本発明は、一般的な遺伝子発現、および、特に、哺乳動物および原核生物遺伝子発現の阻害のための化学的または構造的修飾siRNA化合物を提供する。本明細書では、3’末端に3’(または2’)オーバーハングとして1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含むsiRNAオリゴヌクレオチドの調製に有用な新規構造的モチーフ、これを含む組成物およびその使用方法が提供される。出願人は、1つ、および好ましくは、2つまたは3つの非ヌクレオチド部分のsiRNAの3’末端への付加により、siRNAの活性および/または安定性および/または送達の観点から好都合な特性が得られることを明らかにした。従って、既存のsiRNAを都合よく修飾でき、また、今後のsiRNAを設計し、産生してこの知見を利用することができる。理論に拘泥する意図はないが、本明細書で開示され、3’非ヌクレオチドオーバーハング(ZまたはZ’すなわちC3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb)を有する核酸分子は、アルゴノートのPAZドメインに認識され、RNAiを実行でき、また一方で、良好な安定性と活性を示す。
用語「3’末端」が、本出願の全体にわたり、非ヌクレオチド部分が結合しているsiRNA鎖の末端を示すために使用されているが、明確に別義が指示されていなければ、非ヌクレオチド部分、または「オーバーハング」は、オリゴヌクレオチド鎖の3’末端の(デオキシ)リボース部分の3’位置、またはオリゴヌクレオチド鎖の3’末端の(デオキシ)リボース部分の2’位置に、例えば、
(3’末端(デオキシ)リボース部分の3’位置に結合;図中、Bはヌクレオチド塩基、RはHまたはOH)または
(3’末端(デオキシ)リボース部分の2’位置に結合)のように、結合可能であることは理解されよう。
本明細書では、好都合な特性を有し、siRNAをどのような標的配列にも適用可能とし、また、二重鎖の3’末端の1つまたは両方で非ヌクレオチドオーバーハングを含む二重鎖核酸分子の新規構造が提供される。本明細書で開示される化学修飾されたsiRNAにおける修飾は、RNA干渉(RNAi)に役立つ安定で活性なsiRNA化合物の調製に有用である。
また、本出願は、1つまたは複数のこのようなオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物および疾患または状態および/またはそれに関連する症状が標的遺伝子の発現に関連しており、このような組成物を必要としている患者の疾患または状態の発生または重篤さの治療または予防の方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または状態は、下記からなる群より選択される:難聴、急性腎不全(ARF)、緑内障、急性呼吸促迫症候群(ARDS)および他の急性の肺および呼吸損傷、肺移植後虚血再灌流障害、眼性虚血状態、肺、肝臓、心臓、膵臓を含む臓器移植、および臓器移植後臓器機能障害(DGF)を含む腎臓移植、腎毒性および神経毒性、脊髄損傷、褥瘡、加齢黄斑変性(AMD)、ドライアイ症候群、口腔粘膜炎、虚血性視神経症(ION)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)。このような方法は、予防または治療有効量の、少なくとも1つのこのような遺伝子の発現または活性を阻害する、または低減させる1つまたは複数のこのような化合物を、このような治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む。このような化合物は、他の治療と同時にまたはその代わりに投与することが可能である。
オリゴヌクレオチドは、任意の哺乳動物または非哺乳動物遺伝子を標的にするよう選択される。種々の実施形態では、修飾化合物は、配列番号97〜68654のいずれかに設定されたオリゴヌクレオチド配列を含む(米国特許出願第11/978、089号および国際出願PCT/IL2007/001278号で開示されている。これらは、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる)。
一態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド3’末端オーバーハングを有する二重鎖siRNA化合物が提供される。本出願は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む合成二重鎖siRNA化合物を提供し、少なくとも1つのセンスまたはアンチセンス鎖が、3’末端に共有結合した、1、2、3、4、または5つの、好ましくは、2つまたは3つの非ヌクレオチド部分を含み、非ヌクレオチド部分は、逆位(inverted)脱塩基部分、脱塩基部分、アルキル(炭化水素)部分またはその誘導体、およびリン酸塩ベース部分から選択される。一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、逆位脱塩基部分、アルキル(炭化水素)部分またはその誘導体およびリン酸塩ベース部分から選択される。一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、アルキル(炭化水素)部分またはその誘導体を含む。本明細書では、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二重鎖核酸分子が提供され、少なくとも1つの鎖が、非ヌクレオチド部分が存在する鎖の3’末端ヌクレオチドの糖残基の3’または2’位置で共有結合した非ヌクレオチド部分を含み;非ヌクレオチド部分がプロパノール、リン酸ジエステルに結合したC3アルキル部分、ホスホロチオエートに結合したC3アルキル部分、デオキシリボ脱塩基(deoxyriboabasic)部分、リボ脱塩基(riboabasic)部分およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、リン酸塩ベース結合、好ましくは、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合、を介して糖残基に結合する。一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、アンチセンス鎖の3’末端にある糖残基の3’または2’位置に共有結合したC3アルキル部分を含む。種々の実施形態では、C3アルキル部分は、C3PiおよびC3OHから選択される。
一部の実施形態では、分子は、リン酸ジエステルもしくはホスホロチオエート結合により共有結合した2つもしくは3つのC3アルキル部分、またはリン酸ジエステルもしくはホスホロチオエート結合により脱塩基部分に共有結合した1つのC3アルキル部分を含む。好ましい実施形態では、分子は、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合により共有結合した2つのC3アルキル部分を含む。
一部の実施形態では、C3アルキル部分は、C3Pi−C3OH、C3Pi−C3Pi、C3Pi−C3Ps、C3Pi−C3Pi−C3OH、C3Ps−C3Ps−C3OH、C3Pi−C3Ps−C3OH、C3Ps−C3Pi−C3OH、C3Pi−C3Pi−C3Pi、C3Ps−C3Ps−C3Ps、C3Pi−C3Ps−C3Ps、C3Ps−C3Pi−C3Ps、C3Ps−C3Ps−C3Pi、C3Pi−C3Pi−C3Ps、C3Ps−C3Pi−C3PiまたはC3Pi−C3Ps−C3Pi部分から選択される。
他の実施形態では、分子は、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合により脱塩基部分に共有結合したC3アルキル部分を含み、脱塩基部分は、デオキシリボ脱塩基部分またはリボ脱塩基部分から選択される。一部の実施形態では、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合により脱塩基部分に共有結合したC3アルキル部分は、C3Pi−rAb、C3Pi−dAb、rAb−C3OH、rAb−C3Pi、dAb−C3OH、またはdAb−C3Piから選択される。
一部の実施形態では、構造(A1):
(A1) 5’ (N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
を有する二重鎖核酸分子が提供される。式中、各NおよびN’は、ヌクレオチドであり、非修飾もしくは修飾、または非通常(unconventional)部分であってもよく;
各(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、それぞれ連続したNまたはN’は、次のNまたはN’に共有結合により結合され;
少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖の3’末端に共有結合した非ヌクレオチド部分を含み;
z"は存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、共有結合で(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり;
各xおよびyは、独立に、18〜40の整数であり;
(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し相補的であり;さらに(N)xの配列は、標的RNAの連続した配列に対し相補的である。
一部の実施形態では、それぞれ連続したNまたはN’を結合している共有結合はリン酸ジエステル結合である。
一部の実施形態では、x=y=19〜27、例えば、19、20、21、22、23、24、25、26、27である。一部の実施形態では、x=yおよび各xおよびyは、19、20、21、22または23である。種々の実施形態では、x=y=19である。
一部の実施形態では、x=y=19であり、ZまたはZ’の1つが存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
一部の実施形態では、x=y=19であり、Z’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
好ましい実施形態では、x=y=19であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
好ましい実施形態では、x=y=19であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成され;Z’が存在し、1つの非ヌクレオチド部分から構成される。
さらなる実施形態では、x=y=19であり、ZおよびZ’が存在し、それぞれ独立に2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、二重鎖核酸分子は、アンチセンス鎖(5’末端)の位置1にDNA部分または標的に対するミスマッチを含む。このような構造は、本明細書に記載されている。一実施形態では、下記の構造(A2)を有する二重鎖核酸分子が提供される:
(A2) 5’ N1−(N)x−Z 3’(アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’(センス鎖)
それぞれ、N2、NおよびN’は、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非通常部分であり;
それぞれ(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、各連続したNまたはN’は隣接するNまたはN’に共有結合により結合し;
それぞれ、xおよびyは、独立に、17〜39の整数であり;
(N’)yの配列は、(N)xに相補的であり、また、(N)xは、標的RNAの連続した配列に相補的であり;
N1は、共有結合で(N)xに結合し、標的RNAにミスマッチであるか、または標的RNAに対し相補的なDNA部分であり;
N1は、天然もしくは修飾ウリジン、デオキシリボウリジン、リボチミジン、デオキシリボチミジン、アデノシンまたはデオキシアデノシン、からなる群より選択される部分であり;
z"は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり;さらに
少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖の3’末端に共有結合した非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、x=y=18であり、1つのZまたはZ’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
一部の実施形態では、x=y=18であり、Z’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
好ましい実施形態では、x=y=18であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
好ましい実施形態では、x=y=18であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成され;Z’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
さらなる実施形態では、x=y=18であり、ZおよびZ’が存在し、それぞれ独立に、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し完全に相補的である。種々の実施形態では、N2−(N’)yの配列は、N1−(N)xの配列に対して相補的である。一部の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し完全に相補的なアンチセンスを含む。他の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し実質的に相補的なアンチセンスを含む。
一部の実施形態では、N1およびN2は、ワトソン・クリック塩基対を形成する。一部の実施形態では、N1およびN2は、非ワトソン・クリック塩基対を形成する。一部の実施形態では、塩基対は、リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの間で形成される。
一部の実施形態では、x=y=18、x=y=19またはx=y=20である。好ましい実施形態では、x=y=18である。N1−(N)x中のx=18である場合、N1は位置1を指し、位置2〜19は(N)18に含まれる。N2−(N’)y中のy=18である場合、N2は位置19を指し、位置1〜18は(N’)18に含まれる。
一部の実施形態では、N1は、(N)xに共有結合し、標的RNAに対しミスマッチである。種々の実施形態では、N1は、(N)xに共有結合し、標的RNAに対し相補的なDNA部分である。
一部の実施形態では、N1およびN2は、ウリジンまたはデオキシウリジンおよびアデノシンまたはデオキシアデノシンの間で塩基対を形成する(rU−rA、rU−dA、dU−rA、dU−dA)。他の実施形態では、N1およびN2は、デオキシウリジンおよびアデノシンの間で塩基対を形成する。
一部の実施形態では、二重鎖核酸分子は、siRNA、siNAまたはmiRNAである。本明細書で提供される二重鎖核酸分子は、また、「二重鎖(duplex)」とも呼ばれる。
特定の好ましい実施形態では、x=y=18である。一部の実施形態では、N1およびN2は、ワトソン・クリック塩基対を形成する。他の実施形態では、N1およびN2は、非ワトソン・クリック塩基対を形成する。特定の実施形態では、N1は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシン、からなる群より選択される。他の実施形態では、N1は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジン、からなる群より選択される。
一部の実施形態では、それぞれ、NおよびN’は、非修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’は、化学修飾ヌクレオチドまたは非通常部分を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド(mirror nucleotide)、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分から選択される。一部の実施形態では、通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’は、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し実質的に相補的である。
一部の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し完全に相補的なアンチセンス配列を含む。他の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し実質的に相補的なアンチセンス配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、siRNA、siNAまたはmiRNAである。
構造A1およびA2の一部の実施形態では、Zが存在し、Z’が存在しない。他の実施形態では、Z’が存在し、Zが存在しない。さらなる実施形態では、ZおよびZ’両方が存在する。一部の実施形態では、ZおよびZ’が存在し、両者は同じある。さらなる実施形態では、ZおよびZ’が存在し、両者は異なっている。一部の実施形態では、ZおよびZ’は独立に、2、3、4もしくは5つの非ヌクレオチド部分または2、3、4、もしくは5つの非ヌクレオチド部分とヌクレオチドの組み合わせである。一部の実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’は、リン酸ジエステル結合を介してsiRNA鎖の3’末端に共有結合した2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
非ヌクレオチド部分は、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、アルキル部分またはその誘導体、および無機リン酸塩、からなる群より選択される。一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、アルキル部分またはその誘導体である。一部の実施形態では、アルキル部分は、アルコール、末端アミン、末端リン酸塩および末端ホスホロチオエート部分、からなる群より選択される末端官能基を含む。
一部の実施形態では、Zが存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分またはその誘導体、および無機リン酸塩、からなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zが存在し、2つのアルキル部分またはその誘導体から構成される。
さらなる実施形態では、Z’が存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、からなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Z’が存在し、1つまたは複数のアルキル部分またはその誘導体を含む。
一部の実施形態では、Zが存在し、2つのアルキル部分またはその誘導体から構成され、Z’が存在し、単一のアルキル部分またはその誘導体から構成される。
一部の実施形態では、それぞれ、ZおよびZ’が、脱塩基部分、例えば、デオキシリボ脱塩基部分(本明細書では、「dAb」と呼ぶ)またはリボ脱塩基部分(本明細書では、「rAb」と呼ぶ)を含む。一部の実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’が、2つの共有結合脱塩基部分を含み、例えば、5’>3’dAb−dAbまたはrAb−rAbまたはdAb−rAbまたはrAb−dAbである。各部分は、共有結合、好ましくは、リン酸ベース結合を介して隣接部分と共有結合する。一部の実施形態では、リン酸ベース結合はホスホロチオエート、ホスホノ酢酸またはリン酸ジエステル結合である。
一部の実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’は、独立に、C2、C3、C4、C5またはC6アルキル部分、任意選択で、C3[プロパン、−(CH2)3−]部分またはその誘導体、例えば、プロパノール(C3−OH)、プロパンジオール、またはプロパンジオールのリン酸ジエステル誘導体(「C3Pi」)を含む。好ましい実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’は、2つの炭化水素部分を含み、一部の例では、C3−C3である。それぞれ、C3は、共有結合、好ましくは、リン酸ベース結合を介して隣接のC3と共有結合する。一部の実施形態では、リン酸ベース結合は、ホスホロチオエート、ホスホノ酢酸またはリン酸ジエステル結合である。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖に共有結合した少なくとも2つの非ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、それぞれ、ZおよびZ’は、独立に、C3アルキル、C3アルコールまたはC3エステル部分を含む。一部の実施形態では、Z’が存在せず、Zが存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。一部の実施形態では、Zが存在せず、Z’が存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。
構造A1およびA2の一部の実施形態では、それぞれ、NおよびN’が非修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’は、化学修飾ヌクレオチドまたは非通常部を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分、から選択される。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’は、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は(N)xの配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N’)yの配列は(N)xの配列に対し実質的に相補的である。
他の実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、糖残基中で修飾された少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、化合物は、糖残基の2’位置の修飾を含む。一部の実施形態では、2’位置の修飾は、アミノ、フルオロ、アルコキシまたはアルキル部分の存在を含む。特定の実施形態では、2’修飾は、アルコキシ部分を含み、好ましい実施形態では、アルコキシ部分は、メトキシ部分(2’−O−メチル;2’OMe;2’−OCH3としても知られる)である。一部の実施形態では、核酸化合物は、アンチセンスおよびセンス鎖の片方または両方中の2’OMe糖修飾交互(alternating)リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、化合物は、アンチセンス鎖、(N)xまたはN1−(N)x、中にのみ2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、アンチセンス鎖の中間のリボヌクレオチド;例えば、19塩基長の鎖中の位置10のリボヌクレオチドは非修飾である。種々の実施形態では、核酸化合物は、少なくとも5つの交互2’OMe糖修飾および非修飾リボヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、交互位置中に修飾リボヌクレオチドを含み、ここで、(N)xまたはN1−(N)xの5’および3’末端の各リボヌクレオチドが糖残基中で修飾され、(N’)yまたはN2−(N)yの5’および3’末端の各リボヌクレオチドは、糖残基中で非修飾である。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、1つまたは複数の次の修飾を含む:
a)アンチセンス鎖の5’末端から5、6、7、8、または9の位置の内の少なくとも1つのNが、2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドから選択され;
b)センス鎖の5’末端から9または10の位置の内の少なくとも1つのN’が、2’5’ヌクレオチドおよびプソイドウリジンから選択され;さらに
c)(N’)yの3’末端位置の4、5、または6つの連続した位置中のN’が、2’5’ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、次の修飾の組み合わせを含む:
a)アンチセンス鎖が、5’末端から5、6、7、8、または9の位置の少なくとも1つに2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドを含み;さらに
b)センス鎖が、5’末端から9または10の位置に少なくとも1つの2’5’ヌクレオチドおよびプソイドウリジンを含む。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、次の修飾の組み合わせを含む:
a)アンチセンス鎖が、5’末端から5、6、7、8、または9の位置の少なくとも1つに2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドを含み;さらに
c)センス鎖が、3’の末端から2番目または3’末端位置に4、5、または6つの連続した2’5’ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、センス鎖[(N)xまたはN1−(N)x]が、1、2、3、4、5、6、7、8、または9つの2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖が、2、4、6、8、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、3、5、7、9、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖が、3、5、7、9、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖が、1つまたは複数の2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖中の全ピリミジンヌクレオチドが2’OMe糖修飾されている。一部の実施形態では、センス鎖が、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖が、独立に、3’末端および5’末端でリン酸化または非リン酸化される。構造A1および構造A2の一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖が、3’および5’末端で非リン酸化される。他の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖が、3’末端でリン酸化される。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、(N)yが、ミラーヌクレオチド、2’5’ヌクレオチドおよびTNAから選択される少なくとも1つの非通常部分を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチドである。種々の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−リボヌクレオチド(L−RNA)およびL−デオキシリボヌクレオチド(L−DNA)から選択される。好ましい実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNAである。特定の実施形態では、センス鎖が、9または10(5’末端から)の位置に非通常部分を含む。好ましい実施形態では、センス鎖が、9(5’末端から)の位置に非通常部分を含む。一部の実施形態では、センス鎖は、19ヌクレオチド長であり、15、(5’末端から)の位置に4、5、または6つの連続した非通常部分を含む。一部の実施形態では、センス鎖が、15、16、17、および18の位置に4つの連続した2’5’リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、センス鎖が、15、16、17、18および19の位置に5つの連続した2’5’リボヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、センス鎖がさらにZ’を含む。一部の実施形態では、Z’は、C3OH部分またはC3Pi部分を含む。
構造A1の一部の実施形態では、(N’)yは、少なくとも1つのL−DNA部分を含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yが、1〜17および19の位置の非修飾リボヌクレオチドおよび3’末端から2番目の位置(位置18)の1つのL−DNAから構成される。他の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yが、1〜16および19の位置の非修飾リボヌクレオチドおよび3’末端から2番目の位置(位置17と18)の2つの連続したL−DNAから構成される。種々の実施形態では、非通常部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により、隣接するヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。種々の実施形態では、(N’)yは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合した3’末端の2、3、4、5、または6つの連続したリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、(N’)yの3’末端の4つの連続したヌクレオチドが、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、2’−5’リン酸ジエステル結合を形成する1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチドが3’−O−メチル(3’OMe)糖修飾をさらに含む。(N’)yの3’末端ヌクレオチドが2’OMe糖修飾を含むのが好ましい。特定の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yが、15、16、17、18および19の位置に、2’−5’ヌクレオチド間結合(2’−5’ヌクレオチド)により隣接ヌクレオチドと結合した2つ以上の連続したヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、2’−5’ヌクレオチド間結合を形成するヌクレオチドは、3’デオキシリボースヌクレオチドまたは3’メトキシヌクレオチド(3’Hまたは3’OHの代わりに3’OMe)を含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、15、16および17の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドが15−16、16−17および17−18の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合され;または、15、16、17、18、および19の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドが15−16、16−17、17−18および18−19の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合され、さらに3’OHが、3’末端ヌクレオチドまたは16、17および18の位置で利用可能となり、それにより、隣接ヌクレオチドが、16−17、17−18および18−19の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合される。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yが、16および17の位置または17および18の位置または15および17の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドが、16−17および17−18の位置間または17−18および18−19の位置間または15−16および17−18の位置間で2’−5’ヌクレオチド間結合によりそれぞれ結合される。他の実施形態では、(N’)y中のピリミジンリボヌクレオチド(rU、rC)が、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合されたヌクレオチドに置換される。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yが、4つの2’−5’結合、具体的には、15−16、16−17、17−18および18−19の位置のヌクレオチドの間の結合、により3’末端で結合された5つの連続したヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、4つの2’−5’結合により3’末端で結合された5つの連続したヌクレオチドを含み、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップ、から独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。C3アルキルキャップは、3’または5’末端ヌクレオチドに共有結合している。一部の実施形態では、3’のC3末端キャップは、3’リン酸塩をさらに含む。一部の実施形態では、3’のC3末端キャップは、3’末端ヒドロキシル基をさらに含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、L−DNAの位置18を含み;さらに(N’)yは、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップ、から独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。
