JP5814912B2 - 磁気共鳴イメージング装置及びsar調整方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置及びsar調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置において、撮像の際に被検体が吸収する電磁波エネルギーを表す指標の一つであるSARを調整する技術に関する。
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生する核磁気共鳴(以下、NMR)信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮像においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
上記MRI装置では、核磁気共鳴現象を誘起するために、被検体に電磁波である高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)が照射される。そこで、MRI装置を使用する際の臨床上の安全基準の一つとして被検体が吸収する電磁波エネルギーがある。IEC60601-2-33, 2ndeditionによると、単位時間、単位質量あたりの電磁波エネルギーの吸収量をSAR(Specific Absorption Rate)として、次式のように定義し、被検体にそれらの上限値以上の電磁波が照射されないように制限している。
Figure 0005814912

Figure 0005814912

Figure 0005814912

ここで、全身SARとは、被検体全身に吸収される電磁波エネルギーを被検体の質量で割ったものであり、身体部分SARとは、被検体の所望部位に吸収される電磁波エネルギーを被検体の所望部位の質量で割ったものであり、局所SARとは、任意の10gに吸収される単位時間当たりの電磁波エネルギーである。
特許文献1には、被検体の体格情報から算出された身体部分SARとその上限値とを比較し、上限値を超える場合には撮像条件を変更するように操作者に促す手法が記載されている。
また、特許文献2には、撮像部位ではなく実際にRFパルスが照射される身体部分から最適な身体部分SARの上限値を算出する手法が記載されている。
特開2006-95278号公報 特開2009-72571号公報 国際公開WO2010001747号公報
しかしながら、特許文献1および2では、SARが上限値を超える場合に、撮像条件を変更せずにSARを低減する方法に関して配慮がされていない。撮像条件を変更すると所望の画質(コントラスト等)を有する画像の取得が困難となる場合が生じる。
そこで本発明の目的は、MRI装置を用いた撮像の際に、SARが上限値を超える場合に、予め設定された撮像条件を変更せず、且つ、SARの制限内で所望の撮像を行なえる技術を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、複数のパルスシーケンスを組み合わせて行う被検体の撮像において、パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを表示して、パルスシーケンスのSAR予測値がSAR上限値と同じか超える場合に、そのようなパルスシーケンスの入れ替え又は待ち時間の挿入を行う。
具体的には、本発明のMRI装置は、複数のパルスシーケンスを組み合わせて行う被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、RFパルスの照射により、被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値を計算するSAR演算部と、SAR予測値がSAR上限値以下となるように、複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、SAR予測値を表示する表示部と、を備え、SAR演算部は、パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を求め、パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成して表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部を備えたことを特徴とする。
また、本発明のSAR調整方法は、複数のパルスシーケンスを組み合わせて行う被検体の撮像においてパルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を求めるステップと、パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを表示するステップと、複数のパルスシーケンスの内の移動可能なパルスシーケンスの入れ替え、又は、複数のパルスシーケンスのいずれかの間に待ち時間を挿入するステップと、パルスシーケンスの入れ替え又待ち時間の挿入後のパルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を再計算するステップと、パルスシーケンスの入れ替え又待ち時間の挿入と、再計算されたSAR予測値と、を表すようにSARグラフを更新するステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明のMRI装置及びSAR調整方法 によれば、SARが上限値を超える場合に、予め設定された撮像条件を変更せず、且つ、SARの制限内で所望の撮像を行うことができる。
本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図 実施例1に係る演算処理部の各機能を表す機能ブロック図 5つのパルスシーケンスを組み合わせて成るプロトコルを実行する場合のSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを表す図 図3のパルスシーケンス2と3の順序を入れ替え、入れ替え後のパルスシーケンス3以降のSAR予測値を再計算したSARグラフを表す図 図4のパルスシーケンス4と5との間に待ち時間を挿入した後のSAR予測値を再計算したSARグラフを表す図 SARグラフ(右図)とプロトコル構成図(左図)とを、各パルスシーケンスの表示幅(時間幅)を合わせて並列させて表示した図 実施例1の処理フローを表す全体フローチャート 実施例1の処理フローを表すフローチャートであり、ステップS704の詳細処理フローを表す図 SARグラフの表示態様を表す図であり、入れ替え可能パルスシーケンスの表示態様の一例を示す図 SARグラフの表示態様を表す図であり、挿入を推奨する待ち時間領域の表示態様の一例を示す図 プロトコル構成図に入れ替え制限情報を表示する例を表す図 実施例2の処理フローを表す全体フローチャート 実施例2の処理フローを表すフローチャートであり、ステップS1004の詳細処理フローを表す図 パルスシーケンスの入れ替え方法を「自動」「推奨表示」「手動」の中から選択するためのメニュー表示の例を示す図 操作者に確認するためのメッセージ表示であり、(a)はパルスシーケンスの推奨入れ替えを実行して良いか否かを操作者に確認ためのメッセージ表示の例であり、(b)は推奨待ち時間挿入を実行して良いか否かを操作者に確認するためメッセージ表示の例を示す図 実施例3に係る演算処理部の各機能を表す機能ブロック図 プロトコルの進行と共にSAR実測値を表示するSARグラフの一例を示す図 プロトコルの進行中に待ち時間を挿入する前のSARグラフの例を示す図 プロトコルの進行中に待ち時間を挿入した後のSARグラフの例を示す図 実施例3の処理フローを表すフローチャートを示す図 SAR実測値の測定方法の例を示す図 実施例3に係る演算処理部の各機能を表す機能ブロック図 実施例4の処理フローを表すフローチャートを示す図 図3に示したSARグラフ内の特に超過パルスシーケンス領域上に、変更可能な撮像パラメータとその現状値とSAR予測値を低減できる推奨値をそれぞれ表示しる例を示す図。 撮像パラメータ値の変更のSARグラフの一例を示す図
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明に係るMRI装置を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、送信RFコイル104及びRF送信部110と、受信RFコイル105及び信号検出部106と、信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部108と、表示・操作部113と、被検体101を搭載してその被検体101を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド112と、を備えて構成される。
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、NMR信号(エコー信号)にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。
