JP2013122913A - 二次電池電極用バインダ、これを用いた二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極、及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニトリル基含有重合体にヒドロキシルアミン又はその塩を作用させて得られる、二次電池電極用バインダ、並びに該バインダを含む二次電池電極用スラリー組成物、二次電池用電極及び二次電池。
【選択図】なし
Description
[1]ニトリル基含有重合体に塩基性物質を作用させて得られる、二次電池電極用バインダ。
[2]該ニトリル基含有重合体を構成する単量体単位の30質量%以上がアクリロニトリルである、上記[1]に記載の二次電池電極用バインダ。
[3]上記[1]又は[2]に記載のバインダを含有する二次電池電極用スラリー組成物。
[4]上記[1]又は[2]に記載のバインダを含有する二次電池用電極。
[5]上記[1]又は[2]に記載のバインダを含有する二次電池。
本発明で用いられる二次電池電極用バインダは、塩基性物質を作用させて得られる高分子化合物である。塩基性物質にヒドロキシルアミンまたはその塩を用い作用させた場合、前記ニトリル基の少なくとも一部がアミドキシム基に転化されると考えられる。塩基性物質にアルカリ水酸化物を用い作用させた場合、二トリル基は加水分解され、ニトリル基の30−80モル%がカルボキシル基に転化され、ニトリル基の20−70モル%がアミド基に転化され、そしてニトリル基の0−20モル%が未変のままである部分的に加水分解されたアクリロノトリルのホモポリマ−及び/またはコポリマ−が生成する。
ただし、この転化率は、樹脂と塩基性物質を含む処理液が充分に湿潤した場合の数値であり、湿潤が不十分な場合、各転化率は低下する。
ニトリル基含有重合体の入手経路に特に制限はなく、一般にはニトリル基を含有する単量体を重合することで容易に得ることができる。例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリルのようなアクリル系ニトリル基含有単量体より得られる重合体、α−シアノアクリレート及びジシアノビニリデンのようなシアン系ニトリル基含有単量体より得られる重合体、フマロニトリルのようなフマル系ニトリル基含有単量体より得られる重合体、N,N−ジ(シアノアルキル)アクリルアミド、N,N−ジ(シアノアルキル)メタアクリルアミドのような単量体より得られる重合体、等を用いることができる。これらの中では、重合のし易さやコストパフォーマンスの点から、ポリ(メタ)アクリロニトリルが好ましく、ポリアクリロニトリルが特に好ましい。別法として、ニトリル基以外の官能基を含有する単量体から重合体を合成し、その後に当該官能基をニトリル基へ転化することにより、ニトリル基含有重合体を得てもよい。
これらのニトリル基含有重合体は、単独で、又は二種類以上組み合わせて、用いることが出来る。またニトリル基を含有する単量体を、二種類以上共重合させた重合体を用いることも出来る。
これらの他の単量体は、単独で、又は二種類以上組み合わせて、用いることが出来る。
本発明のバインダは、公知の重合方法及び公知の塩基性物質処理により製造することがでる。ニトリル基を含有する重合体は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などを用いることで製造することができる。
懸濁重合に用いる重合開始剤としては、重合開始効率等に優れることから、水溶性重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2'−アゾビス(2−メチ
ルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ化合物が挙げられる。
過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
これらの中では、共重合体の製造が容易であることから、過硫酸塩が好ましい。
懸濁重合では、分子量調節等の目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。これらの中では、臭気が少なく取扱いが容易であることから、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
懸濁重合では、得られる共重合体の粒子径を調節するため、水以外の溶媒を加えることができる。
水以外の溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合体を乳化重合で製造する場合、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミン等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。界面活性剤は、樹脂中に残存すると電池性能に影響する場合がるので、できるだけ使用しないことが望ましい。
