JP5808054B2 - Nog樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを用いた抗癌剤ターゲット探索及びスクリーニング法 - Google Patents

Nog樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを用いた抗癌剤ターゲット探索及びスクリーニング法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒト癌組織の癌幹細胞を頂点とした階層構造、癌進展プロセスが再現され、その生物学的特性が検討できることを特徴とする癌病態非ヒト動物モデルに関する。また本発明は、当該非ヒト動物モデルもしくは高度免疫不全動物であるNOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を用いた抗癌剤のスクリーニング方法、又は披験物質の薬理効果の評価方法に関する。
ヒトの腫瘍細胞には、さまざまな組織構築が認められ、これが癌幹細胞を頂点とした階層構造を取ることが知られている(非特許文献1)。たとえば大腸癌の場合、大腸上皮様に分化した細胞よりなる腺腔構造をなす領域と、間葉系細胞への分化傾向を示す浸潤領域の2階層に大別されることが知られている(非特許文献2、3)。このような知見は、膨大なヒト大腸癌組織の形態学的観察の蓄積から得られたものであるが、この癌組織の階層構造を再現するモデル動物が希少なため、同構造の形成過程と、そこへの癌幹細胞の関与のありさまが不明であった。
一方、高度免疫不全動物であるNOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株においては、近年ヒト癌組織と類似した組織構築を示すことが示されつつある(非特許文献4)。
しかしながら、これまでin vivo系において癌細胞株の階層構造の形成過程を形態学的に観察することや、それら形成過程の癌幹細胞の関与を解明するために、有用なモデル動物は存在していなかった。癌疾患を治療又は予防するための医薬品の開発や評価においては、ヒトの癌疾患を反映する癌病態動物モデルを用いて、抗がん剤のスクリーニングや披験物質の薬理効果を評価する方が、ヒト臨床データに近い結果が得られることが知られている。以上のことから、ヒトの癌疾患により類似する病態を保持する非ヒト動物モデルが求められていた。また、ヒトの癌疾患病態により類似する細胞形態をin vitro系において発現している細胞培養系が求められていた。
Dalerba P. et al., Annu Rev Med. 2007; 58: 267-284 Brabletz T. et al., Nat Rev Cancer. 2005; 5: 744-749 Kirchner T. et al., Am J Pathol. 2000; 157: 1113-1121 Fujii E. et al., Pathol Int. 2008; 58: 559-567
本発明は、ヒト癌組織の階層構造、癌進展プロセス及びその生物学的特性が再現されていることを特徴とする癌病態非ヒト動物モデルを提供することを課題とする。また本発明は、当該非ヒト動物モデルもしくは高度免疫不全動物であるNOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を用いた抗癌剤ターゲットの探索方法を提供することを課題とする。また本発明は、当該非ヒト動物モデル又は当該NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を用いた、癌疾患の予防又は治療に有効な抗癌剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、当該非ヒト動物モデル又は当該NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を用いた、披験物質のヒト癌疾患に対する予防効果又は治療効果の評価方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。
本発明者らは、高度免疫不全動物NOGマウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株を、NOGマウスに移植した後に、その組織構築を形態学的に観察すれば、その階層構造の形成過程とそこへの癌幹細胞の関与、又はその生物学的特性について解明できるものと考え、以下の研究を行った。
まず、大腸癌、胃癌、乳癌、肺癌および膵臓癌のNOG樹立癌細胞株の同マウス移植後の形態観察を行ったところ、ヒト癌組織が上皮様構造を取る領域と、部分的に間葉系の性質を示す細胞よりなる浸潤領域が観察された(図1〜4)。
またその階層構造は移植元のヒト癌組織と酷似し、その階層構造を取るにいたる癌進展プロセスには経時的な変動が見られた。さらに組織形の異なる移植元腫瘍から樹立した株を経時的に観察すると、各株は固有の変動する進展プロセスを経て、移植元腫瘍に類似する組織像を取り(表1)、それが繰り返し再現されること(図5)、加えて、その過程の中で癌幹細胞の様態が経時的に推移することが示された(図6、7)。この推移する癌幹細胞の存在は、ヒト大腸癌において部分的に予測されていたものの、今回NOGマウスならびに同樹立癌細胞株を用いることで、初めてその実証的な存在と、腫瘍組織が構築する階層への関与が明らかになった(図8)。また、上記の通り各株は、繰り返し固有の変動する進展プロセスを経ることから、そこに含まれる癌幹細胞は、固有の最終分化到達点を持っているという生物学的特性の一端が明らかになった(図5、表1)。
さらに癌幹細胞の推移を、2世代にわたり追跡すると、1世代目では癌幹細胞性を失って分化した細胞が、2世代目には新たに幹細胞性を獲得する、いわゆる幹細胞の可塑性を示すと言う生物学的特性が明らかになった(図9)。
また近年、幹細胞が多分化能を獲得する、reprogrammingという現象には、P53などの蛋白質発現の減少が関与することが明らかになっている。そこでP53蛋白に対する免疫染色を行ったところ、同モデルで見出される癌幹細胞においてもこの、P53蛋白発現が減少していることが示された(図10)。以上から、本モデルでは、reprogrammingという癌幹細胞の生物学的特性が、忠実に再現されていることが明らかになった。
同様に近年、腫瘍間質に存在する線維芽細胞が、腫瘍増殖・進展に大きな役割を果たす可能性が指摘され、一部の腫瘍ではこの線維芽細胞が、完全上皮間葉転換(Complete Epithelial-Mesenchymal Transition、Complete-EMT))により、腫瘍自体から生ずる可能性が推定されている(Radisky DC, et al., J Cell Biochem. 2007; 101: 830-9)。本発明においては、NOG樹立癌細胞株のマウス移植後の経時観察により、宿主側(マウス側)の線維芽細胞ではなく、移植ヒト組織に由来する線維芽細胞が見出されたことから、同モデルでは腫瘍間質形成も含めた階層構造の形成を再現することが明らかとなった(図11、12)。さらに、本発明のNOG樹立癌細胞株を用いることにより、抗がん剤抵抗性モデル細胞を構築することに成功した(図13)。
以上から、NOG樹立癌細胞株を同マウスに移植し経時観察することで、(1)移植元ヒト癌組織の階層構造を、繰り返し再現するモデル動物が作出できること、(2)各階層構造を形成する性質を具備する固有の癌幹細胞が見出せ、そこに癌幹細胞の生物学的な特性が再現されること、(3)同階層構造の再現過程で癌細胞がComplete-EMTにより腫瘍間質を形成する線維芽細胞へと転換する過程を見出せることを特徴とするin vivo動物モデルの作出が可能であることが示された。またこれらの特徴は、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系においても再現可能であった。
次に上述の特徴を有する新規モデル動物が作出可能であったことから、同モデルの新規抗がん剤ターゲット探索ならびにその新規スクリーニング法としての応用を検討した。
新規抗がん剤ターゲットの探索法としては、同一株の各領域の進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造をとる組織片を、laser microdissection (LMD)法により採取し、そのmRNA発現を調べることで、プロセス、組織構造、又はその生物学的特性に依存した変動する遺伝子を調べる事が考えられる。
このようにして見出された遺伝子、もしくはそれがコードする蛋白は、当該癌進展プロセスに寄与していることが考えられることから、この阻害物質は当該癌進展プロセスを阻害する新規抗癌剤ターゲット分子となり得るものと考えられる。