送信RFコイル104は、被検体101にRFパルスを照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子の原子核スピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスが振幅変調され、増幅された後に被検体101に近接して配置された送信RFコイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
また、送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波エネルギーの被検体101への吸収量は、RF送信部110からの信号が入力されるSAR検出部116で検出される。検出された吸収量データは、後述する計測制御部111に出力される。このSAR検出部116の詳細は後述する。
受信RFコイル105は、被検体101の生体組織を構成する原子核スピンのNMR現象により放出されるエコー信号を受信するコイルであり、信号検出部106に接続されて受信したエコー信号が信号検出部106に送られる。
信号検出部106は、受信RFコイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、RF送信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置された受信RFコイル105で受信され、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号検出部106が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換し、後述の信号処理部107に送る。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。
信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理されたエコーデータを計測制御部111に送る。
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なエコーデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号検出部106に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部108の制御で動作し、ある所定のパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号検出部106を制御して、被検体101へのRFパルスと傾斜磁場パルスの印加及び被検体101からのエコー信号の検出を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータの収集を制御する。これらの制御により信号処理部107からのエコーデータを全体制御部108に出力する。
全体制御部108は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、CPU及びメモリを内部に有する演算処理部114と、光ディスク、磁気ディスク等の記憶部115とを有して成る。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリ内のK空間に相当する領域に記憶させる。メモリ内のK空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をK空間データともいう。そして演算処理部114は、このK空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部113に表示させると共に記憶部115に記録させる。
表示・操作部113は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部108で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
次に、本発明のMRI装置及びSAR調整方法についての実施例1を説明する。本実施例は、複数のパルスシーケンスを組み合わせて成るプロトコルを実施する際に、プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスに亘って、SARの予測値(以下、SAR予測値という)の時間的変化を個々のパルスシーケンスに対応させてグラフ表示する。そして、このグラフ上で、SAR予測値がSARの上限値(以下、SAR上限値という)未満となるように、パルスシーケンス同士の入れ替えや待ち時間挿入等のプロトコル編集を操作者が行なえるようにする。
SAR予測値とは、前述したような全身SAR、身体部分SAR、局所SARなど、被検体に照射されるRFパルスの電磁波エネルギーの内、当該被検体に吸収される吸収量の予測値を意味する。SAR予測値のグラフ(以下、SARグラフという)は、これら3種類のSARの内のいずれか又は複数種類を組み合わせて表示する。
以下、本実施例の詳細を図2〜図5を用いて説明する。
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、プロトコル選択部201、SAR演算部202、SAR選択部203、SARグラフ表示制御部204、SAR調整部205を有してなる。
プロトコル選択部201は、記憶部115に予め記憶されている複数のプロトコルを表示部に表示するとともに、操作者により操作部を介して選択されたプロトコルのデータを記憶部115から読み出し、演算処理部114内のメモリに記憶させる。ここで、プロトコルとは、診断目的に応じて定まる複数のパルスシーケンスを組み合わせて成る撮像手順である。パルスシーケンスとは、ある特定のコントラストを得るための撮像手法であり、スピンエコー(SE)パルスシーケンス、グラディエントエコー(GrE)パルスシーケンス、エコープラナーパルスシーケンス、高速スピンエコー(FSE)パルスシーケンス、Time-of-flight(TOF)パルスシーケンスなどが例である。なお、操作者が撮像前にプロトコルを編集する場合は、当該プロトコル選択部201の処理は不要となる。
SAR演算部202は、事前に入力された被検体情報(年齢、性別、体重等)に基づいてSAR種毎のSARの上限値をそれぞれ計算する。また、プロトコル選択部201で選択されたプロトコルを構成する各パルスシーケンスの撮像条件とそれらの実行順序に基づいて、SAR種毎にパルスシーケンス毎のSAR予測値の時間変化を計算する。SAR種としては、前述の全身SARと、身体部分SARと、局所SARのいずれかである。これらのSARは、パルスシーケンスの実行順序にも依存するので、後述するように、パルスシーケンスの入れ替えや待ち時間の挿入等のプロトコル編集が行なわれた場合には、SAR演算部202は、パルスシーケンス毎のSAR予測値の時間変化を再計算する。
SAR選択部203は、SAR演算部202で計算されたパルスシーケンス毎の各SAR種の予測値の時間変化と、各SAR種のSAR上限値とを比較して、注意を要するSAR種を選択する。ここで「注意を要するSAR種」とは、SAR予測値がSAR上限値と同じか超えてしまうSAR種か、或いは、そのようなSAR種が無い場合は、SAR上限値に近いSAR予測値を有するSAR種を意味する。「注意を要するSAR種」が複数ある場合はそれらのSAR種を選択するか、又は、最もSAR上限値を超えるか近いSAR種を選択しても良い。また、SAR選択部203は、プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスの内で、「注意を要するSAR種」を有するパルスシーケンスを特定する。複数のパルスシーケンスが「注意を要するSAR種」を有する場合は、それら複数のパルスシーケンスを特定する。なお、パルスシーケンス毎に「注意を要するSAR種」が異なる場合もある。
SARグラフ表示制御部204は、SAR選択部203で選択されたSAR種についてのSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成して表示部に表示させる。また、SARグラフの表示の際には、グラフ表示するSAR種の上限値も合わせて表示する。
SARグラフは、例えば、縦軸をSAR予測値とし、横軸を経過時間又はパルスシーケンス種とする2次元座標上に、SAR予測値をプロットして曲線として表したものである。パルスシーケンス種を横軸とする場合は、各パルスシーケンスの期間幅をその撮像時間に対応して設定することで、経過時間を横軸とする場合と同様の横軸とすることができる。
また、プロトコルを構成するパルスシーケンス毎の特性やSAR予測値とSAR上限値との関係、或いは、後述する待ち時間が明確に判別できるように、SARグラフにおける背景色、予測値曲線の線種や太さ及び色等の表示態様をパルスシーケンス毎や待ち時間とで異ならせてもよい。例えば、以下の観点で表示態様を異ならせてもよい。
