JP6899118B2 - 自己修復型コンクリート製品 - Google Patents

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Description

この発明は改質型フライアッシュを混和材としたコンクリート製品またはコンクリート製の構造物に関する。
一般に、コンクリートそのものは1 0 0 年以上の耐久性を有し、長期間にわたり強度を伸ばしていく素材である。コンクリートは、圧縮に対して強く、引っ張りに対して弱い。そこで、コンクリ−ト内部に鉄筋を配置し、鉄筋による引っ張りの補強を行っている。この場合、コンクリートは強アルカリ性であり、内部の鉄筋の酸化を防ぐことができる。
一方、空気中の酸素によりコンクリートの強アルカリ性が中性化され、また製造時の乾燥収縮や施工時のショックなどにより発生した微細なクラックなどから空気や水が浸入し鉄筋が錆びることがある。この結果、鉄筋が膨張し、コンクリートが破壊されるという問題があった。
すなわち、長期間にわたり使用されるコンクリート製品、コンクリート構造物においては、鉄筋の保護が、その寿命を決定する要素となる。
従来、コンクリート構造物のひび割れ( クラック) について自己修復機能を持たせた技術が知られている。例えば特許文献1 に示すものである。
特開平9 − 8 6 9 8 3 号公報
この特許文献1に開示された従来技術にあっては、水、セメント、骨材からなる水和硬化物において、骨材の少なくとも一部に未水和のセメントクリンカを含ませ、ひびわれ自己修復性水和硬化物としている。ひびわれ部分を補修するには、自己修復性水和硬化物のひびわれ部分に、水を浸透させて未水和のセメントクリンカと水とを反応させる。
しかしながら、このものにあっては、石膏成分が不足し、急結または瞬結のおそれがあった。また、得られる水和硬化物の流動性に悪影響をもたらすおそれがあった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、改質型フライアッシュをコンクリート中に混入することで、組織の緻密化と自己修復能力によりクラックを補修し長寿命化が図れることを知見し、この発明を完成させた。
この発明の目的は、自己修復能力を有するコンクリート製品、コンクリート構造物を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、ポルトランドセメントに対して改質型フライアッシュのみ 自己修復機能を発揮するために必要なコンクリート混和材とし、ポルトランドセメントと 改質型フライアッシュとの合計量を1 0 0 重量部としたとき当該改質型フライアッシュを1 0 〜 6 0 重量部の割合で混合した自己修復型コンクリート製品である。
この場合のポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントの他にも、低アルカリ形ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントを含む。
ポルトランドセメントと改質型フライアッシュとの合計量を1 0 0 重量部としたときの、改質型フライアッシュの混合量が1 0 重量部未満では自己修復力が不十分である。改質型フライアッシュの混合量が6 0 重量部を超えると、自己修復力は高まるが、価額が高騰して不経済となる。
この場合のコンクリート製品には、コンクリ− ト杭、コンクリート製の側溝、擁壁、ボックスカルバート、住宅基礎などを含む。また、コンクリート製の橋梁、橋桁、基礎構造物などを含むものとする。
また、上記請求項1 に記載の発明によれば、改質型フライアッシュをコンクリート中に混入することで、組織の緻密化と自己修復能力によりクラックが補修され長寿命化を図ることができる。
コンクリート製品の耐用年数は3 0 年〜 5 0 年とされている。これは、コンクリートのアルカリ性が空気中の酸素により酸化するからである。また、製造時の乾燥収縮や、施工時のショックなどによるクラックにより水と酸素とがコンクリート内部に供給され、鉄筋が錆びてしまうからである。
そこで、製造時に改質型フライアッシュ(火力発電所の石炭灰で、再加熱して未燃カー ボンを除去したもの) を混和材としてコンクリートに混入することで、ポゾラン反応により、組織の緻密化にて水素、酸素の侵入が防止され、自己修復化が進むとともに、長寿命化を図ることができる。
