以下、本発明の加熱装置に係る実施の形態として加熱調理器について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の加熱装置は、以下の実施の形態に記載した加熱調理器の構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想および当技術分野における技術常識に基づいて構成される加熱装置を含むものである。
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1を添付の図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明に係る実施の形態1の加熱調理器の内部概略構成を示す側面断面図である。図2は、図1に示した加熱調理器における一部のII−II線による平面断面図である。図3は、実施の形態1の加熱調理器における加熱室の後壁である背面壁を示す斜視図である。
なお、実施の形態1の加熱調理器の説明において、被加熱物を出し入れするドアが配置された面を加熱調理器の正面とし、左右方向は正面から見た方向として説明する。後述する各実施の形態においても同様に、正面、左右方向は上記の定義を用いる。
図1に示されているように、実施の形態1の加熱調理器は、本体1の内部に被加熱物10である食材を収納するための略直方体構造を持つ加熱室2が形成されている。加熱室2は、金属材料により天井面、底面、左側面、右側面及び背面を構成する壁板と、被加熱物10を出し入れするために開閉するドア3と、被加熱物10を載置するための調理皿5を支持する複数の支持部4とを有している。実施の形態1の加熱調理器においては、3段の調理皿5が配置され得るよう支持部4が形成されている。
加熱室2の下方には、マグネトロン6とアンテナ7が設置されており、マグネトロン6において発生した電磁波が、アンテナ7を経由して加熱室2内に放射され得るよう構成されている。このように構成された加熱室2は、ドア3を閉じることにより、加熱室2内に供給された電磁波が加熱室2内部に閉じ込められる構成である。
なお、実施の形態1においては、マグネトロン6からの電磁波がアンテナを介して加熱室に給電される構成であるが、本発明は半導体素子を用いた回路構成により電磁波を形成して加熱室に給電する構成や、単に対流加熱方式のオーブン調理器の構成においても適用できるものである。
さらに、実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室2の後方である背面側には、加熱室2に隣接して熱源室8が設けられている。熱源室8の内部には、遠心ファンである送風ファン9と、この送風ファン9の回転動作により送り出された空気を加熱するシーズヒータで構成されたヒータ11が設置されている。実施の形態1の加熱調理器におけるヒータ11は、送風ファン9の羽根部の外側に配置され、且つ後方側にオフセットした位置に設けられており、略正方形の枠形状を有している。
なお、実施の形態1においては、ヒータ11が略正方形の枠形状を有した例で説明するが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、他の形状、例えば円環の枠形状でもよい。
熱源室8のさらに後方の空間である駆動室12には、駆動源であるモータ13が設置されている。このモータ13のシャフトは、熱源室8の背面となる熱源室背面壁14を貫通しており、そのシャフトの先端には送風部である送風ファン9が取り付けられている。このように、熱源としての加熱部であるヒータ11が設置された熱源室8と、駆動源であるモータ13が設置された駆動室12は、熱源室背面壁14を有する内部ケース22により仕切られ、断熱されている。
また、被加熱物10が収容される加熱室2と、送風ファン9とヒータ11が設置された熱源室8との間には加熱室背面壁である隔壁15が設けられている。この隔壁15により加熱室2と熱源室8との間が空間的に仕切られている。
加熱室背面壁である隔壁15において、送風ファン9の中心近傍に対向する位置(中央領域)には吸込口16が形成されている。また、隔壁15において、加熱室2の壁面に近い領域であり、送風ファン9より外側の領域には多数のパンチング孔で構成された複数の吹出口17A,17B,23A,23B(図3参照)が形成されている。
実施の形態1の加熱調理器において、図1に示すように、熱源室背面壁14は、平板形状ではなく、後方の駆動室12にモータ13を設けるために中央部分が熱源室側に飛び出る凸形状に形成されている。言い換えると、熱源室背面壁14は、その外周部分が駆動室側へ飛び出るように凹形状に形成されている。その熱源室背面壁14における中央部分に形成された駆動室側の凹部空間内にモータ13が配置されるよう構成されている。
実施の形態1の加熱調理器においては、前述のように、加熱室2が、前面となるドア3の他に、左側面18、右側面19、底面20、天井面21および背面となる加熱室背面壁である隔壁15により構成されている。左側面18および右側面19には、底面20に対し略並行に加熱室2内に突出した支持部4が上下に三段設けられている。これらの支持部4により加熱室2内において、調理皿5が保持され得る構成である。
前述のように、加熱室2の背面となる隔壁15の後方には、この隔壁15、および熱源室背面壁14を含む内部ケース22により囲まれて形成された熱源室8が配置されている。すなわち、加熱室2の背面となる隔壁15は、加熱室2と熱源室8とを隔てる役割を果たしている。熱源室8の内部には、遠心ファンである送風ファン9と、ヒータ11が設けられている。これらの送風ファン9およびヒータ11は、本体1内部に設けられた制御部24により制御される構成である。
図2及び図3に示すように、加熱室2の背面となる隔壁15の中央部分には、多数のパンチング孔で構成された吸込口16が形成されている。また、隔壁15には吸込口16を中央として、その吸込口16の周りの領域には、複数の吹出口17A,17B,23A,23Bが形成されている。隔壁15における上端部に近い領域において、加熱室2の左側面18に近い端部近傍から略中央部分までの領域には、多数のパンチング孔で構成された上吹出口17Aが帯状となって水平方向に細長く形成されている。同様に、隔壁15における下端部に近い領域において、加熱室2の右側面19に近い端部近傍から略中央部分までの領域には、多数のパンチング孔で構成された下吹出口17Bが帯状となって水平方向に細長く形成されている。すなわち、隔壁15に形成された2つの上吹出口17Aおよび下吹出口17Bは吸込口16の中心に関して点対称に形成されている。図3において、矢印が送風ファン9の回転方向である。
また、隔壁15においては、吸込口16の左右の領域に多数のパンチング孔で構成された吹出口23A,23Bが幅広の帯状となって水平方向に形成されている(図3参照)。
上記のように、隔壁15には吸込口16を挟む左右の位置には、同様に多数のパンチング孔で構成された左吹出口23Aおよび右吹出口23Bがそれぞれ設けられている。上吹出口17Aおよび下吹出口17Bの形状は、左吹出口23Aおよび右吹出口23Bの形状に比較して水平方向に長く、且つ鉛直方向の幅が短く形成されている(図3参照)。隔壁15における吸込口16、上下吹出口17A,17Bおよび左右吹出口23A,23Bのそれぞれのパンチング孔を介して、加熱室2および熱源室8は連通している。
吸込口16、上下吹出口17A,17Bおよび左右吹出口23A,23Bを構成するパンチング孔は、電磁波加熱の際、加熱室2の外へ電磁波が漏洩しないように、直径2〜5mm程度の複数の孔の集まりとして形成されている。
熱源室8内の送風ファン9における吸気部分は、隔壁15の吸込口16に対向するよう配設されている。送風ファン9の排気部分となる外周部分には、略正方形の枠形状であり略環形状のヒータ11が設けられている。送風ファン9は、熱源室8の外部に設けたモータ13により回転駆動されて、遠心方向に空気を送り出す空気流を発生させている。発生した空気流は、送風ファン9の外周位置にあるヒータ11により加熱されて熱風となり、隔壁15における上下吹出口17A,17Bおよび左右吹出口23A,23Bから加熱室2内に供給されて被加熱物10を対流加熱する。
加熱室2の背面壁となる隔壁15において、熱源室8側である裏面には、中央の吸込口16と左吹出口23Aとの間に第1の流路形成部30Aが設けられている。また、隔壁15の裏面において、中央の吸込口16と右吹出口23Bとの間には第2の流路形成部30Bが設けられている。第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、隔壁15の裏面に一端が固着され、他端が熱源室8の内部空間に斜めに突出するよう形成されている。第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bの各突出端部は、熱源室背面壁14から所定の空隙を有して配置されている。また、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、送風ファン9を取り囲むように配置されたヒータ11と、それぞれの吹出口23A,23Bとの間に設けられている。上記のように、送風ファン9、ヒータ11、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、隔壁15と、熱源室背面壁14を有する内部ケース22とにより構成された熱源室8の内部に設けられて、熱源室8内における特別な空気流を形成している。
図2および図3に示すように、隔壁15の裏面において、中央の吸込口16の左右の位置にある第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、隔壁15が形成する平面(鉛直面)に対して略45度の角度を有して外向きに開くように傾斜する案内面を有する傾斜部30Aa,30Baと、隔壁15に固定される固定部30Ab,30Bbと、を有して構成されている。固定部30Ab,30Bbは、左右吹出口23A,23Bの裏面における中央側近傍に配置されており、傾斜部30Aa,30Baが左右吹出口23A,23Bの中央側を覆うように斜めに延設されている。固定部30Ab,30Bbは、隔壁15に固定するための取付け部分であり、これらの固定部30Ab,30Bbにおいてカシメや溶接により隔壁15に固定される。実施の形態1においては、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bのそれぞれが金属板を直線に沿って折り曲げられて形成されている。なお、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bの材料としては、金属に限定されるものではなく、形状を保持できる耐熱性を有する材料であれば用いることができる。
実施の形態1においては、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、傾斜部30Aa,30Baが隔壁15の平面(鉛直面)に対して略45度の角度を有して外向きに開く構成で説明するが、この角度は加熱調理器における仕様において決定されるものである。加熱調理器の動作特性に応じて、例えば、隔壁15の平面(鉛直面)に対して30度から70度の間の角度範囲で外向きに開くように設定される。
なお、実施の形態1における第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、図3に示すように、長方形の板材が屈曲されて形成されており、直線である屈曲線が鉛直方向となるよう配置されている。また、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、隔壁15の上下方向の長さより短く、左右吹出口23A,23Bの上下方向の長さより長く形成されており、左右吹出口23A,23Bの中央側(吸込口側)に設けられている。
なお、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、左右吹出口23A,23Bの上下方向の長さより長く形成した例で説明したが、本発明はこのような構成に限定されず、当該加熱装置の仕様などに応じて、左右吹出口の上下方向の長さより短く形成してもよい。
実施の形態1の加熱調理器においては、加熱室2の内容量を確保しつつ、送風ファン9とヒータ11とを有する熱源室8と、モータ13を有する駆動室12とを含めた本体1の奥行き寸法を小さくするために、熱源室8と駆動室12の奥行き寸法が小さく形成されている。
