、比抵抗が低くなり、厚膜抵抗体を形成するための厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペーストとして用いた場合に、形成された厚膜抵抗体において十分に高い抵抗値を得ることが難しい。チタンの割合が高すぎると、厚膜抵抗体を形成したときに、抵抗値のばらつきが大きくなりやすくなる。すなわち、チタンの割合を適切に設定することにより、金属酸化物粉末の比抵抗が高くなり、抵抗値の高い厚膜抵抗体を形成するために金属酸化物粉末の配合比率を小さくしても、従来の鉛を含有する導電性粉末を用いた厚膜抵抗体と同等の抵抗値のばらつきを得ることができる。
本実施形態において、金属酸化物粉末の粒径は、平均粒径が0.1μm以下であることが好ましい。金属酸化物粉末の平均粒径を0.1μm以下とすることにより、本実施形態の金属酸化物粉末を用いて形成した厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを小さくすることができ、また、厚膜抵抗体に電圧を負荷した際に、抵抗値が変動することを抑制することができる。
[金属酸化物粉末の製造方法]
次に、本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法について説明する。本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法は、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程1と、前記工程1により得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程2と、を備える。また、前記チタン原料に含まれるチタンと、前記ルテニウム原料に含まれるルテニウムと、の原子数の合計を1とした場合の、前記チタンの原子数の割合が、0.001〜0.25であることを特徴とする。
次に、本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法について説明する。本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法は、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程1と、前記工程1により得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程2と、を備える。また、前記チタン原料に含まれるチタンと、前記ルテニウム原料に含まれるルテニウムと、の原子数の合計を1とした場合の、前記チタンの原子数の割合が、0.001〜0.25であることを特徴とする。
ストロンチウム原料、カルシウム原料としては、ストロンチウム、カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩を好適に用いることができる。
ルテニウム原料としては、特に限定されないが、酸化ルテニウム、酸化ルテニウム水和物を好適に用いることができる。
チタン原料としては、酸化チタン等を好適に用いることができる。また、結晶構造は特に限定されるものではなく、アナターゼ型のチタン原料を用いてもよいし、ルチル型のチタン原料を用いてもよい。
本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法は、まず、工程1として、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理を行う。具体的には、以下の方法に限定されるものではないが、例えば、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、をライカイ機等を用いて混合した後、アルミナ製の坩堝に充填し、酸化雰囲気中で700℃以上1100℃以下の温度で熱処理することにより、熱処理物を得る。
次に、工程2として、工程1により得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理を行う。具体的には、工程1と同様の方法で材料を混合し、熱処理を行うことにより、本実施形態の金属酸化物粉末を得ることができる。また、工程1、工程2における熱処理時間は、それぞれ、0.5時間以上とすることが好ましい。一方、熱処理時間の上限としては、長時間熱処理を行っても、得られる金属酸化物粉末の粒径等には影響しないため、特に制限はないが、長時間熱処理を行うことは、製造コストにおいて経済的ではないことから、3時間以下とすることが好ましい。
工程1、工程2における熱処理温度は、700℃以上1100℃以下が好ましく、800℃以上1000℃以下であることがより好ましい。温度が低すぎると、ルテニウムとチタンとが固溶した単一相の結晶になり難い。温度が高すぎると、金属酸化物粉末の粒径が大きくなりすぎることがある。よって、熱処理温度を適切に設定することにより、金属酸化物粉末の平均粒径を0.1μm以下とすることができ、得られた金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体を形成したときに、抵抗値のばらつきを抑えることができる。金属酸化物粉末の粒径が大きくなりすぎた場合には、ボールミルやビーズミル等の粉砕機を用いて粉砕し、金属酸化物粉末の粒径を所望の大きさにすることが考えられるが、平均粒径が0.1μm以下の粒径が小さい金属酸化物粉末を得ることが難しい。また、粉砕工程を設けると、所望の金属酸化物粉末以外の物質がコンタミする原因となる可能性があることや、粉砕工程ののち分級工程をさらに設ける必要があり、製造コストが上がるため、粉砕することにより金属酸化物粉末の粒径を調整することは好ましくない。
本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法は、前述したように、まずストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して熱処理を行った(工程1)のち、得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を熱処理する(工程2)ものである。工程1、工程2の順に原料を熱処理することにより、ルテニウムとチタンとが固溶した単一相のペロブスカイト構造を有する金属酸化物粉末を得ることができる。すなわち、チタン酸ストロンチウム/チタン酸カルシウムの生成よりも先に、ルテニウム酸ストロンチウム/ルテニウム酸カルシウムが生成すると、ルテニウムとチタンとが固溶し難い場合があることから、工程1を先に行うことが好ましい。また、湿式法によりルテニウム酸化物、ストロンチウム酸化物、チタン酸化物を合成しておき、これらを混合して熱処理を行うことにより、金属酸化物粉末を得る方法も考えられるが、本実施形態のように、チタン酸ストロンチウム/チタン酸カルシウムを先に合成する方が、ルテニウムとチタンがより固溶しやすいため、好ましい。
