JP5820279B2 - 点火プラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関等に使用される点火プラグに関する。
内燃機関等に使用される点火プラグは、例えば、軸線方向に延びる中心電極と、中心電極の外周に設けられる筒状の絶縁体と、絶縁体の外周に設けられる筒状の主体金具と、基端部が主体金具の先端部に接合された接地電極とを備える。また、接地電極は、その先端部が中心電極の先端部と対向するように、自身の略中間部分が曲げ返され、中心電極の先端部及び接地電極の先端部の間には火花放電間隙が形成される。尚、一般に接地電極は、抵抗溶接等により形成された、自身と主体金具とが溶け合ってなる溶融部を介して、主体金具の先端部に接合される。
ところで、接地電極は、内燃機関等の動作時に、加熱されるとともに振動が加えられる。そのため、過熱に伴う接地電極の異常消耗やプレイグニッション(早期点火)、また、振動に伴う接地電極の折損が生じてしまうおそれがある。特に、近年の高出力、高圧縮エンジンにおいては、燃焼室内がより一層高温となるとともに、点火プラグに対して加わる振動がより大きなものとなる。従って、接地電極の過熱や折損という事態がより懸念される。
そこで、接地電極の過熱や折損を防止すべく、接地電極を短くすることが考えられる。接地電極を短くすることで、接地電極の受熱量が低減するとともに、接地電極の熱が主体金具側へと速やかに伝導され、さらには、振動に伴い接地電極に加わる応力を減少させることができる。
しかしながら、単に接地電極を短くした場合には、火花放電間隙が燃焼室の中心から遠ざかることとなってしまう。そのため、着火性の低下を招いてしまうおそれがある。
この点を鑑みて、接地電極の過熱や折損を防止しつつ、着火性の低下を抑制するために、主体金具の先端部に軸線方向先端側に向けて延びる筒状の円筒部を設け、当該円筒部の先端部に接地電極を固定することが考えられる(例えば、特許文献1等参照)。当該手法によれば、接地電極を短くしつつ、火花放電間隙を燃焼室の中心側に接近させることができる。
特開2001−143847号公報
ところが、上記手法では、円筒部が燃焼室の中心側へと突き出すこととなるため、前記円筒部や溶融部が極めて高温となり得る。円筒部や溶融部が高温となると、これらの表面が酸化してしまい、酸化膜が形成されてしまうおそれがある。そして、比較的厚い酸化膜が形成されてしまうと、円筒部や溶融部の熱伝導性が低下してしまい、接地電極を短くしたにも関わらず、接地電極の過熱が生じてしまうおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、主体金具に円筒部が形成されてなる点火プラグにおいて、円筒部や溶融部の酸化をより確実に抑制し、ひいては接地電極の過熱を効果的に防止することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成の点火プラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられ、自身の外周面にねじ部を有するとともに、前記ねじ部の先端から自身の先端までの間に筒状の円筒部を有する主体金具と、
自身と前記主体金具とが溶け合ってなる溶融部を介して前記主体金具の先端部に接合され、前記中心電極との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記軸線に沿った前記円筒部の長さCが1.5mm以上の点火プラグであって、
前記円筒部の外周及び内周のうちの少なくとも一方には、凹部が設けられ
前記凹部は、溝状をなし、
前記凹部の幅Aが0.1mm以上0.3mm以下とされ、前記凹部の深さBが0.05mm以上0.3mm以下とされることを特徴とする。
上記構成1によれば、主体金具の先端部には、長さCが1.5mm以上の円筒部が設けられている。そのため、接地電極を比較的短くすることができ、接地電極の折損防止等を図ることができる。
一方で、長さCが比較的大きな円筒部を設けた場合には、円筒部や溶融部の酸化がより懸念されるが、上記構成1によれば、円筒部の外周及び内周のうちの少なくとも一方には、凹部が設けられている。ここで、酸化の抑制を図るという点では、円筒部等が高温である時間を短くすることが有効であるところ、円筒部に凹部を設け、凹部がない場合に比べて円筒部の表面積を増大させることで、吸入空気等により、円筒部を速やかに冷却することができる。すなわち、円筒部が高温である時間をより短くすることができる。そのため、円筒部の酸化を抑制することができ、長期間に亘って円筒部が優れた熱伝導性を有するようにすることができる。また、円筒部において良好な熱伝導性が確保されることで、円筒部を介して溶融部の熱を速やかに引くことができる。従って、溶融部の酸化も抑制することができ、溶融部においても長期間に亘って優れた熱伝導性を確保することができる。
以上のように、上記構成1によれば、円筒部及び溶融部の酸化をより確実に抑制することができ、ひいては良好な熱伝導性を有する円筒部及び溶融部を介して、接地電極の熱を速やかに引くことができる。その結果、接地電極の過熱を効果的に防止することができる。
