JP5810328B2 - 圧電型音響変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電型音響変換器に関し、より特定的には、省スペース化と低音再生能力向上とを両立した圧電型音響変換器に関する。
従来の圧電型音響変換器(「圧電型スピーカ」)は、逆圧電効果を利用した振動板の曲げ変形と振動板自身の固有共振とを用いて音を再生する。このため、同等面積の振動板を持つ動電型スピーカと比べて低音再生能力に劣るという課題があった。この課題を解決する手段として、フレームと振動板との間にダンパおよびエッジを形成した圧電型スピーカがあった(例えば、特許文献1参照)。
図44は、特許文献1に記載された圧電型スピーカの外観図である。圧電型スピーカ10は、アウタフレーム21と、インナフレーム22と、圧電素子30と、振動板41〜44と、ダンパ51〜58、エッジ61〜64とを有している。圧電型スピーカ10において、圧電素子30の主面に垂直な方向に交流信号を印加すると、圧電素子30が逆圧電効果によりその主面方向に伸縮するために、振動板41〜44に曲げ変形が生じる。その結果、圧電型スピーカ10は、主面に対して垂直な方向に音波を発生させる。
上記構成の圧電型スピーカ10は、ダンパ51〜58と、エッジ61〜64を備えることで支持系スティフネスを低くすることが可能である。このため、最低共振周波数を低下させ、従来の圧電型スピーカと比べて低音再生限界を低くできる構成となっている。
特開2001−160999号公報
しかしながら、上記構成の圧電型スピーカ10で低音域に十分な音量を得ようとすると、高い電圧を印加して圧電素子30の伸縮量を増やす必要がある。このため、次の二つの課題が生じる。第一に、高い交流電圧を印加することにより圧電素子39の電気的な許容入力範囲を超える電界が加わると、圧電素子30の性能劣化の問題が生ずる。第二に、圧電素子30の曲げ変形量が圧電体材料の限界破壊応力を上回ることによる割れ破壊の問題が生ずる。
それゆえ、本発明の目的は、限られたスペースで、低音域においても圧電素子への印加電圧を増やすことなく、高い音圧が再生可能な圧電型音響変換器を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用している。
本発明の圧電型音響変換器は、壁面に開口部が形成された筐体と、電圧を印加することによって互いに逆位相で振動する第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板を少なくとも含む複数の振動板と、第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板を、厚み方向に連結する少なくとも一つの連結部材と、第1及び第2の圧電振動板のうち少なくとも一つを、筐体に固定する固定部材とを備え、複数の振動板のうち一つは、一方側の面が筐体の外側に対面し、他方側の面が筐体の内側に対面するように筐体の開口部に配置され、第1及び第2の圧電振動板の振幅を合成した振幅で振動することによって音波を放射し、各第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板は、基板と、基板の表面及び裏面の少なくとも一方に配置され、電圧を印加することによって伸縮する少なくとも一つの圧電素子とを含み、少なくとも一つの前記圧電素子に対して直列に電気抵抗が接続される。
好ましくは、電気抵抗の値は、圧電型音響変換器の機械的共振周波数のうち、2番目に低い共振周波数および3番目に低い共振周波数のいずれかと、圧電素子の静電容量によって定められる。
また、少なくとも一つの振動板は、周囲に柔軟材料から成るエッジを持ち、前記振動板は、音波の放射面として動作し、エッジは、外部フレームに接続される。
電気抵抗の値は、音波の放射面として動作する振動板において、電気抵抗を接続しないときの振動板上の各点における音波放射方向への変位量が正と負の両方の値を持つ周波数のうち、最も低い周波数と、圧電素子の静電容量によって定められる。
電気抵抗は、固定部材に固定された圧電振動板上の圧電素子に対して直列に接続される。
また、電気抵抗は、連結部材の表面または内部に形成される。また、電気抵抗は、基板の表面に形成されてもよい。また、電気抵抗は、外部フレームの表面または内部に形成されてもよい。
一例として、第1の圧電振動板は、筐体の開口部に配置されて放射板として動作してもよい。この場合、第2の圧電振動板は、筐体の内部に収納される。他の例として、複数の振動板には、厚み方向にずれた位置関係で第1の圧電振動板に接続され、第1の圧電振動板から伝達される合成した振幅で振動する放射板が含まれてもよい。この場合、第1及び第2の圧電振動板は、筐体の内部に収納される。
また、放射板と第1の圧電振動板とは、互いに対面するように配置されてもよい。さらに、圧電型音響変換器は、放射板と、第1の圧電振動板の最も振幅の大きい位置とを接続する接続部材を備えてもよい。これにより、第1及び第2の圧電振動板の振動を効率よく放射板に伝達することができる。
固定部材は、第2の圧電振動板を、前記筐体の内壁面に固定してもよい。さらに、圧電型音響変換器は、筐体に設けられた隙間を通じて筐体の内外に延在し、第2の圧電振動板を筐体の外の剛体に固定する固定部材を備えてもよい。これにより、第1及び第2の圧電振動板の振動が筐体に伝わるのを防止することができる。
また、第1及び第2の圧電振動板は、長辺及び短辺を有する略矩形形状であってもよい。そして、連結部材は、第1及び第2の圧電振動板それぞれの短辺に沿って延びる長尺状の部材であって、第1及び第2の圧電振動板の短辺同士を連結してもよい。
また、第1及び第2の圧電振動板は、略矩形形状であってもよい。そして、連結部材は、第1及び第2の圧電振動板それぞれの角部同士を連結してもよい。また、連結部材の放射板の主面と交差する方向の曲げ剛性は、第1及び第2の圧電振動板の主面方向の曲げ剛性より大きくてもよい。これにより、第1及び第2の圧電振動板の振動によって生じる連結部材の変形を小さくすることができる。
また、第1及び第2の圧電振動板は、基板と、基板の表面及び裏面の少なくとも一方に配置され、電圧を印加することによって伸縮する圧電素子とを含んでもよい。第1及び第2の圧電振動板は、基板の両面に圧電素子を備えるバイモルフ型であってもよいし、基板の片面だけに圧電素子を備えるモノモルフ型であってもよい。
また、基板の前記圧電素子が配置されている面には、信号源と前記圧電素子とを接続する配線がプリントされていてもよい。また、配線は、信号源から第1及び第2の圧電振動板の一方を経由して他方にまで延在し、第1の圧電振動板の圧電素子と第2の圧電振動板の圧電素子とを導通させてもよい。
さらに、配線は、連結部材の表面又は連結部材の内部に形成された貫通孔通って、第1及び第2の圧電振動板の一方を経由して他方にまで延在してもよい。さらに、圧電型音響変換器は、柔軟材料で構成され、放射板と前記筐体の開口部との間の隙間を封止する封止部材を備えてもよい。
上述した本発明によれば、複数の圧電振動板を厚み方向に連結し、互いに逆の曲げ変形を生じさせることによって、圧電素子への印加電圧を増やすことなく高い音圧が再生可能な圧電型スピーカを提供することができる。また、本発明によれば、複数の圧電振動板のうち、音波の放射に寄与しない圧電振動板に装着された圧電素子に対して直列に電気抵抗を接続することで、振動板ごとに信号入力回路を設けることなく、高い周波数帯域での電力効率を向上させることができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の上面図である。 図1Bは、図1Aに示す圧電型スピーカ101における音波放射方向に平行な面の断面図である。 図2Aは、図1Bに示す圧電型スピーカ101を下方から見た1Y−1Y’における断面図である。 図2Bは、図1Bに示す圧電型スピーカ101を下方から見た1Z−1Z’における断面図である。 図3Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の電気回路構成を示す図である。 図3Bは、図3Aの圧電型スピーカ101を一方の面(電極層3A,電気抵抗層3B)側から見た側面図である。 図3Cは、図3Aの圧電型スピーカ101を他方の面(電気抵抗層3C,電極層3D)側から見た側面図である。 図3Dは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101に対応する電気回路を示す図である。 図4Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101において上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105が音波の放射方向に変位したときの概略断面図である。 図4Bは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101において上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105が音波の放射方向とは逆向きに変位したときの概略断面図である。 図5Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101が電気抵抗を備えない場合の、周波数f1における曲げ変形を示す図である。 図5Bは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101が電気抵抗を備えない場合の、周波数f2における曲げ変形を示す図である。 図5Cは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101が電気抵抗を備えない場合の、周波数f3における曲げ変形を示す図である。 図6Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101に対応する簡略化された電気回路を示す図である。 図6Bは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の印加電圧と周波数特性との関係を示す図である。 図7Aは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の上面図である。 図7Aの圧電型スピーカ201における音波放射方向に平行な面の断面図である。 図8Aは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201を下方から見た2Y−2Y’における断面図である。 図8Bは、図7Bに示す圧電型スピーカ201を下方から見た2Z−2Z’における断面図である。 