JP2011070156A - 着色組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び液晶表示素子 - Google Patents

着色組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い顔料分散性を有し、コントラストが高く、色ムラが小さく、色特性に優れた着色被膜を形成し得る着色組成物、及び着色感光性組成物を得る。
【解決手段】一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位(R〜R:水素原子又は1価の有機基、X及びX:−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基、L及びL:単結合又は2価の有機連結基、A及びA:1価の有機基、m及びn:2〜8の整数、p及びq:1〜100の整数)と酸基を有する構造単位とを有する高分子化合物、顔料、有機溶剤、及び一般式(III)で表される化合物(R〜R:水素原子又は置換基、R:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基)が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である染料を含有することを特徴とする着色組成物。

【選択図】なし

Description

本発明は、着色組成物、該着色組成物を含む着色感光性組成物、該着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ、更には、該カラーフィルタを用いた固体撮像素子、及び液晶表示素子に関する。
カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた着色組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂及びその他の成分とを含有して着色感光性組成物とし、これを用いてフォトリソ法、インクジェット法などにより着色パターンを形成することで製造されている。
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色ムラの低減、色分解能の向上など色特性の高いものが求められるようになっている。
上記のような要求に対して、着色感光性組成物に含有される顔料を、より微細な状態で分散させること(良好な分散性)、安定な状態で分散させること(良好な分散安定性)が求められている。顔料の分散性が不充分である場合には、フォトリソ法で形成された着色画素にフリンジ(エッジ部のギザギザ)や表面凹凸が生じ、また基板上の現像残り(残渣)が多く、製造されたカラーフィルタの色度や寸法精度が低下したり、コントラストが著しく劣化したりする問題が起きる。また、顔料の分散安定性が不充分である場合には、カラーフィルタの製造工程において、特に、着色感光性組成物の塗布工程での膜厚の均一性が低下したり、露光工程での感度が低下したり、現像工程でのアルカリ溶解性が低下したりする問題が生じ易い。更に、顔料の分散安定性が悪い場合には、時間の経過に伴い、着色感光性組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題もある。カラーフィルタのコントラスト等の色特性の向上には、顔料の粒子径を微細化することが有効であるが、顔料の粒子径を微細化すると顔料粒子の表面積が相対的に大きくなるため、顔料粒子間の凝集力が強くなり、分散性と分散安定性とを高度なレベルで両立することは困難であることが多い。
上記に関連し、顔料粒子の微細化としては、以下の方法が知られている。
一般に、顔料の1次粒子の微細化は、顔料、水溶性の無機塩、該無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤をニーダー等で機械的に混練する方法(ソルトミリング法)がよく知られている。この方法で得られた微細顔料の1次粒子の混合物を水中に投入し、ミキサー等で撹拌しスラリー状とする。次に、このスラリーをろ過、水洗して乾燥することにより、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体として微細顔料が得られる。サンドミル、ボールミル等の通常の分散機での分散工程は、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体をほぐして1次粒子に近い状態の分散体を得る工程である。
上記のような方法により、微細化された顔料の1次粒子を得ることができるが、この1次粒子の分散性と分散安定性を高めるために、従来から様々な顔料分散剤が開発されている。
例えば、アルカリ現像性が良好で、高精細で高品質の画素を得ることを目的として、アルカリ可溶性樹脂としてω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート共重合体を含有するカラーフィルタ用感放射線性組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、顔料の分散性と、アルカリ現像性とを同時に向上させることを目的として、スチレン、アルキル(メタ)アクリレートといったビニル系化合物の重合体構造をグラフト鎖として有し、且つ複素環構造を側鎖に有する高分子化合物を含有することを特徴とする顔料分散材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−287409号公報 特開2003−238837号公報
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載の方法によっても、色ムラやコントラストに対し更に高まる市場からの要求に応じることはできていなかった。特に、微細な顔料を用いた場合に、より高度な分散性と分散安定性を達成することが望まれていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の第1の目的は、微細化された顔料が1次粒子の状態で安定的に分散され、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色被膜を形成し得る、着色組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、塗布性および現像性に優れ、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色硬化膜を形成し得る、着色感光性組成物を提供することにある。
更に、本発明の第3の目的は、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色領域を有するカラーフィルタ、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子、及び液晶表示素子を提供することにある。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される構造単位と、酸基を有する構造単位と、を有する高分子化合物、(B)顔料、(C)有機溶剤、及び、(D)下記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である染料、を含有することを特徴とする着色組成物である。
上記一般式(I)及び一般式(II)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、A及びAは各々独立に1価の有機基を表し、m及びnは各々独立に2〜8の整数を表し、p及びqは各々独立に1〜100の整数を表す。
上記一般式(III)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
<2> 更に、(E)顔料誘導体を含有し、該顔料誘導体の少なくとも1種が塩基性顔料誘導体であることを特徴とする<1>に記載の着色組成物である。
<3> 前記(B)顔料がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の着色組成物である。
<4> 前記酸基を有する構造単位の酸基がカルボン酸基であることを特徴とする<1>から<3>のいずれか1つに記載の着色組成物である。
<5> <1>から<4>のいずれか1つに記載の着色組成物、(F)重合性化合物、及び(G)光重合開始剤を含有することを特徴とする着色感光性組成物である。
<6> 基板上に、<5>に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有することを特徴とするカラーフィルタである。
<7> <6>に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする固体撮像素子である。
<8> <6>に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示素子である。
本発明によれば、微細化された顔料が1次粒子の状態で安定的に分散され、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色被膜を形成し得る、着色組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、塗布性および現像性に優れ、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色硬化膜を形成し得る、着色感光性組成物を提供することができる。
更に、本発明によれば、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性に優れ、現像時の残渣が少ない着色領域を有するカラーフィルタ、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子、及び液晶表示素子を提供することができる。
以下、本発明の着色組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び液晶表示素子について詳細に説明する。
≪着色組成物≫
本発明の着色組成物は、(A)下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される構造単位と、酸基を有する構造単位と、を有する高分子化合物、(B)顔料、(C)有機溶剤、及び、(D)下記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である染料を含有することを特徴とする。
上記一般式(I)及び一般式(II)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、A及びAは各々独立に1価の有機基を表し、m及びnは各々独立に2〜8の整数を表し、p及びqは各々独立に1〜100の整数を表す。
上記一般式(III)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
本発明の着色組成物は、更に、(E)顔料誘導体を含み、該顔料誘導体の少なくとも1種が塩基性顔料誘導体であることが好ましい。
本発明の着色組成物において、微細化された顔料の1次粒子の分散性と分散安定性が優れるメカニズムは明確ではないが、以下のように推測される。
(A)高分子化合物は、酸基を有する構造単位(以下、「酸基含有構造単位」ということがある。)を含む。この酸基は、顔料或いは顔料誘導体に対して吸着基として働く。
また、(A)高分子化合物は、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位を繰り返し単位として含む。この構造単位によるグラフト鎖部分は、顔料との親和性は低いが、有機溶剤との親和性が高いことから、顔料の表面に吸着することなく、有機溶剤側に伸張した構造をとることができる。
つまり、本発明における(A)高分子化合物は、有機溶剤中で上記グラフト鎖構造が伸張した構造をとり、酸基が顔料表面へ効率よく吸着し、その結果として、有機溶剤中で顔料の安定した分散状態を保つことができると考えられる。
本発明における(A)高分子化合物とは逆に、顔料との親和性が高く、溶媒との親和性が低いグラフト鎖を有する高分子化合物の場合、グラフト鎖が顔料の表面に吸着してしまい、有機溶剤に伸張した構造をとることができない。そのため、このようなグラフト鎖を有する高分子化合物は、顔料及び有機溶剤と共存させた場合に、収縮した構造となり、顔料表面への吸着が効率よく行われず、結果として、顔料の凝集が生じてしまうと考えられる。
例えば、特開2004−287409号公報に記載のω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート共重合体では、グラフト鎖末端基が相互作用性の強いカルボキシル基のため、グラフト鎖の顔料表面への吸着が生じたり、共重合体の構造が収縮した状態となるため、顔料を分散させる効果が十分に発現されない。
本発明の着色組成物は、前記(D)染料(「ジピロメテン系染料」とも称する。)を含有することで、光散乱が低減され、それによりコントラストが高く、色濃度ムラが小さくなり、また、分光特性の修正が可能となり、色特性に優れる。加えて、ジピロメテン系染料と顔料との相互作用により、現像時に上記ジピロメテン系染料が顔料とともに現像され、残渣が少ない着色被膜を形成し得る。
以下、本発明の着色組成物を構成する各成分について説明する。
<(A)高分子化合物>
本発明の着色組成物は、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される構造単位の少なくとも1種と、酸基を有する構造単位の少なくとも1種と、を有する高分子化合物(以下、「特定重合体」ということがある。)を含有する。
上記一般式(I)及び一般式(II)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、A及びAは各々独立に1価の有機基を表し、m及びnは各々独立に2〜8の整数を表し、p及びqは各々独立に1〜100の整数を表す。
[一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位]
前記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位は、(A)高分子化合物において繰り返し単位として含まれる。
前記一般式(I)及び一般式(II)において、R〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
アルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3がより好ましい。)メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
、R、R、及びRとしては、水素原子が好ましく、R及びRとしては、水素原子又はメチル基が、顔料表面への吸着効率の点から最も好ましい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、X及びXは各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。中でも、−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が、顔料への吸着性の観点で好ましく、−C(=O)O−が最も好ましい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、L及びLは各々独立に、単結合又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基や、該アルキレン基とヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基が好ましい。ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。また、ヘテロ原子を含む部分構造におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子があげられ、中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
2価の有機連結基としては、上記のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結したものが、顔料への吸着性の点から好ましい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、A及びAは各々独立に、1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換もしくは非置換のアルキル基、又は、置換もしくは非置換のアリール基が好ましい。
好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
置換基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が、分散安定性の点から好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
前記一般式(I)及び一般式(II)においてA及びAとしては、分散安定性および現像性の点から、炭素原子数1から20までの直鎖状、炭素原子数3から20までの分岐状、ならびに炭素原子数5から20までの環状のアルキル基が好ましく、炭素原子数4から15までの直鎖状、炭素原子数4から15までの分岐状、ならびに炭素原子数6から10までの環状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数6から10までの直鎖状、炭素原子数6から12までの分岐状のアルキル基が更に好ましい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、m及びnは各々独立に、2〜8の整数を表す。分散安定性および現像性の点から、m及びnは4〜6が好ましく、5が最も好ましい。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、p及びqは各々独立に、1〜100の整数を表す。pの異なるもの、qの異なるものが2種以上、混合されてもよい。p及びqは、分散安定性および現像性の点から、5〜60が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