尚、円筒部の表面積を増大させる手法としては、突部を設けたり、円筒部の外周から内周へと貫通する孔部を設けたりすることが考えられる。
しかしながら、円筒部の外周に突部を設けた場合には、突部が邪魔となり、内燃機関等に対する点火プラグの取付・取外に支障が生じてしまうおそれがある。また、円筒部の内周に突部を設けた場合には、当該突部と中心電極との間で異常な放電が生じやすくなってしまうおそれがある。さらに、突部を設けることは、円筒部の体積増大を招いてしまい、円筒部の受熱量を増加させてしまうおそれがある。
加えて、円筒部に孔部を設けた場合には、円筒部の強度低下を招いてしまうとともに、強度低下に伴い、振動により接地電極に加わる応力が大きくなってしまうおそれがある。併せて、円筒部における熱の伝導経路が少なくなってしまい、円筒部の熱引き能力が低下してしまうおそれがある。
以上の点を鑑みると、円筒部の表面積を増大させるために、円筒部に突部や孔部を設ける手法は、何らかの不具合を招いてしまうおそれがあり、好ましくない。
また、上記構成1によれば、凹部の幅Aが0.1mm以上とされるとともに、凹部の深さBが0.05mm以上0.3mm以下とされている。従って、円筒部のうち凹部を形成する面に対してより確実に吸入空気等を接触させることができ、円筒部の冷却効率を向上させることができる。その結果、円筒部等の耐酸化性を一段と向上させることができ、ひいては接地電極の過熱をより一層確実に防止することができる。
また、上記構成1によれば、凹部の幅Aが0.3mm以下とされているため、凹部に対してカーボン等のデポジットが堆積してしまう(詰まってしまう)ことをより確実に防止できる。その結果、凹部を設けることによる作用をより長期間に亘って発揮させることができる。
構成2.本構成の点火プラグは、上記構成1において、前記円筒部における、前記円筒部の最も外周の部分を通り前記軸線に対して平行な円筒状の外周仮想面と、前記円筒部の最も内周の部分を通り前記軸線に対して平行な円筒状の内周仮想面との合計面積に対して、前記円筒部の外周及び内周の合計表面積が2%以上大きくされることを特徴とする。
上記構成2によれば、外周仮想面と内周仮想面との合計面積、いわば凹部が形成されていない状態における円筒部の外周及び内周の表面積に対して、凹部が設けられた円筒部の外周及び内周の合計表面積が2%以上大きなものとされている。すなわち、円筒部の表面積(放熱面積)が十分に大きなものとされている。従って、円筒部を一層速やかに冷却することができ、ひいては円筒部や溶融部の耐酸化性を一層向上させることができる。その結果、接地電極の過熱防止効果をより高めることができる。
構成3.本構成の点火プラグは、上記構成2において、前記円筒部における、前記外周仮想面と前記内周仮想面との合計面積に対して、前記円筒部の外周及び内周の合計表面積が5%以上大きくされることを特徴とする。
上記構成3によれば、外周仮想面と内周仮想面との合計面積に対して、円筒部の外周及び内周の合計表面積が5%以上大きなものとされている。従って、円筒部をより一層速やかに冷却することができ、円筒部や溶融部の酸化をさらに抑制することができる。その結果、接地電極の過熱を極めて効果的に防止することができる。
構成4.本構成の点火プラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記軸線方向から見たときに、前記主体金具の周方向において、前記溶融部から1/4の範囲内に、前記凹部が設けられることを特徴とする。
上記構成4によれば、軸線方向から見たときに、主体金具の周方向において溶融部から1/4の範囲内に、凹部が設けられている。すなわち、軸線方向から見たときに、溶融部の中心を中心とする主体金具の外周や内周の1/2の範囲内に、凹部が設けられている。従って、円筒部のうち特に溶融部の熱を伝導する部位を速やかに冷却することができ、前記部位を介して溶融部の熱を急速に引くことができる。その結果、溶融部の酸化を一層確実に抑制することができ、接地電極の過熱防止効果を一層向上させることができる。
構成.本構成の点火プラグは、上記構成1乃至のいずれかにおいて、前記凹部は、前記円筒部の外周に設けられることを特徴とする。
上記構成によれば、凹部が、吸入空気等がより接触しやすい円筒部の外周に設けられている。そのため、円筒部の冷却効率を極めて効果的に高めることができ、円筒部等の耐酸化性を飛躍的に向上させることができる。その結果、接地電極の過熱防止効果を顕著に高めることができる。
構成.本構成の点火プラグは、上記構成1乃至のいずれかにおいて、前記軸線に沿った前記円筒部の長さCが6mm以下とされることを特徴とする。
円筒部の長さCを過度に大きくした場合には、円筒部の受熱量が非常に大きなものとなってしまい、凹部を設けた場合であっても、円筒部の冷却に比較的多くの時間を要してしまうおそれがある。
この点、上記構成によれば、円筒部の長さCが6mm以下とされているため、円筒部の受熱量が過大となってしまうことをより確実に防止できる。その結果、凹部を設けることによる円筒部の速やかな冷却という作用を効果的に発揮させることができる。
