以下に、本発明の着色硬化性組成物、着色硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子及び画像表示装置について詳述する。
以下に記載する本発明における構成要素の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、着色硬化性組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
[着色硬化性組成物]
本発明の着色硬化性組成物は、以下に詳述する(A)重合性基を有する色素多量体、(B)顔料、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有する着色硬化性組成物の好適な態様の一つとして含まれるものであり、(B)顔料に対する(A)色素多量体の質量比が、0.1〜5であり、(C)重合性化合物の含有量が、着色硬化性組成物中の全固形分に対して1.0質量%〜50質量%であり、(D)光重合開始剤の含有量が、着色硬化性組成物の全固形分に対し0.5質量%〜30質量%であり、前記(A)色素多量体の重量平均分子量が3000〜15000である着色硬化性組成物である。
本発明の着色硬化性組成物は、更に、(E)バインダーを含むことが好ましく、必要に応じて、架橋剤など他の成分を含んでもよい。
上記の構成を有する本発明の着色硬化性組成物は、露光ラチチュードが広く、耐熱性に優れ、高温プロセス(250℃以上)を有するパターン形成に適用された場合においても、隣接パターンへの色移りが抑制された着色パターンを形成しうる。
その作用機構については未だ明確ではないが、以下のように推測している。
色素多量体と顔料とを併用すると、顔料は光応答性がないため、露光量依存性が小さくなる。さらに、本発明における重合性基を有する色素多量体は顔料に吸着するため、重合性基の膜内での分布が均一化し、露光による硬化も均一化する。そのため、低露光側では硬化が促進され(即ち、パターンサイズが目標のサイズより小さくなり難い。)、高露光側では過剰に露光が促進されない(即ち、パターンサイズが目標のサイズより大きくなり難い。)ため、露光ラチチュードが向上すると考えられる。また、顔料への吸着及び硬化の均一化により、色素多量体はパターンへの固定化が促進される。そのため、本発明の着色硬化性組成物を、高温プロセスを有するパターン形成に適用した場合においても、隣接パターンへの色移りが抑制されると考えられる。
以上の作用機構により、本発明の着色硬化性組成物は、露光ラチチュードの向上及び高温での色移り抑制を両立できたと考えている。
以下、本発明の着色硬化性組成物に含まれる成分について、詳細に説明する。
〔(A)重合性基を有する色素多量体〕
本発明の着色硬化性組成物は、重合性基を有する色素多量体(以下、単に「色素多量体(A)」ということがある。)の少なくとも1種を含有する。
色素多量体(A)は、より具体的には、その分子構造中に、重合性基と、最大吸収波長が400nm〜780nmの範囲に存在する色素骨格を有する部分構造と、を有する多量体であり、二量体、三量体、及びポリマーなどの構造を包含する。色素多量体(A)は、本発明の着色硬化性組成物において、例えば着色剤として機能する。
以下、色素多量体(A)における色素に由来する部分構造、色素多量体(A)の好ましい構造、色素多量体(A)が有してもよい官能基(後述する置換基群A)、色素多量体(A)の好ましい物性について、詳細に記述する。
ここでいう「色素に由来する部分構造」とは、後述する色素構造を形成しうる具体的な色素(以下、色素化合物とも称する。)から水素原子を除いた、色素多量体連結部(ポリマー鎖やデンドリマーのコア等)と連結可能である構造を表す。
(色素に由来する部分構造)
色素多量体(A)における色素に由来する部分構造(以下、「色素構造」ともいう。)としては、特に制限はなく、公知の色素構造を含む種々のものを適用することができる。公知の色素構造としては、例えば、アゾ色素、アゾメチン色素(インドアニリン色素、インドフェノール色素など)、ジピロメテン色素、キノン色素(ベンゾキノン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、アントラピリドン色素など)、カルボニウム色素(ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アクリジン色素など)、キノンイミン色素(オキサジン色素、チアジン色素など)、アジン色素、ポリメチン色素(オキソノール色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、スチリル色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素など)、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、ペリノン色素、インジゴ色素、チオインジゴ色素、キノリン色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、及びそれらの金属錯体色素から選ばれる色素に由来する色素構造などを挙げることができる。
これらの色素構造の中でも、色特性の観点から、アゾ色素、ジピロメテン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が最も好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
色素多量体(A)は、前記色素構造中の水素原子が下記置換基群Aから選択された置換基により置換されていてもよい。
<置換基群A>
色素多量体が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。以下詳細に記述する。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖もしくは分岐のアルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
直鎖もしくは分岐のアルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、官能基中の水素原子の部分が、上記いずれかの基で置換されていてもよい。置換基として導入可能な官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
色素多量体(A)において、色素に由来する部分構造を形成しうる特に好ましい色素(色素化合物)について詳細に記述する。
(ジピロメテン色素)
色素多量体(A)の態様の一つは、下記に示すジピロメテン色素に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体である
ジピロメテン色素としては、ジピロメテン化合物、及び、ジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物が好ましい。
なお、以下では、ジピロメテン構造を含む化合物をジピロメテン化合物と称し、ジピロメテン構造を含む化合物に金属又は金属化合物に配位した錯体をジピロメテン金属錯体化合物と称する。
ジピロメテン金属錯体化合物としては、下記一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物及びその互変異性体が好ましく、なかでも、好ましい態様として下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物、又は、下記一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物が挙げられ、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物が最も好ましい。
<<一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物、及びその互変異性体>>
色素多量体(A)における色素構造の好ましい態様の一つは、下記一般式(M)で表される化合物(ジピロメテン化合物)又はその互変異性体が、金属又は金属化合物に配位した錯体(以下、適宜「特定錯体」と称する。)を色素部位として含む色素構造である。
一般式(M)において、R4〜R10は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。但し、R4とR9とが互いに結合して環を形成することはない。
一般式(M)で表される化合物を、後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、又は一般式(D)で表される多量体に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R4〜R9のいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R4、R6、R7及びR9のいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R4及びR9のいずれか1つにおいて導入されることが更に好ましい。
一般式(M)におけるR4〜R9が1価の置換基を表す場合の1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。
一般式(M)中のR4〜R9で示される1価の置換基が、さらに置換可能な基である場合には、R4〜R9で説明した置換基をさらに有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(M)中のR4とR5、R5とR6、R7とR8、及び、R8とR9は、それぞれ独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。但し、R4とR9とが互いに結合して環を形成することはない。形成される5員、6員、及び7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R4〜R9で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(M)中のR4とR5、R5とR6、R7とR8、及び、R8とR9が、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリダジン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環又はピリジン環が挙げられる。
一般式(M)におけるR10は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。該ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基としては、前記置換基群Aの項において説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基とそれぞれ同義であり、その好ましい範囲も同様である。
R10がアルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環基を表す場合の、アルキル基、アリール基、及び、ヘテロ環基が、さらに置換可能な基である場合には、置換基群Aの項において説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
〜金属又は金属化合物〜
特定錯体は、既述の一般式(M)で表されるジピロメテン化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体である。
ここで、金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。金属又は金属化合物としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の金属の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2などの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)2等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOが更に好ましく、Znが最も好ましい。
次に、一般式(M)で表される化合物の本発明における特定錯体のさらに好ましい範囲について説明する。
本発明における特定錯体の好ましい範囲は、一般式(M)において、R4及びR9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R5及びR8が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R6及びR7が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はV=Oである範囲である。
特定錯体のより好ましい範囲は、一般式(M)において、R4及びR9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R5及びR8が、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R6及びR7が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はV=Oである範囲である。
特定錯体の特に好ましい範囲は、一般式(M)において、R4及びR9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R5及びR8が、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり;R6及びR7が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;R10が、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;金属又は金属化合物が、Zn、Cu、Co、又はV=Oである範囲である。
さらに、以下に詳述する一般式(7)又は一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物も、ジピロメテン色素の特に好ましい様態である。
<<一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物>>
色素多量体(A)における色素構造の好適な態様の一つは、下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。
一般式(7)中、R4〜R9は、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。X1は、Maに結合可能な基を表し、X2は、Maの電荷を中和する基を表し、X1とX2は、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。ただし、R4とR9とが互いに結合して環を形成することはない。
なお、一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を、後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、一般式(D)で表される多量体に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R4〜R9のいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R4、R6、R7及びR9のいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R4及びR9のいずれか1つにおいて導入されることが更に好ましい。
色素多量体(A)が、アルカリ可溶性基を有する場合において、該アルカリ可溶性基を導入する方法としては、前記一般式(7)におけるR4〜R10、X1、X2のいずれか1つ又は2つ以上の置換基に、アルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R4〜R9及びX1のいずれかが好ましく、R4、R6、R7及びR9のいずれかがより好ましく、R4及びR9のいずれかが更に好ましい。
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
一般式(7)における中のR4〜R9は、前記一般式(M)におけるR4〜R9と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(7)中、Maは、金属原子又は金属化合物を表す。金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。
例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等、及びAlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2などの金属塩化物、TiO、V=O等の金属酸化物、Si(OH)2等の金属水酸化物が含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、金属原子又は金属化合物として、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、及びV=Oが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、及びV=Oが更に好ましく、Zn、Co、V=O、及びCuが特に好ましく、Znが最も好ましい。
また、一般式(7)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子である。
一般式(7)中、X1は、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」([1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、[2](1996年)、[3](1997年)等)に記載の化合物が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類が好ましく、水、カルボン酸化合物がより好ましい。
一般式(7)中、X2で表される「Maの電荷を中和する基」としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、水酸基、カルボン酸基がより好ましい。
一般式(7)中、X1とX2は、互いに結合して、Maと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、又は/及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(7)で表される化合物の好ましい態様としては、R4〜R9は各々独立に、R4〜R9の説明で記載した好ましい態様であり、R10はR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はV=Oであり、X1は水、又はカルボン酸化合物であり、X2は水酸基、又はカルボン酸基であり、X1とX2とが互いに結合して5員又は6員環を形成していてもよい。
<<一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物>>
色素多量体(A)における色素構造の好適な態様の一つは、下記の一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。
