JP5825584B1 - 芋焼酎の製造方法 - Google Patents

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【課題】芋焼酎に独特の燻香を加えることにより、従来の芋焼酎独特の香味に加えて、豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する酒質を持つ芋焼酎の製造方法を提供する。【解決手段】さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、二次仕込みに使用するさつま芋を蒸煮し、蒸煮したさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料として使用するようにした。また、さつま芋を蒸さずに燻煙することによって二次仕込みの主原料に使用してもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、芋焼酎にスモーキーな香り(以下、「スモーキーフレーバー」と称する)を加味することよって、独特の燻香を生じるようにした芋焼酎の製造方法に関する。
従来の芋焼酎の製造方法においては、一次仕込みによって得られた一次もろみに水と主原料を混ぜることによって二次仕込みが行われる。この二次仕込みの主原料に使用するさつま芋は、さつま芋の内部が十分に蒸されるまで一定時間だけ蒸煮処理を行い、二次仕込み直後のもろみが最適な温度となるように放冷した後、所定の発酵期間を経て二次もろみを造り、さらに二次もろみを蒸留する工程を経て芋焼酎の酒質を得るようにしている。
ところで、最近では、上記の芋焼酎に何らかの豊潤な芳香を加味し、新たな酒質を開発することによって、芋焼酎の商品価値を高めるようにした製品が求められるようになっている。
そのような芋焼酎の例として、特許文献1に記載されている焼き芋風味の芋焼酎の製造方法が存在する。この製造方法は、さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、前蒸しとして、さつま芋の表面のみを蒸煮処理した後、本蒸しとして、さつま芋の中心が蒸されるまで蒸煮処理し、この本蒸し後のさつま芋を二次仕込みの主原料として使用するようにしたものである。この方法によれば、従来の芋焼酎に比べて、フルーティーな風味を有し、味に関して丸みのある酒質の芋焼酎を製造することが可能とされている。
ところで、従来の芋焼酎において、従来の芋焼酎独特の香味に加えて、スモーキーフレーバーと云われる独特の燻香を含む豊潤な芳香を有するものがなく、芋焼酎の酒質においても、このような独特の燻香を有する芋焼酎の開発が求められていた。
特開2012−34593号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、芋焼酎に独特の燻香を加えることにより、従来の芋焼酎独特の香味に加えて、豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する酒質を持つ芋焼酎の製造方法を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するために、本発明における請求項1の芋焼酎の製造方法は、さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、最下部に設置した熱源の火炎の上部に燻煙材を収容した通気性容器を設け、燻煙材の上部に燻しカゴを上下に重ねて設置すると共に、二次仕込みに使用する蒸煮したさつま芋を夫々のカゴに収容し、このさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料として使用することを特徴とする。
また、本発明の請求項2における芋焼酎の製造方法は、さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、最下部に設置した熱源の火炎の上部に燻煙材を収容した通気性容器を設け、燻煙材の上部に燻しカゴを上下に重ねて設置すると共に、二次仕込みに使用するさつま芋を蒸さずに夫々のカゴに収容し、このさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料に使用することを特徴とする。
また、本発明の請求項3における芋焼酎の製造方法は、請求項1又は2において、燻煙材として、木材をチップ状にしたスモークチップ、木片、又はピートを使用することを特徴とする。
さらに、本発明の請求項4における芋焼酎の製造方法は、請求項1又は2において、燻煙材として、香草又は香木を使用することを特徴とする。