構成.本構成の点火プラグは、上記構成1乃至のいずれかにおいて、少なくとも前記円筒部及び前記溶融部の表面を覆うメッキが設けられることを特徴とする。
上記構成によれば、円筒部及び溶融部の表面がメッキで覆われているため、円筒部及び溶融部における耐酸化性の更なる向上を図ることができる。その結果、接地電極の過熱防止効果を一層確実に向上させることができる。
点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。 点火プラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 (a),(b)は、凹部の形成位置の別例を示す点火プラグ先端部の一部破断拡大正面図である。 主体金具の周方向における凹部の形成範囲を示す点火プラグ先端部の底面図である。 凹部の幅Aや深さBを示す主体金具等の部分拡大断面図である。 外周仮想面や内周仮想面を示す模式図である。 (a),(b)は、凹部の断面形状の別例を示す主体金具等の部分拡大断面図である。 (a),(b)は、凹部の別例を示す主体金具等の部分拡大正面図である。 凹部の別例を示す主体金具等の部分拡大正面図である。 円筒部の長さCを種々変更したサンプルにおける、机上バーナー試験の結果を示すグラフである。 凹部の形成範囲を説明するための点火プラグ先端部の底面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、点火プラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿設されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる金属〔例えば、銅や銅合金、純ニッケル(Ni)〕からなる内層5Aと、Niを主成分とする合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。さらに、中心電極5の先端部には、耐消耗性に優れる金属(例えば、Pt、Ir、Pd、Rh、Ru、及び、Re等のうち1種類以上を含有する金属など)からなる円柱状のチップ31が設けられている。
加えて、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて突出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
さらに、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、図2に示すように、主体金具3の先端部26には、棒状の接地電極27が接合されている。接地電極27は、抵抗溶接により形成された、自身と主体金具3とが溶け合ってなる溶融部35(尚、図2等においては、図示の便宜上、溶融部35を実際よりも厚肉で示している)を介して接合されている。また、接地電極27は、Ni合金〔例えば、インコネル600やインコネル601(いずれも登録商標)〕によって形成された外層27Aと、当該外層27Aの内部に設けられ、外層27Aよりも熱伝導性に優れる金属(例えば、銅や銅合金等)によって形成された内層27Bとを備えている。さらに、本実施形態では、接地電極27の全長が比較的短いもの(例えば、11mm以下)とされている。
加えて、接地電極27は、自身の略中間部分にて軸線CL1側へと曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部(チップ31)と対向している。そして、中心電極5の先端部(チップ31)と接地電極27の先端部との間には、間隙としての火花放電間隙33が形成されており、当該火花放電間隙33において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
また、本実施形態において、主体金具3は、その先端からねじ部15の先端までの間に筒状の円筒部41を備えている。円筒部41は、軸線CL1に沿った長さCが1.5mm以上6.0mm以下とされており、円筒部41(主体金具3)の先端は、中心電極5の先端よりも軸線CL1方向後端側に位置している。
加えて、円筒部41の外周及び内周のうちの少なくとも一方(本実施形態では、円筒部41の外周)には、凹部42が設けられている。本実施形態において、凹部42は、主体金具3の周方向に沿って延びる溝状をなし、軸線CL1方向に沿って間欠的に複数設けられている。また、本実施形態において、凹部42は、軸線CL1を含む断面において、断面矩形状をなすように構成されている。尚、凹部42は、例えば、主体金具3に切削加工を施すことで形成することができる。