本発明における特定重合体は、前記一般式(I)で表される構造単位の少なくとも1種または前記一般式(II)で表される構造単位の少なくとも1種を含み、あるいは前記一般式(I)で表される構造単位の少なくとも1種および前記一般式(II)で表される構造単位の少なくとも1種を含む。ここで、前記一般式(I)及び(II)においては、以下の組み合わせが特に好ましい態様である。即ち、R、R、R、及びRは水素原子が好ましく、R及びRは水素原子又はメチル基が好ましい。X及びXは−C(=O)O−が好ましい。L及びLは、炭素数1〜4のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結した2価の有機連結基が好ましい。m及びnは5が好ましく、p及びqは5〜20が好ましい。
本発明における特定重合体としては、分散安定性の点から、前記一般式(I)で表される構造単位の少なくとも1種を含むものが好ましい。
また、前記一般式(I)で表される構造単位としては、下記一般式(I)−2で表される構造単位であることがより好ましい。
上記一般式(I)−2中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Laは炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは−C(=O)−又は−NHC(=O)−を表し、Aは1価の有機基を表し、mは2〜8の整数を表し、pは1〜100の整数を表す。
〜R、Aで表される1価の有機基、並びにm、pの詳細および好ましい態様は、前記一般式(I)における場合と同様である。
Laは、炭素数2〜8のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基が更に好ましい。具体的には、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記一般式(I)、(II)又は(I)−2で表される構造単位は、それぞれ、下記一般式(i)、(ii)又は(i)−2で表される単量体を重合あるいは共重合することにより、高分子化合物の繰り返し単位として導入される。
上記一般式(i)、(ii)及び(i)−2中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、Laは炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは−C(=O)−又は−NHC(=O)−を表し、A及びAは各々独立に1価の有機基を表し、m及びnは各々独立に2〜8の整数を表し、p及びqは各々独立に1〜100の整数を表す。
〜R、X及びX、L及びL、A及びA、m及びn、p及びqは、前記一般式(I)、(II)及び(I)−2と同義である。
以下に、一般式(i)、(ii)又は(i)−2で表される単量体の好ましい具体例〔単量体(A−1)〜(A−24)〕を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における特定重合体は、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位の少なくとも1種を含み、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
また、特定重合体において、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造単位の含有量は、特に制限はないが、重合体に含有される全構造単位を100質量%とした場合に、顔料の分散性及び現像性を両立する点で、上記構造単位を5質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%〜60質量%含有することが更に好ましい。
[酸基を有する構造単位]
本発明における特定重合体は、酸基を有する構造単位(酸基含有構造単位)を含む。酸基含有構造単位の酸基は、顔料或いは顔料誘導体に対して吸着基として働く。
本発明における酸基含有構造単位において、酸基としては、pKa10以下の酸基が好ましい。pKa10以下の酸基の具体例としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール基などが挙げられる。この中でも、顔料分散性と現像性を両立する観点から、カルボン酸基が最も好適に用いられる。
本発明における酸基含有構造単位では、酸基は直接、特定重合体の主鎖に結合していてもよく、連結鎖を介して特定重合体の主鎖に結合していてもよい。
特定重合体の主鎖と酸基とを連結する連結鎖としては、芳香環、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレア基及び/又はウレタン基から選択される官能基を含む連結基であることが好ましい。上記官能基はそれ自体が顔料へ吸着性を示すため、酸基含有構造単位において、上記官能基が酸基と近い位置にあると、顔料或いは顔料誘導体に対する吸着性を増す効果があると考えられる。
ここで、特定重合体の主鎖とは、ポリマーを合成する際に重合により連結した部位をいい、例えば、メタクリル酸エステルを重合したポリマーであれば、メタクリル部位が重合により連結したアルキレン部位をいう。
また、上記の連結基は、複数種の連結基を組み合わせて用いることができる。例えば、芳香環とエーテル基、芳香環とエステル基、芳香環とウレア基、エーテル基とウレア基、芳香環とエーテル基とウレア基等を組み合わせて用いることができる。
本発明の着色組成物が顔料としてチタンブラックを含む場合、チタンブラックは窒素原子を有するため、特定重合体の連結基として水素結合性官能基が好ましく用いられ、具体的には、アミド基、ウレア基、ウレタン基が好ましく用いられる。
また、本発明における酸基含有構造単位に用いられる連結基としては、芳香環を導入することが好ましい。連結鎖が芳香環を有することで、通常のアルキル鎖などに比べて、立体障害によりポリマーの絡まりを低減でき、芳香環が主鎖部からポリマーの外へ向きやすくなるので、顔料の分散性を向上させることができる。
ここで、芳香環とは、π電子をもつ原子が環状に並んだ構造を表し、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などのヘテロ原子を含まない環や、ピリジン環、ピロール環、フラン環、カルバゾール環、チオフェン環などのヘテロ原子を含む環など各種用いることができる。そのなかでも、汎用性の高いベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環を好適に用いることができ、ベンゼン環をより好適に用いることができ、下記の式(2)で表される構造であることがより好ましい。
上記式(2)中、Yは特定重合体の主鎖との連結基を表し、Sは酸性官能基を表す。Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基を表す。また、nは0から4の整数を表し、mは1から5の整数を表す。
上記式(2)中、Yは特定重合体の主鎖との連結基を表す。連結基の構造として特に限定はないが、酸基のpKaを下げる観点から、電子求引性基でベンゼン環と主鎖とが連結されていることが好ましく、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、などで連結されていることがさらに好ましく、エステル基で連結されていることがより好ましい。
Yの好ましい具体例を下記に示すが、Yはこれらの構造に限定されるわけではない。Xは特定重合体の主鎖と結合する部位を表し、Zはベンゼン環と結合する部位を表す。
前記式(2)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基を表す。酸基のpKaを下げる観点から、水素原子か電子求引性基で置換されていることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基、カルボキシル基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基がよりさらに好ましい。
本発明における酸基含有構造単位は、酸基としてカルボン酸基を有する構造単位(以下、「カルボン酸基含有構造単位」ということがある。)が好ましい。より好ましくは、水素原子を除く原子の数が4個以上である原子団から構成される連結鎖を介して、特定重合体の主鎖に結合するカルボン酸基を有する構造単位である。
上記カルボン酸基含有構造単位においては、カルボン酸基が連結鎖を介して主鎖に結合していることにより、カルボン酸基部分のフレキシビリティが高まり、より効率的に、顔料或いは顔料誘導体と相互作用することが可能となる。また、カルボン酸基は現像性基としても働くため、フレキシビリティが高くなることにより、現像性も向上する。この点において、連結鎖は長い方が好ましい。
一方、連結鎖が長すぎると、ポリマー中に導入できるカルボン酸基含有構造単位の数が少なくなるので、引いては、ポリマー中に導入できるカルボン酸基の数が少なくなる。
上記のことから、カルボン酸基含有構造単位においては、主鎖とカルボン酸基とを連結する連結鎖が、水素原子を除く原子の数が4個から100個である原子団から構成されていることが好ましく、より好ましくは、水素原子を除く原子の数が6個から60個である原子団から構成されていることであり、さらに好ましくは、水素原子を除く原子の数が8個から20個である原子団から構成されていることである。
上記カルボン酸基含有構造単位では、特定重合体の主鎖とカルボン酸基とを連結する連結鎖の好ましい態様は、既述の酸基含有構造単位における連結鎖と同様であり、また、連結鎖として複数種の連結基を組み合わせて用いることができることも同様である。
上記カルボン酸基含有構造単位に用いられる連結基としては、既述の酸基含有構造単位と同様、芳香環を導入することが好ましく、芳香環の好ましい態様も同様である。
上記カルボン酸基含有構造単位の部分構造としては、下記の式(1)で表される構造であることがより好ましい。
上記式(1)中、Y、R、及びnは、前記式(2)と同義である。カルボン酸基は、ベンゼン環から連結基を介して導入されていてもよい。
上記式(1)で表される部分構造の具体例を以下に示すが、該部分構造はこれらの具体例に限定されるわけではない。Xは主鎖との結合部位を表す。
前記カルボン酸基含有構造単位においては、前記連結鎖が、芳香環を有し、水素原子を除く原子の数が6個以上60個以下である原子団から構成されることが好ましい。より好ましくは、前記芳香環がベンゼン環であり、該ベンゼン環を介して又はエステル結合で主鎖に結合している連結鎖である。
本発明における特定重合体において、前記カルボン酸基含有構造単位の含有量は、着色領域を形成する場合の現像液中での析出物の生成抑制という点で、50mgKOH/g以上が好ましい。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、あるいは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、カルボン酸基含有構造単位の含有量は、50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
[他の構造単位]
本発明における特定重合体は、顔料への吸着性を高める目的で、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体をさらに共重合した高分子化合物であることが好ましい。
酸基以外に、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体としては、具体的には、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマー、イオン性基を有するモノマーなどを挙げることができる。中でも、顔料への吸着力の点で、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーが好ましい。
有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーとしては、下記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択される1種であることが好ましい。中でも、下記一般式(1)で表される単量体であることが特に好ましい。
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは単結合又は2価の連結基を表す。Yは−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、Zは含窒素複素環基を有する基を表す。
上記一般式(1)におけるRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基や、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、炭素数1〜5であるものが好ましく、炭素数1〜3のものが好ましい。
上記一般式(1)におけるRで表される好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)におけるRで表される2価の連結基としては、アルキレン基、又はアルキレン基を含む2価の基が好ましい。該アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
また、このアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
で表される好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
上記一般式(1)におけるRで表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子)を介して2以上連結したものであってもよい。
また、Rで表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基におけるZに結合する方の末端に、−O−、−S−、−C(=O)O−、−CONH−、−C(=O)S−、−NHCONH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)S−、−OC(=O)−、−OCONH−、及び−NHCO−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造が結合したものであってもよい。
上記一般式(1)におけるZで表される含窒素複素環基を構成する含窒素複素環構造として、具体的には、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造を有するものが挙げられる。
これらの含窒素複素環構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、脂肪族エステル基、芳香族エステル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
前記Zで表される含窒素複素環基は、中でも、炭素数が6以上である含窒素複素環構造を有する基であることがより好ましく、炭素数が6以上12以下である含窒素複素環構造を有する基であることが特に好ましい。
炭素数が6以上である含窒素複素環構造として、具体的には、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造が好ましく、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される構造であることが特に好ましい。
上記一般式(2)中、Xは単結合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基など)、−O−、−S−、−NRA−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかである。ここでRAは、水素原子又はアルキル基を表す。RAがアルキル基を表す場合のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、上記一般式(2)におけるXとしては、単結合、メチレン基、−O−、又は−C(=O)−が好ましく、−C(=O)−が特に好ましい。
上記一般式(4)中、Y及びZは、各々独立に、−N=、−NH−、−N(RB)−、−S−又は−O−を表す。RBはアルキル基を表し、該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、Y及びZとしては、−N=、−NH−、及び−N(RB)−が特に好ましい。Y及びZの組み合わせとしては、Y及びZのいずれか一方が−N=であり他方が−NH−である組み合わせ(イミダゾリル基)が好ましいものとして挙げられる。
上記一般式(2)、(3)又は(4)中、環A、環B、環C及び環Dは、各々独立に、芳香環を表す。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環等が挙げられ、中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、フェノキサジン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が特に好ましい。
具体的には、上記一般式(2)における環A及び環Bとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記一般式(3)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記一般式(4)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記の環は、分散性、分散液の経時安定性の点からは、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましく、上記一般式(2)又は(4)においては、ベンゼン環が更に好ましく、上記一般式(3)においては、ナフタレン環が更に好ましい。
なお、本発明におけるマレイミド誘導体とは、N位がアルキル基やアリール基などの置換基により置換されているマレイミドを意味する。
以下、前記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体の好ましい具体例(単量体M−1〜M−33)を以下に挙げるが、これらに制限されるものではない。