また、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、ルテニウム原料と、を全て混合して熱処理することにより金属酸化物粉末を得る場合には、チタンとルテニウムとを固溶させるために、より高温で熱処理を行うことが必要となる。より高温で熱処理を行うと、前述したように、得られる金属酸化物粉末の粒径が大きくなりやすくなり、製造工程が複雑になるうえ、粉砕しても平均粒径が0.1μm以下ほどの小さな粒径を有する粉末を得ることが難しくなる。また、ルテニウム酸ストロンチウム/ルテニウム酸カルシウムの生成よりも、チタン酸ストロンチウム/チタン酸カルシウムが先に生成すると、ルテニウムとチタンがより固溶しやすい。以上のことから、材料を全て混合して熱処理する方法よりも、本実施形態のように、工程1、工程2の順に二段階で行うことが好ましい。
また、本実施形態の金属酸化物粉末の製造方法において、前記チタン原料に含まれるチタンと、前記ルテニウム原料に含まれるルテニウムと、の原子数の合計を1とした場合の、前記チタンの原子数の割合は、0.001〜0.25であり、0.05〜0.20であることがより好ましい。チタンの割合を適切に設定することにより、比抵抗が高くなり、厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、及び、厚膜抵抗体の形成に金属酸化物粉末を用いるときに、抵抗値の高い厚膜抵抗体を形成するために金属酸化物粉末の配合比率を小さくしても、形成された厚膜抵抗体において、従来の鉛を含有する導電性粉末と同等の高い抵抗値を得ることができ、また、抵抗値のばらつきをより小さくすることができる。また、チタンの割合が多すぎると、工程1で合成されたチタン酸ストロンチウム/チタン酸カルシウムが、工程2において、ルテニウムと固溶せずに副生成物となる場合がある。すなわち、チタンの割合が多すぎると、得られる金属酸化物粉末が、チタンとルテニウムとが固溶した金属酸化物粉末とチタン酸ストロンチウム/チタン酸カルシウムとの混合物となる場合がある。
本発明の金属酸化物粉末の製造方法によれば、鉛を含有せず、かつ、比抵抗の高い金属酸化物からなり、平均粒径が0.1μm以下の金属酸化物粉末を得ることができる。よって、本発明の製造方法により得られた金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体を形成したときに、抵抗値のばらつきを抑えることができる。
[厚膜抵抗体用組成物]
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を主成分とすることを特徴とする。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を主成分とすることを特徴とする。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物に含まれる導電性粉末には、前述した金属酸化物粉末を用いることができる。
また、ガラス粉末としては、その組成は特に限定されない。例えば、一般的に用いられる、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物からなる群から適宜1種又は2種以上を混合して、溶融して急冷したものを用いることができる。具体的には、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸アルカリ土類ガラス、ホウケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸ビスマスガラス等が挙げられる。なお、ガラス粉末には、鉛が含まれないことが好ましい。
また、ガラス粉末は、レーザー回折散乱法を用いて測定した個数基準のメジアン径(D50)が、5μm以下であることが好ましく、1μm〜3μmの範囲であることがより好ましい。ガラス粉末の粒径を適切な大きさに設定することにより、形成された厚膜抵抗体における導電パスを微細にすることができ、抵抗値のばらつきを小さくして、ノイズの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物において、金属酸化物粉末からなる導電性粉末が多すぎると形成された厚膜抵抗体の膜強度が低くなり、ガラス粉末が多すぎると形成された厚膜抵抗体の抵抗値が高くなる。よって、厚膜抵抗体用組成物における導電性粉末とガラス粉末との配合比は、形成する厚膜抵抗体における所望の抵抗値や、膜強度により適宜調整することができる。
また、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物には、導電性粉末とガラス粉末以外に、厚膜抵抗体用組成物に用いられる一般的な添加剤を用いることができ、例えば、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の性能を改善することを目的とした添加剤を添加することができる。具体的には、二酸化マンガン、酸化銅、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等を用いることができる。また、添加剤の配合割合は、一般的に、導電性粉末とガラス粉末の質量合計に対して0.05%〜20%程度とすることができる。
なお、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物は、鉛を含有しないことが好ましい。厚膜抵抗体用組成物が「鉛を含有しない」とは、厚膜抵抗体用組成物の鉛の含有量がRoHS指令の規制値(0.1質量%)以下であるか、または、鉛の含有量が通常の測定機器において検出限界値以下であることを示す。
本実施形態の厚膜抵抗体用組成物によれば、前述した金属酸化物粉末が用いられ、金属酸化物粉末が鉛を含有しないことにより、鉛を含有せず、かつ、抵抗値のばらつきが少ない、高抵抗値の厚膜抵抗体を形成することができる。
[厚膜抵抗体用ペースト]
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末及びガラス粉末を主成分とする厚膜抵抗体用組成物と、有機ビヒクルとの混練物であることを特徴とする。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末及びガラス粉末を主成分とする厚膜抵抗体用組成物と、有機ビヒクルとの混練物であることを特徴とする。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストに含まれる厚膜抵抗体用組成物は、前述した厚膜抵抗体用組成物を用いることができる。
