JP6965484B2 - 高強度コンクリート及び高強度コンクリートの製造方法 - Google Patents

高強度コンクリート及び高強度コンクリートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高強度コンクリート及び高強度コンクリートの製造方法に関するものである。
従来、設計基準強度が100N/mm以上となる高強度繊維補強モルタルによって形成された主桁を有するPC(プレストレストコンクリート)桁橋がある(特許文献1参照)。
従来の高強度繊維補強モルタルによって形成された主桁は、工場などであらかじめ製造されるプレキャストセグメントであり、高強度繊維補強モルタルを混成し、その後、高強度繊維補強モルタルを型枠に打設して、所定の強度が発現するまで養生した後に脱型することにより製造されるものであった。
また、従来の高強度繊維補強モルタルによって形成された主桁は、強度を発現させるための養生時間、すなわち、脱枠材齢が4日〜5日であり、一つの製造ラインにおいて主桁を生産する速度は、1週間に1本程度が標準的であった。
特開2004−270382号公報
しかしながら、構造物を建設するプロジェクトの工期は、その工期の長さに応じてコストがかかるものである。そして、PC桁橋の現場における工期は、現場への主桁の納品サイクル、すなわち、納品サイクルと同じ周期となる工場における主桁の脱枠材齢による影響が大きいので、脱枠材齢を短縮することが課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、脱枠材齢の短い高強度コンクリート及び高強度コンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の高強度コンクリートは、設計基準強度が100N/mm以上の高強度コンクリートであって、前記高強度コンクリートは、水と、セメント及び混和材からなる結合材と、細骨材と、粗骨材とを含有し、水結合材比は30%以下であり、前記セメントは早強ポルトランドセメントであり、前記混和材は、シリカフュームと、高炉スラグ微粉末と、石膏系成分とを含む。
(2)上記(1)の構成において、プレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートであって、鉄筋を備える。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートであって、補強筋と、PC鋼材と、を備え、前記橋桁は、前記プレキャストセグメントが複数並んだ状態で形成され、前記PC鋼材によってプレストレスが導入されている。
(4)上記(3)の構成において、前記橋桁の桁高に対するスパンの比は、25以上、40以下である。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの構成の高強度コンクリートの製造方法は、プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートの製造方法であって、前記高強度コンクリートが含有する材料を練り混ぜてフレッシュコンクリートを生成する生成工程と、前記フレッシュコンクリートを型枠の内側に打設する打設工程と、前記フレッシュコンクリートを蒸気養生する蒸気養生工程と、前記型枠を脱枠材齢2日で脱枠する脱枠工程と、を含む。
(6)上記(5)の構成の前記蒸気養生工程において、前記フレッシュコンクリートの外気を、基準温度で保持し、その後、昇温し、最高温度で保持し、その後、降温する。
(7)上記(6)の構成の前記蒸気養生工程において、前記降温における単位時間当たりの降下温度である降温率は、前記昇温における単位時間当たりの上昇温度である昇温率より小さい。
(8)上記(6)又は(7)の構成の前記蒸気養生工程において、前記最高温度での保持時間は、前記基準温度での保持時間より長い。
(9)上記(5)の構成の前記蒸気養生工程において、前記フレッシュコンクリートの温度と外気の温度との温度差が20℃以下を保つように前記外気の温度を制御する。
本発明によれば、脱枠材齢の短い高強度コンクリート及び高強度コンクリートの製造方法を提供できる。
実施形態に係る高強度コンクリートを用いたPC桁橋を下から見上げた斜視図である。 蒸気養生工程を経たフレッシュコンクリート(高強度コンクリート)の材齢(時間)と外気の温度(℃)との関係を示す図である。 蒸気養生工程を経たコンクリート(高強度コンクリート)の材齢(日)と圧縮強度(N/mm)との関係を示す図である。
(実施形態)
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。なお、以下では、フレッシュコンクリートとは、材料練混ぜ直後から凝結が開始するまでの状態にあるコンクリートを意味することとする。
図1は、実施形態に係る高強度コンクリート1を用いたPC桁橋100を下から見上げた斜視図である。なお、図1において、橋脚の図示は省略されている。