実施の形態1の加熱調理器においては、奥行き寸法が小さくても送風性能が劣化しない遠心ファンである送風ファン9を用いており、吸入部分である中心部分の奥行き寸法を薄くすることが可能な送風ファン9を用いている。このため、モータ13のシャフトが貫通する熱源室背面壁14は、モータ13に近接した部分が加熱室側(前面側)に凹んだ形状を有し、この凹みの内側にモータ13が配置されるよう構成されている。この結果、熱源室8と駆動室12とを合わせた奥行き方向の寸法が小さくなっている。
図1に示すように、実施の形態1の加熱調理器においては、上記のように熱源室背面壁14を形成して、モータ13を熱源室背面壁14の凹みの内側に配置しており、熱源室8のモータ13に近接した部分(中央部分)の奥行き寸法を小さくしている。熱源室8において、モータ13に近接した部分以外(外周部分)の奥行き寸法は、中央部分に比べて大きくなっており、熱源としての加熱部であるヒータ11の配置空間が確保されている。また、実施の形態1の加熱調理器においては、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bをヒータ11の外側の所定位置に配設するための空間が確保されている。特に、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bにより形成される熱源室8内の空気流路が確保されている。なお、熱源室8の内部において、ヒータ11の厚み(奥行き方向の長さ)の中心位置が送風ファン9の羽根の奥行き方向の長さの中心位置より後方となるように、ヒータ11が配置されている。
以下、本発明に係る実施の形態1の加熱調理器における加熱動作について説明する。
実施の形態1の加熱調理器において、例えば、オーブン調理を行う場合、クッキー等の被加熱物10が載置された調理皿5を、加熱室2の左右壁面に設けられた支持部4に係止させて、加熱室2内に挿入する。調理皿5が加熱室2の背面壁である隔壁15に接触するまで押し込まれて、ドア14が閉められ、加熱室2が加熱可能空間となる。本体1の前面に設けられた操作部(図示せず)にある所定ボタンが操作されることにより、当該加熱調理器におけるオーブン調理が開始される。
操作部においては被加熱物10の加熱時間、加熱温度などの調理条件が設定される。操作部において設定された調理条件を示す信号がマイクロコンピュータで構成された制御部24に入力される。制御部24は、調理条件を示す信号に基づいて、ヒータ11およびモータ13などを駆動制御する。
モータ13の回転により、遠心ファンである送風ファン9は回転動作を開始する。送風ファン9の回転動作により、送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きの空気流が吹き出される。送風ファン9から吹き出された空気流は、送風ファン9の外周部分を取り囲むように配置されたヒータ11により加熱されて高温の空気流(熱風)となる。また、送風ファン9からの空気流の一部は、送風ファン9の左右の位置に設けられた第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bの傾斜部30Aa,30Baに接触して、熱源室8の後方である熱源室背面壁14の方へ案内される。このように熱源室8の後方に案内された空気流は、送風ファン9よりやや後方に配置されたヒータ11に向かってよりおおく流れて加熱され、高温の空気流(熱風)となる。
上記のように送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の上方へ送り出された熱風は、隔壁15における上吹出口17Aから加熱室2へ吹き出され、送風ファン9の下方へ送り出された熱風は、下吹出口17Bから加熱室2へ吹き出される。これらの熱風は、送風ファン9の回転方向に沿った渦巻き状で外向きの風向きを有しているため、上吹出口17Aからの熱風は加熱室2の天井面21および右側面19の方向に流れ、下吹出口17Bからの熱風は加熱室2の底面20および左側面18の方向に流れる。なお、前述のように、複数のパンチング孔で構成された上吹出口17Aおよび下吹出口17Bの形状は、水平方向に細長い帯状であり、複数のパンチング孔で構成された左吹出口23Aおよび右吹出口23Bの形状に比較して細長く形成されている(図3参照)。
また、熱源室8において、送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bに接触して、熱源室8の背面である熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変えて、再度第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bの方向に向かう。そこで、熱風は第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bの裏面により案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8の内部において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れているため、加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱できるように流れる。したがって、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出された熱風は、加熱室2の壁面を直接的に加熱することがない。
以上のように、実施の形態1の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2の内部に吹き出される熱風のおおくを、被加熱物10に集中させることが可能となる。その結果、実施の形態1の加熱調理器においては、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室内を効率高く加熱し、被加熱物に対する効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態1の加熱調理器によれば、加熱室の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
また、実施の形態1の加熱調理器においては、熱源室背面壁に凹みを形成して、その凹みにモータ13を配置するよう構成することにより、加熱室2の後方に配置される熱源室8と駆動室12との合体部分の薄型化を達成することが可能となる。実施の形態1の加熱調理器の構成は、加熱室の容量を確保しつつ、装置全体の奥行き寸法を小さくすることができると共に、高い省エネルギー性能を有する加熱調理器を提供することができる。
なお、実施の形態1の加熱調理器においては、ヒータ11として、略環形状のシーズヒータを使用した例で説明したが、シーズヒータの表面に複数の放熱フィンを設けたヒータを用いることにより、送風ファン9からの空気に対する加熱を効率高く行うことが可能となる。
また、実施の形態1の加熱調理器においては、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bを加熱室2の背面壁である隔壁15に固定(カシメ加工または溶接により固着)する構成で説明したが、第1の流路形成部30Aおよび第2の流路形成部30Bは、熱源室8を形成する他の部材に固定されるよう構成して、左右吹出口23A,23Bに対して所定位置となるように配設してもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の加熱調理器について添付の図4を参照して説明する。本発明に係る実施の形態2の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態2の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図4は、実施の形態2の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図4に示すように、実施の形態2の加熱調理器と実施の形態1の加熱調理器との相違点は、加熱室2の背面壁となる隔壁15に設けられた第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bの形状である。実施の形態2の加熱調理器においては、第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bにおけるそれぞれの傾斜部40Aa,40Baが曲面で構成されている。第1の流路形成部40Aは、左吹出口23Aに対向する面が凹面となる傾斜部40Aaと、加熱室2の背面壁である隔壁15に固定するための固定部40Abとにより構成されている。また、第2の流路形成部40Bは、第1の流路形成部40Aと同様に、右吹出口23Bに対向する面が凹面となる傾斜部40Baと、隔壁15に固定するための固定部40Bbとにより構成されている。
なお、実施の形態2の加熱調理器においては、第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bを隔壁15に固定(カシメ加工または溶接により固着)する構成で説明するが、第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bが熱源室8を形成する他の部材に固定されて、左右吹出口23A,23Bに対して所定の位置に配設されるように構成してもよい。
上記のように構成された実施の形態2の加熱調理器における熱源室8において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部40Aの傾斜部40Aaにおける滑らかな曲面(凸面)である案内面および第2の流路形成部40Bの傾斜部40Baにおける滑らかな曲面(凸面)である案内面に接触して、熱源室の背面壁である熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変え、再度第1の流路形成部40Aの傾斜部40Aaの方向に向かう。そして、熱風は、傾斜部40Aaの案内面の裏面にある滑らかな曲面(凹面)および傾斜部40Baの裏面の滑らかな曲面(凹面)に案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8内において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱できるように流れる。
そして、第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bにおけるそれぞれの傾斜部(案内面)の曲面の固定部側において、曲面端部と隔壁15とがなす角度を調整することにより、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向を調節することができる。
実施の形態2の加熱調理器においては、第1の流路形成部40Aおよび第2の流路形成部40Bにおけるそれぞれの傾斜部40Ab,40Baが滑らかな曲面(案内面)で形成されているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向は、前述の実施の形態1の加熱調理器に比べて、加熱室2の前方方向に滑らかに向けることが可能となる。
以上のように、実施の形態2の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2に吹き出す熱風を滑らかに方向転換して、前方から中央にかけた方向に流すことができる。その結果、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室2内を効率高く加熱し、被加熱物10に対して効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態2の加熱調理器によれば、加熱室2の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の加熱調理器について添付の図5および図6を参照して説明する。本発明に係る実施の形態3の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態3の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図5は実施の形態3の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図6は図5に示した熱源室の内部を示す斜視図であり、加熱室の背面壁である隔壁15が取り除かれた図である。