なお、ポゾラン反応とは、コンクリート中の水酸化カルシウムと改質型フライアッシュが常温で長期間にわたって反応し、カルシウムシリケート水和物などを生成する現象である。また、コンクリートの組織が緻密になり、長期にわたって強度や水密性が向上するとは、改質型フライアッシュに含まれるアルミやシリカが、セメント水和物に取り込まれて、極小の球体が増加し、これがセメント水和物同士の隙間を徐々に埋めていく現象である。
この発明によれば、コンクリート製品の長寿命化を図ることができる。また、地震発生時のクラック発生にあっても、そのクラックを自己修復することにより、住宅の長寿命化を達成することができる。
この発明の実施例1 に係るコンクリート製品における1 次共鳴試験でのその材齢と動弾性係数との関係を示すグラフである。
以下、この発明に係るコンクリ− ト製品( コンクリート構造物を含む) の一実施例を具体的に説明する。
図1 は、この発明の実施例1 に係るコンクリート製品における1 次共鳴試験でのその材齢と動弾性係数との関係を示すグラフである。1 次共鳴試験は、J I S A 1 1 2 7 :2 0 1 0 共鳴振動によるコンクリートの動弾性係数を求める試験である。
蒸気養生材齢7 日の強度を同一とした条件でのセメントの水和、ポゾラン反応の進行が自己治癒性状に及ぼす影響を明らかにするためにこの試験を行った。
表1 には、調合表を示す。
図1 におけるP L はポルトランドセメントのみを使用した場合(改質型フライアッシュを混入していない) であってその調合割合は、表1 における「3 5 − 1 0 」で示す通りである。
図1 でF A − 1 0 は、表1 の「3 5 − 1 0 」に対応し、F A − 2 0 は表1 での「3 5 −2 0 」に対応する。すなわち、「F A − 1 0 」, 「F A
− 2 0 」は、それぞれ、普通ポルトランドセメント4 7 4 k g に改質型フライアッシュ5 3 k g ( 全体を1 0 0 重量部としたとき改質型フライアッシュは1 0 重量部) 、普通ポルトランドセメント4 4 4 k g に改質型フライアッシュ1 1
1 k g ( 全体を1 0 0 重量部としたとき改質型フライアッシュは2 0 重量部)を混和させたものである。
Figure 0006899118
具体的には、普通ポルトランドセメントとして宇部三菱社の普通ポルトランドセメントを、改質型フライアッシュとしてゼロテクノ社のC f F A を使用した。このフライアッシュは、未燃カーボン量L O I が1 . 0 % 以下のものを使用した。
また、表1 において、W / C は水セメント比を、W / C 'は水対セメント・改質 フライアッシュ比を、C f F A は改質型フライアッシュを、寄与率とはセメントに対する、
改質型フライアッシュによる強度発現の比率を重量比で示したものを、s / a は細骨材比を、S は細骨材を、G は粗骨材を、A d 1 は高性能減水剤を、A d 2 は空気量調整剤を、それぞれ示す。
図1 において示すように、本試験にあっては、各供試品については、養生材齢2 8 日で圧縮強度の8 割の荷重を1 0 回載荷することで劣化させ、その後、2 0 ℃ 水中浸漬を行ったもので動弾性係数の経時変化を示す。このグラフにより明らかなように、材齢3 9 週が経過した後にF A 1 0 , F A 2 0 については、その動弾性係数が、改質型フライアッシュ未混入の供試品に比較して明らかに大きな値を示している。
これは改質型フライアッシュによる自己修復機能を示すものである。
この発明は自己修復機能を有するコンクリート製品またはコンクリート構造物として有用である。

Claims (1)

  1. ポルトランドセメントに対して改質型フライアッシュのみ自己修復機能を発揮する ために必要なコンクリート混和材とし、ポルトランドセメントとフライアッシュとの合計量を100重量部としたとき当該改質型フライアッシュを1 0 〜 6 0 重量部の割合で混合した自己修復型コンクリート製品(但し、コンクリート回収水でカルシウムイオン 濃度が700〜1000ppmのものを含む配合を除く)。
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