実施形態に係る高強度コンクリート1は、図1に示すような、低桁高のPC桁橋100を構成する主桁10に用いることができる。主桁10は、橋軸直角方向に複数並べられており、橋軸方向に沿って配置されている。また、隣接する主桁10の間には、場所打ちコンクリート20が打設されており、場所打ちコンクリート20により、主桁10は、隣接する同士が構造的に一体化される。そして、複数の主桁10の上には、車道舗装30、歩道舗装31等が敷設される。なお、図1において、主桁10の断面は略T字形状になっているが、これに限らず、略I字形状であってもよく、中空形状であってもよい。
高強度コンクリート1は、プレキャストセグメントに用いることができる。また、高強度コンクリート1は、鉄筋を備える。よって、大型の構造物を高強度のプレキャストセグメントを組み立てることで施工でき、施工スケジュールを短縮できる。
また、高強度コンクリート1は、プレストレストコンクリート橋の橋桁となる主桁10を構成するプレキャストセグメントに用いられる。また、高強度コンクリート1は、補強筋と、PC鋼材と、を備え、橋桁となる主桁10は、プレキャストセグメントが複数並んだ状態で形成され、PC鋼材によってプレストレスが導入されている。よって、プレストレスによる高い圧縮力に耐えることができ、PC桁橋100のスパン(支間長)を長くすることができる。
そして、橋桁となる主桁10の桁高に対するスパンの比を、25以上、40以下にできる。これにより、橋桁となる主桁10の桁高に対するスパンの比が大きく、しかも、低桁高のPC桁橋100を実現できる。
高強度コンクリート1は、設計基準強度が100N/mm以上である。配合強度は120N/mmであり、変動係数は10%である。このように、高強度コンクリート1は、強度の高いコンクリートであるので、桁高を大きくしなくても高い曲げ剛性を有する主桁10を形成できる。そして、建築限界によって桁高が制限されるような場所に対応可能な、低桁高PC橋(桁高がスパンの1/30以下であるプレストレストコンクリート橋)に適用できる。
高強度コンクリート1のスランプフローは、流動性と材料分離抵抗性を同時に持ち合わせた自己充填性を確保するため、65cm±5cmとしている。
空気量は、強度発現性を考慮して、2.0%±1.5%としている。
高強度コンクリート1は、水Wと、セメントC及び混和材Aからなる結合材Bと、細骨材Sと、粗骨材Gとを含有する。なお、繊維を混入することは必須ではない。このように繊維を混入することなく、高強度コンクリート1の高強度性を実現できるので、繊維を混入することに起因するコストの増加を抑制できる。
また、高強度コンクリート1の水結合材比W/B、すなわち、水Wと結合材Bとの重量比は、30%以下である。また、水結合材比W/Bは、圧縮強度及び耐久性をより高く確保するためには、20%〜25%が望ましい。このように、水結合材比W/Bが低く、水Wに対してセメントCの割合が高いので、高い強度を発現させることが可能な高強度コンクリート1とすることができる。
セメントCは、早強ポルトランドセメントである。また、早強ポルトランドセメントにおけるクリンカ構成化合物の一つであるエーライトの割合は、65%程度が望ましく、50%以上が好ましい。
ここで、一般的な高強度コンクリートは、水セメント比又は水結合材比W/Bが低いことにより水和熱が大きくなるので、フレッシュコンクリートの温度が高くなり過ぎることによる温度応力ひび割れのような不具合の発生を低減するため、一般的な高強度コンクリートに用いるセメントには、エーライトの割合が低い(30%程度)低熱系のセメントが用いられることが多い。しかしながら、高強度コンクリートに低熱系のセメントを用いると、水和発熱の時期及び初期の強度発現が遅くなってしまう。そこで、本実施形態に係る高強度コンクリート1は、セメントCとしてエーライトの割合の高い早強ポルトランドセメントを使用し、水和発熱の時期及び初期の強度発現を早めている。
混和材Aは、シリカフュームA1と、高炉スラグ微粉末A2と、石膏系成分A3とを含む。このように、高強度コンクリート1は、結合材Bに、特別な種類の材料の組合わせから構成された混和材Aを含むので、高強度コンクリート1の結合材Bに用いるセメントCとして早強ポルトランドセメントを使用しても、高い流動性を確保しつつ、フレッシュ時の粘性を抑制できるとともに、自己収縮を抑制し、水和発熱によるピークの温度を低減できる。よって、高強度コンクリート1は、高強度であり、強度発現が早く、しかも、フレッシュ時の施工性に優れ、硬化後のひび割れや温度応力によるひび割れの発生を抑制できる。なお、混和材Aは、シリカフュームA1と、高炉スラグ微粉末A2と、石膏系成分A3とがあらかじめ混合された状態でプレミックスされていてもよい。