一般式(8)中、R11及びR16は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。R12〜R15は、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。X2及びX3は、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y1及びY2は、各々独立に、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子又は炭素原子を表す。R11とY1は、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、R16とY2は、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。X1はMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。
なお、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、一般式(D)で表される多量体に導入する部位は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、R11〜R17、X1、Y1〜Y2のいずれか1つであることが好ましい。これらの中でも、合成適合性の点で、R11〜R16及びX1のいずれか1つにおいて導入されることが好ましく、より好ましくは、R11、R13、R14及びR16のいずれか1つにおいて挿入される態様であり、更に好ましくは、R11及びR16のいずれか1つにおいて挿入される態様である。
色素多量体(A)が、アルカリ可溶性基を有する場合において、該アルカリ可溶性基を導入する方法としては、アルカリ可溶性基を有する色素単量体又は構造単位を用いる場合、前記一般式(8)におけるR11〜R17、X1、Y1〜Y2のいずれか1つ又は2つ以上の置換基にアルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R11〜R16及びX1のいずれかが好ましく、R11、R13、R14及びR16のいずれかがより好ましく、R11及びR16のいずれかが更に好ましい。
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
一般式(8)において、R12〜R15は、前記一般式(M)中のR5〜R8と同義であり、好ましい態様も同様である。R17は、前記一般式(M)中のR10と同義であり、好ましい態様も同様である。Maは、前記一般式(7)中のMaと同義であり、好ましい範囲も同様である。
より詳細には、前記一般式(8)におけるR12〜R15のうち、前記R12及びR15としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、又は、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
前記R13及びR14としては、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。ここで、より好ましいアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基の具体例は、一般式(M)の前記R6及びR7において列記した具体例を同様に挙げることができる。
一般式(8)中、R11及びR16は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、2−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
R11及びR16としては、上記の中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、がより好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基が更に好ましく、アルキル基が特に好ましい。
一般式(8)中、R11及びR16で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(8)中、X2及びX3は、各々独立に、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。
一般式(8)中、Y1及びY2は、各々独立に、NRC、窒素原子、又は炭素原子を表し、RCは、前記X2及びX3のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(8)中、R11とY1は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
前記一般式(8)中、R16とY2は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
一般式(8)中、R11とY1、及びR16とY2が結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、置換可能な環である場合には、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(8)中、R11及びR16は、各々独立に、立体パラメータである−Es値が1.5以上の1価の置換基であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることがさらに好ましく、5.0以上であることが特に好ましい。
ここで、立体パラメータ−Es’値は、置換基の立体的嵩高さを表すパラメータであり、文献(J.A.Macphee,et al,Tetrahedron,Vol.34,pp3553〜3562、藤田稔夫編 化学増刊107 構造活性相関とドラックデザイン、1986年2月20日発行(化学同人))に示されている−Es’値を用いる。
一般式(8)中、X1はMaと結合可能な基を表し、具体的には、前記一般式(7)におけるX1と同様な基が挙げられ、好ましい態様も同様である。aは0、1、又は2を表す。
一般式(8)で表される化合物の好ましい態様としては、R12〜R15は、各々独立に、前記一般式(M)中のR5〜R8の説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(M)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はV=Oであり、X2はNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、X3はNR(Rは水素原子、アルキル基)、又は酸素原子であり、Y1はNRC(RCは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Y2は窒素原子、又は炭素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、X1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とY1とが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とY2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
一般式(8)で表される化合物の更に好ましい態様としては、R12〜R15は各々独立に、一般式(M)で表される化合物におけるR5〜R8の説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(M)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZnであり、X2及びX3は、酸素原子であり、Y1はNHであり、Y2は窒素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、X1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とY1とが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とY2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。この領域にあることで、本発明の着色硬化性組成物を用いて、色再現性の良好なカラーフィルタを作製することができる。
更に、ジピロメテン色素に由来する色素構造を有する色素多量体(A)は、450nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が1,000倍以上であることが好ましく、10,000倍以上であることがより好ましく、100,000倍以上であることが更に好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色硬化性組成物を用いて、特に青色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いカラーフィルタを形成することができる。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計cary5(バリアン社製)により測定されるものである。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物の融点は、溶解性の観点から、高すぎない方がよい。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、米国特許第4,774,339号明細書、同第5,433,896号明細書、特開2001−240761号公報、同2002−155052号公報、特許第3614586号公報、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。具体的には、特開2008−292970号公報の段落0131〜0157に記載の方法を適用することができる。
以下にジピロメテン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性、現像性及び耐熱性の観点より、特に(PM−8)、(PM−11)〜(PM−22)が好ましく、さらに(PM−8)、(PM−16)〜(PM−22)が好ましく、(PM−8)が最も好ましい。
(アゾ色素)
色素多量体(A)の態様の一つは、アゾ色素(アゾ化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体である。アゾ化合物とは、分子内にN=N基を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
アゾ色素としては、公知のアゾ色素(例えば、置換アゾベンゼン(具体例として後述する(AZ−4)〜(AZ−6)等))から適宜選択して適用することができる。
アゾ色素としては、マゼンタ色素及びイエロー色素として知られるアゾ色素が適用でき、それらの中でも、特に、下記一般式(d)、一般式(e)、一般式(g)、一般式(I−1)、一般式(I−2)、及び一般式(V)で表されるアゾ色素が好ましい。
<<マゼンタ色素>>
アゾ色素としては、マゼンタ色素である下記一般式(d)で表されるアゾ色素が好適に挙げられる。
一般式(d)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、Aは、アリール基、又は芳香族へテロ環基を表し、Z1〜Z3は、各々独立に、−C(R5)=、又は−N=を表し、R5は水素原子、又は置換基を表す。
一般式(d)における各置換基について詳しく説明する。
一般式(d)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜15、より好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数2〜6のカルバモイル基で、例えば、ジメチルカルバモイル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル)を表す。
R1及びR3は、好ましくは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基である。R2及びR4は、好ましくは、各々独立に、水素原子、アルキル基である。
R1〜R4が、置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
R1とR2、R1とR5(Z1又はZ2が−C(R5)=のとき)、R3とR4、R3とR5(Z1が−C(R5)=のとき)とは、互いに結合して、5員、又は6員の環を形成していてもよい。
Z1〜Z3は、各々独立に、−C(R5)=、又は−N=を表し、R5は水素原子、又は置換基を表す。R5の置換基としては、例えば、前記置換基の項で説明した置換基が挙げられる。R5の置換基が更に置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Z1〜Z3としては、好ましくは、Z1は−N=であって、Z2は−C(R5)=又は−N=であって、Z3は−C(R5)=である。更に好ましくは、Z1が−N=であって、Z2及びZ3が−C(R5)=である。
Aは、アリール基、又は芳香族へテロ環基を表す。Aのアリール基、及び芳香族へテロ環基は、更に、例えば、前記置換基の項で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
Aは、好ましくは芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジンン環、ベンゾピラゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
一般式(d)において、多量体化(色素多量体(A)の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R1、R2及びAのいずれか1つ又は2つ以上に導入されることが好ましく、より好ましくは、R1及び/又はAである。
一般式(d)で表されるアゾ色素は、より好ましくは下記一般式(d’)で表されるアゾ色素である。
一般式(d’)中、R1〜R4は、前記一般式(d)におけるR1〜R4と同義であり、好ましい範囲も同様である。Raは、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子吸引性基を表し、Rbは、水素原子、又は1価の置換基を表す。Rcはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。
Rbで表される置換基としては、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基が挙げられる。
アゾ色素としては、マゼンタ色素である下記一般式(e)で表されるアゾ色素も好適に挙げられる。
一般式(e)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。R11とR12、及びR15とR16は、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(e)における各置換基について詳しく説明する。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。1価の置換基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基(ここでは、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む飽和脂肪族基を意味する。)、炭素数2〜30のアルケニル基(ここでは、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む二重結合を有する不飽和脂肪族基を意味する。)、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数3〜30のヘテロ環基、シアノ基、炭素数1〜30の脂肪族オキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数2〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数0〜30のアミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基及びヘテロ環アミノ基を含む。)、炭素数2〜30のアシルアミノ基、炭素数1〜30のアミノカルボニルアミノ基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜30のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数0〜30のスルファモイル基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルホニル基、炭素数2〜30のアシル基、炭素数6〜30のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニル基、炭素数1〜30のカルバモイル基、炭素数3〜30のアリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基が挙げられ、それぞれの基はさらに置換基を有していてもよい。
R11及びR12は、好ましくは、各々独立に、水素原子、ヘテロ環基、シアノ基であり、より好ましくはシアノ基である。
R13及びR14は、好ましくは、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
R15及びR16は、好ましくは、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
一般式(e)において、多量体化(色素多量体(A)の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R13、R15、及びR16のいずれか1つ又は2つ以上に導入されることが好ましく、より好ましくは、R13及び/又はR15であり、更に好ましくはR13である。
上記したアゾ色素の中でも、マゼンタ色素としては、一般式(e)で表されるアゾ色素がより好ましい。
−イエロー色素−
アゾ色素としては、イエロー色素である下記一般式(g)、一般式(I−1)、一般式(I−2)、及び一般式(V)で表されるアゾ色素(それらの互変異性体も含む)が、好適に挙げられる。
一般式(g)中、R34は水素原子、又は置換基を表し、R35は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基を表す。Z30及びZ31は、各々独立に、−C(R36)=、又は−N=を表し、R36は水素原子、又は置換基を表す。A31は、アリール基、又は芳香族ヘテロ環基を表す。
一般式(g)における各置換基について詳しく説明する。
R34は、水素原子、又は1価の置換基を表し、前記置換基群Aの項で説明した置換基が挙げられ、アリール基及びヘテロ環基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
R35は、水素原子、アルキル基((好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、又はカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のカルバモイル基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル)を表す。
Z30及びZ31は、各々独立に、−C(R36)=、又は−N=を表し、R36は水素原子、又は置換基を表す。R36の置換基としては、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基が挙げられる。R36の置換基が更に置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Z30及びZ31としては、好ましくは、Z30が−N=であって、Z31が−C(R36)=である。