さらに、本実施形態において、円筒部41の内周面は、凹凸のない平坦状とされているが、図3(a)に示すように、円筒部41の内周のみに凹部43を設け、円筒部41の外周を平坦状としてもよい。また、図3(b)に示すように、円筒部41の内周及び外周の双方に凹部44を設けることとしてもよい。尚、円筒部41の内周及び外周の双方に凹部44を設ける場合には、円筒部41の肉厚を十分に確保し、円筒部41の強度や熱伝導性を良好なものとすべく、円筒部41の外周に設けられる凹部44Aの形成位置と、円筒部41の内周に設けられる凹部44Bの形成位置とを軸線CL1方向に沿ってずらすことが好ましい。
併せて、本実施形態における凹部42は、軸線CL1を中心とする環状をなしており、図4に示すように、軸線CL1方向から見たときに、主体金具3の周方向において、溶融部35から1/4の範囲RA内に設けられている。すなわち、軸線CL1方向から見たときに、溶融部35の中心CPを中心とする、主体金具3の外周の1/2の範囲RA内に、凹部42は設けられている。
加えて、図5に示すように、凹部42の幅Aは0.1mm以上0.3mm以下とされており、凹部42の深さBは0.05mm以上0.3mm以下とされている。また、円筒部41のうち凹部42の設けられている部位は、所定値(例えば、1mm)以上の肉厚を有するように構成されており、円筒部41において良好な強度や熱伝導性が確保されている。
さらに、本実施形態では、図6に示すように、円筒部41(軸線CL1方向に沿った主体金具3の先端からねじ部15の先端までの範囲)において、円筒部41の最も外周の部分を通り軸線CL1に対して平行な円筒状の外周仮想面VS1と、円筒部41の最も内周の部分を通り軸線CL1に対して平行な円筒状の内周仮想面VS2との合計面積S0に対して、円筒部41の外周及び内周の合計表面積S1が2%以上(より好ましくは5%以上)大きなものとされている。すなわち、凹部42を設けることで、円筒部41の内周及び外周の合計表面積S1が、凹部42がない場合における円筒部41の内周及び外周の合計表面積に対して2%以上大きなものとされている。尚、本実施形態において、円筒部41の内周面は、凹部42のない平坦状とされているため、円筒部41の内周の表面積と内周仮想面VS2の面積とは等しくなっている。
さらに、少なくとも円筒部41及び溶融部35の表面(本実施形態では、主体金具3、溶融部35、及び、接地電極27の表面)が、Niを主成分とするNiメッキで覆われている。Niメッキは、主体金具3と接地電極27とを接合した上で、バレルメッキ法などにより、両者の表面にメッキ加工を施すことで設けることができる。
尚、上述した凹部42の形状は例示であって、凹部の形状は適宜変更可能である。従って、例えば、図7(a)に示すように、軸線CL1を含む断面において、凹部45が湾曲状の外形線を有する断面形状とされていてもよいし、図7(b)に示すように、軸線CL1を含む断面において、凹部46が断面三角形状とされていてもよい。
さらに、例えば、図8(a)に示すように、凹部47が軸線CL1に沿って延びるように構成してもよいし、図8(b)に示すように、凹部48が軸線CL1と斜めに交差する方向に延びるように構成してもよい。
加えて、例えば、図9に示すように、凹部49を穴状としてもよく、この場合には、凹部49を、正面視矩形状や正面視円形状、正面視三角形状としてもよい。尚、図9では、それぞれ形状の異なる凹部49を示しているが、各凹部49を同一形状としてもよい。
以上詳述したように、本実施形態によれば、主体金具3の先端部には、長さCが1.5mm以上の円筒部41が設けられている。そのため、接地電極27を比較的短くすることができ、接地電極27の折損防止等を図ることができる。
さらに、円筒部41には凹部42が設けられているため、円筒部41の表面積を増大させることができ、吸入空気等により、円筒部41を速やかに冷却することができる。従って、円筒部41の酸化を抑制することができ、長期間に亘って円筒部41が優れた熱伝導性を有するようにすることができる。また、円筒部41において良好な熱伝導性が確保されることで、円筒部41を介して溶融部35の熱を速やかに引くことができる。従って、溶融部35の酸化も抑制することができ、溶融部35においても長期間に亘って優れた熱伝導性を確保することができる。
以上のように、本実施形態によれば、円筒部41及び溶融部35の酸化をより確実に抑制することができ、ひいては良好な熱伝導性を有する円筒部41及び溶融部35を介して、接地電極27の熱を速やかに引くことができる。その結果、接地電極27の過熱を効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、外周仮想面VS1と内周仮想面VS2との合計面積S0に対して、円筒部41の外周及び内周の合計表面積S1が2%以上大きなものとされている。従って、円筒部41を一層速やかに冷却することができ、ひいては円筒部41や溶融部35の耐酸化性を一層向上させることができる。
加えて、凹部42は、軸線CL1方向から見たときに、主体金具3の周方向において溶融部35から1/4の範囲内に設けられている。従って、円筒部41のうち特に溶融部35の熱を伝導する部位を速やかに冷却することができ、前記部位を介して溶融部35の熱を急速に引くことができる。その結果、溶融部35の酸化を一層確実に抑制することができ、接地電極27の過熱防止効果を一層向上させることができる。
