JP5821346B2 - 電池電極用バインダ、電池電極用組成物、電池用電極及び二次電池 - Google Patents

電池電極用バインダ、電池電極用組成物、電池用電極及び二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、電池電極用バインダ、電池電極用組成物、電池用電極及び二次電池に関する。
二次電池は、ノート型パソコンや携帯電話等、弱電の民生機器用途、ハイブリッド車や電気自動車等の蓄電池として用いられている。二次電池としては、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池ということがある。)が多用されている。一般に、電池の電極としては、集電体と、集電体上に設けられ、バインダによって電極活物質及び導電助剤が保持された合剤層とを備えるものが用いられている。
電池電極用バインダとしては、例えば、正極用としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系重合体が用いられている。このPVDFを電池電極用バインダとして用いると、結着力が不足するため、電池の容量、レート特性やサイクル特性等の電池性能の向上が困難であった。例えば、電子の移動の容易さに影響されるレート特性の向上
には、導電助剤の増量が効果的である。限られた電池内の空間で導電助剤を増量するには、バインダ量を低減する必要がある。単に、バインダ量を低減すると、電極活物質との密着性が損なわれ、充放電が繰り返されることによって、集電体から合剤層が剥離したり、合剤層から電極活物質が欠落したりして、電池性能が低下する等の問題がある。
このような問題に対し、PVDFと略同等の電気化学的安定性を有するポリアクリロニトリル系(以下、PAN系ということがある)樹脂に、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の極性基を導入して、集電体に対するバインダの密着性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、例えば、アクリル系樹脂に極性基としてリン酸基を導入して、集電体に対する密着性を向上させる方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開2005−327630号公報 国際公開第2006/101182号パンフレット
しかしながら、特許文献1の技術では、バインダ量を低減した場合に、集電体と合剤層との密着性が充分とはいえない。
また、特許文献2の技術では、溶媒として用いているN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に対して不溶になり得る架橋成分が電池電極用組成物中に含まれるため、集電体に対する合剤層の密着性が充分ではなかった。加えて、架橋成分を含まないと、合剤層が電解液に対して過度に膨潤して、密着性が低下したり、電池電極用バインダが電解液中に溶解して電池の寿命が低下する懸念があった。
そこで、本発明は、少量でも、集電体に対する密着性に優れた電池電極用バインダを目的とする。
本発明の電池電極用バインダは、シアン化ビニル単位80〜99.99モル%及びリン酸基含有単位0.01〜20モル%を有する重合体であって、N−メチルピロリドンに対する不溶分が50質量%以下の重合体であることを特徴とする。
本発明の電池用電極組成物は、本発明の前記電池電極用バインダを含有することを特徴とする。
本発明の電池用電極は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層は、本発明の前記電池電極用組成物と電極活物質とを含有することを特徴とする。
本発明の二次電池は、本発明の前記電池用電極を備えることを特徴とする。
本発明の電池電極用バインダによれば、少量でも、集電体に対する密着性の向上を図れる。
(電池電極用バインダ)
本発明の電池電極用バインダは、シアン化ビニル単位及びリン酸基含有単位を有する重合体である。
シアン化ビニル単位は、シアン化ビニル単量体に由来する構成単位を意味する。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルが挙げられ、中でも、重合のし易さ、安価に入手できる点で、アクリロニトリルが好ましい。
これらのシアン化ビニル単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
重合体を構成する全ての構成単位の合計を100モル%とした場合、重合体におけるシアン化ビニル単位の含有率は、80〜99.99モル%であり、好ましくは95〜99モル%である。シアン化ビニル単位の含有率が上記下限値以上であれば、溶媒に容易に溶解して、集電体に対する密着性が高まり、上記上限値以下であれば、集電体に対する密着性が高まる。
リン酸基含有単位は、リン酸基含有単量体に由来する構成単位である。
リン酸基含有単量体は、リン酸基を有するビニル単量体であり、好適にはリン酸基を有する(メタ)アクリレート及びアリル化合物である。
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性のリン酸基含有単量体の他、集電体に対する密着性の低下を招かない範囲で2官能性のリン酸基含有単量体を用いてもよい。
リン酸基を有するアリル化合物としては、例えば、アリルアルコールアシッドホスフェート等が挙げられる。
これらのリン酸基含有単量体の中では、集電体に対する密着性と電極製造時のハンドリング性に優れることから、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが好ましい。