図5および図6に示すように、実施の形態3の加熱調理器においては、熱源室8の内部に設けられた第1の流路形成部50Aおよび第2の流路形成部50Bのそれぞれが傾斜部50Aa,50Baと、翼部50Ac,50Bcを有している。
第1の流路形成部50Aは、左吹出口23Aの裏面から所定間隔を有して覆うように形成されている。この第1の流路形成部50Aは、隔壁15の裏面に対して傾斜(約45度)した傾斜部50Aaと、この傾斜部50Aaの導出端部に連続し、隔壁15の裏面と平行な面を有する翼部50Acと、を有して構成されている。ここで、傾斜部50Aaと翼部50Acにおける熱源室背面壁14に対向する面が案内面である。この案内面により送風ファン9により遠心方向に送り出された熱風の一部が熱源室背面壁14の方へ案内される。
同様に、第2の流路形成部50Bは、右吹出口23Bの裏面から所定間隔を有して覆うように形成されている。この第2の流路形成部50Bは、隔壁15の裏面に対して傾斜(約45度)した傾斜部50Baと、この傾斜部50Baの導出端部に連続し、隔壁15の裏面と平行な面を有する翼部50Bcと、を有して構成されている。ここで、傾斜部50Baと翼部50Bcにおける熱源室背面壁14に対向する面が案内面である。
第1の流路形成部50Aおよび第2の流路形成部50Bにおける翼部50Ac,50Bcは、熱源室背面壁14からは所定距離を有して配置されており、翼部50Ac,50Bcと熱源室背面壁14との間に熱風が通る空気流路が形成されている。
図6の斜視図に示すように、第1の流路形成部50Aおよび第2の流路形成部50Bは、熱源室8における上下端部まで延設されており、熱源室背面壁14の上下方向(鉛直方向)の長さと同じ長さとなっている。したがって、第1の流路形成部50Aおよび第2の流路形成部50Bは、熱源室8を形成する内部ケース22の上下端部において固着され、所定位置に配置されている。
上記のように構成された実施の形態3の加熱調理器において、前述の実施の形態1,2の加熱調理器と同様に、熱源室8において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部50Aの傾斜部50Aaの斜面および第2の流路形成部50Bの傾斜部50Baの斜面に接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変えて、再度第1の流路形成部50Aおよび第2の流路形成部50Bに向かって流れる。そして、熱風は、第1の流路形成部50Aの傾斜部50Aaの斜面(裏面)および第2の流路形成部50Bの傾斜部50Baの斜面(裏面)に案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8内において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱できるように流れる。
以上のように、実施の形態3の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2に吹き出す熱風を被加熱物10に対して集中的に流すことができる。その結果、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室内を効率高く加熱し、被加熱物に対して効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態3の加熱調理器によれば、加熱室の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の加熱調理器について添付の図7A,7Bおよび図8を参照して説明する。本発明に係る実施の形態4の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態4の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図7Aおよび図7Bは、実施の形態4の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図7Aは流路形成部の温度が所定温度以下の状態を示し、図7Bは流路形成部の温度が所定温度を超えた状態を示している。図8は、実施の形態4の加熱調理器における隔壁15などを裏面側から見た斜視図である。
実施の形態4の加熱調理器における加熱室2の後方にある熱源室8において、隔壁15の中央部分に形成された吸込口16と、その吸込口16の左側に形成された左吹出口23Aとの間には第1の流路形成部51Aが形成されている。同様に、吸込口16と、その吸込口16の右側に形成された右吹出口23Bとの間には第2の流路形成部51Bが形成されている。第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、隔壁15の裏面に一端が固着され、他端が熱源室8の内部空間内に斜行して突出するよう形成されている。第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの突出端部は、熱源室背面壁14から所定距離を有して配置されている。また、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、送風ファン9を取り囲むように配置されたヒータ11と、それぞれの吹出口23A,23Bとの間に設けられている。
図7Aおよび図7Bに示すように、隔壁15の裏面において、吸込口16の左右の位置にある第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、隔壁15が形成する平面に対して外向きに傾斜する傾斜部51Aa,51Baと、隔壁15に固定される固定部51Ab,51Bbと、を有して構成されている。固定部51Ab,51Bbは、左右吹出口23A,23Bの裏面における中央側近傍に配置されており、傾斜部51Aa,51Baが左右吹出口23A,23Bの裏面側を覆うように斜めに延設されている。傾斜部51Aa,51Baの突出端部と熱源室背面壁14との間は所定距離を有しており、空気流路が確保されている。固定部51Ab,51Bbは、隔壁15に固定するための取付け部分であり、これらの固定部51Ab,51Bbにおいてカシメや溶接により隔壁15に固定される。
実施の形態4においては、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bのそれぞれが、熱膨張率の異なる2枚の金属板を貼り合わせて形成されたバイメタル、または形状記憶合金で構成されている。このように構成された第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、熱風の温度に応じて風向きを変更する機能を有する。
図7Aに示すように、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの温度が所定温度以下のとき、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bにおける傾斜部51Aa,51Baは、隔壁15に対して45度の角度で外向きに開くように取り付けられている。第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、熱膨張率が異なる2枚の金属板を貼り合わせたバイメタル、または形状記憶合金で形成されているため、熱源室8の内部における風向変更機能を有している。
図7Bに示すように、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの温度が所定温度を越えた状態においては、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bにおける傾斜部51Aa,51Baは、隔壁15に対して約60度の角度で外向きに傾斜した位置となる。この傾斜角度は、30度から70度の範囲内において変更するよう設定されることが好ましい。
実施の形態4の加熱調理器においては、図8に示すように、吸込口16の左右位置に設けられる第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、垂直方向に関して、隔壁15の長さより短く、左吹出口23Aおよび右吹出口23Bの長さより長く形成されており、少なくとも左吹出口23Aおよび右吹出口23Bの中央側領域を覆うように設けられている。
なお、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、左右吹出口23A,23Bの上下方向の長さより長く形成した例で説明したが、本発明はこのような構成に限定されず、当該加熱装置の仕様などに応じて、左右吹出口の上下方向の長さより短く形成してもよい。
実施の形態4の加熱調理器においては、加熱室2の内容量を確保しつつ、送風ファン9とヒータ11とを有する熱源室8と、モータ13を有する駆動室12とを含めた本体1の奥行き寸法を小さくするために、熱源室23と駆動室12の合体部分の奥行き寸法を小さくしている。
実施の形態4の加熱調理器においては、奥行き寸法が小さくても送風性能が劣化しない遠心ファンである送風ファン9を用いており、吸入部分である中心部分の奥行き寸法を薄くすることが可能な送風ファン9を用いている。このため、モータ13のシャフトが貫通する熱源室背面壁14は、モータ13に近接した部分が加熱室側(前面側)に凹んだ形状であり、この凹みの内側にモータ13が配置されるよう構成されている。この結果、熱源室8と駆動室12とを合わせた奥行き方向の寸法が小さくなっている。
図7Aおよび図7Bに示すように、実施の形態4の加熱調理器においては、上記のように熱源室背面壁14を構成して、モータ13を凹み内に配置しており、熱源室8のモータ13に近接した部分(中央部分)の奥行き寸法を小さくしている。熱源室8において、モータ13に近接した部分以外(外周部分)の奥行き寸法は、中央部分に比べて大きくなっており、ヒータ11の配置空間が確保されている。また、実施の形態4の加熱調理器においては、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bをヒータ11の外側の所定位置に配設するための空間が確保されている。特に、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bにより形成される熱源室8内の空気流路が確保されている。なお、熱源室8の内部において、ヒータ11は送風ファン9の羽根の奥行き方向の長さの中心位置よりやや後方に配置されている。
以下、本発明に係る実施の形態4の加熱調理器における加熱動作について説明する。
実施の形態4の加熱調理器において、例えば、オーブン調理の場合、ローストチキン等の被加熱物10が中央に載せられた調理皿5を、加熱室2の左右壁面に設けられた支持部4に係止させて、加熱室2内に挿入する。調理皿5が隔壁15に接触するまで押し込まれて、ドア14が閉められ、加熱室2が加熱可能空間となる。制御部24に電気的に接続された操作部(図示せず)にある所定ボタンが操作されることにより、当該加熱調理器におけるオーブン調理が開始される。
操作部においては被加熱物10の加熱時間、加熱温度などの調理条件が設定される。操作部において設定された調理条件を示す信号がマイクロコンピュータで構成された制御部24に入力される。制御部24は、調理条件を示す信号に基づいて、ヒータ11およびモータ13などを制御する。
モータ13の回転により、送風ファン9は回転動作を開始する。送風ファン9の回転動作により、遠心ファンである送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きに吹き出された空気流が発生する。送風ファン9からの空気流は、送風ファン9の外周部分を取り囲むように配置されたヒータ11により加熱されて高温の空気流(熱風)となる。また、送風ファン9からの空気流の一部は、送風ファン9の左右の位置に設けられた第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの傾斜部51Aa,51Baに接触し、熱源室8の後方である熱源室背面壁14の方へ案内される。このように熱源室8の後方に案内された空気流は、送風ファン9よりやや後方に配置されたヒータ11に向かってよりおおく流れて加熱され、高温の空気流(熱風)となる。