一部の実施形態では、(N’)yは、3’末端リン酸塩(すなわち、3’末端でリン酸化されている)を含む。一部の実施形態では、(N’)yは、3’末端ヒドロキシルを含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置または2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置の2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、(N)x中の全ピリミジンは、2’OMe糖修飾を含む。
構造A2の一部の実施形態では、x=y=18であり、N2はリボアデノシン部分である。一部の実施形態では、x=y=18、であり、N2−(N’)yは、4つの2’−5’結合、具体的には、15−16、16−17、17−18および18−19の位置のヌクレオチド間の結合により結合された3’末端の5つの連続したヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、結合は、リン酸ジエステル結合を含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N2−(N’)yは、4つの2’−5’結合により結合された3’末端の5つの連続したヌクレオチドを含み、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップ、から独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N2−(N’)yは、L−DNA位置18を含み;さらに(N’)yが、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップ、から独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。一部の実施形態では、N2−(N’)yは、3’末端リン酸塩を含む。一部の実施形態では、N2−(N’)yは、3’末端ヒドロキシルを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置に、または1、3、5、9、11、13、15、17、19の位置に、または3、5、9、11、13、15、17の位置に、または2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、11、13、15、17および19(5’末端から)の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置にまたは3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、(N)x中の全ピリミジンは、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、5、6または7(5’>3’)の位置にL−DNAまたは2’−5’ヌクレオチドをさらに含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、リボヌクレオチドをさらに含み、これは、5−6または6−7(5’>3’)の位置のリボヌクレオチド間の2’5’ヌクレオチド間結合を生成する。
さらなる実施形態では、N1−(N)xは、Zをさらに含み、ここでZは、非ヌクレオチドオーバーハングを含む。一部の実施形態では、非ヌクレオチドオーバーハングは、C3-C3[1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]2である。
構造A2の一部の実施形態では、(N)yは、少なくとも1つのL−DNA部分を含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、1〜16および18の位置および3’末端から2番目の位置(位置17)の1つのL−DNAの非修飾リボヌクレオチドから構成される。他の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、1〜15および18の位置および3’末端から2番目の位置(位置16および17)の2つの連続したL−DNAの非修飾リボヌクレオチドから構成される。種々の実施形態では、非通常部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。種々の実施形態では、(N’)yは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合した3’末端の2、3、4、5、または6つの連続したリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、(N’)yの3’末端の4つの連続したヌクレオチドが、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、2’−5’リン酸ジエステル結合を形成する1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチドが3’−O−メチル(3’OMe)糖修飾をさらに含む。(N’)yの3’末端ヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含むのが好ましい。特定の実施形態では、x=y=18であり、(N’)y中の14、15、16、17、および18の位置の2つ以上の連続したヌクレオチドが、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、2’−5’ヌクレオチド間結合を形成するヌクレオチドは、3’デオキシリボースヌクレオチドまたは3’メトキシヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、15−16、16−17および17−18の位置の間または16−17および17−18の位置の間の2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、14−15、15−16、16−17、および17−18の位置の間または15−16、16−17、および17−18の位置の間または16−17および17−18の位置の間または17−18の位置の間または15−16および17−18の位置の間の2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N’)y中のピリミジンリボヌクレオチド(rU、rC)が、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドで置換される。
C3アルキル部分は、(N’)yの3’末端および/またはリン酸ジエステル結合を介して(N)xの3’末端に共有結合可能である。一部の実施形態では、アルキル部分は、プロパノール、リン酸プロピルまたはプロピルホスホロチオエートを含む。一部の実施形態では、それぞれ、ZおよびZ’は、プロパノール、リン酸プロピル、プロピルホスホロチオエート、これらの組み合わせまたはそれらの倍数結合体、特に、2つまたは3つのプロパノール、リン酸プロピル、プロピルホスホロチオエートが共有結合したもの、またはそれらの組み合わせ、から独立に選択される。
一部の実施形態では、それぞれ、ZおよびZ’は、リン酸プロピル、プロピルホスホロチオエート、プロピルホスホ−プロパノール;プロピルホスホ−プロピルホスホロチオエート;プロピルホスホ−リン酸プロピル;(リン酸プロピル)3、(リン酸プロピル)2−プロパノール、(リン酸プロピル)2−プロピルホスホロチオエート、から独立に選択される。いずれのプロパンまたはプロパノール結合部分もZまたはZ’中に含めることが可能である。
さらなる実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’が、脱塩基部分および非修飾デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの組み合わせ、または炭化水素部分および非修飾デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの組み合わせ、または脱塩基部分(デオキシリボもしくはリボ)および炭化水素部分の組み合わせを含む。このような実施形態では、それぞれ、Zおよび/またはZ’が、C3Pi−rAb、C3Ps−rAb、C3Ps−dAbまたはC3Pi−dAbを含む。
特定の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の修飾リボヌクレオチドまたは非通常部分をさらに含むsiRNA化合物を提供し、この化合物では、修飾ヌクレオチドは、糖部分、塩基部分またはヌクレオチド間結合部分に修飾を有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のNまたはN’が、2’OMe修飾リボヌクレオチド、2’5’またはL−ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N)xは、修飾および非修飾リボヌクレオチドを含み、それぞれ、修飾リボヌクレオチドは、糖(2’OMe修飾または2’OMe糖修飾)上に2’−O−メチルを有し、(N)xの3’末端のNが修飾リボヌクレオチドであり、(N)xが3’末端から始まる合計で少なくとも5つの交互修飾リボヌクレオチドおよび少なくとも9つの修飾リボヌクレオチドを含み、残っているNが、それぞれ非修飾リボヌクレオチドである。
一部の実施形態では、少なくとも1つの(N)xおよび(N’)yが、少なくとも1つのミラーヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N’)y中に少なくとも1つの非通常部分が存在し、非通常部分は、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾または非修飾デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド、および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチド、から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1つのN’は、ミラーヌクレオチドである。
一部の実施形態では、非通常部分は、L−DNAミラーヌクレオチドである。さらなる実施形態では、x=y=19であり、(N’)yの15、16、17、または18の内の1つの位置に少なくとも1つの非通常部分が存在する。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、位置17、位置18または位置17および18にL−DNA部分が存在する。
一部の実施形態では、非通常部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。さらなる実施形態では、x=y=19であり、(N’)y中の15−19または16−19または17−19の位置のヌクレオチドが、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合される。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)y中の15−19または16−19または17−19または15−18または16−18の位置のヌクレオチドが、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合される。
一部の実施形態では、(N)xは、9つの交互修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N)xは、9つの交互修飾リボヌクレオチドを含み、位置2に2’OMe修飾ヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態では、x=19であり、(N)xは、奇数位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N)xは、位置2および18の片方または両方に2’OMe修飾リボヌクレオチドをさらに含む。さらに他の実施形態では、(N)xは、位置2、4、6、8、11、13、15、17、19に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)x中の少なくとも1つのピリミジンヌクレオチドが、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、(N)x中の全ピリミジンヌクレオチドが、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、N(x)中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ピリミジンヌクレオチドが、2’OMe糖修飾を含む。
種々の実施形態では、z"が存在し、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボース部分;C3部分、C6−アミノ−Pi;ミラーヌクレオチド、から選択される。
特定の実施形態では、(N)xは、標的配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N)xは、標的配列に対し実質的に相補的である。一部の実施形態では、(N)xは、標的配列に対し1つのミスマッチを含む。好ましい実施形態では、(N)xは、(N)xの5’末端、すなわち、位置1に、標的配列に対し1つのヌクレオチドミスマッチを含む。
特定の実施形態では、(N)xおよび(N’)yは、完全に相補的である。他の実施形態では、(N)xおよび(N’)yは、実質的に相補的である。
一部の実施形態では、(N)xは、位置1で標的配列に対し1つのミスマッチを含み、(N)xおよび(N’)yは、完全に相補的である。一部の実施形態では、(N)xは、位置1で標的配列に対し1つのヌクレオチドミスマッチを含み、(N’)yは、位置1で(N)xに対し1つのヌクレオチドミスマッチを含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)x中の位置2〜19の18の連続したヌクレオチドは、標的RNA中の18の連続したヌクレオチドに対し相補的であり、位置1のヌクレオチドは、標的RNA配列に対しミスマッチである。種々の実施形態では、(N)x中の位置1のヌクレオチドは、リボウラシル、修飾リボウラシル、デオキシリボウラシル、修飾デオキシリボウラシル、プソイドウラシル、デオキシプソイドウラシル、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボシトシン、修飾リボシトシン、デオキシリボシトシン、修飾デオキシリボシトシン、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分、からなる群より選択される部分で置換される。一部の実施形態では、(N)x中の位置1のヌクレオチドは、リボウラシル、修飾リボウラシル、デオキシリボウラシル、修飾デオキシリボウラシル、からなる群より選択される部分で置換される。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)x中の位置2〜19の18の連続したヌクレオチドは、標的RNA中の18の連続したヌクレオチドに対し相補的であり、位置1のヌクレオチドは、標的RNA配列に対しミスマッチであり、(N’)yの位置19のヌクレオチドは、(N)xの位置1のヌクレオチドに対し相補的である。他の実施形態では、x=y=19であり、(N)xの位置1のヌクレオチドは、標的mRNA配列に対しミスマッチであり、(N’)yの位置19のヌクレオチドは、(N)xの位置1のヌクレオチドに対しミスマッチである。
本明細書で開示の二重鎖核酸分子は、平滑末端、または3’dTdTを有する分子に比べて、改善された安定性および/または改善された活性および/または低減されたオフターゲット効果および/または低減された免疫応答および/または強化された細胞による取り込みを示すという点で有利である。
他の実施形態としては、x=y=21またはx=y=23の場合を想定できる。構造(A1)および(A(2)は、哺乳動物または非哺乳動物(例えば、ウイルス、細菌性、植物)遺伝子に対する既知のおよび将来のオリゴヌクレオチド対(センスおよびアンチセンス鎖)にとって有用である。一部の実施形態では、哺乳動物遺伝子は、ヒト遺伝子である。種々の実施形態では、ヒト遺伝子のmRNAは、国際特許公開公報第2009/044392号で説明されている。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチド対は、国際特許公開公報第2009/044392号で説明されている。さらなる実施形態では、構造(A1)または(A2)は、国際特許公開公報第2009/044392号で説明されている修飾およびモチーフをさらに含む。
別の態様では、本発明は、ヒト遺伝子発現を阻害するのに有効な量の本発明の分子および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。
さらに具体的には、本発明は、急性腎不全(ARF)、難聴、緑内障、急性呼吸促迫症候群(ARDS)および他の急性の肺および呼吸障害、肺、腎臓、骨髄、心臓、膵臓、角膜もしくは肝臓移植を含むおよび臓器移植後臓器機能障害(DGF)腎毒性を含む臓器移植傷害(例えば、虚血-再潅流障害)、脊髄損傷、褥瘡、ドライアイ症候群、口腔粘膜炎、虚血性視神経症(ION)ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)、に罹患している患者の治療に有用な方法と組成物を提供する。
本発明の方法は、遺伝子の発現を阻害する1つまたは複数のsiRNA化合物を患者に投与することを含む。本明細書で開示される新規構造は、任意の標的遺伝子に対するアンチセンスおよび対応するセンス核酸配列中に組み込んだ場合、その標的遺伝子の発現の低減に有用なsiRNA化合物を提供する。標的遺伝子は、哺乳動物または非哺乳動物遺伝子である。
発明の詳細な説明
本出願は、センスおよびアンチセンス鎖の片方または両方の3’末端に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド部分を含む二重鎖siRNA化合物に関する。非ヌクレオチド部分は、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、アルキル部分またはその誘導体、および無機リン酸塩から選択される。
構造設計
一態様では、本明細書では、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二重鎖核酸分子が提供され、少なくとも1つの鎖が3’末端末端に共有結合した1、2、3、4、または5つの非ヌクレオチド部分を含み;非ヌクレオチド部分が、アルキル(炭化水素)部分またはその誘導体およびリン酸塩ベース部分から選択される。特定の好ましい実施形態では、非ヌクレオチド部分は、アルキル部分またはアルキル誘導体部分を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの鎖は、アンチセンス鎖である。好ましい実施形態では、アンチセンス鎖は、3’末端末端に共有結合した、C3−C3、C3−C3−Pi、C3−C3−Ps、idAb−idAbを含む、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、構造(A1)を有する二重鎖核酸分子が提供される:
(A1) 5’ (N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、それぞれ、NおよびN’は、ヌクレオチドであり、非修飾または修飾、または非通常部分であってもよく;
それぞれ、(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、それぞれ、連続したNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合で結合し;
少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖の3’末端に共有結合した非ヌクレオチド部分を含み;
z"は存在しても、存在しなくてもよいが、存在する場合は、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり;
それぞれ、xおよびyは、独立に、18〜40の間の整数であり;
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補性を有し;さらに(N)xの配列は、標的RNA中の連続した配列に相補性を有する。
一部の実施形態では、それぞれ連続したNまたはN’を結合している共有結合は、リン酸ジエステル結合である。
一部の実施形態では、x=y=19〜27、例えば、19、20、21、22、23、24、25、26、27である。一部の実施形態では、x=yであり、それぞれ、xおよびyは、19、20、21、22または23である。種々の実施形態では、x=y=19である。
一部の実施形態では、x=y=19であり、1つのZまたはZ’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
一部の実施形態では、x=y=19であり、Z’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
好ましい実施形態では、x=y=19であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
好ましい実施形態では、x=y=19であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成され、また、Z’が存在し、1つの非ヌクレオチド部分から構成される。
さらなる実施形態では、x=y=19であり、ZおよびZ’が存在し、それぞれ独立に、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、二重鎖核酸分子は、アンチセンス鎖の位置1(5’末端)で、標的に対しDNA部分またはミスマッチを含む。このような構造は、本明細書に記載されている。一実施形態では、以下に示されている構造(A2)を有する二重鎖核酸分子が提供される:
(A2) 5’ N1−(N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、それぞれ、N2、NおよびN’は、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非通常部分であり;
それぞれ、(N)xおよび(N’)yは、それぞれ、連続したNまたはN’が隣接NまたはN’に共有結合で結合しているオリゴヌクレオチドであり;
それぞれ、xおよびyは、独立に、17〜39の間の整数であり;
(N’)yの配列が、(N)xの配列に対し相補性を有し、(N)xが、標的RNA中の連続した配列に対し相補性を有し;
N1が、(N)xに共有結合し、標的RNAに対しミスマッチであるか、または標的RNAに対し相補的なDNA部分であり;
N1は、天然または修飾ウリジン、デオキシリボウリジン、リボチミジン、デオキシリボチミジン、アデノシンまたはデオキシアデノシン、からなる群より選択される部分であり;
z"は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり;さらに
少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖の3’末端に共有結合した非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、x=y=18であり、1つのZまたはZ’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
一部の実施形態では、x=y=18であり、Z’が存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
好ましい実施形態では、x=y=18であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
好ましい実施形態では、x=y=18であり、Zが存在し、2つの非ヌクレオチド部分から構成され、また、Z’が存在し、1つの非ヌクレオチド部分から構成される。
さらなる実施形態では、x=y=18であり、ZおよびZ’が存在し、それぞれ独立に、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し完全に相補的である。種々の実施形態では、N2−(N’)yの配列は、N1−(N)xの配列に対して相補的である。一部の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し完全に相補的なアンチセンスを含む。他の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し実質的に相補的なアンチセンスを含む。
一部の実施形態では、N1およびN2は、ワトソン・クリック塩基対を形成する。一部の実施形態では、N1およびN2は、非ワトソン・クリック塩基対を形成する。一部の実施形態では、塩基対は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの間で形成される。
一部の実施形態では、x=y=18、x=y=19またはx=y=20である。好ましい実施形態では、x=y=18である。N1−(N)xのx=18である場合、N1は位置1を指し、位置2〜19は、(N)18に含まれ、N2−(N’)yのy=18である場合、N2は、位置19を指し、位置1〜18は、(N’)18に含まれる。
一部の実施形態では、N1は、(N)xに共有結合し、標的RNAに対しミスマッチである。種々の実施形態では、N1は、(N)xに共有結合し、標的RNAに対し相補的なDNA部分である。
一部の実施形態では、アンチセンス鎖の位置1のウリジンは、アデノシン、デオキシアデノシン、デオキシウリジン(dU)、リボチミジンまたはデオキシチミジン、から選択されるN1で置換される。種々の実施形態では、N1は、アデノシン、デオキシアデノシンまたはデオキシウリジンから選択される。
一部の実施形態では、アンチセンス鎖の位置1のグアノシンは、アデノシン、デオキシアデノシン、ウリジン、デオキシウリジン、リボチミジンまたはデオキシチミジン、から選択されるN1で置換される。種々の実施形態では、N1は、アデノシン、デオキシアデノシン、ウリジンまたはデオキシウリジン、から選択される。
一部の実施形態では、アンチセンス鎖の位置1のシチジンは、アデノシン、デオキシアデノシン、ウリジン、デオキシウリジン、リボチミジンまたはデオキシチミジン、から選択されるN1で置換される。種々の実施形態では、N1は、アデノシン、デオキシアデノシン、ウリジンまたはデオキシウリジン、から選択される。
一部の実施形態では、アンチセンス鎖の位置1のアデノシンは、デオキシアデノシン、デオキシウリジン、リボチミジンまたはデオキシチミジン、から選択されるN1で置換される。種々の実施形態では、N1は、デオキシアデノシンまたはデオキシウリジン、から選択される。
一部の実施形態では、N1およびN2は、ウリジンまたはデオキシウリジン、およびアデノシンまたはデオキシアデノシンとの間で塩基対を形成する。他の実施形態では、N1およびN2は、デオキシウリジンおよびアデノシンの間で塩基対を形成する。
一部の実施形態では、二重鎖核酸分子は、siRNA、siNAまたはmiRNAである。本明細書で提供される二重鎖核酸分子は、また、「二重鎖(duplex)」とも呼ばれる。
特定の好ましい実施形態では、x=y=18である。一部の実施形態では、N1およびN2は、ワトソン・クリック塩基対を形成する。他の実施形態では、N1およびN2は、非ワトソン・クリック塩基対を形成する。特定の実施形態では、N1は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシン、からなる群より選択される。他の実施形態では、N1は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジン、からなる群より選択される。
特定の実施形態では、アンチセンス鎖の位置1(5’末端)は、デオキシリボウリジン(dU)またはアデノシンを含む。一部の実施形態では、N1は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシン、からなる群より選択され、N2は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジン、からなる群より選択される。特定の実施形態では、N1は、リボアデノシンおよび修飾リボアデノシン、からなる群より選択され、N2は、リボウリジンおよび修飾リボウリジン、からなる群より選択される。
特定の実施形態では、N1は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジン、からなる群より選択され、N2は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシン、からなる群より選択される。特定の実施形態では、N1は、リボウリジンおよびデオキシリボウリジン、からなる群より選択され、N2は、リボアデノシンおよび修飾リボアデノシン、からなる群より選択される。特定の実施形態では、N1は、リボウリジンであり、N2は、リボアデノシンである。特定の実施形態では、N1は、デオキシリボウリジンであり、N2は、リボアデノシンである。
構造(A2)の一部の実施形態では、N1は、2’OMe糖修飾リボウラシルまたは2’OMe糖修飾リボアデノシンを含む。構造(A2)の特定の実施形態では、N2は、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む。