混和材Aは、具体的には、シリカフュームA1を20重量部〜300重量部と、高炉スラグ微粉末A2を20重量部〜300重量部と、石膏系成分A3を100重量部と、を含むことが望ましい。さらに、必要に応じて膨張材を含んでもよい。これにより、高強度コンクリート1に早強ポルトランドセメントを使用しても、フレッシュ時の粘性を抑制でき、水和発熱による急激な温度上昇を抑制でき、自己収縮を抑制できる。シリカフュームA1の種類は特定しないが、JIS A 6207「コンクリート用シリカフューム」に適合するものが好ましい。高炉スラグ微粉末A2の種類、粉末度は特定しないが、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に適合するものが好ましい。水和発熱による温度上昇と自己収縮の抑制から比表面積の小さい3000又は4000の高炉スラグ微粉末がとくに好ましい。石膏系成A3は、無水石膏が好ましい。
セメントCに混和材Aを加えた結合材Bに対する混和材Aへの置換率A/Bは、10%〜25%が好ましい。また、置換率A/Bは20%程度とすることが望ましい。置換率A/Bが大きいほど、フレッシュ時の粘性が低下し、施工性が改善するが、置換率A/Bが25%を超えると、硬化後のコンクリートにひび割れ等の不具合が発生する可能性がある。
高強度コンクリート1は、収縮低減剤を含有することが好ましい。これにより、水結合材比W/Bが低いことに起因する高強度コンクリート1の自己収縮を抑制できる。
また、高強度コンクリート1は、高性能減水剤を含有することが好ましい。これにより、フレッシュ時の流動性を確保できる。高性能減水剤に代えて、高性能AE減水剤としてもよい。
高強度コンクリート1を上述のように配合することにより、従来、脱枠材齢が4日〜5日であったのと比較して、脱枠材齢を短くでき、具体的には、脱枠材齢(脱枠時期、蒸気養生期間)を2日とすることができ、現場への納品サイクルを短縮できる。
次に、本実施形態に係る高強度コンクリート1の製造方法を、プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いた場合を例にして説明する。
高強度コンクリート1の製造方法は、高強度コンクリート1が含有する上述した材料、すなわち、少なくとも、水Wと、セメントC及び混和材Aからなる結合材Bと、細骨材Sと、粗骨材Gと、を練り混ぜてフレッシュコンクリートを生成する生成工程と、そのフレッシュコンクリートを型枠の内側に打設する打設工程と、そのフレッシュコンクリートを蒸気養生する蒸気養生工程と、型枠を脱枠材齢2日で脱枠する脱枠工程と、を含む。
このように、高強度コンクリート1を上述のように配合して製造することにより、脱枠材齢を短くできる。
また、蒸気養生工程において、フレッシュコンクリートの外気を、基準温度(20℃以上、35℃未満)で保持(前置き)し、その後、昇温し(例えば、15℃/時)、最高温度(例えば、50℃)で保持し、その後、降温(例えば、30℃/26時間)する。このように、蒸気養生工程において、フレッシュコンクリートの水和発熱による温度変化に応じて外気を変温するので、水和反応による硬化を促し、早期に強度を発現させることができる。
ここで、基準温度での保持(前置き)は、ある程度凝結が進行するまで、詳細には、凝結開始時、すなわち水和発熱開始時まで常温程度に保つようになされる。よって、打設したばかりのフレッシュコンクリートに対して蒸気養生によって外気を高温に昇温することによる、強度発現や耐久性への悪影響を抑制できる。なお、前置き時における基準温度は、20℃以上35℃未満とすることが好ましい。35℃未満とする理由は、コンクリートは35℃未満であれば強度発現や耐久性に問題がないことが確認されているためである。
また、基準温度での保持(前置き)は、通常とは異なり、本実施形態に係る高強度コンクリート1の製造方法においては、凝結開始時(水和発熱開始時)まで基準温度で長めに(約9時間)保持(前置き)し、コンクリートの水和発熱開始と同時期に蒸気養生における外気の温度を上げるようにしている。このように、通常より長めに基準温度で保持(前置き)するので、高強度コンクリート1に高性能減水剤を多量に使用することによる凝結遅延の悪影響を防止することができる。
また、蒸気養生工程において、降温における単位時間当たりの降下温度である降温率は、昇温における単位時間当たりの上昇温度である昇温率より小さいことが好ましい。これにより、コンクリートの水和反応による硬化を促しつつ、温度収縮による悪影響を抑制でき、早期に強度を発現させることができる。
また、蒸気養生工程において、最高温度での保持時間は、基準温度での保持時間より長いことが好ましい。これにより、コンクリートの水和反応による硬化を促しつつ、温度収縮による悪影響をより抑制でき、より早期に強度を安定して発現させることができる。
さらに、蒸気養生工程において、コンクリートの温度と外気の温度との温度差が20℃以下を保つように外気の温度を制御することが好ましい。なお、ここでいうコンクリートの温度は、表面温度であってよい。また、外気の温度変化曲線は、コンクリートの温度の温度変化曲線と略相似形となることが望ましい。外気の温度は、温度応力解析によるコンクリートの温度変化の予測に基づいて、あらかじめ設定してもよく、コンクリートの温度と外気の温度との温度差に基づいて、この温度差がゼロになるように、リアルタイムでフィードバック制御をしてもよい。これにより、蒸気養生工程におけるコンクリートの温度と外気の温度との温度差を最小限にでき、温度差に応じて発生するひび割れ等の悪影響を抑制でき、脱枠された高強度コンクリート1の耐久性を高められる。
