JP5824386B2 - 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ - Google Patents
赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP5824386B2 JP5824386B2 JP2012043917A JP2012043917A JP5824386B2 JP 5824386 B2 JP5824386 B2 JP 5824386B2 JP 2012043917 A JP2012043917 A JP 2012043917A JP 2012043917 A JP2012043917 A JP 2012043917A JP 5824386 B2 JP5824386 B2 JP 5824386B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- infrared
- compound
- carbon atoms
- absorbing composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
赤外線カットフィルタには、アザフタロシアニン化合物を用いることが知られている(特許文献1)。特許文献1では、特にアザフタロシアニン化合物の溶解性を向上させることを課題としている。
また、アザフタロシアニン化合物は、他の用途にも利用されている。例えば、特許文献2では、アザフタロシアニン化合物をカラーフィルタに用いることが記載されている。そして、特許文献2では、カラーフィルタの分光性および耐久性を向上させている。
本発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、赤外線遮蔽性に優れ、かつ、耐光性および耐熱性に優れた赤外線カットフィルタおよび、かかる赤外線カットフィルタを製造するための赤外線吸収性組成物を提供することを目的とする。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは<2>〜<10>により、上記課題は解決された。
<1>一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物と、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤と、を含有する赤外線吸収性組成物。
一般式(I)
<2>フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤がセシウム酸化タングステンおよびジインモニウム色素から選択される少なくとも1種である<1>に記載の赤外線吸収性組成物。
<3>一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物において、Q1〜Q4のうち、少なくとも1つが含窒素ヘテロ環基であり、残りがベンゼン環基である、<1>または<2>に記載の赤外線吸収性組成物。
<4>一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の最大吸収波長が680〜720nmである、<1>〜<3>のいずれかに記載の赤外線吸収性組成物。
<5>フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤の最大吸収波長が1000〜1700nmである、<1>〜<4>のいずれかに記載の赤外線吸収性組成物。
<6>一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の最大吸収波長とフタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤の最大吸収波長の差が500〜1000nmである、<1>〜<5>のいずれかに記載の赤外線吸収性組成物。
<7>さらに重合性化合物を含有する<1>〜<6>のいずれかに記載の赤外線吸収性組成物。
<8><1>〜<7>のいずれかの赤外線吸収性組成物を用いて作成された赤外線カットフィルタ。
<9>固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された<8>に記載の赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュール。
<10>固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子基板の受光側において、<1>〜<7>のいずれかに記載の赤外線吸収性液状組成物をスピン塗布することにより膜を形成する工程を有する、カメラモジュールの製造方法。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。また、本明細書において、粘度値は25℃における値を指す。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリルはアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、質量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基を言う。
本発明における赤外線とは、波長領域が700〜1000nmのものをいう。
一般式(I)
このようにフタロシアニン化合物に加え、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤を採用することにより、遮蔽性、耐熱性および耐光性に優れた赤外線吸収剤が得られる。
本発明で用いる一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、上述のとおりである。
一般式(I)中、Q1〜Q4は、それぞれ、アリール基またはヘテロ環基であり、少なくとも一つは含窒素ヘテロ環基である。Q1〜Q4は、2つまたは3つがアリール基で、残りの1つまたは2が含窒素ヘテロ環基であることが好ましい。
アリール基は、単環であってもよいし、縮合環であってもよいが、単環が好ましい。アリール基は、ベンゼン環基が特に好ましい。
ヘテロ環基は、含窒素ヘテロ環基であることが好ましい。
含窒素ヘテロ環基は、窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。この場合のヘテロ原子としては、硫黄原子が例示される。しかしながら、含窒素ヘテロ環基は、ヘテロ原子として窒素原子のみを含む方が好ましい。含窒素ヘテロ環基は、5または6員環の含窒素ヘテロ環基が好ましく、6員環の含窒素ヘテロ環基がさらに好ましい。含窒素ヘテロ環基中のヘテロ原子の数は、1〜5が好ましく、2〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましい。