本発明における特定重合体は、前記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する構造単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明における特定重合体中、前記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する構造単位の含有量は、特定重合体に含有される全構造単位を100質量%とした場合に、5質量%以上含有することが好ましく、10質量%〜50質量%含有することがより好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、前記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は5質量%以上であることが好ましい。また、着色組成物を含有する着色感光性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、前記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は50質量%以下であることが好ましい。
塩基性窒素原子を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等、が挙げられる。
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、及び水酸基のいずれかを有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
イオン性基を有するモノマーとしては、イオン性基を有するビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)が挙げられる。この例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーは、分散する顔料の種類に応じて、適宜選択することができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明における特定重合体は、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(アセトアセチルオキシ)エチルエステルなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
本願発明の(A)高分子化合物(特定重合体)の具体例としては、以下の例示化合物1〜例示化合物35が挙げられる。
本発明における特定重合体の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で5000〜100000の範囲、数平均分子量(Mn)で2500〜50000の範囲である。重量平均分子量(Mw)で10000〜50000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜30000の範囲であることがより好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)で20000〜40000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜20000の範囲であることが最も好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体を効果的にほぐし、あるいは、再凝集を効果的に弱める観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましい。また、着色組成物を含有する着色感光性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は50000以下であることが好ましい。
本発明における特定重合体は、通常のラジカル重合法によって製造することができる。
一般的には、懸濁重合法あるいは溶液重合法などを用いる。このような特定重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
なお、ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例えば、2−メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタン)を使用することができる。
本発明の着色組成物中、特定重合体の含有量としては質量比で、顔料:特定重合体=1:0.1〜1:2が好ましく、より好ましくは、1:0.2〜1:1であり、更に好ましくは、1:0.4〜1:0.7である。
本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、本発明における特定重合体の他に、他の高分子化合物を同時に使用してもよい。
他の高分子化合物としては、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。
天然樹脂としてはロジンが代表的であり、変性天然樹脂としては、ロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体およびそれらのオリゴマーが挙げられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
合成樹脂としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
<(B)顔料>
本発明の着色組成物は、少なくとも1種の顔料を含有する。顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料としては、本発明の着色組成物を含有する着色感光性組成物がカラーフィルタの着色領域の形成に用いられ、その際に該領域が高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子サイズの小さいものを使用することが好ましい。
本発明の着色組成物及びこれを含有する着色感光性組成物のハンドリング性を考慮すると、顔料の平均1次粒子径としては、100nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、5nm〜25nmが最も好ましい。該粒子径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。
平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)或いは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
前記無機顔料としては、例えば、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント・レッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279、
C.I.ピグメント・イエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214、
C.I.ピグメント・オレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73、
C.I.ピグメント・グリーン7,10,36,37、
C.I.ピグメント・ブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,79のCl置換基をOHに変更したもの,80、
C.I.ピグメント・バイオレット1,19,23,27,32,37,42、
C.I.ピグメント・ブラウン25,28、
C.I.ピグメント・ブラック1,7、等を挙げることができる。
但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
上記顔料の中で、後述する(D)ジピロメテン系染料に適した色の組み合わせの観点から、フタロシアニン系顔料を好適に用いることができる。具体的には、C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66、C.I.ピグメント・グリーン7,36,37、58が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメント・ブルー15:6が挙げられる。
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々の組み合わせで用いることができる。有機顔料の組み合わせの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で、又は、それらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、を混合して用いることができる。
例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。また、赤色顔料と他顔料との質量比は、400nmから500nmの光透過率と色純度の点から、100:5〜100:80が好ましい。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に合わせて調整することができる。
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を1種単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、若しくはイソインドリン系黄色顔料とを混合して用いることができる。
例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37とC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、400nm〜450nmの光透過率と色純度の点から、100:5〜100:200が好ましい。上記質量比としては100:20〜100:150の範囲が特に好ましい。
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を1種単独で、又は、これとジオキサジン系紫色顔料とを混合して用いることができる。特に好適な例として、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合を挙げることができる。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
−顔料の微細化−
本発明においては必要に応じて、上記のような顔料を微細化かつ整粒化してなる顔料を用いてもよい。
この顔料の微細化には、顔料を水溶性有機溶剤及び水溶性無機塩類と混合して高粘度な液状組成物を調製し、これを摩砕する工程を含む方法を用いることが好ましい。
本発明においては、顔料の微細化には、以下の方法を用いることがより好ましい。
即ち、まず、有機顔料、水溶性有機溶剤、及び水溶性無機塩類の混合物(液状組成物)に対し、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等の混練機を用いて、強い剪断力を与えることで、混合物中の顔料を摩砕した後、この混合物を水中に投入し、攪拌機等でスラリー状とする。次いで、このスラリーをろ過、水洗し、水溶性有機溶剤及び水溶性無機塩を除去した後、乾燥することで、微細化された顔料を得る方法である。
前記の微細化に用いられる水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
また、少量用いることで顔料に吸着して廃水中に流失しないならば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いてもよい。また、必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
これら水溶性有機溶剤の使用量は、顔料に対して、50質量%〜300質量%の範囲が好ましく、より好ましくは100質量%〜200質量%の範囲である。
また、本発明において水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が用いられる。
水溶性無機塩の使用量は、有機顔料の1倍質量〜50倍質量が好ましく、多い方が摩砕効果はあるが、生産性の点から、より好ましい量は1倍質量〜10倍質量である。
また、水溶性無機塩の溶解を防ぐため、摩砕される液状組成物中の水分が1質量%以下であることが好ましい。
本発明において、顔料、水溶性有機溶剤、及び水溶性無機塩を含む液状組成物を摩砕する際には、前述の混練機などの湿式粉砕装置を用いればよい。この湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが、粉砕メディア(水溶性無機塩)による磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10rpm〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが、摩砕効果が大きく好ましい。また、運転時間は、乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50℃〜150℃が好ましい。また、粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5μm〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ、球形が好ましい。
上記のような摩砕後の混合物を、80℃の温水と混合することで、水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類とを溶解させ、その後、ろ過、水洗し、オーブンで乾燥して、微細な顔料を得ることができる。
また、上記の有機顔料の微細化の際、液状組成物中に、水溶性有機溶剤に少なくとも一部可溶な樹脂を併用することにより、微細で、且つ、表面が樹脂により被覆された、乾燥時の顔料の凝集が少ない加工顔料を得ることができる。
ここで、加工顔料を得る際に用いられる、水溶性有機溶剤に少なくとも一部可溶な樹脂としては、顔料分散剤として用いられている公知の樹脂を用いることができるが、本発明においては、前述の(A)特定重合体を用いることが好ましい。
本発明の着色組成物中の(B)顔料の含有量は、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましく、10質量%〜20質量%が更に好ましい。
<(C)有機溶剤>
本発明の着色組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含有する。
本発明の着色組成物に用いられる有機溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
また、有機溶剤の添加量は、着色組成物の用途などに応じて適宜選択されるが、後述する着色感光性組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料等を含む固形分濃度が5質量%〜50質量%となるように添加することができる。
<(D)ジピロメテン系染料>
本発明の着色組成物は、染料として、下記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体(「ジピロメテン系染料」または「特定錯体」とも称する。)の少なくとも1種を含有する。
本発明の着色組成物に上記ジピロメテン系染料を含有させることにより、カラーフィルタ形成に適した優れた色特性及び分光特性を有する着色組成物を得ることができる。また、該着色組成物を含有する着色感光性組成物を用いて作製されたカラーフィルタは、色濃度のムラがより小さくなり、また、色特性がより良化する。
[ジピロメテン系化合物]
本発明において、特定錯体を形成するジピロメテン系化合物は、下記一般式(III)で表される化合物である。
上記一般式(III)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
上記一般式(III)においてR〜Rで表される置換基の具体例としては、以下に示す1価の基(以下、列記した1価の基の群を「置換基R」と総称する場合がある。)が挙げられる。
即ち、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
上述した1価の基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(III)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環又は不飽和環がある。この5員、6員、又は7員の飽和環又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
[金属原子又は金属化合物]
本発明において、特定錯体を構成する金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、又はVO(V=O)が最も好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体において、好ましい態様を以下に示す。
即ち、前記一般式(III)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOで表される態様が挙げられる。
前記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体において、より好ましい態様を以下に示す。
即ち、前記一般式(III)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOで表される態様が挙げられる。
前記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体において、特に好ましい態様を以下に示す。
即ち、前記一般式(III)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Cu、Co、又はVOで表される態様が挙げられる。
特に、前記一般式(III)において、R及びRがそれぞれフェニル基であることが、堅牢性に優れる点から、好ましい。