また、有機ビヒクルは、樹脂を溶剤に溶解したものであり、樹脂は、厚膜抵抗体用ペーストに通常用いられているものを用いることができ、溶剤は、用いる樹脂により適切なものを用いることができる。例えば、エチルセルロース、ブチラール、アクリルなどの樹脂をターピネオール、ブチルカルビトールアセテートなどの溶剤に溶解したものを好適に用いることができる。また、厚膜抵抗体用ペーストを基板上に印刷することを考慮して、厚膜抵抗体用ペーストがすぐ乾燥しないように、沸点の高い溶剤を加えてもよい。また、有機ビヒクルにおける樹脂と溶剤との配合比は、所望する粘度等によって調整することができる。また、厚膜抵抗体用ペーストにおいて、厚膜抵抗体用組成物に対する有機ビヒクルの配合比は、30質量%〜100質量%程度とすることが一般的である。なお、本発明の厚膜抵抗体用ペーストは、有機ビヒクルに用いる樹脂、溶剤の種類、配合比によって限定されるものではない。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、前述した各成分を3本ロールミル、遊星ミル、ビーズミル等を用いて、厚膜抵抗体用組成物を有機ビヒクル中に分散させることにより製造することができる。従来行われているように、予め各成分を市販の粉砕装置、例えば、ライカイ機やボールミルで混合してから、粉砕混練すればよい。
なお、本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストは、鉛を含有しないことが好ましい。厚膜抵抗体用ペーストが「鉛を含有しない」とは、厚膜抵抗体用組成物の鉛の含有量がRoHS指令の規制値(0.1質量%)以下であるか、または、鉛の含有量が通常の測定機器において検出限界値以下であることを示す。
本実施形態の厚膜抵抗体用ペーストによれば、前述した金属酸化物粉末が用いられ、金属酸化物粉末が鉛を含有しないことにより、鉛を含有せず、かつ、抵抗値のばらつきが少ない、高抵抗値の厚膜抵抗体を形成することができる。
[厚膜抵抗体及びその製造方法]
本実施形態の厚膜抵抗体の製造方法は、厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程と、前記厚膜抵抗体用ペーストが塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含むものである。また、本実施形態の厚膜抵抗体は、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含む焼成体を有するものである。厚膜抵抗体に用いられる基板としては、アルミナ等のセラミックスを好適に用いることができる。
本実施形態の厚膜抵抗体の製造方法は、厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程と、前記厚膜抵抗体用ペーストが塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含むものである。また、本実施形態の厚膜抵抗体は、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含む焼成体を有するものである。厚膜抵抗体に用いられる基板としては、アルミナ等のセラミックスを好適に用いることができる。
本実施形態の厚膜抵抗体の製造方法について、説明する。なお、本発明の厚膜抵抗体の製造方法は以下の方法に限定されるものではなく、処理条件等は、公知の知見、方法を用いて、適宜変更してもよい。
まず、厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程を行う。すなわち、アルミナ等のセラミックス基板上に銀、パラジウム等からなる電極を形成し、その上に前述した厚膜抵抗体用ペーストをスクリーン印刷、フレキソ印刷、ディスペンサによる描画印刷、またはインクジェット法等の方法により塗布する。さらに、厚膜抵抗体用ペーストが塗布された基板を焼成する焼成工程を行い、厚膜抵抗体を作製する。具体的には、塗布工程において基板に塗布された厚膜抵抗体用ペーストを乾燥させて、オーブン等を用いて焼成する。焼成条件は、形成する厚膜抵抗体のサイズ等により、適宜設定することができる。以上により、金属酸化物からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含む焼成体を有する厚膜抵抗体が製造される。
厚膜抵抗体中の無機成分におけるルテニウムの含有量は、形成する厚膜抵抗体の所望の抵抗値によって適宜調整することができる。例えば、前述した金属酸化物粉末を用いて形成された厚膜抵抗体において、厚膜抵抗体中の無機成分におけるルテニウムの含有量を7質量%〜20質量%とすることにより、100kΩ程度の抵抗値を有する厚膜抵抗体を形成することができる。
本実施形態の厚膜抵抗体によれば、前述した金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含むことにより、鉛を含有せず、かつ、抵抗値のばらつきが少ない、高抵抗値の厚膜抵抗体とすることができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
[金属酸化物粉末の製造]
まず、実施例1〜10、比較例1〜5として、金属酸化物粉末を製造した。一般式ABO3で表した場合、Aサイトの元素は、ストロンチウム(Sr、実施例1〜5、10、比較例1、4、5)、カルシウム(Ca、実施例6〜8、比較例2、3)、又は、ストロンチウム及びカルシウム(実施例9)とした。また、本実施例において、Bサイトの元素は、チタン(Ti)及びルテニウム(Ru)であり、Bサイトにおけるチタンの割合を種々変更して金属酸化物粉末を製造した。
まず、実施例1〜10、比較例1〜5として、金属酸化物粉末を製造した。一般式ABO3で表した場合、Aサイトの元素は、ストロンチウム(Sr、実施例1〜5、10、比較例1、4、5)、カルシウム(Ca、実施例6〜8、比較例2、3)、又は、ストロンチウム及びカルシウム(実施例9)とした。また、本実施例において、Bサイトの元素は、チタン(Ti)及びルテニウム(Ru)であり、Bサイトにおけるチタンの割合を種々変更して金属酸化物粉末を製造した。
(実施例1)
まず、工程1として、アナターゼ型のTiO2粉末0.25mol、及び、SrCO3粉末0.25molをライカイ機で混合した後、アルミナ坩堝に充填して、800℃で1時間熱処理した。その後、工程2として、工程1により得られた熱処理物と、RuO2粉末0.75mol、及び、SrCO3粉末0.75molをライカイ機で混合し、再び800℃で2時間熱処理を行った。これにより金属酸化物粉末を得た。
まず、工程1として、アナターゼ型のTiO2粉末0.25mol、及び、SrCO3粉末0.25molをライカイ機で混合した後、アルミナ坩堝に充填して、800℃で1時間熱処理した。その後、工程2として、工程1により得られた熱処理物と、RuO2粉末0.75mol、及び、SrCO3粉末0.75molをライカイ機で混合し、再び800℃で2時間熱処理を行った。これにより金属酸化物粉末を得た。
得られた金属酸化物粉末中のチタン(Ti)量、ルテニウム(Ru)量、ストロンチウム(Sr)量の化学分析を行った。また、得られた金属酸化物粉末を走査型電子顕微鏡(SEM、Ultra55、カールツァイス株式会社製)で観察し、金属酸化物粉末の粒径を測定した。粒径は、倍率10万倍のSEM像において、金属酸化物粉末100個の粒径を測定し、測定値の平均値とした。また、X線回折(X’Pert−PRO/MPD、スペクトリス株式会社製)により、得られた金属酸化物粉末の結晶構造を同定した。化学分析、粒径の結果を表1に示した。
