JP5808575B2 - 立体画像用印画シート及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は立体画像用印画シート及びその製造方法に係り、特に、3Dプリントや3D印刷に使用される立体画像用印画シート及びその製造方法に関する。
従来、立体画像を記録する記録シートとして、樹脂製の透明支持体の一方面にレンズ層(例えばレンチキュラーレンズ)を有し、他方面に画像を記録する受像層を設けた立体画像用印画シートが知られている。
例えば、特許文献1は、紙、合成紙、プラスチックフィルム等からなる基材の一方面にレンチキュラーレンズシートを貼り合わせ、基材の裏面に、塗工、乾燥して染料受像層を設けた立体画像用感熱転写記録シートが開示されている。
しかし、特許文献1のように従来の立体画像用印画シートの受像層に例えば熱転写インクシート装置やインクジェット装置等の印画装置によって画像を形成したときに、最適視点位置を外れた場合のクロストークにより感じる画像ボケが発生するという問題がある。
特開平6−282019号公報
そこで本出願人は、上記画像ボケを解消する対策を検討した結果、立体画像用印画シートの厚みを400μm以上、好ましくは500μm以上にすることが必要であることが分かった。そして、立体画像用印画シートの厚みを厚くするには、レンズ層や受像層を支持する透明支持体の厚みを厚手化する必要があるが、透明支持体を厚手化することによる新たな弊害が生じることが分かった。
即ち、汎用されている樹脂製の透明フィルム(以下「汎用樹脂フィルム」という)の厚みは200μm以下であり、立体画像用印画シートの厚みを400μm以上にするような厚い汎用樹脂フィルムはないのが実情である。そうかと言って、立体画像用印画シート専用の厚い透明フィルムを特注製造することはコスト面で得策でない。
また、透明支持体を厚くする代わりに、厚みの厚いレンズ層を押出成形法で製造することでも対応可能であるが、レンズ層が冷却固化するまでに長時間がかかるために生産性が顕著に低下してしまうので実用的でない。
したがって、コスト面や実用面を考慮すると、透明支持体を厚くするには、厚みの薄い汎用樹脂フィルムを接着剤、例えばドライラミネート用接着剤で貼合わせる必要がある。一方、立体画像用印画シートの製造においては、透明支持体にレンズ層を形成する工程や受像層を形成する工程等のように複数の工程を経て製造されるため、それぞれの工程終了ごとに透明支持体をロール状に巻き取って巻回ロールの状態で次の工程まで待機することが通常である。
しかしながら、ドライラミネート用接着剤で汎用樹脂フィルムを貼り合わせた透明支持体を使用すると、巻取工程において巻き癖が生じてしまい、所定サイズに打ち抜かれて製造された立体画像用印画シート(製品)が大きくカールしてしまうという問題がある。立体画像用印画シートのカールの程度は、4mm以下であれば問題ないが、従来の立体画像用印画シートは4mm以上となることが多い。
このような背景から、画像ボケ防止を多少犠牲にしてもカールが発生しないように薄い汎用樹脂フィルムを透明支持体として使用するか、又はカール抑制を多少犠牲にしても画像ボケが発生しないように汎用樹脂フィルムを貼り合わせた厚手の透明支持体を使用するかの何れかを選択せざるを得ないのが現状である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、画像ボケ防止のために厚みの薄い汎用樹脂フィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた厚い透明支持体を使用しても製品として問題ないレベルのカール量に抑制できる立体画像用印画シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の立体画像用の印画シート製造方法は、透明支持体の一方面にレンズ層を有すると共に他方面に画像を記録する受像層を有し、所定サイズのシートに形成された立体画像用印画シートの製造方法において、前記立体画像用印画シートの原反を、前記レンズ層を形成するレンズ層形成工程及び前記受像層を形成する受像層形成工程に加えて、前記透明支持体の形成材料として帯状の透明な汎用樹脂フィルムを使用し、前記汎用樹脂フィルムをドライラミ用接着剤で複数枚貼り合わせて前記透明支持体を厚手化する貼合工程と、前記貼合工程の後に少なくとも設けられ、前記透明支持体をロール状に巻回して巻回ロールを形成する巻取工程と、を少なくとも行うことによって形成し、前記巻取工程の後に、前記形成した立体画像用印画シート原反を打抜工程によって前記所定サイズのシートに打ち抜くと共に、前記貼合工程、前記レンズ層形成工程、前記受像層形成工程のうち、前記貼合工程を最後に行うことにより、前記貼合工程におけるドライラミ用接着剤の固化反応が完了するまでに前記打抜工程を終了させることを特徴とする。
ここで、汎用樹脂フィルムとは、特注品ではなく色々な用途に用いられている樹脂フィルムの一般品を言い、特に光学フィルムとして各種の用途に広く使用されているものを言う。
本発明によれば、レンズ形成工程、受像層形成工程、貼合工程及び巻取工程を経て形成した立体画像用印画シート原反を、打抜工程によって所定サイズのシートに打ち抜くと共に、貼合工程におけるドライラミ用接着剤の固化反応が完了するまでに打抜工程を終了させるようにした。
ドライラミ用接着剤の固化反応が完了したか否かは、反応温度環境(具体的には透明支持体の巻回ロールの保管環境温度)における予備試験等を行うことにより把握できるので、貼合工程から打抜工程までの時間で設定することができる。