構造(A2)の一部の実施形態では、N1は、2’OMe糖修飾リボウラシルまたは2’OMe糖修飾リボシトシンを含む。構造(A2)の特定の実施形態では、N2は、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、それぞれNおよびN’は、非修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’が、化学修飾ヌクレオチドまたは非通常部分を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分から選択される。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’が、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し実質的に相補的である。
一部の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し完全に相補的なアンチセンス配列を含む。他の実施形態では、(N)xは、標的RNA中の約17〜約39の連続したヌクレオチドに対し実質的に相補的なアンチセンス配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書で開示される核酸分子は、siRNA、siNAまたはmiRNAである。
構造A1およびA2の一部の実施形態では、Zが存在し、また、Z’が存在しない。他の実施形態では、Z’が存在し、また、Zが存在しない。さらなる実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在する。一部の実施形態では、ZおよびZ’が存在し、両者は同じである。さらなる実施形態では、ZおよびZ’が存在し、両者は異なる。一部の実施形態では、ZおよびZ’は、独立に、2、3、4または5つの非ヌクレオチド部分または2、3、4、または5つの非ヌクレオチド部分およびヌクレオチドの組み合わせである。一部の実施形態では、それぞれZおよび/またはZ’は、リン酸ジエステル結合経由でsiRNA鎖の3’末端に共有結合した2つの非ヌクレオチド部分から構成される。
非ヌクレオチド部分は、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、アルキル部分またはその誘導体、および無機リン酸塩、からなる群より選択される。一部の実施形態では、非ヌクレオチド部分は、アルキル部分またはその誘導体である。一部の実施形態では、アルキル部分は、アルコール、末端アミン、末端リン酸塩および末端ホスホロチオエート部分、からなる群より選択される末端官能基を含む。
一部の実施形態では、Zが存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分またはその誘導体、および無機リン酸塩、からなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zが存在し、2つのアルキル部分またはその誘導体から構成される。
さらなる実施形態では、Z’が存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、からなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Z’が存在し、1つまたは複数のアルキル部分またはその誘導体を含む。
一部の実施形態では、Zが存在し、2つのアルキル部分またはその誘導体から構成され、また、Z’が存在し、単一アルキル部分またはその誘導体から構成される。
一部の実施形態では、それぞれZおよびZ’は、脱塩基部分、例えば、デオキシリボ脱塩基部分(本明細書では「dAb」と呼ぶ)またはリボ脱塩基部分(本明細書では「rAb」と呼ぶ)を含む。一部の実施形態では、それぞれZおよび/またはZ’は、2つの共有結合で結合した脱塩基部分を含み、例えば、5’>3’dAb−dAbまたはrAb−rAbまたはdAb−rAbまたはrAb−dAbである。それぞれの部分は、共有結合、好ましくは、リン酸ベース結合経由で隣接部分に共有結合する。一部の実施形態では、リン酸ベース結合は、ホスホロチオエート、ホスホノ酢酸またはリン酸ジエステル結合である。
一部の実施形態では、それぞれZおよび/またはZ’は、独立に、C2、C3、C4、C5またはC6アルキル部分、任意選択で、C3[プロパン、−(CH2)3−]部分またはその誘導体、例えば、プロパノール(C3−OH)、プロパンジオール、またはプロパンジオール(「C3Pi」)のリン酸ジエステル誘導体を含む。好ましい実施形態では、それぞれZおよび/またはZ’は、2つの炭化水素部分を含み、一部の例では、それはC3−C3である。それぞれC3は、共有結合、好ましくは、リン酸ベース結合経由で隣接C3に共有結合している。一部の実施形態では、リン酸ベース結合は、ホスホロチオエート、ホスホノ酢酸またはリン酸ジエステル結合である。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、少なくとも1つのZまたはZ’が存在し、ZまたはZ’が存在する鎖に共有結合した少なくとも2つの非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、それぞれZおよびZ’は、独立に、C3アルキル、C3アルコールまたはC3エステル部分を含む。一部の実施形態では、Z’が存在せず、Zが存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。一部の実施形態では、Zが存在せず、Z’が存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。
構造A1およびA2の一部の実施形態では、それぞれNおよびN’は、非修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’が、化学修飾ヌクレオチドまたは非通常部分を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分、から選択される。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’が、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N’)yの配列は、(N)xの配列に対し実質的に相補的である。
他の実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、糖残基中で修飾された少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、化合物は、糖残基の2’位置に修飾を含む。一部の実施形態では、2’位置の修飾は、アミノ、フルオロ、アルコキシまたはアルキル部分の存在を含む。特定の実施形態では、2’修飾は、アルコキシ部分を含み、好ましい実施形態では、アルコキシ部分は、メトキシ部分(2’−O−メチル;2’OMe;2’−OCH3としても知られる)である。一部の実施形態では、核酸化合物は、アンチセンスおよびセンス鎖の片方または両方に2’OMe糖修飾交互リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、化合物は、アンチセンス鎖、(N)xまたはN1−(N)x、中にのみ2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、アンチセンス鎖の中間(中位)のリボヌクレオチド;例えば、19塩基長鎖中の位置10のリボヌクレオチドは非修飾である。種々の実施形態では、核酸化合物は、少なくとも5つの交互2’OMe糖修飾および非修飾リボヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、交互位置の修飾リボヌクレオチドを含み、(N)xまたはN1−(N)xの5’および3’末端のそれぞれのリボヌクレオチドは、その糖残基中で修飾され、(N’)yまたはN2−(N)yの5’および3’末端のそれぞれのリボヌクレオチドは、その糖残基中で非修飾である。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、1つまたは複数の次の修飾を含む。
a)アンチセンス鎖の5’末端から5、6、7、8、または9の位置の少なくとも1つのNが、2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドから選択され;
b)センス鎖の5’末端から9または10の位置の少なくとも1つのN’は、2’5’ヌクレオチドおよびプソイドウリジンから選択され;および
c)(N’)yの3’末端位置の4、5、または6連続した位置のN’は、2’5’ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、次の修飾の組み合わせを含む。
a)アンチセンス鎖は、5’末端から5、6、7、8、または9の少なくとも1つの位置の2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドを含み;および
b)センス鎖は、5’末端から9または10の位置に少なくとも1つの2’5’ヌクレオチドおよびプソイドウリジンを含む。
一部の実施形態では、二重鎖分子は、以下の修飾の組み合わせを含む。
a)アンチセンス鎖は、5’末端から5、6、7、8、または9の少なくとも1つの位置に2’5’ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドを含み;および
c)センス鎖は、3’末端から2番目または3’末端位置に4、5、または6連続した2’5’ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、センス鎖[(N)xまたはN1−(N)x]は、1、2、3、4、5、6、7、8、または9つの2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、2、4、6、8、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、1、3、5、7、9、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、3、5、7、9、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、1つまたは複数の2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖の全てのピリミジンヌクレオチドは、2’OMe糖修飾である。一部の実施形態では、センス鎖は、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、3’末端および5’末端で、独立に、リン酸化されているか、または非リン酸化型である。構造A1および構造A2の一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、3’および5’末端で非リン酸化型である。他の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、3’末端でリン酸化されている。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、(N)yは、ミラーヌクレオチド、2’5’ヌクレオチドおよびTNAから選択される少なくとも1つの非通常部分を含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチドである。種々の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−リボヌクレオチド(L−RNA)およびL−デオキシリボヌクレオチド(L−DNA)から選択される。好ましい実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNAである。特定の実施形態では、センス鎖は、9の位置または10の位置に(5’末端から)非通常部分を含む。好ましい実施形態では、センス鎖は、9の位置に(5’末端から)非通常部分を含む。一部の実施形態では、センス鎖は、19のヌクレオチド長さであり、15の位置に(5’末端から)4、5、または6連続した非通常部分を含む。一部の実施形態では、センス鎖は、15、16、17、および18の位置に4連続した2’5’リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、センス鎖は、15、16、17、18および19の位置に5連続した2’5’リボヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、センス鎖は、Z’をさらに含む。一部の実施形態では、Z’は、C3OH部分またはC3Pi部分を含む。
構造A1の一部の実施形態では、(N’)yは、少なくとも1つのL−DNA部分を含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、1〜17および19の位置の非修飾リボヌクレオチド、および3’末端から2番目の位置(位置18)の1つのL−DNAにより構成される。他の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、1〜16および19の位置の非修飾リボヌクレオチド、および2つの連続した3’末端から2番目の位置(位置17と18)のL−DNAにより構成される。種々の実施形態では、非通常部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。種々の実施形態では、(N’)yは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合された3’末端の2、3、4、5、または6連続したリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、(N’)yの3’末端の4つの連続したヌクレオチドが3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、2’−5’リン酸ジエステル結合を形成する1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチドが、3’−O−メチル(3’OMe)糖修飾をさらに含む。好ましくは、(N’)yの3’末端ヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含む。特定の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、15、16、17、18および19の位置に、2’−5’ヌクレオチド間結合(2’−5’ヌクレオチド)により隣接ヌクレオチドに結合した2つ以上の連続したヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、2’−5’ヌクレオチド間結合を形成しているヌクレオチドは、3’デオキシリボースヌクレオチドまたは3’メトキシヌクレオチド(3’OHの代わりに3’Hまたは3’OMe)を含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、位置15、16および17の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドは、15〜16、16〜17および17〜18の位置の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合され;または15、16、17、18、および19の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドは、15〜16、16〜17、17〜18および18〜19の位置の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合され、3’OHは、3’末端ヌクレオチドの位置または16、17および18の位置で利用可能となり、それにより、隣接ヌクレオチドは、16〜17、17〜18および18〜19の位置の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合される。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、16および17または17および18または15および17の位置に2’−5’ヌクレオチドを含み、それにより、隣接ヌクレオチドは、それぞれ、16〜17および17〜18の位置の間、または17〜18および18〜19の位置の間、または15〜16および17〜18の位置の間で2’−5’ヌクレオチド間結合により結合される。他の実施形態では、(N’)y中のピリミジンリボヌクレオチド(rU、rC)が、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合されたヌクレオチドで置換される。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、4つの2’−5’結合、特に、15〜16、16〜17、17〜18および18〜19のヌクレオチド位置の間の結合により結合された3’末端に、5つの連続したヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、4つの2’−5’結合で結合された3’末端に5つの連続したヌクレオチドを含み、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップから独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。C3アルキルキャップは、3’または5’末端ヌクレオチドに共有結合している。一部の実施形態では、3’C3末端キャップは、3’リン酸塩をさらに含む。一部の実施形態では、3’C3末端キャップは、3’末端ヒドロキシル基をさらに含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、L−DNA位置18を含み;(N’)yは、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップから独立に選択されるZ’およびz’をさらに含む。
一部の実施形態では、(N’)yは、3’末端リン酸塩(すなわち、3’末端でリン酸化された)を含む。一部の実施形態では、(N’)yは、3’末端ヒドロキシルを含む。
一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置または2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、(N)x中の全ピリミジンは、2’OMe糖修飾を含む。
構造A2の一部の実施形態では、x=y=18であり、N2は、リボアデノシン部分である。一部の実施形態では、x=y=18であり、N2−(N’)yは、4つの2’−5’結合、特に、結合15〜16、16〜17、17〜18および18〜19の位置のヌクレオチドの間の結合により結合された3’末端に5つの連続したヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、結合は、リン酸ジエステル結合を含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N2−(N’)yは、4つの2’−5’結合により結合された3’末端に5つの連続したヌクレオチドを含み、任意選択で、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップから選択されるZ’およびz’をさらに独立に含む。一部の実施形態では、x=y=18であり。N2−(N’)yは、L−DNA位置18を含み;任意選択で、(N’)yは、逆位脱塩基部分およびC3アルキル[C3;1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]キャップから選択されるZ’およびz’を独立にさらに含む。一部の実施形態では、N2−(N’)yは、3’末端リン酸塩を含む。一部の実施形態では、N2−(N’)yは、3’末端ヒドロキシルを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置にまたは1、3、5、9、11、13、15、17、19の位置にまたは3、5、9、11、13、15、17の位置に、または2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、11、13、15、17および19(5’末端から)の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置にまたは3、5、7、9、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、x=y=18であり、N1−(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、(N)x中の全てのピリミジンは、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、5、6または7(5’>3’)位置にL−DNAまたは2’−5’ヌクレオチドをさらに含む。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、リボヌクレオチドをさらに含み、5〜6または6〜7(5’>3’)のリボヌクレオチド位置の間に2’5’ヌクレオチド間結合を生成する。
さらなる実施形態では、N1−(N)xは、Zをさらに含み、Zは、非ヌクレオチドオーバーハングを含む。一部の実施形態では、非ヌクレオチドオーバーハングは、C3-C3[1、3−プロパンジオールモノ(リン酸二水素)]2である。
構造A2の一部の実施形態では、(N)yは、少なくとも1つのL−DNA部分を含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、1〜16および18の位置の非修飾リボヌクレオチドならびに3’末端から2番目の位置(位置17)の1つのL−DNAから構成される。他の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、1〜15および18の位置の非修飾リボヌクレオチドおよび2つの連続した3’末端から2番目の位置(位置16と17)のL−DNAから構成される。種々の実施形態では、非通常部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。種々の実施形態では、(N’)yは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合した3’末端に2、3、4、5、または6つの連続したリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、(N’)yの3’末端の4つの連続したヌクレオチドは、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、2’−5’リン酸ジエステル結合を形成する1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチドが、3’−O−メチル(3’OMe)糖修飾をさらに含む。好ましくは、(N’)yの3’末端ヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含む。特定の実施形態では、x=y=18であり、(N’)y中の14、15、16、17、および18の位置の2つ以上の連続したヌクレオチドが、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドと結合したヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、2’−5’ヌクレオチド間結合を形成しているヌクレオチドが、3’デオキシリボースヌクレオチドまたは3’メトキシヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、15〜16、16〜17および17〜18の位置、または16〜17および17〜18の位置の間の2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドと結合したヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=18であり、(N’)yは、14〜15、15〜16、16〜17、および17〜18の位置の間、または15〜16、16〜17、および17〜18の位置の間、または16〜17および17〜18の位置の間、または17〜18の位置の間、または15〜16および17〜18の位置の間の2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドと結合したヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N’)y中のピリミジンリボヌクレオチド(rU、rC)は、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドで置換される。
構造A1および構造A2の一部の実施形態では、各Nは、非修飾リボヌクレオチドを含む。構造A1および構造A2の一部の実施形態では、各N’は、非修飾ヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、少なくとも1つのNおよびN’は、修飾リボヌクレオチドまたは非通常部分である。
他の実施形態では、構造A1または構造A2の分子は、糖残基中で修飾された少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、化合物は、糖残基の2’位置に修飾を含む。一部の実施形態では、2’位置の修飾は、アミノ、フルオロ、アルコキシまたはアルキル部分の存在を含む。特定の実施形態では、2’修飾は、アルコキシ部分を含み、好ましい実施形態では、アルコキシ部分は、メトキシ部分(2’−O−メチル;2’OMe;2’−OCH3としても知られる)である。一部の実施形態では、核酸化合物は、アンチセンスおよびセンス鎖の片方または両方に交互の2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、化合物は、アンチセンス鎖(N)xまたはN1−(N)x中に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドのみを含む。特定の実施形態では、アンチセンス鎖の中央のリボヌクレオチド、例えば、19塩基長鎖の10の位置のリボヌクレオチドは非修飾である。種々の実施形態では、核酸化合物は、少なくとも5つの交互の2’OMe糖修飾および非修飾リボヌクレオチドを含む。
さらなる実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、交互位置の修飾リボヌクレオチドを含み、(N)xまたはN1−(N)xの5’および3’末端の各リボヌクレオチドは糖残基が修飾され、(N’)yまたはN2−(N)yの5’および3’末端の各リボヌクレオチドは糖残基が非修飾である。
一部の実施形態では、(N)xまたはN1−(N)xは、2、4、6、8、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N)xまたはN1−(N)xは、1、3、5、7、9、11、13、15、17および19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xまたはN1−(N)xは、2’OMe修飾ピリミジンを含む。一部の実施形態では、(N)xまたはN1−(N)x中の全てのピリミジンヌクレオチドは、2’OMe修飾である。一部の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)yは、2’OMe修飾ピリミジンを含む。さらなる実施形態では、構造A1または構造A2の化合物は、交互位置の修飾リボヌクレオチドを含み、(N)xまたはN1−(N)xの5’および3’末端の各リボヌクレオチドは糖残基が修飾され、(N’)yまたはN2−(N)yの5’および3’末端の各リボヌクレオチドは糖残基が非修飾である。
本明細書で開示の核酸分子は、一方の末端が平滑末端、例えば、Zおよびz"が存在しない、またはZ’が存在しない場合であってもよい。核酸分子は、センスまたはアンチセンス鎖のどこの位置にあってもよい修飾ヌクレオチドまたは非通常部分で修飾されてもよい。核酸分子は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。核酸分子は、約1、2、3、4、5、6、7、または8つの非通常部分を含んでもよい。核酸分子は、一群の約1、2、3、4、5、6、7、または8つ、好ましくは1、2、3または4つの近接修飾ヌクレオチドまたは非通常部分を含んでもよい。修飾核酸は、センス鎖のみで、アンチセンス鎖のみで、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方で存在してもよい。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’O−メチル修飾ヌクレオチド、2’デオキシフルオロ修飾ヌクレオチド、2’−アミノ修飾ヌクレオチド等の2’糖修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド(すなわち、L−DNAまたはL−RNA)または2’−5’結合(2’5’ヌクレオチド)形成可能なヌクレオチドを含む。
本明細書で使われる用語の「二重鎖領域」は、通常、ワトソン・クリック塩基対形成または二重鎖形成を可能にする他のいずれかの方法により2つの相補的なまたは実質的に相補的なオリゴヌクレオチドが、相互に塩基対を形成する二重鎖分子中の領域を指す。例えば、19ヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、19ヌクレオチド単位の相補的なオリゴヌクレオチドと塩基対をつくることができ、または各鎖上の15、16 17または18塩基と塩基対をつくることができ、それにより「二重鎖領域」が15、16、17または18塩基対から構成される。残りの塩基対は、例えば、5’および3’オーバーハングとして存在できる。さらに、二重鎖領域内では、100%の相補性は必要ない;二重鎖領域内では実質的な相補性で許容される。オーバーハング領域は、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド部分から構成できる。本明細書で開示のように、少なくとも1つのオーバーハング領域が1つまたは複数の非ヌクレオチド部分から構成される。
一般的な非制限的核酸分子パターンを以下に示すが、この場合、N’=二重鎖領域のセンス鎖ヌクレオチド;z"=センス鎖の5’末端に共有結合した5’−キャッピング部分;C3=3炭素非ヌクレオチド部分;N=二重鎖領域のアンチセンス鎖ヌクレオチド;idB=逆位脱塩基デオキシリボヌクレオチド非ヌクレオチド部分である。各N、N’は、独立に、修飾もしくは非修飾または非通常部分である。センスおよびアンチセンス鎖は、それぞれ独立に、18〜40ヌクレオチド長さである。以下に提供した例は、19ヌクレオチドの二重鎖領域を有する;しかし、本明細書で開示の核酸分子は、18と40ヌクレオチドの間のどこにでも二重鎖領域を持つことができ、各鎖は、独立に、18と40ヌクレオチドの間の長さである。各二重鎖で、アンチセンス鎖(N)xは、最上部に示す。一部の実施形態では、二重鎖核酸分子は次の構造を有する:
一部の好ましい実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、次の構造を有する:
ここで、NおよびN’は、独立に、非修飾もしくは修飾、または非通常部分であってもよいリボヌクレオチドであり;
各Nは、隣接のNに共有結合で結合しており;
各N’は、隣接のN’に共有結合で結合しており;さらに
z"は、センス鎖の5’末端に共有結合したキャッピング部分である。用語の「aB」は、リボ脱塩基部分もしくはデオキシリボ脱塩基部分、または逆位リボ脱塩基部分もしくは逆位デオキシリボ脱塩基部分であってもよい脱塩基部分を指す。