次に、本実施形態に係る高強度コンクリート1の配合試験及び配合試験の結果を示す。
高強度コンクリート1の配合試験において、高強度コンクリート1の設計基準強度を100N/mm(配合強度:120N/mm、変動係数:10%)とした。
また、配合試験において、高強度コンクリート1の使用材料を次のとおりとした。
すなわち、水Wを、上水道水とし、セメントCを、密度3.14g/cmの早強ポルトランドセメントとし、混和材Aを、シリカフュームA1と、高炉スラグ微粉末A2と、石膏系成分A3とを含む密度2.64g/cmのものとした。
また、細骨材Sを、表乾密度2.60g/cmで吸水率1.38%の砕砂(倉敷市産安山岩)とした。そして、粗骨材Gを、表乾密度2.62g/cmで、JISA5005による大きさ区分において2010:1505=1:1である、吸水率0.60%の砕石(倉敷市産安山岩)とした。
また、混和剤として、ポリカルボン酸系高性能減水材及び低級アルコール系収縮低減剤を使用した。
配合試験において、配合は次のとおりとした。
すなわち、水結合材比W/Bを、24%とし、スランプフローを65cm±5cmとし、空気量を2.0%±1.5%とした。ここで、結合材Bは、セメントCと混和材Aを合わせたものである。また、水Wは、高性能減水材及び収縮低減剤(6kg/m)を含む。
また、水Wを150kg/mとし、セメントCを500kg/mとし、混和材Aを125kg/mとし、細骨材を790kg/mとし、粗骨材838kg/mとし、高性能減水材結合材比SP/Bを1.5%とした。
続いて、上記の使用材料を上記のように配合して練混ぜを次のとおり行った。
すなわち、ミキサを使用して、セメントC、混和材A及び細骨材Sを混合した状態で15秒間空練りし、続いて、高性能減水材及び収縮低減剤を含む水Wを投入して180秒間1次練混ぜを行い、その後、粗骨材Gを投入して60秒間2次練混ぜを行った。
そして、練混ぜたフレッシュコンクリートを型枠に打設し、可変恒温恒室槽内において蒸気養生を次のとおり行った。
まず、温度応力解析によりコンクリート(硬化過程にある高強度コンクリート1)の温度変化を予測し、蒸気養生において、実部材の温度と外気の温度差が20℃以下になるようにした。
図2は、蒸気養生工程を経るコンクリート(高強度コンクリート1)の材齢(時間)と外気の温度(℃)との関係を示す図である。
具体的には、図2に示すように、外気を20℃で9時間保持(前置き)し、続いて、外気を15℃/時の速度で2時間昇温し、その後、外気を最高温度50℃で11時間保持し、最後に、外気が20℃になるまで26時間かけて降温した。そして、フレッシュコンクリートの打設から48時間経過後に脱枠した。なお、蒸気養生において、可変恒温恒室槽内の湿度は飽和状態に保たれており、可変恒温恒室槽内の気圧は1気圧(大気圧)以上とした。
このように蒸気養生を行った高強度コンクリート1の配合試験の結果を示す。
図3は、蒸気養生工程を経るフレッシュコンクリート(高強度コンクリート1)の材齢(日)と圧縮強度(N/mm)との関係を示す図である。
図3に示すように、圧縮強度は、材齢2日で116N/mm、材齢14日で128N/mm、材齢28で131N/mmとなった。このように、材齢2日の圧縮強度は100N/mmを超えるので、早期の脱枠とプレストレスの導入が可能となることが確認できた。また、材齢14日の圧縮強度は、変動係数10%を考慮した配合強度である120N/mmを超えており、材齢14日で設計基準強度を満足することが確認できた。
なお、上記の配合試験における外気の温度は、温度応力解析によるコンクリートの温度変化の予測に基づいて、あらかじめ設定したものであるが、これに代えて、コンクリートの温度と外気の温度との温度差に基づいて、この温度差がゼロになるように、外気の温度をリアルタイムでフィードバック制御をしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る高強度コンクリート1及び高強度コンクリート1の製造方法は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本発明の高強度コンクリート1によれば、設計基準強度が100N/mm以上の高強度コンクリート1であって、高強度コンクリート1は、水Wと、セメントC及び混和材Aからなる結合材Bと、細骨材Sと、粗骨材Gとを含有し、水結合材比W/Bは30%以下であり、セメントCは、早強ポルトランドセメントであり、混和材Aは、シリカフュームA1と、高炉スラグ微粉末A2と、石膏系成分A3とを含むので、材齢2日という早期に脱枠が可能であり、高強度を発現でき、しかも、フレッシュ時の自己充填性がよく、硬化後のひび割れも抑制できる。これにより、脱枠材齢の短い高強度コンクリート1を提供できるので、プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いることができ、工期を短縮できるとともに、低桁高で長スパンのPC桁橋100を短工期及び低コストで実現できる。