(実施例2)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。また、X線回折により得られたピークを図1に示した。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。また、X線回折により得られたピークを図1に示した。
(実施例3)
アナターゼ型のTiO2粉末0.1mol、及び、SrCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.9mol、及び、SrCO3粉末0.9molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.1mol、及び、SrCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.9mol、及び、SrCO3粉末0.9molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(実施例4)
アナターゼ型のTiO2粉末0.05mol、及び、SrCO3粉末0.05molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.95mol、及び、SrCO3粉末0.95molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.05mol、及び、SrCO3粉末0.05molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.95mol、及び、SrCO3粉末0.95molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(実施例5)
アナターゼ型のTiO2粉末0.001mol、及び、SrCO3粉末0.001molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.999mol、及び、SrCO3粉末0.999molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.001mol、及び、SrCO3粉末0.001molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.999mol、及び、SrCO3粉末0.999molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(実施例6)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、CaCO3粉末0.2molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、CaCO3粉末0.8molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。また、X線回折により得られたピークを図2に示した。なお、実施例6〜8、比較例3により得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、チタン(Ti)量、ルテニウム(Ru)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、CaCO3粉末0.2molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、CaCO3粉末0.8molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。また、X線回折により得られたピークを図2に示した。なお、実施例6〜8、比較例3により得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、チタン(Ti)量、ルテニウム(Ru)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
(実施例7)
アナターゼ型のTiO2粉末0.1mol、及び、CaCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.9mol、及び、CaCO3粉末0.9molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.1mol、及び、CaCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.9mol、及び、CaCO3粉末0.9molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(実施例8)
アナターゼ型のTiO2粉末0.05mol、及び、CaCO3粉末0.05molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.95mol、及び、CaCO3粉末0.95molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.05mol、及び、CaCO3粉末0.05molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.95mol、及び、CaCO3粉末0.95molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(実施例9)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、SrCO3粉末0.1mol、及び、CaCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、SrCO3粉末0.4mol、及び、CaCO3粉末0.4molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、チタン(Ti)量、ルテニウム(Ru)量、ストロンチウム(Sr)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、SrCO3粉末0.1mol、及び、CaCO3粉末0.1molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、SrCO3粉末0.4mol、及び、CaCO3粉末0.4molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、チタン(Ti)量、ルテニウム(Ru)量、ストロンチウム(Sr)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