さらに、本実施形態では、凹部42の幅Aが0.1mm以上とされるとともに、凹部42の深さBが0.05mm以上0.3mm以下とされている。従って、円筒部41のうち凹部42を形成する面に対してより確実に吸入空気等を接触させることができ、円筒部41の冷却効率を向上させることができる。その結果、円筒部41等の耐酸化性を一段と向上させることができ、ひいては接地電極27の過熱をより一層確実に防止できる。
併せて、凹部42の幅Aは0.3mm以下とされているため、凹部42に対してデポジットが堆積してしまう(詰まってしまう)ことをより確実に防止できる。その結果、凹部42を設けることによる作用をより長期間に亘って発揮させることができる。
また、凹部42は、吸入空気等がより接触しやすい円筒部41の外周に設けられている。そのため、円筒部41の冷却効率を極めて効果的に高めることができ、円筒部41等の耐酸化性を飛躍的に向上させることができる。その結果、接地電極27の過熱防止効果を顕著に高めることができる。
加えて、円筒部41の長さCが6mm以下とされているため、円筒部41の受熱量が過大となってしまうことをより確実に防止できる。その結果、凹部42を設けることによる円筒部41の速やかな冷却という作用を効果的に発揮させることができる。
さらに、円筒部41及び溶融部35の表面は、Niメッキで覆われているため、円筒部41及び溶融部35における耐酸化性の更なる向上を図ることができる。その結果、接地電極27の過熱防止効果を一層確実に高めることができる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、円筒部に凹部を設けることなく、円筒部の外周及び内周を平坦状に構成した点火プラグのサンプルZ(比較例に相当する)と、円筒部に溝状の凹部を設けた点火プラグのサンプル1〜46(実施例に相当する)とを作製し、各サンプルについて机上バーナー試験を行った。机上バーナー試験の概要は次の通りである。すなわち、所定のバーナーにより、円筒部の温度が600℃となるようにサンプルを2分間加熱した後、円筒部にエアーを1秒間噴射し、円筒部を冷却することを1サイクルとして1000サイクル実施した。その後、円筒部の表面における酸化膜の有無を確認するとともに、酸化膜が存在する場合には、その厚さを計測した。ここで、円筒部の表面に酸化膜が形成されていない場合には、耐酸化性に極めて優れるとして「☆」の評価を下すこととした。また、酸化膜が形成されていたものの、酸化膜の厚さが0.05mm以下であった場合には、耐酸化性に優れるとして「◎」の評価を下し、酸化膜の厚さが0.05mm超0.1mm以下であった場合には、十分な耐酸化性を有するとして「○」の評価を下すこととした。一方で、酸化膜の厚さが0.1mm超であった場合には、耐酸化性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。表1に、当該試験の試験結果を示す。
尚、実施例に相当するサンプルにおいては、凹部の形成位置を、円筒部の内周のみ、円筒部の外周のみ、又は、円筒部の内周及び外周の双方とした。また、凹部の幅A、凹部の深さB、及び、凹部の数を変更することにより、凹部形成前における円筒部の外周の表面積S0Xと円筒部の内周の表面積S0Yとの合計面積(すなわち、前記外周仮想面及び内周仮想面の合計面積)S0に対する、凹部が設けられた円筒部の外周の表面積S1Xと内周の表面積S1Yとの合計表面積S1の増加率(面積増加率)を種々変更した。さらに、凹部の断面形状を矩形状(図5と同様の構成であり、表1において「形状1」と示す)、三角形状〔図7(b)と同様の形状であり、表1において「形状2」と示す〕、又は、湾曲状の外形線を有する形状〔図7(a)と同様の形状であり、表1において「形状3」と示す〕とした。
また、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径(凹部の存在しない部位の外径をいう。以下同様)を10mmとし、円筒部の内径(凹部の存在しない部位の内径をいう。以下同様)を7mmとし、円筒部の長さCを3mmとした。
Figure 0005820279
表1に示すように、円筒部の表面に凹部を設けたサンプル(サンプル1〜46)は、円筒部において、良好な耐酸化性を実現できることが分かった。これは、円筒部が高温である時間が長いほど、円筒部の表面に酸化膜が形成されやすいところ、凹部を設け、円筒部の表面積を増加させたことで、エアーにより円筒部が速やかに冷却され、円筒部が高温である時間がより短くなったためであると考えられる。
さらに、面積増加率を2%以上としたサンプル(サンプル1〜6,8〜16,18〜22,25〜33,37〜39,41〜46)は、優れた耐酸化性を有することが明らかとなった。これは、円筒部の表面積をさらに増大させたことで、円筒部が一層速やかに冷却されたことによると考えられる。
加えて、面積増加率を5%以上としたサンプル(サンプル3〜6,11,12,14〜16,19,21,22,29,30,32,33,37〜39,43〜46)は、極めて優れた耐酸化性を有することが確認された。