本発明の芋焼酎の製造方法によれば、二次仕込みに使用するさつま芋を蒸煮し、この蒸煮したさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させ、この燻煙処理したさつま芋を二次仕込みの主原料として使用することにより、二次もろみを得るようにしている。このように、蒸煮したさつま芋に、燃焼した燻煙材から発生する燻煙を接触したことにより、独特の燻香が生じ、この燻煙が二次もろみによる酒質に独特の燻香を加えることにより、豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する芋焼酎として製造されることになる。
また、本発明においては、さつま芋を蒸さずに燻煙することによって二次仕込みの主原料に使用し、二次もろみを得るようにしてもよい。
また、本発明において燻煙材として用いられる、木材をチップ状にしたスモークチップ、木片、又はピートは、市販の入手も容易であり、純粋な木質部分だけを使用することが可能であって、不純物の混じらない純度の高い燻香を有する燻煙を得ることが可能となる。
上記のようにして製造された芋焼酎は、官能検査の結果、従来法の芋焼酎に比べ、燻香が加味された独特の香味を有し、豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する芋焼酎として味わうことが可能となる。
さらに、本発明においては、燻煙材として、香草又は香木を使用することも可能であり、香草又は香木として選択される材料特有の香りを加えた豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する芋焼酎を得ることが可能となる。
本発明の実施例における芋焼酎の製造工程を示すフロー図である。 本発明の実施例における芋焼酎の製造に使用するスモーカー(燻煙処理装置)の内部の構成を示す図である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明による芋焼酎の製造方法は、さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、二次仕込みに使用するさつま芋を蒸煮し、蒸煮したさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料として使用するようにしたものである。
このような芋焼酎の製造方法について、図1のフロー図を参照しながら説明する。図1において、一次原料処理としては、洗米した米1を水に浸漬して水分を吸収させた後、水切り2を行う。次いで、これを蒸した(蒸し3)後、40℃前後に冷まして、麹原料とする(製麹4)。そして、この麹原料に麹菌を加えた状態で製麹用の設備に移し、一日程度寝かせた後、麹を取り出し、一次仕込み5に移行させる。
なお、このような麹原料の製法において、上記のように米を原料として麹を作るほか、麦類を麹の原料として用いることも可能である。
また、一次仕込み5においては、上記の麹に清浄な水と酵母を加えて仕込みを行い、一週間程度、発酵熟成させて、一次もろみを造った後、これを二次仕込み6に移す。なお、この一週間程度の熟成の期間は、もろみの温度が30度以上にならないように管理をする必要がある。これは、もろみが30度以上になると、もろみが弱ってしまい、次の二次仕込み6の際に、もろみが腐ってしまうおそれがあるからである。
一方、二次仕込み6の主原料として用いるさつま芋7を蒸煮処理する。本実施例においては、このさつま芋7の蒸煮処理において、蒸煮したさつま芋に燻煙を接触させる燻煙処理を施すようにする。なお、本実施例においては、さつま芋7を蒸さずに燻煙することによって、二次仕込み6の主原料に使用することも可能である。
上記の蒸煮処理又は燻煙処理を行う装置としては、図2に示すスモーカー8を用いる。このスモーカー8は、最下部に設置したガスバーナー等の熱源9を筐体10で囲み、熱源9の上部に、熱源9の火炎9aを上部に通過させる多数の通気孔を有する受板11を設け、この受板11の上部に燻煙材12を収容した通気性容器13を設置する。
さらに、燻煙材12の上部には受板11の上面周部に設置した支持材15を介して、その上部に2個のメッシュ状の燻しカゴ14a、14bを上下に重ねて設置する。
一方、洗浄したさつま芋7の両端を切り落とし、傷んでいる部分を除去するトリミングを行った後、多数のさつま芋7を2個の燻しカゴ14a、14bに収容し、夫々の燻しカゴ14a、14bを上下に重ねてスモーカー8内の支持材15の上部に設置する。なお、スモーカー8の筐体10の上面は、燻し操作中に蓋板25を被せることによって、筐体10の内部を密閉し、高温の煙を充満させるようにしている。
また、燻煙材12と下部の燻しカゴ14bとの中空部には、湾曲状に形成された水滴除け16を周囲の支持材15に係止することによって、燻し操作中に発生する水滴が下方の燻煙材12に滴下しないようにする。