これにより、立体画像用印画シート原反を形成する過程において透明支持体をロール状に巻回して巻回ロールを形成する巻取工程を有していても、ドライラミ用接着剤の固化反応が完了して立体画像用印画シート原反に巻き癖が形成されてしまう前に巻回ロールを巻き戻して打抜工程を行うことができる。したがって、製造された立体画像用印画シートには巻き癖が残らない。これにより、画像ボケ防止のために汎用樹脂フィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた厚い透明支持体を使用してもカールしないように立体画像用印画シートを製造できる。
本発明の製造方法においては、前記透明支持体の厚みを厚手化することによって、前記立体画像用印画シートの厚みを400μm以上にすることが好ましい。これにより画像ボケ防止できるからである。立体画像用印画シートの厚みは500μm以上であることが特に好ましい。なお、立体画像用印画シートの厚みの上限を記載しなかったが、厚くし過ぎて立体画像用印画シートとしての不具合がでる厚みを上限とすることができる。
この場合、レンズ形成工程、受像層形成工程、貼合工程は、どの順番に行ってもよい。したがって、貼合工程の前にレンズ形成工程や受像層形成工程が設けられる場合には、汎用樹脂フィルムにレンズ層や受像層が形成されることになる。また、巻取工程が貼合工程の後に少なくとも設けられるとは、レンズ形成工程、受像層形成工程、貼合工程の各工程の後にそれぞれ巻取工程を有してもよく、少なくとも貼合工程の後で透明支持体が巻き取られる工程があればよい。
本発明の製造方法においては、前記貼合工程後は前記透明支持体を15℃以下で冷却する冷却工程を備えると共に、貼合工程後8日以内に前記打抜工程を行うことが好ましい。
透明支持体を15℃以下に冷却することにより、ドライラミネート用接着剤の固化反応の進行を顕著に遅らせることができるので、貼合工程の後、少なくとも8日間はドライラミ用接着剤の固化反応が完了することはない。したがって、貼合工程後8日以内に打抜工程を行えば、カールの発生をより確実に防止できる。
なお、透明支持体の冷却の下限値を設けなかったが、これは冷却し過ぎて透明支持体が凍っても加熱することで解けるので本発明の効果は得られるためである。敢えて下限値を設定すると、透明支持体が凍って室温に戻したときに結露し易く、立体画像用印画シートの品質に悪影響がでる可能性のある0℃以上、好ましくは5℃以上とすることができる。
ちなみに、貼合工程後の透明支持体を室温(25℃)に保管した場合には、4日程度でドライラミ用接着剤の固化反応が完了する。
また、透明支持体を15℃以下に冷却することにより、貼合工程から打抜工程までの許容時間を室温保管に比べて長く確保することができるので、立体画像用印画シートの製造工程のフレキシビリティー化を図ることができる。
本発明の製造方法においては、前記冷却工程は、前記巻回ロールを15℃以下の保管室で保管する工程であることが好ましい。
立体画像用印画シートのカール発生は、立体画像用印画シート原反をロール状に巻回している際の巻き癖が原因である。したがって、各工程で形成された巻回ロールを15℃以下の保管室で保管することで、効率的に巻き癖を防止できるからである。
これにより、貼合工程から打抜工程までの時間を短縮することができるので、製造される立体画像用印画シートのカール発生を更に確実に防止できる。
本発明の製造方法においては、前記受像層と前記透明支持体との間に、ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリエチレン樹脂から選択された硬質性樹脂層を形成する樹脂層形成工程を備えることが好ましい。
これによって、製造される立体画像用印画シートのカール発生を更に抑制できる。また、透明支持体の他方面側(受像層側)の硬さを硬くすることができるので、印画装置として熱転写インクシート装置を使用した場合に印画ヘッドの受像層に対する押し込みを小さくすることができる。この結果、印画時に色抜け故障が発生するのを防止できる。
立体画像用印画シートの層構成を示す図。 立体画像用印画シートの製造方法における各種工程順を説明する説明図。 貼合工程の装置構成を説明する概略構成図。 レンズ形成工程の装置構成を説明する概略構成図。 樹脂層形成工程の装置構成を説明する概略構成図。 受像層形成工程の装置構成を説明する概略構成図。 打抜工程の装置構成を説明する概略構成図。
以下添付図面に従って本発明の立体画像用印画シート及びその製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
[立体画像用印画シート]
図1は、本発明の立体画像用印画シートの層構成の一例であり、レンチキュラーレンズをレンズ層とし、透明支持体と受像層との間に硬質性樹脂層を介在させた場合である。また、本実施の形態では、2枚の透明な汎用樹脂フィルムをドライラミ用接着剤で貼り合わせて透明支持体とする例で説明するが、2枚以上を貼り合わせてもよい。
図1に示されるように、立体画像用印画シート10は、所定サイズ(例えば12.7cm×17.8cm)のシート形状(例えば四角形状シート)に形成され、透明支持体12の一方面にレンズ層14(図1にはレンチキュラーレンズを例示)を有すると共に他方面に画像を記録する受像層16を有し、透明支持体12と受像層16との間に硬質性樹脂層18が介在される。また、透明支持体12は、2枚の透明な汎用樹脂フィルム12Aをドライラミ用接着剤12Cで貼り合わせたものが使用されている。なお、レンズ層14を構成するレンチキュラーレンズの数を4本の例で示したが、実際には多数本で構成される。
次に、立体画像用印画シート10を構成する各層12、14、16、18について詳説する。
<透明支持体>
透明支持体12は、できるだけ平滑なシート表面を有することが好ましい。また、透明支持体12の一方面に押出ラミネート法でレンズ層14を形成する際に、押出ダイからシート状に押し出された溶融状態のレンズ層用樹脂の熱に耐える必要があり、比較的耐熱性の高い樹脂であることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等を挙げることができる。特に、平滑性が良好な点から、二軸延伸のポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