A31は、前記一般式(d)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(g)において、多量体化(色素多量体(A)の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R34及び/又はA31が好ましい。
一般式(I−1)及び一般式(I−2)中、Ri1、Ri2及びRi3は、それぞれ独立して1価の置換基を表す。aは0〜5の整数を表す。aが2以上の場合、隣接する2つのRi1で連結し縮環を形成してもよい。b及びcは、それぞれ独立して0〜4の整数を表す。b及びcが1以上の場合、隣接する2つのRi1で連結し縮環を形成してもよい。A32は、下記一般式(IA)、一般式(IB)又は一般式(IC)を表す。
一般式(IA)中、R42は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R43は、1価の置換基を表す。R44は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
一般式(IB)中、R44及びR45は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Tは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(IC)中、R46は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R47は、1価の置換基を表す。
一般式(I−1)及び一般式(I−2)におけるRi1、Ri2及びRi3が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。該1価の置換基としてより具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル、スルホンアミド基)、アルケニル基(炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルケニル基で、例えばビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、スルホ基、スルファモイル基(炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基が好ましい)が挙げられ、特に炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基が好ましい。aは1〜3が好ましい。b及びcは1〜3が好ましい。
一般式(IA)中、R42は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。R43で表される1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、特にシアノ基、カルバモイル基が好ましい。R44は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
一般式(IB)中、Tは酸素原子又は硫黄原子を表し、酸素原子が好ましい。R44及びR45は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
一般式(IC)中、R46は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。R47が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基及びアリール基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
一般式(V)中、MvはCr又はCoを表す。Rv1は酸素原子又は−COO−を表す。Rv2及びRv3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。vは0〜4の整数を表す。Rv4は1価の置換基を表す。vが2以上である場合、隣接するRv4同士が互いに連結して環を形成してもよい。
Rv2及びRv3としては、特に炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rv4が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、特にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルファモイル基及びスルホ基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ニトロ基が最も好ましい。
上記したアゾ色素の中でも、イエロー色素としては、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(V)で表されるアゾ色素が好ましい。
以下にアゾ色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち色特性及び耐熱性の観点より、特に、(AZ−7)、(AZ−9)、(AZ−11)、(AZ−13)、(AZ−14)、(AZ−15)、(AZ−16)、(AZ−17)、(AZ−19)、(AZ−20)、(AZ−21)、及び(AZ−22)が好ましい。
(アントラキノン色素)
本発明に係る色素多量体(A)の態様の一つは、アントラキノン色素(アントラキノンゾ化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(AQ−1)〜(AQ−3)で表される化合物(アントラキノン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてアントラキノン化合物とは、分子内にアントラキノン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(AQ−1)中、A及びBは、それぞれ独立して、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基又は水素原子を表す。XqaはORqa1又はNRqa2Rqa3を表す。Rqa1〜Rqa3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq1〜Rq4は置換基を表す。Rq1〜Rq4が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
一般式(AQ−2)中、C及びDは、一般式(AQ−1)中のA及びBと同義である。XqbはORqb1又はNRqb2Rqb3を表す。Rqb1〜Rqb3は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq5〜Rq8は置換基を表す。Rq5〜Rq8は、一般式(AQ−1)中のRq1〜Rq4と同義である。Rcは、一般式(AQ−1)中のRa又はRbと同義である。
一般式(AQ−3)中、E及びFは、一般式(AQ−1)中のA及びBと同義である。XqcはORqc1又はNRqc2Rqc3を表す。Rqc1〜Rqc3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq9〜Rq12は、一般式(AQ−1)中のRq1〜Rq4と同義である。Rdは、一般式(AQ−1)中のRa又はRbと同義である。
一般式(AQ−1)中、A及びBは水素原子であることが好ましい。Xqaは、ORqa1(Rqa1は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqa2Raq3(Rqa2は水素原子、Rqa3は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq1〜Rq4は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Raは水素原子であることが好ましい。Rbは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
一般式(AQ−2)中、C及びDは水素原子であることが好ましい。XqbはORqb1(Rqb1は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqb2Rbq3(Rqb2は水素原子、Rqb3は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq5〜Rq8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Rcは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基であることが好ましい。
一般式(AQ−3)中、E及びFは水素原子であることが好ましい。XqcはORqc1(Rqc1は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqc2Rcq3(Rqc2は水素原子、Rqc3は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq9〜Rq12は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Rdは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
以下にアントラキノン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に(aq−1)〜(aq−4)、(aq−13)、(aq−14)及び(aq−15)が好ましい。
が好ましい。
(トリフェニルメタン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、トリフェニルメタン色素(トリフェニルメタン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(TP)で表される化合物(トリフェニルメタン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてトリフェニルメタン化合物とは、分子内にトリフェニルメタン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(TP)中、Rtp1〜Rtp4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rtp5は、水素原子、アルキル基、アリール基又はNRtp9Rtp10(Rtp9及びRtp10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)を表す。Rtp6、Rtp7及びRtp8は、置換基を表す。a、b及びcは、0〜4の整数を表す。a、b及びcが2以上の場合、Rtp6、Rtp7及びRtp8は、それぞれ連結して環を形成してもよい。X−はアニオンを表す。
Rtp1〜Rtp6として、好ましくは水素原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基及びフェニル基が好ましい。Rtp5は水素原子又はNRtp9Rtp10が好ましく、NRtp9Rtp10であることが最も好ましい。Rtp9及びRtp10は水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rtp6、Rtp7及びRtp8が表す置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基を用いることができるが、特に、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、カルボキシル基又はスルホ基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、フェニル基又はカルボキシル基がさらに好ましい。特に、Rtp6、Rtp8は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、Rtp7はアルケニル基(特に隣接した2つのアルケニル基が連結したフェニル基が好ましい)、フェニル基又はカルボキシル基が好ましい。
a、b又はcは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。特にa及びbは0〜1が好まく、cは0〜2が好ましい。
X−はアニオンを表す。X−として、具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。X−は色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
X−は、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
下記に一般式(TP)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に(tp−4)、(tp−5)、(tp−6)及び(tp−8)が好ましい。
(キサンテン色素)
本発明における色素多量体(A)の好ましい態様の一つは、キサンテン色素(キサンテン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(J)で表されるキサンテン化合物に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。
一般式(J)中、R81、R82、R83及びR84は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R85は、各々独立に1、価の置換基を表し、mは、0から5の整数を表す。X−は、アニオンを表す。
一般式(J)におけるR81〜R84及びR85が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。
一般式(J)中のR81とR82、R83とR84、及びmが2以上の場合のR85同士は、各々独立に、互いに結合して5員、6員若しくは7員の飽和環、又は5員、6員若しくは7員の不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員又は7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R81〜R85で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(J)中のR81とR82、R83とR84、及びmが2以上の場合のR85同士は、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環又は5員、6員並びに7員の不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環又は5員、6員並びに7員の不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
特に、R82及びR83は水素原子であり、R81及びR84は置換又は無置換のフェニル基であることが好ましい。また、R85はハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが好ましい。R81及びR84のフェニル基が有する置換基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが最も好ましい。
X−はアニオンを表す。X−として、具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。X−は色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
X−はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
一般式(J)で表されるキサンテン骨格を有する化合物は、文献記載の方法で合成することができる。具体的には、テトラへドロン レターズ、2003年、vol.44,No.23、4355〜4360頁、テトラへドロン、2005年、vol.61,No.12、3097〜3106頁などに記載の方法を適用することができる。
以下にキサンテン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
式(1a)〜(1f)中、Rb及びRcは、それぞれ独立に、水素原子、−SO3−、−CO2H又は−SO2NHRaを表す。Rd、Re及びRfは、それぞれ独立に、−SO3−、−SO3Na又は−SO2NHRaを表す。
Rg、Rh及びRiは、それぞれ独立に、水素原子、−SO3−、−SO3H又は−SO2NHRaを表す。
Raは、1〜10のアルキル基、好ましくは、2−エチルヘキシル基を表す。X及びaは、上記と同じ意味を表す。)
式(1b)で表される化合物は、式(1b−1)で表される化合物の互変異性体である。
なかでも、色特性及び耐熱性の観点より特に式(1e)及び式(1f)が好ましい。
(シアニン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、シアニン色素(シアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(PM)で表される化合物(シアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてシアニン化合物とは、分子内にシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(PM)中、環Z1及び環Z2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。X−はアニオンを表す。
環Z1及び環Z2は、それぞれ独立して、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、ベンゾチアゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、1,3−チアジアジン等が挙げられる。
環Z1及び環Z2が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。X−はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。Xは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
一般式(PM)で表される化合物は、下記一般式(PM−2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(PM−2)中、環Z5及び環Z6は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
Y−は、Cl−、Br−、I−、ClO4 −、OH−、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。Y−は色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
nは、0以上3以下の整数を表す。
A1及びA2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のR3と1個のR4とが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
a及びbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。