2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートは、工業的にライトエステルP1−M(商品名、共栄社化学株式会社製)として入手可能である。
リン酸基含有単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
重合体を構成する全ての構成単位の合計を100モル%とした場合、重合体中のリン酸基含有単位の含有率は、0.01〜20モル%であり、好ましくは1〜10モル%である。リン酸基含有単位の含有率が上記下限値以上であれば、集電体に対する密着性が高まり、上記上限値以下であれば、溶媒に容易に溶解して集電体に対する密着性が高まる。
電池電極用バインダは、必要に応じて、シアン化ビニル単位及びリン酸基含有単位以外の構成単位(任意構成単位)を有していてもよい。任意構成単位を有することで、合剤層の剛性や曲げ強度等の機械的特性が高まる。
任意構成単位の由来源となる単量体(任意単量体)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等が挙げられる。
任意単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
重合体を構成する全ての構成単位の合計を100モル%とした場合、重合体中の任意構成単位の含有率は、0〜19.99モル%が好ましい。この時、重合体中のシアン化ビニル単位の含有率は80〜99.99モル%とされ、リン酸基含有単位の含有率は0.01〜20モル%とされる。
また、重合体中の任意構成単位の含有率は、0〜4モル%がより好ましい。この時、重合体中のシアン化ビニル単位の含有率は95〜99モル%とされ、リン酸基含有単位の含有率は1〜5モル%とされる。
後述するように、電池電極用バインダは、NMPを含有する溶媒に分散して集電体に塗布されるものである。リン酸基含有単量体はその製法上、2官能性を有するので、重合体中のNMPに不溶な成分(NMP不溶分)となる傾向にある。NMP不溶分の増加は、合剤層のスラリー特性や、電極活物質と電極活物質との密着状態、電極活物質と集電体との密着状態に影響を与える。
このため、電池電極用バインダは、性能上及び品質管理上、NMP不溶分が50質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。NMP不溶分が上記上限値超であると、電極活物質又は集電体との密着性が不十分になる。
NMP不溶分は、電池電極用バインダを製造する際に、重合開始剤、連鎖移動剤の量を増減することで調節できる。重合開始剤や連鎖移動剤が少ないと、分子量が大きくなり不溶分が多くなる傾向になる。
電池電極用バインダの分子量は、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が5〜30万であることが好ましい。
<電池電極用バインダの製造方法>
電池電極用バインダは、公知の重合方法で製造でき、例えば、シアン化ビニル単量体、リン酸基含有単量体、及び必要に応じて任意単量体を溶媒に投入し、重合温度0〜90℃、好ましくは50〜60℃で、重合時間1〜10時間、好ましくは2〜4時間保持することによって製造される。
重合の際、シアン化ビニル単量体は重合発熱が大きいため、溶媒中に滴下しながら重合を進めることが好ましい。
重合方法としては、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等が挙げられ、中でも、製造が容易であること、後処理工程(回収及び精製)が容易であることから、懸濁重合が好ましい。
懸濁重合は、シアン化ビニル単量体、リン酸基含有単量体、重合開始剤及び必要に応じて任意単量体を水に分散し、任意の温度に保持する方法である。
懸濁重合に用いられる重合開始剤としては、重合開始効率等に優れることから、水溶性重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ化合物等が挙げられる。中でも、重合が容易であることから、過硫酸塩が好ましい。
過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることができる。
懸濁重合には、分子量調節等の目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、次亜燐酸塩が挙げられ、中でも、メルカプタン化合物が好ましい。
懸濁重合には、得られる電池電極用バインダの粒子径を調節するため、水以外の溶媒を加えることができる。
水以外の溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電池電極用バインダを乳化重合で製造する場合、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミン等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(電池電極用組成物)
本発明の電池電極用組成物は、電池電極用バインダを含有するものである。
電池電極用組成物の形態は、特に限定されず、例えば、粉末状、又はNMP等の溶媒に電池電極用バインダが溶解された溶液状のもの等が挙げられる。
粉末状の電池電極用組成物中の電池電極用バインダの含有量は、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。上記下限値未満であると本発明の効果が発揮されにくくなるおそれがある。
溶液状の電池電極用組成物中の電池電極用バインダの含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。上記下限値未満であると本発明の効果が発揮されにくくなるおそれがあり、上記上限値超であると、電池電極用バインダの分散が不均一になりやすい。