(1)SAR予測値がSAR上限値未満のパルスシーケンス(以下、「上限値未満パルスシーケンス」という)と、SAR上限値以上の(つまりSAR上限値と同じか超える)パルスシーケンス(以下、「超過パルスシーケンス」という)とで、表示態様が異なるように表示してもよい。例えば、FSE(高速スピンエコー)系パルスシーケンスはSAR予測値がSAR上限値を超えやすい傾向にある。また、GrE(グラディエントエコー)系パルスシーケンスはSARが低い傾向にあるので、これらのパルスシーケンスが異なる態様で表示される場合がある。
(2)プロトコルの中で実行順序を変更可能で移動可能なパルスシーケンス(以下、「可動パルスシーケンス」という)と、実行順序の変更不可で移動不可能なパルスシーケンス(以下、「不可動パルスシーケンス」という)とで、表示態様が異なるように表示してもよい。例えば、位置決め撮像は最初に行なわれるので、そのためのパルスシーケンスは不可動であるが、位置決め撮像後のパルスシーケンスは、特に制約がなければ可動となるので、これらのパルスシーケンスが異なる態様で表示される場合がある。
(3)待ち時間領域と他のパルスシーケンス領域とで異なる表示態様としてもよい。
また、SAR選択部203で、「注意を要するSAR種」が複数選択され、それらのSAR種のグラフを共に表示する場合は、SARグラフの縦軸を、各SAR種の上限値に対する予測値の割合を示す相対値表示、或いは、それぞれの予測値をそのまま表示する絶対値表示でも良い。相対値表示の場合は、SAR上限値を示すラインは1本となるが、絶対値表示の場合は、SAR上限値を示すラインは、表示されるSAR種の種類分表示されることになる。どのSAR種のグラフをどのように表示するかは、予め設定しておく、或いは、操作者が選択できるものとする。
なお、SAR予測値としてグラフ表示するSAR種は、「注意を要するSAR種」の他に複数のSAR種のSAR予測値を同時に、或いは操作者が所望する一つ又は複数のSAR種についてグラフ表示しても良い。
図3にSARグラフの一例を示す。図3は、5つのパルスシーケンスを組み合わせて成るプロトコルを実行する場合のSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを示す。具体的には、図3は、横軸をパルスシーケンスの種類又は撮像経過時間、縦軸をSAR値とする2次元座標上に、身体部分SAR予測値をプロットして表したSARグラフである。この身体部分SARは、被検体情報とパルスシーケンスの特徴に基づいてSAR演算部202で計算されてSAR選択部203で「注意を要するSAR種」として選択されたSAR種である。また、身体部分SARの上限値302も、身体部分SARの予測値の時間変化曲線301とともに表示したものである。この上限値302は一定値なので、横軸に平行なラインとして表される。
また、グラフの横軸には、パルスシーケンス毎に区切り線303が表示される。その際、隣り合う2つ区切り線の間隔を、その間のパルスシーケンスの撮像時間に対応させて表示してもよい。さらに、パルスシーケンス毎にパルスシーケンス名304及び撮像時間305を表示してもよい。
また、図3のSARグラフは表示態様の異ならせ方の一例を示す。具体的には、上限値未満で可動なパルスシーケンス306(306-1,306-2)の身体部分SARについては白色の背景色上に細線の予測曲線でプロットし、上限値未満で不可動なパルスシーケンス307の身体部分SARについては灰色の背景色に細線の予測曲線でプロットし、超過で可動なパルスシーケンス308の身体部分SARについては実線菱形模様の背景上に太線の予測曲線でプロットし、超過で不可動なパルスシーケンス309の身体部分SARについては点線菱形模様の背景上に太線の予測曲線でプロットして表示している。
SAR調整部205は、プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスの入れ替え又は待ち時間挿入のプロトコル編集を行う。プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスのいずれかのSAR予測値がSAR上限値と同じか超えて超過となる場合に、プロトコルを構成する各パルスシーケンスの実行順序の変更や待ち時間の挿入を行うのが本発明であり、本実施例では操作者がそのようなプロトコル編集操作をSARグラフ上で操作・表示部113(入れ替え操作入力部又は待ち時間挿入操作入力部)を介して行う。操作者のプロトコル編集操作に従って、SAR調整部205は、パルスシーケンスの入れ替え又は待ち時間挿入のプロトコル編集を行ない、プロトコルデータを更新する。そして、何らかのプロトコル編集が行なわれる毎に、SAR演算部202は、編集されたプロトコルを構成する各パルスシーケンスの実行順序に基づいて、SAR種毎に(少なくとも選択済みのSAR種について)パルスシーケンス毎のSAR予測値の時間変化を再計算する。そして、SAR選択部203は注意を要するSAR種を選択し、SARグラフ表示制御部204は、選択されたSAR種についてのSAR予測値をグラフ表示して、SARグラフが更新される。
例えば、超過パルスシーケンスが、可動なパルスシーケンスである場合には、パルスシーケンスの位置を変更することにより、SAR予測値を低減することが可能である。操作者のSARグラフ上でのパルスシーケンス入れ替え操作に基づいてSAR調整部205がパルスシーケンスの入れ替えを行うと、SAR演算部202は、表示中のSARグラフと同じSAR種について、入れ替えられた最初のパルスシーケンス以降のSAR予測値の再計算を行う。そして、SARグラフ表示制御部204は、再計算されたSAR予測値をグラフ表示して、SARグラフが更新される。図4に、可動パルスシーケンスの入れ替え後のSARグラフの一例を示す。図4の例では、図3のパルスシーケンス2と3の順序を入れ替え、入れ替え後のパルスシーケンス3以降のSAR予測値が再計算され、結果としてパルスシーケンス3でSAR予測値が上限値を超過していたものが上限値未満となった場合を示す。
また、超過パルスシーケンスが、不可動なパルスシーケンスである場合には、パルスシーケンスの前に待ち時間を挿入することにより、予測SAR値を低減することが可能である。操作者のSARグラフ上での待ち時間挿入或いは挿入した待ち時間の増減又は削除の操作に基づいて、SAR調整部205がパルスシーケンス間に待ち時間を挿入し、挿入した待ち時間の増減や削除を行うと、SAR演算部202は、表示中のSARグラフと同じSAR種について、挿入箇所以降のSAR予測値の再計算を行う。そして、SARグラフ表示制御部204は、再計算されたSAR予測値をグラフ表示し、挿入された待ち時間領域を他の領域と異なる表示態様として、SARグラフが更新される。図5に、待ち時間挿入後のSARグラフの一例を示す。図5の例では、図4のパルスシーケンス5のSAR予測値が依然として上限値を超過していたものが、パルスシーケンス4と5との間に待ち時間501が挿入され、パルスシーケンス5のSAR予測値が上限値未満になった場合を示す。そして、挿入された待ち時間は、波線の背景模様で表示され、他のパルスシーケンス領域とは異なる表示態様としている。なお、超過パルスシーケンスが、可動パルスシーケンスの場合でも、待ち時間の挿入は可能である。
また、プロトコルを構成する各パルスシーケンスとSARグラフとを対応付けて表示してもよい。さらに、SARグラフ部分の表示/非表示の切り替えを可能にしてもよい。この例を図6に示す。図6は、SARグラフ(右図)と、プロトコルを構成する各パルスシーケンスを時系列に表すプロトコル構成図(左図)とを、各パルスシーケンスの表示幅(時間幅)を合わせて並列表示し、プロトコル構成図側に設けたチェックボックス601にてSARグラフ部の表示/非表示の切り替えを可能にする例を示す。プロトコルの編集操作は、プロトコル構成図上、或いは、SARグラフ上のいずれか一方で行ってよく、一方で行う編集操作に合わせて他方も同時に編集されて、共に再表示される。
以上のパルスシーケンス入れ替え操作、待ち時間挿入操作、及びグラフ表示切り替え操作は、操作部のトラックボールまたはマウス、キーボードを介して操作者が行う。トラックボールまたはマウスでは、表示部に表示されているメニューから選択する方法、ボタンをクリックする方法、表示項目そのものをドラッグする方法を用いた操作で実現できる。
例えば、頭部ルーチン検査では、T1強調画像、T2強調画像、FLAIR画像、拡散強調画像、MRA画像などを撮像する。T1強調画像やT2強調画像は、SEシーケンスかFSEシーケンスで撮像されるのが一般的であり、SAR予測値が高くなる傾向がある。一方、MRA画像は一般的にTOFシーケンスで撮像するが、これはGrE系シーケンスなので、SAR予測値が低くなる傾向がある。従って、T1強調画像やT2強調画像と、MRA画像の撮像順番を入れ替えることにより、撮像条件を変更せずに、SAR予測値を低減することが可能となる場合がある。
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行う、本実施例の処理フローを図7A、7Bに示すフローチャートに基づいて説明する。本フローチャートはプログラムとして予め記憶部115に記憶されており、必要に応じて演算処理部114のメモリにロードされてCPU等により実行されることで実施される。