一般式(PM−2)中、Y−はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、塩素アニオン、過塩素アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。nは1であることが好ましい。A1及びA2は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は炭素原子であることが好ましく、双方が炭素原子であることが最も好ましい。
以下に、シアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
具体例のうち、(pm−1)〜(pm−6)、(pm−9)及び(pm−10)で表される構造が好ましく、中でも、色特性及び耐熱性の観点より、(pm−1)、(pm−2)及び(pm−10)で表される色素構造が特に好ましい。
(スクアリリウム色素)
本発明に係る色素多量体(A)の態様の一つは、スクアリリウム色素(スクアリリウム化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(K)で表される化合物(スクアリリウム化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてスクアリリウム化合物とは、分子内にスクアリリウム骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(K)中、A及びBは、それぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。ヘテロ環基としては五員環又は六員環のへテロ環基が好ましく、例えばピロイル、イミダゾイル、ピラゾイル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、トリアゾール−1−イル、チエニル、フリル、チアジアゾイル等が挙げられる。
一般式(K)で現される化合物としては、特に下記一般式(K−1)、一般式(K−2)、一般式(K−3)又は一般式(K−4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(K−1)中、R91、R92、R94、R95、R96、及びR98は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖もしくは分岐のアルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基を表す。
R93及びR97は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
R91とR92、及び、R95とR96は、それぞれ、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(K−1)中のR91、R92、R94、R95、R96、R98が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。
R91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基又はヘテロ環基であることが好ましく、R93、R94、R97及びR98はアルキル基であり、且つ、R91とR92、及びR95とR96が互いに連結してアリール環を形成していることがさらに好ましく、R93、R94、R97及びR98は炭素数1〜20のアルキル基であり、且つ、R91とR92、及びR95とR96が互いに連結してベンゼン環を形成していることが最も好ましい。
一般式(K−2)中、R101、R103、R104、R105、R107及びR108は、前記一般式(K−1)におけるR91、R93、R94、R95、R97及びR98とそれぞれ同義である。R103及びR107は、前記一般式(K−1)におけるR93及びR97と同義である。
一般式(K−2)中、R101、R103、R104、R105、R107及びR108は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、又はヘテロ環基であることが好ましく、R101、R103、R105及びR107はアルキル基又はアリール基であり、且つ、R104及びR108はヒドロキシ基又はアミノ基であることがさらに好ましく、R101、R103、R105及びR107は炭素数1〜20のアルキル基であり、且つ、R104及びR108はヒドロキシ基であることがさらに好ましい。R103及びR107は水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、及びアリール基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基がさらに好ましい。
一般式(K−3)中、R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R118及びR119は、前記一般式(K−3)におけるR91、R93、R94、R95、R97及びR98と同義である。R116及びR117は、前記一般式(K−1)におけるR93及びR97と同義である。
一般式(k−3)中、R109、R109、R109、R109、R113、R114、R115、R118及びR119は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であることが好ましい。特に、R109、R113、R115、R118及びR119は、水素原子であり、R110、R111及びR112は、水素原子又はアルコキシ基であり、R114は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であることが最も好ましい。
一般式(K−4)中、R120は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアルケニル基を表す。mは1〜4の整数を表す。nは0〜4の整数を表す。
R120は、特に、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。mは1〜3が好ましく、mが3であることが最も好ましい。nは0〜3が好ましく、0又は1が好ましい。
本発明における色素構造を形成しうる色素化合物としては、前記一般式(K−1)で現されるスクアリリウム化合物が色相の観点から好ましい。
前記一般式(K−1)〜一般式(K−4)で表されるスクアリリウム化合物は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,599.に記載の方法を適用して合成することができる。
下記に一般式(K−1)〜(K−4)で表されるスクアリリウム化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点から(sq−1)、(sq−2)、(sq−3)、(sq−7)、(sq−8)、(sq−9)、(s9−9)、(sq−10)、(sq−11)及び(sq−12)が好ましい。
(キノフタロン色素)
本発明に係る色素多量体(A)の態様の一つは、キノフタロン色素(キノフタロン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(QP)で表される化合物(キノフタロン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてキノフタロン化合物とは、分子内にキノフタロン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(QP)中、Rqp1〜Rqp6はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Rqp1〜Rqp6の少なくとも2つが隣接位にある場合は、互いに結合して環を形成してもよく、該環がさらに置換基を有してもよい。
Rqp1〜Rqp6が表す置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基を表す。Rqp1〜Rqp6が表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が好ましい。特に、Rqp1とRqp2、及びRqp5とRqp6は互いに連結して置換もしくは無置換のフェニル基を形成することが好ましい。Rqp3及びRqp4は水素原子又は塩素原子、臭素原子であることが好ましい。
Rqp1とRqp2、及びRqp5とRqp6は互いに連結して形成するフェニル基が有してもよい置換基としては、前記置換基の項で挙げた置換基が挙げられるが、ハロゲン原子、カルバモイル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基が挙好ましい。
以下に一般式(QP)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点から(QP−1)〜(QP−5)が好ましい。
(フタロシアニン色素)
本発明に係る色素多量体(A)の態様の一つは、フタロシアニン色素(フタロシアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(F)で表される化合物(フタロシアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてフタロシアニン化合物とは、分子内にフタロシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(F)中、M1は金属類を表し、Z1、Z2、Z3、及びZ4は、各々独立に、水素原子、炭素原子及び窒素原子より選ばれる原子を含んで構成される6員環を形成するために必要な原子群を表す。
一般式(F)を詳しく説明する。
一般式(F)中、M1で表される金属類としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、及びFe等の金属原子、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2などの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、並びにSi(OH)2等の金属水酸化物が含まれるが、特にCu、Znが好ましい。
一般式(F)中、Z1、Z2、Z3、及びZ4は、各々独立に、水素原子、炭素原子、窒素原子より選ばれる原子を含んで構成される6員環を形成するために必要な原子群を表す。該6員環は、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。また該6員環が2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。更に該6員環は、他の5員又は6員の環と縮合していてもよい。
6員環には、ベンゼン環、シクロヘキサン環などが含まれる。
一般式(F)で表されるフタロシアニン色素残基の中でも、特に下記一般式(F−1)で表されるフタロシアニン色素に由来する残基が好ましい。
一般式(F−1)において、M2は前記一般式(F)におけるM1と同義であり、その 一般式(F−1)において、M2は前記一般式(F)におけるM1と同義であり、その好ましい態様も同様である。
前記一般式(F−1)中、R101〜R116は各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R101〜R116で表される置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記の置換基群Aの項で説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
R101〜R116で表される置換基は、上記の中でも、水素原子、SO2NR117R118(R117及びR118は水素原子、直鎖又は分岐の炭素数3〜20の置換基を有してもよいアルキル基)、SR119(R119は直鎖又は分岐の炭素数3〜20の置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
以下に一般式(F)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に(Ph−1)〜(Ph−3)、(Ph−7)が好ましい。
(サブフタロシアニン化合物)
本発明に係る色素多量体(A)の態様の一つは、サブフタロシアニン色素(フタロシアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(SP)で表される化合物(サブフタロシアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてサブフタロシアニン化合物とは、分子内にサブフタロシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(SP)中、Z1〜Z12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオエーテル基を表す。Xはアニオンを表す。
一般式(SP)を詳しく説明する。
一般式(SP)中のZ1〜Z12が有してもよいアルキル基は直鎖又は分岐の置換又は無置換のアルキル基を表す。Z1〜Z12としては、特に、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がさらに好ましい。Z1〜Z12が有してもよい置換基としては前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられるが、特にフッ素原子、ヒドロキシ基及びメルカプト基が好ましい。
一般式(SP)中のXはアニオンを表す。X−はアニオンを表す。X−として具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。X−は色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
X−はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、リン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
以下にサブフタロシアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものでない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に(SP−2)、(SP−3)、(SP−4)、(SP−5)、(SP−6)及び(SP−7)が好ましい。
(本発明の着色硬化性組成物に用いる色素多量体の構造)
本発明の着色硬化性組成物に用いる色素多量体(A)としては、下記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つを含んでなる色素多量体であるか、又は、一般式(D)で表される色素多量体であることが好ましい。これらを順次説明する。
<一般式(A)で表される構成単位>
一般式(A)中、X1は重合によって形成される連結基を表し、L1は単結合又は2価の連結基を表す。DyeIは色素構造を表す。
以下、一般式(A)について詳細に説明する。
一般式(A)中、X1は重合によって形成される連結基を表す。すなわち重合反応で形成される主鎖に相当する繰り返し単位を形成する部分を指す。なお、2つの*で表された部位が繰り返し単位となる。X1としては、公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば特に制限ないが、特に下記(XX−1)〜(X−24)で表される連結基が好ましく、(XX−1)及び(XX−2)で表される(メタ)アクリル系連結鎖、(XX−10)〜(XX−17)で表されるスチレン系連結鎖、及び(XX−24)で表されるビニル系連結鎖であることが最も好ましい。(XX−1)〜(X−24)中、*で示された部位でL1と連結していることを表す。Meはメチル基を表す。また、(XX−18)及び(XX−19)中のRは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表す。
一般式(A)中、L1は単結合又は2価の連結基を表す。L1が2価の連結基を表す場合の該2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−CO2−、−NR−、−CONR−、−O2C−、−SO−、−SO2−及びこれらを2個以上連結して形成される連結基を表す。ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(A)中、DyeIは前述した色素化合物に由来する色素構造を表す。
一般式(A)で表される構成単位を有する色素多量体は、(1)色素残基を有するモノマーを付加重合により合成する方法、(2)イソシアネート基、酸無水物基又はエポキシ基等の高反応性官能基を有するポリマーと、高反応性基と反応可能な官能基(ヒドロキシル基、一級又は二級アミノ基、カルボキシル基等)を有する色素とを反応させる方法により合成できる。
付加重合には公知の付加重合(ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合)が適用できるが、このうち、特にラジカル重合により合成することが反応条件を穏和化でき、色素構造を分解させないため好ましい。ラジカル重合には、公知の反応条件を適用することができる。
中でも、本発明における一般式(A)で表される構成単位を有する色素多量体は、耐熱性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体を用いてラジカル重合して得られたラジカル重合体であることが好ましい。
以下に一般式(A)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
<一般式(B)で表される構成単位>
次に、一般式(B)で表される構成単位について詳細を説明する。
一般式(B)中、X2は前記一般式(A)中のX2と同義である。L2は前記一般式(A)中のL1と同義である。Y2はDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基を表す。DyeIIは色素構造を表す。以下詳細に説明する。
一般式(B)中、X2は前記一般式(A)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。L2は前記一般式(A)中のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。Y2はDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基であればよく、アニオン性基又はカチオン性基のどちらでもよい。アニオン性基としては、COO−、PO3H−、SO3 −、−SO3NH−、−SO3N−CO−等が挙げられるが、COO−、PO3H−、SO3 −が好ましい。
カチオン性基としては、置換又は無置換のオニウムカチオン(例えば、アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム及びホスホニウム等)が挙げられ、特にアンモニウムカチオンが好ましい。
Y2は、DyeIIが有しているアニオン部(COO−、SO3 −、O−等)やカチオン部(前記オニウムカチオンや金属カチオン等)と結合することができる。
中でも、本発明における一般式(B)で表される構成単位を有する色素多量体は、耐熱性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体を用いてラジカル重合して得られたラジカル重合体であることが好ましい。
以下に一般式(B)で表される構成単位具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