上記のように送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の上方へ送り出された熱風は、隔壁15における上吹出口17Aから加熱室2へ吹き出され、送風ファン9の下方へ送り出された熱風は、下吹出口17Bから加熱室2へ吹き出される(図8参照)。これらの熱風は、送風ファン9の回転方向に沿った渦巻き状で外向きの風向きを有しているため、上吹出口17Aからの熱風は加熱室2の天井面21および右側面19の方向に流れ、下吹出口17Bからの熱風は加熱室2の底面20および左側面18の方向に流れる。
また、熱源室8において、送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bに接触して、熱源室8において風向を変えて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
なお、図7Aに示す加熱動作の初期段階において、例えば第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの温度が所定温度以下の場合(例えば、150℃以下の場合)、送風ファン9からの熱風は、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの各案内面である各傾斜部51Aa,51Bに接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれ、熱源室背面壁14に沿って流れる。そして、熱源室8における左右端部において風向を変えて、再度第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの方向に向かう。そこで、熱風は第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの裏面により案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。このため、吹出口23A,23Bからの熱風は加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。
また、図7Bに示す加熱動作において、例えば第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの温度が所定温度を越えた場合(例えば、150℃を越えた場合)、送風ファン9からの熱風は、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの各傾斜部51Aa,51Bに接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれ、熱源室背面壁14において風向を変え、再度第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bに案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。このため、吹出口23A,23Bからの熱風は加熱室2に対して前方方向に略並行に吹き出される。
上記のように、実施の形態4の加熱調理器における加熱動作においては、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に対して吹き出される熱風の方向が、加熱初期段階と、その後の加熱動作段階において異なるように構成されている。この結果、加熱動作において加熱室内を効率的に加熱することができると共に、加熱室内の被加熱物の状況に応じた加熱調理が可能となる。実施の形態4の加熱調理器においては、所定の条件になるまで左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風が加熱室2内の被加熱物10の方向に向かうよう構成されており、被加熱物10を集中的に加熱できる構成となる。
以上のように、実施の形態4の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2内に吹き出される熱風を、被加熱物10に集中させることができる。その結果、実施の形態4の加熱調理器においては、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、被加熱物に対する効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態4の加熱調理器によれば、加熱室の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
実施の形態4の加熱調理器においては、加熱時間の経過とともにヒータ11の温度が上昇して、熱風温度が上昇することにより、バイメタルで構成された第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bは、貼り合わせた金属板の熱膨張率の違いにより変形する。すなわち、図7Bに示したように、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの斜行部51Aa,51Ba(案内面)は、隔壁15に対する傾斜角度がより大きくなり、隔壁15に対して垂直となる方向に立ち上がる。
上記のように、実施の形態4の加熱調理器における加熱動作においては、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの傾斜角の変化により、左右の吹出口23A,23Bからの加熱室2内に吹き出される熱風の風向が、加熱室2の中央に向かう方向から、被加熱物10である食材を包む方向に変更され、被加熱物10に直接熱風が当たらないよう風向変更される。したがって、被加熱物10が、焼き色にムラが生じやすい食材の場合、熱風が高温になると食材に直接当たらないように風向変更することができる。このため、実施の形態4の加熱調理器は、被加熱物10における焼き色のムラを防止することができる。
以上、実施の形態4の加熱調理器においては、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bが設けられているため、熱源室8内の送風ファン9とヒータ11とにより生成された熱風が左右の吹出口23A,23Bから加熱室2内の中央方向に吹き出し、加熱室2を構成する壁面を直接的に加熱しないように構成されている。この結果、実施の形態4の加熱調理器は、効率的に被加熱物を加熱することができる省エネルギーを図った調理器具となる。
また、第1の流路形成部51Aおよび第2の流路形成部51Bの各傾斜部51Aa,51Ba(案内面)の傾斜部分の角度を変更することにより、左右の吹出口23A,23Bからの熱風の風向を加熱動作中に変更することができる。この結果、実施の形態4の加熱調理器は、焼き色がムラになりやすい被加熱物の場合には直接に熱風を当てずに、側壁面に沿うような風向で被加熱物を包み込むように加熱することも可能となる。
さらに、実施の形態4の加熱調理器の構成においては、加熱室2の予熱中は加熱室の中央に向かって熱風を吹き出し、熱風が所定温度を越えた調理動作中では被加熱物を包み込むように熱風を吹き出すように構成してもよい。このように構成された加熱調理器は、加熱室内に吹き込まれる熱風の風向きを変更して、加熱室内の被加熱物を加熱することもでき、調理性能を向上させることができる。
また、吹出口23A,23Bからの熱風が加熱室2内の被加熱物10に直接当たると、熱風の温度や風速などの条件によって、吹出口23A,23Bから出た熱風がすぐに吸込口16に短絡的に流れて戻ってしまい、熱風が加熱室2内に十分に行き渡らなくなる場合がある。また、吹出口23A,23Bからの熱風が加熱室2内の被加熱物10に直接当たると、条件によっては被加熱物が効率的に加熱されない場合がある。このような場合において、実施の形態4の加熱調理器においては、加熱動作中においては熱風の風向きを変更することが可能であるため、加熱室2を効率的に加熱することができると共に、被加熱物10を効率的に調理することが可能となる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5の加熱調理器について添付の図9〜図11を参照して説明する。本発明に係る実施の形態5の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の形状並びに制御部の構成および制御方法である。したがって、実施の形態5の加熱調理器においては、特に流路形成部および制御部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図9は実施の形態5の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図10は実施の形態5の加熱調理器における制御部24の構成を示すブロック図である。図11は実施の形態5の加熱調理器における加熱調理の動作工程を示すパターン図である。
実施の形態5の加熱調理器においては、図9に示すように、隔壁15の左右の位置に設けられた第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bのそれぞれが、左右の吹出口23A,23Bを覆うように形成されている。第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bは、それぞれの吹出口23A,23Bに対向する面が凹面となる曲面で構成された曲面部52Aa,52Baと、隔壁15に固定される固定部52Ab,52Bbと、を有して構成されている。曲面部52Aa,52Baは左右吹出口23A,23Bの裏面側を覆うように形成されており、曲面部52Aa,52Baの突出端部と熱源室背面壁14との間は所定距離を有している。固定部52Ab,52Bbは、隔壁15に固定するための取付け部分であり、これらの固定部52Ab,52Bbにおいてカシメや溶接により隔壁15に固定される。
上記のように構成された第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bが、ヒータ11により加熱された熱風の一部を熱源室背面壁14の方向に送り、熱源室8の内部を大きく迂回するように流している。また、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bは、熱源室8の内部を大きく迂回した熱風を再度案内して、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に対して、前方に向かってドア3の方向に吹き出すよう構成されている。したがって、実施の形態5の加熱調理器においては、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に対して吹き出される熱風の風向を、前述の実施の形態1の加熱調理器の構成と異なり、加熱室2の前方から中央にかけた方向に滑らかに方向転換することが可能な構成となる。
図10に示すように、実施の形態5の加熱調理器において、制御部24には、タイマー部25、風向決定部26、動作条件記憶部27、回転数制御部28が設けられている。タイマー部25は加熱調理などの運転時間を計時するものである。風向決定部26は加熱室2内に供給する熱風の風向を判断し、決定する部分である。
動作条件記憶部27には、制御部24に電気的に接続されたモータ13などの各駆動部品の加熱調理動作中の所定の動作条件が記憶されている。回転数制御部28は、送風ファン9のモータ13の回転数を変化させることにより生成される熱風の風量と風速を制御して、加熱室2内の風向を制御することが可能な部分であり、この部分が風向変更手段を構成している。
上記のように構成された実施の形態5の加熱調理器において、使用者がまず調理皿5を投入せずに、操作部(図示せず)におけるボタン操作により所定温度(例えば250℃)の予熱モードを選択して、予熱動作を開始させる。予熱動作が開始すると、図11に示すように、タイマー部25において予熱モードの経過時間の計時を始める。なお、図11において横軸は時間を示し、予熱モードの開始時間をTsとする。
また、予熱動作の開始と同時に、制御部24は、ヒータ11およびモータ13への通電を開始する。このとき、制御部24の動作条件記憶部27に記憶された予熱モードでのモータ13の動作条件に基づいて風向決定部26が判定し、回転数制御部28はモータ13の回転数を「中速」に設定する。