アリール基およびヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、直鎖、分枝もしくは環状のアルキル基を含み、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
一般式(I−1)
R1、R2、R3、R4は、これらのうち1つまたは2つがハロゲン原子以外の置換基であり、残りが水素原子またはハロゲン原子であることが好ましく、これらのうち1つが置換基であり、残りが水素原子であることがより好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
R1、R2、R3、R4は、それぞれ、該基の質量(該基を1分子と仮定したときの分子量)が30〜400であることが好ましく、30〜200であることがより好ましい。
本発明の赤外線吸収性液状組成物における、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の配合量は、溶剤を除く成分の20〜70質量%であることが好ましい。2種類以上含む場合、その合計量が前記範囲となる。
本発明の赤外線吸収性液状組成物は、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤を含む。ここでいう「フタロシアニン化合物」とは、フタロシアニン骨格を有する化合物をいう。従って、ここでいう「フタロシアニン化合物」は、上記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物以外のフタロシアニン化合物も含む趣旨である。このように、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤を一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物と併用することにより、耐光性を向上させることができる。
フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤は、赤外線領域に吸収極大波長を有する化合物であればよく、極大吸収を700〜2000nmの範囲に持つことが好ましく、1000〜1700nmの範囲に持つことがより好ましい。
特に、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の最大吸収波長とフタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤の最大吸収波長の差が100〜1000nmであることが好ましく、500〜1000nmであることがより好ましい。このような赤外線吸収剤を採用することにより、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物のみでは、より広い赤外線領域で高い遮蔽率を達成できる。
フタロシアニン化合物以外の有機化合物であっても無機化合物であってもよい。具体的には、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤としては、金属酸化物、ジインモニウム色素、シアニン色素、クアテリレン色素が例示され、酸化タングステン系化合物およびジインモニウム色素がより好ましく、酸化タングステン系化合物がさらに好ましい。酸化タングステン系化合物を採用することにより、800nm付近での遮蔽率を向上させることができる。さらに、酸化タングステン系化合物を採用することにより、最終的に得られる膜を硬くすることができ、熱運動を適切に抑制でき、さらに、酸素遮断ができ、高い耐光性と耐熱性をたっせいできる。この効果は、セシウム酸タングステン酸を用いる場合に顕著に効果的に発揮される。
MxWyOz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
すなわち、金属酸化物は、セシウム酸化タングステンであることがより好ましい。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
また、酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物としても、入手可能である。
X31〜X34の置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、直鎖、分枝もしくは環状のアルキル基を含み、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、及び、R31〜R38としてのアルキル基が有していてもよい置換基として挙げた基が挙げられ、中でも、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、スルホニル基、スルフィニル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基である。
市販品としては、本願の特徴を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えばEPOLIGHT1178などのEPOLIGHTシリーズ(Epolin社製) 、CIR-1085などのCIR- 108XシリーズおよびCIR-96Xシリーズ(日本カーリット社製)などが好適に用いられる。
平均粒子径がこのような範囲であることによって、ジインモニウム色素顔料が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、ジインモニウム色素顔料の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
また、フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤を使用することが可能である。この場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の赤外線吸収性組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418、特開2010−129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸価が上記範囲に入るように調整することが必須である。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
合手であることを示す。)
1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子であ
る化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全
て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式
(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができ
る。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)又は一般式(ii)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化
薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
本発明の赤外線吸収性組成物は、重合開始剤を含有しても良く、重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光重合性化合物であることが好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、熱で重合を開始させる場合には、150℃〜250℃で分解する開始剤が好ましい。
感度の観点から、オキシム化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、及び、チオール化合物が好ましい。
以下、本発明に好適な重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
好ましくは更に、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
式(2)におけるR、A、及びArは、前記式(1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
アセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。またアシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
本発明の重合性組成物の全固形分質量に対する重合開始剤の含有量は、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜15質量%が特に好ましい。
本発明の赤外線吸収性組成物は、バインダーを含有することが好ましい。
バインダーは特に限定されないが、バインダーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に酸基を付与するための処理が必要となる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等が挙げられる。上記フェノール類及びアルデヒド類は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜40,000がさらに好ましく、7,000〜35,000が最も好ましい。
本発明の赤外線吸収性組成物は、上記金属酸化物や上記色素の分散性、分散安定性向上を目的として、公知の分散剤により分散して用いてもよい。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学(株)製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。
分散性及び沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂も好適に挙げることができる。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
好ましい分散剤は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、少なくとも下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び、下記式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W1、W2、W3、及び、W4はそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y1、Y2、Y3、及び、Y4はそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−21)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及び、qはそれぞれ1から500の整数である。
式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
また、式(3)中のR’としては分散樹脂中に構造の異なるR’を2種以上混合して用いても良い。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
また、式(4)中のRとしては特定樹脂中に構造の異なるRを2種以上混合して用いても良い。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(2A)中、X2、Y2、Z2及びmは、式(2)におけるX2、Y2、Z2及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、前記式(3)で表される構造単位としては、分散安定性の観点から、下記式(3A)又は下記式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
赤外線吸収性組成物は、分散剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、組成物中における分散剤の含有量としては、組成物中の上記金属酸化物の質量と上記色素の質量との和に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
本発明の赤外線吸収性組成物は、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、かつ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
赤外線吸収性組成物は、増感剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、増感剤の含有量は、本発明の赤外線吸収性組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
本発明の赤外線吸収性組成物は、赤外線カットフィルタの強度を向上させる目的で、更に、架橋剤を含有していても良い。
架橋剤は、架橋性基を有する化合物であることが好ましく、架橋性基を2個以上で有する化合物であることがより好ましい。架橋性基の具体例としては、オキセタン基、シアネート基、及び、アルカリ可溶性バインダーが有していてもよい架橋性基について挙げたものと同様の基を好適に挙げることができ、中でも、エポキシ基、オキセタン基又はシアネート基であることが好ましい。すなわち、架橋剤は、特にエポキシ化合物、オキセタン化合物又はシアネート化合物が好ましい。