一方、新規医薬品評価スクリーニング法としては、本モデルの経時変化を観察することで認められる癌進展プロセスに着目し、当該モデルへの既存抗癌剤投与(例:フルオロウラシル、イリノテカンなど)が特定の癌進展プロセスを阻害する、又は癌幹細胞に特有の生物学的特性を修飾する事を示す方法が考えられる。この例を新規抗癌剤スクリーニングに当てはめれば、特定の抗癌剤が作用する癌進展プロセスや、特定の生物学的特性を明らかにできることから、より臨床予測性の高いスクリーニングが可能であると考えられる。
即ち、本発明者らは、ヒト癌疾患により類似した病態を保持する非ヒト動物モデル又はヒト癌疾患により類似した細胞形態を示すin vitro条件下でのNOG樹立癌細胞株培養系の作製に成功し、これにより本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔18〕を提供するものである。
〔1〕高度免疫不全NOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株を、同一又は異なる種に属する非ヒト動物に移植することによって得られる非ヒト動物モデル。
〔2〕ヒト癌組織の階層構造及び癌進展プロセスが再現されていることを特徴とする、〔1〕に記載の非ヒト動物モデル。
〔3〕ヒト癌組織の階層構造及び癌進展プロセスを再現する性質を具備する固有の癌幹細胞が見出せ、その生物学的特性を検討できることを特徴とする、〔1〕に記載の非ヒト動物モデル。
〔4〕ヒト癌組織の階層構造の再現過程で、完全上皮間葉転換(Complete-EMT)により癌細胞が腫瘍間質を形成する線維芽細胞へと転換する過程を見出せることを特徴とする、〔1〕に記載の非ヒト動物モデル。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の非ヒト動物モデルに抗癌剤が投与され、癌細胞の階層構造、その癌進展プロセス、その生物学的特性、又はそれが示す完全上皮間葉転換(Complete-EMT)の変動を指標として評価することで、抗癌剤抵抗性の成因を検討することができる非ヒト動物モデル。
〔6〕前記ヒト腫瘍組織が、大腸癌、胃癌、乳癌、肺癌、又は膵臓癌由来の腫瘍組織であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の非ヒト動物モデル。
〔7〕NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤ターゲット探索方法。
〔8〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔7〕に記載の抗癌剤ターゲット探索方法。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(3)(2)において採取した組織片についてDNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
(4)組織片中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
〔9〕下記(1)〜(3)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔7〕に記載の抗癌剤ターゲット探索方法。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)特徴構造を再現した培養細胞の、DNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
〔10〕NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤のスクリーニング方法。
〔11〕下記(1)〜(5)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔10〕に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス及びその生物学的特性を同定する工程
〔12〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔10〕に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
〔13〕下記(1)〜(5)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔10〕に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
〔14〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔10〕に記載の抗癌剤スクリーニング方法。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
〔15〕NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、ヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価方法。
〔16〕下記(1)〜(5)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔15〕に記載の医薬品の評価方法。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
〔17〕下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、〔15〕に記載のヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価方法。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
〔18〕NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物又はNOG樹立癌細胞株を、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性が再現された癌モデル動物又は細胞株として使用する方法。
本発明によって、ヒト癌疾患により類似した病態を保持する非ヒト動物モデルおよびヒトの癌疾患病態により類似する細胞形態をin vitro系において発現している細胞培養系が提供された。ヒトの癌疾患をより良く反映する癌病態動物モデル又は癌細胞培養系を用いて、抗がん剤のスクリーニングや披験物質の薬理効果を評価することにより、ヒト臨床データに近い結果が得られるものと期待できる。
上皮様増殖領域を示す写真である。腺腔構造が認められ、細胞全周にE-cadherinが発現している。 in vitro培養条件下での上皮様増殖を示す写真である。左写真:3次元浮遊培養。右写真:Matrigel中での3次元培養。Matrigel中での3次元培養により、上皮様の腺腔構造の形成が認められる。 浸潤領域を示す写真である。各浸潤領域の腫瘍間質との接面で、E-カドヘリンの発現が消失する。 他癌種の上皮性領域と浸潤領域を示す写真である。E-カドヘリンにより細胞全周が取り囲まれる上皮様領域(*)と、E-カドヘリンが部分消失し、フィブロネクチンに陽性を示す細胞が見られる浸潤領域(矢印で示す部分)が認められる。 移植元癌組織とNOG樹立癌細胞株(3代以上継代して樹立)の組織構築の再現性を示す写真である。写真に示すとおり、NOG樹立癌細胞株は、繰り返し移植元癌組織と類似の組織構造を再現する。 上皮様増殖部の癌幹細胞を示す写真である。上皮様増殖領域に、BrdU持続ラベルによって標識されない低増殖細胞(slow cycling cell:黒三角)が上皮細胞間に認められ、このBrdU陰性細胞領域に存在する細胞は、癌幹細胞マーカー(Lgr5)にて陽性を呈する。 浸潤増殖部の癌幹細胞を示す写真である。浸潤増殖領域に、BrdU持続ラベルによって標識されない上皮腺腔構造部に低増殖細胞(黒三角)が認められる。同時に浸潤領域にも低増殖細胞(黒矢印)がみられる。また同細胞の浸潤過程と考えられるClusteringを示す細胞にも低増殖細胞(黒矢印)が観察され、以上の細胞は癌幹細胞マーカー(Lgr5)陽性細胞を示す(白抜き矢印)。 癌幹細胞と腫瘍階層構造の関係を示す図である。 IdUおよびBrdUを用いた2世代持続ラベル移植実験より得られた標本である。2世代にわたり増殖を停止していた細胞(白抜き矢印)、1世代目に低増殖であったが2世代目で増殖停止した細胞(白抜き三角)に加え、1世代目で分化増殖を行ったが、2世代目で増殖を停止し幹細胞化した細胞(矢印)が、観察される。 P53ならびにBrdU抗体を用いた免疫染色標本である。P53およびBrdU弱陽性ないし陰性細胞(白抜き矢印)がみとめられる。 ヒト由来線維芽細胞を示す写真である。 ヒト由来線維芽細胞のin vitroでの増殖を示す写真及び図である。浮遊条件で培養すると上皮様細胞(黒三角)のみが見られ線維芽細胞は認められないが、同細胞を接着させると線維芽細胞様細胞が増殖する(黒矢印)。また、ヒトHMC抗体により、同細胞の90%程度がヒト由来の細胞であることを確認。 NOG樹立大腸がん株を移植したNOGマウスに、抗がん剤(5-fluorouracil)を投与した後に認められる、抗がん剤抵抗性の癌細胞の病理組織を示す写真である。低分化腺管(黒矢印)の増加ならびに、簇出像(破線部)減少が認められる。
