JP5828813B2 - コンクリート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ために製鋼スラグを細骨材として用いた場合においても、耐久性悪化を抑制することが望まれる。
養生工程では、常温常圧で、湿潤養生(湛水養生、散水養生、湿砂養生、養生マットや水密シートによる被覆・被膜養生等)を行う。
即ち、細骨材として、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.6mmのふるいを通過する水浸膨張比が1%より大きく20%以下の製鋼スラグが用いられる。なお、水浸膨張比は、JIS A 5015に規定されている水浸膨張試験に基づいて求められる(他の実施形態においても同様)。
即ち、細骨材として、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて1.2mmのふるいを通過する水浸膨張比が1%以下の製鋼スラグが用いられる。
以下の実施例及び比較例に係る供試体は、全て上述の実施形態に係る製造方法によって製造したものであり、具体的な構成は下記のとおりである。
先ず、図1〜図4を参照し、本発明の実施例1a・1b及び比較例1a〜1dに係る供試体の構成及びこれらを用いた各種試験の結果について説明する。
これは図5においても同様である。
このうちのGrain 0.6(実施例1a)は、細骨材として用いる天然骨材を、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.6mmのふるいにとどまるものとし、細骨材として用いる前記製鋼スラグを、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.3mmのふるいにとどまる水浸膨張比が1%より大きく20%以下の製鋼スラグを含むものとした、コンクリート供試体であり、上述の第1実施形態に係るコンクリートのうちのより好ましい形態に係るコンクリートに相当する。
図2に示すように、Grain n (n=5.0, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3)は全て、Plain Concreteに比べて圧縮強度が劣ることはなく、むしろPlain Concreteよりも圧縮強度が大きい。これは材齢7日、28日、及び91日のいずれにおいても言える。
図3に示すように、Grain n (n=5.0, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3)は全て、Plain Concreteに比べて、乾燥収縮ひずみが小さい。これは、水浸膨張比が比較的大きな製鋼スラグが膨張性を発揮し、乾燥収縮を抑制したものと推察される。
また、6つの供試体全てにおいて、乾燥収縮ひずみ量が材齢91日までに(材齢28日で)安定している。
Grain 0.6(実施例1a)は、Grain 0.3(実施例1b)に比べて、乾燥収縮ひずみが小さい。
図4(a),(b)に示すように、Plain Concrete及びGrain n (n=0.6, 0.3)にはポップアウトが生じず、Grain n(n=5.0, 2.5, 1.2)にはポップアウトが生じた。
この結果から、エージング処理が行われていない製鋼スラグを用いる場合、製鋼スラグの粒径が0.6mmを超えると(Grain n(n=5.0, 2.5, 1.2))、当該製鋼スラグが、コンクリートの表面を損傷させるだけの膨張性を発揮し、ポップアウト発生の要因となると推察される。
AE減水剤は、一般に、コンクリートのワ−カビリティーや耐凍害性を改善するために添加される。本実験では、フレッシュコンクリートのスランプを10cmにすることを目的として、AE減水剤を各供試体に添加した。
図4(a)に示すように、AE減水剤の添加量(フレッシュコンクリートのスランプを10cmにするための必要量)は、Grain n (n=0.6, 0.3)とPlain Concreteとで略同じである。
次いで、図5〜図8を参照し、本発明の実施例2a〜2c及び比較例2a〜2cに係る供試体の構成及びこれらを用いた各種試験の結果について説明する。
図6に示すように、Grain n (n=5.0, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3)は全て、Plain Concreteに比べて圧縮強度が劣ることはなく、むしろPlain Concreteよりも圧縮強度が大きい。これは材齢7日、28日、及び91日のいずれにおいても言える。