電池電極用組成物は、必要に応じて、本発明の電池電極用バインダ以外のバインダ(任意バインダ)や粘度調整剤等の任意成分を含有してもよい。
任意バインダとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ポリ(メタ)アクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、酢酸ビニルポリマー等の重合体;ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン等のフッ素系重合体等が挙げられる。これらの任意バインダを含有することで、電池電極用組成物の電池性能のさらなる向上が図れる。
電池電極用組成物中の任意バインダの含有量は、例えば、電池電極用バインダ100質量部に対し、0〜50質量部が好ましい。
粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸等が挙げられ、中でも、添加剤は、電極に残留するため、電気化学的安定性のあるものが好ましい。これらの粘度調整剤を含有することで、電池用電極を製造する際に容易に塗布できる。
電池電極用組成物中の粘度調整剤の含有量は、例えば、電池電極用バインダ100質量部に対し、0〜20質量部が好ましい。
<電池電極用組成物の製造方法>
電池電極用組成物の製造方法としては、例えば、粉末状の電池電極用バインダと、必要に応じて粉末状の任意成分とを粉体混合する方法や、粉末状の電池電極用バインダと、必要に応じて粉末状の任意成分とをNMP等の溶媒に分散する方法等が挙げられる。
(電池用電極)
電池用電極は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備えるものである。
合剤層は、電池電極用組成物と電極活物質とを含有するものであり、例えば、板状の集電体の少なくとも一方の面上に形成された層である。
合剤層の厚みは、電極活物質の種類に応じて適宜決定できる。電極活物質が金属酸リチウムの場合、合剤層の厚みは、例えば、70〜110μmが好ましく、90〜110μmがより好ましい。電極活物質が黒鉛の場合、合剤層の厚みは、例えば、30〜70μmが好ましく、50〜70μmがより好ましい。
合剤層中の電池電極用組成物の含有量は、例えば、合剤層中の電池電極用バインダの含有量が好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%となる量とされる。上記下限値以上であれば、合剤層と集電体との密着性がより高まる。上記上限値以下であれば、本発明の電池電極用バインダは密着性に優れるため、合剤層と集電体との剥離を良好に防止できる。
リチウムイオン二次電池の場合、正極の電極活物質(正極活物質)としては、負極の電極活物質(負極活物質)より高電位(金属リチウムに対し)であり、充放電時にリチウムイオンを吸脱できる物質が用いられる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等の導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、有機溶媒に可溶なアニリン誘導体の重合体が好ましい。正極活物質は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物等が挙げられる。負極活物質は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
リチウムイオン二次電池においては、正極活物質としてリチウム含有金属複合酸化物を用い、負極活物質として黒鉛を用いることが好ましい。このような組み合わせとすることで、リチウムイオン二次電池の電圧を例えば4V以上に高められる。
合剤層中の電極活物質の含有量は、特に限定されないが、80〜99.5質量%が好ましく、90〜99質量%がより好ましく、95〜99質量%がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、合剤層としての機能が十分に発揮される。上記上限値以下であれば、合剤層と集電体との密着性をより高められる。
正極の合剤層は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤を含有することで、電池性能をより高められる。
導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
合剤層中の導電助剤の含有量は、特に限定されないが、1〜10質量%が好ましく、4〜6質量%がより好ましい。上記下限値以上であれば、合剤層としての機能がより高められる。上記上限値以下であれば、合剤層と集電体との密着性をより高められる。
集電体は、導電性を有する物質であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属が挙げられる。
集電体の形状は、目的とする電池の形態に応じて決定でき、例えば、薄膜状、網状、繊維状が挙げられ、中でも、薄膜状が好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
<電池用電極の製造方法>
電池用電極の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、電池電極用組成物と電極活物質とを溶媒に分散してスラリー(特に、電極スラリーということがある)を調製し(スラリー調製工程)、この電極スラリーを集電体に塗布し(塗布工程)、溶媒を除去して(溶媒除去工程)、電池電極用バインダで電極活物質を保持した固層を得る。
スラリー調製工程では、電池電極用組成物と、電極活物質と、必要に応じて導電助剤又は添加剤とを溶媒に分散する。
溶媒は、電池電極用組成物を均一に溶解又は分散できる溶媒であればよく、例えば、NMP、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)との混合溶液、又はNMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)との混合溶液等が挙げられる。また、水を併用してもよい。
これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電極スラリー中の溶媒の含有量は、常温で電池電極用組成物が溶解した状態又は分散した状態を保てる必要最低限の量であればよい。加えて、電極スラリー中の溶媒の含有量は、塗布工程において集電体に塗布しやすい粘度を勘案して決定される。
塗布工程は、集電体に電極スラリーを任意の厚みで塗布できるものであればよく、例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、刷毛塗り法等の方法が挙げられる。
溶媒除去工程は、溶媒を除去できればよく、例えば、溶媒の沸点以上に加熱する方法、減圧条件下で溶媒を蒸発させる方法等が挙げられる。
溶媒除去工程の後、必要に応じて合剤層を圧延してもよい(圧延工程)。圧延工程を設けることで、合剤層の面積を広げ、かつ任意の厚みに調節できる。
(二次電池)
本発明の二次電池は、上記の本発明の電池用電極を備えるものである。二次電池は、例えば、正極の電池用電極と負極の電池用電極とをポリエチレン微多孔膜等からなるセパレータを介して重ね合わせ捲回した捲回物が、電解液と共に電池容器に収容されたもの、等が挙げられる。
電解液は、有機溶剤に電解質を溶解したものである。
電解液の有機溶剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li[(COB等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の電解液としては、カーボネート類にLiPFを溶解したものが好ましい。
≪二次電池の製造方法≫
二次電池の製造方法の一例を説明する。
まず、正極の電池用電極と負極の電池用電極とを、セパレータを介して捲回して捲回体とする。得られた捲回体を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。次いで、電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉して、二次電池とする。
上述の通り、本発明の電池電極用バインダは、シアン化ビニル単位80〜99.99モル%及びリン酸基含有単位0.01〜20モル%を有することで、集電体との密着性を高められる。加えて、N−メチルピロリドンに対する不溶分が50質量%以下であるため、少量でも、電極活物質と電極活物質との密着性、電極活物質と集電体との密着性を良好なものにできる。
このため、より高い電池性能と、より長い寿命とが求められる二次電池の電池電極用バインダとして有用である。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特段の断りがない限り、各例における「%」は「質量%」を表すものとする。
(実施例1)
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した2リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水870gを仕込み、窒素ガスを用い通気量100mL/分の条件で15分間バブリングした。撹拌しながら、55℃まで昇温した後、窒素ガスの通気をオーバーフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.72g、50%亜硫酸アンモニウム2.16g、0.1%硫酸鉄0.0135g及び蒸留水30gを投入した。
アクリロニトリル64.1gと、リン酸基含有単量体としてライトエステルP1−M(商品名、共栄社化学株式会社製、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート=80:20(質量比)の混合物)2.5gとを加え混合し、これを窒素ガスで15分間バブリングした。バブリング後、30分かけてセパラブフラスコ内に滴下した。滴下終了後、同温度で2時間保持して重合した。
重合した後、攪拌を止めて水冷し、この反応液を吸引濾過し、55℃の温水10Lで洗浄した。次いで、65℃で24時間乾燥して、電池電極用バインダを得た。収率は15質量%であった。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは14.3万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(実施例2)
アクリロニトリルの添加量を60.0g、ライトエステルP1−Mの添加量を6.66g、過硫酸アンモニウムの添加量を1.44g、50%亜硫酸アンモニウムの添加量を4.32g、0.1%硫酸鉄水溶液の添加量を0.0270gとした以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは13.7万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(実施例3)
アクリロニトリルの添加量を54.88g、ライトエステルP1−Mの添加量を11.72g、過硫酸アンモニウムの添加量を2.88g、50%亜硫酸アンモニウムの添加量を8.64g、0.1%硫酸鉄水溶液の添加量を0.054gとした以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは14.1万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(実施例4)
アクリロニトリルの添加量を50.1g、ライトエステルP1−Mの添加量を15.62g、過硫酸アンモニウムの添加量を4.32g、50%亜硫酸アンモニウムの添加量を12.96g、0.1%硫酸鉄水溶液の添加量を0.081gとした以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは12.6万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(実施例5)
アクリロニトリルの添加量を50.1g、ライトエステルP1−Mの添加量を15.62g、過硫酸アンモニウムの添加量を2.88g、50%亜硫酸アンモニウムの添加量を8.64g、0.1%硫酸鉄水溶液の添加量を0.054gとした以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは10.9万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(比較例1)
ライトエステルP1−Mに換えて、カルボキシル基含有単量体である2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルHO−MS)2.80gを用いた以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは20.2万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(比較例2)
ライトエステルP1−Mに換えて、カルボキシル基含有単量体である2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルHO−HH)3.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは22.6万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(比較例3)
ライトエステルP1−Mに換えて、ヒドロキシル基含有単量体である2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステルHO)3.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして電池電極用バインダを得た。得られた電池電極用バインダのGPC測定(溶媒:DMF)によるMwは18.7万であった。
得られた電池電極用バインダについて、各構成単位の含有率、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(比較例4)
蒸留水100g、n−ブチルアクリレート15g、エチルアクリレート15g、アクリロニトリル1.33g、ライトエステルP1−M1g、グリシジルメタクリレート1g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.23gの混合物を乳化した。
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した1Lのセパラブルフラスコに、前記の乳化物を投入した。
窒素ガスを用い通気量100mL/分の条件で15分間バブリングした後、オーバーフローに切り替え、65℃で3時間保持して重合した。
重合した後、固形分10gに対して、90gのNMP(和光純薬工業株式会社製)を加え、減圧下で水を蒸発させて、電池電極用バインダをスラリー(溶媒:NMP)として得た。得られた電池電極用バインダについて、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
なお、本例の電池電極用バインダは重水素化−ジメチルスルホキシドに不溶であったため、各構成単位の含有率を測定できなかった。このため、表1には仕込み組成を示した。
(比較例5)
ポリフッ化ビニリデン(クレハ株式会社製、PVDF#1000)を電池電極用バインダとした。この電池電極用バインダについて、NMP不溶分、剥離強度、柔軟性を評価し、その結果を表1に記載した。
(評価方法)
<各構成単位の含有率>
≪実施例1〜5における各構成単位の含有率≫
実施例1〜5の電池電極用バインダ中のリン酸量を以下に示すICP発光分析により求めた。求めたリン酸量から、各例の電池電極用バインダ中のリン酸比率(モル%)を算出し、これをリン酸基含有単位の含有率とした。また、100モル%からリン酸基含有単位の含有率を減じて、シアン化ビニル単位の含有率を算出した。
[ICP発光分析]
試料0.05gをマイクロウェーブ用分解管に秤量し、濃硝酸15mLを加えてフタをして、マイクロウェーブ装置にセットし、下記の条件で分解を行った。次いで、冷却後に残圧を抜き、フタを開け、内容物が分解していることを目視確認した。その後、ガラス製メスフラスコにロートを用いて移液し、純水で洗浄液も合わせて50mLになるようにメスアップした。さらに純水で10倍に希釈後、ICP発光分析法でリンの定量を行った。装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、ICP発光分析装置IRIS−APを用いた。
[マイクロウェーブ分解条件]
・Step1
温度:120℃、圧力:100PSI、時間:5分、Power:600W−30%
・Step2
温度:150℃、圧力:150PSI、時間:5分、Power:600W−35%