また、立体画像用印画シート10に、熱転写インクシート装置やインクジェット装置等の印画装置によって画像を形成したときに画像ボケが発生しないように立体画像用印画シート10の厚みは400μm以上あることが必要であり、複数枚の汎用樹脂フィルム12A,12Bをドライラミ用接着剤12Cで貼り合わせて厚手化した透明支持体12が使用される。立体画像用印画シート10の厚みは、500μm以上が特に好ましい。なお、立体画像用印画シート10の厚みの上限を記載しなかったが、厚くし過ぎて立体画像用印画シート10として不具合がでる厚みを上限とすることができる。
<レンズ層>
レンズ層14を構成する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。溶融押出しのし易さを考慮すると、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のような溶融粘度の低い樹脂を用いるのが好ましい。また、後記するレンズ層形成工程でのレンズ層パターンの転写のし易さや連写されたレンズ層14の耐久性、あるいはレンズ層14の割れにくさ等を考慮するとグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのがより好ましい。
図1に示すように、レンズ層14は50μm〜200μmの厚さ(T)を有し、その表面にレンチキュラーレンズ形状を備える。レンチキュラーレンズ形状は、例えば、100μm〜200μmのレンズ半径(R)、50μm〜100μmのレンズ高さ(H)、100μm〜318μmのレンズ間距離(P)で形成される。ただし、この数値に限定されるものではない。レンチキュラーレンズ形状とは、縦方向に長いかまぼこ型のレンズを横に並べた板状のレンズアレイ、つまり、シリンドリカルレンズが2次元的に配列をもった形状を意味する。
<受像層>
受像層16は、熱転写用インクシート装置から転写された色材を取り込んで着色するものと、インクジェット装置から吐出したインク液滴を取り込んで着色する両方の印画装置に適合した層を選択することができるが、ここでは熱転写方式による受像層16の例で詳しく説明する。
受像層16は、厚みが1μm〜10μmの範囲に形成されることが好ましく、少なくとも1層の受像層16を有し、少なくともポリマーラテックスを含有する。
(ポリマーラテックス)
本明細書中、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもののことを言う。本実施の形態の受像層16に用いられるポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
(水溶性ポリマー)
本実施の形態においては、受像層16に水溶性ポリマーを含有してもよく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましく用いられ、なかでも後記する受像層形成工程において受像層16を塗布するときのセット性が良好であるという理由からゼラチンが好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは受像層16の親疎水性の制御に有効であり、多量に使用し過ぎない場合はインクシートからの色材転写が良好であり、転写濃度も良好となる。水溶性ポリマーの使用量は、受像層16の固形分全体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
(ポリエーテル変性シリコーン)
本実施の形態において、受像層16にシリコーンを含有することが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンを含有することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性シリコーンを含有することが特に好ましい。
(界面活性剤)
本実施の形態において、受像層16に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。
(その他の添加剤)
本実施の形態の受像層16には、必要に応じて、添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、防腐剤、造膜助剤、硬膜剤、マット剤(滑剤を含む)、酸化防止剤、その他の添加剤を含有させることができる。
ちなみに、インクジェット方式によるインク受像層は、例えばポリビニルアルコール、カチオン樹脂等の親水・吸水性のポリマーや樹脂、顔料、バインダー等からなる。
<硬質性樹脂層>
本実施の形態では、透明支持体12の他方面にラミネートされた硬質性樹脂層18上に受像層16が形成される。硬質性樹脂層18を構成する樹脂の少なくとも1種は、上記したレンズ層14を構成する少なくとも1種の樹脂と同一の樹脂であることが好ましい。なお、硬質性樹脂層18を構成する樹脂とレンズ層14を構成する樹脂とが複数の樹脂を含む場合、その全てが同じ樹脂であることが好ましい。硬質性樹脂層18の樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。溶融押出し易さを考慮すると、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のような溶融粘度の低い樹脂を用いるのが好ましく、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのがより好ましい。
