以下、この発明に係る金属製配線ボックスおよび金属製配線ボックスの支持装置を実施するための形態を図面に基いて説明する。
(第一実施形態)
図1〜図12は、本発明の参考例を示す第一実施形態を示す。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むようにコンクリート壁内に埋設されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。
この金属製配線ボックスBは、筒状の周壁1と、該周壁の一端側に周壁に囲まれた開口3と、該開口と対向して周壁の他端側を閉塞する底壁2と、を備えた有底箱状に形成されている。そして、前記周壁1及び底壁2には、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成され、除去することにより金属製配線ボックス内へとケーブルや電線を導入可能となる導入口Nが複数配置されている。前記導入口Nから導入されたケーブルは、ボックス内部でケーブルどうしが結線されたり、内部に収容される配線器具に接続される。
具体的には、四角板状の底壁2と、底壁から立設する四角筒状の周壁1(1a、1b、1c、1d)からなり、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角有底箱状の金属製配線ボックスであり、底壁2と周壁1とに囲まれた内側には、配線器具やケーブルの結線部等を収容する内部空間が形成され、該内部空間を外方に臨ませる開口3が前記底壁2と対向して設けられている。前記底壁2には、塞がれることなく貫通した孔が5つ形成され、接地配線するためのビスが螺着されるビス孔21と、金属製配線ボックスを固定するための固定具を取り付けるための4つの固定孔22(固定具の形態にもよるが、一般的には4つのうちの2つを用いて取り付けられる)とからなる。さらに、前記4つの固定孔の中心には、この金属製配線ボックスをコンクリート埋設するにあたり、コンクリート型枠を貫通させたボルトを螺着して、型枠側へと引き寄せるための螺着部23が設けられている。これら5つの孔(ビス孔21、4つの固定孔22)および螺着部23は、一般的に閉鎖テープ24(図中の一点鎖線)によりその全部が閉鎖された状態で販売されている。
対向する周壁(1aと1c、または、1bと1d)のうち、一方対の周壁(1bと1d)の開口端における周壁内部側には、ボックスカバーの取付片11がそれぞれ対向する周壁に向けて折り曲げられている。前記取付片11は、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している。また、前記取付片を有する一方対の周壁(1bと1d)の内側には、それぞれ金属製配線ボックス内を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、開口端から内側に折り曲げられさらにその先端を底壁2に向けて折り返された一対の保持片からなる。この保持片間は仕切板の板厚と略同一に形成されており、仕切板を開口から一対の保持片間に差し入れることで、あたかも底壁から立設しているように、周壁の一方対にそれぞれ設けられた両仕切板保持部に両端が保持されて、ボックス内部を仕切る(図示した金属製配線ボックスにおいては、その内部を2分する)ことができる。この仕切板保持部の各保持片も、前記取付片と同様に、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している(図6参照)。
そして、対向する周壁のうち他方対(前記取付片および仕切板保持部が設けられていない側)の周壁(1aと1c)には、前記導入口Nと開口端との間に、周壁外部へ向けて切り起こされた切起部4が設けられ、前記切起部4には、前記金属製配線ボックスを支持する支持部材Sを取り付けるための取付部41が設けられている。この切起部4は、前記他方対の周壁(1aと1c)にそれぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。(換言すると、四角筒状の周壁の相対向する2つの壁に、それぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。)これらの切起部4は、2箇所を1組として支持部材を取り付けるために使用し、前記他方対の周壁にそれぞれ設けられた計2組の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)により2つの支持部材がそれぞれ各壁に取り付けられるようになっている。
より詳細には、前記切起部4は切り起こされた周壁の開口端近傍に、両端が周壁と連結された状態でその中央部が周壁外方に膨出するようにして、周壁の一部を帯状に切り起こして形成されている。そして、切り起こされた内面と(切起部の両脇の)周壁外面との間に前記支持部材Sが挿通される貫通孔42を形成し、前記支持部材Sを取付可能な取付部41を構成している。なお、ここで利用する支持部材Sは図11に示すように、金属製円柱状のバー材S1からなり、より詳細には、軸方向の一部に、押し潰されて外方へと膨出する膨出部S1aが設けられている。当該バー材S1は、手により三次元方向に折り曲げ自在であるとともに所定の突っ張り強度を有している。
そして、前記他方対の周壁(1aと1c)にそれぞれ設けられた各2箇所の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)(換言すると、四角筒状の周壁の相対向する2つの壁のそれぞれの壁に設けられた2箇所の切起部)は、直線状に形成された一本のバー材S1を直線的に移動させることで各貫通孔42に挿通可能となるよう、各切起部4が形成する貫通孔42の各軸心が同一軸線上に位置している。これにより、一方の切起部が形成する貫通孔42に挿通されたバー材は、切起部内面や周壁外面に当該バー材の外面を当接させながら、他方の切起部が形成す貫通孔42へと一直線に向かうことができ、一端を貫通孔42に挿通させて、同挿通方向へと直線状にバー材を移動させることで前記切起部内面および周壁外面によって案内されながら、スムーズに他方の貫通孔42を通過させることができる。また、各切起部4が形成する貫通孔42に挿通されたバー材の軸心は、切起部の形成された周壁(1aまたは1c)の外面と平行となるとともに、切起部の形成された周壁の開口端と平行となるように形成されている。
前記各組の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)(同一壁面に設けられた2箇所の切起部)のうち片側の切起部(4a、及び、4d)の貫通孔は、他側の切起部(4b、または、4c)と反対側(バー材の挿通元側)に、前記バー材S1の膨出部S1aが入り込むための、広がった受口43が形成され、該受口43から他側の切起部(4b、または、4d)に向けて徐々に先細りとなり、最終的には、バー材S1の軸のみが通過可能な大きさにまで狭まっている。そのため入り込んだ前記膨出部S1aがその受口内面に当接して、それ以上のバー材の軸方向の移動を規制し、さらに、受口内面と膨出部の当接により、貫通孔42に対するバー材S1の周方向の回転が防止できるようになっている。なお、本実施形態においては、他側の切起部(4b、または、4c)の貫通孔42は、前記片側の切起部(4aや4d)に形成されたような受口は形成しておらず、単にバー材S1の軸のみが通過可能な大きさの貫通孔42を形成している。なお、前記受口43は、前記膨出部S1aの全体が入り込み可能な大きさに形成されている(図8、図9参照)。
これら4箇所の切起部4は、周壁1から切り起こしたことにより周壁外部と内部との連通箇所を生じさせている。これら連通箇所を閉鎖すべく、前記各切起部の近傍である周壁の開口端から延出され、基端を周壁の開口端とし、先端側が底壁へ向くように周壁内面に沿って折り返された閉鎖片5が設けられている。この閉鎖片5は、それぞれ切起部4に対応して、切起部4と同数設けられている。具体的には、4箇所の切起部(4a、4b、4c、4d)に対応して、4つの閉鎖片(5a、5b、5c、5d)が設けられている。前記各閉鎖片は、その全体が前記開口端から開口方向側に突出していない。具体的には、その基端側の開口方向側となる外面は、開口端面と同一面上に位置し、開口方向側に突出することなく周壁内面に沿って折り返されている。そして、閉鎖片の先端までの長さは、前記切起部により生じた連通箇所を越えてさらに底壁側まで延びる長さに形成されているとともに、前記切起部4が生じさせた連通箇所の全体を閉鎖する大きさに形成されている。
前記閉鎖片5は、金属製配線ボックスのプレスによる絞り成形過程で折り返されている。そのため、切り起こすことで支持部材Sを取り付ける取付部41を形成するも、生じてしまう周壁外部と内部との連通箇所は施工の際に予め閉鎖されており、支持させる際に前記連通箇所を養生する必要がなくなる。なお、ボックス形状にしてから折り返すか、切起部4を切り起こして閉鎖片5を折り返してからボックス形状にするかは問わない。
続いて、前記取付部41を利用して前記金属製配線ボックスBに支持部材Sとしてのバー材S1を取り付ける手順を説明する。まず、前記バー材S1の一端を片側の貫通孔4a(前記受口を有する側の切起部に設けられた取付部)に宛がい通過させる。そのままバー材S1を軸方向に移動させて当該バー材の一端を他側4bの貫通孔42を通過させる。そして、バー材膨出部S1aを前記受口43内にその全体を入り込ませ、前記膨出部を受口内面に当接させる。これによってバー材の軸方向のそれ以上の移動が規制された状態でバー材S1が金属製配線ボックスBへ取り付けられる。この操作を他方対の周壁にそれぞれ設けられた各組の切起部に対してそれぞれ行うことで、2つの支持部材Sを金属製配線ボックスBに取り付けることとなる。なお、この状態で、図12に示すように、各組の片側の貫通孔と他側の貫通孔とからそれぞれ外側に突出するバー材の両端部は均等な長さで外側に突出している。換言すると、膨出部S1aが受口内面へ当接して移動が規制された状態で、均等に突出するように、前記バー材S1の軸方向の所定位置に前記膨出部S1aが設けられている。
前記バー材S1が取り付けられた金属製配線ボックスBは、コンクリート壁内に埋設される鉄筋等にバー材S1を固定することにより、コンクリート型枠内に配置され、コンクリート打設されてコンクリート壁内に埋設される。このとき、前記バー材S1の有する突っ張り力によって、型枠に前記開口端が圧接されるように前記型枠内に配置される。前記閉鎖片5や前記ボックスカバー取付片11、前記仕切板保持部12はいずれも開口端から開口方向側に突出しておらず、前記開口端の全体が型枠へと圧接されることを阻害しない。
前記コンクリート型枠内に設置された際には、前記周壁1に設けられた導入口Nに電線管が接続されることがある。取り付けられた前記バー材S1が貫通する各貫通孔42間に露出するバー材S1は、前記導入口N上を横切ることなく周壁外面に沿っている。そのため、バー材S1を取付けた状態であっても、導入口Nを有効に活用できる。