<一般式(C)で表される構成単位>
一般式(C)中、L3は単結合又は2価の連結基を表す。DyeIIIは、色素部分構造を表す。mは0又は1を表す。以下、詳細に説明する。
前記一般式(C)中、L3で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−,および、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。mは0又は1を表すが、1であることが好ましい。
以下に一般式(C)中のL3で表される2価の連結基として好適に使用される具体例を記載するが、本発明のL3としてはこれらに限定されるものではない。
一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体は、逐次重合により合成される。逐次重合とは、重付加(例えば、ジイソシアナート化合物とジオールとの反応、ジエポキシ化合物とジカルボン酸との反応、テトラカルボン酸二無水物とジオールとの反応等)及び重縮合(例えば、ジカルボン酸とジオールとの反応、ジカルボン酸とジアミンとの反応等)が挙げられる。このうち、特に重付加反応により合成することが反応条件を穏和化でき、色素構造を分解させないため好ましい。逐次重合には、公知の反応条件を適用することができる。
以下に一般式(C)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
<一般式(D)で表される色素多量体>
次に、一般式(D)で表される色素多量体について詳細を説明する。
一般式(D)中、L4はn価の連結基を表す。nは2〜20の整数を表す。nが2以上のときは、DyeIVの構造は同じであっても異なっていてもよい。DyeIVは、色素構造を表す。
一般式(D)中、nは好ましくは3〜15であり、特に好ましくは3〜6である。
一般式(D)において、nが2の場合、L4で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−,および、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。
nが3以上のn価の連結基は、置換もしくは無置換のアリーレン基(1,3,5−フェニレン基、1,2,4−フェニレン基、1,4,5,8−ナフタレン基など)、へテロ環連結基(例えば、1,3,5−トリアジン基など)、アルキレン連結基等を中心母核とし、前記2価の連結基が置換して形成される連結基が挙げられる。
以下に一般式(D)中のL4の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に一般式(D)中のDyeIVの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(A)、一般式(B)及び/又は一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体、及び、一般式(D)で表される色素多量体のうち、一般式(A)及び一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体、及び一般式(D)で表される色素多量体は、色素に由来する部分構造が分子構造中に共有結合で連結されているため、該色素多量体を含有する着色硬化性組成物は耐熱性に優れる。このため、該着色硬化性組成物を、高温プロセを有するパターン形成に適用した場合において、隣接する他の着色パターンへの色移り抑制に効果があるため好ましい。また、特に一般式(A)で表される化合物は、色素多量体の分子量の制御がし易く好ましい。
(色素多量体(A)が有する重合性基)
本発明における色素多量体(A)は、重合性基を有する。
重合性基としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性基を用いることができ、例えばエチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基)、メチロール基等が挙げられるが、特にエチレン性不飽和結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル及び3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート由来の(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。
重合性基の導入方法としては、(1)色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法、(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法等がある。以下、詳細に述べる。
−(1)色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法−
色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法としては、特に制限なく公知の方法を用いることができる。例えば、(a)色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物とを反応させる方法、(b)色素多量体が有するヒドロキシル基又はアミノ基と不飽和結合含有イソシアネート化合物とを反応させる方法、(c)色素多量体が有するエポキシ化合物と不飽和結合含有カルボン酸化合物とを反応させる方法が製造上の観点から好ましい。
前記(a)色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有エポキシ化合物としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられうるが、特にメタクリル酸グリシジル及び3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルメタクリレートが、架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
前記(b)色素多量体が有するヒドロキシル基又はアミノ基と不飽和結合含有イソシアネート化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有イソシアネート化合物として、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアタクリレート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられるが、2−イソシアナトエチルメタクリレートが、架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
前記(c)色素多量体が有するエポキシ化合物と不飽和結合含有カルボン酸化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有カルボン酸化合物として、公知の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するカルボン酸化合物であれば特に制限なく使用できるが、メタクリル酸及びアクリル酸が好ましく、特にメタクリル酸が架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
<(2)色素モノマーと重合性基含有化合物を共重合して導入する方法>
−(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法−
(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法として、特に制限なく公知の方法を用いることができるが、(d)ラジカル重合可能な色素単量体とラジカル重合可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法、(e)重付加可能な色素単量体と重付加可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法が好ましい。
(d)ラジカル重合可能な色素単量体とラジカル重合可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法におけるラジカル重合可能な重合性基含有化合物として、特にアリル基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸アリル等)、エポキシ基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等)、オキセタン基含有化合物(例えば、3−メチルー3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等)、メチロール基含有化合物(例えば、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド等)が挙げられ、特にエポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
(e)重付加可能な色素単量体と重付加可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法における重付加可能な重合性基含有化合物として、不飽和結合含有ジオール化合物(例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)が揚げられる。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
重合性基の導入方法として、色素多量体が有するカルボン酸と色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物を反応させる方法が最も好ましい。
色素多量体(A)が有する重合性基量は、色素多量体(A)1gに対し0.1〜2.0mmolであることが好ましく、0.2〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.3〜1.0mmolであることが最も好ましい。
前記重合性基の導入方法として、色素多量体が有するカルボン酸と色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物を反応させる方法が最も好ましい。
色素多量体(A)が有する重合性基量は、色素多量体(A)1gに対し0.1mmol〜2.0mmolであることが好ましく、0.2mmol〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.3mmol〜1.0mmolであることが最も好ましい。
前記重合性基を有する構成単位としては、以下のような具体例が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記した具体例のうち、基板密着性及び表面粗度の観点より、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体が好ましく、中でもメタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基、又はビニルオキシ基が好ましく、メタクリロイル基が最も好ましい。
(色素多量体(A)が有するその他の官能基)
本発明における色素多量体(A)は、その他の官能基を有してもよい。その他の官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸及びフェノール性水酸基等のアルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としては、カルボン酸が最も好ましい。
色素多量体へのアルカリ可溶性基の導入方法としては、色素単量体にあらかじめアルカリ可溶性基を導入しておく方法及びアルカリ可溶性基を有する色素単量体以外のモノマー((メタ)アクリル酸、アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水こはく酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水フタル酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物変性物、スチレンカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、ノルボルネンカルボン酸等のカルボン酸含有モノマー、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、ビニルホスホン酸等のリン酸含有モノマー、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸等のスルホン酸含有モノマー)を共重合する方法が挙げられるが、双方の方法を用いることが最も好ましい。
色素多量体(A)が有するアルカリ可溶性基量(酸価)は、色素多量体(A)1gに対し0.3mmol〜2.0mmolであることが好ましく、0.4mmol〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.5mmol〜1.0mmolであることが最も好ましい。
本発明において、色素多量体の酸価は、例えば、色素多量体中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、色素多量体を構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
色素多量体(A)が有するその他の官能基として、ラクトン、酸無水物、アミド、−COCH2CO−、シアノ基等の現像促進基、長鎖及び環状アルキル基、アラルキル基、アリール基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、マレイミド基、アミノ基等の親疏水性調整基等が挙げられ、適宜導入することができる。
導入方法として、色素単量体にあらかじめ導入しておく方法、及び上記官能基を有するモノマーを共重合する方法が挙げられる。
色素多量体(A)が有するその他の官能基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
色素多量体(A)の重量平均分子量は、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがさらに好ましく、4,000〜10,000であることが最も好ましい。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC法によりスチレン換算で測定した値を用いる。
また、色素多量体(A)の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比〔(Mw)/(Mn)〕は1.0〜3.0であることが好ましく、1.6〜2.5であることがさらに好ましく、1.6〜2.0であることが最も好ましい。
本発明に係る色素多量体(A)のTgは、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。また、熱重量分析(TGA測定)による5%重量減少温度が、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。この領域にあることで、本発明の着色硬化性組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、加熱プロセスに起因する濃度変化を低減する事ができるようになる。
また、本発明に係る色素多量体の単位重量あたりの吸光係数(以後ε’と記す。ε’=ε/平均分子量、単位:L/g・cm)が、30以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、100以上であることが更に好ましい。この範囲にあることで、本発明の着色硬化性組成物を適用してカラーフィルタを作製する場合において、色再現性のよいカラーフィルタを作製することができる。
本発明の着色硬化性組成物に用いる色素多量体(A)のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。
本発明に係る色素多量体(A)は、以下の有機溶剤に溶解する化合物であることが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類(例えば、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等)、エーテル類(例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)が挙げられ、これら溶剤に対し、1質量%以上50質量%以下溶解することが好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。この領域にあることで、本発明の着色硬化性組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、好適な塗布面状や、他色塗布後の溶出による濃度低下を低減するができるようになる。
本発明の着色硬化性組成物においては、前記色素多量体を1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の着色硬化性組成物中における前記色素多量体の含有量は、後述する(B)顔料との含有比率を考慮した上で設定される。
顔料に対する色素多量体の質量比(色素多量体(A)/顔料)としては、0.1〜5が好ましく、0.2〜2がよりに好ましく、0.3〜1がさらに好ましい。この範囲にあることにより、着色硬化性組成物は、耐熱性及び露光ラチチュードにより優れたものとなる。
〔(B)顔料〕
本発明の着色硬化性組成物は、顔料を含有する。
本発明で使用する顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。該顔料としては、高透過率であることが好ましい。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37,58;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
C.I.ピグメントブラック1;
等を挙げることができる。
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.ピグメントイエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメントオレンジ36,71,
C.I.ピグメントレッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,
C.I.ピグメントブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントグリーン7,36,37,58;
C.I.ピグメントブラック1,7
これら有機顔料は、単独もしくは、分光の調整や色純度を上げるために種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色分解性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難であり、また100:51以上では主波長が短波長寄りになり、色分解能を上げることが出来ない場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:30の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、求める分光に併せて調整することができる。