一部の実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、Zを含む。他の実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、Z’を含む。さらなる実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在する。一部の実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在し、同じである。さらなる実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在し、異なる。一部の実施形態では、ZおよびZ’は、独立に、1または2つの非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、ZおよびZ’は、独立に、2つの非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、Zが存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、アルキル部分またはそれらの誘導体、および無機リン酸塩部分から選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。
さらなる実施形態では、Z’が存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、アルキル部分またはそれらの誘導体または無機リン酸塩部分から選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。
さらなる実施形態では、Zおよび/またはZ’が存在し、独立に、本明細書で開示の部分から選択される1つまたは複数のヌクレオチドおよび1つまたは複数の非ヌクレオチド部分の組み合わせを含む。
一部の実施形態では、ZおよびZ’のそれぞれは、脱塩基部分、任意選択で、デオキシリボ脱塩基(本明細書では「dAb」と呼ぶ)またはリボ脱塩基(本明細書では「rAb」と呼ぶ)ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、それぞれのZおよび/またはZ’は、dAb−dAbまたはrAb−rAbである。
一部の実施形態では、Zおよび/またはZ’のそれぞれは、独立に、アルキル部分、任意選択で、プロパンジオールのリン酸ジエステル誘導体((CH2)3−Pi、本明細書では「C3Pi」とも呼ばれる)修飾部分を含む。一部の実施形態では、Zおよび/またはZ’はC3Pi−C3Piである。具体的実施形態では、x=y=19であり、Zは、2つのプロパンジオール誘導体、C3−C3(すなわち−C3−Pi−C3−Pi)を含む。種々の実施形態では、C3部分は、リン酸ジエステル結合を介してセンスまたはアンチセンス鎖の3’末端に共有結合している。
さらなる実施形態では、Zおよび/またはZ’は、1つまたは複数の脱塩基部分および非修飾ヌクレオチドの組み合わせ、または、1つまたは複数の炭化水素部分および非修飾ヌクレオチドの組み合わせまたは1つまたは複数の脱塩基および炭化水素部分の組み合わせを含む。このような実施形態では、Zおよび/またはZ’は、任意選択で、C3−rAbまたはC3−dAbである。
さらなる構造A1またはA2に関する実施形態では、核酸分子は、アンチセンス鎖の2、4、6、8、11、13、15、17および19の位置のリボヌクレオチドの糖の2’O−Me修飾をさらに含む。さらなる実施形態では、化合物は、また、センス鎖の位置18にL−DNAヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、化合物は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、x=y=19であり、(N’)yの15〜19または16〜19または17〜19の位置のヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合している。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yの15〜19または16〜19または17〜19または15〜18または16〜18の位置のヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合している。
特定の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドをさらに含むsiRNA化合物を提供し、この修飾ヌクレオチドは、糖部分、塩基部分またはヌクレオチド間結合部分に修飾を有する。
一部の実施形態では、(N)xは、修飾または非修飾リボヌクレオチドを含み、各修飾リボヌクレオチドは、糖に2’−O−メチルを有し、ここで、(N)xの3’末端のNは、修飾リボヌクレオチドであり、(N)xは、3’末端から始まる少なくとも5つの交互修飾リボヌクレオチドを含み、また全体で少なくとも9つの修飾リボヌクレオチドを含み、さらにそれぞれの残っているNは、非修飾リボヌクレオチドである。
一部の実施形態では、少なくとも1つの(N)xおよび(N’)yは、少なくとも1つのミラーヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N’)y中に、少なくとも1つの非通常部分が存在し、この非通常部分は、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾または非修飾デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド、および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチド、または本明細書で開示のいずれかの他の非通常部分であってよい。
一部の実施形態では、非通常部分は、L−DNAミラーヌクレオチドであり;さらなる実施形態では、(N’)yの15、16、17、または18の位置に少なくとも1つの非通常部分が存在する。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分から選択される。一部の実施形態では、非通常部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、L−DNA部分が、位置17、位置18または位置17および18に存在する。
さらなる他の実施形態では、(N’)yは、少なくとも5つの脱塩基リボース部分または脱塩基デオキシリボース部分を含み、少なくとも1つのN’は、LNAである。
一部の実施形態では、(N)xは、9つの交互修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N)xは、9つの交互修飾リボヌクレオチドを含み、これは位置2に2’修飾ヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態では、(N)xは、奇数番号の位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、(N)xは、2と18の位置の片方または両方に2’OMe修飾リボヌクレオチドをさらに含む。さらなる他の実施形態では、(N)xは、2、4、6、8、11、13、15、17、19の位置に2’OMe修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)x中の少なくとも1つのピリミジンヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、(N)xの全ピリミジンヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含む。一部の実施形態では、N(x)中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ピリミジンヌクレオチドは、2’OMe糖修飾を含む。
種々の実施形態では、z"が存在し、脱塩基リボース部分、デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボース部分、デオキシリボース部分;C6−アミノ−Pi;ミラーヌクレオチドから選択される。
核酸分子の一実施形態では、(N’)yは、2’−5’リン酸ジエステル結合により(N’)yの5’および3’末端の片方または両方に結合された少なくとも2つのヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、x=y=19であり;(N)x中で、ヌクレオチドが、修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチド間で交互に繰り返され、それぞれ修飾リボヌクレオチドが修飾されて糖上に2’−O−メチルを有し、(N)xの中央のリボヌクレオチドは非修飾であり;さらに(N’)yの3’末端の3つのヌクレオチドは、2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合している。他の実施形態では、x=y=19であり;(N)x中で、ヌクレオチドが、修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチド間で交互に繰り返され、それぞれ修飾リボヌクレオチドは、修飾されて糖上に2’−O−メチルを有し、(N)xの中央のリボヌクレオチドは非修飾であり;さらに(N’)yの5’末端の4つの連続したヌクレオチドが、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されている。さらなる実施形態では、(N)yの中央の位置の追加のヌクレオチドは、糖上の2’−O−メチルで修飾されてもよい。別の実施形態では、(N)x中で、ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチド間で交互に繰り返され、(N’)y中で5’末端の4つの連続したヌクレオチドが、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、5’末端ヌクレオチドまたは5’末端の2つのもしくは3つの連続したヌクレオチドが3’−O−Me糖修飾を含む。
構造(A1)の特定の実施形態では、x=y=19であり、(N’)y中の少なくとも1つの位置のヌクレオチドは、ミラーヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドおよび2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。
構造(A1)の特定の実施形態では、x=y=19であり、(N’)yは、ミラーヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNAヌクレオチドである。特定の実施形態では、L−DNAは、L−デオキシリボシチジンである。一部の実施形態では、(N’)yは、位置18にL−DNAを含む。他の実施形態では、(N’)yは、位置17と18にL−DNAを含む。特定の実施形態では、(N’)yは、位置2および位置17と18の片方または両方にL−DNA置換を含む。構造(A1)の他の実施形態では、x=y=21またはx=y=23が想定され;これらの実施形態では、上記で考察した(N’)yに対する修飾は、15、16、17、18の位置の代わりに、21塩基長に対する17、18、19、20の位置であり、23塩基長に対する19、20、21、22の位置である。同様に、位置17と18の片方または両方の修飾は、21塩基長に対しては、位置19または20の片方または両方への修飾であり、23塩基長に対しては位置21と22の片方または両方への修飾である。19塩基長に対する全ての修飾は、21および23塩基長に対し同様に調整される。
構造A1またはA2の種々の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)y中の3’末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の連続したリボヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されている。一実施形態では、(N’)yの3’末端の4つの連続したヌクレオチドが、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合で結合され、2’−5’リン酸ジエステル結合を形成する1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチドが3’−O−メチル糖修飾をさらに含む。好ましくは、(N’)yの3’末端ヌクレオチドは、2’−O−メチル糖修飾を含む。構造(A1)の特定の実施形態では、x=y=19であり、(N’)y中で、15、16、17、18および19の位置の2つ以上の連続したヌクレオチドが2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、2’−5’ヌクレオチド間結合を形成するヌクレオチドが、3’デオキシリボースヌクレオチドまたは3’メトキシヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N’)yの17および18の位置のヌクレオチドが2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されている。他の実施形態では、(N’)y中の16、17、18、16〜17、17〜18、または16〜18の位置のヌクレオチドが2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されている。
特定の実施形態では、(N’)yは、位置2にL−DNAを含み、16、17、18、16〜17、17〜18、または16〜18の位置に2’−5’ヌクレオチド間結合を含む。特定の実施形態では、(N’)yは、16、17、18、16〜17、17〜18、または16〜18の位置に2’−5’ヌクレオチド間結合を含み、かつ5’末端キャップヌクレオチドを含む。
核酸分子の一実施形態では、3’末端ヌクレオチドまたは(N’)yの3’末端の2つもしくは3つの連続したヌクレオチドがL−デオキシリボヌクレオチドである。
(核酸分子の他の実施形態では、(N’)y中いずれかの末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の連続したリボヌクレオチドまたはそれぞれの5’および3’末端の2〜8の修飾ヌクレオチドは、独立に、2’糖修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、2’糖修飾は、アミノ、フルオロ、アルコキシまたはアルキル部分の存在を含む。特定の実施形態では、2’糖修飾は、メトキシ部分(2’−OMe)を含む。
一実施形態では、(N’)yの5’末端の3、4または5つの連続したヌクレオチドは、2’−OMe修飾を含む。別の実施形態では、(N’)yの3’末端の3つの連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含む。
構造A1またはA2の一部の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)y中のいずれかの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の連続したリボヌクレオチドまたはそれぞれ5’および3’末端の2〜8修飾ヌクレオチドは、独立に、2環式ヌクレオチドである。種々の実施形態では、2環式ヌクレオチドは、ロックド核酸(LNA)である。A2’−O、4’−C−エチレン架橋核酸(ENA)は、LNAの一種である(下記参照)。
種々の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)yは、5’末端または3’および5’末端の両方に修飾ヌクレオチドを含む。
構造A1またはA2の一部の実施形態では、(N’)yの5’および3’末端の片方または両方の少なくとも2つのヌクレオチドがP−エトキシ骨格修飾により結合されている。特定の実施形態では、x=y=19またはx=y=23である。(N)x中のヌクレオチドは、修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチドの間で交互に繰り返され、各修飾リボヌクレオチドは修飾されて糖上に2’−O−メチルを有し、(N)xの中央位置のリボヌクレオチドは非修飾であり;さらに(N’)yの3’末端または5’末端の4つの連続したヌクレオチドは、3つのP−エトキシ骨格修飾により結合されている。別の実施形態では、(N’)yの3’末端または5’末端の3つの連続したヌクレオチドは、2つのP−エトキシ骨格修飾により結合されている。
構造A1またはA2の一部の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)y中のそれぞれ5’および3’末端の2、3、4、5、6、7または8つの連続したリボヌクレオチドは、独立に、ミラーヌクレオチド、2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されたヌクレオチド、2’糖修飾ヌクレオチドまたは2環式ヌクレオチドである。一実施形態では、(N’)yの5’および3’末端の修飾は、同じである。一実施形態では、(N’)yの5’末端の4つの連続したヌクレオチドは、3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、(N’)yの3’末端の3つの連続したヌクレオチドは、2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されている。別の実施形態では、(N’)yの5’末端の修飾は、(N’)yの3’末端の修飾とは異なる。一実施形態では、(N’)yの5’末端の修飾ヌクレオチドは、ミラーヌクレオチドであり、(N’)yの3’末端の修飾ヌクレオチドは、2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されている。別の具体的実施形態では、(N’)yの5’末端の3つの連続したヌクレオチドは、LNAヌクレオチドであり、(N’)yの3’末端の3つの連続したヌクレオチドは、2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されている。(N)x中のヌクレオチドは、修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチドの間で交互に繰り返され、各修飾リボヌクレオチドは修飾されて糖上に2’−O−メチルを有し、(N)xの中央のリボヌクレオチドは非修飾であり、または(N)x中のリボヌクレオチドは非修飾である。
構造A1の別の実施形態では、本発明は、x=y=19であり、(N)x中のヌクレオチドは、修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチドの間で交互に繰り返され、各修飾リボヌクレオチドは修飾されて糖上に2’−O−メチルを有し、(N)xの中央のリボヌクレオチドは、非修飾であり、(N’)yの3’末端の3つのヌクレオチドは、2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され、(N’)yの5’末端の3つのヌクレオチドはENA等のLNAであり、Zおよび/またはZ’は、独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数のヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む化合物を提供する。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Pi、C3Pi−C3OH;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択される。
別の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)yの5’末端の5つの連続したヌクレオチドは、2’−O−メチル糖修飾を含み、(N’)yの3’末端の2つの連続したヌクレオチドはL−DNAである。
他の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)y中の5’もしくは3’末端ヌクレオチド、または末端またはそれぞれ5’および3’末端の1〜4修飾ヌクレオチドの2、3、4、5もしくは6連続したヌクレオチドは、独立に、ホスホノカルボキシラートまたはホスフィノカルボキシラートヌクレオチド(PACEヌクレオチド)である。一部の実施形態では、PACEヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドである。一部の実施形態では、(N’)yまたはN2−(N’)y中のそれぞれ5’および3’末端の1または2連続したヌクレオチドはPACEヌクレオチドである。PACEヌクレオチドおよび類似体の例は、米国特許第6、693、187号および同第7、067、641号に開示されており、両特許は参照によって組み込まれる。
構造(A1)の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、非修飾リボヌクレオチドを含み、これは、2つの連続したヌクレオチドが、3’末端の1つの2’−5’ヌクレオチド間結合によって結合されており、また、(N’)yは、非修飾リボヌクレオチドを含み、これは、2つの連続したヌクレオチドが、5’末端の1つの2’−5’ヌクレオチド間結合によって結合され、Zおよび/またはZ’は、独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数の非ヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択され、各C3、rAb、dAbは、リン酸ベース結合を介して隣接C3Pi、rAb、dAbと共有結合している。一部の実施形態では、リン酸ベース結合は、リン酸ジエステル結合またはホスホロチオホスファート結合である。
一部の実施形態では、x=y=19であり;(N)xは、非修飾リボヌクレオチドを含み、これは、3’末端の3つの連続したヌクレオチドが2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され;(N’)yは、非修飾リボヌクレオチドを含み、これは、5’末端に4つの連続したヌクレオチドが3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され;さらに、Zおよび/またはZ’は、独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数の非ヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択され、各C3、rAb、dAbは、リン酸ベース結合を介して隣接C3Pi、rAb、dAbと共有結合している。一部の実施形態では、リン酸ベース結合は、リン酸ジエステル結合またはホスホロチオホスファート結合である。
構造A1またはA2の一実施形態では、(N’)yまたは(N’)y−N2の5’末端の4つの連続したヌクレオチドは、それぞれ3つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合され;(N’)xの3’末端の3つの連続したヌクレオチドは、2つの2’−5’リン酸ジエステル結合により結合されており;Zおよび/またはZ’は独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数の非ヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;C3−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択される。(N’)yの5’末端の3つのヌクレオチドおよび(N’)xの3’末端の2つのヌクレオチドは、また、3’−O−Me糖修飾を含んでもよい。
構造A1またはA2の一実施形態では、(N’)yまたは(N’)y−N2の5’末端の5つの連続したヌクレオチドは、それぞれ2’−O−Me糖修飾を含み、(N’)xの3’末端の5つの連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含む。別の実施形態では、(N’)yの5’末端の10の連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含み、(N’)xの3’末端の5つの連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含む。別の実施形態では、(N’)yの5’末端の13の連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含み;(N’)xの3’末端の5つの連続したヌクレオチドは、2’−O−Me糖修飾を含み;さらにZおよび/またはZ’は、独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数の非ヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択される。
具体的実施形態では、(N’)yまたは(N’)y−N2の5’末端の5つの連続したヌクレオチドは、それぞれ2’−O−Me糖修飾を含み、(N’)yの3’末端の2つの連続したヌクレオチドは、L−DNAである。さらに、化合物は、(N’)xの3’末端の5つの連続した2’−O−メチル修飾ヌクレオチドをさらに含んでもよく、Zおよび/またはZ’は、独立に、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、および無機リン酸塩、または1つまたは複数の非ヌクレオチド部分および1つまたは複数のヌクレオチドの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含んでもよい。一部の実施形態では、Zは、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Pi;C3Pi−rAb;C3Pi−dAb;dAb−dAbおよびrAb−rAbから選択される。
構造A1またはA2の種々の実施形態では、(N)x中の修飾ヌクレオチドは、(N’)yの修飾ヌクレオチドとは異なる。例えば、(N)xの修飾ヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオチドであり、(N’)yの修飾ヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されているヌクレオチドである。別の例では、(N)xの修飾ヌクレオチドは、ミラーヌクレオチドであり、(N’)yの修飾ヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されているヌクレオチドである。別の例では、(N)xの修飾ヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合により結合されているヌクレオチドであり、(N’)yの修飾ヌクレオチドは、ミラーヌクレオチドである。
一部の実施形態では、下記の構造を有する化合物が提供される:
(X1) 5’ (N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、各NおよびN’は、非修飾であっても修飾されてもよいリボヌクレオチド、または非通常部分であり;
各(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、ここで、各連続したNまたはN’は、共有結合により次のNまたはN’に結合しており;
Zは、2つの非ヌクレオチド部分、または非ヌクレオチド部分およびヌクレオチドの組み合わせからなり;
Z’は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は1つの非ヌクレオチド部分を含み;
z"は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、(N’)yの5’末端で共有結合したキャッピング部分であり;
各xおよびyは、独立に、18〜27の整数であり;
(N’)yは、3’末端、または3’末端から2番目の位置に少なくとも1つのミラーヌクレオチドを含み;さらに
(N)xの配列は、哺乳動物遺伝子に対するアンチセンス配列を含む。
一部の実施形態では、x=y=19である。
一部の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNAおよびL−RNA部分から選択される。一部の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNA部分である。一部の実施形態では、ZまたはZ’のいずれかが存在し、脱塩基部分もしくは炭化水素部分またはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、Z’が存在せず、Zが存在し、疎水性の部分を含む。
一部の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNAおよびL−RNA部分から選択される。一部の実施形態では、ミラーヌクレオチドは、L−DNA部分である。
一部の実施形態では、N’(y)は、3’末端に2つまたは3つのミラーヌクレオチドを含み、N(x)は、任意選択で、3’末端に少なくとも1つのミラーヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、N’(y)は、3’末端から2番目の位置に2つのミラーヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、N(x)は、3’末端から2番目の位置に1つまたは2つのミラーヌクレオチドを含み、N’(y)は、任意選択で、5’末端から2番目の位置に1つまたは2つのミラーヌクレオチドをされに含む。一部の実施形態では、(N’)yは、5’末端、または5’末端から2番目の位置に1つのミラーヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを非修飾リボヌクレオチドと交互に含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、位置(5’>3’)3、5および11、13、15、17、および19に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、位置6または7にミラーヌクレオチドまたは2’5’ヌクレオチドをさらに含む。
一部の実施形態では、(N)xの配列は、(N’)yの配列に対し相補性を有し;(N’)yの配列は、標的遺伝子によりコードされたmRNA内の配列と同一性を有する。
別の実施形態では、下記の構造を有する化合物が提供される:
(X2) 5’(N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、各NおよびN’は、非修飾であっても修飾されてもよいリボヌクレオチド、または非通常部分であり;
各(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、ここで、各連続したNまたはN’は、共有結合により次のNまたはN’に結合しており;
Zは、2つの非ヌクレオチド部分、または非ヌクレオチド部分およびヌクレオチドの組み合わせからなり;
Z’は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は1つの非ヌクレオチド部分を含み;
z"は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、(N’)yの5’末端で共有結合したキャッピング部分であり;
各xおよびyは、独立に、18〜27の整数であり;
(N’)yは、少なくとも1つまたは複数の2’OMe修飾ピリミジンを含み;さらに
(N)xの配列は、哺乳動物遺伝子に対するアンチセンス配列を含む。
一部の実施形態では、x=y=19である。
一部の実施形態では、ZまたはZ’のいずれかが存在する。一部の実施形態では、ZおよびZ’両方が存在する。一部の実施形態では、Z’が存在せず、Zが存在し、疎水性の部分を含む。
一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを非修飾リボヌクレオチドと交互に含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、位置(5’>3’)3、5および11、13、15、17、および19に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、位置6または7にミラーヌクレオチドまたは2’5’ヌクレオチドをさらに含む。
一部の実施形態では、(N)xの配列は、(N’)yの配列に対し相補性を有し;(N’)yの配列は、標的遺伝子によりコードされたmRNA内の配列と同一性を有する。