次に、以上の構成からなる金属製配設物Aとしての金属製配線ボックスBの作用効果について説明する。この金属製配線ボックスBによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部を設けるにあたって、前記周壁1の一部を外部に切り起こしたことにより生じた、金属製配線ボックスの内部と外部との連通箇所が閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、周壁内部を支持部材S(バー材S1)が通過することなく周壁外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)に対してかかる支持部材径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、開口近傍に切起部4を設けたことで、周壁1の内外を連通する箇所が開口3近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の開口端からの長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が周壁1と連結された状態で中央部が周壁外方に突出するように周壁1を切り起こして形成しているため、両端が周壁1と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、前記閉鎖片5が、開口端よりも開口方向側に突出することなく折り返されているため、開口側に立設した壁材やコンクリート型枠、開口に取着されるボックスカバー等に、開口端の全体を当接させることができる。
また、周壁1に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置で取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口N上を横切ることがなく、導入口Nの実質的な開口面積を狭めたり、導入口Nそのものが使用できなくなることがない。
(第二実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第二実施形態を図13〜図16に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むようにコンクリート壁内に埋設されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。なお、第一実施形態と同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配線ボックスBは、筒状の周壁1と、該周壁1の一方に周壁1に囲まれた開口3と、該開口3と対向して周壁1の他方に組み付けられた、前記周壁1とは別体の金属製板状に形成された底壁2と、を備え、周壁1に底壁2が組み付けられることで有底箱状を成す。そして、前記周壁1及び底壁2には、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成されたケーブルや電線を内部に導入可能な導入口Nが複数配置されている。
具体的には、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角筒状の周壁1と、1枚の金属板をプレス成形することで形成した四角板状の底壁2とを備え、前記周壁1には、一方を開口3とし、他方に前記底壁2を組付けるための底壁組付部14が設けられている。前記底壁組付部14は、前記周壁1の他方端から周壁内部側へと他方端から突出することなく折り曲げられ、対向する周壁(1b、1d)にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。また、底壁2には、前記底壁取付片14と対応する位置に固定孔25が設けられ、固定孔25を貫通させて底壁取付片14にねじ込んだビス(図示せず)により、底壁2を周壁1に組み付けられて一体化される。
前記周壁1は、一方端に周壁内部へ向けて折り曲げられたボックスカバーの取付片11と、内部を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、周壁の他方端にも一方端と対応する位置に同様に設けられている。そして、対向する周壁(1aと1c、または、1bと1d)のうち一対の周壁(1aと1c)の他方端近傍には、周壁外方へ向けて切り起こされた切起部4が設けられている。具体的には、対向する壁面(1aと1c)にそれぞれ間をあけて2箇所づつ、計4箇所の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)が設けられている。これら切起部4は、第一実施形態と同様に、両端が周壁1と連結された状態でその中央部が周壁外方へと膨出するようにして、周壁1の一部を帯状に切り起こして形成されている。各切起部4は、前記金属製配線ボックスBを支持するための支持部材Sを取り付ける取付部41を備えている。詳細には、切り起こされた内面と、周壁外面との間に前記支持部材を挿通可能な貫通孔42により取付部41が構成されている。そして、底壁2を組み付けていない状態において、前記切起部4を形成することにより周壁内部と外部とを連通する連通箇所が生じている。なお、ここで利用する支持部材Sは、第一実施形態と同様の金属製円柱状のバー材S1(図11参照)を想定している。また、前記切起部4は、前記第一実施形態と同様に2箇所を1組(4aと4b、及び、4cと4dをそれぞれ1組)として使用する。そして、各組における一方の切起部(4a、4d)には、前記バー材S1の膨出部S1aが入り込む受口43が形成されている。
前記底壁2は、全体が前記周壁他方の全体を閉塞する大きさの四角板状に形成され、周壁1に組み付けられた状態で、前記連通箇所と対応する位置に前記閉鎖片5が設けられている。より具体的には、4つの連通箇所を有する周壁1に対して、組み付けられた状態で4つの閉鎖片(5a、5b、5c、5d)が周壁内面と沿うように前記外縁から折り曲げられている。なお、4つの閉鎖片のうち2つの閉鎖片(5aと5b、および、5cと5d)の間はそれぞれ、連結されている。この連結された箇所は組み付けられた状態で周壁1の導入口Nと干渉しないように、干渉する箇所が逃がしてある。
また、前記底壁2には、前記周壁1に組み付けられた状態で、前記周壁1の他方端の全体に亘って当接する当接部26を備えている。前記当接部26は、四辺の外縁からそれぞれ折り返されて、周壁1に組み付けられた際に周壁他方端と対面する側が同一平面上となるように形成されている。そして、前記当接部26のうち対向する二辺の先端には、前記閉鎖片5が延出されている。換言すると、底壁外縁から折り曲げられて周壁内面に沿うように配置される閉鎖片5の周壁他方端への当接部分と同一平面上を構成するように、閉鎖片5が設けられていない箇所にも、外縁から折り返すことにより、周壁1の他方端の全体に亘って当接する当接部26を設けている。
次に、この第二実施形態の金属製配線ボックスの作用効果について説明する。この金属製配線ボックスBによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部41を設けるにあたって、前記周壁1の一部を外部に切り起こしたことにより生じた、金属製配線ボックスBの内部と外部との連通箇所が組み付けられる底壁2に設けられた閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、周壁内部を支持部材S(バー材S1)が通過することなく周壁外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)の径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、周壁端の近傍に切起部4を設けたことで、周壁1の内外を連通する箇所が周壁端近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の周壁内面に沿って延びる長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が周壁1と連結された状態で中央部が周壁外方に突出するように周壁1を切り起こして形成しているため、両端が周壁と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、周壁1に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置で取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口N上を横切ることがなく、導入口Nの実質的な開口面積を狭めたり、導入口そのものが使用できなくなることがない。
また、周壁1の両端から仕切板保持部12が形成できるため、仕切板を開口3側と底壁2側との両方で保持するため、仕切板を安定して保持することができる。
また、この第二実施形態によれば、次のような場合に特に効果を奏する。すなわち、周壁の一方端(開口3側)を型枠に当接するように固定した状態で底壁2を取り外し、内部に導入したケーブルの結線作業等を行うことができる。この時点では、前記連通箇所は生じたままであるが、コンクリート打設時には底壁2が当然組み付けられており、底壁2によって前記連通箇所は閉鎖されることとなる。換言すると、取付部41を設けるために周壁を切り起こすことにより生じた連通箇所は、組み付ける底壁2によって閉鎖されるため、別途養生する必要がない。
(第三実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第三実施形態について図17〜図23に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むようにコンクリート壁内に埋設されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。なお、第一実施形態と同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配線ボックスBは、筒状の周壁1と、該周壁1の一方に周壁に囲まれた開口3と、該開口と対向して周壁の他方に組み付けられた、前記周壁とは別体の金属製板状に形成された底壁2と、を備え、周壁1に底壁2が組み付けられることで有底箱状を成す。そして、前記周壁1及び底壁2には、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成されたケーブルや電線を内部に導入可能な導入口Nが複数配置されている。
具体的には、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角筒状の周壁1と、1枚の金属板をプレス成形することで形成した四角板状の底壁2とを備え、前記周壁には、一方を開口3とし、他方に前記底壁を組付けるための底壁組付部14が設けられている。前記底壁組付部14は、前記周壁1の他方端から周壁内部側へと他方端から突出することなく折り曲げられた底壁取付片14が対向する周壁(1bと1d)にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。また、底壁2には、前記底壁取付片14と対応する位置に固定孔25が設けられ、固定孔25を貫通させて底壁取付片14にねじ込んだビスPにより、底壁2を周壁1に組み付けられて一体化される。