本発明は、ヒト癌疾患の治療又は予防のための医薬品開発に有効に使用することのできる癌疾患病態非ヒト動物モデルおよび癌疾患病態により類似する細胞形態をin vitro系において発現している細胞培養系に関する。具体的には、高度免疫不全NOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト癌組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株を、同一又は異なる種に属する非ヒト動物に移植することによって得られる非ヒト動物モデルおよびNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系に関する。
本発明の非ヒト動物モデルは、ヒト癌疾患の病態において特有に認められる、癌組織の階層構造、癌進展プロセス、及びその生物学的特性が再現されていてもよい。本発明において、対象となる癌疾患の種類は特に限定されるものではないが、好ましくは、大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌又は膵臓癌を例示することが出来る。
本発明において、「ヒト癌疾患の病態において特有に認められる癌組織の階層構造」としては、上皮様構造に分化した細胞よりなる腺腔構造をなす構造及び、間葉系細胞への分化傾向を示す浸潤領域の2階層構造を挙げることができる。
前記上皮様腺腔領域においては、細胞全周にE-カドヘリンが発現しており、E-カドヘリンの発現は、抗E-カドヘリン抗体を用いて確認することができる。
前記浸潤領域においては、budding、cluster of tumor cell、dessociated single tumor cell及びreconstruction of tubuleという特徴形態像を示す。これらの浸潤領域に位置する細胞は、上皮性を部分的に失うpartial-EMTを起こしており、間質系細胞との接面でE-カドヘリンの発現が消失し、通常上皮様細胞においては発現が見られないフィブロネクチンを発現している。
また、前記上皮様腺腔領域および前記浸潤領域においては、低増殖細胞である癌幹細胞を見出すことができる。これらの領域に癌幹細胞が存在しているかどうかは、細胞増殖マーカー(例えば、BrdU持続ラベル及びKi67染色)又は癌幹細胞マーカー(例えば、Lgr5染色)等を用いて確認することができる。
さらに、前記の癌組織の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性が再現されること、ならびに癌幹細胞の存在が確認できることを組み合わせ、この両者を同時かつ経時的に観察することができる。これにより階層構造及び癌進展プロセスが、癌幹細胞を起点として、どのように癌組織特有の組織が構築されるのかを知ることができる。
より詳しくは、移植初期の高ストレス環境下では、癌幹細胞及びそのプロジェニター細胞が、主に生存する。これが増殖期に移行すると、前記上皮様腺腔領域からは腺腔を形成する癌細胞が出現するが、その反面、常に低増殖性を具備する癌幹細胞とそのプロジェニター細胞は維持され、これがさらなる上皮様腺腔領域の拡大を担っていく。一方で、前記浸潤領域においては、移植初期の高ストレス環境下を耐過した細胞から、cluster of tumor cell、dessociated single tumor cellといったpartial-EMT細胞が出現する。これらの低増殖の癌幹細胞は、partial-EMTを起こしているため可動性であるから、癌の浸潤・播種といった性質を担いながら、その領域を拡大する。さらに、一部のpartial-EMT細胞は、一定の環境に到達するとそこで、いわゆるMesenchymal- Epithelial Transition(MET)を起こす。これにより一度は上皮性を失っていたpartial-EMT細胞が、上皮細胞の性質を再獲得し、そこから新たな上皮様腺腔構造を形成する。
本発明において、「ヒト癌疾患の病態において特有に認められる癌進展プロセス」としては、癌細胞の分化能毎に以下のプロセスを例示することができる。
高分化癌の場合、上皮様増殖プロセス(Epithelial duct forming pattern)を主体としたプロセス。中分化癌の場合、上皮様増殖プロセス(Epithelial duct forming pattern)を含みながら浸潤増殖プロセス(Invasive EMT pattern)を主体としたプロセス。低分化癌の場合、浸潤増殖プロセス(Invasive EMT pattern)を主体としたプロセス。
本発明が、「癌幹細胞の生物学的特性を検討できる」事の例示として、以下の点をあげることができる。
各株は、繰り返し固有の変動する進展プロセスを経ることから、そこに含まれる癌幹細胞は、同株に固有の最終分化到達点を持っているという生物学的特性を示している。
癌幹細胞の推移を、2世代にわたり追跡すると、1世代目では癌幹細胞性を失い分化した細胞が、2世代目には再び幹細胞性を獲得する、いわゆる幹細胞の可塑性と言う生物学的特性を示している。
幹細胞の多分化能獲得、すなわちreprogrammingという生物学的特性に、P53蛋白質発現の減少が関与することが知られているが、これが同モデルで見出される癌幹細胞において再現される。
また、本発明の動物モデルにおいては、完全上皮間葉転換(Complete-EMT)により癌細胞が腫瘍間質を形成する線維芽細胞へと転換するプロセスが再現されている。線維芽細胞へ転換が行われることは、IHC染色を行うことで確認することができる。ヒト特異的な線維芽細胞へ転換が行われているかについては、ヒト特異的なβ2マイクログロブリンに対するIHC染色を行うことで確認することができる。
本発明の動物モデルでは、上述のような対象となる癌疾患の種類、又は癌疾患の進展状況に特有のプロセスを観察することが可能である。
本発明の動物モデルでは、上述のヒト癌組織の階層構造及び癌進展プロセスを再現する性質を具備する固有の癌幹細胞を見出すことができる。
当該動物モデルの作製のために使用できる動物としては、ヒト以外の例えば、マウス、ヌードマウス、ラット、ヌードラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、又はサル等の通常実験に汎用される哺乳動物を挙げることができる。好ましくは、マウス、ヌードマウス、ラット、ヌードラット、モルモット、ハムスター又はウサギ等のげっ歯動物を例示することができる。より好ましくは飼育や操作の簡便性から、マウス、ヌードマウス(例えば、NOD/SCID/gamma(c)(null)(NOG)マウス)、ラット、ヌードラットを例示することができる。
NOG樹立癌細胞株が樹立された高度免疫不全NOD/SCID/gamma(c)(null)(NOG)マウス(ドナー動物)と、NOG樹立癌細胞株が移植される動物(レシピエント動物)は、同一種の動物であっても、また異なる動物であってもよい。好ましくは免疫学的観点から同一種の動物であるが、ヌードマウスやヌードラット等のように免疫不全動物を用いる場合は、互いに異種の動物を用いることもできる。
以下に、本発明の動物モデルの作製方法について説明する。
本発明の動物モデルは、ドナー動物である高度免疫不全NOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株を、レシピエント動物に皮下、諸体腔あるいは諸臓器への移植によって作製することができる。
レシピエント動物に移植されるNOG樹立癌細胞株は当該NOGマウスから、摘出、樹立することができる。かかるNOGマウスの週齢は、移植する樹立癌細胞株の種類や、レシピエント動物の種類によって選択することができる。
また、レシピエント動物の週齢は、例えばマウス、ヌードマウス、SCID マウス、NOD-SCIDマウス、NOGマウス、ラット、ヌードラットの場合、4〜100週齢のものを用いることが好ましい。