アミドキシム化処理に使用するヒドロキシルアミンの形態は特に限定はしないが、例えば、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン硝酸塩、ヒドロキシルアミン燐酸塩などのヒドロキシルアミンの塩類を使用することが出来る。また、ヒドロキシルアミン塩酸塩をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドを作用させて、生じた塩を取り除いて得られるヒドロキシルアミンのメタノール溶液を利用することも出来る。
アルカリ水酸化物処理に使うアルカリ水酸化物の形態は特に限定はしないが、例えば、一価金属イオンの水酸化物塩、多価金属イオンの水酸化物塩を使用することが出来る。均一処理の観点から、アルカリ水酸化物塩は処理溶媒に溶解することが望ましい。
本発明で用いられる二次電池電極用バインダを合成するためのアミドキシム化処理は、公知の手法で行なうことが出来る。例えば、ニトリル基含有重合体またはその溶液と特定のpH範囲のヒドロキシルアミン溶液とを接触させて加熱させる方法、ニトリル基含有重合体に塩酸ヒドロキシルアミン溶液を作用させて、該ニトリル基の少なくとも一部をアミドキシム基に転化させた重合体を得る方法などがある。
本発明で用いられる二次電池電極用バインダを合成するためのアルカリ水酸化物処理は、公知の手法で行なうことが出来る。例えば、ニトリル基含有重合体水分散液と特定のpH範囲のアルカリ水酸化物溶液を添加して加熱させる方法、ニトリル基含有重合体の分散媒を水/有機溶媒として、重合体を膨潤させた後、アルカリ水酸化物溶液を添加して加熱させる方法などがある。
アミドキシム化処理は、通常加熱して実施される。その温度は、アミドキシム化処理される重合体や使用する試薬が分解等をせずに正常に反応する温度範囲、また使用する溶媒の沸点などによって、決めることが出来る。アミドキシム化処理する温度は、特に限定はされないが、40℃〜140℃、好ましくは50℃〜100℃である。この範囲であれば、重合体や試薬が分解等をせずに正常に反応する。
アミドキシム化処理に用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート等)、トルエン、ベンゼン、水、などを使用することが出来る。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
本発明で実施されるアミドキシム化処理の反応系の形態は特に限定されない。アミドキシム化処理される重合体や使用する試薬が溶媒に均一に溶解する系であってもよく、またアミドキシム化処理される重合体や使用する試薬が溶媒に溶解しない不均一の系であってもよい。
アルカリ水酸化物水溶液で処理する場合は、ポリアクリロニトリルと水の重量比は、1:2−1:8、好ましくは1:2−1:6である。樹脂分散液の混合状態、樹脂の変性率および処理液の増粘具合を観ながら、比率を決めることが望ましい。乾燥粉を媒体浸漬する場合、粒子内部まで浸漬しないことが想定されるため、使用するポリアクリロ二トリルは乾燥の履歴がないものを使用することがより望ましい。
ポリアクリロニトリル単量体単位とアルカリ水酸化物におけるモル比が1:0.001−1:0.2の範囲であり、1:0.005−1:0.05であることがより好ましい。0.1以上だと、電極作製時の溶媒に溶解しなくなる可能性がありため、電極作製が困難になる恐れがある。
20−100℃、好ましくは55−85℃で0.05−4時間、好ましくは2−3時間反応させて転化せしめる、バインダー性能を観ながら、処理原料仕込み重量比、処理条件を調整することが好ましい。過剰に変性処理すると、電極作製の溶剤に溶解しなくなるので注意する必要がある。
本発明によるニトリル基の少なくとも一部をアミドキシム基に転化させた重合体ああるいは、一部をカルボキシル基あるいはアミド基に添加させた重合体に、これとは異なる他の重合体や添加剤を適宜組み合わせて二次電池電極用バインダ樹脂組成物を構成することも出来る。具体的には、電池性能を向上させるその他のバインダ重合体、塗工性を向上させる粘度調整剤等の添加剤を、本発明の所期の効果を損なわない範囲で組み合わせることができる。
ロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。
最終的に電極に残留する添加剤については、電気化学的安定性のあることが好ましい。
本発明の二次電池用バインダが使用できる電池の種類は特に限定されないが、非水系の二次電池、例えば、リチウムイオン二次電池における正極または負極への使用が特に好ましい。