次に、凹部を設けることなく円筒部を構成したサンプル(凹部なし)と、円筒部に凹部を設けたサンプル(凹部あり)とについて、円筒部の長さCを種々変更した点火プラグのサンプルを作製し、各サンプルについて、サイクル数を1000サイクルから2000サイクルに変更して、上述の机上バーナー試験を行った。その後、円筒部の表面に形成された酸化膜の厚さを測定した。表2及び図10に、当該試験の試験結果を示す。尚、図10においては、凹部を設けなかったサンプルの結果を丸印で示し、凹部を設けたサンプルの結果を三角印で示す。さらに、表3に、参考として、凹部を設けたサンプルにおける、凹部の幅A、凹部の深さB、及び、面積増加率などを示す。加えて、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径を10mmとし、円筒部の内径を7mmとした。また、凹部を溝状で、かつ、断面矩形状とした。
Figure 0005820279
Figure 0005820279
表2及び図10に示すように、凹部を設けなかったサンプルは、長さCを1.5mm以上とした場合に、酸化膜が急激に厚いものとなってしまったが、凹部を設けたサンプルは、長さCを1.5mm以上とした場合であっても、酸化膜がさほど厚いものとはならず、優れた耐酸化性を有することが分かった。すなわち、凹部を設けることによる酸化抑制効果は、長さCが1.5mm以上とされた場合において、特に効果的に発揮されることが分かった。
上記試験の結果より、長さCが1.5mm以上とされ、円筒部等の酸化が特に懸念される場合において、円筒部等の酸化を抑制し、接地電極の過熱をより確実に防止するためには、円筒部に凹部を設けることが好ましいといえる。
また、円筒部の耐酸化性をより向上させ、接地電極の過熱を一層確実に防止するという観点から、前記合計面積S0に対して合計表面積S1を2%以上大きくすることがより好ましく、前記合計面積S0に対して合計表面積S1を5%以上大きくすることがより一層好ましいといえる。
次いで、図11に示すように、円筒部のうち、主体金具の周方向において溶融部の中心から1/4の範囲RAのみに、主体金具の周方向に延びる溝状の凹部を設けた点火プラグのサンプルと、円筒部のうち前記範囲RAから外れた範囲RBのみに、主体金具の周方向に延びる溝状の凹部を設けた点火プラグのサンプルとを作製し、各サンプルについて、加熱温度を600℃から650℃に変更するとともに、サイクル数を1000〜3000サイクルとして上述の机上バーナー試験を行った。その後、溶融部の表面に形成された酸化膜の厚さを測定した。表4に、当該試験の試験結果を示す。
尚、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径を10mmとし、円筒部の内径を7mmとし、長さCを3mmとした。さらに、凹部を断面矩形状とした。
Figure 0005820279
表4に示すように、範囲RAに凹部を設けたサンプルは、溶融部に形成される酸化膜が薄くなり、溶融部の酸化をより確実に抑制できることが確認された。これは、円筒部のうち特に溶融部の熱を伝導する部位が速やかに冷却され、ひいては溶融部も速やかに冷却されたためであると考えられる。
上記試験の結果より、溶融部の酸化を効果的に抑制し、接地電極の過熱防止効果をより高めるべく、軸線方向から見たときに、主体金具の周方向において溶融部から1/4の範囲内に、凹部を設けることが好ましいといえる。
次に、円筒部の外周、又は、内周に、幅A(mm)及び深さB(mm)を種々変更した溝状の凹部を設けてなる点火プラグのサンプルを作製し、各サンプルについて、実機酸化耐久試験を行った。実機酸化耐久試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルを所定のエンジンに取付けた上で、所定の条件にてエンジンを100時間に亘って動作させた。100時間経過後、円筒部の表面における酸化膜の有無、及び、凹部に対するデポジット(カーボン等)の付着の有無を確認した。そして、円筒部の表面に酸化膜が形成されていない場合には、極めて優れた耐酸化性を有するとして「◎」の評価を下し、円筒部の表面に酸化膜が形成されていたものの、酸化膜の厚さが0.1mm以下であった場合には、耐酸化性に優れるとして「○」の評価を下すこととした。一方で、酸化膜の厚さが0.1mm超であった場合には、耐酸化性にやや劣るとして「△」の評価を下すこととした。また、凹部にデポジットが付着していた場合には、長期間の使用に伴い、凹部を設けることによる作用が弱まるおそれがあるとして「△」の評価を下すこととし、一方で、凹部にデポジットが付着していなかった場合には、凹部を設けることによる作用を長期間に亘って維持できるとして「○」の評価を下すこととした。
表5に、円筒部の内周に、断面矩形状の凹部を設けたサンプルにおける試験結果を示し、表6に、円筒部の外周に、断面矩形状の凹部を設けたサンプルにおける試験結果を示す。また、表7に、円筒部の内周に、断面三角形状の凹部を設けたサンプルにおける試験結果を示し、表8に、円筒部の外周に、断面三角形状の凹部を設けたサンプルの試験結果を示す。尚、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径を10mmとし、円筒部の内径を7mmとし、長さCを3mmとした。また、凹部は、円筒部の周方向に沿って延びる形状とした。
加えて、各サンプルともに、前記合計面積S0に対する合計表面積S1の増加率をほぼ一定(5〜6%)とした。
Figure 0005820279
Figure 0005820279
Figure 0005820279
Figure 0005820279
表5〜8に示すように、幅Aを0.1mm以上0.3mm以下とするとともに、深さBを0.05mm以上0.3mm以下としたサンプルは、優れた耐酸化性を有するとともに、デポジットの付着を効果的に防止できることが分かった。これは、幅Aを0.1mm以上とするとともに、深さBを0.05mm以上0.3mm以下とすることで、凹部に対してより確実にエアーが接触することとなり、円筒部をより速やかに冷却できたこと、及び、幅Aを0.3mm以下としたことで、凹部に対してデポジットが堆積しにくくなったことに起因すると考えられる。
さらに、円筒部の内周に凹部を設けたサンプルと比べて、円筒部の外周に凹部を設けたサンプルは、耐酸化性に一層優れることが明らかとなった。これは、エアーの接触しやすい円筒部の外周における表面積を増大させたことで、円筒部が一層速やかに冷却されたことによると考えられる。
上記試験の結果より、円筒部等の耐酸化性をさらに向上させ、接地電極の過熱をより一層確実に防止するという観点から、凹部が溝状をなすとともに、凹部の幅Aを0.1mm以上0.3mm以下とし、凹部の深さBを0.05mm以上0.3mm以下とすることが好ましいといえる。
さらに、円筒部等の耐酸化性の更なる向上を図り、接地電極の過熱をより効果的に防止すべく、凹部を円筒部の外周に設けることが好ましいといえる。
尚、凹部を湾曲状の外形線を有する断面形状〔図7(a)と同様の形状〕とした上で、幅A及び深さBを変更した点火プラグのサンプルに対して上記実機酸化耐久試験を行ったところ、幅Aを0.1mm以上0.3mm以下とし、深さBを0.05mm以上0.3mm以下としたサンプルは、優れた耐酸化性とデポジットの付着防止効果とを有することが確認された。また、凹部を軸線方向に延びる溝状とした上で、幅A及び深さBを変更した点火プラグのサンプル〔図8(a)と同様の形状〕や凹部を軸線に対して斜めに延びる溝状とした上で、幅A及び深さBを変更した点火プラグのサンプル〔図8(b)と同様の形状〕に対して上記実機酸化耐久試験を行ったところ、上記同様の結果が得られた。これらの結果から、凹部の断面形状や凹部の延出方向が種々異なる場合であっても、幅Aを0.1mm以上0.3mm以下とするとともに、深さBを0.05mm以上0.3mm以下とすることで、優れた耐酸化性とデポジットの付着防止とを実現できるといえる。
次いで、円筒部の長さCが種々変更されてなる、凹部を設けることなく円筒部を構成した点火プラグのサンプル(凹部なし)と、円筒部に凹部を設けた点火プラグのサンプル(凹部あり)とを作製し、各サンプルについて、動作時間を100時間から200時間に変更して、上述の実機酸化耐久試験を行った。そして、200時間経過後に、円筒部の表面に形成された酸化膜の厚さを測定するとともに、長さCをそれぞれ同一とした凹部なしのサンプルにおける酸化膜の厚さに対する凹部ありのサンプルにおける酸化膜の厚さの減少量を、前記凹部なしのサンプルにおける酸化膜の厚さで除算したもの(向上率)を算出した。ここで、前記向上率が10%以上となった場合には、凹部を設けることによる作用が効果的に発揮されるとして「○」と評価し、一方で、前記向上率が10%未満となった場合には、凹部を設けることによる作用がやや発揮されにくいとして「△」と評価した。表9に、当該試験の試験結果を示す。尚、表9には、参考として、凹部を設けたサンプルにおける、前記合計面積S0や合計表面積S1、面積増加率等を示す。
加えて、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径を10mmとし、円筒部の内径を7mmとした。また、凹部を溝状とし、その幅Aを0.1mmとし、その深さBを0.1mmとした。
Figure 0005820279
表9に示すように、円筒部の長さCを6mmよりも大きくした場合には、向上率が10%未満となり、凹部を設けることによる作用がやや発揮されにくいことが分かった。これは、円筒部の受熱量が過度に増大したため、凹部を設けた場合であっても、円筒部の冷却にやや時間を要したためであると考えられる。
一方で、円筒部の長さCを6mm以下とした場合には、向上率が10%を遥かに上回り、凹部を設けることによる作用が効果的に発揮されることが確認された。
上記試験の結果より、凹部を設けることによる作用を効果的に発揮させるという観点から、円筒部の長さCを6mm以下とすることが好ましいといえる。