(実施例10)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して1000℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び1000℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して1000℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び1000℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(比較例1)
RuO2粉末1.0mol、及び、SrCO3粉末1.0molを混合して800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、ルテニウム(Ru)量、ストロンチウム(Sr)量を分析した。
RuO2粉末1.0mol、及び、SrCO3粉末1.0molを混合して800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、ルテニウム(Ru)量、ストロンチウム(Sr)量を分析した。
(比較例2)
RuO2粉末1.0mol、及び、CaCO3粉末1.0molを混合して800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、ルテニウム(Ru)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
RuO2粉末1.0mol、及び、CaCO3粉末1.0molを混合して800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。なお、得られた金属酸化物粉末の化学分析においては、ルテニウム(Ru)量、カルシウム(Ca)量を分析した。
(比較例3)
アナターゼ型のTiO2粉末0.3mol、及び、CaCO3粉末0.3molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.7mol、及び、CaCO3粉末0.7molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.3mol、及び、CaCO3粉末0.3molを混合して800℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.7mol、及び、CaCO3粉末0.7molを混合し、再び800℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(比較例4)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して1200℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び1200℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して1200℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び1200℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
(比較例5)
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して600℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び600℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
アナターゼ型のTiO2粉末0.2mol、及び、SrCO3粉末0.2molを混合して600℃で1時間熱処理し、その後、得られた熱処理物と、RuO2粉末0.8mol、及び、SrCO3粉末0.8molを混合し、再び600℃で2時間熱処理を行って金属酸化物粉末を得たこと以外は実施例1と同じ操作を行った。
[結果及び考察]
(得られた金属酸化物粉末の組成比)
実施例1〜10、比較例1〜5において得られた金属酸化物粉末の化学分析の結果を表1に示した。その結果、組成比は、以下の通りとなった。実施例1〜5、10において、Ti、Ru、Srの組成比(mol%)は、それぞれ、12.5mol%、37.5mol%、50mol%(実施例1)、10mol%、40mol%、50mol%(実施例2)、5mol%、45mol%、50mol%(実施例3)、2.5mol%、47.5mol%、50mol%(実施例4)、0.05mol%、49.95mol%、50mol%(実施例5)、10mol%、40mol%、50mol%(実施例10)であった。また、実施例6〜8、比較例3において、Ti、Ru、Caの組成比(mol%)は、それぞれ、10mol%、40mol%、50mol%(実施例6)、5mol%、45mol%、50mol%(実施例7)、2.5mol%、47.5mol%、50mol%(実施例8)、15mol%、35mol%、50mol%(比較例3)であった。また、実施例9において、Ti、Ru、Sr、Caの組成比(mol%)は、10mol%、40mol%、25mol%、25mol%であった。また、比較例1において、Ru、Srの組成比(mol%)は、50mol%、50mol%であった。また、比較例2において、Ru、Caの組成比(mol%)は、50mol%、50mol%であった。比較例4、5において、Ti、Ru、Srの組成比(mol%)は、10mol%、40mol%、50mol%(比較例4、5)であった。
(得られた金属酸化物粉末の組成比)
実施例1〜10、比較例1〜5において得られた金属酸化物粉末の化学分析の結果を表1に示した。その結果、組成比は、以下の通りとなった。実施例1〜5、10において、Ti、Ru、Srの組成比(mol%)は、それぞれ、12.5mol%、37.5mol%、50mol%(実施例1)、10mol%、40mol%、50mol%(実施例2)、5mol%、45mol%、50mol%(実施例3)、2.5mol%、47.5mol%、50mol%(実施例4)、0.05mol%、49.95mol%、50mol%(実施例5)、10mol%、40mol%、50mol%(実施例10)であった。また、実施例6〜8、比較例3において、Ti、Ru、Caの組成比(mol%)は、それぞれ、10mol%、40mol%、50mol%(実施例6)、5mol%、45mol%、50mol%(実施例7)、2.5mol%、47.5mol%、50mol%(実施例8)、15mol%、35mol%、50mol%(比較例3)であった。また、実施例9において、Ti、Ru、Sr、Caの組成比(mol%)は、10mol%、40mol%、25mol%、25mol%であった。また、比較例1において、Ru、Srの組成比(mol%)は、50mol%、50mol%であった。また、比較例2において、Ru、Caの組成比(mol%)は、50mol%、50mol%であった。比較例4、5において、Ti、Ru、Srの組成比(mol%)は、10mol%、40mol%、50mol%(比較例4、5)であった。