図7に示すように、Grain n (n=5.0, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3)は全て、Plain Concreteに比べて、乾燥収縮ひずみが若干小さい。
また、6つの供試体全てにおいて、乾燥収縮ひずみ量が材齢91日までに(材齢28日で)安定している。
図8(a),(b)に示すように、Plain Concrete及びGrain n (n=1.2, 0.6, 0.3)にはポップアウトが生じず、Grain n(n=5.0, 2.5)にはポップアウトが生じた。
この結果から、エージング処理が行われた製鋼スラグを用いる場合、製鋼スラグの粒径が1.2mmを超えると(Grain n(n=5.0, 2.5))、当該製鋼スラグが、コンクリートの表面を損傷させるだけの膨張性を発揮し、ポップアウト発生の要因となると推察される。
ポップアウトの試験結果が図1の供試体と図5の供試体とで異なった理由としては、図1の実施例1a・1b,比較例1b〜1dではエージング処理が行われていない製鋼スラグを用いたのに対し、図5の実施例2a〜2c,比較例2b〜2cではエージング処理が行われた製鋼スラグを用いたことが、1つの理由として考えられる。即ち、エージング処理によって製鋼スラグの膨張性が低減されるが、粒径が1.2mm以下の製鋼スラグは、内部にまでエージング処理効果が及び、全体として膨張性が低減される一方、粒径が1.2mmを超える製鋼スラグは、内部にまではエージング処理効果が及ばず、内部に膨張性を発揮する部分が残留するため、ポップアウト発生の要因となると推察される。
AE減水剤は、一般に、コンクリートのワ−カビリティーや耐凍害性を改善するために添加される。本実験では、フレッシュコンクリートのスランプを10cmにすることを目的として、AE減水剤を各供試体に添加した。
図8(a)に示すように、AE減水剤の添加量(フレッシュコンクリートのスランプを10cmにするための必要量)は、Grain n (n=1.2, 0.6, 0.3)とPlain Concreteとで略同じである。
製鋼スラグは、生石灰(遊離石灰)を元来含有しており、遊離石灰が水と反応して膨張し、コンクリートにひび割れを生じさせることがある。そのため、ひび割れの要因となる製鋼スラグの体積膨張を抑制すべく、製鋼スラグにエージング処理を行い、膨張性を低減した後に、コンクリートの材料として用いることが考えられる。しかし、本発明の第1実施形態に係るコンクリート(実施例1a・1b)のように、あえてエージング処理が行われていない(即ち、膨張性が低減されていない)製鋼スラグを細骨材として用いることで、エージング処理に係る作業を省略できると共に、製鋼スラグが元来有する膨張性を利用して乾燥収縮ひずみを抑制することができる。
前記したように、各骨材、セメント、水の割合(配合)は原則、任意でよいが、製鋼スラグの配合量とセメント(ポルトランドセメント)の配合量との間には、好適な関係がある。すなわち、製鋼スラグの配合量の上限値(単位:質量)は、ポルトランドセメントの配合量(単位:質量)とされることが好ましい。以下、説明する。
細骨材として天然骨材及び製鋼スラグを用いた各コンクリート供試体は、すべて、水浸膨張比が1%より大きく20%以下の製鋼スラグを用いたものである。
Claims (2)
- 天然骨材及びコンクリート廃材から取り出した骨材の少なくとも一方からなる粗骨材、天然骨材及びコンクリート廃材から取り出した骨材の少なくとも一方からなる細骨材、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.6mmのふるいを通過する水浸膨張比が1%より大きく20%以下であってエージング処理が行われていない製鋼スラグからなる細骨材、ポルトランドセメント、及び水を混合する混合工程と、
前記混合工程の後、常温常圧で湿潤養生を行う養生工程と、を備え、
前記天然骨材及び前記コンクリート廃材から取り出した骨材の少なくとも一方からなる細骨材は、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.6mmのふるいにとどまる天然骨材からなり、
前記製鋼スラグからなる細骨材は、JIS A 1102に準拠したふるい分けにおいて0.3mmのふるいにとどまり且つ粒径が0.6mm以下であるとともに、水浸膨張比が1%より大きく20%以下の製鋼スラグを含むことを特徴とする、コンクリートの製造方法。 - 前記混合工程において、前記製鋼スラグの配合量の上限値(単位:質量)を、ポルトランドセメントの配合量(単位:質量)とすることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートの製造方法。
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