本発明の動物モデルは、具体的には下記の方法によって作製することができる。まず、NOGマウスにヒト由来癌細胞を移植・継代して樹立したNOG樹立癌細胞株(Fujii E. et al., Pathol Int. 2008; 58: 559-567)を、レシピエント動物に移植する。皮下移植は移植手技が簡便であるという点から好適な移植部位ではあるが、移植部位は特に制限されるものではなく、使用する動物によって適宜移植部位を選択することが好ましい。なお、NOG樹立癌細胞株の移植操作は、特に制限されず、慣用の移植操作に従って行うことができる。
また、本発明の動物モデルは、上記移植後、さらに必要に応じて通常もしくは無菌条件下で飼育されてもよい。飼育条件として、制限はされないが、具体的には温度条件20〜26℃ 、湿度条件30〜70% 、給餌・給水条件: 自由摂取、照明サイクル:12時間明暗サイクルを例示することができる。
飼育期間は特に制限されないが、マウス、ヌードマウス、ラット又はヌードラットについていずれも、移植から3日以上、好ましくは28日以上飼育することが好ましい。
移植動物を所定期間飼育することによって、移植されたNOG樹立癌細胞株は当該移植部位でヒト腫瘍組織の組織学的特徴を有する組織に分化成長する。このように、本発明の動物モデルはヒト腫瘍組織の特徴を備えた組織を有しており、ヒト癌疾患の病態動物モデルとして提供することができる。
該細胞の培養方法としては、適当な培地(D-MEM, MEM, RPMI1640, BME, D-MEM/F12, G-MEMなど)に適当な添加物(非働化したFetal Bovine Serum, Penicillin, Streptomycin, Glucose, Sodium Hydrogen Carbonate, HEPES, L-Glutamine, Heparin, BSA, FGF, EGF, Transferrin, Insulin, Putrescin, Selenite, Progesteroneなど)を加え、これを哺乳類動物の細胞の培養に適するに条件(例えば、37℃、5%CO2存在下)で実施する。
本発明のモデル動物又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系は、これらの動物や細胞株において発現する癌細胞の階層構造、癌進展プロセス又はその生物学的特性を指標として評価を行うことで、抗癌剤ターゲット探索、抗癌剤のスクリーニング、又はヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価スクリーニングに使用することができる。
本発明は、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤ターゲット探索方法に関する。
本方法において、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを使用する場合には、以下の(1)〜(4)に記載された工程により、抗癌剤ターゲット探索を行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(3)(2)において採取した組織片についてDNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
(4)組織片中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
また、本方法において、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を使用する場合には、以下の(1)〜(3)に記載された工程により、抗癌剤ターゲット探索を行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)特徴構造を再現した培養細胞の、DNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
本発明において、癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織又は細胞株の構造観察は、AMeX法等により薄切組織標本を作製した上で、HE染色及び免疫組織化学染色(IHC)を実施することで行うことが出来る。被験組織において、上述のヒト腫瘍組織に特異的な階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性が確認された場合に、癌関連組織であるとして、DNA、RNA、及びたんぱく質発現を確認する。本発明において、RNAとしてはmRNAやマイクロRNAを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。DNA、RNA、及びたんぱく質発現確認については、特に制限はされず、慣用の発現確認方法に従って行うことができる。例えば、各遺伝子のmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、又はRT-PCR法を実施することによって各遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を用いて、各遺伝子の発現レベルを測定することも可能である。また、各遺伝子からコードされるタンパク質を含む画分を定法に従って回収し、各タンパク質の発現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、各タンパク質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施し、各タンパク質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。
本発明は、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤のスクリーニング方法に関する。
本方法において、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを使用する場合には、以下の(1)〜(5)に記載された工程により、抗癌剤のスクリーニングを行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
又、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを使用する場合の別の態様としては、以下の(1)〜(5)に記載された工程により、抗癌剤のスクリーニングを行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
また、本方法において、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を使用する場合には、以下の(1)〜(4)に記載された工程により、抗癌剤のスクリーニングを行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
又、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を使用する場合の別の態様としては、以下の(1)〜(4)に記載された工程により、抗癌剤のスクリーニングを行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
本発明の方法における「被験物質」としては、特に制限はなく、例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等の単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。これらは精製物であっても、また植物、動物又は微生物等の抽出物等のように粗精製物であってもよい。また被験物質の製造方法も特に制限されず、天然物から単離されたものであっても、化学的又は生化学的に合成されたものであっても、また遺伝子工学的に調製されたものであってもよい。
前記被験試料は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。また、上記被験試料に加えて、これらの被験試料を複数種混合した混合物も含まれる。
本方法において、非ヒト動物モデルに対する被験物質の投与方法も特に制限されない。投与する被験物質の種類に応じて、経口投与又は皮下、静脈、局所、経皮若しくは経腸(直腸)などの非経口投与を適宜選択することができる。