前記周壁1は、一方端に周壁内部へ向けて折り曲げられたボックスカバーの取付片11と、内部を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、周壁の他方端にも一方端と対応する位置に同様に設けられている。
前記底壁2は、四角板状の外縁近傍に、外部へ向けて切り起こされた切起部4が設けられている。具体的には、四隅近傍に全部で4箇所の切起部(4a、4b、4c、4d)が設けられている。これら切起部4は、両端が底壁2と連結された状態でその中央部が底壁外方へと膨出するようにして、底壁2の一部を帯状に切り起こして形成されている。各切起部4は、前記周壁1と底壁2とが組み付けられて構成された前記金属製配線ボックスBを支持するための支持部材Sを取り付ける取付部41を備えている。詳細には、切り起こされた内面と、底壁外面との間に前記支持部材Sを挿通可能な貫通孔42により取付部41が構成されている。なお、ここで利用する支持部材Sは、第一実施形態と同様の金属製円柱状のバー材S1を想定している。また、前記切起部4は、前記第一実施形態と同様に2箇所を1組(4aと4b、及び、4cと4d)として使用する。そして、各組における一方の切起部(4a、または、4d)には、前記バー材S1の膨出部S1aが入り込む受口43が形成されている。
そして、前記切起部4を切り起こすことにより生じた、底壁2の表裏(周壁と底壁を組み付けたボックス状態においてはボックス内部と外部)に連通する箇所を閉鎖すべく、前記底壁2の外縁には、外縁から延出され底壁内面(切り起こし方向と反対側の面)に沿って折り返された閉鎖片5が設けられている。この閉鎖片5は、前記連通する箇所の全体を塞ぐ大きさで、前記切り起こし箇所に対応する位置に設けられている。具体的には、四隅近傍の4箇所の切起部(4a、4b、4c、4d)に対応して、対向する2辺からそれぞれ延出した4つの閉鎖片(5a、5b、5c、5d)が折り返されて閉鎖している。
また、前記底壁2の前記周壁1に組み付けられる側の面における、前記周壁1の他方端と対向する箇所には、前記周壁他方端の全体に亘って当接するよう、底壁外縁の全周から折り返された当接部26が設けられている。これら当接部26は、前記閉鎖片5とともに同一平面を構成しており、前記閉鎖片5の基端付近も前記当接部26として作用する。なお、図22は当接部26及び閉鎖片5を折り返す前の状態であり、図21は折り返した後の状態を示している。互いに隣接する閉鎖片5と当接部26は一体に形成されている。(図21における上下の辺に設けられたそれぞれ2つの閉鎖片(5aと5b、及び、5cと5d)と、その間の当接部26は一体に形成され、左右の片は当接部26のみが設けられている。)
そして、組を成す2箇所の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)は、直線状に形成された一本のバー材S1を直線的に移動させることで各貫通孔42に挿通可能となるよう、各切起部が形成する貫通孔42の各軸心が同一軸線上に位置している。これにより、一方の切起部(4aや4d)が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、切起部内面や底壁外面に当該バー材の外面を当接させながら、他方の切起部(4bや4c)が形成する貫通孔42へと一直線に向かうことができ、一端を貫通孔に挿通させて、同挿通方向へと直線状にバー材S1を移動させることで前記切起部内面および底壁外面によって案内されながら、スムーズに他方の貫通孔を通過させることができる。
また、各切起部4が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、底壁2に形成された導入孔Nや、接地配線するためのビスが螺着されるビス孔21、金属製配線ボックスを固定するための固定具を取り付けるための4つの固定孔22、螺着部23を横切ることなく離れた位置で取り付けられることとなる。また、取り付けられた前記バー材S1が貫通する各貫通孔42間に露出するバー材も同様に前記導入口N上を横切ることなく取り付けられている。
この第三実施形態の金属製配線ボックスによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部41を設けるにあたって、前記底壁2の一部を外部に切り起こしたことにより生じた、金属製配線ボックスBの内部と外部との連通箇所が閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、周壁内部を支持部材(バー材)が通過することなく底壁外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)の径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、底壁2の外縁近傍に切起部4を設けたことで、連通する箇所が底壁の外縁近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の外縁端からの長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が底壁2と連結された状態で中央部が底壁外部に突出するように底壁2を切り起こして形成しているため、両端が底壁2と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、前記閉鎖片5とともに同一平面を構成する当接部26により、周壁1と底壁2とに隙間を形成することなく組み付けられる。
また、底壁2に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置で支持部材Sが取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口N上を横切ることがなく、導入口Nの実質的な開口面積を狭めたり、導入口そのものが使用できなくなることがない。
また、別体の底壁2に取付部41を設けたことで、周壁1には外方へと突出する箇所が存在せず、複数の金属製配線ボックスBを近接させて設置することが可能となる。
(第四実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第四実施形態について図24〜図31に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むようにコンクリート壁内に埋設されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。なお、第一実施形態と同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配線ボックスBは、筒状の周壁1と、該周壁1の一方に周壁1に囲まれた開口3と、該開口3と対向して周壁1の他方に組み付けられた、前記周壁1とは別体の板状に形成された金属製の底壁2と、を備え、周壁1に底壁2が組み付けられることで有底箱状を成す。そして、前記周壁1及び底壁2には、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成されたケーブルや電線を内部に導入可能な導入口Nが複数配置されている。
具体的には、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角筒状の周壁1と、1枚の金属板をプレス成形することで形成した四角板状の底壁2とを備え、前記周壁1には、一方を開口3とし、他方に前記底壁2を組付けるための底壁組付部14が設けられている。前記底壁組付部14は、前記周壁1の他方端から周壁内部側へと他方端から突出することなく折り曲げられ、対向する周壁(1aと1c)にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。また、底壁2には、前記底壁組付部14と対応する位置に固定孔25が設けられ、固定孔25を貫通させて底壁組付部14にねじ込んだビス(図示せず)により、底壁2を周壁1に組み付けられて一体化される。
前記周壁1は、一方端に周壁内部へ向けて折り曲げられた、内部を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、周壁の他方端にも一方端と対応する位置に同様に設けられている。
さらに、周壁の一方端における各辺には、周壁の一方端から突出することなく周壁外部へ向けて折り曲げられ、後述するボックスカバーDを取り付けるための取着部13が各辺に2箇所ずつ計8箇所設けられている。
前記底壁2は、四角板状の外縁近傍に、外部へ向けて切り起こされた切起部4が設けられている。具体的には、四隅近傍に全部で4箇所の切起部4が設けられている。これら切起部4は、第三実施形態と同様に、両端が底壁2と連結された状態でその中央部が底壁外方へと膨出するようにして、底壁2の一部を帯状に切り起こして形成されている。各切起部は、前記周壁1と底壁2とが組み付けられて構成された前記金属製配線ボックスBを支持するための支持部材Sを取り付ける取付部41を備えている。詳細には、切り起こされた内面と、底壁外面との間に前記支持部材Sを挿通可能な貫通孔42により取付部41が構成されている。前記取付部41は、四角板状の対向する一対の縁部に沿って(一対の辺と平行に)支持部材Sが取り付けられるよう、2箇所を1組として支持部材を取り付けるために使用する。なお、ここで利用する支持部材Sは、第一実施形態と同様の金属製円柱状のバー材S1を想定している。そして、この実施形態においては、第一実施形態のような受口は形成されておらず、バー材S1の軸のみが通過可能な貫通孔42が形成されている。
そして、組を成す2箇所の切起部4(取付部41)は、直線状に形成された一本のバー材を直線的に移動させることで各貫通孔42に挿通可能となるよう、各切起部が形成する貫通孔42の各軸心が同一軸線上に位置している。これにより、一方の切起部が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、切起部内面や底壁外面に当該バー材の外面を当接させながら、他方の切起部が形成す貫通孔へと一直線に向かうことができ、一端を貫通孔に挿通させて、同挿通方向へと直線状にバー材S1を移動させることで前記切起部内面および底壁外面によって案内されながら、スムーズに他方の貫通孔を通過させることができる。
また、各切起部4が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、底壁に形成された導入孔Nや、接地配線するためのビスが螺着されるビス孔21、金属製配線ボックスを固定するための固定具を取り付けるための4つの固定孔22、螺着部23を横切ることなく離れた位置で取り付けられることとなる。