次に、円筒部及び溶融部の表面をNiメッキで覆った点火プラグのサンプル(メッキあり)と、円筒部及び溶融部の表面にNiメッキを設けることなく構成した点火プラグのサンプル(メッキなし)とを作製し、各サンプルについて、加熱温度を600℃から650℃に変更するとともに、サイクル数を500〜5000サイクルとして上述の机上バーナー試験を行った。そして、試験後に、溶融部や円筒部に形成された酸化膜の厚さを測定した。表10に、当該試験の試験結果を示す。
尚、各サンプルともに、ねじ部のねじ径をM12とし、円筒部の外径を10mmとし、円筒部の内径を7mmとし、円筒部の長さCを3mmとした。また、円筒部の外周に溝状の凹部を1本設け、凹部の幅Aを0.2mmとし、凹部の深さBを0.2mmとした。
Figure 0005820279
表10に示すように、円筒部及ぶ溶融部の表面をメッキで覆ったサンプルは、溶融部及び円筒部の酸化をより確実に防止できることが分かった。
上記試験の結果より、円筒部や溶融部の酸化をより確実に防止し、接地電極の過熱抑制効果を一段と向上させるべく、少なくとも円筒部及び溶融部の表面をメッキで覆うことが好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、円筒部41及び溶融部35の表面がNiメッキで覆われているが、円筒部41及び溶融部35の表面を、Ni以外の他の金属(例えば、亜鉛)を主成分とするメッキで覆うこととしてもよい。
(b)上記実施形態では、中心電極5の先端部にチップ31が設けられているが、チップ31を設けなくてもよい。また、接地電極27の先端部に、耐消耗性に優れる金属(例えば、Pt、Ir、Pd、Rh、Ru、及び、Re等のうち1種類以上を含有する金属など)からなるチップを設けることとしてもよい。接地電極27の先端部にチップを設けた場合には、接地電極27の過熱抑制が図られることで、前記チップの過熱も抑制することができる。その結果、チップの耐消耗性を向上させることができる。
(c)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…点火プラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
5…中心電極
15…ねじ部
27…接地電極
33…火花放電間隙(間隙)
35…溶融部
41…円筒部
42…凹部
CL1…軸線
VS1…外周仮想面
VS2…内周仮想面

Claims (7)

  1. 軸線方向に延びる軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔に挿設される中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられ、自身の外周面にねじ部を有するとともに、前記ねじ部の先端から自身の先端までの間に筒状の円筒部を有する主体金具と、
    自身と前記主体金具とが溶け合ってなる溶融部を介して前記主体金具の先端部に接合され、前記中心電極との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
    前記軸線に沿った前記円筒部の長さCが1.5mm以上の点火プラグであって、
    前記円筒部の外周及び内周のうちの少なくとも一方には、凹部が設けられ
    前記凹部は、溝状をなし、
    前記凹部の幅Aが0.1mm以上0.3mm以下とされ、前記凹部の深さBが0.05mm以上0.3mm以下とされることを特徴とする点火プラグ。
  2. 前記円筒部における、前記円筒部の最も外周の部分を通り前記軸線に対して平行な円筒状の外周仮想面と、前記円筒部の最も内周の部分を通り前記軸線に対して平行な円筒状の内周仮想面との合計面積に対して、前記円筒部の外周及び内周の合計表面積が2%以上大きくされることを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ。
  3. 前記円筒部における、前記外周仮想面と前記内周仮想面との合計面積に対して、前記円筒部の外周及び内周の合計表面積が5%以上大きくされることを特徴とする請求項2に記載の点火プラグ。
  4. 前記軸線方向から見たときに、前記主体金具の周方向において、前記溶融部から1/4の範囲内に、前記凹部が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  5. 前記凹部は、前記円筒部の外周に設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  6. 前記軸線に沿った前記円筒部の長さCが6mm以下とされることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の点火プラグ。
  7. 少なくとも前記円筒部及び前記溶融部の表面を覆うメッキが設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の点火プラグ。
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