二次電池電極用スラリー組成物は、少なくとも、上述のバインダ又はバインダ樹脂組成物、電極活物質及び溶媒を含む。また、更に導電助剤その他の添加剤を含んでいても良い。具体的には、本発明の電池電極用バインダ又はバインダ樹脂組成物と電極活物質とを、必要に応じて導電助剤その他の添加剤と共に、溶媒中に分散又は溶解させて得ることができる。
二次電池用電極は、集電体と、この集電体の少なくとも一面に設けられた合剤層とを有するものである。本発明のバインダ又はバインダ樹脂組成物は、この合剤層を構成する材料として使用される。具体的には、本発明の電池電極用バインダ又はバインダ樹脂組成物に活物質を配合し、溶媒に溶解又は分散させたスラリー組成物を乾燥して得られる固相が合剤層となる。
また、用いられる負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
尚、正極活物質には、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性高分子が挙げられる。これらの導電助剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚さは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
また、スラリー組成物には、必要に応じて、分散剤、粘度調整剤等の添加剤を添加することができる。具体的には、スラリーの粘度を調整するレオロジーコントロール剤、集電体へ塗工後の平滑性を出すレベリング剤、分散剤などである。これらはいずれも公知のものを用いることが出来る。
ム塩を1M程度の濃度で非水系有機溶媒に溶解したものが用いられる。
前記リチウム塩としては、前記電解液としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
前記、非水系有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。前記電解液は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
電池は、公知の方法を用いて製造することができ、例えば、リチウムイオン二次電池の場合は、先ず、正極と負極の2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して捲回する。得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。得られた電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
上記電池電極用スラリーを用いて、スラリーのチキソ性評価を行った。チキソ性の評価は、以下の(1)〜(6)の条件で行った。
(1)装置:応力制御レオメーターAR550(TA Instruments Waters LC)
(2)ジオメトリー:コープレート(φ40mm、角度2°)
(3)ギャップ:69μm
(4)温度:20℃
(5)剪断速度範囲:0.03〜100sec−1、100〜0.03sec−1
(6)測定時間:10分
この条件における、いわゆるチキソトロピー指数TI値(剪断速度0.1sec−1での粘度/剪断速度100sec−1での粘度)を算出し、以下の基準でチキソ性を評価した。
○:上記TI値が10以上100未満
×:上記TI値が10未満
上記手法で得られた電極の密着性を評価した。密着性の評価は以下の(1)〜(7)の
条件で行った。
(1)装置:SAICAS(ダイプラウインテス(株)製)
(2)切り刃:ボラゾン刃(幅1mm、スクイ角度20°、ニゲ角度10°)
(3)測定モード:定荷重モード
(4)押圧荷重:0.3N
(5)水平速度:3μm/sec
(6)垂直速度:0.2μm/sec
(7)フィードバック:許容範囲0.01N
この条件において、剥離強度のピークトップ4〜5点の平均値を算出した。これを1回の測定結果としてこの測定を3回行ない、3回の測定結果の平均値を密着性の数値とした。以下の基準で密着性を評価した。
○:上記剥離強度が1kN/m以上
×:上記剥離強度が1kN/m未満
(製造例1)バインダ樹脂(B)としての重合体−1の製造
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した2リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水870gを仕込み、窒素ガスを通気量100mL/分で15分間バブリングした。攪拌しながら60℃まで昇温し、窒素ガスの通気をフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.72g、50質量%亜硫酸水素アンモニウム2.16g、0.1質量%硫酸鉄0.15g及び蒸留水30gを投入した。