本方法において、被験物質でNOG樹立癌細胞株の培養細胞を処理する方法も特に制限されない。当該処理は、細胞の培養液又は該細胞抽出液に被験試料を添加することにより行うことができる。被験試料がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質をコードするDNAを含むベクターを、NOG樹立癌細胞株へ導入する、又は該ベクターをNOG樹立癌細胞株の細胞抽出液に添加することで行うことも可能である。また、例えば、酵母又は動物細胞等を用いた2ハイブリッド法を利用することも可能である。
被験物質の評価は、その後、当該モデル動物について移植組織(NOG樹立癌細胞株が移植された組織)を摘出し該移植組織の組織学的特徴を観察したり、又は細胞培養系において組織学的特徴を測定することによって行うことができる。
具体的には、被験物質の評価は、非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、移植組織又は培養系の癌細胞の階層構造を観察し、ヒト癌細胞特有の階層構造を形成しているか確認するか、又はヒト癌疾患に特徴的な癌進展プロセスに対する影響を確認することによって行うことができる。なお、癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織又は細胞株の構造観察は、AMeX法等により薄切組織標本を作製した上で、HE染色及び免疫組織化学染色(IHC)を実施することで行うことが出来る。
前記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌細胞の階層構造を観察し、ヒト癌細胞特有の階層構造を形成しているか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌細胞の階層構造を対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の階層構造が見られない場合、又はその割合が低下した場合に、それらの被験物質を、ヒト癌疾患の治療又は予防効果を有する有効物質として選択することができる。
また、前記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌進展プロセスを観察し、ヒト癌細胞特有の癌進展プロセスがみられるか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌幹細胞の癌進展プロセスを対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の癌進展プロセスが見られない場合に、それらの被験物質を、ヒト癌疾患の治療又は予防効果を有する有効物質として選択することができる。
さらに、前記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌幹細胞における生物学的特性を観察し、ヒト癌細胞特有の当該特性がみられるか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌幹細胞の当該特性を対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の当該特性が見られない場合に、それらの被験物質を、ヒト癌疾患の治療又は予防効果を有する有効物質として選択することができる。
なお、前述する本発明のスクリーニング方法により、選抜されるヒト癌疾患に対する予防有効物質又は治療有効物質は、必要に応じて、さらに他の薬効試験や安全性試験などを行うことにより、またさらにヒト癌疾患患者への臨床試験を行うことにより、より効果の高い、また実用性の高い予防有効物質又は治療有効物質として選別することができる。
このようにして選別される予防有効物質又は治療有効物質は、さらにその構造解析結果に基づいて、化学的合成、生化学的合成(発酵)又は遺伝子学的操作によって、工業的に製造することもできる。
本発明は、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルにおいて、癌細胞の階層構造又は癌進展プロセスを指標として評価を行うことを特徴とする、ヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価スクリーニング方法に関する。
本方法において、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデルを使用する場合には、以下の(1)〜(5)に記載された工程により、医薬品の評価を行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
(2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
(3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
(4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
また、本方法において、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を使用する場合には、以下の(1)〜(4)に記載された工程により、医薬品の評価を行うことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
(2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
(3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
(4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
本発明の医薬品の評価は、前記非ヒト動物モデルに対象の被験物質を投与し、又は、NOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系を被験物質で処理し、当該被験物質投与による移植組織(NOG樹立癌細胞株が移植された組織)又は培養系に対する予防又は改善効果を検定することによって行うことができる。
ここで、被験物質投与による上記移植組織又は培養系に対する予防又は改善効果は、具体的には被験物質投与による癌細胞の階層構造の形態、癌進展プロセス又はその生物学的特性を同定・観察することによって評価することができる。非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、移植組織又は培養系の癌細胞の階層構造を観察し、ヒト癌細胞特有の階層構造を形成しているか確認するか、又はヒト癌疾患に特徴的な癌進展プロセスに対する影響を確認することによって行うことができる。
上記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌細胞の階層構造を観察し、ヒト癌細胞特有の階層構造を形成しているか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌細胞の階層構造を対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の階層構造が見られない場合、又はその割合が低下した場合に、当該被験動物に投与した又は培養系を処理した被験物質についてヒト癌疾患への予防効果又は治療効果を認定することができ、またその低下の度合いから予防効果又は治療効果の程度を評価することができる。
また、上記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌進展プロセスを観察し、ヒト癌細胞特有の癌進展プロセスがみられるか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌幹細胞の癌進展プロセスを対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の癌進展プロセスが見られない場合に、当該被験動物に投与した又は培養系を処理した被験物質についてヒト癌疾患への予防効果又は治療効果を認定することができ、また癌進展プロセスの発現率の度合いから予防効果又は治療効果の程度を評価することができる。