そして、前記切起部4を切り起こすことにより生じた、底壁2の表裏(周壁と底壁を組み付けたボックス状態においてはボックス内部と外部)に連通する箇所を閉鎖すべく、前記周壁1の他方には、周壁1の他方端から延出され底壁内面(切り起こし方向と反対側の面)に沿って折り返された閉鎖片5が設けられている。この閉鎖片5は、前記連通する箇所の全体を塞ぐ大きさで、前記切り起こし箇所に対応する位置に設けられている。具体的には、四隅近傍の4箇所の切起部4に対応して、対向する2辺からそれぞれ延出した2つの閉鎖片5(全部で4つの閉鎖片5)が閉鎖している。
続いて、この第四実施形態の金属製配線ボックスBは、コンクリート内に埋設される際にボックスカバーDが取り付けられることがあるため、そのボックスカバーDの取り付け方法について説明する。
前記金属製配線ボックスBに取り付けられるボックスカバーD(例えば金属製のボックスカバー)としては、以下のような構成が考えられる。すなわち、前記金属製配線ボックスBの開口3の一部を塞ぐ塞ぎ部と、塞ぎ部の中央部分が開放された窓部と、を有する板状に形成されている。具体的には、図28〜図29に示すように、金属製配線ボックスBの開口形状に対応した四角板状であり、その中央部分に窓部91が形成されている。この窓部91は、金属製配線ボックスBに取り付けられた状態で、金属製配線ボックスの内部を外部へ臨ませている。そして、窓部91を取り囲むように塞ぎ部92から立設した立上壁93が枠状に形成され、当該立上壁93の先端側には、互いに向かい合うようにして窓部内方へと折り曲げられ、スイッチやコンセント等を取り付ける器具取付枠を固定可能な器具固定部94が設けられている。
そして、前記塞ぎ部92の対向する2辺には、縁部から裏側(前記立上壁の立設方向と反対側)へと折り曲げられて前記金属製配線ボックスBの周壁一端側に設けられた取着部13に係合する係合部95が設けられている。前記係合部95は、各辺に2箇所ずつ、前記取着部13と対応した位置に配置されている。これら各係合部95は、略L字状を成し、塞ぎ部92の裏面との間に前記取着部13を受け入れる受入口96が全て同一方向を向くように設けられている。そのため、図30に示すように、前記取着部13と前記係合部95とをずらした状態で前記金属製配線ボックスBの開口3に宛がい、同開口3に沿ってスライドさせることで、各係合部95の受入口96から取着部13が内部に入り込み係合して金属製配線ボックスBに対してボックスカバーDが取り付けられる(図31参照)。
この第四実施形態の金属製配線ボックスBによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部41を設けるにあたって、前記底壁2の一部を外部に切り起こしたことにより生じた、金属製配線ボックスBの内部と外部との連通箇所が閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、周壁内部を支持部材S(バー材S1)が通過することなく底壁外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)の径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、底壁2の外縁近傍に切起部4を設けたことで、連通する箇所が底壁2の外縁近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の周壁他方端からの延出長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が底壁2と連結された状態で中央部が底壁外部に突出するように底壁2を切り起こして形成しているため、両端が底壁2と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、底壁2に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置で取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口上を横切ることがなく、導入口Nの実質的な開口面積を狭めたり、導入口そのものが使用できなくなることがない。
また、底壁2の中央付近に設けられた固定具を取り付けるための固定孔22と離れた、底壁2の四隅近傍に取付部41が設けられているため、支持部材Sではなく固定具を用いて金属製配線ボックスBを固定する際にも、前記取付部41が前記固定具の取り付けに支障とならない。
また、別体の底壁2に取付部41を設けたことで、周壁2には外方へと突出する箇所が存在せず、複数の金属製配線ボックスBを近接させて設置することが可能となる。
(第四実施形態の変形例)
続いて、本発明の参考例を示す第四実施形態の変形例について図32〜図36に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むように壁内に設置されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。なお、同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配線ボックスBは、第四実施形態と同様に、筒状の周壁1と、前記周壁1と別体の板状に形成された金属製の底壁2とが、互いに組み付けられて開口を有する有底箱状を構成する。そして前記底壁2には、支持部材Sを取り付けるための取付部41を有した切起部4が四箇所に設けられている。また、底壁2の組み付けられる側の周壁端には、底壁2が組み付けられた状態で底壁内面に沿うように折り曲げられた閉鎖片5が、相対向して一対設けられている。
より詳細には、前記四箇所の切起部4はそれぞれ同一の形態となっており、各切起部は、底壁2から立ち上がるとともに屈曲させられており、底壁外面から離れた位置に底壁外面と平行となるように取付部41が配置されている。この実施形態において想定している支持部材Sは、第四実施形態のバー材とは異なり、図35に示すように板状のものである。この支持部材S(S2)は、壁内の柱や桟等にビスや釘等で固着される固着板部S2aと、前記固着板部S2aから垂直に延設されて前記金属製配線ボックスBを支持する枠状の支持板部S2bと、からなる。前記固着板部S2aには、固着するためのビスや釘等が挿通される固着孔S2cが複数形成されている。また、前記支持板部S2bは、金属製配線ボックスBを支持した状態で、柱に固着した固着板部S2aに対して垂直を保つ強度を有している。そして、前記取付部41の前記底壁外面から離れた距離は、前記支持板部S2bの厚み程度に設定されており、前記支持板部S2bを底壁外面に沿わせて移動させることで、底壁外面と取付部41との間に配置することができる。
そして、前記切起部4を形成することにより生じた内外の連通箇所は、前記閉鎖片5により閉鎖されている。この閉鎖片5は、四箇所の切起部4のうち二箇所を各閉鎖片が閉鎖するように構成されている。なお、前記支持部材S(S2)を取付部41に取付けるには、図36に示すように、前記取付部41にビスQをねじ込むことでビスQの先端を前記支持板部S2bに圧接させる。また、図示においては、底壁を組付けるビスPが支持板部S2bの取付けに干渉するため、予め底壁2に支持部材S2bを取付けてから周壁1と底壁2とを組付ける。ただし、干渉しないように支持板部S2bにビスPの逃がし箇所を設けたり、枠状の支持板部S2bの固着板部S2aと反対側の連結箇所を省略して、取り付け順を問わないようにしても良い。
(第五実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第五実施形態について、図37〜図38に基いて説明する。図中符号Aは、金属製配設物であり、金属製配線ボックスBと、当該金属製配線ボックスBに組み付けられる金属製カバーCとを備え、例えば、互いに組み付けられて、コンクリート壁内に埋設されるとともに、スイッチやコンセント等を金属製カバーに固定してスイッチやコンセント等を壁に設置するものである。なお、上記第一実施形態〜第四実施形態と同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配設物Aは、一方に開口3を有する有底箱状に形成され、筒状の周壁1と、前記開口3と対向する底壁2と、を備えた金属製配線ボックスBと、前記周壁1の一方に組み付けられて、前記開口3の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ部92を備えた金属製カバーCとを備えている。前記金属製配線ボックスBは、前記周壁1及び底壁2に、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成され、除去することにより金属製配線ボックス内へとケーブルや電線を導入可能となる導入口Nが複数配置されている。前記導入口から導入されたケーブルは、スイッチやコンセント等の配線器具に接続される。
具体的には、前記金属製配線ボックスBは、四角板状の底壁2と、底壁2から立設する四角筒状の周壁1とからなり、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角有底箱状の金属製配線ボックスであり、底壁2と周壁1とに囲まれた内側には、配線器具やケーブルの結線部等を収容する内部空間が形成され、該内部空間を外方に臨ませる開口3が前記底壁2と対向して設けられている。
対向する周壁(1aと1c、または、1bと1d)のうち、一方対(1bと1d)の開口端における周壁内部側には、金属製カバーCの取付片11がそれぞれ対向する周壁に向けて折り曲げられている。前記取付片11は、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している。また、前記取付片11を有する一方対の周壁(1bと1d)の内側には、それぞれ金属製配線ボックス内を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、開口端から内側に折り曲げられさらにその先端を底壁に向けて折り返された一対の保持片からなる。この保持片間は仕切板の板厚と略同一に形成されており、前記金属製カバーCを組付けていない状態で、仕切板を開口3から一対の保持片間に差し入れることで、あたかも底壁2から立設しているように、周壁1の一方対にそれぞれ設けられた両仕切板保持部12に両端が保持されて、ボックス内部を仕切る(図示した金属製配線ボックスにおいては、その内部を2分する)ことができる。この仕切板保持部12の各保持片も、前記取付片11と同様に、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している。
そして、対向する周壁のうち他方対(前記取付片および仕切板保持部が設けられていない側)の周壁(1aと1c)には、前記導入口Nと開口端との間に、周壁外部へ向けて切り起こされた切起部4が設けられ、前記切起部4には、前記金属製配設物A(金属製配線ボックスBと当該金属製配線ボックスBに組付けた金属製カバーCとから成る金属製配設物A)を支持する支持部材Sを取り付けるための取付部41が設けられている。この切起部4は、前記他方対の周壁にそれぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。(換言すると、四角筒状の周壁の相対向する2つの壁に、それぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。)これらの切起部(4a、4b、4c、4d)は、2箇所を1組として支持部材を取り付けるために使用し、前記他方対の周壁(1a、及び、1c)にそれぞれ設けられた計2組の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)により2つの支持部材Sがそれぞれ各壁に取り付けられるようになっている。
より詳細には、前記切起部4は切り起こされた周壁1の開口端近傍に、両端が周壁1と連結された状態でその中央部が周壁外方に膨出するようにして、周壁1の一部を帯状に切り起こして形成されている。そして、切り起こされた内面と(切起部の両脇の)周壁外面との間に前記支持部材が挿通される貫通孔42を形成し、前記支持部材Sを取付可能な取付部41を構成している。なお、ここで利用する支持部材Sは第一実施形態と同様に、金属製円柱状のバー材S1(図11参照)からなり、より詳細には、軸方向の一部に、押し潰されて外方へと膨出する膨出部S1aが設けられている。当該バー材S1は、手により三次元方向に折り曲げ自在であるとともに所定の突っ張り強度を有している。
そして、前記他方対の周壁(1a、及び、1c)にそれぞれ設けられた各2箇所の切起部(4aと4b、及び、4cと4d)(換言すると、四角筒状の周壁の相対向する2つの壁のそれぞれの壁に設けられた2箇所の切起部)は、直線状に形成された一本のバー材S1を直線的に移動させることで各貫通孔42に挿通可能となるよう、各切起部(4aと4b、及び、4cと4d)がそれぞれ形成する貫通孔42の各軸心が同一軸線上に位置している。これにより、一方の切起部(4a、または、4d)が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、切起部内面や周壁外面に当該バー材の外面を当接させながら、他方の切起部(4b、または、4c)が形成す貫通孔42へと一直線に向かうことができ、一端を貫通孔42に挿通させて、同挿通方向へと直線状にバー材S1を移動させることで前記切起部内面および周壁外面によって案内されながら、スムーズに他方の貫通孔を通過させることができる。また、各切起部4が形成する貫通孔42に挿通されたバー材の軸心は、切起部4の形成された周壁(1aや1c)の外面と平行となるとともに、切起部4の形成された周壁の開口端と平行となるように形成されている。
前記各組の切起部(同一壁面に設けられた2箇所に切起部)のうち片側の切起部(1a、及び、1d)の貫通孔42は、他側の切起部と反対側(バー材の挿通元側)に、前記バー材の膨出部S1aが入り込むための、広がった受口43が形成され、該受口43から他側の切起部に向けて徐々に先細りとなり、最終的には、バー材S1の軸のみが通過可能な大きさにまで狭まっている。そのため入り込んだ前記膨出部S1aがその受口内面に当接して、それ以上のバー材S1の軸方向の移動を規制し、さらに、受口内面と膨出部S1aの当接により、貫通孔42に対するバー材S1の周方向の回転が防止できるようになっている。なお、本実施形態においては、他側の切起部(4bや4c)の貫通孔42は、前記片側の切起部(4aや4d)に形成されたような受口43は形成しておらず、単にバー材S1の軸のみが通過可能な大きさの貫通孔42を形成している。なお、前記受口43は、前記膨出部S1aの全体が入り込み可能な大きさに形成されている。
続いて、前記金属製配線ボックスBに組み付けられて前記金属製配設物Aを構成する金属製カバーCについて説明する。前記金属製カバーCは、1枚の金属板をプレス成形して形成された四角板状に構成されている。より詳細には、四角板状の基部90と、その中央に基部90を貫通する窓部91が設けられ、同窓部91は、前記基部90から立ち上がる立上壁93により囲まれている。前記立上壁93の先端側には互いに向かい合うようにして窓部内方へと折り曲げられた、スイッチやコンセント等の配線器具を取り付けるための器具取付枠を固定可能な器具固定部94が、相対向して一対設けられている。さらに、基部90には、前記金属製配線ボックスBの開口3に宛がって組付ける際に、前記取付片11と対応した位置に貫通した固定孔97が設けられている(この実施形態においては2箇所)。そして、前記基部90の四辺を形成する外縁からそれぞれ、延出され折り返された、前記金属製配線ボックスの開口端に当接する当接部98が形成されている。さらに、前記当設部98の対向する2箇所からは、裏面へと折り曲げられた閉鎖片5が延出している。
そして、前記金属製配線ボックスBの開口3に前記金属製カバーCを宛がい、固定孔97からビスを前記取付片11にねじ込むことで、組付けることができる。この際、前記当接部98が前記開口端の全体にわたって当接するように設けられている。さらに、組付けた状態においては、前記基部90が前記開口3を塞ぐ塞ぎ部92を成し、前記窓部91は、前記基部90により塞がれていない開口を部分的に露出させ、前記金属製配線ボックス内部を外方に臨ませている。
さらに、前記周壁1に設けられた4箇所の切起部4は、周壁1から切り起こしたことにより周壁外部と内部との連通箇所を生じさせている。これら連通箇所を閉鎖すべく、前記閉鎖片5が前記各切起部の設けられた箇所と対応するように設けられている。この閉鎖片5は、前記組み付けられた状態で、周壁内面に沿うように、前記外縁から折り曲げられ、それぞれ切起部に対応して、切起部4と同数設けられている。具体的には、4箇所の切起部4に対応して、4つの閉鎖片5が設けられている。そして、閉鎖片5の先端までの長さは、前記切起部4により生じた連通箇所を越えてさらに前記金属製配線ボックスBの底壁側まで延びる長さに形成されているとともに、前記切起部4が生じさせた連通箇所の全体を閉鎖する大きさに形成されている。
次に、以上の構成からなる金属製配設物Aの作用効果について説明する。この金属製配設物Aによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部41を設けるにあたって、前記周壁1の一部を外部に切り起こしたことにより生じた、金属製配線ボックスBの内部と外部との連通箇所が金属製カバーCに設けられた閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、周壁内部を支持部材S(バー材S1)が通過することなく周壁外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)の径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、開口近傍に切起部4を設けたことで、周壁1の内外を連通する箇所が開口近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が周壁1と連結された状態で中央部が周壁外方に突出するように周壁1を切り起こして形成しているため、両端が周壁1と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、金属製カバーCに設けられた前記当接部98が、金属製配線ボックスBの周壁端の全体にわたって当接するように設けられているため、金属製配線ボックスBと金属製カバーCとの間に隙間が形成されず、コンクリート埋設した際にも、内部へのコンクリートの侵入を防止できる。
また、周壁1に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置で取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口上を横切ることがなく、導入口Nの実質的な開口面積を狭めたり、導入口Nそのものが使用できなくなることがない。
また、金属製配線ボックスBに前記取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)を金属製配線ボックスBに取付けて支持させた状態で、前記金属製カバーCを組付けることもできる。この場合でも、最終的に組み付けられる金属製カバーCによって、前記取付部41の形成により生じた連通箇所を閉塞することができる。
(第六実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第六実施形態について図39に基いて説明する。図中符号Aは、金属製配設物であり、金属製配線ボックスBと、当該金属製配線ボックスBに組み付けられる金属製カバーCとを備え、例えば、互いに組み付けられて、コンクリート壁内に埋設されるとともに、スイッチやコンセント等を金属製カバーに固定してスイッチやコンセント等を壁に設置するものである。なお、第五実施形態と同一または相当の構成については同一の符合とし、その説明は省略する。
この金属製配設物Aは、一方に開口3を有する有底箱状に形成され、筒状の周壁1と、前記開口3と対向する底壁2と、を備えた金属製配線ボックスBと、前記周壁1の一方に組み付けられて、前記開口3の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ部92を備えた金属製カバーCとを備えている。前記金属製配線ボックスBは、前記周壁1及び底壁2に、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成され、除去することにより金属製配線ボックス内へとケーブルや電線を導入可能となる導入口Nが複数配置されている。前記導入口Nから導入されたケーブルは、スイッチやコンセント等の配線器具に接続される。
具体的には、前記金属製配線ボックスBは、四角板状の底壁2と、底壁2から立設する四角筒状の周壁1とからなり、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角有底箱状の金属製配線ボックスであり、底壁2と周壁1とに囲まれた内側には、配線器具やケーブルの結線部等を収容する内部空間が形成され、該内部空間を外方に臨ませる開口3が前記底壁2と対向して設けられている。
対向する周壁(1aと1c、及び、1bと1d)のうち、一方対(1aと1c)の開口端における周壁内部側には、金属製カバーCの取付片11がそれぞれ対向する周壁に向けて折り曲げられている。前記取付片11は、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している。また、前記取付片11を有する一方対の周壁(1aと1c)に対して他方対の周壁(1bと1d)の内側には、それぞれ金属製配線ボックス内を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、開口端から内側に折り曲げられさらにその先端を底壁に向けて折り返された一対の保持片からなる。この保持片間は仕切板の板厚と略同一に形成されており、前記金属製カバーCを組付けていない状態で、仕切板を開口3から一対の保持片間に差し入れることで、あたかも底壁2から立設しているように、周壁1の一方対にそれぞれ設けられた両仕切板保持部12に両端が保持されて、ボックス内部を仕切る(図示した金属製配線ボックスにおいては、その内部を2分する)ことができる。この仕切板保持部12の各保持片も、前記取付片と同様に、その開口方向側となる外面が、開口方向側へと突出することなく開口端面と略同一面上に位置している。
さらに、対向する周壁のうち他方対(前記取付片設けられていない側であって仕切板保持部が設けられている側)の周壁(1bと1d)には、それぞれ2箇所、計4箇所に内部側へと延出する閉鎖片5が設けられている。この閉鎖片5は、後述する金属製カバーCに生じる連通箇所を閉鎖する為のものである。
続いて、前記金属製配線ボックスBに組み付けられる金属製カバーCについて説明する。前記金属製カバーCは、1枚の金属板をプレス成形して形成された四角板状に構成されている。より詳細には、四角板状の基部90と、その中央に基部90を貫通する窓部91が設けられ、同窓部91は、前記基部90から立ち上がる立上壁93により囲まれている。前記立上壁93の先端側には互いに向かい合うようにして窓部内方へと折り曲げられた、スイッチやコンセント等の配線器具を取り付けるための器具取付枠を固定可能な器具固定部94が、相対向して一対設けられている。さらに、基部90には、前記金属製配線ボックスの開口に宛がって組付ける際に、前記取付片11と対応した位置に貫通した固定孔97が設けられている(この実施形態においては2箇所)。
そして、前記金属製配線ボックスBの開口に前記金属製カバーCを宛がい、固定孔97からビスを前記取付片11にねじ込むことで、組み付けることができる。この際、基部90の裏面側(前記立上壁の立ち上り側と反対側の面)が前記開口端の全体にわたって当接するように設けられている。さらに、組み付けた状態においては、前記基部90が前記開口3を塞ぐ塞ぎ部92を成し、前記窓部91は、前記金属製配線ボックス内部を外方に臨ませている。
前記金属製カバーCの前記塞ぎ部90には、組み付けられた状態において外部へ向けて切り起こされた切起部4が設けられ、前記切起部4には、前記金属製配設物A(金属製配線ボックスBと当該金属製配線ボックスBに組付けた金属製カバーCとから成る金属製配設物A)を支持する支持部材Sを取り付けるための取付部41が設けられている。この切起部4は、前記窓部91を挟むようにそれぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。(換言すると、四角筒状の周壁の相対向する2つの壁に、それぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。)これらの切起部4は、2箇所を1組として支持部材を取り付けるために使用し、それぞれ設けられた計2組の切起部により2つの支持部材Sがそれぞれ前記塞ぎ部92の表面に沿って取り付けられるようになっている。
より詳細には、前記切起部4は、両端が塞ぎ部92と連結された状態でその中央部が塞ぎ部外方に膨出するようにして、塞ぎ部92の一部を帯状に切り起こして形成されている。そして、切り起こされた内面と(切起部の両脇の)塞ぎ部外面との間に前記支持部材Sが挿通される貫通孔42を形成し、前記支持部材Sを取付可能な取付部41を構成している。なお、ここで利用する支持部材Sは第一実施形態と同様に、金属製円柱状のバー材S1を想定している。また、切起部4の外方に膨出している側は、前記立上壁93の先端よりも下がった位置(立上壁の先端よりも基部側)に設定されている。
そして、前記金属製カバーCを前記金属製配線ボックスBに組み付けた状態で、前記切起部4を形成することにより生じた塞ぎ部内外の連通箇所が、前記金属製配線ボックスBに設けられた閉鎖片5により閉鎖されている。前記閉鎖片5は、前記連通箇所に対応した位置(切起部の形成箇所に対応した位置)に設けられ、組み付けた状態で各閉鎖片がそれぞれ前記連通箇所を閉鎖している。
前記金属製配線ボックスBと前記金属製カバーCとが組み付けられた金属製配設物Aは、前記支持部材Sを取り付けられる取付部41が塞ぎ部92を切り起こすことにより形成されているが、その切り起こしにより生じた連通箇所は前記閉鎖片5により内外に連通することなく閉鎖された状態となっている。そして、前記取付部41に前記支持部材Sを挿通し、当該支持部材Sを、コンクリート壁内に埋設される鉄筋等に固定することで、支持部材により前記金属製配設物Aが支持される。
この第六実施形態の金属製配設物Aによると、支持部材S(バー材S1)を取り付けるための取付部41を設けるにあたって、前記塞ぎ部92の一部を外部に切り起こしたことにより生じた内外の連通箇所が、金属製配線ボックスBに設けられた閉鎖片5により閉鎖されているため、支持部材Sを切起部4の取付部41に取付けた後に、前記連通箇所を養生する必要がない。また、ボックス内部を支持部材S(バー材S1)が通過することなくボックス外部に取り付けられるため、内部のスペースを狭めることがない。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材S(バー材S1)の径方向の力に対して、取付部41から径方向に抜け出ることなく、安定した取り付けが可能となる。
また、図に示すように組み付けられる金属製配線ボックスBの周壁端近傍に切起部4を設けたことで、塞ぎ部92の内外を連通する箇所が周壁端近傍となり、当該連通する箇所を閉鎖する閉鎖片5の長さを短いものとすることができて、材料の節約となる。
また、前記取付部41は、前記切起部4を両端が塞ぎ部92と連結された状態で中央部が塞ぎ部外方に突出するように塞ぎ部92を切り起こして形成しているため、両端が塞ぎ部92と連続した状態に切り起こすのみで、支持部材Sを挿通可能な貫通孔42が簡単に形成でき、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取り付けが可能となる。
また、金属製配線ボックスBの周壁に設けられたケーブルや電線の導入口Nと干渉しない位置であるとともに、前記金属製カバーCの窓部91とも干渉しない位置で取り付けられるように取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)が導入口や窓部上を横切ることがなく、導入口Nや窓部91の実質的な開口面積を狭めたり、導入口Nや窓部91そのものが使用できなくなることがない。
また、金属製カバーCに前記取付部41が設けられているため、支持部材S(バー材S1)を金属製カバーCに取付けて支持させた状態で、前記金属製配線ボックスBと組付けることもできる。この場合でも、最終的に組み付けられる金属製配線ボックスBによって、前記取付部41の形成により生じた連通箇所を閉塞することができる。
(第七実施形態)
続いて、本発明の第七実施形態について図40〜図43に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであり、例えば、開口を壁表側に臨むようにコンクリート壁内に埋設されて、壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。
この金属製配線ボックスBは、多角筒状の周壁1と、該周壁の一方に周壁1に囲まれた開口3と、該開口3と対向して周壁1の他方側を閉塞する底壁2と、を備えた有底箱状に形成されている。そして、前記周壁1及び底壁2には、除去可能な蓋板N1によって塞がれた状態に形成され、除去することにより金属製配線ボックス内へとケーブルや電線を導入可能となる導入口Nが複数配置されている。前記導入口Nから導入されたケーブルは、ボックス内部でケーブルどうしが結線されたり、内部に収容される配線器具に接続される。
具体的には、四角板状の底壁2と、底壁2から立設する四角筒状の周壁1とからなり、1枚の金属板をプレスによる絞り成形によって形成された四角有底箱状の金属製配線ボックスであり、底壁2と周壁1とに囲まれた内側には、配線器具やケーブルの結線部等を収容する内部空間が形成され、該内部空間を外方に臨ませる開口3が前記底壁2と対向して設けられている。前記底壁2には、塞がれることなく貫通した孔が5つ形成され、接地配線するためのビスが螺着されるビス孔21と、金属製配線ボックスを固定するための固定具を取り付けるための4つの固定孔22(固定具の形態にもよるが、一般的には4つのうちの2つを用いて取り付けられる)とからなる。これら5つの孔は、一般的に閉鎖テープ24(図中の一点鎖線)によりその全部が閉鎖された状態で販売されている。
対向する周壁(1aと1c、及び、1bと1d)のうち一方対の周壁(1bと1d)の開口端における内方には、ボックスカバー取付片11がそれぞれ内部空間に向けて折り曲げられている。前記取付片11は、その開口方向側となる外面が、開口端面と同一面上に位置し、開口方向側へと突出していない。さらに、前記取付片11を有する一方対の周壁(1bと1d)の内側には、内部空間を仕切る仕切板を保持する仕切板保持部12が設けられている。前記仕切板保持部12は、開口端から内側に折り曲げられさらにその先端を底壁2に向けて折り返された一対の保持片からなる。この保持片間は仕切板の板厚と略同一に形成されており、仕切板を開口から保持片間に差し入れることで、底壁2から立設するように保持されて、内部空間を仕切る(図示した金属製配線ボックスにおいては、その内部空間を2分する)ことができる。この保持片も、前記取付片11と同様に、その開口方向側となる外面が、開口端面と同一面上に位置し、開口方向側へと突出していない。
そして、前記周壁1において対向する周壁のうち他方対(前記取付片及び保持片が形成されていない側)の周壁(1aと1c)には、その開口端から周壁外方に折り曲げられた延出片6が設けられている。前記延出片6は、周壁外面に沿って周壁と重合するように先端が底壁に向いた状態で折り曲げられ、その開口方向側となる外面は、前記開口端面と同一面上に位置し、開口方向側へと突出していない。さらに、前記延出片6は、前記金属製配線ボックスBを支持する支持部材Sを取り付ける取付部41(詳細には、その外縁を残すようにして、外縁に囲まれた内側が切り起こされて形成された支持部材Sが挿通される貫通孔42)が設けられている。ここで利用する支持部材Sは、図11に示すように従来から用いられている金属製円柱状のバー材S1からなり、軸方向の一部には、押し潰されて外方へと膨出する膨出部S1aが設けられている。該バー材S1は、手により三次元方向に折り曲げ自在であるとともに所定の突っ張り強度を有している。