予熱モードにおいて、「中速」に設定されたモータ13が駆動されることにより、送風ファン9が回転して、送風ファン9により付勢されて熱風が遠心方向に送り出される。送風ファン9からの熱風の一部は、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bに案内されて左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の前方の方向へ吹き出される。このとき吹き出される熱風は、風速が速くないため、中央にある吸込口16の吸引の流れに引っ張られて、吹出口23A,23Bから吹き出される熱風は加熱室2の中央に向かう。
したがって、加熱室2の壁面が左右の吹出口23A,23Bからの熱風により直接的に吹き付けられることが無く、加熱室2の壁面の温度が、加熱室2内の空気温度より高くなることがない。このため、実施の形態5の加熱調理器においては、加熱室2の壁面温度が加熱室2内の空気温度より高くなることがなく、加熱室2の壁面から外部への放熱量が少なくなり、加熱効率が高くなり、効率高く比較的短時間で予熱動作を完了させることが可能となる。
実施の形態5の加熱調理器においては、加熱室2内の温度が所定温度(例えば、、250℃)に達したとき、使用者に対して予熱動作の完了を報知音(表示灯)などにより知らせるよう構成されている。使用者が予熱動作の完了を報知音などにより認識すると、ローストチキン等の被加熱物10が載置された調理皿5が加熱室2に投入され、加熱室2のドア3が閉められる。その後、使用者は操作部(図示無し)において所定ボタンを操作して、加熱調理器においてオーブン調理の調理動作(オーブンモード)を開始させる(オーブンモードの開始時間T1)。
このとき、タイマー部25はオーブンモードの経過時間の計時を始める。このとき同時に、動作条件記憶部27に記憶されたオーブンモードにおけるモータ13の動作条件に基づいて風向決定部26がモータ13の動作条件を決定する。風向決定部26からの信号が入力された回転数制御部28は、オーブンモードの最初の段階においてはモータ13の回転数を「中速」に設定する。
タイマー部25から入力された信号に基づいて、風向決定部26はオーブンモードが開始から所定時間(例えば、2分)を経過したことを検知すると、回転数制御部28は風向決定部26からの信号に基づいてモータ13の回転数を「高速」に変更設定する(オーブンモードの高速動作開始時間T2)。
オーブンモードにおいて、モータ13が高速回転に変更されることにより、送風ファン9からの熱風はおおくなり、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bに案内されて左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の前方の方向へ吹き出される。このとき、吹出口23A,23Bから吹き出される熱風は、十分な風速があるため、吸込口16の吸引流に引っ張られることがなく、左右の側面壁に略並行な風向で流れる。すなわち、吹出口23A,23Bからの熱風が、被加熱物10に対して直接的に吹き付けられず、被加熱物10を包み込むように加熱する。
以上のように構成された実施の形態5の加熱調理器によれば、熱源室8内の送風ファン9とヒータ11とにより生成された熱風は、2つの左右の吹出口23A,23Bから直接に加熱室2に吹き出されることなく、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bに案内されて左右の熱源室8内において大きく迂回して風向を変え、各吹出口23A,23Bから加熱室2の中央に向かって、若しくは左右の側面壁に平行な方向に向かって吹き出す。このため、実施の形態5の加熱調理器の構成においては、左右の吹出口23A,23Bから吹き出された熱風が加熱室2の壁面に直接的に向かうことが防止されている。
したがって、実施の形態5の加熱調理器の構成においては、左右の吹出口23A,23Bから吹き出された熱風が加熱室2の壁面を直接加熱して被加熱物10よりも加熱室2の壁面の方が高温になることが防止されている。実施の形態5の加熱調理器は、加熱室の壁面からの放熱ロスが抑制されており、効率的に被加熱物を加熱することができる。その結果、実施の形態5の加熱調理器は、加熱室2における予熱時間や加熱調理時間のスピードを向上させることができる。
実施の形態5の加熱調理器においては、左右の吹出口23A,23Bから吹き出される熱風の風向きを流路形成部の配置およびモータ13の回転数の調整により変更することができるため、被加熱物10に対して熱風を直接的に当てることなく、加熱室の側面壁と平行な風向きで被加熱物10を包み込むように加熱することが可能となる。
また、実施の形態5の加熱調理器において、加熱室2の予熱動作中は加熱室2の中央に向かって熱風を吹き出し、調理中は被加熱物10を包み込むように風向を変更して加熱することが可能である。このため、実施の形態5の加熱調理器は、調理性能をさらに向上させることができる。
一般的な加熱調理器においては、被加熱物に対して熱風を直接に当てた場合、熱風の温度や風速などの条件によっては、吹出口から吹き出された熱風が短絡的に吸込口に戻ってしまい、加熱室の内部に熱風が十分に行き渡らなくなることがある。また、このようなときには、加熱室内の被加熱物に対する加熱効率が大幅に低下してしまうという現象が生じる場合がある。本願発明に係る実施の形態5の加熱調理器においては、調理中は被加熱物10を包み込むように風向を変更して加熱しているため、被加熱物に対する加熱効率が高く、高い調理性能を有している。
また、実施の形態5の加熱調理器においては、送風ファン9の回転数を変更することにより、風向を変更することができる風向変更手段を備えているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2内に吹き込む熱風の風向きを加熱調理中に簡単に変更することができる。
実施の形態5の加熱調理器には、風向変更手段を駆動して風向きを制御する制御部24を有している。制御部24は、加熱調理の経過時間を計時するタイマー部25と、タイマー部25からの入力に基づいて熱風の風向きを判断して決定する風向決定部26と、各設定条件などにおけるモータ13など動作条件を記憶する動作条件記憶部27とを備えている。制御部24は、加熱調理器の加熱動作中において、加熱工程に応じて隔壁15における左右の吹出口23A,23Bから加熱室2内へ吹き出される熱風の風向きを制御している。このように、実施の形態5の加熱調理器は、左右の吹出口23A,23Bから吹き出される熱風の風向きを制御することができるため、加熱工程に応じて、加熱室2内に供給される熱風を好適な風向きに変更することができる。
なお、実施の形態5の加熱調理器においては、タイマー部25からの入力だけに基づいて風向決定部26において風向きを変更する構成を説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば被加熱物10の温度や焼き色を検出するセンサーを設けて、これらのセンサーの出力に基づいて風向決定部26において吹出口23A,23Bからの熱風の風向を変更するように構成しても良い。
(実施の形態6)
以下、本発明に係る実施の形態6の加熱調理器について添付の図12を参照して説明する。本発明に係る実施の形態6の加熱調理器において、前述の実施の形態5の加熱調理器と異なる点は、制御部の制御方法である。したがって、実施の形態6の加熱調理器においては、特に制御部の制御方法について説明する。実施の形態6の説明において、前述の実施の形態1から実施の形態5の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の各実施の形態の説明を援用する。
図12は実施の形態6の加熱調理器における加熱調理の動作工程を示すパターン図である。
図12に示されるように、使用者がまず調理皿5を投入せずに、操作部におけるボタン操作により予熱モードを選択して、予熱動作を開始させる。予熱動作が開始すると、図12に示すように、タイマー部25において予熱モードの経過時間の計時を始める。なお、図12において横軸は時間を示し、予熱モードの開始時間をTsとする。
また、予熱動作の開始と同時に、制御部24は、ヒータ11およびモータ13への通電を開始する。このとき、制御部24の動作条件記憶部27に記憶された予熱モードでのモータ13の動作条件に基づいて風向決定部26が判定し、回転数制御部28はモータ13の回転数を「中速」に設定する。
予熱モードにおいて、「中速」に設定されたモータ13が駆動されることにより、送風ファン9が回転して、送風ファン9により付勢されて遠心方向に送り出される。送風ファン9からの熱風の一部は、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bに案内されて左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の前方の方向へ吹き出される。このとき吹き出される熱風は、風速が速くないため、中央にある吸込口16の吸引の流れに引っ張られて、吹出口23A,23Bから風向きは加熱室2内の中央方向に向かう。このように、吹出口23A,23Bからの熱風は加熱室2内の中央方向に向かうため、効率高く、比較的短時間に予熱動作が完了する。
実施の形態6の加熱調理器においては、加熱室2内の温度が所定温度(例えば、180℃)に達したとき、使用者に対して予熱動作の完了を報知音(表示灯)などにより知らせるよう構成されている。使用者が予熱動作の完了を報知音などにより認識すると、クッキー等の被加熱物10が載置された調理皿5が加熱室2に投入され、加熱室2のドア3が閉められる。その後、使用者は操作部(図示無し)において所定ボタンを操作して、加熱調理器においてオーブン調理の調理動作(オーブンモード)を開始させる(オーブンモードの開始時間T1)。
このとき、タイマー部25はオーブンモードの経過時間の計時を始める。このとき同時に、動作条件記憶部27に記憶されたオーブンモードにおけるモータ13の動作条件に基づいて風向決定部26がモータ13の動作条件を決定する。風向決定部26からの信号が入力された回転数制御部28は、オーブンモードの最初の段階においてはモータ13の回転数を「高速」に設定する。(オーブンモードの開始時間T1)。
オーブンモードにおいて、モータ13が高速回転に設定されることにより、送風ファン9からの熱風量が増加し、第1の流路形成部52Aおよび第2の流路形成部52Bに案内されて左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の前方の方向へ増加した熱風が吹き出される。
このとき、吹出口23A,23Bから吹き出される熱風は、十分な風速があるため、吸込口16の吸引流に引っ張られることがなく、左右の側面壁に略並行な風向きで流れる。すなわち、吹出口23A,23Bからの熱風が、被加熱物10に対して直接的に吹き付けられず、被加熱物10を包み込むように加熱する。
以上のように構成された実施の形態6の加熱調理器によれば、各吹出口23A,23Bから吹き出される熱風の風向を変更することができるため、焼き色がムラになりやすいクッキーのような被加熱物10の場合には直接に熱風を当てずに、加熱室の側面壁と平行に流れるように吹き出して、被加熱物10を包み込むように加熱することができる。
また、実施の形態6の加熱調理器において、加熱室2の予熱動作中では加熱室2内の中央方向に熱風を吹き出すように構成されており、調理動作中では被加熱物10を包み込むように熱風を吹き出すように、熱風の風向を変更して加熱するよう構成されている。この結果、実施の形態6の加熱調理器は、予熱時間のスピードアップおよび調理性能の向上を両立させることができる。
さらに、実施の形態6の加熱調理器においては、加熱動作中の各加熱工程に応じて、隔壁15における左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の内部へ吹き出される熱風の風向を変更できるように構成されているため、加熱工程に応じて加熱室内に吹き出される熱風を好適な風向きに変更して供給することができる。
(実施の形態7)
以下、本発明に係る実施の形態7の加熱調理器について添付の図13および図14を参照して説明する。本発明に係る実施の形態7の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態7の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図13は、実施の形態7の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図13に示すように、実施の形態7の加熱調理器と実施の形態1の加熱調理器との相違点は、隔壁15に設けられた第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の構成である。図14は、実施の形態7の加熱調理器における加熱室2の背面壁となる隔壁15を後方から見た斜視図である。