図9Aは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の上部圧電振動板204及び下部圧電振動板205の電極構成を詳細に示した図である。 図9Bは、下部圧電振動板205の上面の電極構成を示す図である。 図10は、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の電気回路図である。 図11Aは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301の上面図である。 図11Bは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301における音波放射方向に平行な面の断面図である。 図12Aは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301の3Y−3Y’における平面断面図である。 図12Bは、図11Bに示す圧電型スピーカ301の3Z−3Z’における断面図である。 図13Aは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301が音波の放射の向きに最も大きく変位したときの断面概略図である 図13Bは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301が音波の放射の向きとは逆の向きに最も大きく変位したときの断面概略図である。 図14Aは、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401の上面図である。 図14Bは、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401における音波放射方向に平行な面の断面図である。 図14Cは、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401の電気回路図である。 図15は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカの正面図である。 図16は、図15の5X−5X’における断面図である。 図17は、図16の5Y−5Y’における断面図である。 図18は、図16の5Z−5Z’における断面図である。 図19は、第1の圧電振動板の拡大図である。 図20は、図16の領域VIの拡大図である。 図21は、連結部材の第1の変形例を示す図である。 図22は、連結部材の第2の変形例を示す図である。 図23は、第1の圧電振動板が音波の放射方向に最も大きく変位したときの概略断面図である。 図24は、第1の圧電振動板が音波の放射方向とは逆の向きに最も大きく変位したときの概略断面図である。 図25は、第6の実施形態に係る圧電型スピーカの平面図である。 図26は、図25の6X−6X’における断面図である。 図27は、図26の6Y−6Y’における断面図である。 図28は、図27の6Z−6Z’における断面図である。 図29は、第7の実施形態に係る圧電型スピーカの正面図である。 図30Aは、図29の7X−7X’における断面図である。 図30Bは、第7の実施形態に係る接続部材の他の形態を示す図である。 図31は、図30Aの7Y−7Y’における断面図である。 図32は、第8の実施形態に係る圧電型スピーカの正面図である。 図33は、図32の8X−8X’における断面図である。 図34は、図33の8Y−8Y’における断面図である。 図35は、第9の実施形態に係る圧電型スピーカの正面図である。 図36は、図35の9X−9X’における断面図である。 図37は、第10の実施形態に係る圧電型スピーカの正面図である。 図38は、図37の10X−10X’における断面図である。 図39は、本発明の各実施形態に係る圧電型スピーカを適用した映像音響機器の外観図である。 図40は、本発明の圧電型スピーカを適用した携帯型情報機器の外観図である。 図41は、本発明の圧電型スピーカを適用した携帯型映像投影装置の外観図である。 図42は、本発明の各実施形態に係る圧電型スピーカを適用したアレイスピーカモジュールの一部を示す概略図である。 図43は、圧電型スピーカユニットを背面側から見た図である。 図44は、従来の圧電型スピーカの外観図である。
本発明の各実施形態に係る圧電型音響変換器(「圧電型スピーカ」)について具体的に説明する前に、各実施形態において説明する以下の構成要素の特徴について、一括して説明する。
本発明の圧電型スピーカは、圧電素子、基板、連結部材、エッジ、及び電気抵抗を含む構成体である。圧電素子は、薄板形状の圧電体から成り、その二つの主面に導電性材料から成る電極層を有する。基板は、導電性材料、または絶縁性材料の少なくとも一方の主面に導電性材料から成る電極層を有する積層材であり、圧電素子の一方の主面は基板の一方の主面と固着される。連結部材は、樹脂などの絶縁性材料からなり、圧電振動板の分割された領域同士の主面に固着される。また、連結部材は、基板に対して高いヤング率と低い密度を有していることが望ましい。エッジは、基板の曲げ変形を著しく阻害しない物性および形状を有していることが望ましく、たとえばラミネート材、ウレタンゴム等の柔軟材料である。電気抵抗は、合金、金属と樹脂との複合材料、カーボンなどの導電性材料から成る。筐体は、圧電型スピーカが取り付けられる構成要素であり、内部に空間を備える。固定部材は、圧電型スピーカを筐体に固定する構成要素である。
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る圧電型スピーカについて具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1A,1Bを参照して、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の構造を説明する。図1Aは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の上面図である。図1Bは、図1Aに示す圧電型スピーカ101における音波放射方向に平行な面の断面図である。図1Aにおいては、筐体102と圧電型スピーカ101との構成要素のうち、上部圧電振動板104の上面が示されている。また、図1Bにおいては、図1Aに示す圧電型スピーカ101の1X−1X’における断面図が示されている。
図1Bにおいて、圧電型スピーカ101は、上部圧電振動板104と、下部圧電振動板105と、連結部材106a、106b、106c、106dと、エッジ103とで主に構成される。圧電型スピーカ101は、図1Bの中心線(図示省略)に対して左右に対称な構造である。なお、上部圧電振動板104を第1の圧電振動板と記し、下部圧電振動板105を第2の圧電振動板と記してもよい。
筐体102は、振動板を収納する空間を内部に有する略直方体である。また、筐体102の前面側の壁面には、開口部が設けられている。なお、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101は、例えば、薄型テレビ等に搭載されるので、長さや幅と比較して、厚み(図1Bの上下方向の寸法)が極めて小さくなっている。また、上部圧電振動板104は、一方側の面が筐体102の外側に対面し、他方側の面が筐体102の内側に対面するように筐体102の開口部に配置され、音波を放射する放射板として機能する。一方、下部圧電振動板105は、筐体102の内部空間に収納される。
上部圧電振動板104と下部圧電振動板105とは、略矩形形状の平板状部材であり、電圧を印加することによって振動する振動板として機能する。上部圧電振動板104と下部圧電振動板105とは、4箇所の略角部において連結部材106a、106b、106c、106dを介して互いに接続される。下部圧電振動板105は、下面の中央部で固定部材113を介して筐体102の背面に接続される。また、上部圧電振動板104の外周部にはエッジ103が接続されている。エッジ103は、筐体102の表面に接続されている。
上部圧電振動板104と下部圧電振動板105とは、それぞれ基板の両面に圧電素子を装着したバイモルフ型の圧電振動板となっている。すなわち、上部圧電振動板104は、基板107と、基板107の上面に取り付けられる圧電素子108と、基板107の下面に取り付けられる圧電素子109とで構成される。同様に、下部圧電振動板105は、基板110と、基板110の上面に取り付けられる圧電素子111と、基板110の下面に取り付けられる圧電素子112とで構成される。なお、第1の実施形態に係る上部圧電振動板104と下部圧電振動板105とは、それぞれ基板の両面に圧電素子を装着したバイモルフ型の圧電振動板の例を示したが、基板の一方の面にだけ圧電素子を装着したモノモルフ型の圧電振動板を採用してもよい。
図2A,2Bは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の構造を詳細に示すための平面断面図である。図2Aは、図1Bに示す圧電型スピーカ101を下方から見た1Y−1Y’における断面図である。図2Bは、図1Bに示す圧電型スピーカ101を下方から見た1Z−1Z’における断面図である。
図3A,3B,3Cは、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101の電気回路構成を示すため、エッジ、筐体、および固定部材等を省略し、上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105の電極構成を詳細に示した図である。図3Aは、図1Bに示す圧電型スピーカ101に対応する断面図である。図3Bは、図3Aの一方の面(電極層3A,電気抵抗層3B)側から圧電型スピーカ101を見た側面図である。図3Cは、図3Aの他方の面(電気抵抗層3C,電極層3D)側から圧電型スピーカ101を見た側面図である。図3Bにおいて、電極層3A、3D、および電気抵抗層3B、3Cは、連結部材106a、106b、106c、106dの表面に形成される。図3Dは、圧電型スピーカ101に対応する電気回路を示す図である。なお、図3Aにおいて、電極層3A、3D、及び電気抵抗層3B、3Cは、上部圧電振動板104と下部圧電振動板105との間の電極の接続関係を示すため、便宜的に点線で示されている。
このような構造を備えた圧電型スピーカ101に交流信号を印加した時の低音域における動作を、図4A,4Bを用いて説明する。図4Aは、圧電型スピーカ101において上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105が音波の放射方向に変位したときの概略断面図である。図4Bは、圧電型スピーカ101において上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105が音波の放射方向とは逆向きに変位したときの概略断面図である。なお、図4A及び図4Bでは、圧電型スピーカ101の中心から右側は省略して表示している。