また、前記一般式(III)において、R及び/又はRが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基であることが、溶剤溶解性に優れる点から、好ましい。
[特定錯体の具体例]
(一般式(III−1)で表される化合物)
本発明におけるジピロメテン系染料としては、下記一般式(III−1)で表される化合物であることが好ましい例の1つである。
上記一般式(III−1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Maは金属原子又は金属化合物を表し、XはMaに結合可能な基を表し、XはMaの電荷を中和するために必要な基を表す。なお、XとXとは互いに結合してMaと共に5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。なお、上記一般式(III−1)で表される化合物は、互変異性体を含む。
上記一般式(III−1)中のR〜Rは、前記一般式(III)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
上記一般式(III−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、前述した特定錯体を構成する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
上記一般式(III−1)中のRは、前記一般式(III)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
上記一般式(III−1)におけるXは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物に由来する基が挙げられる。
上記一般式(III−1)に置けるXは、Maの電荷を中和するために必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記一般式(III−1)におけるXとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子及び水素原子のみで構成されていてもよい、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環であってもよい。
(一般式(III−2)で表される化合物)
本発明におけるジピロメテン系染料としては、下記一般式(III−2)で表される化合物であることが好ましい例の1つである。
上記一般式(III−2)中、R〜R及びR〜R13は各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R及びR14は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Maは金属原子又は金属化合物を表す。なお、上記一般式(III−2)で表される化合物は、互変異性体を含む。
上記一般式(III−2)中のR〜Rは、前記一般式(III)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
上記一般式(III−2)中のR〜R13で表される置換基は、前記一般式(III)で表される化合物のR〜Rで表される置換基と同義であり、その好ましい態様も同様である。上記一般式(III−2)で表される化合物のR〜R13で表される置換基が更に置換可能な基である場合には、前述した置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(III−2)中のRは、前記一般式(III)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
上記一般式(III−2)中のR14は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14の好ましい範囲は、前記Rの好ましい範囲と同様である。R14が更に置換可能な基である場合には、前述した置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(III−2)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前述した特定錯体を構成する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
上記一般式(III−2)中、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13とが、互いに結合して、5員、6員、又は7員の飽和環又は不飽和環を形成していてもよい。形成される飽和環又は不飽和環としては、RとR、RとR、RとR、及びRとRで形成される飽和環又は不飽和環と同義であり、好ましい例も同様である。
(一般式(III−3)で表される化合物)
本発明におけるジピロメテン系染料としては、下記一般式(III−3)で表される化合物であることが好ましい例の1つである。
上記一般式(III−3)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Maは金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Y及びYは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子又は炭素原子を表す。R及びRは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1又は2を表す。なお、上記一般式(III−3)で表される化合物は、互変異性体を含む。
上記一般式(III−3)中、R〜R、及びRは、前記一般式(III)中のR〜R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
上記一般式(III−3)中、Maは金属又は金属化合物を表し、前述した特定錯体を構成する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
上記一般式(III−3)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
上記一般式(III−3)中、R及びRで表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(III−3)中、X及びXは、各々独立に、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Rは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。
前記Rのアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基は、更に、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(III−3)中、Y及びYは、各々独立に、NR、窒素原子、又は炭素原子を表し、ここでRは、前記X及びXにおけるRと同義である。
上記一般式(III−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
上記一般式(III−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
上記一般式(III−3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記置換基Rのいずれかで説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(III−3)中、XはMaと結合可能な基を表し、前記一般式(III−1)におけるXと同様な基が挙げられる。aは0、1、又は2を表す。
上記一般式(III−3)で表される化合物の好ましい態様を以下に示す。
即ち、R〜R、R、及びMaは、それぞれ、前記一般式(III)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体の好ましい態様であり、XはNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、XはNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基)、又は酸素原子であり、YはNRc(Rcは水素原子、又はアルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Yは窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
上記一般式(III−3)で表される化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、R〜R、R、Maはそれぞれ、前記一般式(III)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体の好ましい態様であり、X及びXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
以下に、本発明における特定錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における特定錯体は、米国特許第4774339号明細書、同第5433896号明細書、特開2001−240761号公報、同2002−155052号公報、特許第3614586号公報、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。
(色素多量体)
(D)ジピロメテン系染料は、一分子中に前記一般式(III)で表される色素骨格を多数有する色素多量体(以下、単に「色素多量体」とも称する。)であることが好ましい。色素多量体であることにより、未露光部において染料がまとめて現像されるため、染料が単量体である場合に比較して基板に残りにくくなり、残渣がより低減する。
前記色素多量体としては、後述する一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つを含んでなる色素多量体、又は、後述する一般式(D)で表される色素多量体、さらには、後述する一般式(AM)で表される色素単量体を重合成分として含む色素多量体が好適である。
〔一般式(A)で表される構成単位〕
下記の一般式(A)で表される構成単位について、詳細を説明する。
前記一般式(A)中、XA1及びXA2はそれぞれ独立に、重合によって形成される連結基を表し、LA1及びLA2はそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表す。mは0〜3の整数を表し、n及びnはそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。Dyeは前記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物と金属又は金属化合物とからなるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を1個〜(m+1)個取り除いた色素残基を表す。DyeとLA2とは、共有結合、イオン結合、及び配位結合のいずれで連結されていてもよい。nが2以上である場合、複数存在するLA1は同じであっても異なっていてもよい。nが2以上である場合、複数存在するLA2は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(A)中、XA1及びXA2はそれぞれ独立に、重合によって形成される連結基を表す。すなわち重合反応で形成される主鎖に相当する繰り返し単位を形成する部分を指す。なお、2つの*で挟まれた部位が繰り返し単位となる。XA1及びXA2としては、置換もしくは無置換の不飽和エチレン基を重合して形成される連結基、環状エーテルを開環重合して形成される連結基等が挙げられ、好ましくは、不飽和エチレン基を重合して形成される連結基である。具体的には以下に示す連結基等が挙げられるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
なお、下記(X−1)〜(X−15)において、*はLA1又はLA2と連結する部位を表す。
前記一般式(A)中、LA1及びLA2はそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表す。LA1及びLA2が2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、下記一般式(La)で表される連結基、下記一般式(Lb)で表される連結基、又は下記一般式(Lc)で表される連結基等、及びこれらを2個以上連結して形成される連結基〔例えば、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−。ここで、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕が挙げられる。LA1及びLA2で表される2価の連結基は、本発明の効果を奏しうる範囲であれば何ら限定されない。
前記一般式(Lb)及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。前記一般式(La)、一般式(Lb)及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、又は置換基を表し、kは0〜4の整数を表し、*は前記一般式(A)におけるXA1及びXA2と結合する位置を表し、**は前記一般式(A)におけるDyeと結合する位置を表す。
前記一般式(A)中Dyeは、好ましくは、既述の一般式(III−1)又は一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子をn個取り除いた色素残基である。
以下に、前記一般式(A)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔一般式(B)で表される構成単位〕
次に、下記の一般式(B)で表される構成単位について、詳細を説明する。
前記一般式(B)中、XB1及びXB2はそれぞれ独立に、重合によって形成される連結基を表し、LB1及びLB2はそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、AはDyeとイオン結合もしくは配位結合可能な基を表す。mは0〜3の整数を表し、n及びnはそれぞれ独立に、1〜4の整数を表す。Dyeは前記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物と金属又は金属化合物とからなるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の置換基に、Aとイオン結合もしくは配位結合可能な基を有する色素残基を表す。DyeとLB2とは、共有結合、イオン結合、及び配位結合のいずれで連結されていてもよい。nが2以上である場合、複数存在するLB1は同じであっても異なっていてもよい。nが2以上である場合、複数存在するLB2は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(B)中のXB1、XB2、LB1、LB2、m、n及びnはそれぞれ、前記一般式(A)におけるXA1、XA2、LA1、LA2、m、n及びnと同義であり、好ましい態様も同じである。
前記一般式(B)中Dyeは、好ましくは、前記一般式(III−1)又は一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の置換基に、Aとイオン結合もしくは配位結合可能な基を有する色素残基である。
前記一般式(B)中のAで表される基としては、Dyeとイオン結合もしくは配位結合可能な基であればよく、イオン結合できる基としては、アニオン性基、カチオン性基のどちらでもよい。アニオン性基としては、カルボキシル基、ホスホ基、スルホ基、アシルスルホンアミド基、スルホンイミド基など、pKaが12以下のアニオン性基が好ましく、より好ましくはpKaが7以下であり、更に好ましくは、5以下である。アニオン性基はDye中のMaもしくはヘテロ環基とイオン結合もしくは配位結合してもよいが、Maとイオン結合することがより好ましい。
アニオン性基として好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下に示すアニオン性基において、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。また、*は、前記一般式(B)におけるLB1と結合する位置を表す。
前記一般式(B)中のAで表されるカチオン性基としては、置換もしくは無置換のオニウムカチオン(例えば、置換もしくは無置換のアンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基など)が好ましく、特に置換アンモニウム基が好ましい。
以下に、前記一般式(B)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。


〔一般式(C)で表される構成単位〕
次に、下記の一般式(C)で表される構成単位について、詳細を説明する。
前記一般式(C)中、LC1は単結合または2価の連結基を表し、nは1〜4の整数を表す。Dyeは前記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物と金属又は金属化合物とからなるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を2個取り除いた色素残基を表す。Dyeは、好ましくは、前記一般式(III−1)又は一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を2個取り除いた色素残基である。
前記一般式(C)中、LC1で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、及び、これらを2個以上連結して形成される連結基(例えば、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、−N(R)C(=O)N(R)−など。ここで、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)が好適に挙げられる。