加熱室2の背面壁となる隔壁15において、熱源室8側である裏面には、中央の吸込口16と左吹出口23Aとの間に第1の流路形成部61が設けられている。また、隔壁15の裏面において、中央の吸込口16と右吹出口23Bとの間には第2の流路形成部62が設けられている。第1の流路形成部61および第2の流路形成部62は、隔壁15の裏面に一端が固着され、他端が熱源室8の内部空間に突出するよう形成されている。第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の各突出端部は、熱源室背面壁14から所定の空隙を有して配置されている。また、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62のそれぞれは、送風ファン9を取り囲むように設けられたヒータ11と、それぞれの吹出口23A,23Bとの間に配置されている。送風ファン9、ヒータ11、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62は、隔壁15と、熱源室背面壁14を有する内部ケース22とにより構成された熱源室8の内部空間内に設けられている。
図13および図14に示されるように、第1の流路形成部61は、縦流路形成部61Aと横流路形成部61Bにより構成されており、第2の流路形成部62は、縦流路形成部62Aと横流路形成部62Bにより構成されている。第1の流路形成部61および第2の流路形成部62における各縦流路形成部61A,62Aは、隔壁15が形成する平面に対して略45度の角度を有して外向きに開いて傾斜する傾斜部61Aa,62Aaと、隔壁15に固定される固定部61Ab,62Abとをそれぞれを有している。それぞれの固定部61Ab,62Abは、左右吹出口23A,23Bのそれぞれより中央側に配置されている。各縦流路形成部61A,62Aの傾斜部61Aa,62Aaが、左右吹出口23A,23Bの中央側を覆うように延設されている。各縦流路形成部61A,62Aの固定部61Ab,62Abは、隔壁15に固定するための取付け部分であり、これらの固定部61Ab,62Abにおいてカシメや溶接により隔壁15に確実に固定される。
また、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62における各横流路形成部61B,62Bは、隔壁15が形成する平面に対して直角である阻止部61Ba,62Baと、隔壁15に固定される固定部61Bb,62Bbとをそれぞれを有している。
実施の形態7においては、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62のそれぞれが金属板を折り曲げて一体的に形成されている。なお、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の材料としては、金属に限定されるものではなく、形状を保持できる耐熱性を有する材料であれば用いることができる。
第1の流路形成部61において、縦流路形成部61Aと横流路形成部61BはL字状に配置されて、一体的に形成されている。このように形成された第1の流路形成部61は、左吹出口23Aの周りにおける中央側(吸込口側)と上側の一部に配置されている。縦流路形成部61Aは垂直方向(鉛直方向)と平行な面を有しており、横流路形成部61Bは水平方向と平行な面を有している。
なお、実施の形態7における縦流路形成部61Aおよび横流路形成部61Bは、垂直方向や水平方向と平行な面を有する構成であるが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、当該加熱装置の仕様などに応じて縦流路形成部および横流路形成部を適切な角度を有する位置に配置してもよい。
縦流路形成部61Aは、送風ファン9と左吹出口23Aとの間に配置されており、送風ファン9から左方向に送り出され、ヒータ11により加熱された熱風が接触する位置に配置されている。一方、横流路形成部61Bは、送風ファン9の回転方向において、縦流路形成部61Aより下流側であり、かつ左吹出口の下流側に近接して配置されている。この横流路形成部61Bにより、送風ファン9からの熱風の一部が堰き止められて、左吹出口23Aから吹き出されるよう設けられている。
第2の流路形成部62は、第1の流路形成部61と同様に構成されており、縦流路形成部62Aと横流路形成部62BはL字状に配置されて、一体的に形成されている。第2の流路形成部62は、右吹出口23BをL字状に中央側と下側の一部に配置されている。縦流路形成部62Aは垂直方向(鉛直方向)と平行な面を有しており、横流路形成部62Bは水平方向と平行な面を有している。縦流路形成部62Aは、送風ファン9と右吹出口23Bとの間に配置されており、送風ファン9から右方向に送り出され、ヒータ11により加熱された熱風が接触する位置に配置されている。一方、横流路形成部62Bは、送風ファン9の回転方向において、縦流路形成部62Aの下流側に配置されており、送風ファン9からの熱風の一部を堰き止めて、右吹出口23Bから吹き出すよう設けられている。
図14に示すように、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62におけるそれぞれの傾斜部61Aa,62Aa(案内面)は、隔壁15の上下方向の長さより短く、左右吹出口23A,23Bの上下方向の長さより長く形成されており、左右吹出口23A,23Bの一部を覆うように設けられている。
実施の形態7の加熱調理器においては、加熱室2の内容量を確保しつつ、送風ファン9とヒータ11とを有する熱源室8と、モータ13を有する駆動室12とを含めた本体1の奥行き寸法を小さくするために、熱源室8と駆動室12の合体部分の奥行き寸法を小さくしている。
実施の形態7の加熱調理器においては、奥行き寸法が小さくても送風性能が劣化しない遠心ファンである送風ファン9を用いており、吸入部分である中心部分の奥行き寸法を薄くすることが可能な送風ファン9を用いている。このため、モータ13のシャフトが貫通する熱源室背面壁14は、モータ13に近接した部分が加熱室側(前面側)に凹んだ形状とし、この凹みの内側にモータ13が配置されるよう構成されている。この結果、熱源室8と駆動室12とを合わせた合体部分の奥行き方向の寸法を小さくしている。
図13に示すように、実施の形態7の加熱調理器においては、上記のように熱源室背面壁14を構成して、モータ13を凹み内に配置しており、熱源室8のモータ13に近接した部分(中央部分)の奥行き寸法を小さくしている。熱源室8において、モータ13に近接した部分以外(外周部分)の奥行き寸法は、中央部分に比べて大きくなっており、ヒータ11、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62が所定位置に配設されるように配置空間が確保されており、熱源室8の内部における空気流の通路が確保されている。特に、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62により形成される空気流路が確実に確保されている。なお、熱源室8内において、ヒータ11は送風ファン9の羽根の奥行き方向の長さの中心位置よりやや後方に配置されている。
以下、本発明に係る実施の形態7の加熱調理器における加熱動作について説明する。
実施の形態7の加熱調理器において、例えば、オーブン調理を行う場合、クッキー等の被加熱物10が載置された調理皿5を、加熱室2の左右壁面に設けられた支持部4に係止させて、加熱室2内に挿入する。調理皿5が加熱室2の背面壁である隔壁15に接触するまで押し込まれて、ドア14が閉められ、加熱室2が加熱可能空間となる。本体1の前面に設けられた操作部(図示せず)にある所定ボタンが操作されることにより、当該加熱調理器におけるオーブン調理が開始される。
操作部においては被加熱物10の加熱時間、加熱温度などの調理条件が設定される。操作部において設定された調理条件を示す信号がマイクロコンピュータで構成された制御部24に入力される。制御部24は、調理条件を示す信号に基づいて、ヒータ11およびモータ13などを駆動制御する。
モータ13の回転により送風ファン9が回転動作を開始する。送風ファン9の回転動作により、遠心ファンである送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きの空気流が吹き出される。送風ファン9から吹き出された空気流は、送風ファン9の外周部分を取り囲むように配置されたヒータ11により加熱されて高温の空気流となる。また、送風ファン9からの空気流の一部は、送風ファン9の左右の位置に設けられた第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の傾斜部61Aa,62Aaに接触し、熱源室8の後方である熱源室背面壁14の方へ案内される。このように熱源室8の後方に案内された空気流は、送風ファン9よりやや後方に配置されたヒータ11に向かってよりおおく流れて加熱され、高温の空気流(熱風)となる。
また、実施の形態7の加熱調理器においては、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の堰止部61Ba,62Baが送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きの空気流の一部を堰き止めて集め、左右の吹出口23A,23Bに流すように案内している。このため、実施の形態7の加熱調理器においては、左右の吹出口23A,23Bからおおくの空気流が吹き出されるよう構成されている。
上記のように送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の上方へ送り出された熱風は、隔壁15における上吹出口17Aから加熱室2へ吹き出され、送風ファン9の下方へ送り出された熱風は、下吹出口17Bから加熱室2に吹き出される。これらの熱風は、送風ファン9の回転方向に沿った渦巻き状で外向きの風向を有しているため、上吹出口17Aからの熱風は加熱室の天井面21および右側面19の方向に流れ、下吹出口17Bからの熱風は加熱室2の底面20および左側面18の方向に流れる。
また、熱源室8において、送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部61および第2の流路形成部62における傾斜部61Aa,62Aa(案内面)に接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変え、再度第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の方向に向かう。次に、熱風は第1の流路形成部61および第2の流路形成部62の傾斜部61Aa,62Aaの裏面(案内面の裏面)により案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8の内部において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れている。このため、加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱できるように流れる。
以上のように、実施の形態7の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2内に吹き出される熱風を、被加熱物10が集中的に加熱されるように流すことができる。その結果、実施の形態7の加熱調理器においては、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室2を効率高く加熱し、被加熱物10に対する効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態7の加熱調理器によれば、加熱室の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
(実施の形態8)
以下、本発明に係る実施の形態8の加熱調理器について添付の図15を参照して説明する。本発明に係る実施の形態8の加熱調理器において、前述の実施の形態1および実施の形態7の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態8の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1および実施の形態7の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1および実施の形態7の説明を援用する。