圧電型スピーカ101が音波の放射の向きに変位するように電圧が印加されたとき、圧電型スピーカ101は全体として図4Aに示すような曲げ変形をする。圧電型スピーカ101が音波の放射の向きとは逆向きに変位するように電圧が印加されたときは、圧電素子の伸縮は図4Aの場合とは逆となり、結果として図4Bに示すような曲げ変形をする。すなわち、上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105は、互いに対向方向の曲げ変形を起こす。上部圧電振動板104は、上部圧電振動板104自身の曲げ変形による変位に、下部圧電振動板105の端部の変位を足したものとなるため、上部圧電振動板104を単独で用いるよりも、上部圧電振動板104の変位を増加させることができる。したがって、本発明の圧電型スピーカ101によれば、圧電素子への印加電圧を増やすことなく高い音圧を再生することができる。
また、本発明の圧電型スピーカ101によれば、高い周波数帯域で電力効率が低いという課題を解決することができる。図5A,5B,5Cを用いて、圧電型スピーカ101が電気抵抗を備えず、上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105が備える圧電素子全てに同一振幅の電圧が加わる場合の上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105の曲げ変形を説明する。図5Aは、周波数f1における曲げ変形を示す断面図である。図5Bは、周波数f2における曲げ変形を示す断面図である。図5Cは、周波数f3における曲げ変形を示す断面図である。なお、f1<f2<f3である。
通常、圧電型スピーカ101は、板としての固有共振周波数を再生周波数帯域内に複数持つ。圧電型スピーカ101において、1次の固有共振周波数付近では図5Aに示すように、電圧印加による曲げ発生力の向きと共振による曲げの向きは、上部圧電振動板104及び下部圧電振動板105上で一致している。このため低音域では、印加電圧に対して効率よく、上部圧電振動板104及び下部圧電振動版105を変位させることができる。一方、2次以上の固有共振周波数付近では、図5B,5Cに示すように、上部圧電振動板104及び下部圧電振動版105上の位置によって共振による曲げの向きが電圧印加による曲げ発生力の向きと一致しない部分が存在する。高音域ではこれらの固有共振が支配的となるため、電圧印加による曲げの効果が共振による曲げによって相殺され、効率よく上部圧電振動板104及び下部圧電振動版105を変位させることができない。
ここで、下部圧電振動板105が備える圧電素子111によって実現されるコンデンサに対して電気抵抗層3Cを接続し、圧電素子112によって実現されるコンデンサに対して電気抵抗層3Bを接続する。すなわち、下部圧電振動板105が備える圧電素子111に直列に電気抵抗を接続し、圧電素子112に直列に電気抵抗を接続することにより、圧電型スピーカ101の電気回路は、図3Dに示す電気回路となる。なお、下部圧電振動板105が備える圧電素子111、あるいは圧電素子112の少なくとも一方に電気抵抗を接続するものであってもよい。
図3Dに示す電気回路を簡略化すると図6Aに示す電気回路となる。ただし、下部圧電振動板105が備える圧電素子111、112、および電気抵抗層3C、3Dによって形成される回路の容量成分をC、抵抗成分をRとする。このとき、圧電型スピーカ101に印加される電圧をVin、上部圧電振動板104の圧電素子108、109に印加される電圧をV1、下部圧電振動板105の圧電素子111及び圧電素子112に印加される電圧をV2とする。V1、V2は、Vin、容量成分C、抵抗成分R、および駆動周波数fを用いて、下記の式1で表される。
Figure 0005810328
すなわち、上部圧電振動板104の駆動電圧に対する下部圧電振動板105の駆動電圧は、周波数の増加に従って減少する。この結果、高音域においては音波の放射に寄与する上部圧電振動板104が主に駆動されるため、電圧印加による曲げの向きと共振による曲げの向きの不一致が抑制される。
仮に、上部圧電振動板104の駆動電圧V1に対して、下部圧電振動板105の駆動電圧V2が半分となる周波数をfcとする場合、CRの値が1/2πfcとなるよう、抵抗成分Rの値を設定すれば良い。例として、横軸に周波数、縦軸にCR=4×10-4としてV1に対するV2の比をとったグラフを図6Bに示す。ここで、抵抗成分Rの値は、圧電型スピーカ101の2次の固有振動数における駆動電圧V2を所望のレベルに低下させることを目標として設定しても良いし、上部圧電振動板104の振動分布が静止の位置に対して正と負の両方の位相を持つような周波数のうち、最も低い周波数における駆動電圧V2を所望のレベルに低下させるように設定しても良い。
以上により、第1の実施形態によれば、各振動板の配線を独立させて別途フィルタ回路を接続することなく、下部圧電振動板105への印加電圧V2を周波数増加に従って減少させることができる。これによって、高い周波数帯域での電力効率を高めることができる。
なお、第1の実施形態において、電気抵抗層3B,3Cは、連結部材の表面上に形成するとしたが、電気抵抗層3B,3Cは連結部材の内部に形成してもよく、たとえばプリント基板材料からなる連結部材のスルーホール加工部に形成しても良い。また、電気抵抗層3B,3Cは、内部電極層を持った複合材料からなる連結部材の内部層として形成しても良い。さらに、電気抵抗層3B,3Cは、必ずしも連結部材に形成する必要はなく、外部信号源側に別途フィルタを用意することなく、図6Aの回路を実現できれば良い。また、下部圧電振動板105が備える圧電素子111、あるいは圧電素子112だけではなく、上部圧電振動板104が備える圧電素子108、あるいは圧電素子109の少なくとも一方に電気抵抗を接続するものであってもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201は、第1の実施形態において、電気抵抗を下部圧電振動板の固定部の基板表面に設けたことを特徴とする。以下、この特徴を中心に説明を行い、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101と共通する特徴については原則として説明を省略する。
図7A,7Bを参照して、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の構造を説明する。図7Aは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の上面図である。図7Bは、図7Aの圧電型スピーカ201における音波放射方向に平行な面の断面図である。図7Bでは、図7Aにおける2X−2X’の断面図が示されている。図7Bにおいて、圧電型スピーカ201は、筐体202と、上部圧電振動板204と、下部圧電振動板205と、連結部材206a、206b、206c、206dと、エッジ203とで主に構成される。
上部圧電振動板204は、基板207と、基板207の上面に取り付けられる圧電素子208と、基板207の下面に取り付けられる圧電素子209とで構成される。下部圧電振動板205は、基板210と、基板210の上面に取り付けられる圧電素子211a、211bと、基板210の下面に取り付けられる圧電素子212a,212bとで構成される。すなわち、下部圧電振動板205は、4枚の圧電素子211a,211b,212a,212bを備え、固定部材213と接する固定部の基板表面を空ける形で配置される。固定部の基板両面には、電気抵抗層214、215が形成されている。
また、図8A,8Bは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の平面断面図である。図8Aは、図7Bに示す圧電型スピーカ201を下方から見た2Y−2Y’における断面図である。図8Bは、図7Bに示す圧電型スピーカ201を下方から見た2Z−2Z’における断面図である。
図9Aは、第2の実施形態に係る圧電型スピーカ201の電気回路構成を示すため、エッジ、筐体、および固定部等を省略し、上部圧電振動板204及び下部圧電振動板205の電極構成を詳細に示した図である。また、図9Bは、下部圧電振動板205の上面の電極構成を示す図である。
以上の電極構成により、圧電型スピーカ201に対応する電気回路は、図10に示す電気回路となる。図10示す電気回路を簡略化すると、図6Aと同様の電気回路となる。したがって、圧電型スピーカ201の低音域および高音域における動作は、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101と共通する。このため、第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、各振動板の配線を独立させて別途フィルタ回路を接続することなく、下部圧電振動板205への印加電圧を周波数増加に従って減少させることができる。これによって、高い周波数帯域での電力効率を高めることができる。
また、第2の実施形態によれば、下部圧電振動板205の固定部付近に圧電素子を設けないためコンデンサ成分の電極面積が減少し、静電容量が減少する。第1の実施形態では下部圧電振動板105の固定部側の圧電素子は曲げ変形に寄与していないので、第2の実施形態によればより少ない電流で、第1の実施形態と同等の動作を得ることができる。このため、低い周波数帯域においてもさらに電力効率を高めることができる。さらに、固定部付近の大きな曲げ変形により圧電素子が応力破壊することを防ぎ、動作可能な入力電圧範囲を広げることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301は、第1の実施形態において、下部圧電振動板を上部圧電振動板と対向に配置せず、上部圧電振動板の延長平面から厚み方向にずらして配置したことを特徴とする。以下、この特徴を中心に説明を行い、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101と共通する特徴については原則として説明を省略する。