・Step3
温度:180℃、圧力:180PSI、時間:5分、Power:30%−40%
≪比較例1〜3における各構成単位の含有率≫
比較例1〜3の電池電極用バインダの組成を以下の方法で求めた。
試料を重水素化−ジメチルスルホキシドに溶解した後、溶液を濾過した。濾過した溶液を用いて、H−NMR(日本電子株式会社製、JNM GSX−270)により測定し、積分値から組成を算出した。
<NMP不溶分>
各例の電池電極用バインダのNMP不溶分を以下の方法で求めた。
試料0.2gをNMP20mLに60℃で72時間浸漬した後、80メッシュのポリエチレンメッシュで濾過した。
メッシュ上の固形分にNMP20mLをまわしかけて、メッシュ上の固形分を乾燥した。乾燥物の質量を測定し、浸漬前の試料の質量(0.2g)に対する百分率で示した。
<剥離強度>
各例の電池電極用バインダをセパラブルフラスコに投入し、電池電極用バインダの濃度が10%となるようにNMP(和光純薬工業株式会社製)を添加し、溶解してバインダ液を調製した。
直径7μm、チョップ長3mmのPAN系炭素繊維(CF)2部と、チョップ長3mmの繊維状ポリビニルアルコール(ユニチカ株式会社製)1部とを水に分散した後、目付が10〜15g/mとなるように抄紙機で抄き、乾燥して、紙状のCFを得た。
得られた紙状のCFに、15%フェライトJ−325/メタノール溶液(DIC株式会社製、商品名:フェライトJ−325)を含浸させ、乾燥させた。その後、乾燥させたものを180℃、100kg/cmで熱プレスした。熱プレスしたものを窒素雰囲気下1500℃で焼成して、CFシートを作製した。
集電体として銅箔(300mm×200mm×20μm)を用い、この銅箔をガラス板に固定し、銅箔上に130μmの厚さでバインダ液を塗布した。
バインダ液を塗布した上に、CFシート(50mm×100mm)を置き、バインダ液とよくなじませた。100℃で1時間乾燥した後、ガラス板を銅箔から外し、銅箔とCFシートとを電池電極用バインダで貼り合わせた試験用シートを得た。
得られた試験用シートを幅10mmの短冊状にカットした後、幅25mmの両面テープ(積水化学工業株式会社製、商品名:#570)で試験用シートをポリカーボネート板(50mm×100mm×1mm)に貼り付けた。この際、CFシートがポリカーボネート板と当接するようにした。次いで、試験用シートとポリカーボネート板とをラバー製のローラーで圧着し、これを試験片とした。
引張圧縮試験機(株式会社今田製作所製、商品名:SV−201型)に、試験片のポリカーボネート板を固定し、約25℃の条件下で、銅箔を180°方向に10mm/分で剥離し、その時の応力を測定した。
銅箔を剥離した際に、CFシートの全面が銅箔から剥がれて両面テープに残存している箇所を測定範囲とし、測定範囲内で最も低い応力を測定値とした。
この測定を3回行ない、測定値の平均値を剥離強度とした。この値が大きいほど、電池電極用バインダが集電体に強固に密着しているといえる。
<柔軟性>
「<剥離強度>」で調製したバインダ液をガラス板に塗布し、乾燥して、厚さ50μmのフィルムを作製した。このフィルムを10mm×50mmの短冊状にカットして試験片とした。
約25℃の環境下で、試験片を長手方向の中央(端から25mm)付近で二つに折り、折れ目の上に500gの荷重を1分間かけた。その後、折り目を広げ、割れ又はひびの発生の有無を確認した。この試験を10点の試験片について行い、下記評価基準に分類して柔軟性を評価した。試験片の割れ又はひびの発生は、目視で確認した。
≪評価基準≫
○:割れ又はひびが発生した試験片数が0〜4点であった。
△:割れ又はひびが発生した試験片数が5〜8点であった。
×:割れ又はひびが発生した試験片数が9〜10点であった。
Figure 0005821346
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜5は、いずれも剥離強度が12.1N/cm以上であり、かつ柔軟性が「○」であった。中でも、NMP不溶分が1質量%未満であり、シアン化ビニル単位の含有量が99.2モル%である実施例1は、特に剥離強度に優れるものであった。これは、バインダ液中での溶解分が多いために、集電体に塗布して乾燥した場合に、密着面積が大きくなり、電池電極用バインダと集電体の密着性が向上したものと推測される。
これに対し、リン酸基含有単位に換えてカルボキシル基含有単位を有する比較例1〜3は、柔軟性が「○」であるものの、剥離強度が3.8〜4.5N/cmと低いものであった。
また、NMP不溶分が50質量%超の比較例4は、剥離強度が8.5N/cmであり、実施例1〜5に比べて剥離強度に劣っていた。
また、PVDFを用いた比較例5は、剥離強度が極めて低く、かつ柔軟性が「×」であった。
これらの結果から、本発明の電池電極用バインダは、少量でも、合剤層と集電体との剥離、電極活物質の欠落を低減し、電池性能の向上を図れることが判った。さらに、電池用電極の捲回・折り曲げ時のクラックの発生等を防止できることが判った。

Claims (4)

  1. シアン化ビニル単位80〜99.99モル%及びリン酸基含有単位0.01〜20モル%を有し、N−メチルピロリドンに対する不溶分が50質量%以下の重合体である電池電極用バインダ。
  2. 請求項1に記載の電池電極用バインダを含有する電池電極用組成物。
  3. 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層は、請求項2に記載の電池電極用組成物と電極活物質とを含有する電池用電極。
  4. 請求項3に記載の電池用電極を備える二次電池。
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