詳細には、前記延出片6は、基端を周壁の開口端と連結された状態で、先端側が底壁側へと向くよう、同周壁に沿うように前記基端を軸に折り曲げられており、折り曲げられた状態では、前記基端の開口方向端は、周壁1の開口端面と同一面上となるように設定されている。そして、延出片6の周壁と重合している箇所の中央部には、基端側及び先端側のみが連結された状態で、同連結箇所の間が周壁外方へ向けて、略三角形状でその頂点が弧状となるように切り起された切起部4が形成されている。これら、延出片6及び延出片に設けられた切起部4は、共に周壁の開口端面よりも開口方向側へと突出していない。
前記切起部4は、延出片6の外縁を残すようにして、外縁に囲まれた内側が切り起されており、同切り起こされた内面と、前記外縁の外面との間に、前記バー材S1が挿通可能な貫通孔42を形成している。この貫通孔42は、切り起された内面と延出片の残された外縁とにより、前記バー材S1の外面周方向の全体にわたって連続して取り囲むように形成されており、挿通されたバー材S1の径方向の移動による延出片6から(金属製配線ボックスBから)の離脱を防止している。また、周壁1からは切り起こされた箇所のみが外方に突出することとなり、延出片6ごと周壁から外方に突出させたものに比べて小さくでき、保管・梱包時にかさばることが無く、さらには、切り起こしが弧状を成すように形成されているため、手指を引っ掛けて怪我をするおそれも無い。この貫通孔42は、前記支持部材S(バー材S1)の端部から軸方向に移動させることで前記取付部41を貫くように挿通可能となっている。
そして、前記延出片6は、対向する他方対の周壁(1aと1c)にそれぞれ2箇所設けられ、同一周壁に設けられた2箇所の延出片(6aと6b、及び、6cと6d)にそれぞれ貫通孔42が設けられている。当該2箇所の貫通孔42は、直線状に形成された一本のバー材S1を貫通可能なようにその貫通軸心を同一のものとしている。さらに詳細には、各延出片6の貫通孔42に挿通されたバー材S1の軸心は、各延出片6の基端となる周壁端(開口端)の一辺に沿うとともに、延出片6が沿う周壁外面と該軸心が平行となるように設けられている。このため、一方の延出片6(例えば6a)が形成する貫通孔42に挿通されたバー材S1は、貫通孔内面や周壁外面に当該バー材外面を当接させながら、他方の延出片(例えば6b)が形成する貫通孔42へと一直線に向かうことができ、一端を貫通孔に挿通させて、同挿通方向へと直線状にバー材を移動させることで、前記周壁外面及び一方の貫通孔内面によって案内されながら、スムーズに他方の貫通孔42を通過させることができる。なお、他方の延出片まで到達したバー材の一端面が、他方の延出片6の外縁に引っ掛かった際には、同外縁を乗り越えさせることで、直ちに、他方の貫通孔42へと向かわせることができる。
また、同一周壁に設けられた2箇所の延出片のうち一方の延出片(6aと6bのうちの6a、及び、6cと6dのうちの6d)に形成された貫通孔42は、他方の延出片(6b、または、6c)と反対側(バー材の挿通元側)に、前記バー材S1に形成された膨出部S1aが入りこむための、広がった受口43が形成され、該受口43から他方の延出片に向けて徐々に先細りとなり、最終的にはバー材S1の軸のみが通過可能な大きさにまで狭まっている。そのため、入り込んだ膨出部S1aがその受口内面に当接して、それ以上のバー材の軸方向の移動が規制される。さらに、受口内面と膨出部の当接により、貫通孔42に対する支持バーの周方向の回転が防止されている。このため、前記受口内面と膨出部外面とを当接させるだけで、軸方向への移動規制と周方向の回転防止とを可能なものとしている。なお、本実施形態においては、他方の延出片(6bや6c)の貫通孔は、前記一方の貫通孔(6aや6d)に形成されたような膨出部S1aが入りこむための受口43は形成されておらず、単にバー材S1の軸のみが通過可能な大きさとなっている。
前記二箇所を1組とする各組の延出片に取り付けられた各バー材は、当該バー材が沿う周壁に設けられた前記導入口Nを横切る事が無い位置となっている。さらには、導入口Nを閉塞する蓋板N1を除去して開放した前記導入口Nに電線管を接続するための接続具を取着する際に、その取着の支障とならないよう、前記導入口Nから離れた開口端寄りに位置している。
続いて、前記貫通孔42を利用して前記金属製配線ボックスBに前記バー材S1を取付ける手順を説明する。まず、前記バー材S1の一端を一方の貫通孔(1a、又は、1d)(一方の延出片に形成された貫通孔であって、前記受口を有する側)に宛がい通過させる。続いて、そのままバー材S1を軸方向に移動させて、当該バー材の一端を他方の貫通孔(1b、又は、1c)を通過させるとともに、前記膨出部S1aを一方の貫通孔内面に当接させる。これにより、前記膨出部S1aが貫通孔内面によってバー材の軸方向の移動が規制された状態で、バー材S1が取り付けられる。なお、この状態で、図43に示すように一方の貫通孔(1a、又は、1b)と他方の貫通孔(1b、又は、1c)とからそれぞれ突出するバー材S1の各両端までの長さがそれぞれ均等となるように、前記膨出部S1aが支持バーS1の軸方向の所定位置に形成されている。
次に、以上の構成からなる金属製配線ボックスBの作用効果について説明する。この金属製配線ボックスBによると、支持部材S(バー材S1)を取付けるための取付部41は、前記金属製配線ボックスBが備える周壁1に囲まれた内部空間と外部とを連通させることがない。そのため、内部空間とは独立して周壁1の外部に取付部41を設けることができ、支持部材S(バー材S1)取付け後に、養生する等の手間が省ける。また、周壁1に囲まれた内部の収容空間内を支持部材S(バー材S1)が通過することなく、周壁の外側に支持部材(バー材)を取り付けることができ、内部空間を狭めることも無い。
また、取付部41が貫通孔42により形成されているため、支持部材S(バー材S1)を挿通するのみで、支持部材(バー材)の径方向の力に対して、支持部材Sが取付部41から径方向に抜け出ることが無く、安定した取付けが可能となる。
また、前記貫通孔42が、前記延出片6の外縁を残すようにして、外縁に囲まれた内側を切り起こすことにより形成されているため、支持部材S(バー材S1)の外面を面状に取り囲み、板状のものに単に貫通孔を設けるよりも、より安定した取付けが可能となる。
また、前記延出片6が、周壁1に沿うように折り曲げられ、前記支持部材S(バー材S1)が挿通される貫通孔42を形成する切り起された箇所のみが、当該延出片6が沿う周壁から外方に突出している。このため、周壁1から外方に突出する箇所は、切り起された箇所のみとなり、延出片6ごと周壁1から外方に突出するものに比べて小さくでき、保管・梱包時にかさばることが無い。
また、前記延出片1および延出片に設けられた取付部41が、共に周壁一端よりも開口方向側に突出することなく設けられているため、周壁一端よりも開口方向側に突出しないことで、開口端(周壁一端)をコンクリート埋設する際の型枠や、開口側に立設した壁材の開口、開口に取着される蓋部材等に、に当接させることができ、開口端(周壁一端)を前記開口と対向する面に当接させる際に、邪魔にならない。
また、開口端から折り返された延出片6に取付部41を設けることで、開口端から近い位置に支持部材S(バー材S1)を取り付ける貫通孔42が形成でき、周壁1に設けられたケーブルの導入口Nと干渉しない、導入口Nから離れた位置に延出片6及び取付部42を設けることができる。また、導入口Nに電線管接続具を取着する際にも、該取着の邪魔にならない、離れた位置に支持部材S(バー材S1)を取り付けることができる。
なお、前記第七実施形態は、以下のように変更しても良い。すなわち、前記延出片6は、周壁の2つの平面(1aと1c)に設けられているが、1つの平面のみ(例えば、1bのみ)に設けても良く、また、3つの平面(例えば、1a、1b、1cの面)であったり、周壁を構成する全ての平面(1a、1b、1c、1d)にそれぞれ設けても良い。
〇図44〜図45に示すように、前記延出片6は周壁1の外面に沿うこと無く開口面と平行に周壁1から外方に向けて延出するように折り曲げられていても良い。この時、前記取付部41は、前記周壁1の開口方向と反対側(底壁側)に向けて膨出するように切り起こされて形成されている。この場合であっても、前記延出片6の開口方向側の面は前記開口端よりも開口方向に突出しておらず、また、取付部41も突出していない。なお、この例においては、四箇所の取付部41が全て同一の形態を成しており、前記第七実施形態のように、支持部材S(バー材S1)に形成された膨出部S1aが入り込む受口43は形成されていない。しかし、延出片6の底壁側の面と膨出部S1aが当接し支持部材S(バー材S1)の周方向の回転は防止されるとともに、切り起こした貫通孔縁と当接してそれ以上の軸方向の移動は規制されている。(なお、この例においては、延出片6は開口面と平行としているが、開口端よりも開口方向に突出しない側へと、開口面に対して傾斜していても良い。)
〇前記貫通孔42は、支持部材Sの外周方向に沿って間断なく包囲していなくとも、図46〜図48に示すように、前記外周方向の一部が途切れていても良い。具体的には、前記延出片6が周壁端から周壁外面と離間した状態で周壁1の外面に沿って折り曲げられており、その延出片6から周壁1に向けて切り起こされた補助片を備えている。そして、前記延出片6と前記切り起こされた補助片61によって、前記支持部材S(バー材S1)を挿通可能な貫通孔42を形成している。なお、この例においては、四角筒状の周壁1を構成する4つの周壁(1a、1b、1c、1d)のそれぞれに前記延出片6が2つづつ、計8つ設けられている。また、支持部材S(バー材S1)に形成された膨出部S1aが、延出片や周壁外面に当接して支持部材(バー材)の周方向の回転が規制されている。
〇前記延出片6および貫通孔42は、図49〜図51のような構成としても良い。すわなち、周壁1の開口端から外部へ周壁1から立設するように折り曲げられるとともに、その両脇が、底壁側に向けて折り曲げられた略コ字状の延出片6としても良い。そして、底壁側に向けて折り曲げられた箇所に貫通孔42を形成している。この貫通孔42は、外側(支持部材の端部が先に挿入される側)を前記支持部材S(バー材S1)に設けられた膨出部S1aを受け入れる形状をしており、また、内側(支持部材の端部が次いで挿入される側)は、支持部材S(バー材S1)の軸と略同一径の形状をしている。そのため、膨出部S1aが前記外側の貫通孔42に入り込むことを許容するとともに、それ以上の軸方向の移動は規制されている。なお、延出片6に貫通孔42を設けるにあたって図52に示すように単なる貫通孔42のみで構成しても良い。この例においては、延出片6の基端となる周壁の面と異なる面に沿って支持部材が取り付けられる。
(第八実施形態)
続いて、本発明の参考例を示す第八実施形態について図53〜図55に基いて説明する。図中符号Bは、金属製配線ボックスであって、例えば、コンクリート壁内に埋設されたり、中空壁内に隠蔽されて、他方の開口を壁表壁に臨ませられ、同壁に設置するスイッチやコンセント等が内部に収容されるものである。なお、他の実施形態と同一または相当の構成については同一の符号とし、その説明を省略する。