図15は、実施の形態8の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図15に示すように、実施の形態8の加熱調理器と実施の形態7の加熱調理器との相違点は、加熱室2の背面壁となる隔壁15に設けられた第1の流路形成部63および第2の流路形成部64の形状である。実施の形態8の加熱調理器においては、第1の流路形成部63および第2の流路形成部64におけるそれぞれの傾斜部(案内面)が曲面で構成されている。
第1の流路形成部63は、前述の図14に示した実施の形態7の第1の流路形成部61と同様に、縦流路形成部63Aと横流路形成部63Bを有して一体的に構成されている。縦流路形成部63Aは、左吹出口23Aに対向する面が凹面となる傾斜部と、加熱室2の背面壁である隔壁15に固定するための固定部とを有している。また、横流路形成部63Bは、水平方向の面を有する阻止部と、加熱室2の背面壁である隔壁15に固定するための固定部とを有している。
また、第2の流路形成部64は、第1の流路形成部63と同様に、縦流路形成部64Aと横流路形成部64Bを有して一体的に構成されている。縦流路形成部64Aは、右吹出口23Bに対向する面が凹面となる傾斜部と、隔壁15に固定するための固定部とを有している。また、横流路形成部64Bは、水平方向の面を有する阻止部と、隔壁15に固定するための固定部とを有している。
なお、実施の形態8の加熱調理器においては、第1の流路形成部63および第2の流路形成部64を隔壁15に固定(カシメ加工または溶接により固着)する構成で説明するが、第1の流路形成部63および第2の流路形成部64が熱源室8を形成する他の部材に固定して、左右吹出口23A,23Bに対して所定の位置に配設するよう構成してもよい。
上記のように構成された実施の形態8の加熱調理器における熱源室8において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部63の傾斜部における滑らかな曲面(凸面)および第2の流路形成部64の傾斜部における滑らかな曲面(凸面)である案内面に接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変えて大きく迂回し、再度第1の流路形成部63および第2の流路形成部64の方向に流れる。そこで、熱風は、第1の流路形成部63の傾斜部の滑らかな曲面(凹面)および第2の流路形成部64の傾斜部の滑らかな曲面(凹面)である案内面の裏面により案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8の内部において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れている。このため、熱風は、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱するように流れる。
そして、第1の流路形成部63および第2の流路形成部64におけるそれぞれの傾斜部(案内面)曲面の固定部側において、曲面端部と隔壁15とがなす角度を調整することにより、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向を調節することができる。
実施の形態8の加熱調理器においては、第1の流路形成部63および第2の流路形成部64におけるそれぞれの傾斜部(案内面)が滑らかな曲面で形成されているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向は、前述の実施の形態7の加熱調理器に比べて、加熱室2の前方方向に滑らかに向けることが可能となる。
以上のように、実施の形態8の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2に吹き出す熱風を被加熱物10に対して前方から中央にかけた方向に滑らかに方向転換して流すことができる。その結果、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室2を効率高く加熱し、被加熱物10に対して効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態8の加熱調理器によれば、加熱室2の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
(実施の形態9)
以下、本発明に係る実施の形態9の加熱調理器について添付の図16および図17を参照して説明する。本発明に係る実施の形態9の加熱調理器において、前述の実施の形態1の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態9の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1の説明を援用する。
図16は、実施の形態9の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図16に示すように、実施の形態9の加熱調理器と実施の形態1の加熱調理器との相違点は、加熱室2の背面壁である隔壁15に設けられた第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の構成である。図17は、実施の形態9の加熱調理器における加熱室2の背面壁である隔壁15を後方から見た斜視図である。
加熱室2の背面壁である隔壁15において、熱源室8側である裏面には、中央の吸込口16と左吹出口23Aとの間に第1の流路形成部65が設けられている。また、隔壁15の裏面において、中央の吸込口16と右吹出口23Bとの間には第2の流路形成部66が設けられている。第1の流路形成部65および第2の流路形成部66は、隔壁15の裏面に一端が固着され、他端が熱源室8の内部空間に突出するよう形成されている。第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の各突出端部は、熱源室背面壁14から所定の空隙を有して配置されている。また、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66は、送風ファン9を取り囲むように配置されたヒータ11と、それぞれの吹出口23A,23Bとの間に設けられている。送風ファン9、ヒータ11、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66は、隔壁15と、熱源室背面壁14を有する内部ケース22とにより構成された熱源室8の内部に設けられている。
図16および図17に示されるように、第1の流路形成部65は、縦流路形成部65A、横流路形成部65B、および天井流路形成部65Cにより構成されている。また、第2の流路形成部66は、縦流路形成部66A、横流路形成部66B、および天井流路形成部66Cにより構成されている。第1の流路形成部65および第2の流路形成部66における各縦流路形成部65A,66Aは、隔壁15が構成する平面に対して略45度の角度を有して外向きに開いて傾斜する傾斜部65Aa,66Aaと、隔壁15に固定される固定部65Ab,66Abとをそれぞれを有している。
各縦流路形成部65A,66Aの傾斜部65Aa,66Aaは、左右吹出口23A,23Bの裏面側の一部を覆うように延設されており、傾斜部65Aa,66Aaの突出端部と熱源室背面壁14との間は所定の間隙を有している。各縦流路形成部65A,66Aの固定部65Ab,66Abは、隔壁15に固定するための取付け部分であり、これらの固定部65Ab,66Abにおいてカシメや溶接により隔壁15に確実に固定される。
また、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66における各横流路形成部65B,66Bは、隔壁15が形成する平面に対して直角である阻止部65Ba,66Baと、隔壁15に固定される固定部65Bb,66Bbとをそれぞれを有している。
実施の形態9においては、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66のそれぞれが金属板を折り曲げて一体的に形成されている。なお、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の材料としては、金属に限定されるものではなく、形状を保持できる耐熱性を有する材料であれば用いることができる。
第1の流路形成部65において、縦流路形成部65Aと横流路形成部65BはL字状に配置されており、左吹出口23Aの周りにおける中央側(吸込口側)と上側の一部に配置されている。また、縦流路形成部65Aと横流路形成部65Bにおける熱源室背面壁14に突出する端部が天井面となる天井流路形成部65Cにより覆われて、一体的に形成されている。このように構成された第1の流路形成部61は、左吹出口23Aの周りをL字状に囲んでいる。縦流路形成部65Aは垂直方向(鉛直方向)と平行な面を有しており、横流路形成部65Bは水平方向と平行な面を有している。天井流路形成部65Cは隔壁15と実質的に平行な面により構成されている。
なお、実施の形態9における縦流路形成部65Aおよび横流路形成部65Bは、垂直方向や水平方向と平行な面を有する構成であるが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、当該加熱装置の仕様などに応じて縦流路形成部および横流路形成部を適切な角度を有する位置に配置してもよい。
縦流路形成部65Aは、送風ファン9と左吹出口23Aとの間に配置されており、送風ファン9から左方向に送り出され、ヒータ11により加熱された熱風が接触する位置に配置されている。一方、横流路形成部65Bは、送風ファン9の回転方向において、縦流路形成部65Aより下流側に近接して配置されており、送風ファン9からの熱風の一部を堰き止めて集め、左吹出口23Aから吹き出すよう設けられている。
第2の流路形成部66は、第1の流路形成部65と同様に構成されており、縦流路形成部66Aと横流路形成部66BはL字状に配置されている。また、縦流路形成部66Aと横流路形成部66Bにおける熱源室背面壁14に突出する端部が天井面となる天井流路形成部66Cにより覆われて、一体的に形成されている。このように構成された第2の流路形成部66は、右吹出口23Bの外側をL字状に中央側と下側の一部に配置されている。縦流路形成部66Aは垂直方向(鉛直方向)と平行な面を有しており、横流路形成部66Bは水平方向と平行な面を有している。天井流路形成部66Cは隔壁15と実質的に平行な面により構成されている。
縦流路形成部66Aは、送風ファン9と右吹出口23Bとの間に配置されており、送風ファン9から右方向に送り出され、ヒータ11により加熱された熱風が接触する位置に配置されている。一方、横流路形成部66Bは、送風ファン9の回転方向において、縦流路形成部66Aより下流側に近接して配置されており、送風ファン9からの熱風の一部を堰き止めて集め、右吹出口23Bから吹き出すよう設けられている。
図17に示すように、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66におけるそれぞれの傾斜部65Aa,66Aa(案内面)は、隔壁15の上下方向の長さより短く、左右吹出口23A,23Bの上下方向の長さより長く形成されており、左右吹出口23A,23Bの一部を覆うように設けられている。
実施の形態9の加熱調理器においては、加熱室2の内容量を確保しつつ、送風ファン9とヒータ11とを有する熱源室8と、モータ13を有する駆動室12とを含めた本体1の奥行き寸法を小さくするために、熱源室8と駆動室12の合体部分の奥行き寸法を小さくしている。
実施の形態9の加熱調理器においては、奥行き寸法が小さくても送風性能が劣化しない遠心ファンである送風ファン9を用いており、吸入部分である中心部分の奥行き寸法を薄くすることが可能な送風ファン9を用いている。このため、モータ13のシャフトが貫通する熱源室背面壁14は、モータ13に近接した部分が加熱室側(前面側)に凹んだ形状とし、この凹みの内側にモータ13が配置されるよう構成されている。この結果、熱源室8と駆動室12とを合わせた奥行き方向の寸法を小さくしている。