本発明において架橋剤として好適に用いうるエポキシ化合物としては、例えば、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物などが挙げられる。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
具体的には、例えば、例えば、特開2012−032556号公報の段落番号0266に記載の化合物が挙げられる。 前記ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、などが挙げられる。
該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。
架橋剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。架橋剤は、保存安定性が良好で、硬化膜(光ないしは熱等のエネルギーによって架橋剤による架橋反応が実施された後における膜)の表面硬度あるいは膜強度自体の向上に有効である点で、メラミン若しくはアルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
本発明の赤外線吸収性組成物は、前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物等の架橋剤の熱硬化を促進することを目的に、更に、硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、特開2012−032556号公報の段落番号0269に記載の化合物が挙げられる。硬化促進剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収性組成物は、硬化促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化促進剤の前記組成物の全固形分に対する含有量は、通常0.01〜15質量%である。
本発明の赤外線吸収性組成物は、更にフィラーを含んでもよい。本発明に用い得るフィラーとしては、シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカが挙げられる。
本発明の重合性組成物がフィラーを含有することにより、耐久性の高い赤外線カットフィルタが得られる点で好ましい。
前記フィラーが球状であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、確認することができる。
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
前記フィラーは前述の分散剤、バインダーを用いることにより分散することができる。前記したように、硬化性の観点から、側鎖に架橋性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーが特に好ましい。
次に、フィラーの表面処理について説明する。フィラーの表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤によりシリカを被覆する処理が好ましい。
フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「「第1官能基」とも称する。」と、(メタ)アクリロイル基、アミノ基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「第2官能基」とも称する。)が好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基がより好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基がより好ましい。前記第2官能基が(メタ)アクリロイル基であると、保存安定性の点で、有利である。
前処理を行う方法としては、特に制限はなく、例えば、乾式法、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。前処理を行なう温度は、特に制限はないが、常温〜200℃が好ましい。
前処理を行なう際には触媒を加えることも好ましい。この触媒としては、特に制限はなく、例えば、酸、塩基、金属化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
本発明で用いることができるシランカップリング剤で表面処理された球状のシリカとしては、例えば、電気化学工業:FB、SFPシリーズ、龍森:1−FX、東亜合成:HSPシリーズ、扶桑化学工業:SPシリーズなどが挙げられる。
本発明の赤外線吸収性組成物には、更に、エラストマーを含んでいてもよい。
エラストマーを含有させることにより、基材と赤外線カットフィルタとの密着性をより向上させることができるとともに、赤外線カットフィルタの耐熱性、耐熱衝撃性、柔軟性及び強靭性をより向上させることができる。
エラストマーとしては、例えば、特開2012−032556号公報の段落番号0284〜0292に記載の化合物が挙げられる。
本発明の赤外線吸収性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する赤外線吸収性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色感光性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%であり、さらに好ましくは、0.01〜0.1質量%以下である。
本発明の赤外線吸収性組成物には、前記必須成分や前記好ましい添加剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を適宜選択して用いてもよい。
併用可能なその他の成分としては、例えば、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする赤外線吸収フィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されている。
これら公報に記載の添加剤は、いずれも本発明の赤外線吸収性組成物に使用可能である。
本発明の赤外線吸収性組成物は溶剤を含有することが好ましい。
溶剤は、特に制限はなく、前記本発明の赤外線吸収性組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
また、本発明の赤外線吸収性組成物の粘度は、1mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10mPa・s以上2000mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、100mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲である。