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。上記質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独または混合が用いられ、カーボンとチタンブラックとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。
顔料の一次粒子径は、カラーフィルタ用として用いる場合には、色ムラやコントラストの観点から、100nm以下であることが好ましく、また、分散安定性の観点から5nm以上であることが好ましい。顔料の一次粒子径としてより好ましくは、5〜75nmであり、さらに好ましくは5〜55nmであり、特に好ましくは5〜35nmである。本発明の特定樹脂は、5〜35nmの範囲で特に効果を発揮することができる。
顔料の一次粒子径は、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
中でも、顔料としては、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、キノフタロン系、イソインドリン系、ジオキサジン系から選ばれる顔料であることが好ましい。特に、C.I.ピグメントレッド177(アントラキノン系),C.I.ピグメントレッド254(ジケトピロロピロール系)、C.I.ピグメントグリーン7,36,58、C.I.ピグメントブルー15:6(フタロシアニン系)、C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロン系)、C.I.ピグメントイエロー139,185(イソインドリン系)、C.I.ピグメントイエロー150(アゾメチン系)、C.I.ピグメントバイオレット23(ジオキサジン系)が最も好ましい。
−分散剤−
本発明の着色硬化性組成物は、顔料分散剤を含有することができる。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤、及び、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の顔料表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、ポリエステル系分散剤等が挙げられ、具体的には、特開昭54−37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668号公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開平10−339949号公報、特開2004−37986号公報、国際公開パンフレットWO2010/110491等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。特に、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂は、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び顔料分散物を用いた着色硬化性組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び顔料分散物を用いた着色感放射線性組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
本発明に用いうる顔料分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、楠木化成株式会社製「DA−7301」、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。また、本発明の顔料分散剤は、前記顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
着色硬化性組成物における顔料分散剤の含有量としては、顔料100質量部に対して、1質量部〜80質量部であることが好ましく、5質量部〜70質量部がより好ましく、10質量部〜60質量部であることが更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、質量換算で5部〜100部の範囲が好ましく、10部〜80部の範囲であることがより好ましい。
また、顔料誘導体を併用する場合、顔料誘導体の使用量としては、顔料100質量部に対し、質量換算で1部〜30部の範囲にあることが好ましく、3部〜20部の範囲にあることがより好ましく、5部〜15部の範囲にあることが特に好ましい。
着色硬化性組成物において、着色剤としての顔料と共に、顔料分散剤をさらに用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、着色剤及び分散剤の含有量の総和が、着色感放射線性組成物を構成する全固形分に対して50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、55質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
〔(C)重合性化合物〕
本発明の着色硬化性組成物は、重合性化合物を含有する。
ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性化合物を用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合、環状エーテル(エポキシ、オキセタン)、メチロール等を含む重合性化合物が挙げられる。重合性化合物は、感度の観点から、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から好適に選ばれる。中でも、4官能以上の多官能重合性化合物が好ましく、5官能以上の多官能重合性化合物がさらに好ましい。
このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号〔0095〕〜〔0108〕に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、前記重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、特許第4364216号明細書等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数存在するRの少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。以下に好ましい重合性化合物の態様を示す。
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、 特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1mgKOH/g〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5mgKOH/g〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することも好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記一般式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
一般式(Z−1)中、6個のRは全てが下記一般式(Z−2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(Z−2)で表される基であり、残余が下記一般式(Z−3)で表される基である。
一般式(Z−2)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
一般式(Z−3)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明における特定モノマーとしては、下記一般式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
前記一般式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH2)yCH2O)−、又は−((CH2)yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(Z−4)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
一般式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色硬化性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化性組成物膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能基数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、着色硬化性組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。
また、着色硬化性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、被分散体、アルカリ可溶性樹脂等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の着色硬化性組成物中における重合性化合物の含有量は、着色硬化性組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜50質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜30質量%が特に好ましい。
〔(D)光重合開始剤〕
本発明の着色硬化性組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが、さらなる感度向上の観点から必須である。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
特に、本発明の着色硬化性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには(D)光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム開始剤の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
本発明における光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム重合開始剤としては、下記一般式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
一般式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
アシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
アリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
アルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
アリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
一般式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する一般式(OX−2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、式(OX−1)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
前記式(OX−1)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
式(OX−1)においては、前記式(OX−1)中のArとそれに隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
オキシム化合物は、下記一般式(OX−2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(OX−2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。一般式(OX−2)におけるR、A、及びArは、一般式(OX−1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(OX−2)中、Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
これらの中でも、一般式(OX−2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
一般式(OX−2)中、Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(OX−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
さらにオキシム化合物は、下記一般式(OX−3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(OX−3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記一般式(OX−2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の着色硬化性組成物に含有される(D)光重合開始剤の含有量は、着色硬化性組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、より良好な感度とパターン形成性が得られる。
〔(E)アルカリ可溶性樹脂〕
本発明の着色硬化性組成物は、さらに(E)アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N―フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(a)を含むことも好ましい。
一般式(ED)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
これにより、本発明の着色硬化性組成物は、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた硬化塗膜を形成しうる。前記エーテルダイマーを示す前記一般式(1)中、R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
また、本発明における着色硬化性組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002-229207号公報及び特開2003-335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を、塩基性処理することで得られる樹脂などが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられ、特に好ましくはメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70mgKOH/g〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の着色硬化性組成物中における含有量としては、着色硬化性組成物の全固形分に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2質量%〜12質量%であり、特に好ましくは、3質量%〜10質量%である。
〔他の成分〕
本発明の着色硬化性組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、有機溶剤、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
(有機溶剤)
本発明の着色硬化性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤は、各成分の溶解性や着色硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、アルカリ可溶性樹脂や分散剤等の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における着色硬化性組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
有機溶剤の着色硬化性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%が更に好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。
(架橋剤)
本発明の着色硬化性組成物に補足的に架橋剤を用い、着色硬化性組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落0134〜0147の記載を参照することができる。
(重合禁止剤)
本発明の着色硬化性組成物においては、該着色硬化性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
(界面活性剤)
本発明の着色硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の着色硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色硬化性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色硬化性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株))等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
(その他の添加物)
着色硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落0155〜0156に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色硬化性組成物においては、特開2004−295116号公報の段落0078に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落0081に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
(有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物)
本発明の着色硬化性組成物は、分子量1000以下の有機カルボン酸、及び/又は有機カルボン酸無水物を含有していてもよい。
有機カルボン酸化合物としては、具体的には、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸等のトリカルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸等のフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、およびフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、例えば、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸が好ましい。