上記の構成において、燻煙材12としては、木材をチップ状にしたスモークチップ、木片、又はピートを使用するとよい。ここで、スモークチップは、木材を細片のチップ状にしたものである。また、ピートは、野草や水生植物等が炭化することによって形成された木質遺骸による泥炭のことである。なお、これらの燻煙材12として用いられる木質材料は、樹脂部分に有害な成分が含まれていることもあるため、木の樹脂や腐った部分などを取り除き、純粋な木質部分だけを使用するようにするとよい。
さらに、本実施例において、燻煙材として、香草又は香木を使用することも可能であり、そのような香草又は香木として選択される材料特有の香りを加えた芳香を芋焼酎に含ませることが可能となる。
上記のスモーカー8内の構成において、上下に重ねた燻しカゴ14a、14b内のさつま芋7は、いずれの燻しカゴ14a、14b内においても、下方からの熱源9によって蒸される(蒸煮17)が、下部の燻しカゴ14b内のさつま芋7は、燻煙材12を燃焼させて発生する燻煙が直に接触することとなる(燻煙処理18)。従って、特に下部の燻しカゴ14b内のさつま芋7は、蒸煮されながら燻煙を吸収することによって、個々のさつま芋7の内部に独特の燻香を含ませることが可能となる。
次に、上記のようにして燻煙処理18を施したさつま芋に冷水19をかけることによって適温まで冷却し、一次もろみが入ったタンクに入れ、二次仕込み6の工程に移行する。この二次仕込み6では、一次仕込み5と同様に、もろみ中で糖化と発酵が同時に進行し、そのバランスを保つために、温度調整を厳密に行うこととなる。
また、二次仕込み6の発酵期間は、一定期間、例えば、通常通り10日〜20日程度とするのが好ましい。この発酵期間における外気温、さつま芋のデンプンの含有量、仕込み水の量、酵母の種類等が二次もろみの仕上がりに影響するため、官能試験によって調整する必要がある。これによって得られた二次もろみは、燃焼した燻煙材12から発生する燻煙と接触したことにより、独特の燻香が発生することとなる。
次いで、図1に示すように、二次もろみの蒸留工程(蒸留20)に移項する。この蒸留工程においては、上記のように発酵の終わった二次もろみに蒸気を吹き込み、沸騰させることによって吹き上がった蒸気を冷却することにより、芋焼酎の原酒を得ることが可能となる。
このような蒸留工程の手法としては、減圧蒸留、常圧蒸留、単式蒸留、連続式蒸留を問わず、そのいずれも適用可能である。この際、上記の蒸煮処理における温度や時間が発酵後の酒質に影響を与えるため、蒸留した酒質の官能検定21によって、蒸煮処理の温度や時間を調整する。
そして、上記の蒸留酒に適量の割水22を行い、これをろ過23した後、瓶詰24を行うことによって、本実施例の豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する芋焼酎を得ることができる。
本発明の芋焼酎の製造方法は、芋焼酎に独特の燻香を加えることにより、従来の芋焼酎独特の香味に加えて、豊潤なスモーキーフレーバーの芳香を有する酒質を持つ芋焼酎の製造方法として利用することが可能である。
1 米
2 水切り
3 蒸し
4 製麹
5 一次仕込み
6 二次仕込み
7 さつま芋
8 スモーカー
9 熱源
9a 火炎
10 筐体
11 受板
12 燻煙材
13 通気性容器
14a、14b 燻しカゴ
15 支持材
16 水滴除け
17 蒸煮
18 燻煙処理
19 冷水
20 蒸留
21 官能検定
22 割水
23 ろ過
24 瓶詰
25 蓋板

Claims (4)

  1. さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、最下部に設置した熱源の火炎の上部に燻煙材を収容した通気性容器を設け、燻煙材の上部に燻しカゴを上下に重ねて設置すると共に、二次仕込みに使用する蒸煮したさつま芋を夫々のカゴに収容し、このさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料として使用することを特徴とする芋焼酎の製造方法。
  2. さつま芋を二次仕込みの主原料とする芋焼酎の製造方法において、最下部に設置した熱源の火炎の上部に燻煙材を収容した通気性容器を設け、燻煙材の上部に燻しカゴを上下に重ねて設置すると共に、二次仕込みに使用するさつま芋を蒸さずに夫々のカゴに収容し、このさつま芋に燻煙材を燃焼させて発生する燻煙を接触させた後、燻煙処理したさつま芋を冷却して二次仕込みの主原料に使用することを特徴とする芋焼酎の製造方法。
  3. 燻煙材として、木材をチップ状にしたスモークチップ、木片、又はピートを使用することを特徴とする請求項1又は2記載の芋焼酎の製造方法。
  4. 燻煙材として、香草又は香木を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の芋焼酎の製造方法。
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