最初に、図7Aに基づいて全体処理フローを説明する。
ステップS701で、操作者は、操作部を介して、身長、体重、年齢、性別等の被検体情報を入力する。
ステップS702で、SAR演算部202は、ステップS701で入力された被検体情報に基づいて、SAR種毎にSAR上限値を計算する。
ステップS703で、プロトコル選択部201は、記憶部115に予め記憶されている複数のプロトコルのリストを表示部に表示して、操作者に所望のプロトコルの選択を促す。操作者は、リストの中から所望のプロトコルを選択し、そのプロトコル選択に合わせて、撮像部位、使用する照射コイル等の撮像条件の入力や変更を行う。或いは、操作者は、プロトコルを選択することなく、複数のパルスシーケンスとそれぞれの撮像条件を入力してプロトコルを構成しても良い。そして、プロトコル選択部201は選択されたプロトコルデータを記憶部115から読み出して、或いは、操作者により構成されたプロトコルのデータを、演算処理部114内のメモリに記憶させる。
ステップS704で、SAR調整が行われる。詳細は後述する。
ステップS705で、ステップS704でSAR調整後、プロトコルを構成する全てのパルスシーケンスに関してSAR予測値がSAR上限値未満となれば、撮像が許可され、操作者が操作部から撮像の実行開始を入力すると、撮像が開始される。
以上までが、本実施例の全体処理フローの説明である。
次に、図7Bに基づいて、上記ステップS704の詳細処理フローを説明する。
ステップS711で、SAR演算部202は、ステップS703で入力設定されたプロトコル及び撮像条件に基づいて、プロトコルを構成する各パルスシーケンスの撮像条件とそれらの実行順序とに基づいて、SAR種毎にパルスシーケンス毎のSAR予測値の時間変化を計算する。次に、SAR選択部203は、計算したSAR種毎のSAR予測値の時間変化の中から注意を要するSAR種を選択する。
ステップS712で、SARグラフ表示制御部204は、選択されたSAR種のSAR予測値のSARグラフを作成し、表示部に表示させる。同時にステップS702で計算されたSAR上限値もグラフ表示する。その際、前述の通り、SARグラフ表示制御部204は、可動パルスシーケンスの表示態様と不可動パルスシーケンスの表示態様とを異ならせ、超過パルスシーケンスの表示態様と上限値未満パルスシーケンスの表示態様とを異ならせる等のSARグラフにおける各部の表示態様の制御を行う。
ステップS713で、SAR調整部205は、SAR上限値以上のSAR予測値を有する超過パルスシーケンスが存在するか、SAR上限値未満のSAR予測値を有する上限値未満パルスシーケンスのみかを判定する。そして、いずれかのパルスシーケンスが超過となる場合(No)は、SAR調整部205はその超過パルスシーケンスを特定し、ステップS714に移行する。上限値未満パルスシーケンスのみの場合(Yes)は、SARの調整が終了する。
ステップS714で、SAR調整部205は、ステップS713で特定された超過パルスシーケンスが可動かどうかを判定する。可動の場合(Yes)はステップS715に移行し、可動でない場合(No)はステップS717に移行する。
ステップS715で、操作者は、必要に応じて、SARグラフ上で、操作部を介して可動パルスシーケンス同士を入れ替えるプロトコル編集操作を行う。SAR調整部205は、操作者が可動パルスシーケンスの入れ替えを行なったか否かを判定する。操作者が入れ替えを行なった場合(Yes)は、ステップS716に移行する。操作者が入れ替えを行なわなかった場合(No)は、ステップS717に移行する。
ステップS716で、SAR調整部205は、ステップS715で操作者により行われた可動パルスシーケンス同士を入れ替えるプロトコル編集操作に基づき、可動パルスシーケンス同士の入れ替えを反映してプロトコルを確定し、確定したプロトコル情報をメモリに記憶する。そして、ステップS711に戻り、確定したプロトコルについてのSAR予測値が再計算される。
ステップS717で、操作者は、必要に応じて、SARグラフ上で、操作部を介してパルスシーケンス間に待ち時間を挿入する。SAR調整部205は、操作者が待ち時間挿入を行なったか否かを判定する。操作者が待ち時間挿入を行なった場合(Yes)は、ステップS718に移行する。操作者が待ち時間挿入を行なわなかった場合(No)は、ステップS714に戻って、操作者が可動パルスシーケンス同士の入れ替え又は待ち時間のいずれかの操作を行うまで、ステップS715とステップS717の監視を繰り返す。
ステップS718で、SAR調整部205は、ステップS717で操作者により行われたパルスシーケンス間へ待ち時間を挿入するプロトコル編集操作に基づき、待ち時間挿入を反映してプロトコルを確定し、確定したプロトコル情報をメモリに記憶する。そして、ステップS711に戻り、確定したプロトコルについてのSAR予測値が再計算される。
以上までが、ステップS704の詳細処理フローの説明である。
以上説明したように、本実施例のMRI装置及びSAR調整方法は、プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスに亘って、SAR予測値の変化を各パルスシーケンスに対応させてグラフ表示する。その結果、操作者は一目で、SAR上限値以上のパルスシーケンスを特定することが可能になる。そして、このSARグラフ上で、操作者にパルスシーケンス同士の入れ替えや待ち時間挿入等のプロトコル編集操作を可能とする。その結果、SAR予測値がSAR上限値以上の場合に、予め入力された撮像条件を変更せず、且つ、SAR上限値の制限内で所望の撮像を行うことができるようになる。
次に、本発明のMRI装置及びSAR調整方法についての実施例2を説明する。本実施例は、パルスシーケンスの入れ替えプログラムを備えて、パルスシーケンスのSAR予測値がSAR上限値以上の場合に、装置が自動でパルスシーケンスの入れ替え、又は、待ち時間挿入を行い、プロトコルの再編集を自動的に行う。以下、前述の実施例1と異なる箇所のみ詳細に説明し、同一の箇所については詳細説明を省略する。
本実施例に係るパルスシーケンスの入れ替えアルゴリズムについては、例えば特許文献3に記載されている技術を用いることができる。ここではこのアルゴリズムの詳細説明は省略する。
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114の各機能部の構成は図2と同様であるが、SARグラフ表示制御部204、SAR調整部205の処理内容が実施例1と異なる。
SAR調整部205は、上記パルスシーケンスの入れ替えアルゴリズムを実現するプログラムが予め記憶されている記憶部115から当該プログラムを読み込んで実施する。プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスのいずれかのSAR予測値がSAR上限値以上の(超過となる)場合に、演算処理部114内のメモリに記憶されたプロトコル情報に基づいて、入れ替え可能なパルスシーケンスの特定又は待ち時間を挿入可能な位置(パルスシーケンス間)を特定する。そして、パルスシーケンス入れ替えと待ち時間の挿入処理に関する、自動化、推奨表示、及び、手動の内から操作者の選択により、処理内容を制御する。自動化が選択されたならば、SAR調整部205は、パルスシーケンスの入れ替えアルゴリズムに基づいて、自動的にパルスシーケンスの入れ替え処理又は待ち時間挿入処理を行う。推奨表示が選択されたならば、操作者に対して、入れ替え可能と特定したパルスシーケンスの入れ替え又は挿入可能と特定した待ち時間挿入の推奨を行ない、操作者がこれらの推奨を受け入れた場合には、それらの処理を行う。手動が選択されたならば前述の実施例1と同様の処理を行う。
なお、予めパルスシーケンスの入れ替え制限が指定されている場合は、SAR調整部205はその制限情報に従って入れ替えを行う。移動不可能なパルスシーケンスは移動禁止に設定する。また、互いに切り離せない一連のパルスシーケンスグループを分離不可と設定する。なお、分離不可なパルスシーケンスグループを複数設定しても良く、グループ間の優先順位を設定することで、グループ間の順序を優先順位の通りとする。また、グループに含まれるパルスシーケンスの実行順序を当該グループ内で変更できるようにする。例えば、造影剤検査では、T1強調画像、T2強調画像を造影剤投入前後で撮像することが多い。従って、造影剤投入前後でそれぞれパルスシーケンスグループを形成し、そのグループ内で撮像順番を入れ替える、というようなケースが考えられる。
SARグラフ表示制御部204は、推奨表示が選択された場合に、SAR調整部205で入れ替え可能と特定されたパルスシーケンスを他と異なる表示態様にしてSARグラフを表示する。これにより、操作者にパルスシーケンスの入れ替えを推奨する。図8Aに入れ替え可能パルスシーケンスの表示態様の一例を示す。図8Aでは、パルスシーケンス2と3が入れ替え可能であり、これらのパルスシーケンスの区切り線をそれぞれ丸太点線801で表示している。また、入れ替え可能なパルスシーケンスが存在しない場合は、SARグラフ表示制御部204は、推奨される待ち時間の挿入領域を他と異なる表示態様にしてSARグラフを表示する。図8Bに、パルスシーケンス5の先頭位置に挿入を推奨する待ち時間領域を角太点線802で表示する例を示す。