本発明の赤外線吸収性組成物が、固体撮像素子基板の受光側における赤外線カットフィルタ用である場合、厚膜形成性と均一塗布性の観点から、10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、500mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、700mPa・s以上1400mPa・s以下の範囲である。
更に、本発明は、固体撮像素子基板の受光側において、本発明の赤外線吸収性組成物をスピン塗布することにより膜を形成する工程を有する、赤外線カットフィルタの製造方法にも関する。
赤外線吸収性組成物(塗布液)を支持体上にスピン塗布する方法は、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター等を用いることにより実施できる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前加熱工程及び後加熱工程における加熱温度は、通常、80℃〜200℃であり、90℃〜150℃であることが好ましい。
前加熱工程及び後加熱工程における加熱時間は、通常、30秒〜240秒であり、60秒〜180秒であることが好ましい。
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された前記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、赤外線カットフィルタの機械的強度が向上する。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、KrF、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては。ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5mJ/cm2〜3000mJ/cm2が好ましく10mJ/cm2〜2000mJ/cm2がより好ましく、50mJ/cm2〜1000mJ/cm2が最も好ましい。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。該加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記膜中の成分の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
なお、図1及び図2にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」及び「上側」は、シリコン基板10から見て遠い側を指し、「下」、「下方」及び「下側」は、はシリコン基板10に近い側を指す。
図1に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板100と、固体撮像素子基板100の第1の主面側(受光側)に設けられた平坦化層46(図1には不図示)と、平坦化層46の上に設けられた赤外線カットフィルタ42と、赤外線カットフィルタ42の上方に配置されるガラス基板30(光透過性基板)と、ガラス基板30の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子基板100及びガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤20(図1には不図示)、45により接着されている。
本発明は、固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子基板の受光側において、上記本発明の赤外線吸収性組成物をスピン塗布することにより膜を形成する工程にも関する。
よって、本実施形態に係るカメラモジュールにおいては、例えば、平坦化層46の上に、本発明の赤外線吸収性組成物をスピン塗布することにより膜を形成して、赤外線カットフィルタ42を形成する。スピン塗布することにより膜を形成し、赤外線カットフィルタを製造する方法は前記した通りである。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、ガラス基板30、赤外線カットフィルタ42、平坦化層46を順次透過した後、固体撮像素子基板100の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール200は、固体撮像素子基板100の第2の主面側で、ハンダボール60(接続材料)を介して回路基板70に接続されている。
固体撮像素子基板100は、基体であるシリコン基板10、撮像素子12、層間絶縁膜13、ベース層14、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B、オーバーコート16、マイクロレンズ17、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダレジスト層24、内部電極26、及び素子面電極27を備えて構成されている。
但し、ソルダレジスト層24は省略されていてもよい。
図2に示すように、固体撮像素子基板100の基体であるシリコン基板10の第1の主面側に、CCDやCMOS等の撮像素子12が2次元に複数配列された撮像素子部が設けられている。
撮像素子部における撮像素子12上には層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13上にはベース層14が形成されている。更にベース層14上には、撮像素子12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)がそれぞれ配置されている。
赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15Bの境界部、及び撮像素子部の周辺には、図示しない遮光膜が設けられていてもよい。この遮光膜は、例えば、公知のブラックのカラーレジストを用いて作製できる。
カラーフィルタ15上にはオーバーコート16が形成され、オーバーコート16上には撮像素子12(カラーフィルタ15)に対応するようにマイクロレンズ17が形成されている。
そして、マイクロレンズ17の上には、前記平坦化層46が設けられている。
更に、内部電極26上には、層間絶縁膜13を介して素子面電極27が形成されている。内部電極26と素子面電極27間の層間絶縁膜13内には、これら電極間を電気的に接続するコンタクトプラグ(不図示)が形成されている。素子面電極27は、コンタクトプラグ、内部電極26を介して電圧の印加及び信号の読み出しなどに使用される。
素子面電極27上には、ベース層14が形成されている。ベース層14上にはオーバーコート16が形成されている。素子面電極27上に形成されたベース層14及びオーバーコート16が開口されて、パッド開口部が形成され、素子面電極27の一部が露出している。