(粒径)
また、表1に示したように、得られた金属酸化物粉末をSEMで観察した結果、実施例1〜9においては、金属酸化物粉末は、平均値0.08μm、実施例10においては、平均値0.1μmの均一な粒径を有していた。また、比較例1、2においては、金属酸化物粉末は、平均値0.15μm、比較例3においては、平均値0.08μm、比較例4においては、平均値0.25μmの均一な粒径を有していた。なお、比較例5においては、後述するように、金属酸化物粉末が単一相のペロブスカイト構造を有する結晶ではなかったため、粒径の測定を行わなかった。
また、表1に示したように、得られた金属酸化物粉末をSEMで観察した結果、実施例1〜9においては、金属酸化物粉末は、平均値0.08μm、実施例10においては、平均値0.1μmの均一な粒径を有していた。また、比較例1、2においては、金属酸化物粉末は、平均値0.15μm、比較例3においては、平均値0.08μm、比較例4においては、平均値0.25μmの均一な粒径を有していた。なお、比較例5においては、後述するように、金属酸化物粉末が単一相のペロブスカイト構造を有する結晶ではなかったため、粒径の測定を行わなかった。
(金属酸化物粉末の結晶構造の同定)
得られた金属酸化物粉末のX線回折により結晶構造を同定した。実施例2の金属酸化物粉末により得られた回折ピークを図1に示した。矢印は目的の化合物に由来するピークを示す。図1に示すように、実施例2により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。また、実施例1、3〜5、10、比較例4により得られた金属酸化物粉末においても、図1に示した回折ピークと同様の結果となり、実施例1、3〜5、10、比較例4により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。
得られた金属酸化物粉末のX線回折により結晶構造を同定した。実施例2の金属酸化物粉末により得られた回折ピークを図1に示した。矢印は目的の化合物に由来するピークを示す。図1に示すように、実施例2により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。また、実施例1、3〜5、10、比較例4により得られた金属酸化物粉末においても、図1に示した回折ピークと同様の結果となり、実施例1、3〜5、10、比較例4により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。
実施例6の金属酸化物粉末により得られた回折ピークを図2に示した。矢印は目的の化合物に由来するピークを示す。図2に示すように、実施例6により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。また、実施例7、8により得られた金属酸化物粉末においても、図2に示した回折ピークと同様の結果となり、実施例7、8により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。また、比較例3の金属酸化物粉末により得られた回折ピークは、副生成物の回折ピークが確認され、ペロブスカイト型の結晶構造以外に副生成物が含まれることが確認された。
実施例9の金属酸化物粉末の回折ピークには、図1、図2の両方のピークが見られた。このことから、実施例9により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。
比較例1、比較例2の金属酸化物粉末により得られた回折ピークは、それぞれ、SrRuO3(比較例1)、CaRuO3(比較例2)の回折ピークと一致し、SrRuO3、CaRuO3以外のピークはごくわずかであった。このことから、比較例1、比較例2により得られた金属酸化物粉末が、ほぼ単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。
比較例5の金属酸化物粉末は、X線回折の結果、単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有しないことが確認された。
実施例2(熱処理温度800℃)、実施例10(熱処理温度1000℃)、比較例4(熱処理温度1200℃)、比較例5(熱処理温度600℃)を比較すると、実施例2、実施例10により得られた金属酸化物粉末の平均粒径は0.08μm、0.1μmであり、平均粒径が0.1μm以下となることが確認された。一方、比較例4により得られた金属酸化物粉末の平均粒径は0.25μmであり、実施例2、実施例10よりも平均粒径が大きくなったことが確認された。また、比較例5により得られた金属酸化物粉末は単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有しないことが確認された。以上のことから、熱処理温度を適切に設定することにより、平均粒径を0.1μm以下とすることができ、単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物粉末を得ることができることが示された。
[厚膜抵抗体の作製及びその特性評価]
次に、実施例1〜10、比較例1〜4により得られた金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体を作製し、その特性を評価した。すなわち、金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体用ペーストを作製し、厚膜抵抗体用ペーストをアルミナ基板上に印刷して焼成することにより厚膜抵抗体を得た。また、厚膜抵抗体用ペーストにおける金属酸化物粉末とガラス粉末との配合比は、形成された厚膜抵抗体の面積抵抗値がおよそ100kΩとなるように調整した。なお、比較例5で作製した金属酸化物粉末は、単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有しないことから、厚膜抵抗体の作製、特性評価は行わなかった。
次に、実施例1〜10、比較例1〜4により得られた金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体を作製し、その特性を評価した。すなわち、金属酸化物粉末を用いて厚膜抵抗体用ペーストを作製し、厚膜抵抗体用ペーストをアルミナ基板上に印刷して焼成することにより厚膜抵抗体を得た。また、厚膜抵抗体用ペーストにおける金属酸化物粉末とガラス粉末との配合比は、形成された厚膜抵抗体の面積抵抗値がおよそ100kΩとなるように調整した。なお、比較例5で作製した金属酸化物粉末は、単一相のペロブスカイト型の結晶構造を有しないことから、厚膜抵抗体の作製、特性評価は行わなかった。
(実施例11)
