JP3823033B2 - 加熱調理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱風によって被加熱物を調理する加熱調理装置に関すものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の加熱調理装置は、特開平11−166738号公報に開示されているように、被加熱物の調理される加熱室の背面の後方にファン装置を備え、加熱室内の空気を加熱室背面の下部の吸込口から熱風循環装置(熱風ユニット)のファンケーシング内に吸い込み、熱風用ヒータで加熱された熱風を中央部の吐出し口から加熱室内に吹き出す構造であるとともに、加熱室の上面及び下面に設けられたヒータによって、加熱室内部に配置された上下2段の皿上の被加熱物を各ヒータの制御によって調理するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の加熱調理装置は、熱風循環装置のファン装置を全て加熱室背面の後方に配設してファン装置の設置スペースを確保させるため、加熱調理装置の奥行き外形寸法に対して、加熱室の奥行き外形寸法の割合が小さくなる。
【0004】
また、ファン装置に直に加熱室内部の高温空気が流入するため、ファン装置自体が高温になるとともに、ファン装置や保持部の寿命の低下、モータの過熱や劣化などが起こり易く、誤作動の原因となり易い。
【0005】
さらに、熱風が加熱室に一方向に吐出されるため、大きさや高さの異なる被加熱物に対して焼きムラが生じ易い。
【0006】
また、空気吸込部の近傍に配置されるパンチング孔による空気の流れの抵抗により、空気吸込特性が悪化して循環風量が低下し、加熱室前後の風温差が生じ易い。
【0007】
また、ヒータが配置される風路内の風速が遅くなるため,ヒータの熱交換効率が低くなり、大発熱を与え難い。
【0008】
さらに、加熱室からの熱風が直接ファン装置部に流入して通過することによる熱漏洩が大きく、熱損失が生じ易い。また、熱風循環装置内部に被加熱物の残骸、加熱室内からゴミ等の異物が混入し易いなどの課題がある。
【0009】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも1つを解決するために為されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の背面に設けられた通風口と、該通風口を通して該加熱室に加熱された空気を循環させる熱風ユニットを備え、前記熱風ユニットは少なくとも貫流ファンと、該貫流ファンと連結するダクトと、該ダクト内に設けられた仕切板と、該仕切板によって前後に分割された空気吸込風路と、空気吐出風路と、前記空気吐出風路の吐出口側に配置された熱風ヒータとで構成され、前記貫流ファンヘの空気の流入と流出方向が略180°で折り返す流れの風路とするとともに、貫流ファンの空気吐出風路の断面より空気吸込風路の断面を小さくし、空気吸込風路の直後及び空気吐出風路方向と略直角方向位置の貫流ファンの上流側で、かつ加熱室の下側に空気吸込風路の断面より広く、前記加熱室の底面の奥行き寸法より小さい空間を設けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び2に本発明の第一の実施形態の側面断面及び正面断面図を示す。図は、本発明の加熱調理器の一例としてオーブン調理機能をもったターンテーブルレス電子レンジに適用したものである。
【0015】
図において、キャビネット51の内側には被加熱物71を収納し加熱調理を行う加熱室7が設けられ、加熱室7前面には被加熱物71を出し入れできる開閉式のドア部52が回動可能に設けられている。
【0016】
また、加熱室7の底面にはマイクロ波透過性の高い、例えばガラス板75が設置されている。ガラス板75の下方にはマイクロ波を加熱室7に導く導波管50が配置されている。
【0017】
導波管50にはマイクロ波を拡散させる金属部材、例えば円形のアンテナ網57が配置され、その中心部が導波管50の下方に配置されたアンテナモータ22の軸上に連結されている。
【0018】
ここで、このアンテナモータ22はマイクロ波加熱を行う際にその調理内容に応じて回転速度、高さ位置、駆動時間等が設定される。
【0019】
加熱室7の右側には機械室2が配置されている。この機械室2には被加熱物71をマイクロ波加熱するために必要な部品、例えばマグネトロン20や制御基板27、2つの冷却ファン24等が設けられている。
【0020】
また、制御基板27にはマグネトロン20やアンテナモータ22などを制御するマイコン28が搭載されている。
【0021】
加熱室7内壁の左右側面部には、底面と概略並行に内側に突出した加熱室7の幅サイズの調理皿70を保持する支持部74が上下二段に設けられており、調理皿70を上下二段に配置可能な構成となっている。
【0022】
加熱室7の上側の略全面には平面状の上ヒータ10が、底面の前側には平面状の下ヒータ11がそれぞれ設けられ、オーブン加熱時にマイコン28の指示でON/OFF制御することにより被加熱物71を加熱する。
【0023】
ドア部52と向かい合う加熱室7の背面の壁面部には通風口72が設けられている。この通風口72は図4に示すように多数のパンチング孔72pで形成され、支持部74の上段に配置された上調理皿70aと下段に配置された下調理皿70bの間に設けられた上通風口72aと、支持部74の下段に配置された下調理皿70bの下側位置に設けられた下通風口72bとで構成され、略加熱室7の左右幅方向に配置されている。
【0024】
図3に熱風ユニット9の斜視断面図を示す。加熱室7に配置される被加熱物71のオーブン調理を行うために加熱された空気を循環させる熱風ユニット9は、通風口72の後方に設けられている。
【0025】
熱風ユニット9は,前後二段に風路43を構成したダクト4と,その下方に加熱室7の外側の底面にかかるように配置された貫流ファン3と、この貫流ファン3の空気吐出風路43a内に配置された熱風ヒータ12とで構成されている。
【0026】
ダクト4の内部には仕切板40が配置され、上通風口72aとダクト4の後ろ側に位置する空気吐出風路43aと、下通風口72bとダクト4前側に位置する空気吸込風路43bをそれぞれ分割させる構成となっている。また、空気吐出風路43aの断面は空気吸込風路43bの断面より大きくして設定されている。
【0027】
このように風路43を仕切板40により分割することにより、加熱室7からの空気は下通風口72bを経て空気吸込風路43bに入り、貫流ファン3で略180°折り返されるように方向を変えて空気吐出風路43aへ流れる構成とする。つまり、ダクト4の前側の空気吸込風路43bは貫流ファン3の吸い込み側へ、後ろ側の吐出風路43aは、貫流ファン3の吐出し側へ接続されることになる。
【0028】
また、空気吐出風路43aの断面を大きく設定することで、貫流ファン3の風量を増大させるようにしている。
【0029】
上通風口72aを介して加熱室7と接続される空気吐出風路43aは、少なくとも空気吐出風路43aの外側を構成する壁が上通風口72aにおいて、加熱室7底面と略水平になるように空気吐出風路43aと加熱室7が接続される構成となっており、貫流ファン3から吐出された空気の向きをスムーズに加熱室7内部に誘導する構造となっている。
【0030】
また、熱風ヒータ12は空気吐出風路43aの吐出口側、すなわち加熱室7の背面の外側の上通風口72aの近傍の空気吐出風路43aに配置され、ダクト4の空気吐出風路43aを通過する空気を加熱して熱風化する。
【0031】
ここで、熱風ヒータ12は、例えば棒状のシーズヒータ(図示せず)等でその表面に放熱フィンを設けたものであっても良い。また、棒状で無くともダクト4の内部に配置可能であればよく、例えばU字状もしくは面状であっても良い。
【0032】
熱風ユニット9の貫流ファン3は、加熱室7の幅方向に延びておりその貫流ファン3を囲むようにケーシング31が形成され、ダクト4と加熱室7の下側に跨って設けられている。
【0033】
空気吐出風路43aと略直角位置の上流側には、貫流ファン3の吸込性能を確保するための空間34が設けられている。この空間34は空気吸込風路43bの断面より広く、加熱室7の底面の奥行き寸法より小さくし、加熱室7の下側に配置できる大きさでよい。空間34によって貫流ファン3の吸込側面積を拡大できるので、循環風量を十分取れる状態が確保される。
【0034】
ケーシング31側面には,貫流ファン3を回転駆動するファンモータ32が配置されている。このファンモータ32はケーシング31の外部の機械室2の後方、或いは機械室2の内部に設けられる。ファンモータ32の冷却は機械室2内部に搭載され、ファンモータ32と連動して回転する冷却ファン24の冷却空気流で行う。
【0035】
加熱室7の背面部で、熱風ユニット9の間に設けられる通風口72のパンチング孔72pは、マイクロ波加熱時における電波洩れが生じない大きさの孔径例えば、φ2〜5mm程度で、熱風ユニット9の空気吐出風路43aおよび空気吸込風路43bを遮る位置に配置される。
【0036】
空気吐出風路43a側に設けられる上通風口72aのパンチング孔72pは、加熱室7への熱風の向きを決める一要素である。図4はこの一要素であるパンチング孔72pを3列に配列した実施例を示す配列図で、(a)はパンチング孔72pの左右端列79bに対して、中央列79aの上部のみを塞いだ形状例であり、(b)は(a)とは逆に中央列79aの下部のみ塞いだ形状例である。さらに、(c)は3列を波状のパンチング孔72pの形状にしたものであり、(d)は中央列79aと左右列79bを別個にずらした形状例で、熱風の向きを調整する構造である。また、ここで、パンチング孔72pの中央列79aと左右端列79bを入れ変えた形状でもよい。
【0037】
以上の構成より、オーブン調理時の動作について図1から4の実施形態について概略加熱室7幅の調理皿70を上下二段に固定配置した場合を説明する。
【0038】
例えば、クッキー等の被加熱物71が載せられた調理皿70は、ドア部52を開け、加熱室7の左右壁面に設けられた支持部74をスライドさせながら加熱室7背面に調理皿70が接触するまで内部に押し込まれる。調理皿70が上下段に2枚配置された後、ドア部52を閉めオーブン調理が開始される。
【0039】
オーブン調理の開始は、被加熱物71の加熱時間や加熱温度などの設定が終了した後、機械室2の前方の操作パネル(図示せず)上のボタンで行われる。調理が開始されると、熱風ユニット9内のファンモータ32の回転駆動により貫流ファン3が回転を始める。
【0040】
また、ファンモータ32の駆動と同時に貫流ファン3の回転によって吐出された空気は、ダクト4の後ろ側の空気吐出風路43aに押し込まれ、背面に沿って上方向に向かって流れ、空気吐出風路43aに配置された熱風ヒータ12の発熱により空気の温度を上昇させ、加熱室7に熱風73aを供給する。このとき空気吐出風路43aの断面を大きくしているので、貫流ファン3から吐出される風量も多くなる。
【0041】
次に、上通風口72aから出た熱風73aは、上調理皿70aと下調理皿70bに挟まれた加熱室7の内部空間を加熱室7の背面方向からドア部52方向に向かって流れ、この間に下側の調理皿70bの被加熱物71bを加熱するとともに上調理皿70aの底面部の温度を上昇させる。
【0042】
また、上調理皿70aと下調理皿70bの間を流れた熱風73aは、ドア部52と下調理皿70bの間隙を通って下方向に流れ、下調理皿70bの底面と加熱室7底面の間をドア部52側から加熱室7背面側に向かって流れ、下調理皿70bの底面を加熱する。
【0043】
加熱室7の背面部には下調理皿70bの下部を通過する被加熱物71などに熱を奪われた熱風73bが熱風ユニット9に流れ込むように下通風口72bが配置されている。
【0044】
下通風口72bを通って加熱室7から出た熱風73bは、ダクト4の空気吸込風路43bを通って貫流ファン3に戻り、再び貫流ファン3で略180°折り返されるように方向を変えて空気吐出風路43aに流れる。
【0045】
このように貫流ファン3により加熱室7の熱風73aと被加熱物71などにより熱を奪われた熱風73bがダクト4内の2つの空気吐出風路43aと空気吸込風路43bを介して循環する構成となる。
【0046】
加熱室7内部の温度は、例えば加熱室7側面に設けた熱電対やサーミスタ等の温度センサ76で感知しマイコン28で制御し、加熱室7の温度が設定値よりも高い場合、熱風ヒータ12への電力供給を止め、貫流ファン3のみを回転駆動させる。
【0047】
加熱室7内の被加熱物71の加熱は、加熱室7上部の上ヒータ10と熱風ヒータ12と加熱室7の底部に設けられた下ヒータ11で行われる。
【0048】
上調理皿70a上の被加熱物71aは、表面側を上ヒータ10によって、下側は熱風73aによって加熱されるとともに下調理皿70b上の被加熱物71bは表面側を高温の空気73aによって加熱され、下側は下ヒータ11と熱風73bによってムラ無く加熱される。
【0049】
下ヒータ11は熱風73aが被加熱物71bとの熱交換で低下した温度を補うために設けられており、冷えた熱風73bをドア側で再度風温上昇させるとともに、熱風73bで加熱され難い下調理皿70bの前面部を放射伝熱により加熱する。
【0050】
ここで、下ヒータ11は熱風73bの温度低下が微少で、熱風のみで下調理皿70bを十分加熱できるならば取り付ける必要は無い。
【0051】
また、下調理皿70bの下面の加熱を増加させる目的で、下ヒータ11を底面全体に設けた構造でもよい。或いは、下ヒータ11を導波管50内部に配置させ、より下調理皿70bとの距離を縮める構成としてもよい。
【0052】