一部の実施形態では、下記の構造を有する化合物が提供される:
(X3) 5’ (N)x−Z 3’ (アンチセンス鎖)
3 Z’−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、各NおよびN’は、非修飾であっても修飾されてもよいリボヌクレオチド、または非通常部分であり;
各(N)xおよび(N’)yは、オリゴヌクレオチドであり、ここで、各連続したNまたはN’は、共有結合により次のNまたはN’に結合しており;
Zは、2つの非ヌクレオチド部分、または非ヌクレオチド部分およびヌクレオチドの組み合わせからなり;
Z’は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は1つの非ヌクレオチド部分を含み;
z"は、存在しても存在しなくてもよいが、存在する場合は、(N’)yの5’末端で共有結合したキャッピング部分であり;
各xおよびyは、独立に、18〜27の整数であり;
(N’)yは、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した少なくとも1つのヌクレオチドを含み;さらに
(N)xの配列は、哺乳動物遺伝子に対するアンチセンス配列を含む。
一部の実施形態では、x=y=19である。
一部の実施形態では、N’(y)は、2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した2、3、4、5、6、7、または8つのヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、ZまたはZ’のいずれかが存在し、脱塩基部分もしくは炭化水素部分またはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、Z’が存在せず、Zが存在し、疎水性の部分を含む。
一部の実施形態では、N’(y)は、3’末端で2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した2、3、4、5、6、7、または8つのヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、N’(y)は、3’末端から2番目の位置で2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した2、3、4、5、6、7、または8つのヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、N’(y)は、3’末端で2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した2、3、4、または5つのヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、N’(y)は、3’末端、すなわち、位置15、16、17、18および19(5’>3’)で2’−5’ヌクレオチド間結合により隣接ヌクレオチドに結合した5つのヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾ピリミジンリボヌクレオチド含む。一部の実施形態では、(N)xは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを非修飾リボヌクレオチドと交互に含む。一部の実施形態では、x=y=19であり、(N)xは、位置(5’>3’)3、5および11、13、15、17、および19に2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、(N)xは、位置6または7にミラーヌクレオチドまたは2’5’ヌクレオチドをさらに含む。
一部の実施形態では、(N)xの配列は、(N’)yの配列に対し相補性を有し;(N’)yの配列は、標的遺伝子によりコードされたmRNA内の配列と同一性を有する。
一部の好ましい実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、以下の構造を有する。
ここで、NおよびN’は、独立に、非修飾であっても修飾されてもよいリボヌクレオチド、または非通常部分であり;
各Nは、隣接Nと共有結合で結合しており;
各N’は、隣接N’と共有結合で結合しており;
1〜10のNは、2’−OMe糖修飾リボヌクレオチドであり;
位置5、6、7、8または9(5’>3’)のNは、2’5ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドであり;
位置15〜19(5’>3’)のN’は、2’5’リボヌクレオチドであり;
z"は、センス鎖の5’末端に共有結合したキャッピング部分である。
一部の好ましい実施形態では、本明細書で開示の核酸分子は、以下の構造を有する。
ここで、NおよびN’は、独立に、非修飾であっても修飾されてもよいリボヌクレオチド、または非通常部分であり;
各Nは、隣接Nと共有結合で結合しており;
各N’は、隣接N’と共有結合で結合しており;
1〜10のNは、2’−OMe糖修飾リボヌクレオチドであり;
位置5、6、7、8または9(5’>3’)のNは、2’5ヌクレオチドまたはミラーヌクレオチドであり;
N’は、1つまたは複数の2’−OMe糖修飾ピリミジンリボヌクレオチドを含み;
位置9または10(5’>3’)のNは、2’5ヌクレオチドであり;さらに
z"は、センス鎖の5’末端に共有結合したキャッピング部分である。
構造(X1〜X3)の一部の実施形態では、センス鎖もしくはアンチセンス鎖のどちらかまたはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が、3’末端に、1つまたは2つの無機リン酸塩部分を含む。
構造(X1〜X3)の一部の実施形態では、(N)x中の3’末端のNは、修飾リボヌクレオチドであり、(N)xは、少なくとも8つの修飾リボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、修飾リボヌクレオチドは、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、少なくとも8つの修飾リボヌクレオチドの少なくとも5つは、3’末端から始まる交互配置になっている。
構造(X1〜X3)の種々の実施形態では、z"が存在し、脱塩基リボース部分、デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボース部分、デオキシリボース部分;C6−アミノ−Pi;ミラーヌクレオチドから選択される。
構造(X1〜X3)の種々の実施形態では、(N’)y中の少なくとも1つの追加の非通常部分が存在し、この非通常部分は、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾または非修飾デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド、非塩基対形成ヌクレオチド類似体または2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドであってもよい。一部の実施形態では、(N)xも(N’)yも3’および5’末端でリン酸化されていない。他の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が3’末端でリン酸化されている。また別の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が、非開裂型リン酸基を使って3’末端でリン酸化されている。さらに別の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が、2’末端位置で、開裂型または非開裂型リン酸基を使ってリン酸化される。
特定の実施形態では、全ての上述の構造に対して、Zが存在する。他の実施形態では、Z’が存在する。さらなる実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在する。一部の実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在し、同じである。さらなる実施形態では、ZおよびZ’の両方が存在し、異なる。一部の実施形態では、ZおよびZ’は、独立に、1、2、3、4または5つの非ヌクレオチド部分、または非ヌクレオチド部分とヌクレオチドの組み合わせである。
一部の実施形態では、Zが存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、例えば、(CH2)3、および無機リン酸塩部分から選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。
さらなる実施形態では、Z’が存在し、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素部分、例えば、(CH2)3、および無機リン酸塩部分から選択される1つまたは複数の非ヌクレオチド部分を含む。
一部の実施形態では、各Zおよび/またはZ’は、1つまたは2つの非ヌクレオチド部分を含み、ヌクレオチドをさらに含む。
一部の実施形態では、Zおよび/またはZ’は、脱塩基部分、任意選択で、デオキシリボ脱塩基(本明細書では「dAb」と呼ぶ)またはリボ脱塩基((本明細書では「rAb」と呼ぶ)部分を含む。一部の実施形態では、各Zおよび/またはZ’は、dAb−dAbまたはrAb−rAbである。
一部の実施形態では、Zおよび/またはZ’は、1つまたは複数の炭化水素部分、任意選択で、(CH2)3−Pi(本明細書では「C3Pi」と呼ぶ)を含む。一部の実施形態では、Zおよび/またはZ’は、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;またはC3Pi−C3Piである。
さらなる実施形態では、Zおよび/またはZ’は、脱塩基部分および非修飾ヌクレオチドの組み合わせまたは炭化水素修飾部分および非修飾ヌクレオチドの組み合わせまたは脱塩基部分および炭化水素修飾部分の組み合わせを含む。このような実施形態では、Zおよび/またはZ’は、任意選択で、C3Pi−rAbである。特定の実施形態では、Zのみが存在し、C3Pi−C3Ps;C3Pi−C3OH;C3Pi−C3Piである。
上述の構造の実施形態では、化合物は、少なくとも1つの非ヌクレオチド部分を含む少なくとも1つの3’オーバーハング(Zおよび/またはZ’)を含む。ZおよびZ’は、独立に、1つの非ヌクレオチド部分および1つまたは複数の共有結合修飾もしくは非修飾ヌクレオチドまたは非通常部分、例えば、逆位dTもしくはdA;dT、LNA、ミラーヌクレオチド、等を含む。Zおよび/またはZ’が存在するsiRNAは、Zおよび/またはZ’が存在しない、またはZおよび/またはZ’がdTdTであるsiRNAに比べて、改善された活性および/または安定性および/またはオフターゲット活性および/または低減免疫応答を有する。
特定の実施形態では、すべての上述の構造に対して、化合物は、1つまたは複数のホスホノカルボキシラートおよび/またはホスフィノカルボキシラートヌクレオチド(PACEヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、PACEヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであり、ホスフィノカルボキシラートヌクレオチドは、ホスフィノアセタートヌクレオチドである。PACEヌクレオチドおよび類似体の例は、米国特許第6、693、187号および同7、067、641号に開示されており、両特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、すべての上述の構造に対して、化合物は、1つまたは複数のロックド核酸(LNA)(架橋核酸または2環式ヌクレオチドとしても定義される)を含む。代表的ロックド核酸には、2′−O、4′−C−エチレンヌクレオシド(ENA)または2′−O、4′−C−メチレンヌクレオシドが含まれる。LNAおよびENAヌクレオチドの他の例は、国際公開第98/39352号、国際公開第00/47599号および国際公開第99/14226号に開示されており、すべてが参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、すべての上述の構造に対して、化合物は、1つまたは複数のアルトリトールモノマー(ヌクレオチド)を含む。これは、1、5アンヒドロ−2−デオキシ−D−アルトリト−ヘキシトールとしても定義されている(例えば、Allart、etal.、1998.Nucleosides & Nucleotides 17:1523−1526;Herdewijn et al.、1999. Nucleosides & Nucleotides 18:1371−1376;Fisher et al.、2007、NAR 35(4):1064−1074を参照;全ては、参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、それぞれのNおよび/またはN’がデオキシリボヌクレオチド(dA、dC、dG、dT)である二重鎖化合物を明示的に排除する。特定の実施形態では、(N)xおよび(N’)yは、独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ超のデオキシリボヌクレオチドを含んでもよい。特定の実施形態では、それぞれのNが、非修飾リボヌクレオチドであり、3’末端ヌクレオチドまたは(N’)yの3’末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14連続したヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドである化合物が本明細書で提供される。さらなる他の実施形態では、各Nは非修飾リボヌクレオチドであり、5’末端ヌクレオチドまたは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の連続した(N’)yの5’末端のヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。さらなる実施形態では、5’末端ヌクレオチドまたは5’末端の2、3、4、5、6、7、8、または9連続したヌクレオチド、および(N)xの3’末端の1、2、3、4、5、または6連続したヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであり、各N’は、非修飾リボヌクレオチドである。またさらなる実施形態では、(N)xは、非修飾リボヌクレオチド、およびそれぞれの5’および3’末端に1または2、3または4連続したデオキシリボヌクレオチドを独立に、および内部位置に1または2、3、4、5または6連続したデオキシリボヌクレオチドを含み;さらにそれぞれのN’は、非修飾リボヌクレオチドである。特定の実施形態では、3’末端ヌクレオチドまたは(N’)yの3’末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12 13もしくは14連続したヌクレオチド、および5’末端ヌクレオチドまたは(N)xの5’末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12 13もしくは14連続したヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドである。一部の実施形態では、5’末端ヌクレオチドのNまたは2もしくは3つの連続したNおよび1、2、もしくは3つのN’は、デオキシリボヌクレオチドである。活性DNA/RNAsiRNAキメラの特定の例が、米国特許公開第2005/0004064号、およびUi−Tei、2008(NAR36(7):2136−2151)に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
共有結合は、1つのヌクレオチドモノマーを隣接ヌクレオチドモノマーに結合するヌクレオチド間結合を指す。共有結合は、例えば、リン酸ジエステル結合、ホスホロチオエート結合、P−アルコキシ結合、P−カルボキシ結合、等を含む。RNAおよびDNAの正常なヌクレオシド間結合は、3’−5’リン酸ジエステル結合である。特定の実施形態では、共有結合は、リン酸ジエステル結合である。共有結合は、非亜リン酸含有ヌクレオシド間結合、例えば、特に、国際公開第2004/041924号で開示のものを包含する。特に別に指定されていなければ、本明細書で考察している構造の実施形態において、それぞれの連続したNまたはN’間の共有結合は、リン酸ジエステル結合である。
全ての上述の構造に対して、一部の実施形態では、(N)xのオリゴヌクレオチド配列は、(N’)yのオリゴヌクレオチド配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N)xおよび(N’)yは、実質的に相補的である。特定の実施形態では、(N)xは、標的配列に対し完全に相補的である。他の実施形態では、(N)xは、標的配列に対し実質的に相補的である。
定義
便宜上、本明細書、実施例および請求項で用いられる特定の用語について、以降で説明される。
内容が明確に別義を指し示していなければ、本明細書で使われる単数形「a」、「an」および「the」は、複数形を含むことに留意されるべきである。
本発明の態様または実施形が、Markushグループまたは他の選択肢のグルーピングを使って説明される場合は、当業者なら、その結果として、本発明は、また、グループのいずれか個別のメンバーまたはサブグループのメンバーの観点からも説明されることがわかるであろう。
二重鎖(double stranded)または二重鎖(duplex)siRNA化合物の「センス」または「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」として本明細書中で言及されていることは、標的核酸、例えば、標的mRNAを含む標的RNAに対し同一性を有するオリゴヌクレオチドを指す。「アンチセンス」または「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」として本明細書中で言及されていることは、標的核酸、例えば、標的mRNAに相補性を有するオリゴヌクレオチドを指す。理論に拘泥する意図はないが、アンチセンス、またはガイド鎖は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)中に組み込まれ、転写後遺伝子サイレンシングを指揮する。転写後遺伝子サイレンシングは、ガイド鎖塩基がメッセンジャーRNA分子の相補的配列と対を形成し、RISC複合体の触媒部分であるアルゴノートによりmRNAの開裂を媒介する場合に起こる。
「アポトーシス促進性ポリペプチド」は、上記に挙げた遺伝子のいずれかによりコードされるポリペプチドを指し、スプライス変異体、アイソフォーム、相同分子種、またはパラログ、等を含む。
「阻害剤」は、目的の生物学的または生理的な効果を得るのに充分な程度に、遺伝子の発現またはこのような遺伝子の産物の活性を低減させることができる化合物を指す。本明細書で使われる用語の「阻害剤」は、siRNA、shRNA、miRNAおよびリボザイム等の1つまたは複数のオリゴヌクレオチド阻害剤を指す。また、阻害は、下方制御として、または、RNAiの場合は、サイレンシングとして言及してもよい。
本明細書で使われる用語の「阻害」は、目的の生物学的または生理的な効果を得るのに充分な程度に、遺伝子の発現またはこのような遺伝子の産物の活性を低減させることを指す。阻害は、完全でも部分的でもよい。
本明細書で使われる用語の「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、同義に使うことができ、デオキシリボ核酸(DNA)、およびリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチド配列を指す。この用語は、また、等価物として、ヌクレオチド類似体から作られるRNAまたはDNA類似体も含むと理解されるべきである。本出願全体を通して、mRNA配列は、それらの対応する遺伝子の標的を表すものとして述べられている。用語の「mRNAポリヌクレオチド配列」およびmRNAは、同義に使用される。
「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、約2〜約50ヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を指す。各DNAまたはRNAヌクレオチドは、独立に、天然でも、または合成でも、および/または修飾されていても、または非修飾であってもよい。修飾には、糖部分、塩基部分および/またはオリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間の結合への変更が含まれる。本明細書で開示されている化合物は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチドおよびこれらの組み合わせ等の分子を包含する。本明細書で使われる用語の「非対形成ヌクレオチド類似体」は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4−Me−インドール、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、Ds、Pa、N3−MeリボU、N3−MeリボT、N3−MedC、N3−Me−dT、N1−Me−dG、N1−Me−dA、N3−エチル−dC、N3−MedC等(これに限定されない)の非塩基対形成部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。一部の実施形態では、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態では、それは、デオキシリボヌクレオチドである。
本明細書では、インビボで標的遺伝子の発現を阻害するための方法と組成物が提供される。一般的には、その方法は、哺乳動物mRNAを標的として、標的遺伝子の発現をRNA干渉機序により下方制御するのに充分な量のオリゴリボヌクレオチド、特に、低分子干渉RNA(すなわち、siRNA)または細胞中でsiRNAを生成する核酸物質を投与することを含む。特に、この方法は、その遺伝子の発現に関連する疾患に罹患している患者の治療を目的として遺伝子発現を阻害するのに有用である。本明細書で開示されるように、標的遺伝子のsiRNA分子または阻害剤は、種々の病状を治療するための薬剤として使用される。
「siRNA化合物」および「核酸分子」は、本明細書では同義に使用可能である。
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシド(糖、通常は、リボースまたはデオキシリボース、およびプリンまたはピリミジン塩基)およびホスホリンカー;例えば、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチド(天然でも、または合成でもよく、また、修飾されていても、または非修飾であってもよい)から構成される化合物を包含することが意図される。修飾は、糖部分、塩基部分および/またはヌクレオチド間結合に対する変更と置換を含む。
「リン酸塩ベース」部分は、無機リン酸塩(Pi)およびホスホロチオエート(Ps)を含む。
ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの全ての類似体または修飾は、前記類似体または修飾が、ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの機能に対し実質的に悪い影響を与えない限り、本明細書で開示の分子を使って実行可能である。受容可能な修飾には、糖部分の修飾、塩基部分の修飾、ヌクレオチド間結合の修飾およびこれらの組み合わせが含まれる。
場合によっては「脱塩基ヌクレオチド」または「脱塩基ヌクレオチド類似体」として言及されるものは、より正確には、疑似ヌクレオチドまたは非通常部分として言及されるものである。ヌクレオチドは、核酸の単量体単位であり、リボースまたはデオキシリボース糖、リン酸塩、および塩基(DNA中のアデニン、グアニン、チミン、またはシトシン;RNA中のアデニン、グアニン、ウラシル、またはシトシン)から構成される。修飾ヌクレオチドは、1つまたは複数の糖、リン酸塩および/または塩基中の修飾を含む。脱塩基疑似ヌクレオチドは、塩基が欠けており、従って、厳密にはヌクレオチドではない。脱塩基デオキシリボース部分は、例えば、脱塩基デオキシリボース−3’−リン酸塩;1、2−ジデオキシ−D−リボフラノース−3−リン酸塩;1、4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−リビトール−3−リン酸塩を含む。逆位脱塩基デオキシリボース部分は、逆位デオキシリボ脱塩基;3’、5’逆位デオキシ脱塩基5’−リン酸塩を含む。一般的には、逆位脱塩基部分は、3’−3’結合を介して3’末端ヌクレオチドに共有結合しており;逆位脱塩基部分は、5’−5’結合を介して5’末端ヌクレオチドに共有結合しており;逆位脱塩基部分は、通常、5’−3’結合を介して逆位脱塩基部分に共有結合している。
本明細書で使われる用語の「キャッピング部分」(z")は、(N’)yの5’末端に共有結合可能な部分を含み、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分を含む。これらには、2’Oアルキル修飾;逆位脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分およびこれらの修飾;C6−イミノ−Pi;L−DNAおよびL−RNA等のミラーヌクレオチド;5’OMeヌクレオチド;および4’、5’−メチレンヌクレオチド等のヌクレオチド類似体が含まれる。また、ヌクレオチド類似体には、1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸塩;1、3−ジアミノ−2−リン酸プロピル、3−アミノリン酸プロピル;6−アミノヘキシルリン酸塩;12−アミノドデシルリン酸塩;ヒドロキシプロピルリン酸塩;1、5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;threoペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’、4’−セコヌクレオチド;3、4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3、5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位脱塩基部分;1、4−ブタンジオールリン酸塩;5’−アミノ;および架橋結合または非架橋結合メチルホスホネートおよび5’メルカプト部分、が挙げられる。
特定のキャッピング部分は、脱塩基リボースまたは脱塩基デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボースまたは脱塩基デオキシリボース部分;C6−アミノ−Pi;L−DNAおよびL−RNAを含むミラーヌクレオチドである。本発明の化合物は、1つまたは複数の逆位ヌクレオチド、例えば、逆位チミジンまたは逆位アデニンを使って合成してもよい(例えば、Takei、et al.、2002.JBC277(26):23800−06参照)。
用語の、「非ヌクレオチド部分」は、ヌクレオチドでない、すなわち、ヌクレオチドの全ての部分:糖、塩基およびリンカーを含まない部分を指す。
本明細書で使われる用語の「非通常部分」は、脱塩基部分、逆位脱塩基部分、炭化水素(アルキル)部分、および無機リン酸塩を含み、さらにデオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド(L−DNAまたはL−RNA)、非塩基対形成ヌクレオチド類似体および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチド(2’5’ヌクレオチドとしても知られる);LNAおよびエチレン架橋核酸を含む架橋核酸、結合修飾(例えば、PACE)および塩基修飾ヌクレオチドならびに本明細書で非通常部分として明示的に開示される追加の部分を含む、非ヌクレオチド部分を指す。
オーバーハングに関連して使われる場合、「アルキル部分」または「炭化水素部分」は、例えば、C2(エチル)、C3(プロピル)等のC2、C3、C4、C5またはC6直鎖鎖もしくは分岐アルキル部分を指す。オーバーハングに関連して使われる場合、アルキルまたは炭化水素部分の「誘導体」は、特に、アルコール、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホノ酢酸、アミン、カルボン酸、エステル、アミドおよびアルデヒドから選択される官能基を含むC2、C3、C4、C5またはC6直鎖鎖もしくは分岐アルキル部分を指す。
リボースまたはデオキシリボース部分の修飾に関連して使われる場合、「アルキル」は、直鎖、分岐、または環式の飽和炭化水素構造およびこれらの組み合わせを含むことが意図されている。リボースまたはデオキシリボース部分の修飾に関連して使われる場合、「低級アルキル」は、1〜6炭素原子のアルキル基を特異的に指す。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル等が含まれる。好ましいアルキル基は、C20またはそれ未満のものである。シクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、3〜8炭素原子の環式飽和炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例には、c−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、ノルボルニル、アダマンチル、等が含まれる。
「末端官能基」には、ハロゲン、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、エーテル基が含まれる。
本発明において、「ミラー」ヌクレオチド(シュピーゲルマー(spiegelmer)とも呼ばれる)は、天然に存在するまたは通常使用されるヌクレオチドに対する逆キラリティーを有するヌクレオチド類似体、すなわち、天然に存在するまたは通常使用されるヌクレオチドの鏡像体である。ミラーヌクレオチドは、リボヌクレオチド(L−RNA)またはデオキシリボヌクレオチド(L−DNA)であり、少なくとも1つの糖または塩基修飾および/または骨格修飾、例えば、ホスホロチオエートまたはホスホネート部分をさらに含んでもよい。米国特許第6、602、858号は、少なくとも1つのL−ヌクレオチド置換を含む核酸触媒を開示している。ミラーヌクレオチドには、例えば、L−DNA(L−デオキシリボアデノシン−3’−リン酸塩(ミラーdA);L−デオキシリボシチジン−3’−リン酸塩(ミラーdC);L−デオキシリボグアノシン−3’−リン酸塩(ミラーdG);L−デオキシリボチミジン−3’−リン酸塩(鏡像dT))およびL−RNA(L−リボアデノシン−3’−リン酸塩(ミラーrA);L−リボシチジン−3’−リン酸塩(ミラーrC);L−リボグアノシン−3’−リン酸塩(ミラーrG);L−リボウラシル−3’−リン酸塩(ミラーdU)が含まれる。
修飾デオキシリボヌクレオチドには、例えば、5’OMeDNA(5−メチル−デオキシリボグアノシン−3’−リン酸塩)(これは、5’末端位置(位置番号1)のヌクレオチドとして有用と思われる);PACE(デオキシリボアデニン3’ホスホノ酢酸、デオキシリボシチジン3’ホスホノ酢酸、デオキシリボグアノシン3’ホスホノ酢酸、デオキシリボチミジン3’ホスホノ酢酸が含まれる。
非通常部分には、LNA(2’−O、4’−C−メチレン架橋核酸アデノシン3’モノホスフェイト、2’−O、4’−C−メチレン架橋核酸5−メチル−シチジン3’モノホスフェイト、2’−O、4’−C−メチレン架橋核酸グアノシン3’モノホスフェイト、5−メチルウリジン(またはチミジン)3’モノホスフェイト;およびENA(2’−O、4’−C−エチレン架橋核酸アデノシン3’モノホスフェイト、2’−O、4’−C−エチレン架橋核酸5−メチル−シチジン3’モノホスフェイト、2’−O、4’−C−エチレン架橋核酸グアノシン3’モノホスフェイト、5−メチル−ウリジン(またはチミジン)3’モノホスフェイト)等の架橋核酸が含まれる。