以下に、前記一般式(C)中のLC1で表される2価の連結基として好適な具体例を記載するが、本発明におけるLC1はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例において、*は、前記一般式(C)におけるDyeと結合する位置を表す。
以下に、前記一般式(C)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔共重合成分〕
本発明における色素多量体は、少なくとも1種の前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を多量化して形成されたものでもよいが、他の構成単位と共に多量化されていてもよい。他の構成単位として好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔一般式(D)で表される色素多量体〕
次に、下記の一般式(D)で表される色素多量体について、詳細を説明する。
前記一般式(D)中、LD1はm価の連結基を表し、mは2〜100の整数を表し、Dyeは前記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物と金属又は金属化合物とからなるジピロメテン系金属錯体化合物を表す。Dyeは前記一般式(III)で表されるジピロメテン系化合物と金属又は金属化合物とからなるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を1個取り除いた色素残基を表す。Dyeは、好ましくは、前記一般式(III−1)又は一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を1個取り除いた色素残基である。
前記一般式(D)中、mは好ましくは2〜80であり、より好ましくは2〜40であり、特に好ましくは2〜10である。
前記一般式(D)において、mが2の場合、LD1で表される2価の連結基としては、既述の一般式(C)におけるLC1について述べた置換基が挙げられ、好ましい具体例も同じである。
前記一般式(D)において、mが3以上の場合、LD1で表されるm価の連結基としては、例えば、置換もしくは無置換のアリーレン基(1,3,5−フェニレン基、1,2,4−フェニレン基、1,4,5,8−ナフタレン基など)、へテロ環連結基(例えば、1,3,5−トリアジン基など)、アルキレン連結基等を中心母核とし、前記2価の連結基が置換して形成される連結基が挙げられる。
以下に、前記一般式(D)で表される色素多量体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
下記表1に、本発明における色素多量体として好ましい例を、その構成単位(前記構成単位)と共重合比、及び重量平均分子量と分散度とを明示することで示す。
本発明における色素多量体は、前記一般式(A)、一般式(B)、又は一般式(C)で表される構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましいが、これらの中でも、前記一般式(A)で表される構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
更に、前記一般式(A)で表される構成単位は、下記一般式(AM)で表される色素単量体を重合成分として形成されたものであることが好ましい。
〔一般式(AM)で表される色素単量体〕
以下に、下記の一般式(AM)で表される色素単量体について、詳細を説明する。
前記一般式(AM)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Lは、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、下記一般式(La)で表される基、下記一般式(Lb)で表される基、又は下記一般式(Lc)で表される基を表す(ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)。Lは、2価の連結基を表す。m及びnは各々独立に、0又は1を表す。Dyeは、前記一般式(III−1)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物から任意の水素原子が1つ外れた色素残基、又は前記一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物のR〜R、R〜R、X、Y、及びYのいずれか1つの置換基の水素原子が1つ外れた色素残基を表す。
前記一般式(Lb)及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。前記一般式(La)、一般式(Lb)、及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、又は置換基を表し、kは0〜4の整数を表し、*は、前記一般式(AM)における−C(R)=CH基と結合する位置を表し、**は、前記一般式(AM)におけるL又はDye(n=0の場合)と結合する位置を表す。
すなわち、前記一般式(AM)で表される色素単量体は、前記一般式(III−1)又は前記一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物に、−(L)n−(L)m−C(R)=CHで表される重合性基が導入された化合物である。なお、m及びnのいずれもが0の場合、前記ジピロメテン系金属錯体化合物に、直接−C(R)=CH基が導入される。ここで、L、L及びRは、前記一般式(AM)におけるのと同義である。
前記一般式(III−1)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物において、前記重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、前記一般式(III−1)中のR〜Rのいずれか1つに前記重合性基が導入されることが好ましく、R、R、R及びRのいずれか1つに前記重合性基が導入されることがより好ましく、R及びRのいずれか1つに前記重合性基が導入されることが更に好ましい。
前記一般式(III−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物において、前記重合性基が導入される部位は、前記一般式(III−3)中のR〜R、R〜R、X、Y、及びYのいずれか1つである。これら置換基の中でも、合成適合性の点で、R〜R、R、R及びXのいずれか1つに前記重合性基が導入されることが好ましく、R、R、R及びRのいずれか1つに前記重合性基が導入されることがより好ましく、R及びRのいずれか1つに前記重合性基が導入されることが更に好ましい。
前記一般式(AM)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Rがアルキル基又はアリール基の場合、無置換でも置換されていてもよい。
前記Rがアルキル基の場合、好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好適である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記Rがアリール基の場合、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜14、さらに好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基が好適である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記Rが置換アルキル基及び置換アリール基の場合の置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数3〜12のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ)、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ(例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ))、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数12以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数20以下の、より好ましくは炭素数12以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド,N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、
アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数16以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)が挙げられる。
前記の置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、イミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基がより好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基が特に好ましい。
前記の特に好ましい置換基の中でも、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基がより好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が更に好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基が特に好ましい。
前記Rとしては、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、水素原子、アルキル基が特に好ましい。
前記Rの置換アルキル基及び置換アリール基の置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(AM)中、Lは、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、前記一般式(La)で表される基、前記一般式(Lb)で表される基、又は前記一般式(Lc)で表される基を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
前記Rがアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である場合、具体例としては、前記Rにおける置換アルキル基及び置換アリール基の置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
前記Rとしてのアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、前記一般式(AM)中、Lで表される一般式(La)で表される基、一般式(Lb)で表される基、及び一般式(Lc)で表される基について、詳細に説明する。
前記一般式(Lb)及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。前記一般式(La)、一般式(Lb)及び一般式(Lc)において、Rは水素原子、又は置換基を表し、kは0〜4の整数を表し、*は、前記一般式(AM)における−C(R)=CH基と結合する位置を表し、**は、前記一般式(AM)におけるL又はDye(n=0の場合)と結合する位置を表す。
前記一般式(Lb)及び一般式(Lc)におけるRは、前記一般式(AM)中のLで説明したRと同義であり、好ましい態様も同様である。
前記Rは、水素原子又は置換基を表し、Rで表される置換基としては、前記Rの置換アルキル基及び置換アリール基で説明した置換基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。kは0、1、2、3、4を表す。kが2、3、4の場合、Rは同じでもよく、異なっていてもよい。
前記Rの置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記Rで説明した置換基で、置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記Lとしては、合成上の観点から、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−が好ましく、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−がより好ましく、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−が更に好ましい。
次に、前記一般式(AM)中、Lについて説明する。
前記Lは、L又は−C(R)=CH基(m=0の場合)と、Dyeとを連結する2価の連結基を表す。
前記Lとしては、好ましくは、アルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、OC(=O)O−、−OSO−、−OC(=O)N(R50)−、−N(R50)−、−N(R50)C(=O)−、−N(R50)C(=O)O−、−N(R50)C(=O)N(R51)−、−N(R50)SO−、−N(R50)SON(R51)−、−S−、−S−S−、−SO−、−SO−、−SON(R50)−、−SOO−等が挙げられる。また、前記の2価の連結基が、複数個結合して、新たに2価の連結基を形成していてもよい。
前記のR50及びR51は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R50及びR51のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記Rの置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。R50及びR51のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記Rの置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記Lが、アルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、無置換でもよく置換されていてもよく、置換されている場合には、前記Rの置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記Lがアルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基が更に好ましい。
前記LとLとの組み合わせとしては、Lが−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Lが炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数2〜18のアルキルチオエーテル、炭素数2〜18のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜18のアルキルアミノカルボニル基の態様が好ましい。より好ましくは、Lが−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Lが炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数2〜12のアルキルチオエーテル、炭素数2〜12のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜12のアルキルアミノカルボニル基の態様であり、更に好ましくは、Lが−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Lが炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基、炭素数2〜6のアルキルチオエーテル、炭素数2〜6のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜6のアルキルアミノカルボニル基の態様である。
下記に、前記一般式(AM)中において、−(L)n−(L)m−C(R)=CHで表される重合性基の例を挙げる。ただし、本発明においては、これらに限定されない。
以下に、前記一般式(AM)で表される色素単量体の具体例を示す。ただし、本発明においては、これらに限定されない。
本発明における色素多量体に重合成分として含まれる前記一般式(AM)で表される色素単量体は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、本発明における色素多量体に、後述する他のエチレン性不飽和結合単量体が共重合成分として含まれる場合、該単量体は1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。また、共重合成分として、所望によりさらに含まれ得る他の単量体も、これを共重合成分として含む場合には、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
本発明における色素多量体は、前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位や、一般式(A)で表される構成単位を形成しうる好ましい単量体である一般式(AM)で表される色素単量体を質量比(質量%)で100質量%含むもの、すなわち、前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位のみが重合してなる多量体でもよい。膜厚の観点からは、一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を質量比(質量%)で、10質量%〜100質量%含むことが好ましく、20質量%〜100質量%含むことがより好ましく、30質量%〜100質量%含むことがさらに好ましい。
〔末端エチレン性不飽和結合を有し、一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を構成しうる色素単量体とは構造の異なる単量体〕