さらに、上記被験物質の評価は、より具体的には、被験物質を投与しない対照の非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株について同様に、移植組織又は培養系の癌幹細胞における生物学的特性を観察し、ヒト癌細胞特有の当該特性がみられるか確認し、被験物質を投与した非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株と上記対照動物とで、癌幹細胞の当該特性を対比することによって行うことができる。この場合、対照動物の場合に比して、被験物質を投与した移植組織又は培養系においてヒト癌細胞特有の当該特性が見られない場合に、当該被験動物に投与した又は培養系を処理した被験物質についてヒト癌疾患への予防効果又は治療効果を認定することができ、また当該特性の発現率の度合いから予防効果又は治療効果の程度を評価することができる。
本発明は、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物又はNOG樹立癌細胞株を、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性が再現された癌モデル動物又は細胞株として使用する方法に関する。
NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を人工的又は人為的にin vivoで再現できる。そのため、NOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物は、このような非ヒト動物は癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を用いて、例えば医薬品などの評価、医薬品や診断薬の標的候補分子の探索、その候補分子に作用する化合物や生物製剤などの評価の際に非常に有用な癌モデル動物となる。
また、NOG樹立癌細胞株のみによっても、癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を人工的又は人為的にin vivo又はin vitroで再現できる。そのため、NOG樹立癌細胞株は癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を用いて、例えば医薬品などの評価、医薬品や診断薬の標的候補分子の探索、その候補分子に作用する化合物や生物製剤などの評価の際に非常に有用な癌モデル動物となる。
再現とは、該モデルの使用の目的に応じて、所定の目的を達成できる程度に実現されていればよいことを意味し、必ずしも生体内で起きていることがそのままそっくり実現されていることを要しない。
なお本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕NOG樹立癌細胞株はヒト癌組織の階層構造を再現する。
(1)NOG樹立癌細胞株及び染色法
NOGマウスに、ヒト大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌および膵臓癌を3代以上移植・継代可能な事を樹立の条件とて作製したNOG樹立癌細胞株を用いた(Fujii E. et al., Pathol Int. 2008; 58: 559-567)。本実施例では、NOG樹立癌細胞株を、NOGマウスへ皮下移植後28日後に剖検し、移植片を摘出して4% paraformaldehydeにて、4℃ 、16から24 時間の条件で固定後、AMeX法にて包埋して薄切組織標本を作製した(Fujii E. et al., Pathol Int. 2008; 58: 559-567)。組織はHE染色及び免疫組織化学染色(IHC)を実施し、一次抗体には抗E-cadherin抗体(DakoCytomation社製)ならびに抗Fibronectin抗体(DakoCytomation社製)を使用し、LSAB法を用いDABにより発色した(DAB Mapキット;ロシュ・ダイアグノスティック社製)。
また、in vitro培養のために、マウスから回収した細胞塊をハサミで物理的にミンスした。次に、Collagenase/Dispase(Roche, Cat. No. 10 269 638 001)とDNaseI(Roche, Cat. No. 11 284 932 001)を加え、37℃で30分撹拌した。さらに、ピペッティングを繰り返し、細分化した細胞を調整した。調整した細胞はセルバンカー1(JUJI FIELD, Cat. No. BLC-1)で懸濁し、-80℃以下で保存した。
以上のように調整した細胞を、培地中のFetal Bovine Serumは、56℃で30min以上保温する処理を行なうことにより、非働化したものを用いて、培地1(RPMI1640, 10% Fetal Bovine Serum, Penicillin, Streptomycin)で培養した。
スフェロイドの作製には、細胞を4x105cells/mLとなるように培地1で懸濁し、5mLの細胞をHydro cell 6cm Dish(NUNC、Cat. No. 174912)に蒔き込んだ。3-6日間培養した後に、顕微鏡でスフェロイドの形成を確認した。スフェロイド形成後、すべての細胞を40μm cell strainer(BD、Cat. No. 352340)に通し、スフェロイド細胞のみを回収し培地1で培養した。
腺腔構造を再現させる培養系としては、原液のMatrigel Basement Membrane Matrix(BD、Cat. No. 354234)を50μL/wellで96wellプレートに加えた。これを37℃で5分間置き、96wellプレートのコーティングを行った。次に、スフェロイド細胞を50μL/wellで加えた。さらに、培地1で20%に希釈したMatrigel Basement Membrane Matrixを50μL/wellで加え、37℃で5分間置いた。最後に、培地1を100μL/wellで加え、腺腔構造が認められるまで培養を行った。
(2)結果と結論
ヒト大腸癌組織の上皮様腺腔領域では、細胞全周にE-カドヘリンが発現することが特徴といわれているが(Kirchner T. et al., Am J Pathol. 2000; 157: 1113-1121)、この特徴がNOG樹立癌細胞株において認められた(図1)。また上記in vitro条件下では、スフェロイド形成細胞が腺腔構造を再現することが示された(図2)。
これに対しより未分化な間葉系細胞の性質を持つ浸潤領域では、budding、cluster of tumor cell、dessociated single tumor cell及びreconstruction of tubuleという特徴形態像を示す事が知られている。これらの領域に位置する細胞は、上皮性を部分的に失うpartial-EMTを起こしていると言われ、間質との接面でE-カドヘリンの発現が消失し、通常上皮細胞が発現する事のないフィブロネクチンを発現しだす事が知られている(Kirchner T. et al., Am J Pathol. 2000; 157: 1113-1121)。今回、NOG樹立大腸癌細胞株の移植腫瘍において、これらの特徴が再現された(図3)。
同様の上皮様領域と浸潤領域は、胃癌、肺癌、乳癌および膵臓癌においても確認された(図4)。
以上の結果より、NOG樹立癌細胞株はヒト癌組織の階層構造を再現することが明らかとなった。
〔実施例2〕NOG樹立癌細胞株は、移植元ヒト癌組織に特徴的な階層構造を形成する過程を再現する。
(1)NOG樹立癌細胞株及び染色法
移植元ヒト大腸癌組織の組織形が、(1)高分化型腺癌、(2)中分化型腺癌、(3)低分化型腺癌であったNOG樹立癌細胞株を、NOGマウスへ皮下移植後3、7、14、17あるいは21日後に剖検し、上記同様にHE染色及びIHCを施して、上皮様領域と浸潤部領域の比率を形態学的に求めた。
また、胃癌、大腸癌、肺癌において、その組織構築の繰り返し再現性を確認する目的で、移植元癌組織及びNOG樹立癌細胞株のHE染色標本の観察を行った。
(2)結果と結論
移植元ヒト大腸癌組織の階層構造を呈するにいたる、固有の癌進展プロセスを、高分化腺癌の場合、上皮様増殖プロセス(Epithelial duct forming pattern)を主体に、中分化腺癌の場合、上皮様増殖を含みながら浸潤増殖プロセス(Invasive EMT pattern)を主体に、低分化腺癌の場合、もっぱら浸潤増殖プロセスを、それぞれ経ることが明らかになった。
またこの各株に固有の階層分化は、複数回の移植継代によっても、繰り返し再現可能であった(図5)。
[表1] 各NOG樹立株の階層構造へいたる経時変化
Figure 0005808054
〔実施例3〕NOG樹立癌細胞株には、各階層構造を形成する性質を具備する、固有の癌幹細胞が見出せる。
(1)NOG樹立癌細胞株及び染色法