本発明の一部の実施形態では、非通常部分は、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド、および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに結合したヌクレオチドである。
ヌクレオチドは、天然または合成修飾塩基から選択される。天然の塩基には、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが含まれる。ヌクレオチドの修飾塩基には、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、2−プロピルおよび他のアルキルアデニン、5−ハロウラシル、5−ハロシトシン、6−アザシトシンおよび6−アザチミン、擬似ウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニン、8−アミノアデニン、8−チオールアデニン、8−チオールアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニンおよび他の8−置換アデニン、8−ハログアニン、8−アミノグアニン、8−チオールグアニン、8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニンおよび他の置換グアニン、他のアザおよびデアザアデニン、他のアザおよびデアザグアニン、5−トリフルオロメチルウラシルおよび5−トリフルオロシトシンが含まれる。1つまたは複数の脱塩基疑似ヌクレオチド含有siRNA化合物は本発明に含まれる。脱塩基疑似ヌクレオチドモノマー等の修飾塩基を含むヌクレオチドモノマーが、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドのリボヌクレオチドを置換してもよい。脱塩基疑似ヌクレオチドモノマーは、1つまたは複数の末端位置に、または5’末端キャップとして含まれてもよい。5’末端キャップは、また、逆位脱塩基疑似ヌクレオチド類似体、L−DNAヌクレオチド、およびC6−イミンリン酸塩から選択されてもよい。
さらに、ポリヌクレオチドの類似体は、1つまたは複数のヌクレオチドの構造が根本的に変更され、治療または実験用試薬としてさらに適合するように調製される。ヌクレオチド類似体の一例は、ペプチド核酸(PNA)で、DNA(またはRNA)中のデオキシリボース(またはリボース)リン酸塩骨格は、ペプチド中に見つかったものと類似であるポリアミド骨格を含む。PNA類似体は、酵素分解に対し耐性であること、およびインビボおよびインビトロで長寿命を有することが示されている。
糖残基に対する可能な修飾は、多様であり、2’−Oアルキル、2’−ハロ(例えば、2’デオキシフルオロ)、ロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、アラビノシッド;アルトリトール(ANA)およびモルホリノ、およびシクロヘキセニル他の6員糖を含む。糖残基の2’部分の可能な修飾には、アミノ、フルオロ、メトキシアルコキシ、アルキル、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、イミダゾール、カルボン酸塩、チオ酸塩、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF3、OCN、O−、S−、またはN−アルキル;O−、S、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2、N3;ヘテロジクロアルキル(heterozycloalkyl);ヘテロジクロアルカリル(heterozycloalkaryl);アミノアルキルアミノ;特に、欧州特許第EP0586520B1号または欧州特許第EP0618925B1号に記載のように、ポリアルキルアミノまたは置換シリル、が含まれる。1つまたは複数のデオキシリボヌクレオチドは、また、本発明の化合物中で許容できる。一部の実施形態では、(N’)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のDNA部分を含む。
LNA化合物は、国際公開第00/47599号、同第99/14226号、および同第98/39352号で開示されている。LNAヌクレオチド含有siRNA化合物の例は、Elmen et al.、(NAR2005.33(1):439−447)および国際公開第2004/083430号で開示されている。6員環ヌクレオチド類似体は、Allart、et al(Nucleosides & Nucleotides、1998、17:1523−1526、;およびPerez−Perez、et al.、1996、Bioorg.およびMedicinal Chem Letters 6:1457−1460)で開示されている。ヘキシトールおよびアルトリトールヌクレオチドモノマー等の6員環ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドは、国際公開第2006/047842号で開示されている。
ヌクレオチド間結合修飾としても知られる骨格修飾、例えば、エチル(ホスホエチルトリエステルを生じている);プロピル(ホスホプロピルトリエステルを生じている);およびブチル(ホスホブチルトリエステルを生じている)もまた、可能である。他の骨格修飾には、ポリマー骨格、環式の骨格、非環式骨格、チオホスフェート−D−リボース骨格、アミダート、ホスホノ酢酸誘導体が含まれる。特定の構造には、1つまたは複数の2’−5’ヌクレオチド間結合(架橋または骨格)を有するsiRNA化合物が含まれる。
一部の実施形態では、(N)xも、(N’)yも3’および5’末端でリン酸化されていない。他の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が、3’末端(3’Pi)でリン酸化されている。また別の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が、非開裂型リン酸基を有する3’末端でリン酸化されている。また別の実施形態では、(N)xおよび(N’)yの片方または両方が、開裂型または非開裂型リン酸基を使って、末端の2’末端位置でリン酸化されている。さらに、本発明の阻害核酸分子は、1つまたは複数のギャップおよび/または1つまたは複数のニックおよび/または1つまたは複数のミスマッチを含んでもよい。理論に拘泥する意図はないが、ギャップ、ニックおよびミスマッチは、核酸/siRNAを部分的に不安定化し、それにより、内在性細胞機構、例えば、ダイサー、ドローシャまたはRISCによりさらに容易に阻害部分中へのプロセッシングを行なえるという利点を有する。
本発明において、核酸中のギャップは、1つの鎖における1つまたは複数の内部ヌクレオチドが存在しないことを指し、一方、核酸中のニックは、1つの鎖における2つの隣接ヌクレオチド間のヌクレオチド間結合が存在しないことを指す。本発明のいずれの分子も、1つまたは複数のギャップおよび/または1つまたは複数のニックを含むことができる。
オリゴヌクレオチド
非制限的例では、本発明の譲受人に譲渡された国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)は、本出願に従ってsiRNA化合物を調製するのに有用であるセンスおよび対応するアンチセンスオリゴマーの核酸配列を含む。化合物は、化学的におよび/または構造的に修飾された化合物として使用される。
既知の遺伝子に対応するsiRNAの選択と合成は、広範に報告がなされてきた;例えば、Ui−Tei et al.、J Biomed Biotechnol.2006;65052;Chalk et al.、BBRC.2004、319(1):264−74;Sioud & Leirdal、Met.Mol Biol.2004、252:457−69;Levenkova et al.、Bioinform.2004、20(3):430−2;Ui−Tei et al.、NAR.2004、32(3):936−48を参照。例えば、修飾siRNAの使用と産生については、例えば、Braasch et al.、Biochem.2003、42(26):7967−75;Chiu et al.、RNA.2003、9(9):1034−48;国際公開第2004/015107号および国際公開第02/44321号および米国特許第5,898,031号および同第6,107,094号を参照。
本発明は、二重鎖オリゴヌクレオチド(例えば、siRNA)を提供し、これは、目的の遺伝子の発現を下方制御する。本発明のsiRNAは、二重鎖オリゴリボヌクレオチドで、センス鎖は、目的の遺伝子のmRNA配列由来であり、アンチセンス鎖は、少なくとも実質的にセンス鎖に相補的である。一般的に、標的mRNA配列からのわずかのずれは、siRNA活性を損なうことなく許容可能である(例えば、Czauderna et al.、NAR.2003、31(11):2705−2716を参照)。本発明のsiRNAは、mRNAを破壊して、または破壊をしないで転写後レベルの遺伝子発現を阻害する。如何なる理論にも縛られるものではないが、siRNAは、特異的開裂および分解のためにmRNAを標的にでき、および/または標的メッセージの翻訳を阻害することができる。
他の実施形態では、2つの鎖の内の少なくとも1つの鎖は、5’末端に少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを持つことが可能である。オーバーハングは、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドから構成することができる。RNA2重鎖の長さは、約16〜約40リボヌクレオチド、好ましくは、19リボヌクレオチドである。さらに、各鎖の長さは、独立に、約16〜約40塩基、好ましくは、18〜23塩基、さらに好ましくは、19リボヌクレオチドからなる群より選択される長さを有してもよい。
特定の実施形態では、前記第1の鎖および標的核酸の間の相補性は完全である。一部の実施形態では、鎖は、前記第1の鎖と標的mRNAの間、または第1および第2の鎖の間で実質的に相補的である、すなわち、1つ、2つ、または5つまでのミスマッチを有する。実質的に相補的は、別の配列に対して約70%超で100%未満の相補性を指す。例えば、19塩基対からなる二重鎖領域中では、1つのミスマッチにより94.7%の相補性を生じ、2つのミスマッチにより約89.5%の相補性を生じ、3つのミスマッチにより約84.2%の相補性を生じ、4つのミスマッチにより約79%の相補性を生じ、さらに5つのミスマッチにより約74%の相補性を生じ、二重鎖領域に実質的な相補性を与える。従って、実質的な同一性は、別の配列に対する約70%超の同一性を指す。
第1鎖および第2鎖は、ループ構造により結合してもよく、これを非核酸ポリマー、例えば、特に、ポリエチレングリコールで構成してもよい。あるいは、ループ構造を修飾および非修飾リボヌクレオチドならびに修飾および非修飾デオキシリボヌクレオチドを含む核酸で構成してもよい。
さらに、siRNAの第1鎖の5’末端を、第2鎖の3’末端に結合させてもよく、または第1鎖の3’末端を、第2鎖の5’末端に結合させてもよく、前記結合は、通常、2〜100核酸塩基、好ましくは、約2〜約30核酸塩基の間の長さを有する核酸リンカーによるものである。
本発明の化合物が、該化合物のアンチセンスおよびセンス鎖の内の少なくとも1つにおいて修飾された交互リボヌクレオチドを有する一部の実施形態では、19塩基および23塩基オリゴマーに対し、アンチセンス鎖の5’および3’末端のリボヌクレオチドは、糖残基が修飾され、センス鎖の5’および3’末端のリボヌクレオチドは、糖残基が非修飾である。21塩基オリゴマーに対しては、センス鎖の5’および3’末端のリボヌクレオチドは、糖残基が修飾され、アンチセンス鎖の5’および3’末端のリボヌクレオチドは、糖残基が非修飾であるか、または任意選択で、3’末端のさらなる修飾を有してもよい。上述のように、一部の実施形態では、アンチセンス鎖の中央のヌクレオチドは非修飾である。
本発明の一実施形態では、オリゴヌクレオチド/siRNAのアンチセンスおよびセンス鎖は、3’末端のみでリン酸化され、5’末端ではリン酸化されない。本発明の別の実施形態では、アンチセンスおよびセンス鎖は、非リン酸化型である。さらに別の本発明の実施形態では、センス鎖の5’末端のリボヌクレオチドを修飾し、インビボでの5’リン酸化の可能性を完全に消滅させる。
本明細書で開示のいずれのsiRNA配列も、本明細書で開示される修飾/構造のいずれかを付与して調製される。配列と構造の組み合わせは新規性があり、本明細書で開示の状態の治療での使用に有用である。
医薬組成物
本発明の化合物を未処理の化学薬品として投与することも可能であるが、医薬組成物として提供することが好ましい。従って、本発明は、1つまたは複数の本発明の化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。この組成物は、2つ以上の異なるオリゴヌクレオチド/siRNAの混合物を含んでもよい。
本発明は、上記で開示されているように、1つまたは複数の遺伝子を阻害するのに有効な量の、共有結合でまたは非共有結合で1つまたは複数の本発明の化合物に結合した少なくとも1つの本発明の化合物、および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物をさらに提供する。化合物は、内在性細胞複合体により細胞内でプロセッシングされて1つまたは複数の本発明のオリゴリボヌクレオチドを産生することができる。
本発明は、薬学的に許容可能なキャリア、および1つまたは複数の本発明の化合物を含む医薬組成物をさらに提供し、この化合物は、標的遺伝子および標的mRNA、および/または標的タンパク質を含む標的RNAの、細胞における発現を下方制御するのに有効な量であり、(N)xの配列に相補性を有する配列を含む。特定の実施形態では、標的遺伝子は、ウイルス性、細菌性または哺乳動物遺伝子である。種々の実施形態では、標的遺伝子は、哺乳動物遺伝子であり、好ましくは、ヒト遺伝子である。
さらに、本発明は、対照と比較して標的遺伝子の発現を少なくとも50%阻害する方法を提供し、この方法は、標的遺伝子のmRNA転写物を1つまたは複数の本発明の化合物と接触させることを含む。一部の実施形態では、活性siRNA化合物は、対照と比較して少なくとも50%、60%または70%のレベルで遺伝子発現を阻害する。特定の実施形態では、阻害は、対照と比較して少なくとも75%、80%または90%のレベルである。一部の実施形態では、標的遺伝子は、本明細書で開示のアポトーシス促進性遺伝子である。
一実施形態では、オリゴリボヌクレオチドは、1つまたは複数の本発明のアポトーシス促進性遺伝子を阻害しており、それにより、阻害は、遺伝子機能の阻害、ポリペプチドの阻害およびmRNA発現の阻害を含む群から選択される。
一実施形態では、化合物は、標的遺伝子によりコードされたポリペプチドの発現を阻害し、それにより、阻害は、機能の阻害(特に、ネイティブ遺伝子/ポリペプチドの既知の相互作用物質を使った酵素アッセイまたは結合アッセイにより調査可能である)、タンパク質の阻害(特に、ウェスタンブロッティング、ELISAまたは免疫沈降により調査できる)およびmRNA発現の阻害(特にノーザンブロッティング、定量RT−PCR、インサイツハイブリダイゼーションまたはマイクロアレイハイブリダイゼーションにより調査できる)を含む群から選択される。
さらなる実施形態では、本発明により、高レベルの本発明のアポトーシス促進性遺伝子により起こる疾患に罹患している患者を治療する方法が提供され、この方法は、治療有効量の本発明の化合物を患者に投与し、それにより患者を治療することを含む。
送達
一部の実施形態では、本発明のsiRNA分子は、キャリアまたは希釈剤と一緒に調製した裸の分子を直接適用することにより標的組織に送達される。
用語「裸のsiRNA」は、細胞への侵入を支援、促進、または容易化するように作用する、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム製剤、リポフェクチンまたは沈殿剤等の、送達ビークルを含まないsiRNA分子を指す。例えば、PBS中のsiRNAが「裸のsiRNA」である。
しかし、一部の実施形態では、本発明のsiRNA分子は、リポソームまたはリポフェクチン製剤等の形態で送達され、当業者によく知られた方法で調製される。このような方法は、例えば、米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号、および同第5,580,859号、に記載されており、これらの特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
siRNAの哺乳動物細胞中へ送達を強化および改善することを特に目的としたデリバリーシステムが開発されている(例えば、Shen et alFEBSLet.2003、539:111−114;Xia et al.、Nat.Biotech.2002、20:1006−1010;Reich et al.、Mol.Vision 2003、9:210−216;Sorensen et al.、J.Mol.Biol.2003.327:761−766;Lewis et al.、Nat.Gen.2002、32:107−108およびSimeoni et al.、NAR 2003、31、11:2717−2724を参照)。siRNAは、最近、霊長類の遺伝子発現の阻害への使用に成功した(例えば、Tolentino et al.、Retina 24(4):660を参照)。
薬学的に許容可能なキャリア、溶剤、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよびビークルならびに植込剤キャリアは、通常、本発明の有効成分とは反応しない、不活性の、非毒性固体または液体の、充填剤、希釈剤またはカプセル化材料を指し、またリポソームおよびマイクロスフェアを含む。本発明に有用なデリバリーシステムの例としては、米国特許第5,225,182号;同第5,169,383号;同第5,167,616号;同第4,959,217号;同第4,925,678号;同第4,487,603号;同第4,486,194号;同第4,447,233号;同第4,447,224号;同第4,439,196号;および同第4,475,196号が挙げられる。多くの他のこのような植込剤、デリバリーシステム、およびモジュールは、当業者によく知られている。本発明の一具体的実施形態では、局所製剤および経皮製剤が、選択可能である。siRNAまたは本発明の医薬組成物は、個別の患者の臨床的状態、治療される疾患、投与部位と方法、投与計画、患者年齢、性別、体重および医療従事者には既知の他の因子を考慮する、良質な医療行為に従って、投与および投薬される。
本明細書の目的のための「治療有効量」は、従って、当技術分野で既知の考慮事項により決定される。用量は、以下(これらに限定されない)を含む改善を達成するのに有効である必要がある:生存率の改善またはより急速な回復、または症状および適切な尺度として当業者により選択される他の示標の改善もしくは除去。
一般的に、投与量は、0.01mg〜1g/kg体重(例えば、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mg、500mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mg、または500mg/kg体重)であってよい。
核酸分子の適切な投与ユニットは、0.001〜0.25ミリグラム/受容者のキログラム体重/日の範囲、または0.01〜20マイクログラム/キログラム体重/日の範囲、または0.01〜10マイクログラム/キログラム体重/日の範囲、または0.10〜5マイクログラム/キログラム体重/日の範囲、または0.1〜2.5マイクログラム/キログラム体重/日の範囲であってもよい。
核酸分子の適切な量を投与することができ、これらの量は、標準的な方法を使って経験的に決定できる。細胞の環境下の個別の核酸分子種の有効な濃度は、約1フェムトモル濃度(fmolar)、約50フェムトモル濃度、100フェムトモル濃度、1ピコモル濃度、1.5ピコモル濃度、2.5ピコモル濃度、5ピコモル濃度、10ピコモル濃度、25ピコモル濃度、50ピコモル濃度、100ピコモル濃度、500ピコモル濃度、1ナノモル濃度、2.5ナノモル濃度、5ナノモル濃度、10ナノモル濃度、25ナノモル濃度、50ナノモル濃度、100ナノモル濃度、500ナノモル濃度、1マイクロモル濃度、2.5マイクロモル濃度、5マイクロモル濃度、10マイクロモル濃度、100マイクロモル濃度またはそれ以上であってよい。
キャリア材料と組み合わせて単回剤形を作ることができる有効成分の量は、治療されるホストおよび具体的な投与様式に応じて変わる。投与ユニット剤形は、通常、約1mg〜約500mgの間の有効成分を含む。
いかなる特定の患者に対する個別の用量レベルも、使用される特定化合物の活性、年齢、体重、総合的健康、性別、食事、投与の時間、投与経路、および排出速度、薬剤の組み合わせ、ならびに治療中の特定の疾患の重症度を含む種々の因子に依存することは理解されよう。
本明細書で開示される核酸分子を含む医薬組成物は、1日1回、1日4回、1日3回、1日2回、毎日、または医学的に適切な任意の間隔で、任意の期間投与できる。しかし、治療薬は、2、3、4、5、6またはそれ以上の、1日を通し適切な間隔で投与される分割用量を含む投与ユニットで投与してもよい。そのような場合には、各分割用量中に含まれる核酸分子は、合計毎日投与ユニットになるように、対応してより少量とすることができる。投与ユニットは、また、数日間で単回用量になるように、例えば、数日間の期間に渡ってdsRNAの持続的、一定の放出を提供する従来の徐放製剤を使って、配合することもできる。徐放製剤は、当技術分野でよく知られている。投与ユニットは、対応する一日量の倍量を含んでもよい。組成物を、複数のユニットの核酸を合計して、充分な用量を含むように配合することもできる。
キットおよび容器
また、標的遺伝子の発現を低減させことを目的とする本明細書で提供される核酸分子(例えば、siNA分子)を含む、患者に核酸分子を投与するためのキット、容器および製剤が提供される。一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つの容器および少なくとも1つのラベルが含まれる。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、種々の材料、例えば、ガラス、金属またはプラスチックで形成してもよい。キットは、関連する指示書および/または説明書をさらに含めることもできる。また、試薬および他の組成物またはこの目的に使用されるツールも、含めることができる。
容器は、その他に、状態の治療、診断、予知または予防に有効な組成物を入れてもよく、また、無菌のアクセスポートを備えることもできる(例えば、容器は、皮下組織注入針が貫通可能な栓を有する静脈内注射用溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。組成物中の活性試薬は、特異的に標的遺伝子に結合できる、および/または標的遺伝子の機能を調節できる核酸分子であってもよい。
キットには、薬学的に許容可能な緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝食塩水、リンゲル溶液および/またはデキストロース溶液を入れた第2の容器をさらに含んでもよい。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、スターラー、注射針、シリンジ、および/または指示書および/または使用説明書を含む添付文書等の商業的および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含めてもよい。
核酸分子が使用の前に充填されるユニット投与アンプルまたは複数回投与容器は、薬学的に有効量として適切な量または有効量の複数倍の量の核酸分子または核酸分子含有溶液を封入した気密シール容器を含んでもよい。核酸分子は、無菌の製剤としてパッケージされ、気密シール容器は、使用まで製剤を無菌に保持するように設計されている。
核酸分子含有容器は、ラベルを添付したパッケージを含んでもよく、ラベルには、政府当局、例えば、食品医薬品局により規定された書式の注意事項を表示することができる。この注意事項は、ヒトへの投与を目的とした使用ポリヌクレオチド材料の製造、使用、または販売の、連邦法に準拠した当局の承認が反映される。
連邦法または合衆国法では、医薬組成物のヒトの治療への使用は、連邦政府または合衆国政府当局の承認を必要とする。米国では、施行は、食品医薬品局の責任であり、該局はこのような承認を確実に行うための条例を公布する(詳細は21U.S.C.§301〜392参照)。同様の承認は大抵の外国でも必要であり、固有の手続きは、当業者にはよく知られており、本明細書で提供される組成物と方法は、それに準拠することが望ましい。
投与量は、治療される患者の状態およびサイズならびに治療頻度および投与経路に大きく依存する。用量と頻度を含む継続治療のための投与計画は、初期応答および臨床的判断に従って行うことができる。
本明細書で開示の核酸化合物は、いずれの従来の投与経路によっても投与できる。化合物は、化合物それ自体として、または薬学的に許容可能な塩として投与され、また、単独でもまたは薬学的に許容可能なキャリア、溶剤、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよびビークルとの混合物中の有効成分としても投与されることは、留意すべきである。化合物は、経口、局所的、皮下、または、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、および鼻腔内、吸入、経鼓膜投与ならびに髄腔内および点滴法を含む非経口的に投与される。化合物の植込錠もまた、有用である。液状物が注射用に調製でき、この用語には、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、鞘内、および他の非経口投与経路用が含まれる。液体組成物は、有機共溶媒を添加したおよび添加しない水溶液、水性またはオイル懸濁液、食用オイルによる乳剤、ならびに類似の医薬品ビークルを含む。特定の実施形態では、投与は、静脈内投与を含む。別の実施形態では、投与は、局所的(topical)または局部的(local)投与を含む。一部の実施形態では、局所的投与は、哺乳動物外耳道への局所的投与を含む。一部の実施形態では、局所的投与は、哺乳動物の目の表面への局所的投与を含む。
さらに、特定の実施形態では、本発明の新規治療で使用する組成物は、例えば、鼻腔内投与用のエアロゾルとして形成できる。
特定の実施形態では、経口組成物(例えば、錠剤、懸濁剤、水剤)、例えば口腔粘膜炎の治療用うがい薬として適切な経口組成物は、口腔への局所送達に有効である可能性がある。
複数の実施形態では、治療される患者は、温血動物および、特に、ヒトを含む哺乳動物である。
さらなる実施形態では、修飾は、リン酸部分の修飾であり、それにより、修飾されたリン酸部分は、ホスホロチオエートを含む基またはリン酸欠乏基から選択される。
本発明の分子には、siRNA、siNA、合成siRNA、合成shRNA、およびmiRNAが含まれ、これらは、このような分子または他の阻害性ヌクレオチド分子をコードする他の核酸配列または分子のほかに追加して含まれる。
一部の実施形態では、核酸化合物は、診断に有用である。理論に拘泥する意図はないが、3’末端非ヌクレオチドを含む二重鎖核酸分子は、特定細胞および組織に効率的に送達可能であり、特定細胞または組織の障害の診断に有用である。従って、末端修飾には、発色剤、放射標識成分および酵素試薬等の検出可能部分を含む。一部の実施形態では、検出可能剤は、ビオチン基である。このようなビオチン基は、センス鎖の5’末端ヌクレオチドまたはアンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドまたはこれらの末端の両方に結合するのが好ましい場合がある。本明細書で開示の種々の末端修飾は、本発明に従って、核酸のヌクレオチドのリボース部分の位置にあるのが好ましい。末端修飾は、リボース部分のいずれかのOH基に結合するか、またはこの基を置換できればさらに好ましく、このOH基には、これらに限定されないが、2’OH、3’OHおよび5’OH位置が含まれる。ただし、このように修飾されるヌクレオチドが、末端ヌクレオチドであり、好ましくは、センス鎖の5’末端ヌクレオチドである場合に限られる。内在性細胞複合体(例えば、ダイサー(上記参照))によりプロセッシングされて本明細書で開示のsiRNA分子、または本明細書で開示のsiRNA分子を含む分子を形成する、本明細書で開示される核酸分子または任意の長い二重鎖RNA分子(典型的には、25〜500ヌクレオチドの長さ)が、本発明の分子中に組み込まれ、さらなる新規分子を形成し、本明細書記載の疾患または障害の治療に使われることを理解されたい。
特に、長いオリゴヌクレオチドは、キャリア、好ましくは薬学的に許容可能なキャリア、により送達され、細胞内で内在性細胞複合体(例えば、上述のドローシャおよびダイサー)によりプロセッシングされ、1つまたは複数のより低分子の二重鎖オリゴヌクレオチド(siRNA)を産生できることが想定される。これが本発明のオリゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドは、タンデムshRNA構築物と名付けられている。この長いオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のステムおよびループ構造を含む単鎖オリゴヌクレオチドであり、各ステム領域は、センスおよび対応するアンチセンスsiRNA配列を含むと考えられている。任意の分子、例えば、本明細書で開示の阻害配列(適切な核酸修飾を有する)を含むアンチセンスDNA分子が特に好ましく、全ての本明細書で開示の使用と方法に対し、これらの対応するRNA/siRNAと同じ能力で使用可能である。
骨格
本明細書で開示の核酸分子のヌクレオシドサブユニットは、リン酸ジエステル結合により相互に結合可能である。標準的5’3’リン酸ジエステル結合は、任意選択により、他の結合と置換可能である。例えば、ホスホロチオエート、チオホスフェート−D−リボース成分、トリエステル、チオ酸塩、2’−5’架橋骨格(5’−2’または2’5’とも呼ばれる)、PACE、3’−(または−5’)デオキシ−3’−(または−5’)チオ―ホスホロチオエート、ホスホロジチオ酸塩、ホスホロセレネート、3’−(または−5’)デオキシホスフィネート、ボラノリン酸塩、3’−(または−5’)デオキシ−3’−(または5’−)アミノホスホロアミデート、水素ホスホネート、ホスホネート、ボラノリン酸エステル、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステル修飾、例えば、アルキルホスホトリエステル、ホスホトリエステルリン結合、5’−エトキシリン酸ジエステル、P−アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホネート、および非リン含有結合、例えば、炭酸塩、カルバマート、シリル、硫黄、スルホネート、スルホンアミド、ホルムアセタール、チオホルムアセチル、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノ結合。さらに、ヌクレオチドの構造が根本的に変えられ、治療または実験用試薬としてより良く適合するポリヌクレオチド類似体が、調製可能である。ヌクレオチド類似体の例は、ペプチド核酸(PNA)であり、DNA(またはRNA)中のデオキシリボース(またはリボース)リン酸塩骨格が、ペプチド中に見出されるものと類似のポリアミド骨格を含む。PNA類似体は、酵素による分解に耐性を示し、また、インビボおよびインビトロで寿命延長を示している。さらに、PNAは、相補的なDNA配列に対し、DNA分子より強力に結合することが示されている。この観察結果は、PNA鎖とDNA鎖間の電荷反発の欠如が原因である。オリゴヌクレオチドの合成に有用な他の修飾モノマーには、ポリマー骨格、環式骨格、または非環式骨格を有する成分が含まれる。
治療方法
別の態様では、本発明は、標的遺伝子の異常な発現に関連した疾患または障害の治療を必要としている患者の治療方法に関し、該方法は、その遺伝子の発現を低減する、または阻害するある量の阻害剤を患者に投与することを含む。
特定の実施形態では、治療される患者は、温血動物であり、特に、ヒトを含む哺乳動物である。