本発明における色素多量体は、共重合成分として、末端エチレン性不飽和結合を有し、前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を構成しうる色素単量体とは構造の異なる単量体(「他のエチレン性不飽和結合単量体」ということがある。)を含んでもよい。
すなわち、本発明における色素多量体は、前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を形成しうる色素単量体や前記一般式(AM)で表される色素単量体と、該色素単量体とは構造の異なる他のエチレン性不飽和結合単量体とを含む共重合体であってもよい。このとき、該共重合体は、前記本発明における特定の色素単量体を、1種のみ含んでもよく、2種以上含んでよく、また、前記他のエチレン性不飽和結合単量体を、1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
前記他のエチレン性不飽和結合単量体としては、少なくとも末端部にエチレン性不飽和結合を有する化合物であって、前記一般式(A)、一般式(B)、及び一般式(C)で表される構成単位を形成しうる色素単量体や前記一般式(AM)で表される色素単量体とは構造の異なる単量体であれば、特に制限されない。
本発明における色素多量体を着色硬化性組成物に適用する場合、着色パターン形成性を向上させる観点から、他のエチレン性不飽和結合単量体は、末端エチレン性不飽和結合に加え、さらに、アルカリ可溶性基を有する単量体であることが好ましい。
アルカリ可溶性基を有する前記他のエチレン性不飽和結合単量体の例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
本発明における色素多量体は、上述のようなアルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り返し単位を含むことにより、本発明における色素多量体を着色硬化性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れる。
本発明における色素多量体において、アルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、好ましくは50mgKOH/g以上であり、特に好ましくは50mgKOH/g〜200mgKOH/gである。すなわち、現像液中での析出物の生成抑制という点では、アルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g以上であることが好ましい。本発明における色素多量体と顔料とを共に用いて着色硬化性組成物を構成する場合、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、あるいは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、アルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
本発明における色素単量体との共重合で使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
以下に、本発明に用いうる前記他のエチレン性不飽和結合単量体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の表2及び表3に、本発明における色素多量体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表2及び表3中、単量体aの番号は、既述の前記一般式(AM)で表される色素単量体の具体例に対応し、単量体bの番号は、既述のエチレン性不飽和結合単量体の具体例に対応する。
本発明の着色組成物は、本発明の効果を損なわない限りおいて、前記ジピロメテン系染料以外の染料を1種または2種以上含有してもよい。
本発明においては、2種類以上の前記ジピロメテン系染料を組み合わせる場合、また、前記ジピロメテン系染料とそれ以外の染料とを2種類以上組み合わせる場合、吸収特性の異なる少なくとも2種の染料を組み合わせた混合系(混合物)として好適に用いることができ、原色系の色相を好適に構成することができる。
前記吸収特性としては、例えば最大吸収波長が挙げられる。この場合、例えば、最大吸収波長が50nm〜250nm異なる染料の組み合わせが好ましく、50nm〜200nm異なる染料の組み合わせが更に好ましい。このような好ましい染料の組み合わせとしては、例えば、Valifast Yellow 1101と既述の化合物III−Aとの組み合わせ(質量比2:3)、既述の化合物III−90とDirect Green 27との組み合わせ(質量比2:3)、Mordant Violet 40と既述の化合物III−92との組み合わせ(質量比1:2)、等が挙げられる。
染料のモル吸光係数は、カラーフィルタを形成した際の膜厚の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、500nm〜600nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定されるものである。ただし、溶解性の観点からは、モル吸光係数は高すぎない方がよい。
本発明の着色組成物における染料の含有量(前記ジピロメテン系染料とそれ以外の染料の総量)としては、染料により異なるが、本発明の着色感光性組成物において10〜90質量%の範囲内になるように、着色組成物に染料を含有させることが好ましい。パターニング後(露光・現像等後)の硬化パターンの熱処理に伴なう熱ダレをより抑制し、硬化パターンの基板との密着性をより高め得る観点から、染料の含有量は、本発明の着色感光性組成物において、40〜90質量%の範囲がより好ましく、更に好ましくは50〜80質量%の範囲であり、特に好ましくは55〜70質量%の範囲である。
また、2種以上の染料を混合して調色する場合には、最も少量添加する染料の量は、色相の点で、染料の全量を100%としたときの少なくとも10%以上であることが好ましい。
<(E)顔料誘導体>
本発明の着色組成物は、顔料誘導体を含有することができる。本発明における顔料誘導体とは、後で詳述するが、有機顔料の側鎖に酸性基、塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。
本発明においては、(A)特定重合体(高分子分散剤)と親和性のある部位を有する顔料誘導体を顔料の表面に吸着させ、これを特定重合体の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として着色組成物中に分散させることができ、また、その再凝集をも防止することができる。つまり、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、本発明における特定重合体の如き高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
本発明における特定重合体は酸基を有していることから、顔料誘導体として塩基性基を有する塩基性顔料誘導体を用いることにより、さらに顔料の分散性が向上し、微細な顔料を効果的に分散することができる。そして、塩基性顔料誘導体を含有する着色組成物を用いることで、さらに色濃度ムラが小さく色特性に優れたカラーフィルタを形成することができる。
本発明における顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。母体骨格となる有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。また、母体骨格としては、一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
本発明における顔料誘導体としては、特開平11−49974号公報、同平11−189732号公報、同平10−245501号公報、同2006−265528号公報、同平8−295810号公報、同平11−199796号公報、同2005−234478号公報、同2003−240938号公報、同2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
本発明の着色組成物中に顔料誘導体を使用する場合、その使用量としては、顔料に対し1質量%〜80質量%の範囲にあることが好ましく、3質量%〜65質量%の範囲にあることがより好ましく、5質量%〜50質量%の範囲にあることが特に好ましい。含有量がこの範囲内であると、粘度を低く抑えながら、顔料の分散を良好に行えると共に、分散後の分散安定性を向上させることができる。そして、この着色組成物をカラーフィルタの製造に適用することで、透過率が高く、優れた色特性を有し、高いコントラストのカラーフィルタを得ることができる。
<その他の成分>
本発明の着色組成物には、必要に応じて公知の各種添加物、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、凝集防止剤等を配合することができる。
−着色組成物の調製方法−
本発明の着色組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
本発明の着色組成物は、具体的には、例えば、(A)特定重合体、(B)顔料、(C)有機溶剤を、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01mm〜1mmの粒子径のガラス、ジルコニア等でできたビーズにて微分散処理を行なうことにより得ることができる。
ビーズによる微分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されており、本発明においてもここに記載の方法を適用することができる。
≪着色感光性組成物≫
次に、本発明の着色感光性組成物について説明する。
本発明の着色感光性組成物は、本発明の着色組成物、(F)重合性化合物、及び(G)光重合開始剤を含有することを特徴とする。
本発明の着色感光性組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。特に、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用のカラーフィルタ形成用として好適に用いることができる。
本発明の着色感光性組成物は、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。
カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、着色剤量が増大したりして、線幅感度が悪くなり、DOFマージンが狭くなる結果、パターン形成性が損なわれやすい。これは、特に画素パターンサイズが1.0〜1.7μm(更に1.2〜1.5μm)の場合に顕著になる。また、厚み1μm以下の薄膜である場合、着色剤を除くフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少し、着色剤量の増大で他成分の量は更に減少して、低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離しやすくなる。この場合、ポストベーク等の熱処理を施した際に熱ダレを起こし易い。これらは、特に膜厚が0.005μm〜0.9μm(更に0.1μm〜0.7μm)の場合に顕著である。
一方、本発明の着色感光性組成物を用いれば、上記のような2μm以下の画素パターンサイズでも、パターン形成に優れ、良好な断面プロファイルを有するカラーフィルタを作製することができる。
本発明の着色感光性組成物には、硬化反応の速度を大きくするため、ラジカルや酸を発生する重合開始剤を含むことが好ましく、フォトリソ法で画素を形成する場合には必須となる。さらに、着色感光性組成物には、バインダー、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。
<(F)重合性化合物>
重合性化合物は、例えば400nm以下のUV光による露光または熱により、重合または架橋し、着色感光性組成物をアルカリ現像液に不溶化させることにより、フォトリソ法においては露光部と未露光部を区別しパターン成形することができる。
重合性化合物としては、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体または3量体)、オリゴマー、及びそれらの混合物、並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
上記の中でも、特に、分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリル化合物が好ましい。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号0254〜0257、及び特開2009−13206号公報の段落0054〜0068に記載の化合物も好適な例である。
上記のほか、下記の一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)において、R、T、Zはそれぞれ以下の置換基または連結基を表し、nは0〜14の整数を表す。下記R、T、及びZにおいて、mは1〜8の整数を表す。一分子内に複数存在するR、Tはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
重合性化合物の着色感光性組成物中における含有量は、該着色感光性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
<(G)光重合開始剤>
光重合開始剤は、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選んでよい。光重合開始剤は、波長300〜800nm(330〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物等)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)、英国特許1388492号明細書、特開昭53−133428号公報、独国特許3337024号明細書、F.C.SchaeferらによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)、特開昭62−58241号公報、特開平5−281728号公報、特開平5−34920号公報、及び米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物が挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物が挙げられ、具体的には例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
本発明で光重合開始剤としては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム誘導体等のオキシム化合物が好適に用いられる。オキシム化合物としては例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、及びJournal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232に記載の化合物、特開2000−66385号、特開2000−80068号、特表2004−534797号、特開2006−342166号の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(チバジャパン社製)、IRGACURE−OXE02(チバジャパン社製)も好適に用いられる。
好ましくはさらに、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム系重合開始剤としては、下記式(C−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム化合物は、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
上記式(C−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(C−2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロヘキシレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
式(C−1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
オキシム化合物は、下記式(C−2)で表される化合物であることが好ましい。
式(C−2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。
式(C−2)におけるR、A、及びArは、前記式(C−1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(C−2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(C−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
さらにオキシム化合物は、下記式(C−3)で表される化合物であることが好ましい。
式(C−3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。
式(C−3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(C−2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることがより好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、3,000〜300,000であることが好ましく、5.000〜300,000であることがより好ましく、10000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタン、N−フェニルグリシンなど)、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