固体撮像素子基板100の第1の主面側において、撮像素子部の周辺には接着剤20が設けられ、この接着剤20を介し、固体撮像素子基板100とガラス基板30とが接着される。
該第2の主面側には、第2の主面上から貫通孔の内壁にわたり絶縁膜22が形成されている。
絶縁膜22上には、シリコン基板10の第2の主面上の領域から貫通孔の内部に至るようにパターニングされた金属電極23が設けられている。金属電極23は、固体撮像素子基板100中の撮像素子部と回路基板70との接続用の電極である。
前記貫通電極は、この金属電極23のうち、貫通孔の内部に形成された部分である。貫通電極は、シリコン基板10及び層間絶縁膜の一部を貫通して内部電極26の下側に至り、該内部電極26に電気的に接続されている。
更に、第2の主面側には、ソルダレジスト層24が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部が露出する開口部を有する遮光膜18が設けられている。
なお、図2では、遮光膜18は、金属電極23の1部を覆い、残りの部分を露出させるようにパターニングされているが、金属電極23の全部を露出させるようにパターニングされていてもよい(ソルダレジスト層24のパターニングについても同様である)。
また、ソルダレジスト層24は省略されていてもよく、金属電極23が形成された第2の主面上に、遮光膜18が直接形成されていてもよい。
層間絶縁膜13は、例えば、スパッタやCVD(Chemical vapor deposition)等によりSiO2膜又はSiN膜として形成する。
カラーフィルタ15は、例えば、公知のカラーレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
オーバーコート16及びベース層14は、例えば、公知の有機層間膜形成用レジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
マイクロレンズ17は、例えば、スチレン系樹脂等を用い、フォトリソグラフィー等により形成する。
ソルダレジスト層24は、例えばフェノール系樹脂、あるいはポリイミド系樹脂、アミン系樹脂を含む公知のソルダレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成されることが好ましい。
ハンダボール60は、例えば、Sn−Pb(共晶)、95Pb−Sn(高鉛高融点半田)、Pbフリー半田として、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cuなどを用いて形成する。ハンダボール60は、例えば、直径100μm〜1000μm(好ましくは直径150μm〜700μm)の球状に形成する。
内部電極26及び素子面電極27は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、又はフォトリソグラフィー及びエッチングにより、Cu等の金属電極として形成する。
金属電極23は、例えば、スパッタ、フォトリソグラフィー、エッチング、及び電解めっきにより、Cu、Au、Al、Ni、W、Pt、Mo、Cu化合物、W化合物、Mo化合物等の金属電極として形成する。金属電極23は、単層構成でも2層以上からなる積層構成であってもよい。金属電極23の膜厚は、例えば、0.1μm〜20μm(好ましくは0.1μm〜10μm)とする。シリコン基板10としては特に限定されないが、基板裏面を削ることによって薄くしたシリコン基板を用いることができる。基板の厚さは限定されないが、例えば、厚み20μm〜200μm(好ましくは30〜150μm)のシリコンウエハーを用いる。
シリコン基板10の貫通孔は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)により形成する。
(実施例1)
下記組成成分を攪拌機で混合し、実施例1の赤外線吸収性組成物を調製した。
・フタロシアニン化合物 5.0質量部
・KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)(重合性化合物) 5.8質量部
・アクリベースFF−187(藤倉化成社製のベンジルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体(繰り返し単位のモル比=70:30;酸価=110mgKOH/g))(バインダー) 5.8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 48.3質量部
・メガファックF−781(DIC株式会社製)(界面活性剤) 0.3質量部
上記実施例1において、フタロシアニン化合物またはセシウム酸化タングステンを下記表に示す通り変更し、他は同様に行った。
R:下記化合物
S:下記化合物(昭和電工製、IR−T)
(赤外線カットフィルタの作成)
得られた実施例および比較例の赤外線吸収性組成物の各々から、スピン塗布法(MIKASA Co.,LTD製のMIKASA SPINCOATER 1H−D7を使用;340rpm)を用いて塗布膜を形成し、100℃,120秒間の前加熱(プリベーク)を行った後、i線ステッパーを用い、2000mJ/cm2で全面露光を行った。次いで、200℃、5分間の後加熱(ポストベーク)を行い、膜厚が約2μmの赤外線カットフィルタを得た。
いえる。
スガ試験機株式会社製のSuper Xenon Fade Meter SX75を用い、実施例及び比較例の赤外線カットフィルタに、キセノンランプ光源にて20時間照射する耐光性試験を行った。
上記の赤外線カットフィルタを具備したガラス基盤を230℃のホットプレート上で10分加熱し、耐熱試験後における赤外線カットフィルタの可視光線透過性(波長550nm)を上記方法に準じて測定し、|(試験前における可視光線透過性(%)−試験後における可視光線透過性(%))/試験前における可視光線透過性×100|(%)で表される可視光線透過性変化率を下記表に示した。
上記のようにして得た赤外線カットフィルタにおける波長800nmの透過率を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。数値が低いほど赤外線遮蔽性に優れると評価する。透過性が4%以下で実用上良好な赤外線遮蔽性を示すといえる。
さらに、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物として、上述の一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物を用いた場合、耐熱性および耐光性が特に効果的であった。
これに対し、フタロシアニン化合物であっても、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物以外のフタロシアニン化合物を用いた場合(比較例1)、耐熱性、耐光性が著しく劣ることが分かった。
また、本発明の赤外線吸収性組成物は液状であるため、例えばスピン塗布することにより膜を形成するという簡単な工程によって、赤外線カットフィルタを容易に製造できるため、上記した従来の赤外線カットフィルタにおける不充分な製造適性を改善することができる。
このように、本発明の赤外線吸収性組成物は、固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールを作製するのに適した赤外線吸収性組成物である。
12 撮像素子
13 層間絶縁膜
14 ベース層
15 カラーフィルタ
16 オーバーコート
17 マイクロレンズ
18 遮光膜
20 接着剤
22 絶縁膜
23 金属電極
24 ソルダレジスト層
26 内部電極
27 素子面電極
30 ガラス基板
40 撮像レンズ
42 赤外線カットフィルタ
44 遮光兼電磁シールド
45 接着剤
46 平坦化層
50 レンズホルダー
60 ハンダボール
70 回路基板
100 固体撮像素子基板
Claims (12)
- 一般式(I−1)、一般式(I−2)または一般式(I−3)で表される骨格を有するフタロシアニン化合物と、前記フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤と、を含有する赤外線吸収性組成物。
- 前記一般式(I−1)において、Mが、Ti=Oである、請求項1に記載の赤外線吸収性組成物。
- フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤がセシウム酸化タングステンおよびジインモニウム色素から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の赤外線吸収性組成物。
- フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤が、下記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物である、請求項1または2に記載の赤外線吸収性組成物。
MxWyOz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0 - 前記フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤が、セシウム酸化タングステンであり、
前記フタロシアニン化合物とセシウム酸化タングステンとの質量比が、4:1〜1:25である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物。 - 前記フタロシアニン化合物の最大吸収波長が680〜720nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物。
- 前記フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤の最大吸収波長が1000〜1700nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物。
- 前記フタロシアニン化合物の最大吸収波長と、前記フタロシアニン化合物以外の赤外線吸収剤の最大吸収波長の差が500〜1000nmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物。
- さらに重合性化合物を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項の赤外線吸収性組成物を用いて作成された赤外線カットフィルタ。
- 固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された請求項10に記載の赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュール。
- 固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子基板の受光側において、請求項1〜9のいずれか1項に記載の赤外線吸収性組成物をスピン塗布することにより膜を形成する工程を有する、カメラモジュールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012043917A JP5824386B2 (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012043917A JP5824386B2 (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013182028A JP2013182028A (ja) | 2013-09-12 |
JP5824386B2 true JP5824386B2 (ja) | 2015-11-25 |
Family
ID=49272731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012043917A Active JP5824386B2 (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5824386B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6281395B2 (ja) * | 2013-11-26 | 2018-02-21 | ソニー株式会社 | 撮像素子 |
JP6301242B2 (ja) | 2014-11-28 | 2018-03-28 | 富士フイルム株式会社 | 赤外線反射パターン形成体 |
TW201800459A (zh) * | 2015-12-18 | 2018-01-01 | 富士軟片股份有限公司 | 近紅外線吸收組成物、近紅外線截止濾波器、近紅外線截止濾波器的製造方法、固體攝像元件、照相機模組及圖像顯示裝置 |
JP6954194B2 (ja) * | 2018-03-13 | 2021-10-27 | Jsr株式会社 | 赤外線吸収組成物 |
JPWO2022131191A1 (ja) * | 2020-12-16 | 2022-06-23 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2545558B2 (ja) * | 1987-11-18 | 1996-10-23 | 東洋インキ製造株式会社 | 光学記録媒体 |
JPH01130984A (ja) * | 1987-11-18 | 1989-05-23 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 光学記録媒体 |
GB9722883D0 (en) * | 1997-10-30 | 1998-01-07 | Secr Defence | Phthalocyanine analogs |
JP4908414B2 (ja) * | 2005-05-13 | 2012-04-04 | 日本化薬株式会社 | ジイモニウム化合物及びその用途 |
JP4906283B2 (ja) * | 2005-07-20 | 2012-03-28 | リンテック株式会社 | 赤外線吸収フィルム |
JP4839056B2 (ja) * | 2005-10-17 | 2011-12-14 | 帝人化成株式会社 | 赤外線吸収フィルターおよび赤外線吸収パネル |
KR101399987B1 (ko) * | 2006-11-17 | 2014-05-27 | 린텍 가부시키가이샤 | 디스플레이용 감압 접착제 조성물 |
JP5358976B2 (ja) * | 2008-02-29 | 2013-12-04 | 大日本印刷株式会社 | 近赤外線吸収材 |
JP2010002825A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-01-07 | Dainippon Printing Co Ltd | 近赤外線吸収能を有する反射防止材 |
-
2012
- 2012-02-29 JP JP2012043917A patent/JP5824386B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013182028A (ja) | 2013-09-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5988630B2 (ja) | 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ | |
KR102283273B1 (ko) | 착색 감광성 조성물, 경화막, 패턴 형성 방법, 차광막 부착 적외광 차단 필터, 고체 촬상 소자, 화상 표시 장치 및 적외선 센서 | |
JP6317432B2 (ja) | 着色組成物、膜、カラーフィルタ、パターン形成方法、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および赤外線センサ | |
JP6152074B2 (ja) | 色素多量体、着色組成物、硬化膜、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および画像表示装置 | |
JP6018984B2 (ja) | 着色組成物、硬化膜、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および画像表示装置 | |
TWI595313B (zh) | 組成物、著色層、彩色濾光片、紅外線透過濾光片及其製造方法、以及紅外線感測器 | |
JP5689860B2 (ja) | カラーフィルタ用着色感放射線性組成物、パターンの形成方法、カラーフィルタ、及びその製造方法、並びに固体撮像素子 | |
JP6096146B2 (ja) | 着色組成物、着色硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置 | |
JP5743801B2 (ja) | 着色組成物、着色感放射線性組成物、重合体の製造方法、パターンの形成方法、カラーフィルタ、及びその製造方法、並びに固体撮像素子 | |
JP6166711B2 (ja) | 着色組成物、およびこれを用いた硬化膜、カラーフィルタ、パターン形成方法、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および画像表示装置 | |
JP2013151675A (ja) | 赤外線吸収性組成物、これを用いた赤外線カットフィルタ及びその製造方法、並びに、カメラモジュール及びその製造方法 | |
JP5965639B2 (ja) | 赤外線カットフィルタの製造方法、該製造方法に用いられる赤外線吸収性液状組成物、及びカメラモジュールの製造方法 | |
JP2013155353A (ja) | 赤外線吸収性液状組成物、これを用いた赤外線カットフィルタ及びその製造方法、並びに、カメラモジュール及びその製造方法 | |
JP5743588B2 (ja) | 着色感放射線性組成物、パターンの形成方法、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、および固体撮像素子 | |
KR20140041530A (ko) | 컬러필터, ccd 센서, cmos 센서, 유기 cmos 센서, 및 고체 촬상 소자 | |
JP5849011B2 (ja) | ソルダーレジスト組成物、硬化膜、および硬化膜の製造方法 | |
JP5824386B2 (ja) | 赤外線吸収性組成物および赤外線カットフィルタ | |
JP2015068945A (ja) | 感光性樹脂組成物、赤外線透過フィルタおよびその製造方法、赤外線センサならびにカラーフィルタ。 | |
JP2013231878A (ja) | 硬化層又は硬化パターンの形成方法、及び、カラーフィルタの製造方法、並びに、これらを用いて製造されるカラーフィルタ、固体撮像素子、及び、液晶表示装置 | |
JP6793799B2 (ja) | ネガ型硬化性着色組成物、硬化膜、カラーフィルタ、パターン形成方法及び装置 | |
JP2013054079A (ja) | 光硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子 | |
JP5726514B2 (ja) | 着色感放射線性組成物、カラーフィルタおよびその製造方法、固体撮像素子、並びに液晶表示装置 | |
JP2014186342A (ja) | 着色硬化性組成物、着色硬化膜、カラーフィルタ、パターン形成方法、カラーフィルタの製造方法、体撮像素子、及び画像表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140612 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150514 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150519 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150703 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150914 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151006 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151009 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5824386 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |