JP6004178B2 - 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 - Google Patents
二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6004178B2 JP6004178B2 JP2012245196A JP2012245196A JP6004178B2 JP 6004178 B2 JP6004178 B2 JP 6004178B2 JP 2012245196 A JP2012245196 A JP 2012245196A JP 2012245196 A JP2012245196 A JP 2012245196A JP 6004178 B2 JP6004178 B2 JP 6004178B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- secondary battery
- polymer
- binder resin
- slurry
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
子径が小さい導電助剤はスラリーのレオロジーに対する影響が顕著で、導電助剤同士の相互作用によりチキソ性が高くなる。バインダにPVDFを用いた場合、PVDFは導電助剤との相互作用が弱いため、導電助剤同士の相互作用を妨げず、高いチキソ性を維持することができる。しかし、バインダにアクリロニトリル系重合体を用いると、アクリロニトリル系重合体と導電助剤との相互作用が強くなり、導電助剤同士の相互作用が断ち切られ、よってチキソ性が低くなると考えられる。
本発明者は、上記課題とその考察に鑑み、鋭意研究をした結果、シアン化ビニル系重合体を主成分とし、重合性官能基を二つ以上有する単量体を共重合した重合体を用いることにより、該重合体を含有する二次電池電極スラリーがPVDF並みの高いチキソ性を有することを見出した。これにより、電極の合剤層に偏在がなく、電極膨潤性、柔軟性、電池特性に優れた二次電池電極を作製できることを見出したさらに、重合性官能基を二つ以上有する単量体を含有しないシアン化ビニル系重合体に添加すると、柔軟性に欠けた電極に更なる可とう性を付与できることを見出し、本発明に至った。
[1](メタ)アクリロニトリル(a)と重合性官能基を二つ以上有する単量体(b)を重合して得られる重合体(C)を含む二次電池電極用バインダ樹脂であり、上記(メタ)アクリロニトリル(a)の含有量が重合体(C)を形成する全単量体の70質量%以上であり、上記単量体(b)の含有量が重合体(C)を形成する全単量体の0.001〜10質量%である二次電池電極用バインダ樹脂。
[2]さらに、(メタ)アクリロニトリル(a)を50質量%以上含有し、単量体(b)を含まない単量体の重合体(D)を含む、上記[1]に記載の二次電池電極用バインダ樹脂。
[3]上記[1]または[2]に記載のバインダ樹脂、活物質及び溶媒を含有する二次電池電極用スラリー組成物。
[4]上記[3]に記載の二次電池電極用スラリー組成物を乾燥して得られる合剤層を含有する二次電池用電極。
[5]上記[4]に記載の二次電池用電極を含有する二次電池。
本発明で用いられる二次電池電極用バインダ樹脂は、シアン化ビニル系単量体(a)と重合性官能基を二つ以上有する単量体(b)を重合して得られる重合体(C)を含み、上記シアン化ビニル系単量体(a)の含有量が重合体(C)を形成する全単量体の50質量%以上であることを特徴とする。
シアン化ビニル系単量体(a)としては、特に制限はないが、例えばアクリロニトリル及びメタアクリロニトリルのようなアクリル系ニトリル基含有単量体、α−シアノアクリレート及びジシアノビニリデンのようなシアン系ニトリル基含有単量体、フマロニトリルのようなフマル系ニトリル基含有単量体等を用いることができる。これらの中では、重合のし易さやコストパフォーマンスの点から、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
これらのシアン化ビニル系単量体は、単独で、又は二種類以上組み合わせて、用いることが出来る。
0質量%以上必要であり、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。シアン化ビニル系単量体の含有量が50質量%以上ある場合、シアン化ビニル系重合体に期待される集電体との密着性を充分に発揮することが出来る。
重合性官能基を二つ以上有する単量体としては、特に制限はなく、シアン化ビニル系単量体(a)との共重合性や重合溶媒への溶解性などで選ばれる。
重合性官能基を二つ以上有する単量体の例としては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビス(メタ)アクリルアミド類;トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;ブタジエン、イソプレンなどのジエン類、アリルメタクリレートなどが挙げられる。
重合体(C)は、本発明の所期の効果を損なわない限り、上記シアン化ビニル系単量体、重合性官能基を二つ以上有する単量体の他に、これらの単量体とは異なる他の単量体を適宜組み合わせることも出来る。
これらの他の単量体は、単独で、又は二種類以上組み合わせて、用いることが出来る。
本発明の重合体(C)は、公知の重合方法で製造することができ、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などを用いることができる。
懸濁重合に用いる重合開始剤としては、重合開始効率等に優れることから、水溶性重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2'−アゾビス(2−メチ
ルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ化合物が挙げられる。
過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
これらの中では、共重合体の製造が容易であることから、過硫酸塩が好ましい。
懸濁重合では、分子量調節等の目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。これらの中では、臭気が少なく取扱いが容易であることから、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
懸濁重合では、得られる共重合体の粒子径を調節するため、水以外の溶媒を加えることができる。
水以外の溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合体を乳化重合で製造する場合、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミン等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上有する単量体(b)、必要に応じてその他の単量体を溶媒に投入し、重合温度0〜90℃、好ましくは50〜70℃で、重合時間1〜10時間、好ましくは2〜4時間保持することによって製造される。
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂は、本発明の重合体(C)を含有する。バインダ樹脂には、さらに、後述する重合体(D)を含有しても良い。重合体(C)の量は、バインダ樹脂量全体の、10質量%〜100質量%、好ましくは50〜100質量%である。単量体(b)の構造および量により可撓性能が変化するので、目的とする電極の可撓性に合わせて重合体(C)と重合体(D)の混合比を調整することがより好ましい。
重合体(D)は、単量体(a)を50質量%以上含有して単量体(b)を含まない組成であれば特に制限は無く、その組成は重合体(C)のをシアン化ビニル系単量体(a)およびその他の単量体を参考に選択することができる。単量体(a)の含有量は、重合体(D)を形成する全単量体の50質量%以上必要であり、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。シアン化ビニル系単量体の含有量が50質量%以上ある場合、シアン化ビニル系重合体に期待される集電体との密着性を充分に発揮することが出来る。
最終的に電極に残留する添加剤については、電気化学的安定性のあることが好ましい。
本発明の二次電池用バインダ樹脂が使用できる電池の種類は特に限定されないが、非水系の二次電池、中でも、リチウムイオン二次電池における正極または負極への使用が特に好ましい。
二次電池電極用スラリー組成物は、少なくとも、上述のバインダ樹脂、電極活物質及び溶媒を含む。また、更に導電助剤その他の添加剤を含んでいても良い。具体的には、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂と電極活物質とを、導電助剤その他の添加剤と共に、溶媒中に分散又は溶解させて得ることできる。
二次電池用電極は、集電体と、この集電体の少なくとも一面に設けられた合剤層とを有するものである。本発明のバインダ樹脂は、この合剤層を構成する材料として使用される。具体的には、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂に活物質を配合し、溶媒に溶解又は分散させたスラリー組成物を乾燥して得られる固相が合剤層となる。
リチウムイオン二次電池の場合、用いられる正極活物質としては、例えば、鉄、コバル
ト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属とリチウムを含有するリチウム含有金属複合酸化物が挙げられる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、用いられる負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;上記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
尚、正極活物質には、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性高分子が挙げられる。これらの導電助剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚さは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
また、スラリー組成物には、必要に応じて、分散剤、粘度調整剤等の添加剤を添加することができる。具体的には、スラリーの粘度を調整するレオロジーコントロール剤、集電体へ塗工後の平滑性を出すレベリング剤、分散剤などである。これらはいずれも公知のものを用いることが出来る。
れに非水系の電解液を含浸させることにより非水系二次電池が形成される。また、両面に活性層が形成された負極構造体/セパレータ/両面に活性層が形成された正極構造体/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して得られる構造体を有底の金属ケーシングに収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続し、電解液を含浸させた後、ケーシングを封止することにより筒状の二次電池が得られる。
リチウム塩としては、電解液としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
非水系有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。電解液は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