また、SARグラフ表示制御部204は、パルスシーケンスに入れ替え制限情報が設定されていた場合には、図6に示したプロトコル構成図に入れ替え制限情報を表示しても良い。その例を図9に示す。パルスシーケンス1は、位置決め用画像(スキャノ画像)の撮像等を行う準備スキャンであり、最初に行う必要があるため、パルスシーケンス1の領域に移動禁止マーク901を表示する。また、造影検査であるパルスシーケンス5及び6は、造影剤が投入されるパルスシーケンス4と分離不可であり、且つ、必ずパルスシーケンス4の後に実行されなければならない。この場合、パルスシーケンス4、5、6で分離不可なパルスシーケンスグループを形成する。なお、パルスシーケンス5のSAR予測値がSAR上限値以上の場合、パルスシーケンス5と6を入れ替えたりすることが可能である。そこで、パルスシーケンス4、5、6の領域に分離不可マーク902を表示する。この分離不可マーク902は、先頭位置が必須のパルスシーケンス4に対して互いに入れ替え可能なパルスシーケンス5,6がそれぞれぶら下がるツリー構造を表すマークである。このツリー構造マークの枝部分は、入れ替え可能なパルスシーケンスを意味する。
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行う、本実施例の処理フローを図10A、10Bに示すフローチャートに基づいて説明する。なお、前述の実施例1の処理フローを表す図7A、7Bのフローチャートと同じステップについては詳細な説明を省略する。本フローチャートはプログラムとして予め記憶部115に記憶されており、必要に応じて演算処理部114のメモリにロードされてCPU等により実行されることで実施される。
最初に、図10Aに基づいて全体処理フローを説明する。
ステップS701〜S703は、図7Aで示した実施例1の処理ステップと同様であるので説明を省略する。
ステップS1001で、操作者は、パルスシーケンスの入れ替え方法を「自動」「推奨表示」「手動」の中から選択する。SAR調整部205が、図11に示すようなメニューを表示部に表示させ、操作者の選択を受け付ける。操作者は、操作部を介して、「自動」「推奨表示」「手動」の中から所望の手法を選択して設定する。
ステップS1002で、操作者は、パルスシーケンス入れ替えの優先順位や入れ替え不可、或いはパルスシーケンスグループの設定を行なってもよい。例えば、図9に示すようなプロトコル構成図上で可動パルスシーケンス毎に、<(グループ番号)−(グループ内番号)>を設定する。グループ番号で優先順位を設定し、同じグループ番号のパルスシーケンスを同一グループとし、同じグループ内番号同士のパルスシーケンスをグループ内で入れ替え可能とする。これらの設定が不要であれば、このステップをスキップする。
ステップS1003で、SAR調整部204は、ステップ1001で選択された手法を判定する。「手動」が選択された場合(Yes)には、SARの調整を手動で行うためステップS704に移行する。ステップS704の詳細は前述の実施例1と同様であるので説明を省略する。「手動」以外、即ち「自動」あるいは「推奨表示」が選択された場合(No)には、ステップS1004に移行して、S1001及びS1002での設定に基づき、SARの自動調整が行われる。このステップの詳細は後述する。
ステップS705で、ステップS704又はステップS1004でSAR調整後、プロトコルを構成する全てのパルスシーケンスに関してSAR予測値がSAR上限値未満となれば、撮像が許可され、操作者が操作部から撮像の実行開始を入力すると、撮像が開始される。
以上までが、全体処理フローの説明である。
次に、図10Bに基づいて、上記ステップS1004の詳細処理フローを説明する。
ステップS711〜S714,S718は、図7Bで示した実施例1の処理ステップと同様であるので説明を省略する。
ステップS1005で、SAR予測値がSAR上限値以上のパルスシーケンスが可動の場合(ステップS714でYes)、SAR調整部205は、パルスシーケンスの推奨入れ替えを算出する。そして、SARグラフ表示制御部204は、ステップS1003で「推奨表示」が選択された場合には、SARグラフにパルスシーケンス入れ替えの推奨表示を行う。この推奨表示については前述の通りである。
ステップS1006で、SAR調整部205は、ステップS1003の選択が「自動」か「推奨表示」か、を判定する。「自動」の場合はステップS710に移行して、SAR調整部205はステップS1005で算出したパルスシーケンスの推奨入れ替えを実行する。「推奨表示」の場合は、ステップS1007に移行する。
ステップS1007で、SAR調整部205は、ステップS1005で算出したパルスシーケンスの推奨入れ替えを実行して良いか否かを操作者に確認するため、表示部に例えば図12(a)のような確認メッセージを表示させる。そして、操作者が「Yes」ボタンを押下して、パルスシーケンスの推奨入れ替えに同意した場合(Yes)は、ステップS710に移行して、SAR調整部205はステップS1005で算出したパルスシーケンスの推奨入れ替えを実行する。その後にステップS711に戻って、パルスシーケンス入れ替え後のSAR予測値が再計算され、SARグラフが再表示される。操作者が「No」ボタンを押下して、パルスシーケンスの推奨入れ替えに拒否した場合(No)は、ステップS1008に移行する。
ステップS1008で、SAR予測値がSAR上限値以上のパルスシーケンスが不可動の場合(ステップS714でNo)、或いは、ステップS1007で操作者が「No」ボタンを押下して、パルスシーケンスの推奨入れ替えに拒否した場合は、SAR調整部205は、推奨待ち時間挿入を算出する。そして、SARグラフ表示制御部204は、ステップS1003で「推奨表示」が選択された場合には、SARグラフに待ち時間挿入の推奨表示を行う。この推奨表示については前述の通りである。
ステップS1009で、SAR調整部205は、ステップS1003の選択が「自動」か「推奨表示」か、を判定する。「自動」の場合はステップS712に移行して、SAR調整部205はステップS1008で算出した推奨待ち時間挿入を実行する。「推奨表示」の場合は、ステップS1010に移行する。
ステップS1010で、SAR調整部205は、ステップS1008で算出した推奨待ち時間挿入を実行して良いか否かを操作者に確認するため、表示部に例えば図12(b)のような確認メッセージを表示させる。そして、操作者が「Yes」ボタンを押下して、推奨待ち時間挿入に同意した場合は、ステップS712に移行して、SAR調整部205はステップS1008で算出した推奨待ち時間挿入を実行する。その後にステップS711に戻って、待ち時間挿入後のSAR予測値が再計算され、SARグラフが再表示される。操作者が「No」ボタンを押下して、推奨待ち時間挿入を拒否した場合は、ステップS714に戻る。
パルスシーケンスの入れ替え又は待ち時間の挿入が行なわれて、SAR予測値がSAR上限値未満となるまで、図10Bの処理が繰り返される。
以上までが、ステップS1004の詳細処理フローの説明である。
以上説明したように、本実施例のMRI装置及びSAR調整方法は、パルスシーケンスの入れ替えアルゴリズムを用いて、パルスシーケンスがSAR上限値以上の場合に、装置が自動でパルスシーケンスの入れ替え、又は、待ち時間挿入を行い、プロトコルの再編集を自動的に行うので、操作者のプロトコルの再編集の負担を低減して、予め入力された撮像条件を変更せず、且つ、SAR上限値の制限内で所望の撮像を短時間で実行できるようになる。
次に、本発明のMRI装置及びSAR調整方法についての実施例3を説明する。本実施例は、プロトコルに基づいた撮像の進行中に、未実行のパルスシーケンスについての入れ替えや、待ち時間挿入を行う。その際、SARの実測値を計測し、計測したSAR実測値に基づいて、未実行のパルスシーケンスについてのSAR予測値とSARグラフの更新を行う。以下、前述の実施例1と異なる箇所のみ詳細に説明し、同一の箇所については説明を省略する。
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図13に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114の各機能部の構成は図2で示した実施例1の構成の他にSAR実測部1301を有する。また、SAR演算部202、SARグラフ表示制御部204、SAR調整部205の処理内容が前述の実施例1と異なる。
SAR実測値の測定方法は、NEMA Standards Publication MS 8-2008で既定されており、図18のようにRF送信部110内に配置されたRFアンプ1801、RFアンプ1801内に配置されたDual方向カプラー1802、RF Splitter (RFアンプ1801からの高周波信号を0°と90°に分離する)1803、RF Bodyコイル1804、及びオシロスコープ1805を接続して測定される。SAR実測値は、オシロスコープ1805で測定されるピーク電力を被検体の体重で割った値となる。オシロスコープで測定されるピーク電は、