図16に示すように、実施の形態9の加熱調理器においては、上記のように熱源室背面壁14を構成して、モータ13を凹み内に配置しており、熱源室8のモータ13に近接した部分(中央部分)の奥行き寸法を小さくしている。熱源室8において、モータ13に近接した部分以外の部分(外周部分)の奥行き寸法は、中央部分に比べて大きくなっており、ヒータ11、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66が所定位置に配設されるように配置空間が確保されており、熱源室8の内部における空気流の通路が確保されている。特に、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66により形成される空気流路が確実に確保されている。なお、熱源室8内において、ヒータ11は送風ファン9の羽根の奥行き方向の長さの中心位置よりやや後方に配置されている。
以下、本発明に係る実施の形態9の加熱調理器における加熱動作について説明する。
実施の形態9の加熱調理器において、例えば、オーブン調理を行う場合、クッキー等の被加熱物10が載置された調理皿5を、加熱室2の左右壁面に設けられた支持部4に係止させて、加熱室2内に挿入する。調理皿5が隔壁15に接触するまで押し込まれて、ドア14を閉められ、加熱室2が加熱可能空間となる。本体1の前面に設けられた操作部(図示せず)にある所定ボタンが操作されることにより、当該加熱調理器におけるオーブン調理が開始される。
操作部においては被加熱物10の加熱時間、加熱温度などの調理条件が設定される。操作部において設定された調理条件を示す信号がマイクロコンピュータで構成された制御部24に入力される。制御部24は、調理条件を示す信号に基づいて、ヒータ11およびモータ13などを制御する。
モータ13の回転により送風ファン9が回転動作を開始する。送風ファン9の回転動作により、遠心ファンである送風ファン9の外周部分から渦巻き状外向きの空気流が吹き出される。送風ファン9から吹き出された空気流は、送風ファン9の外周部分を取り囲むように配置されたヒータ11により加熱されて高温の空気流となる。また、送風ファン9からの空気流の一部は、送風ファン9の左右の位置に設けられた第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の傾斜部65Aa,66Aaに接触し、熱源室8の後方である熱源室背面壁14の方へ案内される。このように熱源室8の後方に案内された空気流は、送風ファン9よりやや後方に配置されたヒータ11に向かってよりおおく流れて加熱され、高温の空気流となる。
また、実施の形態9の加熱調理器においては、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の阻止部65Ba,66Baが送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きの空気流の一部を堰き止めて集め、左右の吹出口23A,23Bに流すように案内している。このため、実施の形態9の加熱調理器においては、左右の吹出口23A,23Bからおおくの空気流が吹き出されるよう構成されている。さらに、実施の形態9の加熱調理器においては、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66には天井流路形成部65C,66Cが形成されているため、送風ファン9の外周部分から渦巻き状で外向きの空気流の一部を確実に左右の吹出口23A,23Bに流すように案内している。
上記のように送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の上方へ送り出された熱風は、隔壁15における上吹出口17Aから加熱室2へ吹き出される。また、送風ファン9の下方へ送り出された熱風は、下吹出口17Bから加熱室2に吹き出される。これらの熱風は、送風ファン9の回転方向に沿った渦巻き状で外向きの風向を有しているため、上吹出口17Aからの熱風は加熱室の天井面21および右側面19の方向に流れ、下吹出口17Bからの熱風は加熱室2の底面20および左側面18の方向に流れる。
また、熱源室8において、送風ファン9により外周側へ送り出され、ヒータ11により加熱された熱風において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部65および第2の流路形成部66における傾斜部65Aa,66Aa(案内面)に接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変えて大きく迂回して、再度第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の方向へ流れる。次に、熱風は第1の流路形成部65および第2の流路形成部66の傾斜部65Aa,66Aaの裏面(案内面の裏面)に案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8の内部において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れている。このため、加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱するように流れる。
以上のように、実施の形態9の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2内に吹き出される熱風を、被加熱物10が集中的に加熱されるように流すことができる。その結果、実施の形態9の加熱調理器においては、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室2を効率高く加熱し、被加熱物10に対する効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態9の加熱調理器によれば、加熱室の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
(実施の形態10)
以下、本発明に係る実施の形態10の加熱調理器について添付の図18を参照して説明する。本発明に係る実施の形態10の加熱調理器において、前述の実施の形態1および実施の形態9の加熱調理器と異なる点は、熱源室内に設けられた流路形成部の構成である。したがって、実施の形態10の加熱調理器においては、特に流路形成部について説明し、実施の形態1および実施の形態9の加熱調理器と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付して、その説明は前述の実施の形態1および実施の形態9の説明を援用する。
図18は、実施の形態10の加熱調理器における加熱室の後方にある熱源室と駆動室を示す平面断面図である。図18に示すように、実施の形態10の加熱調理器と実施の形態9の加熱調理器との相違点は、加熱室2の背面壁となる隔壁15に設けられた第1の流路形成部67および第2の流路形成部68の形状である。実施の形態10の加熱調理器においては、第1の流路形成部67および第2の流路形成部68におけるそれぞれの傾斜部(案内面)が曲面で構成されている。
第1の流路形成部67は、前述の図16に示した実施の形態9の第1の流路形成部65と同様に、縦流路形成部67A、横流路形成部67B、および天井流路形成部67Cにより構成されている。縦流路形成部67Aは、左吹出口23Aに対向する面が凹面となる傾斜部と、加熱室2の背面壁である隔壁15に固定するための固定部とを有している。横流路形成部67Bは、水平方向の面を有する阻止部と、隔壁15に固定するための固定部とを有している。
また、第2の流路形成部68は、第1の流路形成部67と同様に、縦流路形成部68A、横流路形成部68B、および天井流路形成部68Cにより構成されている。縦流路形成部68Aは、右吹出口23Bに対向する面が凹面となる傾斜部と、隔壁15に固定するための固定部とを有している。また、横流路形成部68Bは、水平方向の面を有する阻止部と、隔壁15に固定するための固定部とを有している。
なお、実施の形態10の加熱調理器においては、第1の流路形成部67および第2の流路形成部68を隔壁15に固定(カシメ加工または溶接により固着)する構成で説明するが、第1の流路形成部67および第2の流路形成部68が熱源室8を形成する他の部材に固定して、左右吹出口23A,23Bに対して所定の位置に設ける構成でもよい。
上記のように構成された実施の形態10の加熱調理器における熱源室8において、送風ファン9の左右方向に送り出された熱風は、第1の流路形成部67の傾斜部における滑らかな曲面(凸面)および第2の流路形成部68の傾斜部における滑らかな曲面(凸面)である案内面に接触して、熱源室背面壁14の方へ導かれる。熱源室背面壁14に導かれた熱風は、熱源室背面壁14に沿って流れ、熱源室8における左右端部において風向を変えて大きく迂回し、再度第1の流路形成部67および第2の流路形成部68の方向に流れる。そこで、熱風は、第1の流路形成部67の傾斜部の滑らかな曲面(凹面)および第2の流路形成部68の傾斜部の滑らかな曲面(凹面)である案内面の裏面により案内されて、それぞれの吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される。
この時、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2に吹き出される熱風は、熱源室8の内部において、その左右端部から中央へ向かう方向に流れている。このため、熱風は、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2の略中央に向かうように吹き出される。すなわち、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風はいずれも加熱室2内の被加熱物10の方向に向かい、被加熱物10を集中的に加熱するように流れる。
そして、第1の流路形成部67および第2の流路形成部68におけるそれぞれの傾斜部(案内面)曲面の固定部側において、曲面端部と隔壁15とがなす角度を調整することにより、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向を調節することができる。
実施の形態10の加熱調理器においては、第1の流路形成部67および第2の流路形成部68におけるそれぞれの傾斜部(案内面)が滑らかな曲面で形成されているため、左右の吹出口23A,23Bから加熱室2へ吹き出される熱風の風向は、前述の実施の形態9の加熱調理器に比べて、加熱室2の前方方向に滑らかに向けることが可能となる。
以上のように、実施の形態10の加熱調理器によれば、熱源室8から左右の吹出口23A,23Bを通って加熱室2に吹き出す熱風を滑らかに方向転換して、前方から中央にかけた方向に流すことができる。その結果、熱風が加熱室2の壁面ばかりを加熱することに起因する加熱損失を大幅に抑制することができ、加熱室2内を効率高く加熱し、被加熱物10に対して効率的な加熱調理が可能となる。したがって、実施の形態10の加熱調理器によれば、加熱室2の予熱時間および調理時間を短くすることができ、調理のスピードを向上させることができる。
なお、前述の各実施の形態の加熱調理器においては、熱源室背面壁に凹みを形成して、その凹みにモータ13を配置するよう構成することにより、加熱室2の後方に配置される熱源室8と駆動室12の薄型化を達成することが可能となり、加熱室の容量を確保しつつ、装置全体の奥行き寸法を小さくすることができると共に、高い省エネルギー性能を有する加熱調理器を提供することができる。
また、前述の各実施の形態の加熱調理器においては、ヒータ11として、環状のシーズヒータを使用した例で説明したが、シーズヒータの表面に複数の放熱フィンを設けたヒータを用いることにより、送風ファン9からの空気に対する加熱を効率高く行うことが可能となる。
なお、前述の各実施の形態において加熱調理器を例として説明した本発明の加熱装置においては、おおくの熱風を吹出口から加熱室内の中央方向に吹き出すように構成されているため、加熱室内の被加熱物に対して効率高い加熱が可能となり、加熱室の予熱動作や加熱動作における時間の短縮を図ることができる。
本発明の加熱装置においては、吹出口からの熱風の風向を変更することが可能であるため、例えば加熱調理器において焼きムラになりやすい被加熱物の場合には、当該被加熱物に直接に熱風を当てずに、被加熱物を包み込むように加熱することが可能となり、加熱動作中において熱風の風向を変更することが可能となる。