この金属製配線ボックスBは、一方に開口3を有する多角筒状の周壁1と、前記周壁1と別体の金属製板状に形成されて周壁1の他方に組み付けられた底壁2と、を備えた多角有底箱状に形成されている。前記周壁1には、周壁1を構成する少なくとも1の平面の開口端から延出され周壁外面に沿って底壁2へ向けて折り曲げられた周壁延出片7が設けられている。具体的には、この実施形態においては、四角筒状の周壁1のうち相対向する2つの平面の開口端からそれぞれ底壁側(周壁の開口端と反対側端)へ向けて折り曲げられた周壁延出片7が設けられている。そして、前記周壁延出片7は、前記開口端よりも開口方向に突出することなく設けられている。
また、前記底壁2には、前記周壁延出片7と対向して、外縁から延出されて、前記周壁延出片7が沿う周壁外面に沿って開口3へ向けて折り曲げられた底壁延出片8が設けられている。具体的には、前記周壁の他方にビスPによって組み付けられる四角板状の底壁2であり、組み付けられた状態で、前記周壁延出片7と対応する縁部から、周壁外面に沿って開口側へ向かって折り曲げられた底壁延出片8が設けられている。
そして、本実施形態において前記金属製配線ボックスBを支持するための支持部材Sは、図55に示すように、構造物に固定される固定部S3aと、前記固定部S3aから延出され前記金属製配線ボックスBに取り付けられて当該金属製配線ボックスBを支持する板状の支持部S3bと、を備えたものであり、前記構造物に固定される固定部S3aには、中空壁内に設置されている柱にビスや釘等で固定するための固着孔S3cが複数設けられ、前記支持部S3bは、前記固定部S3aから離れるように同一幅が連続して延びる板状に形成されたものを想定している。
そして、前記支持部S3bを両延出片間(前記周壁延出片7および底壁延出片8との間)に差し入れることで、前記両延出片(7、8)が協働して前記支持部S3bをその両脇から抱え込むようにして前記支持部材S3が取り付けられる。具体的には、前記各延出片(7、8)は、その延出片(7、8)が沿う周壁外面と離れており、その間に前記支持部材S3を両延出片(7、8)が沿う周壁外面に沿って取り付けるための取付部41を協働して形成している。(換言すると、前記周壁延出片7および底壁延出片8は、自身が沿う周壁外面に対して離間しており、支持部材S3を周壁1との間に挿入可能となっている。)なお、前記両延出片(7、8)が設けられた周壁には、ケーブル等を内部に導入可能な導入口Nが設けられているが、この支持部材S3を利用して支持させる際には、当該導入口Nは使用できない。(導入口を使用しない箇所の面に支持部材を取付けて支持させるか、若しくは、導入口と干渉している支持部S3bに、導入口を臨ませる貫通孔を設けておけば導入口を使用することができる。)
次に、以上の構成からなる金属製配線ボックスBの作用効果について説明する。この金属製配線ボックスBによると、支持部材Sを取付けるための取付部41を設けるにあたって、前記金属製配線ボックスBが備える周壁1に囲まれた内部空間と外部とを連通させることがない。そのため、内部空間とは独立して周壁1の外部に取付部41を設けることができ、支持部材取付け後に、養生する等の手間が省ける。また、周壁1に囲まれた内部の収容空間内を支持部材Sが通過することなく、周壁1の外側に支持部材Sを取り付けることができ、内部空間を狭めることも無い。
また、前記両延出片(7、8)が、周壁1に沿うように折り曲げられている。このため、周壁1から外方に突出する箇所は小さく、保管・梱包時にかさばることが無い。
また、前記周壁延出片7が、周壁一端よりも開口方向側に突出しないことで、開口端(周壁一端)をコンクリート埋設する際の型枠や、開口側に立設した壁材の開口、開口に取着される蓋部材等に、に当接させることができ、開口端(周壁一端)を前記開口と対向する面に当接させる際に、邪魔にならない。
また、取付部41を形成するにあたって、周壁1や底壁2に別途取付部を溶接する等の必要がなく、周壁や底壁を形成する過程において成形することができ、成形効率が良い。(なお、上記した他の各実施形態においても同様の効果を奏する。)
また、支持部材Sは上記した他の各実施形態と同様に、周壁1の周方向に沿った方向に沿って取付けられている。
なお、上記した各実施形態及びその変形例は、以下のように変更しても良い。
〇前記受口43を前記対を成す切起部(例えば第1実施形態においては4aと4b、及び4cと4d)の片側(例えば第1実施形態においては4aや4d)のみとせずに、他側の切起部(例えば第1実施形態においては4bや4c)にも同様に設けても良い。これによれば、どちらの切起部も支持部材S(バー材S1)の挿通元として利用できる。また、前記片側の切起部に設けられた受口43を省略し、全ての切起部を支持部材S(バー材S1)の軸のみが通過し膨出部S1aが通過しない大きさとしても良い。
〇支持部材Sとしてもバー材S1には膨出部S1aが形成されているが、膨出部S1aは省略しても良い。また、手により折り曲げ可能なバー材で説明したが、3分ボルトや鉄筋のような手により折り曲げできない直線状のバー材であっても良い。また当該バー材の断面が正円となる円柱状でなくとも、多角柱状であっても、板状であっても良い。その場合には、取付部41(および貫通孔42)はその支持部材に対応した形状に成形すれば良い。
〇各実施形態において、前記周壁1は四角筒状であったが、八角形状であったり、長四角形状であっても良い。また、周壁1の形状に合わせて変更された開口3に合わせて、前記周壁1の開口3の少なくとも一部を閉塞(少なくとも一部を臨ませる)ように固定される金属製配線ボックスカバーCや底壁2も八角形状や長四角形状に変更することが望ましい。
〇各実施形態及び変形例において、主に支持部材Sが沿う周壁1の外面と異なる面にボックスカバー取付片11や仕切り板保持部12を設けたが、それぞれ、またはいずれかを支持部材Sが沿う周壁1の内面に形成しても良い。
〇各実施形態および変形例において、ボックスカバー取付片11と仕切板保持部12は共に周壁1の同じ面でもそれぞれ別の面であっても良く、また、個数や配置は変更しても良い。
〇各実施形態において、金属製配設物Aや金属製配線ボックスBは主にコンクリート壁内に埋設される例で示したが、壁材が対向して立設され壁材間が中空となる中空壁内に隠蔽設置するものであっても良い。金属製配線ボックスBや金属配設物Aの内部空間と外部が連通する箇所を設けることなく、支持部材Sの取付部41を設けることができるため、中空壁に隠蔽設置されるものにあって、その中空壁が耐火区画壁を構成している場合に特に有効となる。つまり、壁材に形成された壁孔を通して、室内側と金属製配設物A(金属製配線ボックスB)の内部空間は連通しているものの、当該金属製配設物A(金属製配線ボックスB)の内部空間と外部とは、前記支持部材Sの取付部41を金属配設物A(金属製配線ボックスB)の内部空間と外部が連通する箇所を存在させずに設けられたため、室内側で火災が発生しても、煙や有毒ガスが、金属製配設物A(金属製配線ボックスB)から外部(中空壁内)へと漏れ出ることがない。(もちろん、取付部41を設けるためとは無関係に形成されたケーブルの導入口Nや、例えば、実施形態に示したものでは、接地配線するためのビスが螺着されるビス孔21や、固定するための固定具を取り付けるための四つの固定孔22などは、閉鎖しておく必要がある。)
〇各実施形態及び変形例において、支持部材Sの取付部41は、1の支持部材S(バー材や3分ボルト)に対して軸方向にずれた2箇所の位置が貫通孔42に挿通されるように2箇所設けられて、その間は支持部材Sが露出するように構成されているが、支持部材Sの挿通される部分は1箇所でも良く、また、2箇所の貫通孔間で支持部材Sが露出しないように同貫通孔を連続させて、支持部材Sの軸方向に沿って延びる筒状の貫通孔42としても良い。さらには、直接又は間接的に金属製配線ボックスBを2の支持部材Sによって支持させたが、支持可能であれば、1つの支持部材Sのみでも良く、また、取付部41の数を増やして、3以上の支持部材により支持させても良い。特に、四角枠状の周壁1が構成する各面の全てに支持部材の取付部41を設けると、相対向する2面の周壁にそれぞれ支持部材を取付ける際に、どちらの2面をも選択することができ、金属製配線ボックスBや金属製配設物Aの固定向きや、支持部材の設置位置に柔軟に対応することができる。この場合も、各面にそれぞれ設けられる取付部は2箇所ではなく、1箇所でも3箇所以上に変更しても構わない。
〇各実施形態の底壁2に設けられた5つの孔(21、22、23)は、ノックで塞がれていても良い。この場合には、前記閉鎖テープ24を省略することができる。また、前記5つの孔の一部または全部を省略しても良い。
〇第1実施形態、第5〜第7実施形態とその変形例は、底壁2を周壁1と一体にプレス成形したが、底壁2と周壁1を別に成形し、互いに組付けて金属製配線ボックスBを構成しても良い。
〇各実施形態において、周壁を四角筒状とし、対向する2辺に沿って並ぶように閉鎖片が配置されているが、各辺に閉鎖片をそれぞれ設けても良い。(換言すると、周壁を構成する4つの壁のうち2つの壁に閉鎖片を2つづつ設けたが、4つの壁に1つづつ設けて内外の連通箇所を塞ぐように構成しても良い。)
次に、上記各実施形態および変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)一方に開口を有する有底箱状に形成された金属製配線ボックスであって、筒状の周壁と、前記開口と対向する底壁と、を備え、前記周壁には、前記周壁の一端部から延出されて周壁内部へ向けて折り曲げられた一対の折曲片が併設され、前記一対の折曲片の間は、前記周壁内部を仕切る板状の仕切り板を保持すべく仕切り板の板厚と略同一の幅で構成され、前記折曲片は、その全体が前記周壁の一端部から外側に突出しないよう設けられていることを特徴とする金属製配線ボックス。
この技術的思想(イ)によれば、プレスによる絞り成形によって形成された金属製配線ボックスに仕切り板を保持する保持部12を設けるにあたって、仕切り板を保持する保持部を別途溶接等により固着する必要がなく、また、周壁1の一端側を金属製配線ボックスBの蓋体や建物壁、コンクリート型枠と当接させる際に干渉しない。
(ロ)一方に開口を有する有底箱状に形成され、筒状の周壁と、前記開口と対向する底壁と、を備えた金属製配線ボックスと、前記周壁の一方側に組み付けられて、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ塞ぎ部を備えた金属製カバーと、を備えた金属製配設物であって、前記金属製配線ボックスは、前記金属製カバーの係合部が係合するための、前記開口端から周壁外部に延出された突片からなる被係合部を備え、前記被係合部は、前記開口端から開口方向側へと突出することなく、周壁外部へ向けて折り曲げられており、前記金属製カバーは、外郭が前記開口よりも大きく形成された前記塞ぎ部を有する基板部を備え、前記係合部は前記基板部の外縁に設けられ、前記金属製配線ボックスに前記金属製カバーを組付けた状態で、前記基板部が前記開口端の全体に亘って当接することを特徴とする金属製配設物。
この技術的思想(ロ)によれば、プレスによる絞り成形によって形成された金属製配線ボックスBと、金属製カバーCとを互いに係合させるだけで、組付けることができる。