光重合開始剤として用い得るケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、オキシム化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、及び、既述のオキシム系開始剤が挙げられ、さらにオキシム系開始剤として、特開2001−233842号記載の化合物も用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。また アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。
本発明の着色感光性組成物においては、上記の各種の光重合開始剤を併用してよい。
光重合開始剤の着色感光性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。また、光重合開始剤の着色感光性組成物中における含有量は、重合性化合物の固形分に対して0.01〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
<バインダー>
着色感光性組成物には、バインダーを含有させることが好ましい。前記バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、特開2008−292970号公報の段落0227〜0234に記載の重合体が挙げられる。
バインダーの着色感光性組成物中における含有量は、該着色感光性組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜30質量%が特に好ましい。
<架橋剤>
架橋剤を着色感光性組成物に加えることも好ましく、架橋剤としては、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、特開2008−292970号公報の段落0237〜0253に記載の架橋剤が挙げられる。
架橋剤を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、充分な硬化度と未露光部の溶出性とを保持できる。架橋剤が不足すると露光部の硬化度が不足したり、また架橋剤が過剰になると未露光部の溶出性が著しく低下することがある。
<溶剤>
本発明の着色感光性組成物を調製する際には、一般に溶剤を含有することができる。使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や着色感光性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
前記溶剤の例としては、特開2008−292970号公報の段落0272記載の溶剤が挙げられる。中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
<界面活性剤>
本発明の着色感光性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の着色感光性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色感光性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色感光性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(ゼネカ社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH21PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、SH8400、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4460、TSF−4452、信越シリコーン(株)製KP341、ビックケミー社製BYK323、BYK330等が挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、着色感光性組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜10質量%であるのが好ましく、0.01質量%〜5質量%であるのがより好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の着色感光性組成物においては、該着色感光性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、着色感光性組成物の全質量に対して、約0.005質量%〜約5質量%が好ましい。
<各種添加物>
本発明の着色感光性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの例としては、特開2008−292970号公報の段落0274〜0276に記載の添加物を挙げることができる。
−着色感光性組成物の調製方法−
本発明の着色感光性組成物の調製に際しては、上述の各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。全成分を同時に溶剤に溶解して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して着色感光性組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色感光性組成物は、好ましくは孔径0.01〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
≪カラーフィルタ≫
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有することを特徴とする。
ここで、着色領域とは、3色或いは4色の着色パターン(画素部)と、ブラックマトリクスとの両方を含むものである。
本発明の着色組成物を用いたカラーフィルタは、高温・高湿度下で着色領域(画素部)が濁る、カラーフィルタ作製時に着色領域(画素部)が濁るといった問題を解決できる。これらの問題は、フィルタ中の微細な顔料粒子が凝集して結晶成長して起こる現象と考えられ、顔料の1次粒子が微細であるほど起きやすい。本発明の着色組成物においては、(A)高分子化合物が微細な顔料に強く吸着しているため、着色領域(画素部)中においても、顔料粒子同士の凝集を効果的に抑制することから、着色領域(画素部)が濁るといった問題を抑制することができ、コントラストに優れた着色領域(画素部)を形成することができると考えられる。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明の着色感光性組成物を用いて、フォトリソ法でカラーフィルタを形成する方法は、支持体上に着色感光性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布膜に対してマスクを介して露光する露光工程と、露光後に塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去する現像工程と、を含む。
<塗布工程>
まず、塗布工程で用いられる基板について説明する。
本発明のカラーフィルタに用いられる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板が挙げられる。
これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
この他に、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板(以下、「TFT方式液晶駆動用基板」という。)を用い、この駆動用基板上にも、本発明の着色感光性組成物を用いてなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
塗布工程において、本発明の着色感光性組成物を基板に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、スリット・アンド・スピン法、スピンレス塗布法等のスリットノズルを用いる方法(以下、スリットノズル塗布法という)が好ましい。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの着色感光性組成物の吐出量は、通常、500μl/秒〜2000μl/秒、好ましくは800μl/秒〜1500μl/秒であり、また、塗工速度は、通常、50mm/秒〜300mm/秒、好ましくは100mm/秒〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる着色感光性組成物の固形分としては、通常、10%〜20%、好ましくは13%〜18%である。
基板上に本発明の着色感光性組成物による塗布膜を形成する際、該塗布膜の厚み(プリベーク処理後)としては、一般に0.3μm〜5.0μmであり、望ましくは0.5μm〜4.0μm、最も望ましくは0.5μm〜3.0μmである。固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
塗布工程において、通常は、塗布後にプリベーク処理を施す。必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。
真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1torr〜1.0torr、好ましくは0.2torr〜0.5torr程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
<露光工程>
露光工程では、前述のようにして形成された着色感光性組成物からなる塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。露光の際に使用される放射線としては、特に、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
なお、液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。
なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
<現像工程>
現像工程では、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。現像液としては、未硬化部における着色感光性組成物の塗布膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
現像に用いられる有機溶剤としては、本発明の着色感光性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
<後硬化工程>
本発明においては、上記した現像によりパターンを形成する工程の後に、さらに、得られたパターンをより硬化させる後硬化工程を実施することが好ましい。後硬化工程は、加熱及び/又は露光(紫外線照射)によって行うが、得られたパターンをさらに硬化させ、次色のパターン形成工程でのパターンの溶解等を防止したり、得られたカラーフィルタの画素の耐溶剤性を向上したりすることができる。後硬化工程は、紫外線照射によることが好ましい。
加熱処理(後加熱、ポストベーク)による後硬化工程は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後に施される。リンス処理は、通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
リンス処理後、水切り、乾燥をした後に、通常、約200℃〜250℃の加熱処理を行う。この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。加熱処理時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
露光(後露光)による後硬化工程(紫外線照射工程)は、現像工程後のパターンに、前期露光工程における露光量[mJ/cm]の10倍以上の照射光量[mJ/cm]の紫外光(UV光)を照射することが望ましい。UV光の照射光量は、前期露光工程の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
後露光は、g線、h線、i線、KrF、ArF、UV光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、UV光が好ましい。UV光の照射(UVキュア)を行う際は、20℃以上50℃以下(好ましくは25℃以上40℃以下)の低温で行うことが好ましい。UV光の波長は、200〜300nmの範囲の波長を含んでいることが好適であり、光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。照射時間としては、10〜180秒、好ましくは20〜120秒、更に好ましくは30〜60秒である。
UV光を照射する光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DEEP UVランプなどを用いることができる。中でも、照射される紫外光中に275nm以下の波長光を含み、かつ275nm以下の波長光の照射照度[mW/cm]が紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して5%以上である光を照射できるものが好ましい。紫外光中の275nm以下の波長光の照射照度を5%以上とすることで、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。この点から、前記露光工程に用いられるi線等の輝線などの光源と異なる光源、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯などを用いて行なうことが好ましい。中でも、前記同様の理由から、紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して7%以上が好ましい。また、275nm以下の波長光の照射照度の上限は、25%以下が望ましい。
なお、積分照射照度とは、分光波長ごとの照度(単位面積を単位時間に通過する放射エネルギー;[mW/m])を縦軸とし、光の波長[nm]を横軸とした曲線を引いた場合に照射光に含まれる各波長光の照度の和(面積)をいう。
後硬化工程において照射される紫外光における積分照射照度は、200mW/cm以上であることが好ましい。積分照射照度が200mW/cm以上であると、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。中でも、250〜2000mW/cmが好ましく、300〜1000mW/cmがより好ましい。
後硬化工程においては、後露光と後加熱は、併用してもよく、この場合はどちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
このようにして得られた着色パターンがカラーフィルタにおける画素を構成することになる。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記パターン形成工程(及び必要に応じて後硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性が良好であることから、固体撮像素子又は液晶表示素子に好適に用いることができる。
本発明の着色感光性組成物の用途としては、主に、カラーフィルタの着色パターン形成の用途を中心に説明したが、カラーフィルタを構成する着色パターン(画素)を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する着色感光性組成物を用い、塗布、露光、及び現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
≪固体撮像素子、及び液晶表示素子≫
本発明の固体撮像素子、及び液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを備えてなるものである。より具体的には、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、本発明の固体撮像素子が得られる。また、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示素子であるパネルが得られる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<製造例1>
−顔料誘導体(I)、(II)、及び(III)の合成−
下記の構造式で表される顔料誘導体(I)は、特開2003−253078号公報の段落0056に記載の方法を用いて合成した。下記の構造式中、CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
下記の構造式で表される顔料誘導体(II)は、特開2003−96056号公報の段落0114〜0117に記載の方法を用いて合成した。
顔料誘導体(III)として、特開2005−2186号公報の段落0055に記載の方法を用いて、C.I.ピグメント・ブルー15:3のスルホン酸基含有誘導体を合成した。
<製造例2>
−(A)高分子化合物の合成−
(特定樹脂1の合成)
500mL三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、2−エチル−1−ヘキサノール22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、H-NMRにて、原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、下記の構造式で表される固体状の前駆体M1を200g得た。下記の構造式中、nは30である。M1であることは、H-NMR、IR、質量分析により確認した。
前駆体M1を50.0g、4−ビニル安息香酸50.0g、ドデシルメルカプタン2.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)233.3gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株)製スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製「V−601」)を0.2g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.2g加え、3時加熱攪拌の後、下記の構造式で表される特定樹脂1の30%溶液を得た。下記の構造式で表される化合物であることは、H-NMR、IR、質量分析により確認した。なお、下記構造式中、x及びyは、特定樹脂における各構造単位の含有率(質量%)を表し、具体的な数値(樹脂の組成比)を下記表4に示す。また、下記表4に樹脂の質量平均分子量を示す。