癌幹細胞は一般に、細胞回転が非常に遅い低増殖細胞である事が知られている(Li L, Neaves WB. Cancer res. 2006; 66: 4553-4557)。この性質に注目し、NOG樹立癌細胞株をNOGマウスへの皮下移植時に同時に細胞分裂期に取り込まれるBrdUの持続ラベルを開始し、14日間ラベル後、剖検し組織処理した。同組織を上記同様にHE染色による形態観察に加え、BrdU取り込み細胞のIHC染色による検出(抗体:Beckton Dickinson社製)、ならびに細胞分裂期マーカーとしてKi67抗体(DakoCytomation社製)を用いたIHC染色を行い、増殖細胞と低増殖細胞を同定した。さらにこれと隣接する標本に、癌幹細胞マーカーとして知られるLgr5に対する抗体(MBL社製)を使用したIHC染色を施した(McDonald SAC, et al., Virchows Arch. 2009;455:1-13)。
(2)結果と結論
BrdU持続ラベルを実施した組織において、一部ラベルされない細胞が上皮様増殖および浸潤増殖の両領域に認められ、同細胞はKi67陰性であった。これより両領域に癌幹細胞の特徴として知られる、細胞回転の非常に遅い低増殖細胞が存在するものと考えられ、この標本と隣接する標本を、癌幹細胞マーカーであるLgr5にて染色すると、低増殖細胞の存在部と一致する染色像を得た(図6)。これらの低増殖細胞は、上皮様増殖部と浸潤増殖部のそれぞれに見出された(図7)。以上と実施例2の階層構造を取る過程を考え合わせると、癌幹細胞の存在部の推移とその階層構造形成は、図8のようになる事が示された。
ヒト大腸癌を観察することにより、上皮様増殖部に見られる静止幹細胞(stationary stem cell)と、転移先などで同様に階層構造を造ることに寄与する遊走幹細胞(migrating stem cell)の存在は過去に想定されたことはある。しかし今回の検討により、図8のごとく上記の幹細胞の実在が示され、しかもそれらは異なる2種の癌幹細胞ではなく相互に移行すること、ならびにその推移が腫瘍階層構造形成に関与することが示された。
また、実施例2に示したごとく、NOG樹立癌細胞株は各移植元ヒト癌組織の、最終分化到達点を忠実に再現し、これが複数回の継代で常に再現される事から、そこに含まれる癌幹細胞がおのおのの最終分化到達点を規定していることが明らかになった。以上から、癌幹細胞が固有に持っている生物学的な特性を検討するのに、本モデルが適している事が示された。
〔実施例4〕IdU及びBrdUを用いた2世代にわたる癌幹細胞の追跡により、癌幹細胞の可塑性が見出せる。
(1)NOG樹立癌幹細胞株及び染色法
NOG樹立癌細胞株をNOGマウスへの皮下移植時に同時にIdU持続ラベルを開始し、28日間ラベル後に剖検し、次世代へのIdU標識済み移植細胞株を調整した。この細胞株の、次世代への移植と同時に、BrdU持続ラベルを開始し、これを移植後3日に解剖して、組織処理を行った。以上から得た連続組織標本を、IdUならびにBrdUを検出する抗体(Beckton Dickinson社製)と、BrdUのみを検出する抗体(Serotec社製)により、IHC染色により検出し、増殖細胞と低増殖細胞の、世代をまたいだ変動を検出した。
(2)結果と結論
図9に示すごとく、2世代目、移植後3日の標本を、IdUならびにBrdUを検出する抗体にてIHC染色をした場合、陽性染色が得られるが、BrdUのみを検出する抗体で染色した場合、陰性となる細胞が見出された。以上の染色結果から、これらの細胞は1世代目でIdUを取り込んだが、2世代目ではBrdUを取り込んでいないことが示され、これは1世代目では細胞分裂を行った分化細胞が、2世代目では増殖を止め、低・非増殖細胞化(幹細胞化)したものと考えられた。
このように一度、分化増殖した細胞が幹細胞化する現象は、可塑性と呼ばれる癌幹細胞の生物学的な特徴の一つと考えられている(Gupta PB.et al., Nature med. 2009;15:1010-12)。以上から本モデルは、癌幹細胞の生物学的特性である可塑性を検討するのに適している事が明らかになった。
〔実施例5〕幹細胞のreprogrammingに関与する低P53蛋白発現細胞が、癌幹細胞に一致して見出せる
(1)NOG樹立癌幹細胞株及び染色法
近年、いわゆるinduced pluripotent stem (iPS)細胞を作製する際、P53蛋白の発現を減弱させると、その作製効率が飛躍的に向上することから、体細胞のreprogrammingによる幹細胞化には、同蛋白が関与する事が示され、またこの機構の癌幹細胞における重要性が指摘されている(Krizhanovsky V and Lowe SW, Nature 2009; 460: 1085-6)。
そこでNOG樹立癌細胞株で見出せる癌幹細胞と、P53低発現細胞の一致を見るために、BrdU持続ラベル処置を施したNOGマウスに、樹立細胞株皮下移植後28日目に解剖して、組織処理を行った。ここから得た連続組織標本を、P53に対する抗体(DakoCytomation社製)及び、BrdUに対す抗体(Beckton Dickinson社製)でIHC染色により可視化し、その一致状況を観察した。
(2)結果と結論
多くの癌でP53の過剰発現が報告されているが(Toledo F and Wahl GM., Nature rev cancer 2006; 6: 909-923)、今回NOG樹立癌細胞の多くにおいても、同蛋白の過剰発現が観察された。一方で、BrdU弱陽性及び陰性細胞に一致して、P53の発現が減弱あるいは消失していた(図10)。
近年、体細胞に多分化能を獲得させる、いわゆるreprogrammingにおいては、P53蛋白発現の減少が癌幹細胞を含めた、幹細胞の生物学的特性上、重要な役割を担っていることが明らかになっている。したがって本モデルの癌幹細胞においても、P53蛋白の発現減少が認められたことは、同細胞において幹細胞のreprogramming機構が作動している事を示しており、その生物学的特性を検討するのに、同モデルで適している事が明らかになった。
〔実施例6〕NOG樹立癌細胞株では、癌細胞がComplete-EMTにより腫瘍間質を形成する線維芽細胞へと転換する過程を見出せる。
(1)NOG樹立癌細胞株及び染色法
NOG樹立癌細胞株のNOGマウスへの皮下移植後14日に各動物を剖検して得た腫瘍塊に、ヒト特異的なβ2 microglobulinに対するIHC染色を施して種の由来を検討した。
また、in vitro培養前に、播種する細胞の種の由来をヒト特異的なAnti-Human HLA-ABC Antigen/RPE(DAKO, Cat. No. R7000)抗体と、マウス特異Anti-mMuse MHC classI(Abcam, Cat. No. ab15680-50)抗体を使用したフローサイトメトリーにて確認した後、これを培地1で培養して線維芽細胞様細胞の出現を追跡した。
(2)結果と結論
腫瘍間質に、ヒト由来の線維芽細胞が観察された(図11)。
また、培養前に90割程度がヒト細胞であることを確認した細胞を実施例1で用いた培地1で培養し、線維芽細胞の出現が確認された(図12)。
〔実施例7〕抗がん剤に抵抗性を示す形態学的特徴構造を見出すことができる。
(1)NOG樹立癌細胞株由来の抗がん剤抵抗性細胞の検出
高分化型腺癌ならびに中分化型腺癌を、各3例のNOGマウスに移植後7日、10日、14日の計3回、5-fluorouracil (5-FU;Mayne Pharma)の100 mg/kgを腹腔内投与し、最終投与の翌日(移植後15日)に腫瘍塊を採集した。これを上記と同様の方法でHE染色標本を作製し、溶媒を投与した対象群(3例)より作製した標本と病理組織学的に比較した。
(2)結果と結論
表2および図13に示す通り、対象群と比較して、高分化型腺癌では高度に分化した管腔構造部が減少し、管腔構造の不明瞭な低分化腺管が顕著に観察された。中分化腺癌では簇出像が減少し低分化腺管を主体とした組織像を呈した。以上の結果から、高分化型腺癌で増殖が活発な上皮様増殖プロセスにより形成される管腔構造部、ならびに中分化型腺癌の浸潤増殖プロセスでみられる簇出部が、抗がん剤に感受性であり、低分化な腺管が抗がん剤に抵抗性であることを示された。
以上のように、抗がん剤抵抗性を示す特徴的な細胞群・組織構造が認められたことから、これらが選択されるプロセス、長期間の薬剤処置に抵抗性を獲得するプロセス、ならびに抗がん剤治療後の再発プロセスなどを、本モデルにより検討できることを示しているものと考えられる。従って、本モデルを使用すると、これらのプロセスに関与する因子の探索や、それをターゲットとした薬剤探索ならびにスクリーニングが、可能であることが示された。
[表2]
Figure 0005808054