Figure 0005814912
Pforward ・・・ RFコイルの端子に流れるピークRF順電力(1810)
Preflect ・・・ RFコイルの端子に流れるピークRF反射電力(1811)
Pdummy ・・・ ダミーロードとオシロスコープ間の伝送回路の電力損失(1812)
Pcoil ・・・ 無負荷のコイルにより吸収されたピーク電力
の式より求められる。
そして、SAR検出部116に、オシロスコープ1805の出力が入力されるか、或いは、オシロスコープ1805を経由せずに、RFコイルの端子に流れるピークRF順電力(1810)とRFコイルの端子に流れるピークRF反射電力(1811)とダミーロードからの伝送回路の電力損失(1812)とがそれぞれ入力される。そしてSAR検出部116で、例えば、各高周波信号の包絡線(エンベロープ)を検出して、フィルタリングやA/D変換等の処理を行い、処理後のデータを計測制御部111に伝送する。計測制御部111に入力されたこれらのデータは、SAR実測部1301に伝送され、SAR実測部1301は、これらの入力値と上記(4)式とに基づいて、SAR実測値を、必要に応じて或いは定期的に、好ましくはリアルタイムに求める。
SAR演算部202は、プロトコルの内の実施済部(つまり撮像が終了したパルスシーケンス)のSAR実測値に基づいて、未実施部(つまり撮像が開始されていないパルスシーケンス)のSAR予測値を修正する。例えば、実施済部のSAR予測値に対するSAR実測値の割合を求め、未実施部のSAR予測値にその割合を積算し、実施済部のSAR実測値に加算することで、未実施部のSAR予測値を修正する。プロトコルはリアルタイムに進行し、その進行に合わせてSAR実測値が求められるので、SAR演算部202は、未実施部のSAR予測値をリアルタイムに又は適宜更新する。
SARグラフ表示制御部204は、SARグラフを表示する際に、SAR予測値の他にSAR実測値の変化を表すグラフも表示する。SAR実測値のグラフ表示の際には、SAR実測値がプロトコルの進行と共に追加されていく情報なので、SARグラフ上にはプロトコルの進行状況を表す情報又はマークも表示する。そして、このプロトコルの進行状況を表す情報又はマークの変化に合わせてSAR実測値を表示していく。なお、SAR実測値の表示は、適宜(例えば、パルスシーケンス終了毎)或いはリアルタイムの何れでもよい。一方、プロトコルの内の未実施部では、プロトコルの内の実施済部のSAR実測値に基づいてSAR予測値が修正された場合には、SARグラフ表示制御部204は、そのSAR予測値の修正をグラフ表示に反映するようにSARグラフを更新する。SARグラフの更新は、適宜(例えば、パルスシーケンス終了毎)或いはリアルタイムの何れでもよい。図14にプロトコルの進行と共にSAR実測値を表示するSARグラフの一例を示す。
図14に示すSARグラフでは、SARグラフ表示制御部204は、プロトコルの進行状況を表す情報又はマークの一例である縦線1401をプロトコルの進行と共に(つまり時間経過と共に)左側から右側に向けて移動させる。さらに、SARグラフ表示制御部204は、縦線1401の移動に合わせて(つまりプロトコルの進行に合わせて)縦線の左側にSAR実測値をSARグラフ上にプロットしていくことで、SAR実測値の時間変化を表すSAR実測値曲線1402を表示する。なお、SARグラフ表示制御部204は、SARグラフにSAR予測値曲線301とSAR上限値ライン302も表示する。このように、SARグラフに複数種類のグラフが表示される。
また、プロトコルの進行中に、操作者による、プロトコルの未実施部におけるパルスシーケンスの入れ替えや、未実施部に待ち時間の挿入・編集・削除を可能とする。例として図14では、プロトコル進行の現在状況を表す縦線1401の右側では、パルスシーケンス4及び5はまだ撮像が開始されていない為、これらのパルスシーケンスの入れ替えの操作が可能である。また、パルスシーケンス4又は5の前に待ち時間の挿入・編集・削除も可能である。パルスシーケンスの入れ替え操作や待ち時間挿入の操作が行われた場合、再編集されたプロトコルの未実施部に関して、SAR調整部205はプロトコルの再編集を行い、SAR演算部202はSAR予測値を再計算し、SARグラフ表示制御部204はSARグラフを更新する。
さらに、プロトコルの進行中に、SAR実測値に基づいて再計算したSAR予測値がSAR上限値と同じか超えた場合には、SAR調整部205は、待ち時間を挿入する。プロトコルの進行中に待ち時間を挿入する例を図15,16に示す。図15は、パルスシーケンス3の撮像終了後に、SAR演算部202が、パルスシーケンス3までのSAR実測値に基づいて、パルスシーケンス4及び5のSAR予測値を再計算し、SARグラフ表示制御部204がその再計算結果に基づいてSARグラフを更新した場合を示す。SAR予測値の再計算の結果、パルスシーケンス5の再計算SAR予測値がSAR上限値を超過し、SAR予測値曲線301の一部がSAR上限値を超えたことを示している。図15の場合、パルスシーケンス5は他のパルスシーケンスと入れ替えることが出来ない(不可動)ので、SAR調整部205は、パルスシーケンス5の前に待ち時間を挿入し、SARグラフ表示制御部204が挿入された待ち時間を表すようにSARグラフを更新する。パルスシーケンス5の前に待ち時間1601を挿入したSARグラフの一例を図16に示す。図16は、待ち時間1601の挿入により、パルスシーケンス5のSAR予測値がSAR上限値未満となったことを示している。
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行う、本実施例の処理フローを図17に示すフローチャートに基づいて説明する。本フローチャートはプログラムとして予め記憶部115に記憶されており、必要に応じて演算処理部114のメモリにロードされてCPU等により実行されることで実施される。
ステップS1701で、演算処理部114は、プロトコルにしたがって撮像を開始する。その際、プロトコルを構成する複数のパルスシーケンスを、それらのプロトコル内での実行順序に従って、順次計測制御部111に各パルスシーケンスの実行を指示する。また、SAR実測部1301は、パルスシーケンスの進行に合わせてリアルタイムに又は適宜SARの計測を行ないSAR実測値を取得し、演算処理部114内のメモリに記憶させる。そして、SARグラフ表示制御部204は、プロトコルの進行状況を表す情報又はマークをSARグラフに表示すると共に、SAR実測値をSARグラフにプロットする。
ステップS1702で、プロトコル中の一つのパルスシーケンスの撮像が終了すると、SAR実測部1301は、プロトコル中で未実行のパルスシーケンスを数える。
ステップS1703で、未実行パルスシーケンスの数が1以上の場合(Yes)はステップS1706に移行する。1未満の場合(No)は、ステップS1705に移行する。
ステップS1705で、未実行パルスシーケンスの数が1未満の場合は、全てのパルスシーケンスの撮像が終了し、プロトコルに基づいた撮像を終了する。
ステップS1706で、SAR演算部202は、実行中又は実行済パルスシーケンスのSAR実測値に基づいて、プロトコル中の未実行パルスシーケンスのSAR予測値を計算する。計算の仕方は前述の通りである。
ステップS1707で、SARグラフ表示制御部204は、ステップS1706で計算されたSAR予測値に基づいて、SARグラフにおけるプロトコル中の未実行パルスシーケンス部を更新する。
ステップS1708で、SAR調整部205は、ステップS1706で再計算されたSAR予測値とSAR上限値とを比較する。SAR予測値がSAR上限値未満となる場合は、ステップS1704に移行する。SAR予測値がSAR上限値以上の場合は、ステップS1709に移行する。
ステップS1709で、SAR調整部205は、未実行パルスシーケンスの数が2以上でその中で可動パルスシーケンスが存在するか否かを判定する。この条件に合致する場合(Yes)はステップS1710に移行する。この条件に合致しない場合(No)はS1712に移行する。
ステップS1710で、操作者は、必要に応じて、SARグラフ上のプロトコル未実行部で、操作部を介して可動パルスシーケンス同士を入れ替えるプロトコル編集操作を行う。SAR調整部205は、操作者が可動パルスシーケンスの入れ替えを行なったか否かを判定する。操作者が入れ替えを行なった場合(Yes)は、ステップS1711に移行する。操作者が入れ替えを行なわなかった場合(No)は、ステップS1712に移行する。
ステップS1711で、SAR調整部205は、ステップS1710で操作者により行われた可動パルスシーケンス同士を入れ替えるプロトコル編集操作に基づき、可動パルスシーケンス同士の入れ替えを反映してプロトコルを確定し、確定したプロトコル情報をメモリに記憶する。そして、ステップS1706に移行して、SAR予測値の再計算とSARグラフの更新が行なわれる。
ステップS1712で、SAR調整部205は、SARグラフ上のプロトコル未実行部で、待ち時間を挿入する。待ち時間の挿入は、いずれかの未実行パルスシーケンスの先頭に挿入される。そして、ステップS1706に移行して、SAR予測値の再計算とSARグラフの更新が行なわれる。
ステップS1704で、ステップS1708でSAR予測値がSAR上限値未満である場合は、演算処理部114は、計測制御部111に次のパルスシーケンスを開始するよう指示する。そしてステップS1702に以降する。
以上までが、本実施例の全体処理フローの説明である。
以上説明したように、本実施例のMRI装置及びSAR調整方法は、プロトコルに基づいた撮像の進行中に、実行中又は実行済みのパルスシーケンスについて、SARの実測値を計測し、計測したSAR実測値に基づいて、未実行のパルスシーケンスについてのSAR予測値とSARグラフの更新を行う。そして、このグラフ上で、操作者に未実行のパルスシーケンスについての入れ替えや待ち時間挿入等のプロトコル編集操作を可能とする。これにより、SAR予測値をより精度良く求めることができ、プロトコルの進行中にSAR予測値がSAR上限値以上になっても、即座に、未実行のパルスシーケンスについての入れ替えや待ち時間挿入を行なって、予め入力された撮像条件を変更せず、且つ、SAR上限値の制限内で所望の撮像を行うことができる。
次に、本発明のMRI装置及びSAR調整方法についての実施例4を説明する。本実施例は、SARグラフ上で、パルスシーケンスの各種パラメータの変更を可能にする。以下、前述の実施例1と異なる箇所のみ詳細に説明し、同一の箇所については説明を省略する。
可動なパルスシーケンスが存在しない、或いは、パルスシーケンスの入れ替えを行なっても依然としてSAR予測値がSAR上限値未満とならない場合、且つ、待ち時間の挿入が好ましくない場合は、撮像目的に叶う範囲でパルスシーケンスの各種撮像パラメータを変更することにより撮像の実行が可能になる。本実施例は、このような撮像パラメータの変更をSARグラフ上で可能にする。
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図19に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114の各機能部の構成は図2で示した実施例1の構成の他に撮像パラメータ設定部1901を有する。また、SAR演算部202とSARグラフ表示制御部204の処理内容が前述の実施例1と異なる。
撮像パラメータ設定部1901は、変更可能な撮像パラメータについて、SAR予測値を低減可能な推奨値又は推奨範囲を計算する。そして、操作者により、撮像パラメータ値の変更指示が入力されると、撮像パラメータ設定部1901は、変更された撮像パラメータの値に基づいてパルスシーケンスを変更し、変更したパルスシーケンス情報を計測制御部111に通知する。
SAR演算部202は、撮像パラメータの値が変更されたパルスシーケンスについて、SAR予測値を再計算する。
SARグラフ表示制御部204は、SARグラフ上に、撮像パラメータ設定部1901で求められた変更可能な撮像パラメータの現状値とSAR予測値を低減可能な推奨範囲を表示して、操作者の撮像パラメータ値の変更指示を受け付ける。また、SARグラフ表示制御部204は、SAR演算部202により再計算されたSAR予測値に基づいてSARグラフを更新する。
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行う、本実施例の処理フローを説明する。本実施例の全体処理フローは図7Aと同じなので説明を省略する。本実施例におけるステップS704の詳細を図20に示すフローチャートに基づいて説明する。図20のフローチャートは、図7Bで説明した実施例1のフローチャートと比較し、ステップS2001〜S2004のみが異なる。他は同じなので説明は省略する。
ステップS2001で、プロトコルの中で可動パルスシーケンスが無く(ステップS714でNo)、且つ、待ち時間挿入が不可の(或いは無い、ステップS717でNo)場合に、撮像パラメータ設定部1901は、変更可能な撮像パラメータについて、SAR予測値を低減可能な推奨値又は推奨範囲を計算する。
ステップS2002で、撮像パラメータ設定部1901は、SARグラフ上に、変更可能な撮像パラメータの現状値とSAR予測値を低減可能な推奨値又は推奨範囲を表示する。図21に表示例を示す。図21は、図3に示したSARグラフ内の特にSAR予測値がSAR上限値以上の超過パルスシーケンス3の領域上に、変更可能な撮像パラメータとして計算されたTR(繰り返し時間)とスライス数が選択されて、これらの撮像パラメータの現状値とSAR予測値を低減できる推奨値がそれぞれ表示された例である。
ステップS2003で、操作者は、操作部を介して、SARグラフ上で変更可能な撮像パラメータについて、その値を推奨範囲の中から選択して設定する。
ステップS2004で、撮像パラメータ設定部1901は、ステップS2003で変更された撮像パラメータの値に基づいてパルスシーケンスを変更し、変更したパルスシーケンス情報を計測制御部111に通知する。そして、ステップS711に移行して、SAR予測値の再計算とSARグラフの更新が行なわれる。
以上の処理を、プロトコルを構成する全てのパルスシーケンスについて、そのSAR予測値がSAR上限値未満となるまで繰り返すことにより、全てのパルスシーケンスについて実行可能な撮像パラメータ値を設定することが可能になる。その結果、図21に示すSAR上限値を超過するSAR予測値が存在するSARグラフが、図22に示す様に全てのSAR予測値がSAR上限値未満に変わる。
以上までが、全体処理フローの説明である。
なお、以上の説明は、超過パルスシーケンスについて、その撮像パラメータの値を変更する例を説明したが、必要に応じて、上限値未満パルスシーケンスについてもその撮像パラメータ値を変更しても良い。
また、本実施例の撮像パラメータ値の変更は、実施例1のようにプロトコル開始前に行っても良いし、実施例3のように、プロトコル実行中に行っても良い。
以上説明したように、本実施例のMRI装置及びSAR調整方法は、SARグラフ上で、パルスシーケンスの各種パラメータの変更を可能にする。特に、プロトコルの中で可動パルスシーケンスが無く、且つ、待ち時間挿入が不可の場合に、撮像パラメータ値を変更することによって、事前に設定した撮像条件(撮像パラメータ値)では実行不可能なプロトコルやパルスシーケンスであっても、可能な範囲で撮像パラメータ値を変更することによって、SAR上限値の制限内で所望の撮像を行うことができるようになる。
以上が、本発明を適用する具体的な実施例である。しかし、本発明は、以上の各実施例で開示された内容にとどまらず、本発明の趣旨を踏まえた上で各種形態を取りえる。例えば、実施例2と実施例3とを組み合わせて、プロトコルの進行中に、プロトコル未実行部のSAR予測値がSAR上限値以上と成った場合に、未実行部のパルスシーケンスに関して、自動的に入れ替えや待ち時間挿入を行っても良い。
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 受信RFコイル、106 信号検出部、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113 表示・操作部、114 演算処理部、115 記憶部、116 SAR検出部

Claims (19)

  1. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、
    前記RFパルスの照射により、前記被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値の時間変化を計算するSAR演算部と、
    前記SAR予測値を表示する表示部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値以下となるように、前記複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、
    前記SAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成し、前記表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部を備え
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SARグラフにおいて、前記SAR予測値が前記SAR上限値より大きくなるパルスシーケン部分の背景と、前記SAR予測値が前記SAR上限値以下となるパルスシーケンス部分の背景とで、表示態様を異ならせることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、
    前記RFパルスの照射により、前記被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値の時間変化を計算するSAR演算部と、
    前記SAR予測値を表示する表示部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値以下となるように、前記複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、