本発明の方法は、遺伝子の発現を下方制御する1つまたは複数の治療有効量の阻害化合物、特に、siRNAを患者に投与し、それによりその患者を治療することを含む。
用語の「治療」は、治療的処置および予防的(prophylactic)または予防的(preventative)手段の両方を指し、ここでの目的は、本明細書に挙げた障害を予防する、または進行を遅らせる(和らげる)ことである。治療の必要な対象には、既に疾患または状態を経験している対象、疾患または状態に罹り易い対象、および疾患または状態を予防する必要がある対象が含まれる。本発明の化合物は、関連する疾患または状態または症状の発症の前、その間、またはその後に投与される。治療が予防目的である場合は、本発明は、疾患または障害の発症を遅延する、または進行を回避するための方法に関する。
本発明は、アポトーシス促進性遺伝子の発現の阻害が有益である以下の疾患または状態の治療における、本発明のアポトーシス促進性遺伝子の発現を下方制御する化合物の使用、特に、新規低分子干渉RNA(siRNA)の使用に関する:難聴、急性腎不全(ARF)、緑内障、急性呼吸促迫症候群(ARDS)ならびに他の急性肺および呼吸器損傷、肺移植後の虚血再灌流障害、DGFを含む肺、肝臓、心臓、骨髄、膵臓、角膜および腎臓移植を含む臓器移植;脊髄損傷、褥瘡、加齢黄斑変性(AMD)、ドライアイ症候群、IONおよびNAION等の眼性虚血状態;口腔粘膜炎および慢性閉塞性肺疾患(COPD)。他の適応症には、化学誘導腎毒性および化学誘導神経毒性、例えば、シスプラチンおよびシスプラチン様化合物、アミノグリコシド、ループ利尿薬、ならびにヒドロキノンとその類似体により誘導される腎毒性が含まれる。
本発明のアポトーシス促進性遺伝子を阻害する方法、分子および組成物に関し本明細書で詳細に考察されてきたが、前記分子および/または組成物のいずれも、前記状態のいずれかに罹患している患者の治療において有益に使用される可能性がある。
さらなる態様では、本明細書で開示の適応症のいずれか1つに罹患している患者の処置に治療上効果的である本発明に記載のオリゴヌクレオチド組成物、および使用説明書を入れたパッケージング材料を含む製品が提供される。
本明細書では、標的遺伝子の発現を標的特異的に阻害または下方制御することが可能な二重鎖RNA分子を調製する方法が開示され、各RNA鎖は、19〜25ヌクレオチド長さを有し、少なくとも1つの鎖は、その3’末端の糖残基の3’位または2’位で共有結合した非ヌクレオチド部分を有し、この方法は、(a)それぞれ19〜25ヌクレオチド長を有し、二重鎖RNA分子を形成可能である2つのRNA鎖を合成すること、(b)二重鎖RNA分子が形成され、前記二重鎖RNA分子が単一の二重鎖領域およびそれが存在する鎖の3’末端の糖残基の3’位または2’位で共有結合した非ヌクレオチド部分を含む少なくとも1つの単鎖領域とから構成され;前記非ヌクレオチド部分がプロパノール、リン酸ジエステルに結合したC3アルキル部分、ホスホロチオエートに結合したC3アルキル部分、デオキシリボ脱塩基(deoxyriboabasic)部分またはリボ脱塩基(riboabasic)部分およびこれらの組み合わせから選択される、条件下で前記合成されたRNA鎖を組み合わせることを含む。
本明細書では、医薬組成物を調製するプロセスが提供され、このプロセスは:
本明細書で開示の1つまたは複数の化合物を提供すること;および
前記化合物を薬学的に許容可能なキャリアと混合すること、
を含む。
また、本発明は、医薬組成物を調製するプロセスを提供し、このプロセスは、1つまたは複数の本発明の化合物を薬学的に許容可能なキャリアと混合することを含む。
一実施形態では、医薬組成物の調製で使用される化合物は、薬学的に有効な量でキャリアと混合される。特定の実施形態では、本発明の化合物は、ステロイドまたは脂質または別の適切な分子、例えば、コレステロールに結合される。
修飾化合物の合成
本発明の化合物は、リボ核酸(またはデオキシリボ核酸)オリゴヌクレオチドを合成するための、当技術分野でよく知られたいずれの方法によっても合成可能である。このような合成は、特に、Beaucage and Iyer、Tetrahedron 1992;48:2223−2311;Beaucage and Iyer、Tetrahedron 1993;49:6123−6194およびCaruthers、et.al.、Methods Enzymol.1987;154:287−313、に記載されており;チオ酸塩の合成は、特に、Eckstein、Annu.Rev.Biochem.1985;54:367−402に記載され、RNA分子の合成は、Sproat、in Humana Press 2005 edited by Herdewijn P.;Kap.2:17−31に記載され、さらにそれぞれの下流プロセスは、特に、Pingoud et.al.、in IRL Press 1989 edited by Oliver R.W.A.;Kap.7:183−208、に記載されている。
他の合成方法が、当技術分野で既知であり、例えば、Usmantl.、J.Am.Chem.Soc.、1987、109:7845;Scaringe et al.、NAR、1990、18:5433;Wincott et al.、NAR 1995、.23:2677−2684;およびWincott et al.、Methods Mol.Bio.、1997、74:59、に記載されている。これらの方法では、通常の核酸保護基およびカップリング基、例えば、5′末端のジメトキシトリチル、および3′末端のホスホラミダイトを利用することができる。修飾(例えば、2′−O−メチル化)ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチドが所望の通りに組み込まれる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、別々に合成して、例えば、ライゲーション(Moore et al.、Science 1992、256:9923;国際公開第93/23569号;Shabarova et al.、NAR1991、19:4247;Bellon et al.、Nucleosides & Nucleotides、1997、16:951;Bellon et al.、Bioconjugate Chem 1997、8:204)により、または合成後、および/または脱保護後のハイブリダイゼーションによって、合成後に結合できる。
市販品の装置(特に、Applied Biosystems社から入手可能な)が使用可能で、オリゴヌクレオチドは、本明細書で開示の配列に応じて調製されることに留意されたい。化学合成した断片のオーバーラップ対は当技術分野でよく知られた方法を使って連結可能である(例えば、米国特許第6,121,426号を参照)。鎖は別々に合成され、次にチューブ中で互いにアニールされる。その後、アニールされていない(例えば、それらの内の1つが過剰であるという理由で)単鎖オリゴヌクレオチドから二重鎖siRNAをHPLCで分離する。本発明のsiRNAまたはsiRNA断片に関連して、2つ以上のこのような配列が合成され、本発明での使用のために連結されうる。
本発明の化合物は、また、例えば、米国特許公開第2004/0019001号(McSwiggen)に記載のようにタンデム合成法により合成可能であり、この場合、両方のsiRNA鎖が、開裂型リンカーで分離された、一本鎖の連続するオリゴヌクレオチド断片または鎖として合成され、該リンカーがその後切断されて、ハイブリダイズ形成し、siRNA二重鎖の精製を可能とする別々のsiRNA断片または鎖を与える。リンカーは、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーから選択される。
本明細書で使われる用語の「共有結合」は、原子間の電子対の共有を特徴とする化学結合を指す。
本明細書で使われる用語の「非共有結合」は、分子間、または分子もしくは分子の一部を、通常は特異的配向もしくは高次構造を有するように一緒に保持する力を与える分子の一部の間の、共有結合性では全くない種々の相互作用を指す。これらの非共有結合性相互作用には、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力および双極子−双極子結合が含まれる。
siRNAおよびRNA干渉
RNA干渉(RNAi)は、二重鎖(ds)RNA依存性遺伝子特異的転写後サイレンシングを伴う現象である。この現象を研究し、哺乳動物細胞を実験的に操作する初期の試みは、長鎖dsRNA分子に応答して活性化した能動的な、非特異的抗ウイルス防護機序によって挫折させられた(Gil et al.Apoptosis、2000.5:107−114)。後に、21ヌクレオチドRNAの合成二重鎖が、通常の抗ウイルス防護機序を刺激することもなく、哺乳動物細胞中の遺伝子特異的RNAiを媒介する可能性があることが発見された(Elbashir et al.Nature 2001、411:494−498およびCaplen et al.PNAS USA 2001、98:9742−9747を参照)。その結果、低分子干渉RNA(siRNA)は、遺伝子の機能を理解しようとする試みを支援する強力なツールとなった。
哺乳動物中のRNA干渉(RNAi)は、低分子干渉RNA(siRNA)(Fire et al、Nature 1998、391:806)またはマイクロRNA(miRNA)(Ambros、Nature 2004、431(7006):350−355;Bartel、Cell 2004、116(2):281−97)により媒介される。植物での対応するプロセスは、通常、特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)またはRNAサイレンシングと呼ばれ、真菌では、また、クエリングと呼ばれる。
siRNAは、その内在性(細胞性)カウンターパートの遺伝子/mRNAの発現を下方制御または静める(防ぐ)二重鎖RNAまたは修飾RNA分子である。
既知の遺伝子に対応するsiRNAの選択および合成については、広く報告がなされている(例えば、Ui−Tei et al.、J Biomed Biotech.2006;2006:65052;Chalk et al.、BBRC.2004、319(1):264−74;Sioud & Leirdal、Met.Mol Biol.;2004、252:457−69;Levenkova et al.、Bioinform.2004、20(3):430−2;Ui−Tei et al.、NAR.2004、32(3):936−48、を参照)。
修飾siRNAの使用と産生の例については、例えば、Braasch et al.、Biochem.2003、42(26):7967−75;Chiu et al.、RNA、2003、9(9):1034−48;国際公開第2004/015107号(atugen AG)および同第02/44321号(Tuschl et al)を参照のこと。米国特許第5,898,031号および同第6,107,094号は、化学修飾オリゴマーについて教示している。米国特許公開第2005/0080246号および同第2005/0042647号は、それぞれ、交互モチーフを有するオリゴマー化合物および化学修飾ヌクレオシド間結合を有するdsRNA化合物に関する。
他の修飾についても開示されている。5’リン酸塩部分包含が、ショウジョウバエ胚のsiRNAの活性を高めることが示され(Boutla、et al.、Curr.Biol.2001、11:1776−1780)、ヒトHeLa細胞においてもsiRNA機能のために必要とされる(Schwarz et al.、Mol.Cell、2002、10:537−48)。Amarzguioui、等(NAR、2003、31(2):589−95)は、siRNA活性が、2’−O−メチル(2’OMe)修飾の位置取りに依存することを示した。Holen、等(NAR.2003、31(9):2401−07)は、少数の2’OMe修飾ヌクレオシドを有するsiRNAが、野性型に比べて良好な活性を与えるが、2’OMe修飾ヌクレオシドの数が増えるにつれ、活性が減少することを報告している。ChiuとRana(RNA.2003、9:1034−48)は、センスまたはアンチセンス鎖中への2’OMe修飾ヌクレオシドの組み込み(完全修飾鎖)が、非修飾siRNAに比べて、大きくsiRNA活性を低下させることを教示している。アンチセンス鎖の5’末端への2’OMe基の配置が、活性を大きく制限するが、一方、アンチセンスの3’末端およびセンス鎖の両末端への配置は、許容されたことが報告された(Czauderna et al.、NAR.2003、31(11):2705−16;国際公開第2004/015107号)。
いくつかの調査により、siRNA治療薬は、哺乳動物およびヒトの両方に対しインビボで有効であることが示された。Bitko、等は、鼻腔内投与した場合、RSウィルス(RSV)ヌクレオカプシドN遺伝子に対する特異的siRNA分子が、マウス治療に有効であることを示した(Nat.Med.2005、11(1):50−55)。siRNA治療薬に関し考察した最近のレビューが入手できる(Barik、et al.、J.Mol.Med 2005、83:764−773;Dallas and Vlassov、Med.Sci.Monitor 2006、12(4):RA67−74;Chakraborty、Current Drug Targets 2007、8(3):469−82;Dykxhoorn et al.、Gene Therapy 2006.13:541−552)。
Mucke(IDrugs 2007 10(1):37−41)は、最新治療薬のレビューを発表しており、これには、眼疾患、例えば、加齢黄斑変性(AMD)および緑内障治療用の、種々の標的に対するsiRNAが含まれる。
近年、RNAi現象に関連する多くのPCT出願公報がある。これらには、次のものが含まれる:国際公開第00/44895号;国際公開第00/49035号;国際公開第00/63364号;国際公開第01/36641号;国際公開第01/36646号;国際公開第99/32619号;国際公開第00/44914号;国際公開第01/29058号;および国際公開第01/75164号。
RNA干渉(RNAi)は、dsRNA種の細胞質タンパク質複合体に侵入する能力に基づいており、次にそれが相補的な細胞性RNAを標的化し、特異的にそのRNAを分解する。RNA干渉応答は、siRNA含有エンドヌクレアーゼ複合体(通常はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれている)を特徴とし、これが、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する単鎖RNAの開裂を媒介する。標的RNAの開裂は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中央部で起こる可能性がある(Elbashir et al.、Genes Dev.、2001、15(2):188−200)。さらに詳細には、より長いdsRNAは、III型RNAse(ダイサー、ドローシャ、等;Bernstein et al.、Nature、2001、409(6818):363−6;Lee et al.、Nature、2003、425(6956):415−9)により消化されて短い(17〜29bp)dsRNA断片になる(これもまた、短い阻害性RNA、「siRNAs」と呼ばれる)。RISCタンパク質複合体は、これらの断片および相補的mRNAを認識する。全プロセスは、標的mRNAのエンドヌクレアーゼ開裂により完結する(McManus & Sharp、Nature Rev Genet、2002、3(10):737−47;Paddison & Hannon、Curr Opin Mol Ther.2003、5(3):217−24)。(これらの用語および提案された機序に関する追加の情報については、例えば、Bernstein et al.、RNA 2001、7(11):1509−21;Nishikura、Cell 2001、107(4):415−8および国際公開第01/36646号、を参照)。
siRNAの構造
既知の遺伝子に対応するsiRNAの選択および合成については、広く報告がなされている(例えば、Ui−Tei et al.、J Biomed Biotech.2006;2006:65052;Chalk et al.、BBRC.2004、319(1):264−74;Sioud & Leirdal、Met.Mol Biol.;2004、252:457−69;Levenkova et al.、Bioinform.2004、20(3):430−2;Ui−Tei et al.、NAR.2004、32(3):936−48、を参照)。
修飾siRNAの使用と産生の例については、例えば、Braasch et al.、Biochem.2003、42(26):7967−75;Chiu et al.、RNA、2003、9(9):1034−48;国際公開第2004/015107号(atugen AG)および同第02/44321号(Tuschl et al)を参照のこと。米国特許第5,898,031号および同第6,107,094号は、化学修飾オリゴマーについて教示している。米国特許公開第2005/0080246号および同第2005/0042647号は、それぞれ、交互モチーフを有するオリゴマー化合物および化学修飾ヌクレオシド間結合を有するdsRNA化合物に関する。
他の修飾についても開示されている。5’リン酸塩部分包含が、ショウジョウバエ胚のsiRNAの活性を高めることが示され(Boutla、et al.、Curr.Biol.2001、11:1776−1780)、ヒトHeLa細胞においてもsiRNA機能が必要とされている(Schwarz et al.、Mol.Cell、2002、10:537−48)。Amarzguioui、等(NAR、2003、31(2):589−95)は、siRNA活性が、2’−O−メチル(2’OMe)修飾の位置取りに依存することを示した。Holen、等(NAR.2003、31(9):2401−07)は、少数の2’OMe修飾ヌクレオシドを有するsiRNAが、野性型に比べて良好な活性を与えるが、2’OMe修飾ヌクレオシドの数が増えるにつれ、活性が減少することを報告している。ChiuとRana(RNA.2003、9:1034−48)は、センスまたはアンチセンス鎖中への2’OMe修飾ヌクレオシドの組み込み(完全修飾鎖)が、非修飾siRNAに比べて、大きくsiRNA活性を低下させることを教示している。アンチセンス鎖の5’末端への2’OMe基の配置が、活性を大きく制限するが、一方、アンチセンスの3’末端およびセンス鎖の両末端への配置は、許容されたことが報告された(Czauderna et al.、NAR.2003、31(11):2705−16;国際公開第2004/015107号)。
本明細書で開示の二重鎖RNA分子は、センスまたはアンチセンス鎖上に1つの3’非ヌクレオチドオーバーハングを有し、任意選択で、センスおよびアンチセンス鎖のそれぞれに1つずつ、合計2つの3’オーバーハングを有する。
本明細書で開示の分子は、非毒性で、種々の疾患と障害の治療用の医薬組成物の調製に有用であるという点で有利な点がある。
本発明の譲受人に譲渡された国際出願PCT/IL2007/001278(国際公開第2008/050329号)および米国特許出願第11/978、089号は、アポトーシス促進性遺伝子の阻害剤に関し、参照によってその全体が組み込まれる。
概して、本発明は、種々の遺伝子の発現を下方制御する化合物、特に、新規低分子干渉RNA(siRNA)、および種々の医学的状態に罹患している患者の治療におけるこれらの新規siRNAの使用に関する。
分子および組成物に関し本明細書で詳細に考察されてきたが、前記分子および/または組成物のいずれも、前記状態のいずれかに罹患している患者の治療において有益に使用される可能性がある。
本発明のsiRNA化合物は、例えば、活性を増加させ、安定性を増加させ、および/または毒性を最小化することができる構造および修飾を有し、本発明のsiRNAの新規修飾は、標的遺伝子発現、特に、本明細書で考察の標的遺伝子の発現防止または減弱化に有用である二重鎖RNAに有利に適用される。
一態様では、非修飾および/または修飾ヌクレオチドを含有する阻害性オリゴヌクレオチド化合物が本明細書で提供される。化合物の1つの鎖は、少なくとも1つの非ヌクレオチド部分、好ましくは、2つの非ヌクレオチド部分を含む少なくとも1つの3’オーバーハングを含む。本明細書で開示の化合物は、好ましくは、非修飾リボヌクレオチドおよび修飾リボヌクレオチドおよび/または1つまたは複数の非通常部分を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのNまたはN’は、糖修飾、塩基修飾およびヌクレオチド間結合修飾からなる群より選択される。一部の実施形態では、本明細書で開示の化合物は、DNA、ENA(エチレン架橋核酸)を含むLNA(ロックド核酸);PNA(ペプチド核酸);アラビノシド;PACE(ホスホノ酢酸およびその誘導体)、ミラーヌクレオチド、または6員糖類似体を有するヌクレオチド(例えば、ヘキソースまたはモルホリノ)等の少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
一実施形態では、化合物は、糖部分上の2’修飾(「2’糖修飾」)を有する少なくとも1つの修飾リボヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、化合物は、2’O−アルキルまたは2’−フルオロまたは2’O−アリルまたは、任意選択で代替位置上の他のいずれかの2’糖修飾を含む。1つの可能な2’修飾は、2’O−メチル(2’メトキシ、2’OMe)である。
他の安定化修飾も可能である(例えば、オリゴマーの3’または5’末端に付加された修飾ヌクレオチド)。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの骨格は、修飾され、リン酸塩−D−リボース成分を含むが、また、チオホスフェート−D−リボース成分、リン酸ジエステルL−リボース成分、トリエステル、チオ酸塩、2’−5’架橋骨格(5’−2’とも呼ばれる)、PACE修飾ヌクレオチド間結合またはいずれかの他の修飾タイプを含むこともできる。
本発明について、例を用いて説明してきたが、使用した用語は、説明の単語の性質を意図したものであって、制限する意図はないことは理解されよう。
上述の教示を踏まえて、発明の多くの変更および変形が可能であることは明らかである。従って、添付された特許請求の範囲内で、具体的に記載されている内容とは他の方法で本発明を実施することが可能であることが理解されよう。
本発明は、実施例を参照しながら以下に詳細に説明されるが、これに限定されると解釈されるべきではない。
本明細書中のいずれの文書の引用も、これらの文書が関連先行技術であることの承認、またはいずれかの本出願の特許請求の範囲の特許性に対し考慮される資料であることの承認の意図はない。どの文書の内容または日付に関するいずれの記載も、出願人が出願時点で利用可能な情報に基づいており、このような記載の正確さに関して認めるものではない。
実施例
さらなる詳細が無くても、当業者なら、今までの記載を使って、最大限に本発明を利用することが可能であると考えられる。従って、以下の具体的実施形態は、単に説明のためのものと解釈されるべきで、多少なりとも請求された発明を制限するものではない。
具体的に本明細書に記載されていない、当技術分野で既知の標準的分子生物学プロトコルは、通常、以下の文献にある内容に基本的に倣われる:Sambrook et al.、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular cloning:A laboratory manual)、Cold Springs Harbor Laboratory、New−York(1989、1992)、およびAusubel et al.、分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1988)、およびAusubel et al.、分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1989)およびPerbal、分子クローニング実践ガイド(Practical Guide to Molecular Cloning)、JohnWiley & Sons、New York(1988)、およびWatson et al.、組換えDNA(Recombinant DNA)、Scientific American Books、New YorkおよびBirren et al(eds)ゲノム分析:実験マニュアルシリーズ(Genome Analysis:A Laboratory Manual Series)、Vols.1−4 Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1998)。方法論は次に記載がある:米国特許第4,666,828号;米国特許第4,683,202号;米国特許第4,801,531号;米国特許第5,192,659号および米国特許第5,272,057号。これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、通常は、A Guide To Methods And Applications、Academic Press、San Diego、CA(1990)、にあるように行った。フローサイトメトリーと組み合わせたインサイツ(細胞内)PCRは、特定のDNAおよびmRNA配列を含む細胞の検出に対し有用である(Testoni et al.、Blood 1996、87:3822)。RT−PCRを行う方法も、当技術分野でよく知られている。
配列リスト
添付の配列リスト電子ファイルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる(ファイル名:217_PCT2_ST25.txt;作成日付:2011年1月6日;ファイルサイズ:6.00Kb)。
実施例1:核酸分子の生成と修飾siRNA化合物のインビトロ試験
特許化アルゴリズムおよび標的ヌクレオチドの既知の配列、例えば、標的遺伝子のmRNAを使って、多くの潜在的siRNA核酸分子のセンスおよびアンチセンス配列が生成される。特段の指示がなければ、核酸分子を5’−3’の方向で示し、センスおよび相補的なアンチセンス配列を表の同じ行に示す。
表Aは、本明細書で開示の核酸分子生成に有用な代表的、非制限的、核酸配列を提供する。
活性:
標準的合成手順を使って、単鎖オリゴヌクレオチド(センス鎖およびアンチセンス鎖)を合成する。DMT−プロパン−ジオールホスホラミダイト(ChemGenes社;CLP−9908)を0.05Mの濃度でカップリングさせる。相補的な単鎖オリゴヌクレオチドのアニーリングにより二重鎖を生成する。層流フード中で、単鎖オリゴヌクレオチドの約500μM保存溶液をWFI(注射剤用の水、Norbrook社)で希釈して調製する。実際のssRNA濃度を、それぞれ500μMのssRNAをWFIで1:200に希釈し、Nano Dropを使ってODを測定することにより決定する。この手続きを3回繰り返し、平均濃度を計算する。次に、250μMの最終濃度に保存溶液を希釈する。相補的な単鎖を85℃に加熱し、少なくとも45分かけて室温まで放冷することによりアニールする。二重鎖の5μlを20%ポリアクリルアミドゲル操作および染色して、アニーリングが完了したがどうかの試験を行った。試料を−80℃で保存した。
本明細書で開示の二重鎖核酸分子の活性試験を次のように行った:ウエル当たり約1.5〜2x105試験細胞(ヒト遺伝子を標的とするsiRNA用のHeLa細胞および/または293T細胞ならびにラット/マウス遺伝子を標的とするsiRNA用のNRK52(正常なラット腎臓近位尿細管細胞)細胞および/またはNMuMG細胞(マウス乳房上皮細胞株))を6ウエルプレート中に播種した(コンフルエントの70〜80%)。
約24時間後、Lipofectamine(登録商標)2000試薬(Invitrogen社)を使って、0.001nM〜約50nMの最終濃度で、修飾siRNA化合物を細胞に形質移入した。この細胞をCO2インキュベーター中で、37℃で72時間インキュベートした。
形質移入用陽性対照として、PTEN−Cy3標識修飾siRNA化合物を使用する。GFP siRNA化合物をsiRNA活性用陰性対照として使用する。
72時間後、トランスフェクション細胞を回収し、RNAを細胞から抽出する。トランスフェクション効率を蛍光顕微鏡検査で試験する。特異的な好ましいsiRNA構造を使った遺伝子発現の阻害率を、内在性遺伝子を発現している細胞中の標的遺伝子のqPCR分析により決定する。
試験したRNAi活性のIC50値は、種々の最終siRNA濃度で得られた活性の結果を使って用量反応曲線を作ることにより測定される。用量反応曲線は、形質移入したsiRNA濃度の対数に対し相対量の残余標的mRNAをプロットすることにより作成される。曲線は、測定データに最良のシグモイド曲線をフィットさせることにより計算される。シグモイド曲線フィットを使うこの方法は、また、3点曲線フィットとしても知られる。
式中、Yは、残余標的mRNA反応、Xは、形質移入siRNA濃度の対数、Botは、最小プラトーのY値、LogIC50は、Yが最小と最大プラトーの中間であるときのX値、およびHillSlopeは、曲線の傾きである。
血清安定性実験
ヒト血清またはヒト組織抽出物中の二重鎖核酸分子の二重鎖の安定性を以下のように試験した:
7uMの最終濃度のsiRNA分子を100%ヒト血清(Sigma社 Cat#H4522)中、37℃でインキュベートする。(siRNA保存液100uMをヒト血清で1:14.29に希釈したもの、または種々の組織型からのヒト組織抽出物)。5ulを15ulの1.5xTBEローディングバッファーに種々の時点で添加する(例えば、0、30min、1h、3h、6h、8h、10h、16hおよび24h)。試料を液体窒素で直ちに凍結し、−20°Cで保存する。
各試料を、当技術分野で既知の方法に従って調製された非変性20%アクリルアミドゲルにロードする。。オリゴをUV光下、臭化エチジウムで可視化する。
一般的に、インビトロ試験用に選択される特異的配列を有するsiRNAは、ヒトおよび第2の種、例えば、ラットまたはウサギ遺伝子に対しても特異的である。
エキソヌクレアーゼに対する安定性
核酸分子上の3’非ヌクレオチド部分の安定化効果を調べるために、センス鎖、アンチセンス鎖およびアニールしたsiRNA二重鎖を異なる細胞型から調製したサイトゾル抽出物中でインキュベートする。HCT116細胞中の安定性試験プロトコルを以下に示す。
抽出物:HCT116サイトゾル抽出物(12mg/ml)。
抽出緩衝液:25mMヘペス pH約7.3(37℃);8mM MgCl;1mM DTT含有150mM NaClを使用直前に新しく添加した。
方法:3.5mlの試験siRNA(100mM)を120mgのHCT116サイトゾル抽出物含有の46.5ml液と混合した。46.5mlは、12mlのHCT116抽出物、およびDTTおよびプロテアーゼ阻害剤混合物/100(Calbiochem社、setIII−539134)を補充した34.5mlの抽出緩衝液からなる。インキュベーションチューブ中のsiRNA最終濃度は、7mMである。この試料を37℃でインキュベートし、指定時点で、5mlを新しいチューブに取りだし、15mlの1XTBE−50%グリセリンローディングバッファーと混合後、液体N2中で急速凍結した。ローディングバッファー中のsiRNAの最終濃度は、1.75mM(21ng siRNA/ml)である。ネイティブPAGEおよびEtBr染色による分析のために、レーン当たり50ngを加える。ノーザン分析用に、レーン当たり1ngの試験siRNAを加えた。他の細胞型には、HeLaおよび肝星細胞(HSC)が含まれる。
出願人は、3’末端アルキル、またはアルキル誘導体オーバーハングを含む核酸分子は、平滑末端核酸分子および3’ヌクレオチドオーバーハングを含む核酸分子に比べて、強化された安定性を示すことを示した。
代表的化合物
3’末端に共有結合した非ヌクレオチド部分を含むsiRNA化合物を合成し、上述のように試験した。図2は、本明細書で開示の配列および修飾を含む、RNAiに有用な化合物の表である。修飾の凡例は次の通り:プリフィックス「z」は、3’または5’末端ヌクレオチドに共有結合した部分(ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド)を示す。例えば、zdTは、dTオーバーハングを指す;zdT;zdTは、dTdTオーバーハングを指す。プリフィックス「y」は、ヌクレオチド置換を示し、例えば、yLdAは、センス鎖またはアンチセンス鎖中のリボヌクレオチドのL−デオキシリボアデニン置換を指し、ydTは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド中のリボヌクレオチドのデオキシリボチミジン置換を指す。プリフィックス「m」は、2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを指す。他の記号を下表Bに記載する。