図11A,11Bを参照して、第3の実施形態に係る圧電型スピーカの構造を説明する。図11Aは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301の上面図である。図11Bは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301における音波放射方向に平行な面の断面図である。図11Aでは筐体302と圧電型スピーカ301との構成要素のうち領域304の上面が示されている。図11Bでは、図11Aにおける3X−3X’の断面図が示されている。図11Bにおいて、圧電型スピーカ301は、上部圧電振動板304と、下部圧電振動板308aと、下部圧電振動板308bと、連結部材312a、312b、312c、312dと、エッジ303とで主に構成される。圧電型スピーカ301は、図11Bの中心線(図示省略)に対して左右に対称な構造である。
上部圧電振動板304の下面左端と、下部圧電振動板308aの上面右端とは、連結部材312a、312bを介して接続される。同様に、上部圧電振動板304の下面右端と、下部圧電振動板308bの上面左端とは、連結部材312c、312dを介して接続される。下部圧電振動板308aの左端部は、固定部材313aを介して筐体302の表面および背面に接続される。下部圧電振動板308bの右端部は、固定部材313bを介して筐体302の表面および背面に接続される。
図12A,12Bは、第3の実施形態に係る圧電型スピーカ301の構造を詳細に示すための平面断面図である。図12Aは、図11Bに示す圧電型スピーカ301の3Y−3Y’における断面図である。図12Bは、図11Bに示す圧電型スピーカ301の3Z−3Z’における断面図である。
このような構造を備えた圧電型スピーカ301の電圧印加時の動作を、図13A,13Bを用いて説明する。図13Aは、圧電型スピーカ301が音波の放射の向きに最も大きく変位したときの断面概略図である。図13Bは、圧電型スピーカ301が音波の放射の向きとは逆の向きに最も大きく変位したときの断面概略図である。なお、図13A、13Bでは、圧電型スピーカ301の中心から右側は省略して表示している。
圧電型スピーカ301が音波の放射の向きに変位するように電圧が印加されたとき、圧電素子306および圧電素子311aは主面方向に伸び変形し、圧電素子307および圧電素子310aは主面方向に縮み変形し、基板305および基板309aは伸縮しない。この結果として圧電型スピーカ301は、全体として図13Aに示すような曲げ変形をする。圧電型スピーカ301が音波の放射の向きとは逆向きに変位するように電圧が印加されたときは、圧電素子の伸縮は図13Aの場合とは逆となり、結果として図13Bに示すような曲げ変形をする。
ここで、圧電型スピーカ301の上方での所定の距離における音圧に寄与するのは、上部圧電振動板304とエッジ303との変位であるから、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、圧電素子への印加電圧を増やすことなく高い音圧を再生することができる。
また、第3の実施形態においても、電気抵抗(図示せず)を下部圧電振動板308a,308bが備える圧電素子に直列接続することで、第1の実施形態と同様に、各振動板の配線を独立させて別途フィルタ回路を接続することなく、下部圧電振動板308a,308bへの印加電圧を周波数増加に従って減少させることができる。これによって、高い周波数帯域での電力効率を高めることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401は、第1の実施形態において、互いに対向配置され、互いに振動板の主面に関して逆方向に曲げ変形する圧電振動板を4枚設けたことを特徴とする。以下、この特徴を中心に説明を行い、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101と共通する特徴については原則として説明を省略する。
図14A、14Bを参照して、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401の構造を説明する。図14Aは、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401の上面図である。図14Bは、第4の実施形態に係る圧電型スピーカ401における音波放射方向に平行な面の断面図である。図14Bには、図14Aにおける4X−4X’断面図が示されている。図14Bにおいて、圧電型スピーカ401は、圧電振動板2枚を端部で連結した圧電振動板の組を厚み方向に2組配置し、さらに圧電振動板の組同士を長辺方向の中央部で連結することで実現されている。
ここで、向かい合う振動板同士の曲げが逆となるような電圧印加を圧電型スピーカ401に与える。すなわち、図14Bの曲げ変形を厚み方向に重ねるような電圧印加を圧電型スピーカ401に与えるものとすれば、第1の実施形態と同様に、圧電素子への印加電圧を増やすことなく高い音圧を再生することができる。
また、第4の実施形態においても、第1の実施形態に係る圧電型スピーカ101と同様にして、図示されない電気抵抗層を連結部材上に形成するものとすれば、図14Cに示す多段フィルタ型のRC回路を形成することができる。これによって、固定部材側に近い圧電振動板ほど高域での印加電圧を減少させることができる。
なお、第1〜4の実施形態において、RC回路を形成するコンデンサ成分は圧電素子のみとしているが、コンデンサ成分は圧電素子のみである必要はなく、圧電素子に加えて電気素子としてのコンデンサを含んでも良い。たとえば、複数の電気抵抗とコンデンサとの組から成る多段フィルタ回路を形成し、その中の少なくとも一つのコンデンサを圧電素子とすることで、圧電素子に印加される信号電圧の周波数帯域を制御しても良い。
(第5の実施形態)
図15〜図20を参照して、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500を説明する。図15は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500の正面図である。図16は、図15の5X−5X’における断面図である。図17は、図16に示す圧電型スピーカ500の5Y−5Y’における断面図である。図18は、図16に示す圧電型スピーカ500の5Z−5Z’における断面図である。図19は、第1の圧電振動板520の拡大図である。図20は、図16の領域VIの拡大図である。
第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500は、図15〜図18に示されるように、筐体510と、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bと、連結部材540a、540bと、固定部材550a、550bと、エッジ561と、放射板保護膜562とを主に備える。この圧電型スピーカ500は、図16の中心線(図示省略)に対して左右に対称な構造である。
筐体510は、振動板(後述)を収納する空間を内部に有する略直方体である。また、筐体510の前面側の壁面には、開口部が設けられている。なお、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500は、例えば、薄型テレビ等に搭載されるので、長さや幅と比較して、厚み(図16の上下方向の寸法)が極めて小さくなっている。
第1の圧電振動板520及び第2の圧電振動板530a、530bは、長辺と短辺とを有する略矩形形状(略長方形状)の平板状部材であり、電圧を印加することによって振動する振動板として機能する。なお、第5の実施形態に係る第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bは、それぞれ基板の両面に圧電素子を装着したバイモルフ型の圧電振動板の例を示したが、本発明では、基板の一方の面にだけ圧電素子を装着したモノモフル型の圧電振動板を採用してもよい。
すなわち、第1の圧電振動板520は、基板521と、基板521の上面に取り付けられる圧電素子522と、基板521の下面に取り付けられる圧電素子523とで構成される。同様に、第2の圧電振動板530a、530bは、それぞれ、基板531a、531bと、基板531a、531bの上面に取り付けられる圧電素子532a、532bと、基板531a、531bの下面に取り付けられる圧電素子533a、533bとで構成される。
図19を参照して、第1の圧電振動板520の構成及び動作を詳しく説明する。なお、以下の説明は、第2の圧電振動板530a、530bにも共通するので、これらの説明は省略する。基板521は、平板状の部材であって、導電性材料又は絶縁性材料により構成される。圧電素子522、523は、主面と交差(直交)する方向に分極した平板状の部材であり、例えば、セラミックス等で構成される。図19の例では、圧電素子522、523の上面側に負の電荷が、下面側に正の電荷が偏在し、分極方向が上向きとなっている。より具体的には、図19の圧電素子522の部分拡大図で示されるように、各結晶内で負の電荷を上側に、正の電荷を下側に偏在させるように圧電素子522を形成することにより、全体として分極方向を上向きにできる。圧電素子523についても同様である。
圧電素子522、523の上面及び下面は、それぞれ信号源に接続されている。図19の例では、上面及び下面に印加される電位が、圧電素子522と圧電素子523とで逆転するように、信号源に接続されている。なお、図19では、2つの信号源が図示されているが、1つの信号源と2つの圧電素子522、523とを接続してもよいことは言うまでもない。
信号源と圧電素子522、523とを接続する配線は、例えば、基板521にプリントしてもよい。また、圧電素子522、523に接続されている配線を、さらに第2の圧電振動板530a、530bにまで延長してもよい。すなわち、信号源から延びる配線を、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの一方を経由して他方にまで延在させ、圧電素子522、523、532a、532b、533a、533bを相互に導通させてもよい。
上記構成の第1の圧電振動板520において、圧電素子522は、上面側に正の電位が、下面側に負の電位が印加されると、主面に平行な方向(「主面方向」と標記する。以下同じ。)に伸張する。一方、圧電素子523は、上面側に負の電位が、下面側に正の電位が印加されると、主面方向に収縮する。その結果、第1の圧電振動板520は、全体として中央部が上方に膨出するように撓む。一方、圧電素子522、523に印加される電圧の極性が逆転すると、第1の圧電振動板520は、中央部が下方に膨出するように撓む。その結果、第1の圧電振動板520は、信号源の周波数に合わせて振動する。