    前記SAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成し、前記表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SARグラフにおいて、移動可能なパルスシーケンス部分と、移動不可能なパルスシーケン部分とで、表示態様を異ならせることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、
    前記RFパルスの照射により、前記被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値の時間変化を計算するSAR演算部と、
    前記SAR予測値を表示する表示部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値以下となるように、前記複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、
    前記SAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成し、前記表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SARグラフに、前記パルスシーケンスの名称と撮像時間を表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、
    前記RFパルスの照射により、前記被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値の時間変化を計算するSAR演算部と、
    前記SAR予測値を表示する表示部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値以下となるように、前記複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、
    前記SAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成し、前記表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記複数のパルスシーケンスを組み合わせた撮像の進行を表す情報を前記SARグラフに表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において該被検体へのRFパルスの照射を制御するRFパルス制御部と、
    前記RFパルスの照射により、前記被検体に吸収される電磁波エネルギーの予測値であるSAR予測値の時間変化を計算するSAR演算部と、
    前記SAR予測値を表示する表示部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値以下となるように、前記複数のパルスシーケンスの実行を調整するSAR調整部と、
    前記SAR予測値の時間変化を表すSARグラフを作成し、前記表示部に該SARグラフを表示させるSARグラフ表示制御部と、
    前記SAR予測値がSAR上限値より大きくなるパルスシーケンスの撮像パラメータについて、前記SAR予測値が前記SAR上限値以下となるように変更可能な撮像パラメータを求める撮像パラメータ設定部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記変更可能な撮像パラメータを前記SARグラフに表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SAR演算部は、前記変更可能な撮像パラメータの値の変更に基づいて、前記SAR予測値がSAR上限値より大きくなるパルスパルスシーケンスのSAR予測値を再計算し、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記再計算されたSAR予測値が反映されるように前記SARグラフを更新することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SAR上限値を前記SARグラフに表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SARグラフにおいて、前記SAR予測値がSAR上限値より大きくなるパルスシーケンス部分と、前記SAR予測値がSAR上限値以下となるパルスシーケンス部分とで、表示態様を異ならせることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    移動可能なパルスシーケンスの入れ替え操作を受け付ける入れ替え操作入力部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記パルスシーケンスが入れ替えられたSARグラフを作成して前記表示部に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SAR調整部は、移動可能なパルスシーケンスの特定と、該特定したパルスシーケンスの入れ替えを行なうことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    2つのパルスシーケンスの間に待ち時間の挿入操作を受け付ける待ち時間挿入操作入力部を備え、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記待ち時間が挿入されたSARグラフを作成して前記表示部に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SARグラフに、前記パルスシーケンス間の区切りを表す情報を表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SAR調整部は、前記複数のパルスシーケンスのいずれかの間に待ち時間の挿入可能な箇所の特定と、特定した箇所に待ち時間の挿入を行なうことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記複数のパルスシーケンスの内で、実行済パルスシーケンス又は実行中のパルスシーケンスについて前記被検体に吸収された電磁波エネルギーであるSAR実測値を求めるSAR実測部を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  15. 請求項14記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記SAR実測値の時間変化を前記SARグラフに表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  16. 請求項14又は15記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SAR演算部は、前記SAR実測値に基づいて、前記複数のパルスシーケンスの内の未実行パルスシーケンスについてのSAR予測値を更新し、
    前記SARグラフ表示制御部は、前記更新されたSAR予測値を反映するように前記SARグラフを更新することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記SAR調整部は、前記複数のパルスシーケンスの内の未実行パルスシーケンスについて、移動可能なパルスシーケンスの入れ替え又は待ち時間の挿入を行なうことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  18. 複数のパルスシーケンスを組み合わせて行なう被検体の撮像において、
    前記パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を求めるステップと、
    前記パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を表すSARグラフを表示するステップと、
    を有し、
    前記SARグラフを表示するステップは、前記SARグラフに前記パルスシーケンスの名称と撮像時間を表示し、前記SARグラフにおいて、少なくとも2つのパルスシーケンス部分の表示態様を、各々のパルスシーケンスのSAR予測値又は入れ替えの可否に基づいて異ならせることを特徴とするSAR調整方法。
  19. 請求項18記載のSAR調整方法において、
    前記複数のパルスシーケンスの内の移動可能なパルスシーケンスの入れ替え、又は、前記複数のパルスシーケンスのいずれかの間に待ち時間を挿入するステップと、
    前記パルスシーケンスの入れ替え又前記待ち時間の挿入後の前記パルスシーケンスのSAR予測値の時間変化を再計算するステップと、
    前記パルスシーケンスの入れ替え又前記待ち時間の挿入と、前記再計算されたSAR予測値と、を表すように前記SARグラフを更新するステップと、
    を備えたことを特徴とするSAR調整方法。
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