次の表では、「センス5−>3アンチセンス5−>3」の名称の列で使われている記号は、表Bで示した記号である。「センス修飾」および「アンチセンス修飾」の名称の列は、センスおよびアンチセンス鎖のそれぞれで使われる位置上の修飾の簡単な説明を与え、例えば、20−C3;C3は、3’C3Pi−C3OH末端オーバーハングを指し、20−dTdTは、3’dTdT末端オーバーハングを指し(19塩基長の位置20から始まる)、2、4、6、8、10、12、14、16、18−2’−OMeは、2、4、6、8、10、12、14、16、18の位置の2’OMe糖修飾リボヌクレオチドを指す。
表1のデータは、C3Pi−C3OH 3’末端オーバーハング(2)が、平滑末端非修飾siRNA(1)に比べて、細胞抽出物中のsiRNAヌクレアーゼ耐性を改善することを示す。C3−C3の安定化効果は、dTdT(3)および2’OMeU(4)3’末端オーバーハングと類似である。RAC1_2配列は、配列番号5と6に記載される。
表2のデータは、C3−C3 3’末端オーバーハング(1)ならびに5’および3’逆位デオキシ脱塩基部分(2)を含む鎖は、非修飾鎖(3)に比べて、細胞抽出物中の鎖のヌクレアーゼ耐性を改善することを示す。CASP2_4配列は、配列番号1および2に記載される。
表3のデータは、1)C3−C3部分(3、4および7)、逆位デオキシ脱塩基(2)、C3−リボ脱塩基(8)の、アンチセンスまたはアンチセンスとセンス鎖の両方の3’末端への導入が、平滑末端化合物(1と5)に比べて、siRNA活性を改善し、3’dTdTオーバーハングを有する同じ化合物(6)より活性が高く、2)両化合物(5と7)とも、極めて安定である(少なくとも36h)という理由から、3’末端C3−C3を含む化合物の活性の改善は、細胞抽出物中での増加した安定性に起因するものではないことを示す。
表4のデータは、C3C3が、アンチセンスおよびセンス両鎖の3’末端(2)に存在する場合に、平滑末端(1)および1つの鎖上のみのC3−C3(3または4)に比べて、最も際立った活性増加が得られることを示している。
表5のデータは、1)アンチセンス鎖上のC3OH(2)またはC3Pi−C3Pi−C3OH(3)部分の存在は、平滑末端siRNA(5)に比べて、活性を改善せず、また、2)アンチセンス鎖上のC3Pi−C3Pi(1)およびC3Pi−C3Ps(4)部分の存在は、平滑末端化合物に比べて、活性を改善し、その効果は、C3Pi−C3Piの場合に著しいことを示している。
表6のデータは、センスおよびアンチセンス両鎖上に逆位デオキシ脱塩基部分を有する化合物(1)は、平滑末端化合物(4)または1つの鎖上に逆位脱塩基を有する化合物(2または3)よりも、活性が高いことを示している。
表7のデータから、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の3’末端の両方に末端キャップ(逆位デオキシ脱塩基部分)を有する二重鎖RNA化合物は、アンチセンス鎖の3’末端に共有結合した3’末端キャップを有するdsRNA化合物に比べて、強化された活性を示すことがわかる(化合物2と3および化合物4と5を比較されたい)。
表8のデータから、アンチセンス鎖(ガイド鎖)の3’末端に共有結合した3’末端C3Pi−C3OHオーバーハングを含む二重鎖RNA化合物(Z=2つのC3部分)は、相補的なセンス鎖上の修飾に関係なく優れた活性(20nMで80%より大きいノックダウン)を示すことがわかる(化合物1〜7参照)。
化合物1〜7は、配列番号3と4に記載された配列を利用し、3’末端ヌクレオチドに共有結合した2つの3’末端C3部分(C3Pi−C3OH)を含む共通アンチセンス鎖(配列番号4)および本出願で開示の種々の修飾を含む異なるセンス鎖を含有する。化合物1のセンス鎖は、位置1〜14および19に非修飾リボヌクレオチドならびに位置15〜18に2’5’リボヌクレオチドを含む。化合物2のセンス鎖は、位置1〜14に非修飾リボヌクレオチドおよび位置15〜19に2’5’リボヌクレオチドを含み、また、末端リン酸塩(P(O)3)を含む。化合物3のセンス鎖は、位置1〜14に非修飾リボヌクレオチド、および位置15〜19に2’5’リボヌクレオチドを含み、また、3’末端C3Piを含む。化合物4のセンス鎖は、位置1〜14に非修飾リボヌクレオチドおよび位置15〜19に2’5’リボヌクレオチドを含み、また、3’末端ヌクレオチドに共有結合した3’末端アミノC6部分を含む。化合物5のセンス鎖は、位置1〜19に非修飾リボヌクレオチドを含む(各N’は非修飾)。化合物6のセンス鎖は、位置1〜14および19に非修飾リボヌクレオチドならびに位置15〜18に2’5’リボヌクレオチドを含み、また、3’末端ヌクレオチドに共有結合した3’末端逆位脱塩基部分を含む。化合物7のセンス鎖は、位置1〜3、5、7〜8、14〜16および19に非修飾リボヌクレオチドならびに位置4、6、9、10〜13および17〜18にデオキシリボヌクレオチドを含み、また、3’末端ヌクレオチドに共有結合した逆位脱塩基部分の5’末端で共有結合した3’末端リン酸塩(Pi)およびC3OH部分を含む。
化合物9は、センス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合した2つのC3部分を有し、アンチセンス鎖の3’末端に共有結合した2つのC3部分を有する類似の化合物(8)より活性が大きい。
実施例2:CASP2を標的にする修飾核酸分子の網膜への送達
標的細胞へのsiRNA送達、標的細胞遺伝子ノックダウン活性および標的遺伝子mRNA開裂の特異性の評価
標的遺伝子のノックダウンを標的組織中で、例えば、ラット網膜への硝子体内注射後、測定する。
背景:CASP2遺伝子を標的にするsiRNAに対し、異なる構造修飾を行い、エキソヌクレアーゼ耐性試験を行う。この試験の目的は、以下に記載されるような、これらの修飾を含むオリゴヌクレオチドの分布と活性を、インビボで調べることである。
試験材(S1003)の説明:以下の構造を有するRNA二重鎖:センス鎖:5’と3’−キャップとして逆位脱塩基を有する非修飾19塩基長鎖。アンチセンス鎖:位置2、4、6、8、11、13、15、17および19に2’O−Meおよび3’−キャップとして逆位脱塩基を有する19塩基長鎖。アニール材料。供給量:336μg、保存状態:−80℃。
試験材(S800)の説明:以下の構造を有するRNA二重鎖:センス鎖:位置18にL−DNAを有する19塩基長鎖。アンチセンス鎖:位置2、4、6、8、11、13、15、17&19に2’OMe、および3’末端に2つの(CH2)3プロパンジオール(C3Pi−C3OH)を有する19塩基長鎖。供給量:840μg。保存状態:−80℃。
CNL:S800と同じ修飾を有するが、3’末端に結合したC3Pi−C3OH部分のないRNA二重鎖。
動物:年齢:6〜8週齢の雄ラット。180〜220gr
群サイズ:n=4/10;動物全体数:112匹
動物の管理:食事:動物に、自由に市販げっ歯類用食事(げっ歯類用Harlan Teklad diet)を与え、飲料水も自由に摂取させた。
環境:(i)少なくとも5日間の順化。
(ii)試験期間全体を通して、全ての動物を環境的に管理された居住条件下のアクセスの制約された施設中に収容し、HBI承認標準業務手順書(SOP)に従って維持した。自動制御環境条件を、維持温度:20〜24℃、相対湿度(RH):30〜70%、12時間明期12時間暗期サイクルおよび15〜30回の試験室中空気交換/時間に設定。温度、RHおよび光サイクルを制御コンピュータによりモニターした。
実験計画を表2−1に示す。
試験計画:実験群I〜XII由来の全動物に、10μl PBSビークル中の20μgの用量の試験品もしくは対照(CNL)または10μlビークルのみの、片眼(左目(LE))の硝子体内(IVT)への注射を行った。実験群XIIIは、インタクト対照として使用する。終了ステップを試験計画に従って実行する(IVT治療後、1日目、3日目および7日目)。
麻酔:動物を、イソフルラン特殊循環システム(Stoelting社、米国)を使って麻酔した。瞳孔は、Mydramid(0.5%トロピカミド)点眼薬で拡張される。追加の局所麻酔として、Localin(オキシブプロカイン塩酸塩0.4%)を使用する。Lacromycin(ゲンタマイシン硫酸塩(0.3%ゲンタマイシン塩基に相当))点眼液で手術後炎症過程を防ぐ/減らす。
解剖顕微鏡下、硝子体内注射を行った。30/33ゲージ注射針を使って、耳側輪部1mm後方にパンチ切開を行い、拡張瞳孔を通して観察しながら、注射針(30/33ゲージインスリン注射筒0.3ml、PIC 0.8mm、Italy)を切開部から1.5mmの深さに挿入した。
計画安楽死:全動物に深く麻酔をかけ(エキテシン 4ml/kgI.P)、試験計画(表、終結)に従って安楽死させた(断頭した)。
組織採取:全動物から両眼を摘出し、氷上で保存した。眼を顕微鏡下で解剖し、全体病状を検体評価尺度に基づいて分類する(「眼病理学スコア」に関する付録5参照)。角膜を、27/30G針を使って穿刺し、前眼房から眼房水を取り出す。顕微手術用ブレードを使って、角膜縁に沿って切開し、角膜と水晶体を取り出す。残りの眼杯を強膜を通って矢状切断することにより開く。網膜を眼杯から摘出し、PBSですすぎ、分離する。先の細い鉗子を使って、網膜を適切な試験チューブに採取し、液体窒素中で凍結し、全RNAの抽出のため、分子生物学部署に移送する。
評価
ラット網膜中のCASP2を標的とするsiRNAのノックダウン活性をqPCR法を使ってCASP2 mRNA発現レベル定量化により測定した。標的遺伝子上のCASP2_4siRNA開裂部位は、RACEによって検証予定である。また、網膜中のsiRNAの定量化をS&L qPCR(ステムループqPCR)により行った。
試料RNAの単離:RNAを、EZRNAを使った二重抽出による全RNAの単離のための標準的方法に従って、網膜試料から処理を行った。qPCRによるCASP2_4 siRNA定量化:CASP2_4 siRNAの網膜中への送達をqPCR siRNA定量化により測定した。qPCRをApplied Biosystem 7300 PCR Systemを使って、SYBR Green法により行った。ラット網膜中のCASP2 mRNAのCASP2_4 siRNA指向性開裂を、それぞれの実験群でRACE(相補DNA末端の急速増幅)方法を使った開裂生成物の検出により測定した。予測開裂生成物の証拠が認められる場合は、標的遺伝子上のsiRNA開裂部位は、配列解析により検証されることになる。また、任意選択として、開裂生成物がqPCRを使って定量化される。qPCRによるCASP2 mRNAの定量化:相補DNAが調製された後、qPCRによるCASP2 mRNA定量化により、CASP2ノックダウンが検証される。qPCRは、Applied Biosystem 7300 PCR System上でSYBR Green法を使い、標準的方法に従って行われる。
予備的結果
予備的結果は、S800は、S1003より効率的に網膜細胞中に取り込まれることを示している。結果を下表2−2に示す。
実施例3:MYD88を標的とする修飾核酸分子の網膜への送達
標的細胞へのsiRNA送達の評価:この調査の目的は、
1.1 片眼硝子体内(IVT)注射後の4時間目、1日目および3日目に、構造および修飾が異なるMYD88_11 siRNAのラット網膜への送達を測定すること、
1.2 MYD88を標的とする、構造が異なるMYD88_11 siRNAのノックダウン活性を、ラット眼中へのIVT注射後のMYD88 mRNAのqPCRにより、IVT注射後の4時間目、1日目および3日目に測定すること、
である。
背景:異なる構造的修飾をCASP2遺伝子を標的とするsiRNA中に作成した。これを使って、エキソヌクレアーゼ耐性試験を行う。この調査の目的は、本明細書で開示の、下記に具体的に記載の修飾を有する二重鎖RNAオリゴヌクレオチドのインビボ分布を調べることである。
試験材S505の説明:下記の構造を有するRNA二重鎖:センス鎖:位置18に1つのL−DNA部分(小文字の太字)を有する非修飾19塩基長鎖。アンチセンス鎖:位置2、4、6、8、11、13、15、17および19に2’O−Meを有する19塩基長鎖。アニール材料。保存状態:−80℃。
試験材S1159の説明:下記の構造を有するRNA二重鎖:センス鎖:5’キャップとして逆位脱塩基、および位置15〜18に2’−5’架橋RNAを有する19塩基長鎖。アンチセンス鎖:位置1、4〜6、9、12〜13、15、17〜19に2’O−Me、およびリン酸ジエステル結合による1、3−プロパンジオール結合の3’末端の2つの構成的ユニットを有する19塩基長鎖。アニール材料。保存状態:−80℃。
試験材S1270の説明:下記の構造を有するRNA二重鎖:センス鎖:位置15〜19に2’5’ヌクレオチド、および末端リン酸塩(Pi)を有する19塩基長鎖。アンチセンス鎖:位置1、4、5、6、9、12、13、15、17〜19に2’OMe、および3’末端に2つの(CH2)3プロパンジオール(C3Pi−C3OH)を有する19塩基長鎖。アニール材料。保存状態:−80℃。
動物:年齢:8〜10週齢雄ラット。180〜220gr。
群のサイズ:n=4/8;動物の全体数:104匹。
動物の管理:食事:動物に、自由に市販げっ歯類用食事(げっ歯類用Harlan Teklad diet)を与え、飲料水も自由に摂取させた。
環境:(i)少なくとも5日間の順化。
(ii)試験期間全体を通して、全ての動物を環境的に管理された居住条件下のアクセスの制約された施設中に収容し、HBI承認標準業務手順書(SOP)に従って維持した。自動制御環境条件を、維持温度:20〜24℃、相対湿度(RH):30〜70%、12時間明期12時間暗期サイクルおよび15〜30回の試験室中空気交換/時間に設定。温度、RHおよび光サイクルを制御コンピュータによりモニターした。
試験計画:実験群1〜12の全動物の左目(LE)に、20μgの用量の試験材または10μlのPBSビークルのみを片眼IVT注射した。実験群13は、インタクト対照として使用した。終了ステップを試験計画に従って実行した(IVT処理後、4時間目、1日目、7日目)。
試験計画:実験群1〜12の全動物の左目(LE)に20μgの用量の試験品または10μlのPBSビークルのみを片眼IVT注射を行った。実験群13は、インタクト対照として使用した。終了ステップを試験計画に従って実行した(IVT処理後、4時間目、1日目、7日目、)。
麻酔:動物を、イソフルラン特殊循環システム(Stoelting社、米国)(設定:600〜800ml/minのO2流量、O2中3〜4.5%イソフルラン)を使って麻酔した。瞳孔は、Mydramid(0.5%トロピカミド)点眼薬で拡張した。追加の局所麻酔として、Localin(オキシブプロカイン塩酸塩0.4%)を使用する。Lacromycin(ゲンタマイシン硫酸塩(0.3%ゲンタマイシン塩基に相当))点眼液で手術後炎症過程を防ぐ/減らす。
解剖顕微鏡下、硝子体内注射を行った。30/33ゲージ注射針を使って、耳側輪部1mm後方にパンチ切開を行い、拡張瞳孔を通して観察しながら、注射針(30/33ゲージインスリン注射筒0.3ml、PIC 0.8mm、Italy)を切開部から1.5mmの深さに挿入した。
計画安楽死:全動物に深く麻酔をかけ(エキテシン4ml/kgI.P)、試験計画(表、終結)に従って安楽死させた(断頭した)。
組織採取:全動物から両眼を摘出し、氷上で保存した。眼を顕微鏡下で解剖し、全体病状を検体評価尺度に基づいて分類する(「眼病理学スコア」に関する付録5参照)。角膜を、27/30G針を使って穿刺し、前眼房から眼房水を取り出す。顕微手術用ブレードを使って、角膜縁に沿って切開し、角膜と水晶体を取り出す。残りの眼杯を強膜を通って矢状切断することにより開く。網膜を眼杯から摘出し、PBSですすぎ、分離する。先の細い鉗子を使って、網膜を適切な試験チューブに採取し、液体窒素中で凍結し、全RNAを抽出した。
評価
網膜中のsiRNAの定量化をステムループqPCRにより行い、ラット網膜中のMYD88を標的とするsiRNAのノックダウン活性をqPCR法を使ってMYD88 mRNA発現レベル定量化により測定する。
試料RNAの単離:RNAを、EZ RNAキットを使った標準的方法に従って、網膜試料から処理を行った。
qPCRによるMYDD88 siRNA定量化:網膜中のMYDD88 siRNAの送達をqPCR siRNA定量化(S&L)により測定した。qPCRを標準的方法に従ってApplied Biosystem 7300 PCR Systemを使って、SYBR Green法により行った。
qPCRによるMYDD88 mRNA定量化:相補DNAを標準的方法により調製し、MYDD88ノックダウンをqPCRによるMYD88 mRNA定量化により検証する。qPCRをApplied Biosystem 7300 PCR Systemを使って、SYBR Green法により行う。
予備的結果を下表3−2に示す。
C3C3修飾化合物(S1159およびS1270)の網膜神経節細胞への送達は、平滑末端(S505)を有する化合物の送達よりも有意に高かった(「中央値」カラムのデータを参照。値はフェムトモル単位)。
実施例4:急性腎不全(ARF)モデル系
ARFは、数日以内に発生する腎機能の急速劣化を特徴とする臨床的症候群である。理論に束縛されるものではないが、急性の腎臓傷害は、腎臓虚血再灌流障害、例えば、大心臓手術等の大手術を受けている患者の腎臓虚血再灌流障害の結果である可能性がある。ARFの主要な特徴は、糸球体濾過率(GFR)の急激減少で、窒素性廃棄物(尿素、クレアチニン)の貯溜が生ずる。最近の研究は、腎臓組織のアポトーシスが大抵のヒトのARF症例で顕著であることを裏付けている。アポトーシス細胞死の主要部位は、遠位のネフロンである。虚血傷害の初期相の間に、アクチン細胞骨格の完全性の欠如により、刷毛縁の損失を伴う上皮の平坦化が起こり、局所的細胞接触が失われ、その結果、下部の基層から細胞が離脱する。
活性siRNA化合物の試験を、国際公開第2009/044392号に示されるように、虚血再灌流誘導ARF動物モデルを使って行った。
既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。非制限的例では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、特に、特異的アポトーシス促進性遺伝子を標的とするsiRNA、特に、遺伝子TP53BP2、LRDD、CYBA、ATF3、CASP2、HRK、CIQBP、BNIP3、MAPK8、MAPK14、RAC1、GSK3B、P2RX7、TRPM2、PARG、CD38、STEAP4、BMP2、CX43、TYROBP、CTGF、およびSPP1を標的とするsiRNA、ならびに、少なくとも1つの本発明の3’オーバーハングを含むさらなるsiRNAが上記モデル系で試験され、虚血再灌流に対する防御薬であることが明らかにされる。
実施例5:褥瘡または圧迫性壊死モデル系
糖尿病性潰瘍を含む褥瘡または圧迫性壊死は、持続的圧迫(通常は、ベッドまたは車椅子からの)が、身体の脆弱な部分、特に、臀部、尻および踵の皮膚への循環を遮断する場合に発生する、損傷を受けた皮膚および組織の部位のことである。適切な血液流の不足は、患部組織の虚血性壊死および潰瘍につながる。褥瘡は、感覚の減弱した、もしくは欠如した患者、または衰弱した、痩せ衰えた、麻痺した、または長く寝たきりの患者で発生することが多い。仙骨、坐骨、大転子、外くるぶし、および踵の組織が、特に、罹りやすい。患者の状況によっては、他の部位も関係する可能性がある。
圧迫性壊死、潰瘍および類似の創傷の治療を目的とした本発明の活性阻害剤(例えば、siRNA化合物)の試験を、Reid et al.、J Surg.Res.116:172−180、2004、に記載のようにマウスモデルを使って行う。
追加のウサギモデルは、Mustoe et al、JCI、1991.87(2):694−703;Ahn and Mustoe、Ann Pl Surg、1991.24(1):17−23、により記載されており、本明細書で開示のように設計・合成したsiRNA化合物の試験用として使用する。既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。一部の実施形態では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、および遺伝子CIQBP、RAC1、GSK3B、P2RX7、TRPM2、PARG、CD38、STEAP4、BMP2、CX43、またはTYROBPを特異的に標的とするsiRNAならびに、少なくとも1つの本発明の3’非ヌクレオチドオーバーハングを含むsiRNAが動物モデルでさらに試験され、それにより、これらのsiRNA化合物が褥瘡および潰瘍を治療および予防することが明らかにされる。
実施例6:慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデル系
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に、肺気腫を特徴とし、これは、遠位の末端細気管支である末梢気腔の永久破壊である。肺気腫は、また、細気管支および肺胞構造中の炎症性の細胞、例えば、マクロファージおよび好中球の蓄積を特徴とする。肺気腫および慢性気管支炎は、COPDの一部としても、または独立にも発生する可能性がある。
COPD/肺気腫/慢性気管支炎の治療を目的として、本発明の活性阻害剤(例えば、siRNA)の試験を、下記の開示等の動物モデルを使って行った。
Starcher and Williams、1989.Lab.Animals、23:234−240;Peng、et al.、2004.;Am J Respir Crit Care Med、169:1245-1251;Jeyaseelan et al.、2004.Infect.Immunol、72:7247−56。さらなるモデルは、本出願の譲受人に譲渡された国際公開第2006/023544号に記載されている。該出願は、ここでの参照によって本出願に組み込まれる。
既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。一部の実施形態では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、特に、遺伝子CIQBP、BNIP3、GSK3B、P2RX7、TRPM2、PARG、CD38、STEAP4、BMP2、CX43、TYROBP、CTGF、およびDUOX1を標的とするsiRNA、ならびに少なくとも1つの本発明で開示の3’オーバーハングを含むさらなるsiRNAがこれらのモデル系で試験され、これにより、これらのsiRNA化合物が、肺気腫、慢性気管支炎およびCOPDを治療および/または予防することができることが明らかにされる。
実施例7:脊髄損傷モデル系
脊髄損傷、またはミエロパシーは、感覚および/または可動性の消失を生ずる脊髄の障害である。脊髄損傷の2つの共通の型は、外傷および疾患に起因する。外傷は、特に、自動車事故、転落、銃撃、ダイビング中の事故に起因する可能性があり、脊髄に悪影響を与える可能性がある疾患には、ポリオ、脊椎披裂、腫瘍およびフリードライヒ運動失調症がある。
既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。一部の実施形態では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、特に、遺伝子LRDD、CYBA、ATF3、CASP2、HRK、CIQBP、BNIP3、MAPK8、MAPK14、RAC1、GSK3B、P2RX7、TRPM2、PARG、CD38、STEAP4、BMP2、CX43、TYROBP、CTGF、およびRHOAを標的とするsiRNA、ならびに少なくとも1つの本発明で開示の3’オーバーハングを含むさらなるsiRNAがこれらのモデル系で試験され、これにより、これらのsiRNA化合物が、脊髄損傷後の機能回復を促進し、従って、脊髄損傷の治療に使用可能であることが明らかにされる。
実施例8:緑内障モデル系
緑内障の治療または予防を目的として、例えば、Pease et al.、J.Glaucoma、2006、15(6):512−9(実験用緑内障のマウスおよび正常なマウスを使ったTonoLabとTonoPen眼圧計のマノメーター較正および比較(Manometric calibration and comparison of TonoLab and TonoPen tonometers in rats with experimental glaucoma and in normal mice))に記載の動物モデルを使って、本発明の活性阻害剤(例えば、siRNA)の試験を行う。
既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。一部の実施形態では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、特に、遺伝子TP53BP2、LRDD、CYBA、ATF3、CASP2、HRK、BNIP3、MAPK8、MAPK14、RAC1、およびRHOAを標的とするsiRNA、ならびに少なくとも1つの本明細書で開示の3’非ヌクレオチドオーバーハングを含むさらなるsiRNAがこのモデル系で試験され、これにより、これらのsiRNA化合物が緑内障を治療および/または予防することが明らかにされる。
実施例8A:虚血性視神経症(ION)モデル系
視神経圧挫損傷プロトコルを使って虚血性視神経症用の動物モデルを成体ウィスターラットで樹立した。視神経圧挫の7日前に、逆行型トレーサーFluoroGold(2%、Fluorochrome、Englewood社)を上丘に適用することにより、網膜神経節細胞(RGC)を選択的に標識する。トレーサーは、蛍光トレーサーの注射後1週間以内に全RGCの完全で特異的標識を生じているRGC軸索に沿って逆行型輸送により輸送される。動物は、逆行型トレース後7日目に視神経圧挫損傷を受ける。眼窩上からアプローチして眼窩視神経を露出し、視神経中の全軸索を鉗子で10秒間圧挫して篩状板から2mm切断する。A単回用量の5μlのPBS中の20μgの本発明のsiRNA化合物を、視神経圧挫時にガラスマイクロピペットを使って神経頭の前方2mmの硝子体中に微量注入する。視神経圧挫後7日目にフラットマウント網膜中のFluoroGold標識RGCをカウントすることにより、RGCの生存を測定する。実験動物を、視神経圧挫の1週間後に、4%パラホルムアルデヒドで経心的に潅流する。両網膜を切りだし、さらに30分間固定し、神経細胞層定量化のためにガラススライド上にフラットマウントする。各網膜の16箇所の異なる領域で蛍光のRGCの数をカウントし、RGC生存パーセントを測定して、視神経圧挫損傷を全く受けていないラット由来の検体または視神経圧挫損傷を受けて、かつ、PBS、対照siRNAまたはGFP siRNAを注射されているラット由来の検体と比較する。臨死RGCの食作用後にFluoroGoldを組み込んだ可能性のあるミクログリア細胞をそれらの特徴的形態により区別し、定量分析から除外した。
目の近くの視神経の切断によりRGCの全体集団が軸索切断される視神経軸索切断の別のモデルは、本発明の化合物および組成物の試験に有用である(ChengL、et al.J.Neurosci.May 15、2002 2002;22:3977−3986)。
実施例9:肺移植後虚血/再潅流傷害のラットモデル系
肺移植後の虚血/再潅流傷害または低酸素傷害を治療または予防することを目的とする本発明の活性阻害剤(例えば、siRNA)の試験を1つまたは複数の実験動物モデル、例えば、Mizobuchi et al.、2004.J.Heart Lung Transplant、23:889−93;Huang、et al.、1995.J.Heart Lung Transplant.14:S49;Matsumura、et al.、1995.Transplantation 59:1509−1517;Wilkes、et al.、1999.Transplantation 67:890−896;Naka、et al.、1996.Circulation Research、79:773−783、に記載の動物モデルを使って行う。
既存siRNAを都合よく修飾可能であり、また、さらにsiRNAを設計・製作して活性な核酸分子を得ることもできる。一部の実施形態では、国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のオリゴヌクレオチド対を利用するsiRNA化合物、特に、TP53BP2、LRDD、CYBA、CASP2、BNIP3、RAC1、およびDUOX1を標的とするsiRNA、ならびに少なくとも1つの本明細書で開示の3’非−ヌクレオチドオーバーハングを含むさらなるsiRNAがこれらの動物モデルで試験され、これにより、これらのsiRNA化合物が肺移植後の虚血再灌流障害を治療および/または予防し、従って、移植手術と合わせて使用可能であることが示される。
実施例10:急性呼吸促迫症候群(ARDS)モデル系
急性呼吸促迫症候群(ARDS)の治療を目的として、Chen et al(J Biomed Sci.2003;10(6Pt1):588−92、に記載のように動物モデルを使って本発明の活性阻害剤(例えば、siRNA)の試験を行う。国際公開第2009/044392号の表B(B1〜B74)、表C(C1〜C4)および表D(D1〜D34)に記載のsiRNA化合物、特に、遺伝子CYBA、HRK、BNIP3、MAPK8、MAPK14、RAC1、GSK3B、P2RX7、TRPM2、PARG、SPP1、およびDUOX1を標的とするsiRNA、ならびに少なくとも1つの本明細書で開示の3’オーバーハングを含むさらなるsiRNAがこの動物モデルで試験され、これにより、これらのsiRNAが急性呼吸促迫症候群(ARDS)を治療および/または予防し、従って、この状態の治療に使用可能であることが示される。
実施例11.変形性関節症(OA)動物モデル
コラーゲン誘導関節炎(CIA):マウスのCIAは、Trentham et al.(1977.J.Exp.Med.146:857−868)に記載がある。アジュバント誘導関節炎(AA):AAは、Kong et al.、(1999.Nature、402:304−308)に記載されている。半月板切除術モデルは、Han et al.、(1999.Nagoya J Med Sci 62(3−4):115−26)に記載されている。
SSP1に対するsiRNA、等の異なるsiRNA阻害剤の、OAに関連するパラメータ、例えば、軟骨細胞増殖、末端分化および関節炎の発生に与える効果が、当技術分野で既知のインビトロモデルに加えて、1つまたは複数の上記モデルを使って評価される。特異的アポトーシス促進性遺伝子、特にSSP1、を標的とするsiRNA化合物、ならびに少なくとも1つの3’オーバーハングを含む本明細書で開示のさらなるsiRNA化合物がこれらの動物モデルを使って試験され、これにより、これらのsiRNAがOAを治療しおよび/または予防し、従って、この状態の治療に使用可能でであることが示される。
実施例12:移植関連急性腎傷害用ラットモデル系
温虚血-試験ラットで、左腎摘除術、続いて、自家移植を行い、これにより45分の腎臓移植片常温(warm)保存期間がもたらされる。腎臓移植片採取前(ドナー治療の模倣)(「pre」)、もしくは腎臓自家移植後(レシピエント治療の模倣)に、または採取前および移植後の両方(ドナーおよびレシピエント治療の組み合わせ)(「pre−post」)に、自家移植後、右腎摘除術を同じ動物に行う。標的に対する化学修飾siRNAを大腿静脈経由静脈内投与する。
冷虚血-左腎摘除術をドナー動物で行い、続いて、採取した腎臓の冷保存(氷上で)を5時間行う。この保存期間の最後に、レシピエントラットは、左右両側の腎摘除術を行い、続いて、冷温保存腎臓移植片の移植を行う。全体温虚血時間(外科手術を含む)は約30分である。化学修飾siRNAをドナー動物に腎臓採取前(「pre」)に、またはレシピエント動物に対し、移植15分(「post15分」)後、もしくは4時間(post4時間)後に、大腿静脈経由静脈内投与を行う。
レベルの改善に対するsiRNAの有効性を評価するために、温および冷虚血モデルに対し、移植後腎機能、血清クレアチニンを移植後1、2、および7日目に測定する。