アクリロニトリル100gに窒素ガスを15分間バブリングした後、セパラブルフラスコに30分かけて滴下投入した。60℃で3時間保持して重合を完了させた。
攪拌を止めて冷却し、反応液を吸引濾過した。60℃の温水で洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、重合体−1を得た。
滴下するモノマーをアクリロニトリル64.1gと、酢酸ビニル2.5gとした以外は、製造例1と同様に調製し、重合体−2を得た。
ヒドロキシルアミン塩酸塩3g(0.043mol)をメタノール80mLに溶解し、攪拌しながらナトリウムメトキシドの28質量%メタノール溶液を8.5g加えた。析出した塩を濾過で取り除き、ヒドロキシルアミンのメタノール溶液を得た。これに、製造例1で得た重合体(A)のうち0.6g(0.011mol)を入れ、3時間60℃で加熱した。濾過して乾燥させ、アミドキシム化処理した重合体−3を得た。
製造例2で得た重合体−2を60gと水300gを500ミリリットルのセパラブルフラスコに仕込み、80℃で1時間攪拌した。次いで、6重量%水酸化ナトリウム水溶液1.1gと水28.9gの混合液を添加し、さらに80℃、3時間反応させた。反応後、攪拌を止めて水冷し、この反応液を吸引濾過し、洗浄水をpH試験を確認しながら、水5Lで洗浄した。次いで、60℃で24時間乾燥して、重合体−4を得た。
製造例3〜4で得られた重合体−3、重合体−4を用いた電極用スラリーの特性評価を行なった。
電極組成物として、コバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製、品名:セルシードC−5H)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、品名:デンカブラック)、バインダ樹脂(B)を、質量比で100:5:2で混ぜ合わせ、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いて、所謂固練りになるように加えて混練した。混練には自転公転ミキサー(あわとり練太郎ARV−200、シンキー株式会社製)を使用した。さらに、N−メチルピロリドンを加えて混練し、塗工可能な粘度になるように固形分を下げた。電池電極用スラリーの最終的な固形分及びチキソ性の結果を表1に示す。
上記で調製したスラリーを、ドクターブレードを用いて集電体に塗布した。ドクターブレードの設定膜厚は250μm、用いた集電体はアルミ箔(厚み20μm)であった。スラリーを塗布した集電体を、140℃のホットプレートで10分間乾燥させて、電極を得た。電極合剤層の膜厚及び密着性評価の結果を表1に示す。
電池電極用バインダ樹脂組成物として製造例1および製造例2で得られた重合体−1および重合体−2を使用した以外は、実施例1と同様にスラリーを調製し、スラリーのチキソ性を評価した。またそのスラリーを用いて、実施例1と同様にして得た電極の密着性を評価した。スラリーの最終固形分(質量%)及びチキソ性、乾燥後の電極合剤層の膜厚、密着性の評価結果を表1に示す。
(1)調製後のスラリー中での活物質等の沈降を防止できる。
(2)高せん断で充分に低粘度になるため、塗工後の電極板の平滑性が得られやすい。
(3)塗工中に低粘度になったスラリーが塗工後に粘度回復するため、塗工後から乾燥させるまでの間での活物質等の沈降を防止でき、偏在のない均一な電極板を得ることが出来る。
(4)集電体と電極合剤層との密着性が高く、電池特性、特に長期サイクル特性に優れた電池を得ることが出来る。
(1)調製後のスラリー中で活物質等が沈降する。
(2)塗工可能なように高せん断で充分に低粘度にさせると、塗工後に粘度回復し難いため、塗工後から乾燥させるまでの間で活物質等が沈降し、偏在のない電極板を得ることが難しい。
(3)塗工後に活物質等が沈降しないように高粘度を維持すると、塗工中に充分に低粘度にならず、平滑性のある電極板が得られない。
(4)集電体と電極合剤層との密着性が低いため、電池特性、特に長期サイクル特性に優れた電池が得られない。
Claims (6)
- ニトリル基含有重合体に塩基性物質を作用させて得られる、二次電池電極用バインダ。
- 該ニトリル基含有重合体を構成する単量体単位の20質量%以上がアクリロニトリルである、請求項1に記載の二次電池電極用バインダ。
- 請求項1記載の塩基性物質が、ヒドロキシルアミン又はその塩、あるいは水酸化アルカリである、請求項1に記載の二次電池電極用バインダ
- 請求項1又は請求項2に記載のバインダを含有する二次電池電極用スラリー組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載のバインダを含有する二次電池用電極。
- 請求項1又は請求項2に記載のバインダを含有する二次電池。
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