有機カルボン酸無水物としては、例えば、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、例えば、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸等が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が好ましい。
これらの有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物の添加量は、通常、全固形分中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
これら分子量1000以下の有機カルボン酸、及び/又は有機カルボン酸無水物を添加することによって、高いパターン密着性を保ちながら、着色硬化性組成物の未溶解物の残存をより一層低減することが可能である。
[着色硬化性組成物の調製方法]
本発明の着色硬化性組成物は、前述の成分を混合することで調製される。
なお、着色硬化性組成物の調製に際しては、着色硬化性組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色硬化性組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、耐熱性及び色特性に優れた着色硬化膜を形成することができるため、カラーフィルタの着色層を形成するために好適に用いられる。また、本発明の着色硬化性組成物は、固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)や、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置に用いられるカラーフィルタなどの着色パターン形成用として好適に用いることができる。さらに、印刷インキ、インクジェットインキ及び塗料などの作製用途としても好適に用いることができる。なかでも、CCD及びCMOS等の固体撮像素子用のカラーフィルタを作製用途として好適に用いることができる。
<着色硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ及びカラーフィルタの製造方法>
次に、本発明における着色硬化膜、パターン形成方法及びカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明のパターン形成方法を適用するものであり、本発明の着色硬化性成物を支持体上に付与して着色層を形成する着色層形成工程と、着色層をパターン様に露光し露光部を硬化させる露光工程と、露光後の着色層における未硬化部を現像により除去して着色パターンを形成するパターン形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のパターン形成方法は、カラーフィルタが有する着色層(画素)の形成に好適に適用することができる。
本発明のパターン形成方法によりパターンを形成する支持体としては、基板等の板状物の他、パターン形成に適用しうる支持体であれば特に限定されない。
以下、本発明のパターン形成方法における各工程については、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法を通じて詳細に説明するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明のパターン形成方法を適用するものであり、本発明のパターン形成方法を用いて、支持体上に着色パターンを形成する工程と、を含む。
即ち、本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明のパターン形成方法を適用するものであり、本発明の着色硬化性成物を支持体上に付与して着色層を形成する着色層形成工程と、着色層をパターン様に露光し露光部を硬化させる露光工程と、露光後の着色層における未硬化部を現像により除去して着色パターンを形成するパターン形成工程と、を含むことを特徴とする。更に、必要に応じて、着色層をベークする工程(プリベーク工程)、及び、現像された着色層をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、これらの工程をあわせて、パターン形成工程ということがある。
本発明のカラーフィルタは、上記製造方法により好適に得ることができる。
以下、固体撮像素子用カラーフィルタを単に「カラーフィルタ」ということがある。
[着色層形成工程]
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を付与して着色層を形成する。
本工程に用いうる支持体としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
本発明における着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子における着色パターンの間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
また、支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
支持体上への本発明の着色硬化性組成物の付与方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
支持体上に塗布された着色硬化性組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
[露光工程]
露光工程では、着色層形成工程において形成された着色層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。これにより、着色硬化膜が得られる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30mJ/cm2〜1500mJ/cm2が好ましく50mJ/cm2〜1000mJ/cm2がより好ましく、80mJ/cm2〜500mJ/cm2が最も好ましい。
着色硬化膜の膜厚は1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm〜0.9μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.8μmであることがさらに好ましい。
膜厚を、1.0μm以下とすることにより、高解像性、高密着性を得られるため、好ましい。
[パターン形成工程]
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、露光工程における光未照射部分の着色層がアルカリ水溶液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は、従来20秒〜90秒であった。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、現像液には無機アルカリを用いてもよく、無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。多色の着色パターンを形成するのであれば、色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
なお、本発明の製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。例えば、上述した、着色層形成工程、露光工程及びパターン形成工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
また、本発明に係る着色硬化性組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への着色硬化性組成物や顔料の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の着色硬化性組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色硬化性組成物の洗浄除去として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加してもよい。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、本発明の着色硬化性組成物を用いているため、露光マージンに優れた露光ができる共に、形成された着色パターン(着色画素)は耐熱性に優れたものとなる。また、多色の着色パターンを形成する際に、後加熱などの加熱プロセスを経る場合においても、隣接するパターンへの色移りが効果的に抑制されることから、本発明のカラーフィルタは色特性に優れたものとなる。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
なお、固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
<固体撮像素子>
本発明における固体撮像素子は、既述の本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを備える。本発明における固体撮像素子の構成としては、本発明における固体撮像素子用カラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
<画像表示装置>
本発明におけるカラーフィルタは、前記固体撮像素子のみならず、液晶表示装置や有機EL表示装置などの、画像表示装置に用いることができ、特に液晶表示装置の用途に好適である。
液晶表示装置に用いた場合、分光特性及び耐熱性に優れた金属錯体色素を着色剤として含有しながらも、比抵抗の低下に伴う液晶分子の配向不良が少なく、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れる。
このため、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタは、カラーTFT方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明におけるカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、色相に優れた染料多量体を用いることから、色純度、光透過性などが良好で着色パターン(画素)の色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
本発明におけるカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、本発明におけるカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
本発明におけるカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
なお、以下に示す実施例のうち、色素多量体(J−39)を用いた実施例は、本発明の参考例である。
(合成例1) 色素多量体(J−1)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(8.21g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下、「PGMEA」とも称する。)(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(8.21g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル)〔商品名:V601、和光純薬工業(株)製〕(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して(MD−1)のPGMEA溶液を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(1.42g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(80mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で、100℃で15時間加熱し、メタクリル酸グリシジルが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−1)を17.6g得た。
GPC測定により確認した色素多量体(J−1)の重量平均分子量(Mw)は、6,000であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.9であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.75mmol/gであり、NMR測定により、色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−1)1gに対し0.40mmolであることが確認された。
(合成例2〜15)色素多量体(J−2)〜(J−15)の合成
合成例1における仕込量を、表1に記載の仕込量に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、色素多量体(J−2)〜(J−15)を得た。
得られた色素多量体(J−2)〜(J−15)について、色素多量体(J−1)と同様にして、重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比、酸価(mmol/g)、重合性基量(mmol/g)を測定した。結果は表2に示した。
(合成例16) 色素多量体(J−16)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(7.93g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(0.65g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(7.93g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(0.65g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して(MD−2)のPGMEA溶液を得た。次に、2−イソシアナトエチルメタクリラート(1.55g)、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)(20mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で80℃で5時間加熱し、2−イソシアナトエチルメタクリラートが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−16)を18.8g得た。
GPC測定により確認した色素多量体(J−16)の重量平均分子量(Mw)は、6,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.9であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.75mmol/gであり、NMR測定により、色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−16)1gに対し0.50mmolであることが確認された。
(合成例17) 色素多量体(J−17)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(8.72g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸アリル(0.63g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(8.72g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸アリル(0.63g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、冷却し、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−17)18.2gを得た。
GPC測定により確認した色素多量体(J−17)の重量平均分子量(Mw)は、7,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.4であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.76mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−17)1gに対し0.40mmolであることが確認された。
(合成例18) 色素多量体(J−18)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(8.64g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸グリシジル(0.71g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(8.64g)、メタクリル酸(0.65g)、メタクリル酸グリシジル(0.71g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後5時間攪拌した後、冷却し、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−18)18.2gを得た。
GPC測定により確認した色素多量体(J−18)の重量平均分子量(Mw)は、6,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.3であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.73mmol/gであり、NMR測定により、色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−18)1gに対し0.42mmolであることが確認された。
(合成例19) 色素多量体(J−19)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(8.43g)、メタクリル酸(0.65g)、3−メチルー3−オキセタニルメチルメタクリレート(0.92g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(8.43g)、メタクリル酸(0.65g)、3−メチルー3−オキセタニルメチルメタクリレート(0.92g)ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後5時間攪拌した後、冷却し、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−19)19.1gを得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−19)の重量平均分子量(Mw)は6,300であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.3であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.74mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−19)1gに対し0.45mmolであった。