硬質性樹脂層18は、15μm〜50μmの厚さを有するのが好ましく、20μm〜30μmの厚さを有するのがより好ましい。硬質性樹脂層18の厚さ及び樹脂材料を適宜選択することで、後記する立体画像用印画シート10の製造において硬質性樹脂層18は透明支持体12がカールするのを抑制することができる。特に、比較的厚い(例えば、100μm以上)レンズ層14を形成する場合、硬質性樹脂層18のカール抑制機能は重要となる。
[立体画像用印画シートの製造方法]
次に、上記の層構成を有する立体画像用印画シート10の製造方法及び装置構成について説明する。
立体画像用印画シート10の製造方法は、貼合工程と、レンズ形成工程と、受像層形成工程と、樹脂層形成工程と、巻取工程と、の各工程によって立体画像用印画シート原反10Aを形成し、形成した立体画像用印画シート原反10Aを打抜工程によって所定サイズのシートに打ち抜くと共に、貼合工程におけるドライラミ用接着剤12Cの固化反応が完了するまでに打抜工程を終了させるように構成される。
これにより、立体画像用印画シート原反10Aを形成する過程において、透明支持体12をロール状に巻回して巻回ロールを形成する巻取工程を有していても、ドライラミ用接着剤12Cの固化反応が完了して立体画像用印画シート原反10Aに巻き癖が形成されてしまう前に巻回ロールを巻き戻して打抜工程を行うことができる。したがって、製造された立体画像用印画シート10には巻き癖が残らない。これにより、画像ボケ防止のために複数枚の汎用樹脂フィルム12A,12Bをドライラミ用接着剤12Cで貼り合わせた厚い透明支持体12を使用しても製造された立体画像用印画シート10のカールを抑制できる。また、透明支持体12と受像層16の間に、上記したように硬質性樹脂層18を設けたので、立体画像用印画シート10のカール抑制を一層確実に行うことができる。
かかる立体画像用印画シート10を製造する際の上記各工程は、図2に示すように3つの異なる工程順を採用することができる。
[工程順の第1態様]
図2(A)は、工程順の第1態様を示す概略構成図である。
第1態様では、貼合工程、樹脂層形成工程、受像層形成工程、レンズ層形成工程の順に行って、立体画像用印画シート原反10Aを製造する。そして、各工程において巻取装置19に巻き取った透明支持体12の巻回ロールを次の工程が開始されるまで15℃以下の保管室20で保管し、最後に打抜工程を行う場合である。
[工程順の第2態様]
図2(B)は、工程順の第2態様を示す概略構成図である。
第2態様では、樹脂層形成工程、受像層形成工程、貼合工程、レンズ層形成工程の順に行って、立体画像用印画シート原反10Aを製造する。そして、貼合工程及びレンズ層形成工程において巻取装置19に巻き取った透明支持体12の巻回ロールを次の工程が開始されるまで15℃以下の保管室20で保管し、最後に打抜工程を行う場合である。
[工程順の第3態様]
図2(C)は、工程順の第3態様を示す概略構成図である。
第3態様では、樹脂層形成工程、受像層形成工程、レンズ層形成工程、貼合工程の順に行って、立体画像用印画シート原反10Aを製造する。そして、貼合工程において巻取装置19に巻き取った透明支持体12の巻回ロールを次の工程が開始されるまで15℃以下の保管室20で保管し、最後に打抜工程を行う場合である。
上記第1態様から第3態様において、少なくとも貼合工程の後の工程における巻回ロールを保管室20で次の工程まで待機させるようにしたので、ドライラミ用接着剤12Cの固化反応の進行を遅らせて固化反応が完了するまでの時間を長くすることができる。これにより、巻回ロールに巻き癖が発生する前に打抜工程を行い易くなるので、カールの発生をより確実に抑制できる。また、打抜工程までの時間を長く確保することができるので、立体画像用印画シート10の製造工程のフレキシビリティー化を図ることができる。
なお、上記第1態様から第3態様では、貼合工程後の巻回ロールを保管室20で保管するようにしたが、立体画像用印画シート10の製造工程のライン全体を15℃以下に維持するようにライン全体を空調してもよい。
また、上記第1態様から第3態様では、打抜工程の直前に貼合工程を行う第3態様の工程順が貼合工程から打抜工程までの時間を短くできるので最も好ましい。
次に、立体画像用印画シートを製造する各工程の装置構成を説明する。
(貼合工程)
図3は、貼合工程を行う貼合装置21の一例である。
図3に示すように、第1送出装置22から例えば厚みが180μmの帯状の透明な第1汎用樹脂フィルム12A(例えば二軸延伸のPETフィルム)が送り出される。送り出された第1汎用樹脂フィルム12Aの裏面には、塗布装置24によってドライラミ用接着剤12Cが塗布される。次に、第1汎用樹脂フィルム12Aは乾燥装置28内を通過してドライラミ用接着剤12C中の溶剤を飛ばしてドライ化する。
一方、第2送出装置30から第2汎用樹脂フィルム12Bが送り出されると共に、第2汎用樹脂フィルム12Bの裏面にコロナ処理装置34によってコロナ処理が施される。
次に、2つのローラ36A,36Bからなるニップ装置36によって第1汎用樹脂フィルム12Aと第2汎用樹脂フィルム12Bとがニップされ、互いのフィルム裏面がドライラミ用接着剤12Cによって貼り合わされた後、巻取装置38に巻き取られる。これにより、厚みが180μmの帯状の透明な2枚の汎用樹脂フィルム12A、12Bをドライラミ用接着剤12Cで貼り合わせて360μmに厚くした透明支持体12が形成される。
ドライラミ用接着剤12Cを塗布する塗布装置24としては、どのような装置でもよいが、第1汎用樹脂フィルム12Aの裏面にドライラミ用接着剤12Cを薄く且つ均一に塗布できる例えばスロットダイ方式、ロッド塗布方式等を好適に採用できる。
また、ドライラミ用接着剤12Cを乾燥する乾燥装置28は、複数の乾燥ゾーンを有しており、入口側から低温乾燥ゾーン、高温乾燥ゾーン、冷却ゾーンの各ゾーンを有することが好ましい。
ドライラミ用接着剤12Cとしては、ポリウレタン接着剤組成物あるいは2液硬化型のドライラミ用接着剤組成物を好適に使用することができる。ポリウレタン接着剤組成物は、有機ポリイソシアネートと,有機ポリオールにリンの酸素酸又はその誘導体と,アミン化合物及びエポキシ樹脂とを配合して構成される。