また、第5の実施形態に係る第1の圧電振動板520は、一方側の面が筐体510の外側に対面し、他方側の面が筐体510の内側に対面するように筐体510の開口部に配置され、音波を放射する放射板として機能する。一方、第5の実施形態に係る第2の圧電振動板530a、530bは、筐体510の内部空間に収納される。連結部材540a、540bは、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bとを、厚み方向にずれた位置関係で連結する。なお、連結部材540a、540bは、基板521、531a、531bに対して高いヤング率と低い密度を有していることが望ましい。
図16の例では、連結部材540aは、第1の圧電振動板520の下面左端と第2の圧電振動板530aの上面右端とを連結する。同様に、連結部材540bは、第1の圧電振動板520の下面右端と、第2の圧電振動板530bの上面左端とを連結する。すなわち、第5の実施形態においては、第1の圧電振動板520が前面側に、第2の圧電振動板530aが背面側にずれた位置関係となるように連結されている。
なお、第5の実施形態では、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bとが、連結部材540a、540bで連結されている部分でのみ対面し、その他の部分では対面しないように、主面方向(図16の左右方向)にもずれて配置されている。また、図17の例では、連結部材540a、540bは、第1の圧電振動板520の角部に配置されている。すなわち、第5の実施形態における連結部材540a、540bは、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの角部同士を連結している。
なお、連結部材の構成は上記に限定されず、例えば、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの各辺に沿って延びる長尺状(棒状)の部材であってもよい。そして、このような連結部材によって、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの辺同士を連結してもよい。この場合、短辺同士を連結するのが望ましい。
図20〜図22を参照して、連結部材540aの構成及び変形例を説明する。なお、以下の説明は、連結部材540bにも共通するので、連結部材540bの説明は省略する。連結部材540aの一端(上端)は、第1の圧電振動板520の基板521の下面で、圧電素子523が取り付けられていない部分に取り付けられる。また、連結部材540bの他端(下端)は、第2の圧電振動板530の基板531aの上面で、圧電素子532aが取り付けられていない部分に取り付けられる。具体的な取付方法は特に限定されないが、ボルト等の締結手段を用いてもよいし、接着材等を用いてもよい。
ここで、連結部材540aの第1の圧電振動板520の主面と交差する方向の曲げ剛性が、第1及び第2の圧電振動板520、530aの主面方向の曲げ剛性より大きくなるように、連結部材540aを構成するのが望ましい。これにより、第1及び第2の圧電振動板520、530aの振動によって生じる連結部材540aの変形を小さくすることができる。0080また、上述した第1及び第2の圧電振動板520、530aの間に延在する配線は、連結部材540aの表面又は連結部材540aの内部に形成された貫通孔(図示省略)を通るようにしてもよい。
次に、図21に示される連結部材541aは、第1及び第2の圧電振動板520、530aに当接する面の面積を、中間部分(2つの当接面の間の部分を指す)の断面積より大きくしている。これにより、第1及び第2の圧電振動板520、530aの振動によって生じる連結部材541aの変形をさらに小さくすることができる。さらに、図22に示される連結部材542aは、上端部の一方側(図22の右側)の側面に第1の圧電振動板520の基板521の端部を上下方向から把持する溝部と、下端部の他方側(図22の左側)の側面に第2の圧電振動板530aの基板531aの端部を上下方向から把持する溝部とを備える。上記構成によっても、第1及び第2の圧電振動板520、530aの振動によって生じる連結部材542aの変形をさらに小さくすることができる。
固定部材550a、550bは、第2の圧電振動板530a、530bを固定する。第5の実施形態においては、第2の圧電振動板530a、530bは、固定部材550a、550bによって筐体510の内壁面に固定される。具体的には、第2の圧電振動板530aの左端部は、固定部材550aを介して筐体510の前面側および背面側の内壁面に固定される。第2の圧電振動板530bの右端部は、固定部材550bを介して筐体510の前面側および背面側の内壁面に固定される。但し、上記の構成に限らず、第2の圧電振動板530a、530bを固定部材550a、550bを用いて、筐体510の側面側の内壁面に固定してもよい。
エッジ561は、筐体510の開口部と、放射板として動作する第1の圧電振動板520との間の隙間を封止する封止部材として機能する。具体的には、エッジ561は、筐体510の開口部及び第1の圧電振動板520の形状に沿う枠体であり、その外縁部が筐体510の開口部の周縁部に取り付けられ、その内縁部が第1の圧電振動板520の周縁部に取り付けられる。エッジ561を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ラミネート材、ウレタンゴム等の柔軟材料で構成するのが望ましい。
放射板保護膜562は、放射板として動作する第1の圧電振動板520の筐体510の外側に対面する面を覆うように配置され、第1の圧電振動板520を保護する。放射板保護膜562を構成する材料は特に限定されないが、例えば、エッジ561と同じ材料を用いることができる。
このような構造を備えた圧電型スピーカ500の電圧印加時の動作を、図23及び図24を用いて説明する。図23は、第1の圧電振動板520が音波の放射方向(筐体510の前面側)に最も大きく変位したときの概略断面図である。図24は、第1の圧電振動板520が音波の放射方向とは逆方向(筐体510の背面側)に最も大きく変位したときの概略断面図である。なお、図23及び図24では、圧電型スピーカ500の中心から右側は省略して表示している。
第1の圧電振動板520が音波の放射方向に変位するように電圧が印加されたとき、圧電素子522および圧電素子533aは主面方向に伸び変形し、圧電素子523および圧電素子532aは主面方向に縮み変形する。一方、基板521および基板531aは伸縮しない。すなわち、第1の圧電振動板520は筐体510の前面側に膨出するように曲げ変形し、第2の圧電振動板530aは筐体510の背面側に膨出するように曲げ変形する。この結果、第1及び第2の圧電振動板520、530aは、全体として、図23に示すような曲げ変形をする。
一方、第1の圧電振動板520が音波の放射方向とは逆向きに変位するように電圧が印加されたときは、圧電素子522、523、532a、533aの伸縮は、図23の場合とは逆となる。その結果、図24に示すような曲げ変形をする。すなわち、第1の圧電振動板520と第2の圧電振動板530aとは互いに逆の曲げ変形を起こす。ここで、圧電型スピーカ500から放射される音の音圧に寄与するのは、第1の圧電振動板520及びエッジ561の変位である。第1の圧電振動板520の左端部は、連結部材540aを介して第2の圧電振動板530aと接続されているため、第1の圧電振動板520上の各点の変位は第1の圧電振動板520自身の曲げ変形による変位に第2の圧電振動板530aの右端の変位を足したものとなる。その結果、放射板として機能する第1の圧電振動板520は、第1及び第2の圧電振動板520、530aの振幅を合成した振幅、すなわち、個々の振幅より大きな振幅で振動することになる。
したがって、圧電型スピーカ500が第1の圧電振動板520のみで構成されている場合と比べて、第1の圧電振動板520そのものの曲げ変形を大きくすることなく、全体として大きな変位を得ることができる。このことにより、第5の実施形態によれば、圧電素子522、523、532a、533aへの印加電圧を増やすことなく高い音圧を再生することができる。また、第5の実施形態によれば、音圧に寄与する第1の圧電振動板520の周囲に柔軟材料からなるエッジ561を配置したので、第1の圧電振動板520の下面から発生する逆位相音の上面への回りこみによる音圧低下を防ぎつつ、第1の圧電振動板520を大きく変位させることができる。
また、第5の実施形態によれば、第1の圧電振動板520と第2の圧電振動板530aとは、連結部材540aを介して主面に垂直な方向に接続されている。このため、第1及び第2の圧電振動板520、530aの主面が同一平面上に位置している場合と比べ、筐体510の内部厚みが薄い場合でも、変位した第1及び第2の圧電振動板520、530aが筐体510の内壁面に接触することを防ぎつつ、大きい変位を得ることができる。すなわち、図23では圧電素子532aが筐体510の前面側の内壁面に接触しないように第2の圧電振動板530aの位置を後方に設定することができる。同様に、図24では圧電素子523が筐体510の背面側の内壁面に接触しないように第1の圧電振動板520の位置を前方に設定することができる。
前述のように筐体510の内壁面に接触することを防ぐ連結部材540aの高さは、上限値と下限値を持ち、下記の式2で表される。なお、式2のtjointは連結部材540aの高さを表し、xlowerは第2の圧電振動板530aの右端部の変位量の最大値を表し、xlower’はエッジ561の端部と垂直断面を共有する位置(図23のA−A’)での第2の圧電振動板530aの変位量の最大値を表し、xupperは第1の圧電振動板520の左端部と中央部との変位差の最大値を表し、tcは筐体510の前面側の内壁面と背面側の内壁面との間の距離(内寸)である。
Figure 0005810328
ただし、xlower、lower’、xupperは、それぞれ圧電型スピーカ500の有効振動面積、圧電型スピーカ500と受音点との距離、および圧電型スピーカ500の再生周波数帯域内で最低次数の共振周波数におけるモードによって一意に決まる値である。また、第2の圧電振動板530aの右端部および第2の圧電振動板530bの左端部をエッジ561の直下に配置することで、音波の放射方向の最大変位量をより大きくすることができる。
さらに、第5の実施形態によれば、音圧に寄与する第1の圧電振動板520は、筐体510の外側空間と内側空間との圧力差を受ける。これに対して、筐体510の内部に収納されている第2の圧電振動板530a、530bは、筐体510の内側空間において上側および下側から同一の圧力を受けると見なせる。このため、振動板全体が筐体510の背面の空気のスティフネスの影響を受ける従来のスピーカと比較して、狭い筐体容積でも低音の再生が容易となる。
(第6の実施形態)