(合成例20) 色素多量体(J−20)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(8.85g)、メタクリル酸(0.65g)、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(0.51g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(8.85g)、メタクリル酸(0.65g)、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(0.51g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後5時間攪拌した後、冷却し、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、多量体(J−20)18.3gを得た。
GPC測定により確認した色素多量体(J−20)の重量平均分子量(Mw)は6,800であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.4であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.70mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−20)1gに対し0.50mmolであった。
(合成例21〜34) 色素多量体(J−21)〜(J−34)の合成
合成例1において用いた色素単量体を変更した以外は、合成例1と同様にして下記に示す色素多量体(J−21)〜(J−34)を合成した。
(合成例35) 色素多量体(J−35)の合成
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(1.29g)、モノマー2(9.40g)、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシエチル(0.53g)、1,2−ジヒドロキシプロピオン酸(1.41g)、イソホロン酸ジイソシアネート(7.37g)をPGMEA(46.7g)に加え、窒素雰囲気下中、80℃に加熱した。次に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)(20mg)を加え、10時間加熱し、冷却することで色素多量体(J−35)のPGMEA30質量%溶液を得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−35)の重量平均分子量(Mw)は、7,900であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.8であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.66mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−35)1gに対し0.65mmolであることが確認された。
(合成例36) 色素多量体(J―36)〜(J−38)の合成
合成例35で用いたモノマーを、下記色素構造を有するモノマーに置き換えた以外は同様の操作を行い、色素多量体(J−36)〜色素多量体(J−38)を得た。
(合成例39) 色素多量体(J−39)の合成
ピロメリット酸無水物(3.55g)、モノマー3(14.1g)をPGMEA(46.7g)に加え、窒素雰囲気下中、80℃に加熱した。次に、ネオスタンU−600(日東化成(株)製)(20mg)を加え、10時間加熱し、冷却することで中間体(MD−3)を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(2.31g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(20mg)を加え、100℃で10時間加熱して、色素多量体(J−39)のPGMEA30質量%溶液を得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−39)の重量平均分子量(Mw)は2,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.6であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.82mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−39)1gに対し0.71mmolであることが確認された。
(合成例40) 色素多量体(J−40)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)(5.10g)、モノマー4(11.9g)、アクリル酸(1.70g)、トリブチルアミン(0.10g)をPGMEA(46.7g)に加え、窒素雰囲気下中、80℃で10時間加熱し、冷却することで中間体(MD−4)を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(1.34g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(20mg)を加え、100℃で10時間加熱して、色素多量体(J−40)のPGMEA30質量%溶液を得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−40)の重量平均分子量(Mw)は4,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.8であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.72mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−40)1gに対し0.35mmolであることが確認された。
(合成例41) 色素多量体(J−41)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー5(8.51g)、メタクリル酸(0.35g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー5(8.51g)、メタクリル酸(0.35g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して(MD−1)のPGMEA溶液を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(2.29g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(80mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で100℃で15時間加熱し、メタクリル酸グリシジルが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−41)を18.6g得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−41)の重量平均分子量(Mw)は、6,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.0であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.81mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−41)1gに対し0.70mmolであることが確認された。
(合成例42) 色素多量体(J−42)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー6(8.51g)、メタクリル酸(0.35g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー6(8.51g)、メタクリル酸(0.35g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して(MD−1)のPGMEA溶液を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(2.29g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(80mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で100℃で15時間加熱し、メタクリル酸グリシジルが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(J−42)を18.6g得た。
GPC測定より確認した色素多量体(J−42)の重量平均分子量(Mw)は、6,300であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.2であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は0.83mmol/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量は、色素多量体(J−42)1gに対し0.72mmolであることが確認された。
表2に、色素多量体(J−1)〜(J−42)の物性を示す。
(比較合成例1) 色素多量体(H−1)の合成
100mL三口フラスコに、モノマー1(9.33g)、メタクリル酸(0.67g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、PGMEA(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、モノマー1(9.33g)、メタクリル酸(0.67g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル)〔商品名:V601、和光純薬工業(株)製〕(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体(H−1)を17.2g得た。
GPC測定により確認した色素多量体(H−1)の重量平均分子量(Mw)は、7,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.9であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、色素多量体(H−1)の酸価は0.78mmol/gであることが確認された。
(比較合成例2)色素多量体(H−2)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)(4.33g)、モノマー4(14.9g)、アクリル酸(0.76g)、トリブチルアミン(0.10g)をPGMEA(46.7g)に加え、窒素雰囲気下中、80℃で10時間加熱し、冷却することで中間体(H−2)を得た。
GPC測定により確認した色素多量体(H−2)の重量平均分子量(Mw)は、6,200であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は2.2であった。
また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、色素多量体(H−2)の酸価は0.52mmol/gであることが確認された。
上記比較合成例1及び2にて得られた比較用の色素多量体(H−1)及び(H−2)の構造を以下に示す。
表2に色素多量体(H−1)及び(H−2)の物性を示す。
[実施例1〜実施例50、及び比較例1〜比較例4]
1.レジスト液の調製
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
<レジスト液の組成>
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
・溶剤:乳酸エチル 36.67部
・アルカリ可溶性樹脂:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18、重量平均分子量15,000、数平均分子量9,000)の40%PGMEA溶液 30.51部
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤:F−475、DIC(株)製 0.83部
・光重合開始剤:トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤 0.586部
(TAZ−107、みどり化学社製)
2.下塗り層付シリコンウエハ基板の作製
6inchシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
3.着色硬化性組成物の調製
3−1.青色用顔料分散液の調製
青色用顔料分散液を、以下のようにして調製した。
C.I.Pigment Blue15:6(青色顔料、平均粒子径55nm、以下「PB15:6」とも称する。)を13.0質量部、及び顔料分散剤である分散樹脂A(下記構造)を5.0質量部、PGMEA82.0質量部からなる混合液を、ビーズミル(beads mill)(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、青色用顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液)を得た。
得られた青色用顔料分散液について、顔料の粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製))により測定したところ、24nmであった。
前記「3−1.青色用顔料分散液の調製」において青色顔料として用いたC.I.Pigment Blue15:6に代えて、下記顔料を用いた以外は青色用顔料分散液の調製と同様にして、赤色用顔料分散液、及び緑色用顔料分散液を調製した。
・赤色用顔料A
C.I.ピグメントレッド254(PR254)(粒子径26nm)
・赤色用顔料B
C.I.ピグメントレッド177(PR177)(粒子径28nm)
・緑色用顔料A
C.I.ピグメントグリーン36(PG36)(粒子径25nm)
・緑色用顔料B
C.I.ピグメントグリーン58(PG58)(粒子径30nm)
・黄色用顔料A
C.I.ピグメントイエロー139(PY139)(粒子径27nm)
・黄色用顔料B
C.I.ピグメントイエロー150(PY150)(粒子径26nm)
・青色用顔料B
C.I.ピグメントブルー60(PB60)(粒子径32nm)
3−2.着色硬化性組成物の調製
(1)実施例1〜50、比較例1〜3の着色硬化性組成物
下記の各成分を混合して分散、溶解し、実施例1〜50、比較例1〜3の各着色硬化性組成物を得た。
・シクロヘキサノン 1.133部
・アルカリ可溶性樹脂(下記構造のJ1又はJ2:表3に記載の種類) 0.030部
・ソルスパース20000(1%シクロヘキサン溶液、日本ルーブリゾール(株)製)
0.125部
・光重合開始剤(下記構造の化合物:表3に記載の種類) 0.012部
・着色剤(色素多量体:色素多量体(J−1)〜(J−42)、(H−1)又は(H−2)、色素単量体:モノマー1、表3に記載の種類) 固形分として0.040部
・表3に記載の顔料の分散液(顔料濃度13.0%) 0.615部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 0.070部
・グリセロールプロポキシレート(1%シクロヘキサン溶液) 0.048部
(2)比較例4の着色硬化性組成物
実施例30の着色硬化性組成物の調製において、顔料分散液を用いず、色素多量体J−30を固形分として0.120部加えた以外は、実施例30と同様にして、比較例4の着色硬化性組成を得た。
4.着色硬化性組成物によるカラーフィルタの作製及び評価
<パターン形成>
上記のように調製した実施例及び比較例の着色硬化性組成物の各々を、前記2.で得られた下塗り層付シリコンウエハ基板の下塗り層上に塗布し、着色硬化性組成物層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.2μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cm2の種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハ基板に着色パターンを形成した。
着色パターンが形成されたシリコンウエハを、真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハ基板を回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
以上のようにして、実施例又は比較例の着色硬化性組成物により形成された着色パターンを有する単色のカラーフィルタを作製した。
その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターンサイズが1.2μmとなる露光量を最適露光量とした。
5.性能評価
5−1.露光ラチチュード
上記のパターン形成において、露光量を10〜500mJ/cm2の種々の露光量に変更して露光し、ポストベイク後のパターン線幅が1.2μm±10%を許容する露光量幅を求めた。この値を前記最適露光量で除して百分率(%)で表示した値を、露光ラチチュードとして評価した。値が大きいほど露光量変化による性能が小さく、露光ラチチュードが良好であることを示す。
結果を表3に示す。
5−2.色移り評価
上記のようにして作製した実施例及び比較例の各カラーフィルタを用いて、色移りを以下のようにして評価した。
各カラーフィルタにおける着色パターンの吸光度を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した(吸光度A)。
カラーフィルタの着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;透明下地剤)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、280℃で5分間加熱処理を行なった。
加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した(吸光度B)。
得られた透明膜の吸光度Bの値について、加熱前に測定した着色パターンの吸光度Aの値に対する割合[%]を算出した〔下記(式A)〕。これを隣接ピクセルへの色移りを評価する指標とした。
(式A) 色移り(%)=吸光度B/吸光度A×100
表3の結果から、重合性基を有する色素多量体及び顔料の双方を含有する実施例の各着色硬化性組成物は、重合性基を有さない色素多量体と顔料と併用した比較例1及び2、色素単量体と顔料とを併用した比較例3、重合性基を有する色素多量体のみを用いた比較例4との対比において、広い露光ラチチュードで良好な再現性で着色パターン形成が可能であり、且つ、得られた着色パターンは、高温プロセスに供した場合においても、優れた色移り抑制効果を有することが分かる。
[実施例51]
−固体撮像素子用のフルカラーのカラーフィルタの作製−
実施例1で調製した緑色用着色硬化性組成物を用いて、1.2×1.2μmのアイランドベイヤー(bayer)状パターンで緑色画素を形成し、次いで、実施例21で調製した赤色用着色硬化性組成物を用いて1.2×1.2μmのアイランド(island)状パターンで赤色画素を形成し、さらに残りの格子の中に実施例23で調製した青色用着色硬化性組成物を用いて1.2×1.2μmのアイランド状パターンの青色画素を形成して、遮光部固体撮像素子用のカラーフィルタを作製した。
−評価−
得られた固体撮像素子用のフルカラーのカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、高解像度で、色分離性に優れることが確認された。