よって,加熱室7の内部温度は3つの上ヒータ10、下ヒータ11、熱風ヒータ12がマイコン28によりON/OFFで制御される。ここで、温度センサ76は非接触式である赤外線温度センサであれば加熱室7の任意の壁面温度や被加熱物71の温度を直に計測することも可能である。
【0053】
各ヒータ10、11、12の制御はその発熱量、発熱時間を被加熱物71の種類、量等を目安に設定される。
【0054】
被加熱物71のオーブン調理では、加熱室7壁面が高温となるため、機械室2への熱漏洩による温度上昇を抑制するため機械室2内部の冷却ファン24が駆動される。冷却ファン24の駆動は調理開始とともに常時或いは間欠的に行っても、例えば、ファンモータ(32)等の温度を検知して行ってもよい。
【0055】
本実施形態では機械室2を加熱室7の側面に設けた構造について説明したが、機械室2及び操作パネル(図示せず)が、加熱室7の底面に配置した構造についても同様の構成及び効果が実現できる。
【0056】
図5に他の実施形態の側面断面図を示す。本実施形態では加熱室7内部にターンテーブルモータ80の軸を配置させ、丸型の調理皿(図示せず)も配置できる構造としたターンテーブル式オーブンレンジである。熱風ユニット9内部の構成は、図1と同様であり、説明を省略する。
【0057】
加熱室7の底部にはターンテーブルモータ80により回転駆動されるターンテーブルモータ回転軸80aが突出している。ターンテーブルモータ80には円形のアンテナ網(図示せず)と丸型の調理皿(図示せず)を置くことができる。
【0058】
本実施例は加熱室7の内部に調理皿70を上下二段に固定配置させた構造であるが、下調理皿70bを丸型の調理皿に替え、ターンテーブルモータ回転軸80aに載せた上下二段の皿設置構造でも適用できる。
【0059】
ターンテーブルモータ回転軸80aが加熱室7内に突き出た構造では、加熱室7の側面にマイクロ波の通路となる導波管(図示せず)が設置され、マグネトロン20より放射されるマイクロ波を前記導波管と連結される加熱室7のマイクロ照射口56から内部に供給させる構造となっている。
【0060】
よって、貫流ファン3等から構成される熱風ユニット9は、加熱室7内のマイクロ波照射口56の位置によらず配置させることができ図1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、請求項1のように構成したので貫流ファン等から構成される熱風ユニットを適正配置させることにより設置スペース、特に、奥行きスペースが小さく、大風量で熱効率の良好な熱風式加熱調理装置を提供でき、被加熱物の焼きムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態における加熱調理装置の側面断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における加熱調理装置の正面断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における熱風ユニットの斜視断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態におけるパンチング孔の配列図である。
【図5】本発明の他の実施形態における加熱調理装置の側面断面図である。
【符号の説明】
3・・・貫流ファン
4・・・ダクト
7・・・加熱室
9・・・熱風ユニット
12・・・熱風ヒータ
34・・・空間
40・・・仕切板
43a・・空気吐出風路
43b・・空気吸込風路
71・・・被加熱物
72・・・通風口
72a・・上通風口
72p・・パンチング孔
Claims (1)
- 被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の背面に設けられた通風口と、該通風口を通して該加熱室に加熱された空気を循環させる熱風ユニットを備え、前記熱風ユニットは少なくとも貫流ファンと、該貫流ファンと連結するダクトと、該ダクト内に設けられた仕切板と、該仕切板によって前後に分割された空気吸込風路と、空気吐出風路と、前記空気吐出風路の吐出口側に配置された熱風ヒータとで構成され、前記貫流ファンへの空気の流入と流出方向が略180°で折り返す流れの風路とするとともに、貫流ファンの空気吐出風路の断面より空気吸込風路の断面を小さくし、空気吸込風路の直後及び空気吐出風路方向と略直角方向位置の貫流ファンの上流側で、かつ加熱室の下側に空気吸込風路の断面より広く、前記加熱室の底面の奥行き寸法より小さい空間を設けたことを特徴とする加熱調理装置。
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