本発明のプレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリート1の製造方法によれば、高強度コンクリート1が含有する材料を練り混ぜてフレッシュコンクリートを生成する生成工程と、フレッシュコンクリートを型枠の内側に打設する打設工程と、フレッシュコンクリートを蒸気養生する蒸気養生工程と、型枠を脱枠材齢2日で脱枠する脱枠工程と、を含むので、材齢2日で脱枠が可能なほど早期に高い強度が発現可能であり、その時点でプレストレスを導入できる。また、フレッシュ時の流動性及び自己充填性がよく、硬化後のひび割れも抑制できる。さらに、高い設計基準強度とすることができるとともに、ひび割れを抑制できる。このように、脱枠材齢の短い高強度コンクリート1を提供できるので、プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いることができ、工期を短縮できるとともに、低桁高で長スパンのPC桁橋100を短工期及び低コストで実現できる。
1 高強度コンクリート
10 主桁
20 場所打ちコンクリート
30 車道舗装
31 歩道舗装
100 PC桁橋
A 混和材
A/B 置換率
A1 シリカフューム
A2 高炉スラグ微粉末
A3 石膏系成分
B 結合材
C セメント
G 粗骨材
S 細骨材
SP/B 高性能減水材結合材比
W 水
W/B 水結合材比

Claims (8)

  1. 設計基準強度が100N/mm2以上の高強度コンクリートであって、
    前記高強度コンクリートは、鉄筋を備えるプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートであって、
    水と、セメント及び混和材からなる結合材と、細骨材と、粗骨材とを含有し、
    水結合材比は30%以下であり、
    前記セメントは、早強ポルトランドセメントであり、
    前記混和材は、シリカフュームを20重量部〜300重量部、高炉スラグ微粉末を20重量部〜300重量部、石膏系成分を100重量部含み、
    前記セメントに前記混和材を加えた結合材に対する混和材への置換率は、10%〜25%であることを特徴とする高強度コンクリート。
  2. プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートであって、
    補強筋と、
    PC鋼材と、を備え、
    前記橋桁は、前記プレキャストセグメントが複数並んだ状態で形成され、前記PC鋼材によってプレストレスが導入されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の高強度コンクリート。
  3. 前記橋桁の桁高に対するスパンの比は、25以上、40以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載の高強度コンクリート。
  4. プレストレストコンクリート橋の橋桁を構成するプレキャストセグメントに用いる高強度コンクリートの製造方法であって、
    前記高強度コンクリートが含有する材料を練り混ぜてフレッシュコンクリートを生成する生成工程と、
    前記フレッシュコンクリートを型枠の内側に打設する打設工程と、
    前記フレッシュコンクリートを蒸気養生する蒸気養生工程と、
    前記型枠を脱枠材齢2日で脱枠する脱枠工程と、を含む
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高強度コンクリートの製造方法。
  5. 前記蒸気養生工程において、
    前記フレッシュコンクリートの外気を、20℃以上、35℃未満の基準温度で保持し、その後、昇温し、最高温度で保持し、その後、降温する
    ことを特徴とする請求項4に記載の高強度コンクリートの製造方法。
  6. 前記蒸気養生工程において、
    前記降温における単位時間当たりの降下温度である降温率は、前記昇温における単位時間当たりの上昇温度である昇温率より小さい
    ことを特徴とする請求項5に記載の高強度コンクリートの製造方法。
  7. 前記蒸気養生工程において、
    前記最高温度での保持時間は、前記基準温度での保持時間より長い
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の高強度コンクリートの製造方法。
  8. 前記蒸気養生工程において、
    前記フレッシュコンクリートの温度と外気の温度との温度差が20℃以下を保つように前記外気の温度を制御する
    ことを特徴とする請求項5に記載の高強度コンクリートの製造方法。
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