(特定樹脂2及び3の合成)
特定樹脂1の合成方法と同様の合成法により、上記の構造式で表される特定樹脂2及び3を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂4の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をフタル酸モノエチルメタクリレートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂4を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂5の合成)
特定樹脂1の合成方法において、M1の合成方法における2−エチル−1−ヘキサノールとε−カプロラクトンの比率を変更し、4−ビニル安息香酸をフタル酸モノエチルメタクリレートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂5を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂6の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をメタクリル酸に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂6を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂7の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をブレンマーPE−90 (日本油脂(株)製)とフタル酸無水物との反応混合物に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂7を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂8の合成)
特定樹脂1の合成方法において、M1の合成方法における2−エチル−1−ヘキサノールを2−エチルヘキサン酸に換え、また反応温度を160℃へ変更し、4−ビニル安息香酸をフタル酸モノエチルメタクリレートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂8を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂9の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸を4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリロイルオキシ2−エチルイソシアネートとの反応混合物に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂9を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂10の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸を4−アミノ安息香酸とメタクリロイルオキシ2−エチルイソシアネートとの反応混合物に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂10を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂11の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をホスマーM (ユニケミカル(株)製)に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂11を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂12の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をコハク酸モノエチルメタクリレートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂12を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂13の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をエチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリラートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂13を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(特定樹脂14の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をコハク酸モノエチルメタクリレート、及びエチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリラートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される特定樹脂14を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(比較樹脂1の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸を2−ジエチルアミノエチルイソシアネートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される比較樹脂1を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
(比較樹脂2の合成)
特定樹脂1の合成方法において、4−ビニル安息香酸をエチレングリコールモノアセトアセテートモノメタクリレートに換え、M1を下記の構造式で表される前駆体M2に換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される比較樹脂2を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
上記のM2は、以下の方法で合成した。
500mL三口フラスコに、PGMEA50.7gを導入し、窒素を吹き込みながら、75℃で攪拌した。そこへ、メタクリル酸メチル200g、2−メルカプトプロパノール2.60g、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製「V−601」)0.38g、PGMEA101.3gを混合した溶液を、2時間かけて滴下した。滴下後、2時間攪拌し、その後、90℃で2時間攪拌した。その後、80℃まで冷却し、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート5.4g、PGMEA5.4gを添加した。5時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、上記の構造式で表される固体状の前駆体M2を416g(50%PGMEA溶液)得た。M2であることは、H-NMR、IR、質量分析により確認した。
(比較樹脂3の合成)
特定樹脂1の合成方法において、M1をM2に換え、4−ビニル安息香酸をフタル酸モノエチルメタクリレートに換えたこと以外は特定樹脂1の合成方法と同様にして、下記の構造式で表される比較樹脂3を合成した。化合物の構造は、H-NMR、IR、質量分析により確認した。下記表4に、樹脂の組成比と質量平均分子量を示す。
<製造例3>
−顔料分散物の調製−
(顔料分散物1−1)
下記組成の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3000r.p.m.で3時間撹拌し、顔料と特定樹脂とを含む混合溶液を調製した。
・Pigment Blue 15:6 95部
・顔料誘導体(I) 10部
・特定樹脂1(30%溶液) 125部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 750部
続いて、上記で得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間処理を行ない、顔料分散物を得た。粘度を下記表5に示す。なお、粘度はE型回転粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。粘度が小さいほど分散性が高いことを示す。
(顔料分散物1−2〜1−25及び2−1〜2−7)
顔料分散物1−1の調製において、用いる顔料、樹脂、及び顔料誘導体を下記表5に記載のものに変更したこと以外は、顔料分散物1−1と同様にして、顔料分散物1−2〜1−25及び2−1〜2−7を得た。粘度を下記表5に示す。
<実施例1>
−固体撮像素子用のカラーフィルタの作製−
(着色感光性組成物の調製)
下記組成の成分を混合し撹拌して、着色感光性組成物を調製した。
・顔料分散物1−1 1000部
・ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート(光重合性化合物) 80部
・1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム (光重合開始剤) 30部
・下記の構造式で表される染料1 100部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) 300部
(下塗り層用レジスト液の調製)
下記組成の成分を混合して溶解し、下塗り層用レジスト液を調製した。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
(PGMEA、溶剤)
・乳酸エチル 36.67部
・樹脂 30.51部
(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/共重合体(モル比=70/30)の40%PGMEA溶液)
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物 12.20部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061部
・フッ素系界面活性剤(DIC(株)製、メガファックF−475) 0.83部
・光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤) 0.586部
(みどり化学社製TAZ−107)
(下塗り層付シリコン基板の作製)
6inchのシリコンウエハをオーブン中で200℃下、30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に前記下塗り層用レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
(固体撮像素子着色パターンの形成)
前記で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に、着色層の乾燥膜厚が0.7μmになるように、スピン塗布機能を持つコータ/デベロッパ(東京エレクトロン(株)製Act−8を用いて着色感光性組成物を塗布した。
次いで、この着色塗布基板を100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった後、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.5μm四方のIslandパターンマスクを通して500mJ/cmの露光量で露光した。その後、露光後の着色層が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行なった後、該シリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後、スプレー乾燥して、着色画素の付いたウエハ基板を得た。
[評価項目]
i)残渣(現像性)
露光工程で光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無をSEMで観察した。評価基準は以下の通りである。評価結果を下記表5に示す。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった。
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
ii)色ムラ
輝度分布を下記方法で解析し、平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに色ムラを評価した。
まず、着色感光性組成物を、下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
このようにして得られた単色の着色硬化膜について、光学顕微鏡側から着色硬化膜面に光を照射して、その反射状態を倍率1000倍のデジタルカメラが設置された光学顕微鏡によって観察した。光学顕微鏡に設置されたデジタルカメラには128万画素のCCDが搭載されており、反射状態にある着色硬化膜表面を撮影した。撮影画像は8ビットのビットマップ形式でデジタル変換したデータ(デジタル画像)として保存した。なお、着色硬化膜表面の撮影は任意に選択した20の領域に対して行った。
また、デジタル変換したデータは、撮影画像をRGBの3原色それぞれの輝度を0〜255までの256階調の濃度分布として数値化して保存した。
次いで、保存されたデジタル画像について、1つの格子サイズが実基板上の2μm四方に相当するように、格子状に区分し、一つの区画内での輝度を平均化した。
各領域の全区画について、任意の1区画とそれに隣接する全ての隣接区画の平均輝度とを計測した。隣接区画の平均輝度との差が5以上の区画を有意差区画と認定し、全領域の有意差区画の平均総数と、全領域の有意差区画の平均総数が各領域の全区画数に対して占める割合とを算出した。
評価基準は以下の通りである。評価結果を下記表5に示す。
−評価基準−
○:平均からのズレが2%未満
△:平均からのズレが2%以上5%未満
×:平均からのズレが5%以上
<実施例2〜25及び比較例1〜7>
実施例1において、顔料分散物及び染料を下記表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜25及び比較例1〜7の固体撮像素子用のカラーフィルタを作製した。次いで、実施例1と同様に評価した。評価結果を下記表5に示す。
なお、下記表5中、染料2及び3は下記の構造式で表される化合物であり、染料4はAcid Red 87、染料5はAcid Red 92である。また、P21及びP28は、既述の色素多量体の具体例である。
上記表5に示す通り、本発明における特定樹脂を用いた顔料分散物は粘度が低く、顔料の分散性に優れることが明らかである。延いては、本発明の着色組成物の粘度も低く、顔料の分散性に優れると言うことができる。
また、本発明の着色感光性組成物を用いて作製した固体撮像素子用のカラーフィルタは、現像性が良好で、色ムラが小さいことが明らかである。
次に、液晶表示装置用途のカラーフィルタ形成用として本発明の着色感光性組成物を調製した例を挙げて説明する。
実施例1で調製した着色感光性組成物をガラス基板上に塗布し、残渣(現像性)と色ムラについて、実施例1と同様に評価を行った。結果、着色領域は良好な現像性を有し、色ムラが低減されることがわかった。
以上の検討結果から、本発明の着色組成物は、高い顔料分散性を示し、本発明の着色組成物を用いて、色ムラが小さく、色特性が良好で、高い現像性を有する着色感光性組成物を得ることができることが明らかである。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される構造単位と、酸基を有する構造単位と、を有する高分子化合物、
    (B)顔料、(C)有機溶剤、及び、
    (D)下記一般式(III)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である染料、
    を含有することを特徴とする着色組成物。

    [一般式(I)及び一般式(II)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、A及びAは各々独立に1価の有機基を表し、m及びnは各々独立に2〜8の整数を表し、p及びqは各々独立に1〜100の整数を表す。]

    [一般式(III)中、R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。]
  2. 更に、(E)顔料誘導体を含有し、該顔料誘導体の少なくとも1種が塩基性顔料誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
  3. 前記(B)顔料がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の着色組成物。
  4. 前記酸基を有する構造単位の酸基がカルボン酸基であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の着色組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の着色組成物、(F)重合性化合物、及び(G)光重合開始剤を含有することを特徴とする着色感光性組成物。
  6. 基板上に、請求項5に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  7. 請求項6に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする固体撮像素子。
  8. 請求項6に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示素子。
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