本発明の非ヒト動物モデル及びNOG樹立癌細胞株培養系は、ヒト癌疾患患者に特有の癌細胞の階層構造を保持し、癌進展プロセスが見られ、その生物学的特性もよく再現されるため、ヒト癌疾患患者の病態をより近似的に反映したモデルといえる。よって、当該非ヒト動物モデル及びNOG樹立癌細胞株培養系は、ヒト癌疾患に対して予防又は治療効果を発揮する薬物のスクリーニング、又は該薬物の薬効評価に有用に使用することができる。従って、本発明は、ヒト癌疾患を予防又は治療するための医薬品の開発に貢献することができる。

Claims (16)

  1. 高度免疫不全NOD/SCID/gamma(c)(null) (NOG)マウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株を、同一又は異なる種に属する非ヒト動物に移植することによって得られる非ヒト動物モデルであって、ヒト癌組織の階層構造及び癌進展プロセスが再現されている非ヒト動物モデル
  2. ヒト癌組織の階層構造及び癌進展プロセスを再現する性質を具備する固有の癌幹細胞が見出せ、その生物学的特性を検討できることを特徴とする、請求項1に記載の非ヒト動物モデル。
  3. ヒト癌組織の階層構造の再現過程で、完全上皮間葉転換(Complete-EMT)により癌細胞が腫瘍間質を形成する線維芽細胞へと転換する過程を見出せることを特徴とする、請求項1に記載の非ヒト動物モデル。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の非ヒト動物モデルに抗癌剤が投与され、癌細胞の階層構造、その癌進展プロセス、その生物学的特性、又はそれが示す完全上皮間葉転換(Complete-EMT)の変動を指標として評価することで、抗癌剤抵抗性の成因を検討することができる非ヒト動物モデル。
  5. 前記ヒト腫瘍組織が、大腸癌、胃癌、乳癌、肺癌、又は膵臓癌由来の腫瘍組織であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の非ヒト動物モデル。
  6. NOGマウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、再現されたヒト癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤ターゲット探索方法。
  7. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤ターゲット探索方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
    (2)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
    (3)(2)において採取した組織片についてDNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
    (4)組織片中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
  8. 下記(1)〜(3)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤ターゲット探索方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
    (2)特徴構造を再現した培養細胞の、DNA、RNA、及びたんぱく質発現を調べる工程、及び
    (3)培養細胞中の癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性に依存的に変動する遺伝子・たんぱく質を同定する工程
  9. NOGマウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、再現されたヒト癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、抗癌剤のスクリーニング方法。
  10. 下記(1)〜(5)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
    (2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
    (3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
    (4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス又はその生物学的特性を同定する工程
  11. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
    (2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
    (3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
  12. 下記(1)〜(5)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤のスクリーニング方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
    (2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
    (3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
    (4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (5)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
  13. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の抗癌剤スクリーニング方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
    (2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
    (3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (4)特定の癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を阻害する被験物質を同定する工程
  14. NOGマウスにヒト腫瘍組織を移植し樹立したNOG樹立癌細胞株が移植された非ヒト動物モデル又はNOG樹立癌細胞株のin vitro条件下での培養系において、再現されたヒト癌細胞の階層構造、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を指標として評価を行うことを特徴とする、ヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価方法。
  15. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載の医薬品の評価方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株を非ヒト動物に移植することにより非ヒト動物モデルを作製する工程、
    (2)被験物質を(1)の非ヒト動物モデルに投与する工程、
    (3)NOG樹立癌細胞株の同一株の各領域の癌進展プロセスにおいて特徴的に認められる組織構造、又はその生物学的特性を示す組織片を採取する工程、
    (4)組織片中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (5)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
  16. 下記(1)〜(4)に記載された工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載のヒト癌疾患を治療又は予防するための医薬品の評価方法。
    (1)NOG樹立癌細胞株をin vitro条件下で培養し、各癌進展プロセスの特徴構造、又はその生物学的特性を再現する工程、
    (2)被験物質で(1)の培養細胞を処理する工程、
    (3)培養細胞中の癌細胞の階層構造の経時変化、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を観察する工程、及び
    (4)被験物質により阻害された癌細胞の階層構造形成、癌進展プロセス、又はその生物学的特性を同定する工程
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