実施例1で作製した金属酸化物粉末を24質量%、レーザー回折散乱法を用いて測定した個数基準のメジアン径(D50)が3μmのガラス粉末46質量%、有機ビヒクル30質量%を3本ロールミルで分散して厚膜抵抗体用ペーストを製造した。有機ビヒクルは、エチルセルロース5質量%、ターピネオール95質量%の割合で混合したものを用いた。また、ガラス粉末は、各成分の組成比がSiO2 60質量%、B2O3 15質量%、Al2O3 5質量%、BaO 15質量%、K2O 5質量%のものを用いた。
実施例1で作製した金属酸化物粉末を24質量%、レーザー回折散乱法を用いて測定した個数基準のメジアン径(D50)が3μmのガラス粉末46質量%、有機ビヒクル30質量%を3本ロールミルで分散して厚膜抵抗体用ペーストを製造した。有機ビヒクルは、エチルセルロース5質量%、ターピネオール95質量%の割合で混合したものを用いた。また、ガラス粉末は、各成分の組成比がSiO2 60質量%、B2O3 15質量%、Al2O3 5質量%、BaO 15質量%、K2O 5質量%のものを用いた。
次に、作製した厚膜抵抗体用ペーストをアルミナ基板上に印刷し、乾燥、焼成して厚膜抵抗体を形成した。具体的には、アルミナ基板上にAgを98.5質量%、Pdを1.5質量%の割合で含む電極を形成し、その上に、作製した厚膜抵抗体用ペーストを印刷して、150℃で10分間乾燥させた後、ピーク温度850℃で10分間、合計30分間焼成して厚膜抵抗体を形成した。厚膜抵抗体のサイズは、抵抗体幅寸法を1.0mm、電極間寸法を1.0mm、厚さはおよそ8.0μmとした。
また、作製した厚膜抵抗体の特性として、膜厚、平均面積抵抗値、抵抗値の変動係数(CV)について評価した。厚膜抵抗体の膜厚は、触針の厚さ粗さ計(SURFCOM480、東京精密社製)で5個の厚膜抵抗体の膜厚を測定し、測定値の平均値とした。また、抵抗値は、25個の厚膜抵抗体の抵抗値をデジタルマルチメーター(Model 2001 Multimeter、KEITHLEY製)で測定し、測定値の平均値を算出した値とした。変動係数(CV)は、100個の厚膜抵抗体の抵抗値の平均値を算出し、標準偏差を平均値で除した値とした。
(実施例12)
実施例2で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例2で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例13)
実施例3で作製した金属酸化物粉末を14質量%、メジアン径3μmのガラス粉末56質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例3で作製した金属酸化物粉末を14質量%、メジアン径3μmのガラス粉末56質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例14)
実施例4で作製した金属酸化物粉末を10.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末59.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例4で作製した金属酸化物粉末を10.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末59.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例15)
実施例5で作製した金属酸化物粉末を13質量%、メジアン径3μmのガラス粉末57質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例5で作製した金属酸化物粉末を13質量%、メジアン径3μmのガラス粉末57質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例16)
実施例6で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例6で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例17)
実施例7で作製した金属酸化物粉末を14質量%、メジアン径3μmのガラス粉末56質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例7で作製した金属酸化物粉末を14質量%、メジアン径3μmのガラス粉末56質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例18)
実施例8で作製した金属酸化物粉末を10.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末59.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例8で作製した金属酸化物粉末を10.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末59.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例19)
実施例9で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例9で作製した金属酸化物粉末を21質量%、メジアン径3μmのガラス粉末49質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(実施例20)
実施例10で作製した金属酸化物粉末を24質量%、メジアン径3μmのガラス粉末46質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
実施例10で作製した金属酸化物粉末を24質量%、メジアン径3μmのガラス粉末46質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例6)
比較例1で作製した金属酸化物粉末を8.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末61.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
比較例1で作製した金属酸化物粉末を8.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末61.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例7)
比較例2で作製した金属酸化物粉末を8.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末61.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
比較例2で作製した金属酸化物粉末を8.5質量%、メジアン径3μmのガラス粉末61.5質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例8)
比較例3で作製した金属酸化物粉末を20質量%、メジアン径3μmのガラス粉末50質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