電池は、公知の方法を用いて製造することができ、例えば、リチウムイオン二次電池の場合は、先ず、正極と負極の2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して捲回する。得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。得られた電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
電池電極用スラリーを用いて、スラリーのチキソ性評価を行った。チキソ性の評価は、以下の(1)〜(6)の条件で行った。
(1)装置:応力制御レオメーターAR550(TA Instruments Waters LC)
(2)ジオメトリー:コーンプレート(φ40mm、角度2°)、
(3)ギャップ:69μm
(4)温度:20℃
(5)剪断速度範囲:0.03〜100/sec、100〜0.03/sec
(6)測定時間:5分、5分
この条件における、いわゆるチキソトロピー指数TI値(剪断速度0.1/secで
の粘度/剪断速度80/secでの粘度)を算出し、以下の基準でチキソ性を評価した。
◎:上記TI値が100以上
○:上記TI値が10以上100未満
×:上記TI値が10未満
本発明のバインダ樹脂の電解液への膨潤性評価を以下の手順で行った。バインダ樹脂の5質量%のN−メチルピロリドン溶液を、ドクターブレードを用いて集電体であるアルミ箔上(膜厚20μm)に塗工した。塗工後のアルミ箔を乾燥機で100℃で30分間乾燥させ、乾燥後の膜厚が約20μm(アルミ箔の膜厚を除く)のバインダ樹脂を得た。これを、電解液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=30:70、体積比)に浸漬させ、60℃の恒温水槽に24時間漬けた。電解液に浸漬させる前後のバインダ樹脂の質量を比較し、膨潤率を算出した。
膨潤率=(電解液浸漬後の質量)/(電解液浸漬前の質量)
この式で算出した膨潤率を、以下の基準で評価した。
○:上記膨潤率が1以上2以下
×:上記膨潤率が2以上または1未満、若しくは、剥離・溶解等で測定不能
(製造例1)
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した2リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水870gを仕込み、窒素ガスを通気量100mL/分で15分間バブリングした。攪拌しながら60℃まで昇温し、窒素ガスの通気をフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.72g、50質量%亜硫酸水素アンモニウム2.16g、0.1質量%硫酸鉄0.15g及び蒸留水30gを投入した。
アクリロニトリル92g、酢酸ビニル7g、重合性官能基を二つ以上有する単量体としてN,N−メチレンビスアクリルアミド1gを均一に混合し、窒素ガスを15分間バブリングした後、セパラブルフラスコに一括投入した。60℃で3時間保持して重合を完了させた。
攪拌を止めて冷却し、反応液を吸引濾過した。60℃の温水で洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、重合体(C−1)を得た。
アクリロニトリルの量を91gにし、かつ、N,N−メチレンビスアクリルアミドの添加量を2gにした以外は製造例1と同様にし、重合体(C−2)を得た。
アクリロニトリルの量を88.6g、酢酸ビニルの量を6.6gにし、かつ、N,N−メチレンビスアクリルアミドの添加量を4.8gにした以外は製造例1と同様にし、重合体(C−3)を得た。
アクリロニトリル92g、酢酸ビニル7g、N,N−メチレンビスアクリルアミド1gを均一に混合し、窒素ガスを15分間バブリングした後、セパラブルフラスコに30分かけて滴下した以外は製造例1と同様にし、重合体(C−4)を得た。
製造例1の「アクリロニトリル92g、酢酸ビニル7g」を「アクリロニトリル99g」にした以外は製造例1と同様にし、重合体(C−5)を得た。
N,N−メチレンビスアクリルアミドを添加しなかった以外は製造例1と同様にし、重合体(C−6)を得た。
製造例1の「アクリロニトリル92g、酢酸ビニル7g」を「アクリロニトリル39.6g、アクリル酸メチル59.4g」にした以外は製造例1と同様にし、重合体(C−7
)を得た。
製造例1の「アクリロニトリル92g、酢酸ビニル7g」を「アクリロニトリル100g」にした以外は製造例1と同様にし、重合体(D−1)を得た。
上記重合体(C−1)をバインダ樹脂として用いた電極用スラリー組成物の特性評価を行なった。
<電池電極用スラリーの調製>
電極組成物として、コバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製、品名:セルシードC−5H)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、品名:デンカブラック)、重合体(C−1)を、質量比で100:5:2で混ぜ合わせ、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて、所謂固練りになるように加えて混練した。混練には自転公転ミキサー(あわとり練太郎ARV−200、シンキー株式会社製)を使用した。さらに、N−メチルピロリドンを加えて混練して、塗工可能な粘度になるように固形分を下げた。スラリーの最終固形分(質量%)を表1に示す。
電池電極用バインダ樹脂として重合体(C−2)〜(C−7)を使用した以外は、実施例1と同様にスラリーを調製し、スラリーのチキソ性を評価した。スラリーのチキソ性の評価結果を表1に示す。
実施例5と比較例2について、上記手法で電解液への膨潤率を測定したところ、実施例5のバインダ樹脂は膨潤率が1.4であり、バインダ樹脂のアルミ箔からの剥離や電解液中の浮遊物は認められなかったため、評価は「○」であった。一方、比較例2においては過度に膨潤してバインダ樹脂がアルミ箔から剥離したり電解液に溶解したりしており、膨潤率が測定不能であったため、評価は「×」であった。すなわち、実施例5のバインダ樹脂は電解液への膨潤性が低くバインダとして良好な性能を示す。一方で比較例2のバインダ樹脂は電解液に過度に膨潤して、バインダ樹脂がアルミ箔から剥離したり電解液へ溶解したりするため、バインダとしては不適である。