2液硬化型のドライラミ用接着剤組成物は、ポリエステルポリオール,ポリウレタンポリオール等の有機ポリマーポリオール成分と、2官能ポリイソシアネート化合物と3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物と、からなる有機ポリイソシアネート成分とから構成される。
(レンズ層形成工程)
図4は、レンズ層形成工程を行うレンズ層形成装置39の一例である。
図4に示すように、乾燥されたレンズ層用の原料樹脂がホッパー40を介して押出機42に投入され、混練されながら溶融される。押出機42は単軸式押出機及び多軸式押出機の何れでもよく、押出機42の内部を真空にするベント機能を含むものでもよい。押出機42で溶融された原料樹脂は、供給管を介して押出ダイ44に送られる。
押出ダイ44から原料樹脂がシート状のレンズ層用樹脂シート46として溶融押し出しされる。一方、送出装置48からは帯状の透明支持体12が送り出される。
そして、押出ダイ44から押し出されたレンズ層用樹脂シート46と、送出装置48から送り出された帯状の透明支持体12と、が型ローラ50とニップローラ52とでニップされる。型ローラ50のローラ表面には、レンチキュラーレンズの反転形状が形成されている。これにより、レンズ層用樹脂シート46がラミネートされた透明支持体12が形成されると共に、レンズ層用樹脂シート46の表面には型ローラ50によってレンチキュラーレンズのパターン形状が転写される。
次に、透明支持体12は型ローラ50に巻き付くように搬送されることにより、型ローラ50内部に設けられた冷却手段(図示せず)により冷却固化された後、剥離ローラ54によって型ローラ50から剥離される。これにより、透明支持体12の一方面にレンズ層14が形成され、巻取装置56に巻き取られる。
型ローラ50の温度は、ニップ部でのレンズ層用樹脂シート46の温度がガラス転移温度以上となっているように設定することが好ましい。一方、剥離ローラ54により透明支持体12を型ローラ50から剥離する場合、型ローラ50とレンズ層用樹脂シート46との接着が強すぎると、透明支持体12が不規則に剥離して突起状に変形する。したがって、型ローラ50の温度はレンチキュラーレンズの転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。レンズ層用樹脂シート46として、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、型ローラ50の表面温度は30〜90℃、好ましくは40〜70℃とすることが好ましい。なお、型ローラ50の温度を制御するために、型ローラ50内部を熱媒体(温水、油)で満たし循環させる等の公知の手段が採用できる。
また、レンズ層用樹脂シート46の熱分解により面状悪化などの問題を生じることから、押出ダイ44からの吐出温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。レンズ層用樹脂シートとしてグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、押出ダイ44からの吐出温度は240〜290℃、好ましくは250〜280℃とすることが好ましい。
なお、上記説明は、貼合工程の後にレンズ形成工程を行う場合であるが、貼合工程の前にレンズ形成工程を行う場合には、送出装置48からは汎用樹脂フィルム12Aが送りだされ、汎用樹脂フィルム12Aの表面にレンズ層14が形成されることになる。
型ローラ50の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として硬質クロムメッキ(HCrメッキ)、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
ニップローラ52の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。ニップローラ52には、図示しない加圧手段が設けられており、型ローラ50との間の透明支持体12とレンズ層用樹脂シート46とを所定の圧力でニップできる。加圧手段は、何れも、ニップローラ52と型ローラ50とのニップ点における法線方向に圧力を印加する構成のもので、モータ駆動手段、エアシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段が採用できる。
ニップローラ52には、ニップ力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラ52の背面側(型ローラ50の反対側)に図示しないバックアップローラを設ける構成、クラウン形状(中高形状とする)を採用する構成、ローラの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラの構成、及びこれらを組み合わせた構成等が採用できる。
剥離ローラ54は、型ローラ50に対向配置され、透明支持体12を巻き掛けることによりレンズ層14がラミネートされた透明支持体12を型ローラ50より剥離するためのローラである。剥離ローラ54の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。
(樹脂層形成工程)
本実施の形態では、透明支持体12と受像層16との間に硬質性樹脂層18を介在させる樹脂層形成工程を設ける。
図5は樹脂層形成工程を行う樹脂層形成装置51の一例である。
樹脂層形成装置51の装置構成は、図5に示すように、図4のレンズ層形成装置39において、型ローラ50が鏡面ローラ58に置き換わっただけで、基本的構成は同じなので、説明は省略する。
そして、押出ダイ44からは樹脂層用樹脂シート60を押し出して透明支持体12の他方面に硬質性樹脂層18を形成する。硬質性樹脂層18を形成する樹脂材料としては、ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリエチレン樹脂から選択された樹脂を好適に使用できる。
なお、上記説明は、貼合工程の後に樹脂層形成工程を行う場合であるが、貼合工程の前に樹脂層形成工程を行う場合には、送出装置48からは汎用樹脂フィルム12Bが送り出され、汎用樹脂フィルム12Bの表面に硬質性樹脂層18が形成されることになる。
(受像層形成工程)
図6は、受像層形成工程を行う受像層形成装置61の一例である。
図6に示すように、他方面に硬質性樹脂層18が形成された透明支持体12は、送出装置62から送り出されて塗布装置64に搬送され、硬質性樹脂層18の上に受像層形成用の塗布液66が厚さ2μm〜4μmで塗布される。
受像層16を形成する塗布液は、水系塗布液であることが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液66の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることを言う。塗布液66の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。塗布装置64としては、スライド塗布、バー塗布、スロット塗布、バー塗布等の公知の装置を使用することができる。
硬質性樹脂層18上に塗布液66が塗布された透明支持体12は乾燥装置68に搬送される。これにより、塗布液に含まれる溶媒が蒸発し、受像層16を硬質性樹脂層18上に形成された後、巻取装置70に巻き取られる。
乾燥装置68内は、40℃〜120℃に設定されることが好ましい。乾燥方法として、ヒータによる乾燥、熱風による乾燥、赤外線ヒータによる各種の乾燥方法を使用することができる。乾燥装置68では、乾燥速度が一定で、材料温度とほぼ湿球温度が等しい恒率乾燥期間と、乾燥速度が遅くなり、材料温度が上昇する減率乾燥期間を経て乾燥が進む。恒率乾燥期間では、外部から与えられた熱は全て水分の蒸発に使われる。減率乾燥期間では、材料内部での水分拡散が律速になり、蒸発表面の後退等により乾燥速度が低下し、与えられた熱は材料温度上昇にも使われるようになる。
なお、上記説明は、貼合工程の後に受像層形成工程を行う場合であるが、貼合工程の前に受像層形成工程を行う場合には、送出装置62からは硬質性樹脂層18が形成された汎用樹脂フィルム12Bが送りだされ、硬質性樹脂層18の上に受像層16が形成されることになる。
そして、上記貼合工程と、レンズ形成工程と、受像層形成工程と、樹脂層形成工程と、巻取工程と、の各工程を経ることによって立体画像用印画シート原反10Aが形成される。そして、貼合工程で使用したドライラミ用接着剤12Cの固化反応が完了する前に次の打抜工程によって、立体画像用印画シート原反10Aを所定サイズに打ち抜く。
(打抜工程)
図7は、打抜工程を行う打抜装置72の一例である。
図7に示すように、打抜装置72は、主として、立体画像用印画シート原反10Aを搬送すると共に打ち抜きのときに搬送を一旦停止する搬送手段(図示せず)と、立体画像用印画シート原反10Aを打抜き刃で打ち抜く打抜き手段74と、で構成される。
搬送手段は、帯状の立体画像用印画シート原反10Aを巻き取る巻取装置(図示せず)と、立体画像用印画シート原反10Aの搬送経路に配置された多数のパスローラ76とで構成され、巻取装置で立体画像用印画シート原反10Aを巻き取ることにより、立体画像用印画シート原反10Aを矢印A方向に搬送する。
打抜き手段74は、主として、搬送される立体画像用印画シート原反10Aの上方(原反の表面側)に設けられ、図示しない昇降装置により矢印X−Y方向に昇降するカッタ保持板78と、下方(原反の裏面側)に設けられたカッタ受台80とで構成される。昇降装置としては、カッタ保持板78を精度良く昇降できるものであれば特に限定されないが、例えばシリンダ機構やクランク機構等を採用することができる。
カッタ保持板78には、矩形枠状(額縁状)の打抜き刃82が立体画像用印画シート原反10Aの搬送方向に3個、原反の幅方向に2個、合計6個が精密に整列した状態で形成される。打抜き刃82は、立体画像用印画シート原反10Aの搬送方向に沿った一対の平行な裁断方向刃82Aと、裁断方向刃に直交する一対の平行な切断方向刃82Bと、により矩形枠状を呈する所謂トムソン刃構造に形成される。打抜き刃82は下方に向いており、カッタ保持板78の下面から下方に所定長さだけ突出して形成される。
一方、カッタ受台80は、固定配置されると共に、打抜き刃82が衝突する平坦な受け面には、打抜き刃82の破損を防止する下敷フィルム84が配置される。下敷フィルム84としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を好適に使用できる。
上記の如く構成される打抜き手段74によれば、搬送される帯状の立体画像用印画シート原反10Aを一旦停止し、カッタ保持板78を下降させ、立体画像用印画シート原反10Aを介して打抜き刃82をカッタ受台80に衝突させる。これにより、一度に6枚の枚葉状の立体画像用印画シート10を打ち抜くことができる。
なお、本実施の形態では、四角形状シートとして打ち抜く例で説明したが、四角形状シートに限定するものではない。
[実施例1]
以下、本発明の立体画像用印画シートの製造方法で製造した立体画像用印画シート10の実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
図2で示した立体画像用印画シートの製造方法における工程順のうち、第1態様から第3態様のうち、第2態様で立体画像用印画シートを製造した。
[実施例による立体画像用印画シートの製造]
(樹脂層形成工程)
汎用樹脂フィルム12Bとして厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(富士フイルム(株)製)を用い、図5の樹脂層形成装置51を用いて汎用樹脂フィルム12Bの他方面に35μmの厚みの硬質性樹脂層18を形成した。
即ち、鏡面ローラ58(φ350mm、表面温度15℃)とニップローラ52の間に20m/分で走行する汎用樹脂フィルム12Bを挿入する。一方、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂PETG(SKケミカル社製)の樹脂シートを、温度280℃に設定した押出ダイ44(吐出幅350mm)より、実測樹脂温度260〜280℃として押し出して、汎用樹脂フィルム12Bと鏡面ローラ58との間に供給する。これにより、汎用樹脂フィルム12Bに硬質性樹脂層18が貼り合わされるので、鏡面ローラ58で冷却固定後に剥離ローラ54で剥離し巻取装置56で巻き取った。
次に、硬質性樹脂層18の上に3μmの厚みの受像層16を形成した。
(受像層形成工程)
(1)ポリエーテル変性シリコーンの合成)
ポリエーテル変性シリコーンの合成は、伊藤邦雄著「シリコーンハンドブック」(日刊工業新聞社、1990年、p.163)等に記載されている公知の方法を用いることができる。具体的には、撹拌装置と温度計付きガラスフラスコ内で、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体20質量部と片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン40質量部とを混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール20質量部を加えた。更に塩化白金酸を加えて86℃で2時間撹拌した後、赤外吸収スペクトルでSi−Hを示すピークが消失していることを確認し、更に30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。
(2)受像層塗布液の調製
下記の組成の受像層塗布液を調製した。
*塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス …20.0質量部(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
*塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス …20.0質量部(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
*ゼラチン(10%水溶液)…2.0質量部
*ポリビニルピロリドン…0.5質量部(K−90、商品名、ISP(株)製)
*前記ポリエーテル変性シリコーン(100%)…1.5質量部
*アニオン性界面活性剤A1−1…0.5質量部
*水…50.0質量部
(3)受像層塗布液の塗布
図6の受像層形成装置61を用いて、上記の如く調整した受像層塗布液を硬質性樹脂層18上に乾燥後の塗布量が、2.5g/m(厚みで3μm)になるように塗設した。なお、塗布装置64としてはバー塗布装置を用いた。
(貼合工程)
次に、図3の貼合装置21を用いて、硬質性樹脂層18上に受像層16を形成した汎用樹脂フィルム12Bの裏面(受像層16のない面)と、もう1枚の汎用樹脂フィルム12Aの裏面(後でレンズ層14を形成しない面)とを、ドライラミ用接着剤12Cで接着して厚手の透明支持体12を形成した。
ドライラミ用接着剤12Cは、ポリエステル系の主剤100質量部に対して、ポリイソシアネート系の硬化剤を10質量部混合し、酢酸エチルで希釈した2液硬化型のドライラミ用接着剤組成物を用いた。
送出装置22から汎用樹脂フィルム12Aを50m/分で送り出して、塗布装置24により汎用樹脂フィルム12Aの裏面に上記ドライラミ用接着剤を塗布した後、乾燥装置28で100℃の温度で熱風乾燥した。一方、送出装置30から硬質性樹脂層18上に受像層16を形成した汎用樹脂フィルム12Bを50m/分で送り出して、コロナ処理装置34により汎用樹脂フィルム12Bの裏面に3kWのコロナ処理を行った。
そして、ニップ装置36により、汎用樹脂フィルム12Aと汎用樹脂フィルム12Bとをドライラミ用接着剤12Cで接着し、巻取装置38に巻き取った。2枚貼り合わされた透明支持体12の厚みは、2枚の汎用樹脂フィルム12A,12Bの合計厚みが376μmで、ドライラミ用接着剤12Cの接着層厚みが15μmであり、合計391μmであった。
(冷却工程)
貼合工程後に巻取装置38に巻き取った巻回ロールを、15℃の保管室に8日間保管した後、レンズ層形成工程を行った。
(レンズ層形成工程)
図4に示すレンズ層形成装置39を用いて、受像層及び硬質性樹脂層が形成された透明支持体12の一方面(受像層のない面)にレンチキュラーレンズのレンズ層14を形成した。レンズ層14の厚みは130μmになるように形成した。
また、レンチキュラーレンズ形状が、半径150μm、レンズ高さ70μm、ピッチ254μmとなるように、ローラ表面にレンチキュラーレンズの反転形状が形成された型ローラ50を使用した。
そして、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂PETG(SKケミカル製)を、温度280℃に設定した押出ダイ44(吐出幅330mm)より、実測樹脂温度260〜280℃として押し出した。
一方、送出装置48から、受像層及び硬質性樹脂層が形成された透明支持体12を20m/分の搬送速度で送り出した。
そして、型ローラ50とニップローラ52との間でニップすることにより、透明支持体12の一方面(受像層のない面)にレンズ層14を形成した。これにより、立体画像用印画シート原反10Aを製造した。
(打抜工程)
そして、図7の打抜装置72を用いて、製造した立体画像用印画シート原反10Aを2Lサイズの大きさに6枚打ち抜いた。これにより、本発明の立体画像用印画シート10を得ることができた。
製造された立体画像用印画シート10の厚みは、559μm(約560μm)であった。立体画像用印画シート10の厚みの内訳は、受像層の厚み3μm、硬質性樹脂層の厚み35μm、2枚の汎用樹脂フィルム12A,12Bの合計厚みが376μm、ドライラミ用接着剤12Cの接着層厚みが15μm、レンズ層の厚み130μm、合計559μmである。
(カール量測定試験結果)
得られた6枚の立体画像用印画シート10についてカール量測定試験を行った。カール量測定試験は、表面が平坦な試験盤の上に立体画像用印画シート10を置き、試験盤表面から浮き上がっているシート10端部の最大浮き上がり距離を測定した。
立体画像用印画シート10のカール量は、製品として4mm以下であれば問題なく、本試験においても4mm以下を合格とした。その結果、得られた6枚の立体画像用印画シート10ともにカール量平均値は3mm以下(最大3.3mm)であり、合格であった。
(画像ボケ試験結果)
得られた6枚の立体画像用印画シート10について目視にて画像ボケが有るか無いかを調べた。その結果、6枚の立体画像用印画シート10ともに画像ボケがなく明瞭な立体画像を得ることができた。
[比較例1]
比較例1は、上記実施例で説明した貼合工程は行わずに、厚さ188μmの1枚のPETフィルムを透明支持体12として使用した以外は実施例と同様である。得られた比較例1の立体画像用印画シートの厚みは、356μmであった。
その結果、カール量は2mmと良い結果であったが、画像ボケが確認された。
[比較例2]
比較例2は、上記実施例で説明した貼合工程後の巻回ロールを、25℃の室温に保管した後、レンズ層形成工程を行って立体画像用印画シート原反を製造した。そして、製造した立体画像用印画シート原反を図7の打抜装置72で2Lサイズに打ち抜いて立体画像用印画シートを得た。得られた立体画像用印画シートの厚みは実施例と同様である。
そして、得られた6枚の立体画像用印画シートについて、カール量測定試験及び画像ボケ試験を実施した。
その結果、比較例2の立体画像用印画シートに画像ボケは認められないものの、6枚の立体画像用印画シートのカール量平均値が12mmと大きく、製品として使用できないカールが発生した。
以上の結果から、本発明の立体画像用印画シートの製造方法で立体画像用印画シート10を製造すれば、画像ボケ防止のために厚みの薄い汎用樹脂フィルム12A,12Bをドライラミ用接着剤12Cで貼り合わせた厚い透明支持体12を使用しても製品として問題レベルまでカールを抑制できることが分かった。
10…立体画像用印画シート、10A…立体画像用印画シート原反、12…透明支持体、12A、12B…汎用樹脂フィルム、12C…ドライラミ用接着剤、14…レンズ層、16…受像層、18…硬質性樹脂層、20…保管室、21…貼合装置、22…第1送出装置、24…塗布装置、28…乾燥装置、30…第2送出装置、34…コロナ処理装置、36…ニップ装置、38…巻取装置、39…レンズ層形成装置、40…ホッパー、42…押出機、44…押出ダイ、46…レンズ層用樹脂シート、48…送出装置、50…型ローラ、51…樹脂層形成装置、52…ニップローラ、54…剥離ローラ、56…巻取装置、58…鏡面ローラ、60…樹脂層用樹脂シート、62…送出装置、64…塗布装置、66…塗布液、68…乾燥装置、70…巻取装置、72…打抜装置、74…打抜き手段、76…パスローラ、78…カッタ保持板、80…カッタ受台、82…打抜き刃、84…下敷フィルム

Claims (5)

  1. 透明支持体の一方面にレンズ層を有すると共に他方面に画像を記録する受像層を有し、所定サイズのシートに形成された立体画像用印画シートの製造方法において、
    前記立体画像用印画シートの原反を、
    前記レンズ層を形成するレンズ層形成工程及び前記受像層を形成する受像層形成工程に加えて、
    前記透明支持体の形成材料として帯状の透明な汎用樹脂フィルムを使用し、前記汎用樹脂フィルムをドライラミ用接着剤で複数枚貼り合わせて前記透明支持体を厚手化する貼合工程と、
    前記貼合工程の後に少なくとも設けられ、前記透明支持体をロール状に巻回して巻回ロールを形成する巻取工程と、を少なくとも行うことによって形成し、
    前記巻取工程の後に、前記形成した立体画像用印画シート原反を打抜工程によって前記所定サイズのシートに打ち抜くと共に、
    前記貼合工程、前記レンズ層形成工程、前記受像層形成工程のうち、前記貼合工程を最後に行うことにより、前記貼合工程におけるドライラミ用接着剤の固化反応が完了するまでに前記打抜工程を終了させることを特徴とする立体画像用印画シートの製造方法。
  2. 前記透明支持体の厚みを厚手化することによって、前記立体画像用印画シートの厚みを400μm以上にすることを特徴とする請求項1に記載の立体画像用印画シートの製造方法。
  3. 前記貼合工程後は前記透明支持体を15℃以下で冷却する冷却工程を備えると共に、貼合工程後8日以内に前記打抜工程を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像用印画シートの製造方法。
  4. 前記冷却工程は、前記巻回ロールを15℃以下の保管室で保管する工程であることを特徴とする請求項3に記載の立体画像用印画シートの製造方法。
  5. 前記受像層と前記透明支持体との間に、ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリエチレン樹脂から選択された硬質性樹脂層を形成する樹脂層形成工程を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の立体画像用印画シートの製造方法。」
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