比較例3で作製した金属酸化物粉末を20質量%、メジアン径3μmのガラス粉末50質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
(比較例9)
比較例4で作製した金属酸化物粉末を30質量%、メジアン径3μmのガラス粉末40質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
比較例4で作製した金属酸化物粉末を30質量%、メジアン径3μmのガラス粉末40質量%としたこと以外は実施例11と同様の操作を行った。
[結果及び考察]
実施例、比較例により得られた厚膜抵抗体の特性評価結果について、表2に示した。本発明の実施例1〜10、比較例1〜4により得られた金属酸化物粉末を導電性粉末として作製した実施例11〜20、比較例6〜9の厚膜抵抗体において、その膜厚の平均値は7.8μm〜8.9μmであり、いずれも設定値(8.0μm)に近い値の厚膜抵抗体が得られた。また、実施例11〜20、比較例6〜9の厚膜抵抗体において、平均面積抵抗値は88.5kΩ〜122.6kΩであり、いずれも設定値(100kΩ)に近い値の厚膜抵抗体が得られた。
実施例、比較例により得られた厚膜抵抗体の特性評価結果について、表2に示した。本発明の実施例1〜10、比較例1〜4により得られた金属酸化物粉末を導電性粉末として作製した実施例11〜20、比較例6〜9の厚膜抵抗体において、その膜厚の平均値は7.8μm〜8.9μmであり、いずれも設定値(8.0μm)に近い値の厚膜抵抗体が得られた。また、実施例11〜20、比較例6〜9の厚膜抵抗体において、平均面積抵抗値は88.5kΩ〜122.6kΩであり、いずれも設定値(100kΩ)に近い値の厚膜抵抗体が得られた。
また、実施例11〜20により得られた厚膜抵抗体の抵抗値の変動係数(CV)は、2.1%〜4.3%であり、抵抗値のばらつきが小さいことが確認された。一方、比較例6〜9により得られた厚膜抵抗体の抵抗値の変動係数は、それぞれ、8.7%、12.2%、6.7%、10.5%であり、実施例よりも変動係数が大きく、抵抗値のばらつきがより大きいことが確認された。実施例により得られた厚膜抵抗体は、比抵抗の高い導電性粉末を多く含有しているため、導電パスが多く形成され、抵抗値のばらつきが小さくなったと思われる。一方、比較例により得られた厚膜抵抗体は、導電パスが少なく不安定であるため抵抗値のばらつきが大きくなったと思われる。
また、一般式ABO3で表されるBサイトにおけるチタンの割合が0.3(Ti/(Ti+Ru))である金属酸化物粉末を用いた比較例8においては、形成された厚膜抵抗体の抵抗値の変動係数が6.7%となり、実施例により得られた厚膜抵抗体の抵抗値の変動係数(2.1%〜4.3%)よりも高くなった。これにより、一般式ABO3で表されるBサイトにおけるチタンの割合を適切に設定することにより、形成された厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきをより小さくすることができることが示された。
また、実施例12、実施例20、比較例9を比較すると、材料の金属酸化物粉末におけるチタンの割合は同じであるが、粒径が異なる。このような金属酸化物粉末を用いた厚膜抵抗体における抵抗値の変動係数は、実施例12では2.3%、実施例20では3.7%、比較例9では10.5%であった。このことから、粒径が適切な大きさの金属酸化物粉末を用いることにより、形成された厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを抑えることができることが示された。すなわち、金属酸化物粉末を製造するときの熱処理温度を適切な温度に設定することにより、金属酸化物粉末の粒径が小さくなり、形成された厚膜抵抗体の抵抗値のばらつきを抑えることができることが示された。
以上の評価結果より、本発明の例示的態様である実施例1〜20においては、鉛を含有せず、かつ、比抵抗の高い金属酸化物粉末を得ることができ、また、その金属酸化物粉末を厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペースト、及び、厚膜抵抗体に用いることにより、鉛を含有せず、かつ、抵抗値のばらつきが少ない、高抵抗値の厚膜抵抗体を形成することができることが示された。
Claims (6)
- 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、
前記一般式におけるAサイトの元素がストロンチウム、または、カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記一般式におけるBサイトの元素の一部分がチタンであり、前記Bサイトの元素の前記一部分を除く他の部分がルテニウムであり、
前記Bサイトにおけるチタンとルテニウムの原子数の合計を1とした場合の、前記チタン原子の割合が、0.001〜0.25であり、
平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする金属酸化物粉末。 - ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、チタン原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程1と、
前記工程1により得られた熱処理物と、ストロンチウム原料及び/又はカルシウム原料と、ルテニウム原料と、を混合して、700℃以上1100℃以下で熱処理する工程2と、を備え、
前記チタン原料に含まれるチタンと、前記ルテニウム原料に含まれるルテニウムと、の原子数の合計を1とした場合の、前記チタンの原子数の割合が、0.001〜0.25であることを特徴とする金属酸化物粉末の製造方法。 - 請求項1に記載の金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を主成分とすることを特徴とする厚膜抵抗体用組成物。
- 請求項1に記載の金属酸化物粉末からなる導電性粉末及びガラス粉末を主成分とする厚膜抵抗体用組成物と、有機ビヒクルとの混練物であることを特徴とする厚膜抵抗体用ペースト。
- 請求項1に記載の金属酸化物粉末からなる導電性粉末と、ガラス粉末と、を含む焼成体を有することを特徴とする厚膜抵抗体。
- 請求項4に記載の厚膜抵抗体用ペーストを基板に塗布する塗布工程と、前記厚膜抵抗体用ペーストが塗布された前記基板を焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする厚膜抵抗体の製造方法。
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- 2016-09-23 JP JP2016185838A patent/JP2018048052A/ja active Pending
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