(1)調製後のスラリー中での活物質等の沈降を防止できる。
(2)高せん断で充分に低粘度になるため、塗工後の電極板の平滑性が得られやすい。
(3)塗工中に低粘度になったスラリーが塗工後に粘度回復するため、塗工後から乾燥させるまでの間での活物質等の沈降を防止でき、偏在のない均一な電極板を得ることが出来る。
(4)バインダ樹脂の電解液への膨潤性が低く、電池性能、特にサイクル特性において良好な結果が得られる。
電極組成物として、コバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製、品名:セルシードC−5H)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、品名:デンカブラック)、重合体(C−1)を、質量比で100:5:3で混ぜ合わせ、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて、所謂固練りになるように加えて混練した。混練には自転公転ミキサー(あわとり練太郎ARV−200、シンキー株式会社製)を使用した。さらに、N−メチルピロリドンを加えて混練して、塗工可能な粘度になるように固形分を下げた。
上記で調製したスラリーを、ドクターブレードを用いて集電体に塗布した。ドクターブレードの設定膜厚は220μm、用いた集電体はアルミ箔(厚み20μm)であった。スラリーを塗布した集電体を、80℃で50分間乾燥させて、目付け21mg/cm2の電極を得た。
電極を幅3cm×長さ5cmに切り出し、試験片とした。JIS K5600−5−1(塗料一般試験方法耐屈曲性(円筒形マンドレル法))に準処する方法で測定した。試験片のアルミ箔面がマンドレル側になるように、設置し、試験片の長さ方向の片端をテープで固定して、マンドレルの外周に沿って折り曲げた後、電極合剤層の状態を目視で観察した。直径32mmのマンドレル用い下記の基準で評価した。結果を
○:直径32mmのマンドレルを用いて評価したときの、折り曲げ面にて、電極合剤層のワレまたは欠けのいずれも見られない。
×:直径32mmのマンドレルを用いて評価したときの、折り曲げ面にて。折り曲げ面にて、電極合剤層のワレまたは欠けが見られた。
電池電極用バインダ樹脂として重合体(C)、および/あるいは重合体(D)を用い上記方法で、スラリー調製して、電極を作製した。後、スラリーのチキソ性の評価結果を表2に示す。
実施例6と比較例4について、上記手法で電極の可撓性を評価したところ、実施例6で電極合剤層にワレ・欠けが認められなった。一方、比較例4では、ワレ・欠けが認められたことから、本発明のバインダ樹脂を用いるとの電極の可撓性が改善されることが分かった。これは、樹脂中に存在する重合体(C)が、架橋構造により分子鎖の拡がりが抑制されて、活物質と重合体の結着状態が制御されたことにより、可撓性が発現したものと推測される。これにより、柔軟性に欠けるポリアクリロ二トリル系の電極への可撓性向上を図れるようにることが予想される。また、実施例6では、チキソ性向上も認められたことから、調製後のスラリー中や塗工後から乾燥させるまでの間に活物質が沈降する恐れがなく、偏在のない均一な電極板を得ることが可能である。
Claims (5)
- (メタ)アクリロニトリル(a)と重合性官能基を二つ以上有する単量体(b)を重合して得られる重合体(C)を含む二次電池電極用バインダ樹脂であり、上記(メタ)アクリロニトリル(a)の含有量が重合体(C)を形成する全単量体の70質量%以上であり、上記単量体(b)の含有量が重合体(C)を形成する全単量体の0.001〜10質量%である二次電池電極用バインダ樹脂。
- さらに、(メタ)アクリロニトリル(a)を50質量%以上含有し、重合性官能基を二つ以上有する単量体(b)を含まない単量体の重合体(D)を含む、請求項1に記載の二次電池電極用バインダ樹脂。
- 請求項1または2に記載のバインダ樹脂、活物質及び溶媒を含有する二次電池電極用スラリー組成物。
- 請求項3に記載の二次電池電極用スラリー組成物を乾燥して得られる合剤層を含有する二次電池用電極。
- 請求項4に記載の二次電池用電極を含有する二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012245196A JP6004178B2 (ja) | 2011-11-11 | 2012-11-07 | 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011247950 | 2011-11-11 | ||
JP2011247950 | 2011-11-11 | ||
JP2012245196A JP6004178B2 (ja) | 2011-11-11 | 2012-11-07 | 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013122914A JP2013122914A (ja) | 2013-06-20 |
JP6004178B2 true JP6004178B2 (ja) | 2016-10-05 |
Family
ID=48774753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012245196A Expired - Fee Related JP6004178B2 (ja) | 2011-11-11 | 2012-11-07 | 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6004178B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11111268A (ja) * | 1997-10-08 | 1999-04-23 | Sanyo Electric Co Ltd | リチウム二次電池用負極 |
