JP4141976B2 - 高強度遠心力成型製品の製造方法およびその高強度遠心力成型製品 - Google Patents
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Description
しかしながら、より高強度を得るために水結合材比を小さくすると、振動成型した供試体では設計基準強度で100N/mm2以上の強度は容易に得られるが、遠心力成型すると、水結合材比を小さくすればするほど脱水性が悪くなると同時に、遠心力による骨材の分離があるために、設計基準強度で100N/mm2以上の強度を有する高強度遠心力成型製品の実用化は困難であるという課題がある。
しかしながらこの方法では、早強ポルトランドセメントや超早強ポルトランドセメントは粉末度が大きいため保水性が高く、遠心力成型による脱水性が悪くなるだけでなく、内面には締まらない軟らかいペースト層が残るために、ペースト層が厚くなるほど遠心力成型体としての強度は低くなる。
また、早強ポルトランドセメントなどの水硬性の高いセメントは、初期強度は高くなるが、その後の強度の伸びが停滞し、その遠心力成型体では設計基準強度100N/mm2以上の高強度は得られ難いという課題がある。
本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
結合材の単位量は、450〜650kg/m3であり、470〜600kg/m3が好ましい。450kg/m3未満では高性能減水剤を最大限使用しても、設計基準強度で100N/mm2以上の高強度遠心力成型製品は得難い場合があり、650kg/m3を超えると強度は頭打ちとなり、経済的にも好ましくない場合がある。
スラグ粉の粉末度は、大きいほど潜在水硬性は高くなるため、強度的には好ましいが、通常、高炉セメントに使用されているブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で4,000〜4,500cm2/g程度のスラグ粉の使用が可能である。
スラグ粉の使用量は、結合材100部中、10〜40部であり、15〜35部が好ましく、20〜30部がより好ましい。
スラグ粉は、遠心力成型時の脱水性を高め遠心力成型体の強度を高めると共に、同一スランプを得るための高性能減水剤量を少なくする効果を有するが、スラグ粉が10部未満では、脱水性等の遠心力成型性が悪くなり、遠心力成型体の強度発現の改善効果も小さくなる場合があり、40部を超えると、結合材全体の水硬性が低下して、遠心力成型体の強度発現の改善効果も小さくなる場合がある。
また、高性能減水剤は、減水効果の他に遠心力成型性向上の効果も有し、通常の使用量の上限を超えて使用して、減水効果が頭打ちとなっても、遠心力成型性は向上する。
そして、高性能減水剤は、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、及びメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系のいずれかを主成分とするものであるが、本発明では、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系や芳香族アミノスルホン酸塩系の高性能減水剤の一種又は二種以上が使用可能であり、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系の高性能減水剤は、遠心力成型性が悪く、高強度遠心力成型製品の製造には適さないものである。
ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物等があり、その市販品としては、電気化学工業(株)社製商品名「FT-500」又はそのシリーズ、花王(株)社商品名「マイティ-100」(粉末)や「マイティ-150」又はそのシリーズ、第一工業製薬(株)社商品名「セルフロー110P」(粉末)、竹本油脂(株)社商品名「ポールファイン510N」など、並びに、日本製紙(株)社商品名「サンフローPS」又はそのシリーズなどが代表的である。
芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、藤沢薬品(株)社商品名「パリックFP200H」又はそのシリーズがある。
高性能減水剤の使用量は、結合材100部に対して、有効成分で0.6〜2.0部が好ましい。0.6部未満では減水率が小さく、2.0部を超えて使用しても減水率が頭打ちとなり、かつ、遠心力成型性の向上作用も頭打ちとなるため経済的にも好ましくない。
石膏は、二水石膏、半水石膏、II型の無水石膏、及びIII型無水石膏があるが、特に、II型の無水石膏はより高強度を発現することから、本発明で使用する。
II型の無水石膏は、天然産無水石膏、フッ酸発生時に副生するフッ酸石膏、及び他の形態の石膏を350℃以上の温度で熱処理したものが使用される。
II型の無水石膏(以下、石膏類という)の粉末度はセメントと同等以上であれば特に限定されるものではない。
石膏類の使用量は、結合材100部に対して、CaSO4換算で15部以下が好ましく、10部以下がより好ましく、1.5〜6部が最も好ましい。15超えて配合しても水結合材比が小さくなるほど未反応で残るようになるため遠心力成型体の強度は頭打ちとなる。また、1.5部未満では遠心力成型体の強度の増加は小さいため好ましくない。
SFの使用量は、結合材100部に対して、15部以下であり、12部以下が好ましく、2〜10部がより好ましい。15部を超えて配合しても、遠心力成型性は悪くなるため遠心力成型体の強度も頭打ちとなるため好ましくない。また、2部未満では遠心力成型体の強度の増加は小さいため好ましくない。
また、石膏類とSFを併用して配合する場合は、石膏類とSFの合計で30部以下であるが、それぞれの好ましい量やより好ましい量の合計量でよく、両成分を併用添加するほうが効率よく高強度遠心力成型製品が製造できる。
加熱方法としては、通常の蒸気養生方法や、熱したオイルを配管に循環させて行う方法その他があるが、遠心力成型体両端の解放部を密閉しない場合は、蒸気養生を行う方法が好ましい。
養生温度が低い場合は時間を長くし、養生温度が高い場合は時間を短くすることができ、40〜50℃の養生温度で8〜10時間保持することが好ましく、60〜100℃の養生温度で4〜6時間保持することがより好ましく、70〜85℃の養生温度で5時間保持することが最も好ましい。そして、養生後は養生槽の中で翌日までゆっくり自然冷却する。
なお、100℃を超える高温高圧養生では、スラグ粉を配合するとアルミナ分が多くなり、その分、結晶形が立方体で、結合力が弱いハイドロガーネットを多く生成するようになり、遠心力成型体の強度が低下するため好ましくない。
その後は養生槽の中で翌日までゆっくり自然冷却するか、養生槽に保温性の良い蓋を乗せて40℃程度の温度で1晩養生することが好ましい。
調製したコンクリートを、外径20cm×長さ30cmの円筒型枠に17.5kg詰め、初速1.5G×2分、低速3G×5分、中速I 8G×1分、中速II 15G×2分、及び高速35G×3分の条件で遠心力成型した。
遠心力成型した供試体は、遠心力成型後、4時間前養生してから、20〜80℃まで3時間で上げて、そのまま5時間保持してから蒸気を止め、養生槽の中でそのままゆっくり冷却し、翌日、脱型後、室内で気乾養生した。
遠心力成型後の遠心力成型供試体ののろ量を測定し、遠心力成型供試体の締まりを観察すると共に、圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
なお、コンクリートの練り混ぜは、結合材、細骨材、及び粗骨材を30秒間空練りした後、水に高性能減水剤を溶解した練り混ぜ水を添加して3分間二軸ミキサで練り混ぜた。
早強ポセ類:電気化学工業(株)社製、早強ポセ、密度3.12g/cm3
スラグ粉 :高炉スラグ粉末、粉砕品、ブレーン値4,500cm2/g、密度2.90g/cm3
普通ポセ :電気化学工業(株)社製、普通ポセ、密度3.16g/cm3
高炉セメント:電気化学工業(株)社製、密度3.03g/cm3、スラグ粉の含有率43%
石膏類 :不溶性無水石膏、天然産、ブレーン値5,000cm2/g、密度2.85g/cm3
SF :エルケム社製シリカフューム、密度2.44g/cm3
高性能減水剤:ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、市販品、粉末
細骨材 :砂、新潟県姫川産川砂、5mm下、密度2.62g/cm3
粗骨材 :砕石、新潟県姫川産砕石、5〜13mm、密度2.64g/cm3
のろ :ノロ発生量、cc/遠心力成型供試体1個分
締まり :遠心力成型供試体の内面状態の遠心力成型性、「良」は脱水して内面のペースト層は硬い、「やや良」はペースト層はダレないが軟らかい状態で張り付いており、ペースト層の締まりが悪い、及び「不良」はペーストが波打ち状態を示す
圧縮強度 :JIS A 1136 に準じて、室内で気乾養生した材齢28日の強度を測定
この際、早強ポセは300kg/m3以上必要であり、390kg/m3を超える量を配合しても強度の伸びは期待できないことも示される(実験No.1- 3〜実験No.1- 9)。
結合材中のスラグ粉の含有率を一定とし、結合材の単位量を変えた場合では、結合材450kg/m3以上で100N/mm2が得られ、650kg/m3を超えると強度の伸びは頭打ちとなることが示され、470〜600kg/m3以上がより好ましい(実験No.1-10、実験No.1-14)。
また、水結合材比は小さくなれば、小さくなるほど遠心力成型体の強度も高くなることも示される(実験No.1-17〜実験No.1-22)。
Claims (5)
- 早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントと、高炉スラグ粉末と、シリカフュームと、高性能減水剤とを併用したコンクリートであって、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントの単位量が300〜390kg/m 3 であり、高炉スラグ粉末が、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントと高炉スラグ粉末からなる結合材100部中10〜40部であり、結合材の単位量が450〜650kg/m3 であり、シリカフュームが、結合材100部に対して、15部以下であり、水結合材比が30%以下であるコンクリートを、遠心力成型し、加熱養生を行なうことを特徴とする圧縮強度が設計基準強度で100N/mm 2 以上の高強度遠心力成型製品の製造方法。
- 早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントと、高炉スラグ粉末と、普通ポルトランドセメントと、シリカフュームと、高性能減水剤とを併用したコンクリートであって、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントの単位量が300〜390kg/m 3 であり、高炉スラグ粉末が、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメント、高炉スラグ粉末と、普通ポルトランドセメントとからなる結合材100部中10〜40部であり、結合材の単位量が450〜650kg/m3 であり、シリカフュームが、結合材100部に対して、15部以下であり、水結合材比が30%以下であるコンクリートを、遠心力成型し、加熱養生を行なうことを特徴とする圧縮強度が設計基準強度で100N/mm 2 以上の高強度遠心力成型製品の製造方法。
- 高性能減水剤がポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤である請求項1又は請求項2に記載の圧縮強度が設計基準強度で100N/mm 2 以上の高強度遠心力成型製品の製造方法。
- さらに、II型の無水石膏を併用したコンクリートであって、II型の無水石膏が、結合材100部に対して、CaSO 4 換算で15部以下であるコンクリートを、遠心力成型し、加熱養生を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の圧縮強度が設計基準強度で100N/mm 2 以上の高強度遠心力成型製品の製造方法。
- 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の圧縮強度が設計基準強度で100N/mm 2 以上の高強度遠心力成型製品の製造方法で製造された高強度遠心力成型製品。
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