図25〜図28を参照して、第6の実施形態に係る圧電型スピーカ600の構造を説明する。図25は、第6の実施形態に係る圧電型スピーカ600の平面図である。図26は、図25に示す圧電型スピーカ600の6X−6X’における断面図である。図27は、図26に示す圧電型スピーカ600の6Y−6Y’における断面図である。図28は、図27に示す圧電型スピーカ600の6Z−6Z’における断面図である。圧電型スピーカ600は、図25〜図28に示されるように、筐体610と、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bと、連結部材540a、540bと、固定部材650a、650bと、エッジ561と、放射板保護膜562と、充填材670a、670bとを主に備える。
第6の実施形態に係る圧電型スピーカ600は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と比較して、固定部材650a、650bを筐体610の外側に延長させ、機器もしくは土台に接続した点が相違する。以下、この特徴を中心に説明を行い、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と共通する特徴については原則として説明を省略する。
第6の実施形態において、固定部材650a、650bは、筐体610と直接接続せず、筐体610の側面に設けられた隙間(開口部)を貫通して、図示されない外部固定手段(剛体)に接続される。また、筐体610に設けられた隙間(開口部)において、筐体610と固定部材650a、650bとの間には、充填材670a、670bが充填される。充填材670a、670bは、筐体610及び固定部材650a、650bに対して低いヤング率と、高い内部損失とを持つ材料であることが望ましい。
以上の構造によって、筐体610と固定部材650a、650bとは互いに構造上独立する。このため、圧電型スピーカ600が大振幅で変位した場合でも、筐体610が第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの振動の影響を受けにくい。このため、第6の実施形態によれば、別途防振対策を施すことなく、筐体610の不要な共振による音質低下や異音発生を抑えることができる。
また、第5の実施形態においては、例えば、筐体510の外部の信号源から第2の圧電振動板530a、530bに至る配線を、固定部材550a、550bの表面、又は内部に設けられた貫通孔に形成する必要がある。一方、第6の実施形態においては、例えば、第2の圧電振動板530a、530bの基板531a、531bを、固定部材650a、650bの筐体610の外部に延在する部分にまで延長することで、信号源と第2の圧電振動板530a、530bとを直接接続することができる。その結果、部品点数の削減効果が期待できる。なお、第5及び第6の実施形態どちらの場合においても、第1の圧電振動板520に至る配線は、信号源から第2の圧電振動板530a、530bを経由するようにすればよい。
(第7の実施形態)
図29〜図31を参照して、第7の実施形態に係る圧電型スピーカ700の構造を説明する。図29は、第7の実施形態に係る圧電型スピーカ700の正面図である。図30Aは、図29の7X−7X’における断面図である。図30Bは、接続部材の他の形態を示す図である。図31は、図30Aの7Y−7Y’における断面図である。圧電型スピーカ700は、図29〜図31に示されるように、筐体510と、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bと、連結部材540a、540bと、固定部材550a、550bと、エッジ561と、放射板保護膜562と、振動板770と、接続部材771とを主に備える。
第7の実施形態に係る圧電型スピーカ700は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と比較して、第1の圧電振動板520に接続部材771を介して圧電素子を備えない円錐形の振動板770を接続している点で相違する。この振動板770は、音波の放射面となる放射板として用いられる。以下、この特徴を中心に説明を行い、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と共通する特徴については原則として説明を省略する。
振動板770は、圧電素子を備えず、略円錐形状を有している。すなわち、振動板770は、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bと異なり、自ら振動を生ずることはできない。そこで、振動板770は、筐体510の開口部に配置され、接続部材771を介して第1の圧電振動板520に接続されている。より具体的には、振動板770と第1の圧電振動板520とは、互いに対面するように配置され、接続部材771によって相互に接続されている。一形態として、図30Aに示されるように、接続部材771は、振動板770及び第1の圧電振動板520の互いに対面する面の中央部(より好ましくは、中心)同士を接続している。
第1の圧電振動板520は、中央部で最も振幅が大きくなる。そこで、第1の圧電振動板520の最も振幅の大きい位置である中央部に接続部材771を接続することにより、第1の圧電振動板520の振動を効率よく振動板770に伝達することができる。また、接続部材771が振動板770の中央部から外れた位置に取り付けられると、駆動力の偏りにより、振動板770に振動方向(図30Aの上下方向)以外の揺れを生じる可能性がある。そこで、このような揺れの発生を防止するためには、振動板770の中央部に接続部材771を接続するのが好ましい。
他の形態として、図30Bに示されるように、接続部材772は、第1の圧電振動板520の中央部と、振動板770の中心から等距離にある円周状の領域とを接続している。例えば、図30Aのように、接続部材771が振動板770の中央部の1点で実質的に点接触している場合において、振動板770を高い周波数で振動させると、分割振動による位相干渉が起こり得る。そこで、図30Bのように、接続部材772の振動板770に対面する側を円筒形状とし、振動板770の中心から等距離だけ離れた位置で実質的に線接触させることにより、分割振動による位相干渉を有効に防止することができる。なお、接続部材772の取り付け位置は、振動板770の分割振動による位相干渉が起こりにくい位置、すなわち、振動モードの節の位置であることが望ましい。
なお、振動板770は、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bの基板材料と比較して、高い剛性と低い密度を有することが望ましい。第1の圧電振動板520と第2の圧電振動板530a、530bとは、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と同様に、互いに逆向きの曲げ変形を生ずる。一方、第7の実施形態に係る第1の圧電振動板520は、第2の圧電振動板530a、530bに対して背面側にずれた位置で、筐体510内に収納される。すなわち、第1の圧電振動板520と第2の圧電振動板530a、530bとの位置関係が、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と反対になっている。
また、第5の実施形態では、圧電素子522、523を備えた第1の圧電振動板520の周囲にエッジ561が取り付けられるが、第7の実施形態では、筐体510の開口部に配置される振動板770の周囲にエッジ561が取り付けられる。第7の実施形態によれば、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bのうちの低音域での変位が最大となる位置(すなわち、第1の圧電振動板520の中央部)に圧電素子を備えない振動板770を接続し、音波の放射領域として用いる。これにより、放射領域全面を大きく変位させることができ、効率よく音圧を得ることができる。また、第1の圧電振動板520を音波の放射領域として用いる場合と比較して、音波の放射領域の曲げ変形を非常に小さくすることができる。これにより、高い周波数においても第1の圧電振動板520の分割振動による位相干渉が起こりにくく、音質劣化を防ぐことができる。
(第8の実施形態)
図32〜図34を参照して、第8の実施形態に係る圧電型スピーカ800の構造を説明する。図32は、第8の実施形態に係る圧電型スピーカ800の正面図である。図33は、図32の8X−8X’における断面図である。図34は、図33の8Y−8Y’における断面図である。
圧電型スピーカ800は、図32〜図34に示されるように、筐体510と、第1の圧電振動板820と、第2の圧電振動板830a〜830fと、連結部材540a〜540f(540a、540bのみ図示)と、固定部材550a〜550fと、エッジ561と、放射板保護膜562とを主に備える。
第8の実施形態に係る圧電型スピーカ800は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と比較して、第1及び第2の圧電振動板820、830a〜830fのうち、音波の放射面としてはたらく第1の圧電振動板820を円形とし、筐体510に収納される第2の圧電振動板830a〜830fを、第1の圧電振動板820の円周に沿って放射状に配置させた点で相違する。以下、この特徴を中心に説明を行い、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と共通する特徴については原則として説明を省略する。
第8の実施形態において、音波の放射面としてはたらく第1の圧電振動板820の円周部には、6つの第2の圧電振動板830a〜830fが連結部材540a〜540fを介して接続されている。
第8の実施形態によれば、音波の放射面としてはたらく第1の圧電振動板820を円形とすることで、曲げ変形を音波の放射軸に対して対称に近づけることができる。これによって、圧電型スピーカ800を点音源と見なせる周波数範囲の上限がより高い周波数へ広がり、所望の音場特性を実現するためのスピーカとして、信号入力による制御が容易となる。
(第9の実施形態)
図35及び図36を参照して、第9の実施形態に係る圧電型スピーカ900の構造を説明する。図35は、第9の実施形態に係る圧電型スピーカ900の正面図である。図36は、図35の9X−9X’における断面図である。圧電型スピーカ900は、図35及び図36に示されるように、筐体510と、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530a、530bと、第3の圧電振動板980a、980bと、連結部材540a〜540dと、固定部材550a、550bと、振動板970と、接続部材971と、エッジ561と、放射板保護膜562とを主に備える。
第9の実施形態に係る圧電型スピーカ900は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と比較して、第1の圧電振動板520に接続部材971を介して圧電体を備えない略矩形平板状の振動板970を接続すると共に、第3の圧電振動板980a、980bを設けた点で相違する。以下、この特徴を中心に説明を行い、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と共通する特徴については原則として説明を省略する。
第9の実施形態においては、圧電素子を備えない略矩形の振動板970の周囲に、エッジ561が接続されている。さらに、振動板970第1の圧電振動板520とは、中央部同士を接続部材971で接続されている。
第1の圧電振動板520の端部は、連結部材540a、540bを介して第2の圧電振動板530a、530bに接続される。さらに、第2の圧電振動板530a、530bは、連結部材540c、540dを介して第3の圧電振動板980a、980bに接続される。
第3の圧電振動板980aは、基板981と、4つの圧電素子982、983、984、985とで構成されている。より具体的には、基板981の左側の領域には、上面に圧電素子982が、下面に圧電素子983が取り付けられる。一方、基板981の右側の領域には、上面に圧電素子984が、下面に圧電素子985が取り付けられている。そして、第3の圧電振動板980aは、左側の領域と右側の領域とが互いに逆方向の曲げ変形を生じるように電圧が印加される。なお、第3の圧電振動板980bの構成も共通するので、説明は省略する。
第9の実施形態によれば、第1、第2、及び第3の圧電振動板520、530a、530b、980a、980bを、隣接する振動板同士が互いに逆方向の曲げ変形を生じるように配置することで、個々の振動板の曲げ変形を大きくすることなく、全体として大きな変位を確保することができる。
また、固定部材550a、550bに近い第3の圧電振動板980a、980bは、連結部材を設けずに、左右の領域を互いに逆方向の曲げ変形を生じるように構成する。一方、固定部材550a、550bから遠く、変位の大きい第1の圧電振動板520と第2の圧電振動板530a、530bとは、連結部材540a〜540dを用いて連結することで、筐体510の内寸が小さい場合でも、第1及び第2の圧電振動板520、530a、530bが筐体510の内壁面に接触することを効果的に防ぐことができる。
(第10の実施形態)
図37及び図38を参照して、第10の実施形態に係る圧電型スピーカ1000の構造を説明する。図37は、第10の実施形態に係る圧電型スピーカ1000の正面図である。図38は、図37の10X−10X’における断面図である。圧電型スピーカ1000は、図37及び図38に示されるように、筐体1010と、第1の圧電振動板520と、第2の圧電振動板530aと、連結部材540aと、固定部材550aと、エッジ561と、放射板保護膜562と、振動板1070と、接続部材1071とを主に備える。
第10の実施形態に係る圧電型スピーカ1000は、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と比較して、第1の圧電振動板520に接続部材1071を介して圧電体を備えない略矩形平板状の振動板1070を接続すると共に、第2の圧電振動板530aを第1の圧電振動板520の片側のみに取り付けた点で相違する。以下、この特徴を中心に説明を行い、第5の実施形態に係る圧電型スピーカ500と共通する特徴については原則として説明を省略する。
圧電素子を備えない略矩形の振動板1070の周囲には、エッジ561が接続される。また、片持ちの第1の圧電振動板520は右端部で振幅が最大となるので、接続部材1071は、振動板1070の中央部と、第1の圧電振動板520の右端部とを接続する。また、第1の圧電振動板520の左端部は、連結部材540aを介して、第2の圧電振動板530aに接続される。さらに、第2の圧電振動板530aの左端部は、固定部材550aを介して、筐体1010の前面側及び背面側の内壁面に固定されている。
ここで、振動板1070は、第1及び第2の圧電振動板520、530aの変形のみによって音波の放射方向へ変位する。このとき、仮に第1及び第2の圧電振動板520、530aが共に同じ方向に曲げ変形を生じる場合、第1の圧電振動板520の右端部は、反り変形による傾きを有する。そのため当該部分に接続された振動板1070が左右のいずれかの方向に傾きや揺れを起こしやすく、音波放射方向に平行な変位を得られないという問題が生じる可能性がある。
これに対して、圧電型スピーカ1000の第1及び第2の圧電振動板520、530aは、互いに逆方向の曲げを生じるため、第1の圧電振動板520の右端部は、著しい傾きを生じない。以上のことから、第10の実施形態に係る圧電型スピーカ1000では、部品点数が制約された条件においても音波の放射面の振動に非対称性を起こすことなく、大きな変位を起こすことができる。
すなわち、本発明に係る圧電型スピーカは、第5の実施形態のように、第1の圧電振動板520に複数の第2の圧電振動板530a、530bを連結してもよいし、第10の実施形態のように、第1の圧電振動板520に第2の圧電振動板530aを1つだけ連結してもよい。
また、第5〜10の実施形態においても、上述した第1〜4の実施形態と同様に、圧電型スピーカが備える少なくとも一つの圧電素子に対して直列に電気抵抗を接続するものであってもよい。これによって、第1〜4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第11〜14の実施形態では、以上に説明した本発明の圧電型スピーカの適用例を述べる。
(第11の実施形態)
[第1の適用例]
図39は、本発明の各実施形態に係る圧電型スピーカを適用した映像音響機器の外観図である。映像音響機器は、図39に示されるように、筐体1110と、ディスプレイ1120と、圧電型スピーカ1130a、bとが示されている。筐体1110の奥行きは大変狭いため、スピーカを格納する筐体内部のスペースは奥行きおよび総容積共に狭小である。その結果、従来型の動電スピーカでは振動板変位が機構的に制約されると共に背面空気の影響により振動板の運動が阻害され、低音の再生が難しい。
ここで、第1〜10の実施形態に係る圧電型スピーカおよび筐体構造を用いれば、スピーカ部筐体の内部厚みが薄い場合も低音域の再生を良好に行うことができる。例として、図39における5A−5A’断面が、図2Bであるとすれば、限られた筐体厚みで大きな振動板変位を得ることができ、低音域を良好に再生し、結果として映像との一致感の高い音声コンテンツを提供することができる。また第1〜10の実施形態に係る圧電型スピーカによれば、高音域において音波放射側の振動板を主に駆動させるため、一つのスピーカユニットをもちいて広い周波数帯域の音声を再生することができる。
(第12の実施形態)
[第2の適用例]
図40は、本発明の圧電型スピーカを適用した携帯型情報機器の外観図である。図40において、携帯型情報機器の筐体1202、ディスプレイ1203、本発明の圧電型スピーカ1201a,bが示されている。図40に示すように、本発明の圧電型スピーカ1201a,bは、ディスプレイ1203の両側に設置される。ここで、第1〜第10の実施形態で説明したように、本発明の圧電型スピーカ1201a,bは、部品点数を増やすことなく省スペース化及び高音質化を実現できる。このことから、本発明によれば、持ち運びに適したデザインと音声コンテンツの良好な再生を両立させた携帯電話端末の設計が容易になる。
(第13の実施形態)
[第3の適用例]
図41は、本発明の圧電型スピーカを適用した携帯型映像投影装置の外観図である。図41において、携帯型映像投影装置の筐体1302、プロジェクタ1303、本発明の圧電型スピーカ1301が示されている。図41に示すように、本発明の圧電型スピーカ1301は、筐体1302の両側に設置される。通常、携帯型映像投影装置においてはプロジェクタの駆動回路および放熱回路のスペースを必要とするため、部品スペースの制約が著しい。ここで、第1〜第10の実施形態で説明したように、本発明の圧電型スピーカ1301は、部品点数を増やすことなく省スペース化及び高音質化を実現できる。本発明によれば、持ち運びに適したデザインと複数名での映像音声コンテンツの視聴に適した携帯型映像投影装置の設計が容易になる。
(第14の実施形態)
[第4の適用例]
図42は、本発明の各実施形態に係る圧電型スピーカを適用したアレイスピーカモジュール1400の一部を示す概略図である。図42は、圧電型スピーカユニット1410を背面側から見た図である。アレイスピーカモジュール1400は、図42に示されるように、複数の圧電型スピーカユニット1410を組み合わせて構成されている。より具体的には、圧電型スピーカユニット1410は、それぞれが略六角形状を有しており、隣り合う圧電型スピーカユニット1410が互いに辺を共有するように配置される。
圧電型スピーカユニット1410は、音波の放射面としてはたらく第1の圧電振動板1420の周縁部に、エッジ1461が接続される。第1の圧電振動板1420は、点線で示される連結部材1440a、1440b、1440cを介して、それぞれ第2の圧電振動板1430a、1430b、1430cに接続される。第2の圧電振動板1430a、1430b、1430cは、それぞれ固定部材1450a、1450b、1450cを介して、筐体(図示省略)に固定される。また、3つの固定部材1450a〜1450cそれぞれの一方の端は、第1の圧電振動板1420の中央部に対面する位置で一体接続されており、もう一方の端は図示されない外部フレームにそれぞれ接続される。
ここで、第14の実施形態は第1〜第10の実施形態と異なり、第1の圧電振動板1420と第2の圧電振動板1430a、1430b、1430cとが、互いに対面するように配置される。このことにより、音波の放射領域の面積を超える搭載面積を必要とせず、複数の圧電型スピーカユニット1410を最小限の間隔で配列することができる。この結果、広い周波数帯域でアレイスピーカモジュール1400の想定する音場を忠実に再生することができる。
なお、第13および第14の実施形態においては、本発明の圧電型スピーカを家庭での音響コンテンツ再生のために適用した例を示した。しかし、本発明の圧電型スピーカの用途は家庭用に限るものではなく、たとえば車載用オーディオシステムや旅客輸送手段の報知システムなど、薄型化と軽量化とを求められ、かつ低音再生が求められる用途に適用してもよい。また、サイズも通常のAV機器のウーハやミッドレンジ用スピーカとして搭載されるサイズに限定されるものではなく、単独でサブウーハとして採用されるサイズから、イヤホン・レシーバ等の小型サイズに対応するスピーカに適用しても良い。
なお、以上の実施形態では、本発明を空気中に音波を放射するための圧電型スピーカとして適用した例を説明した。しかし、本発明は、空気中に音波を放射する用途に限定されることはなく、例えば、構造体の振動を制御したり、音響加振によって間接的に固体や流体の振動を制御したりするアクチュエータとして用いてもよい。本文中において音波の放射面として動作するとした圧電振動板を、加振される対象に接触した加振面として動作させることで、本発明による効果を得ることができる。
また、以上の実施形態では、電気信号を入力として機械振動および音波に変換する手段として本発明を適用した。しかし、本発明は、他の圧電型変換器に適用してもよく、センサ、マイクに適用してもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本発明は、圧電型音響変換器等に利用可能であり、特に、圧電型スピーカにおいて省スペース化と低音再生能力向上とを両立しながら省電力化を実現したい場合、あるいはスピーカキャビネットの影響による音質劣化を防ぎたい場合等に有用である。
101、201、301、401、500、600、700、800、900、1000、1130a、1130b,1201a、1201b、1301、1410 圧電型スピーカ
102、202、302、402、510、610、1010、1110、1202、1302 筐体
103、203、303 エッジ
104、204、304 上部圧電振動板
105、205、305 下部圧電振動板
107、110、207、210、305、309a、309b 基板
108、109、111、112、306、307、310a、310b、311a、311b 圧電素子
106a〜106d、206a〜206d、312a〜312b 連結部材
113、213、313a、313b 固定部材
3A、3D 基板側電極層
3B、3C 電気抵抗層
114、115、116、117 外部導通手段
1120、1203 ディスプレイ
703 プロジェクタ
10 圧電型スピーカ
21 アウタフレーム
22 インナフレーム
30 圧電素子
41〜44 振動板
51〜58 ダンパ
61〜64 エッジ

Claims (19)

  1. 圧電型音響変換器であって、
    壁面に開口部が形成された筐体と、
    電圧を印加することによって互いに逆位相で振動する第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板を少なくとも含む複数の振動板と、
    前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板を、厚み方向に連結する少なくとも一つの連結部材と、
    前記第1及び第2の圧電振動板のうち少なくとも一つを、前記筐体に固定する固定部材とを備え、
    前記複数の振動板のうち一つは、一方側の面が前記筐体の外側に対面し、他方側の面が前記筐体の内側に対面するように前記筐体の開口部に配置され、前記第1及び第2の圧電振動板の振幅を合成した振幅で振動することによって音波を放射し、
    各前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板は、基板と、前記基板の表面及び裏面の少なくとも一方に配置され、電圧を印加することによって伸縮する少なくとも一つの圧電素子とを含み、
    少なくとも一つの前記圧電素子に対して直列に電気抵抗が接続され、
    前記電気抵抗の値は、前記圧電型音響変換器の機械的共振周波数のうち、2番目に低い共振周波数および3番目に低い共振周波数のいずれかと、前記圧電素子の静電容量によって定められることを特徴とする、圧電型音響変換器。
  2. 壁面に開口部が形成された筐体と、
    電圧を印加することによって互いに逆位相で振動する第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板を少なくとも含む複数の振動板と、
    前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板を、厚み方向に連結する少なくとも一つの連結部材と、
    前記第1及び第2の圧電振動板のうち少なくとも一つを、前記筐体に固定する固定部材とを備え、
    前記複数の振動板のうち一つは、一方側の面が前記筐体の外側に対面し、他方側の面が前記筐体の内側に対面するように前記筐体の開口部に配置され、前記第1及び第2の圧電振動板の振幅を合成した振幅で振動することによって音波を放射し、
    各前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板は、基板と、前記基板の表面及び裏面の少なくとも一方に配置され、電圧を印加することによって伸縮する少なくとも一つの圧電素子とを含み、
    少なくとも一つの前記圧電素子に対して直列に電気抵抗が接続され、
    少なくとも一つの前記振動板は、周囲に柔軟材料から成るエッジを持ち、
    前記振動板は、音波の放射面として動作し、
    前記エッジは、外部フレームに接続され
    前記電気抵抗の値は、音波の放射面として動作する前記振動板において、前記電気抵抗を接続しないときの振動板上の各点における音波放射方向への変位量が正と負の両方の値を持つ周波数のうち、最も低い周波数と、前記圧電素子の静電容量によって定められることを特徴とする、圧電型音響変換器。
  3. 前記電気抵抗は、前記固定部材に固定された前記圧電振動板上の圧電素子に対して直列に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  4. 前記電気抵抗は、前記連結部材の表面または内部に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  5. 前記電気抵抗は、前記基板の表面に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  6. 前記電気抵抗は、前記外部フレームの表面または内部に形成されることを特徴とする、請求項に記載の圧電型音響変換器。
  7. 前記第1の圧電振動板は、前記筐体の開口部に配置されて放射板として動作し、
    前記第2の圧電振動板は、前記筐体の内部に収納される、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  8. 前記複数の振動板には、厚み方向にずれた位置関係で前記第1の圧電振動板に接続され、前記第1の圧電振動板から伝達される合成した振幅で振動する放射板が含まれ、
    前記第1及び第2の圧電振動板は、前記筐体の内部に収納される、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  9. 前記放射板と前記第1の圧電振動板とは、互いに対面するように配置され、
    前記圧電型音響変換器は、さらに、前記放射板と、前記第1の圧電振動板の最も振幅の大きい位置とを接続する接続部材を備える、請求項に記載の圧電型音響変換器。
  10. 前記第1及び第2の圧電振動板は、長辺及び短辺を有する略矩形形状であり、
    前記連結部材は、前記第1及び第2の圧電振動板それぞれの短辺に沿って延びる長尺状の部材であって、前記第1及び第2の圧電振動板の短辺同士を連結する、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  11. 前記第1及び第2の圧電振動板は、略矩形形状であり、
    前記連結部材は、第1及び第2の圧電振動板それぞれの角部同士を連結する、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  12. 前記連結部材の前記放射板の主面と交差する方向の曲げ剛性は、前記第1及び第2の圧電振動板の主面方向の曲げ剛性より大きい、請求項に記載の圧電型音響変換器。
  13. 前記基板の前記圧電素子が配置されている面には、信号源と前記圧電素子とを接続する配線がプリントされている、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  14. 前記配線は、信号源から前記第1及び第2の圧電振動板の一方を経由して他方にまで延在し、前記第1の圧電振動板の圧電素子と前記第2の圧電振動板の圧電素子とを導通させる、請求項13に記載の圧電型音響変換器。
  15. 前記配線は、前記連結部材の表面又は前記連結部材の内部に形成された貫通孔を通って、前記第1及び第2の圧電振動板の一方を経由して他方にまで延在する、請求項14に記載の圧電型音響変換器。
  16. 前記圧電型音響変換器は、さらに、柔軟材料で構成され、前記放射板と前記筐体の開口部との間の隙間を封止する封止部材を備える、請求項1又は2に記載の圧電型音響変換器。
  17. 壁面に開口部が形成された筐体と、
    電圧を印加することによって互いに逆位相で振動する第1の圧電振動板及び第2の圧電振動板を少なくとも含む複数の振動板と、
    前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板を、厚み方向に連結する少なくとも一つの連結部材と、
    前記第1及び第2の圧電振動板のうち少なくとも一つを、前記筐体に固定する固定部材とを備え、
    前記複数の振動板のうち一つは、一方側の面が前記筐体の外側に対面し、他方側の面が前記筐体の内側に対面するように前記筐体の開口部に配置され、前記第1及び第2の圧電振動板の振幅を合成した振幅で振動することによって音波を放射し、
    各前記第1の圧電振動板及び前記第2の圧電振動板は、基板と、前記基板の表面及び裏面の少なくとも一方に配置され、電圧を印加することによって伸縮する少なくとも一つの圧電素子とを含み、
    少なくとも一つの前記圧電素子に対して直列に電気抵抗が接続され、
    前記第1の圧電振動板は、前記筐体の開口部に配置されて放射板として動作し、
    前記第2の圧電振動板は、前記筐体の内部に収納される、圧電型音響変換器。
  18. 前記固定部材は、前記第2の圧電振動板を、前記筐体の内壁面に固定する、請求項17に記載の圧電型音響変換器。
  19. 前記圧電型音響変換器は、さらに、前記筐体に設けられた隙間を通じて前記筐体の内外に延在し、前記第2の圧電振動板を前記筐体の外の剛体に固定する固定部材を備える、請求項17に記載の圧電型音響変換器。
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