JP4200349B2 (ja) * | 2001-10-26 | 2008-12-24 | 日本ゼオン株式会社 | 電極用スラリー組成物、電極およびリチウムイオン二次電池 |
JP4311002B2 (ja) * | 2002-11-29 | 2009-08-12 | 日本ゼオン株式会社 | 電極用スラリー組成物、電極および二次電池 |
-
2012
- 2012-11-07 JP JP2012245196A patent/JP6004178B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013122914A (ja) | 2013-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI390791B (zh) | 正電極用黏合劑組成物 | |
JP6152855B2 (ja) | 電気化学素子電極用導電性接着剤組成物、接着剤層付集電体及び電気化学素子用電極 | |
JP4461659B2 (ja) | リチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物、およびその利用 | |
JP5880045B2 (ja) | 非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物ならびに該バインダ樹脂組成物を含むスラリー組成物、電極および電池 | |
JP2013098123A (ja) | 電極用バインダー組成物、電極用スラリー、電極、および蓄電デバイス | |
TWI709275B (zh) | 鋰離子二次電池之負極用黏結劑、負極用漿體組成物及負極以及鋰離子二次電池 | |
JP6388145B2 (ja) | 非水電解質二次電池電極合剤層用組成物及びその製造方法、並びに、その用途 | |
WO2016158939A1 (ja) | 非水電解質二次電池電極合剤層用組成物及びその製造方法、並びに、その用途 | |
WO2015146787A1 (ja) | 電気化学素子電極用導電性接着剤組成物及び電気化学素子電極用集電体 | |
JP5966693B2 (ja) | 非水電解質電池電極用バインダ樹脂組成物ならびに該バインダ樹脂組成物を含むスラリー組成物、電極および電池 | |
KR20150076155A (ko) | 축전 디바이스용 바인더 조성물의 제조 방법 | |
JP6094794B2 (ja) | 非水電解質二次電池電極用バインダ樹脂およびスラリー組成物、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池 | |
JP6618030B2 (ja) | 二次電池電極用バインダ、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 | |
JP2013122913A (ja) | 二次電池電極用バインダ、これを用いた二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極、及び二次電池 | |
JP6822892B2 (ja) | 二次電池負極用スラリー、二次電池電極、二次電池、二次電池電極の製法、及び水溶性バインダーの二次電池負極用スラリーとしての使用 | |
JP5500949B2 (ja) | 電極用バインダ樹脂組成物 | |
JP2013164972A (ja) | 二次電池電極バインダ用重合体とその製造方法、二次電池用電極、およびリチウムイオン二次電池 | |
JP2016122553A (ja) | 二次電池電極用バインダーとその製造方法、二次電池電極用スラリー、二次電池用電極及び非水二次電池 | |
JP6004178B2 (ja) | 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 | |
JP6145638B2 (ja) | 二次電池用水溶性結着性組成物、二次電池電極用合剤、二次電池用電極、リチウムイオン二次電池 | |
JP2015149225A (ja) | 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 | |
JP6217460B2 (ja) | 非水二次電池電極用バインダ樹脂、非水二次電池電極用バインダ樹脂組成物、非水二次電池電極用スラリー組成物、非水二次電池用電極、および非水二次電池 | |
JP5821346B2 (ja) | 電池電極用バインダ、電池電極用組成物、電池用電極及び二次電池 | |
KR20210122171A (ko) | 리튬이온전지용 바인더 수용액, 리튬이온전지용 부극 슬러리, 리튬이온전지용 부극 및 리튬이온전지 | |
JP6618029B2 (ja) | 二次電池電極用バインダ樹脂組成物、これを用いた二次電池電極用ドープ、二次電池電極用スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150831 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160526 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160719 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160810 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160823 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6004178 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |