JP5805556B2 - アルミナセラミックス接合体及びその製造方法 - Google Patents

アルミナセラミックス接合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナセラミックス接合体及びその製造方法に関する。
アルミナセラミックス焼結体は、耐熱性、絶縁性、耐磨耗性に優れ、半導体製造装置など各種装置の構造用部材として用いられている。アルミナセラミックス焼結体を構造用部材として使用する場合、形状によっては分割した形状の焼結体を接合したアルミナセラミックス接合体とすることが必要となる。
アルミナセラミックス部材間に接合材を介在させないで接合し、アルミナセラミックス接合体を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2007−119262号公報
特許文献1に記載された製造方法では、接合面の表面粗さRaが、0.1μm超える場合、アルミナ焼成体からなる部品を直接接合することができない。そのため、接合面の表面粗さRaを0.1μm以下に調整する鏡面研磨が必要となる。
しかしながら、鏡面研磨は、鏡面研磨機によって研磨可能な形状には制約があり、特に大型品の研磨は困難であるという問題がある。また、鏡面研磨は、非常に長い時間とコストを必要とするという問題がある。
そこで、本発明は、接合面を鏡面研磨することなくアルミナセラミックス焼結体を接合でき、接合強度が優れたアルミナセラミックス接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、アルミナセラミックス焼結体間にチタニア等のチタン化合物を含有した接合材を用いて、アルミナセラミックス接合体の接合層を形成することにより、接合面の表面粗さRaを0.1μm以下に調整するための鏡面研磨をすることなく、接合強度が向上、すなわち、接合層中の空隙率を低減することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のアルミナセラミックス接合体を製造する方法は、アルミナセラミックス焼結体の間に、アルミナを主材とし、チタニア換算で0.05質量%〜0.50質量%の範囲のチタン化合物を添加材として含有する接合材を介在させて、前記アルミナセラミックス焼結体の前記接合面に0.98MPa〜2.94MPaの範囲の圧力を加えると共に1300℃〜1500℃の範囲の温度で加熱し、前記接合材からなる接合層における気孔径が5μm以下で、前記接合層に対する前記気孔の存在割合が3%以下で、接合強度が250MPa以上であるアルミナセラミックス接合体を形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明のアルミナセラミックス接合体を製造する方法によれば、接合面を鏡面研磨することなくアルミナセラミックス焼結体が接合され、接合強度が250MPa以上である優れたアルミナセラミックス接合体を製造することができる。
また、アルミナセラミックス焼結体の間に、アルミナを主材とし、チタニア換算で0.05質量%〜0.5質量%の範囲のチタン化合物を添加材として含有する接合材を介在させて熱処理を行うことから、Ti源がアルミナ粒内へ固溶し、母材であるアルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点を下げることができ、熱処理温度を下げることができる。従って、アルミナ単体の焼結温度(約1600℃)以下の1300℃〜1500℃の範囲の温度で熱処理を行うことができ、アルミナセラミックス焼結体の変形量を抑制することにより、アルミナセラミックス接合体の変形量を抑制することができる。尚、Ti源は固溶せずに、極少量のチタン酸アルミニウムとしてアルミナ粒界に存在しても良い。
チタン化合物として、例えば、チタニア、チタン炭酸塩、あるいは、チタン硝酸塩等が挙げられる。
また、本発明のアルミナセラミックス接合体は、アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体であって、前記接合層は、アルミナを主材とし、チタン含有率が0.030質量%〜0.300質量%であり、前記接合層のアルミナの平均粒子径が3〜20μmの範囲の値であり、前記接合層の厚さが50μm〜200μmで、前記接合層の気孔の平均径が5μm以下で、前記接合層に対する前記気孔の存在割合が3%以下であることを特徴とする。
本発明によれば接合層となる接合材に所定割合のチタンを含有することで、アルミナセラミックス焼結体の接合面を鏡面研磨することなく、接合強度に優れたアルミナセラミックス接合体を形成することができる。
尚、チタン含有率が0.030質量%未満の場合、アルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点を下げられず、接合層中におけるアルミナの十分な粒成長が起きないため、接合が不十分となり、接合強度が低下する。また、チタン含有率が0.300質量%を超える場合、接合層において、チタン化合物が残存したアルミナ粒子の粒界相の存在により脆弱性を生じ、接合強度が低下する。
本発明において、前記接合層は、前記アルミナセラミックス焼結体間に接合材を介して接合した状態で焼結して形成され、前記接合材は、アルミナを主材とし、チタニア換算で0.05質量%〜0.50質量%の範囲のチタン化合物を添加材として含有することが好ましい。尚、チタン化合物として、例えば、チタニア、チタン炭酸塩、あるいはチタン硝酸塩等が挙げられる。
さらに、本発明において接合強度が250MPa以上であることが好ましい。
以下、アルミナセラミックス接合体の製造方法について説明する。
まず、粒度1.0μm以下純度99%以上のアルミナ粉末を用いて、アルミナ成形部材を形成する工程が行われる。
アルミナ成形部材の形成は、2次原料を得るために、上記アルミナ粉末に、焼結助剤、添加剤、バインダー、分散剤等を添加したものを攪拌混合してスラリーを得た後、スラリーを噴霧造粒法(スプレードライ法)により噴霧乾燥し、2次原料が造粒される。焼結助剤として、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素が挙げられる。添加剤として、例えば、色調調整や高強度化用のものが挙げられる。
造粒された2次原料は、所定形状のゴム型内へ投入され、静水圧プレス成形法(ラバープレス法)により成形された後、アルミナ成形体がゴム型から取り外され、所定形状となるように切削加工が行われ、アルミナ成形部材が形成される。なお、成形型として金型を用いてもよい。
次に、アルミナ成形部材を焼成してアルミナセラミックス焼結体を形成する工程が行われる。
アルミナセラミックス焼結体を形成する工程は、常圧焼結やホットプレス法(熱間加圧法)を含む加圧焼結、反応焼結等の焼結方法を用いて行うことが可能であり、アルミナセラミックス焼結体に求められる特性に適した焼結方法を用いればよい。例えば、ホットプレス焼結では脱脂不良や色ムラが生じるおそれがあるので、ホットプレス焼結以外の常圧焼結などで焼結を行うことが好ましい。
アルミナセラミックス焼結体の純度は99%以上で、平均粒子径は3〜20μm以下で、密度は3.90g/cm以上あることが好ましい。この好ましい平均粒子径は、後工程であるホットプレス焼結の条件と、接合材の条件とに依存する。
次に、アルミナセラミックス焼結体を所定の形状及び寸法に研削する機械加工が行われる。
アルミナセラミックス焼結体の機械加工は、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さRa(JISB0601−2001)が2.0μm以下、平面度が直径300mmの円板形状に対して20μm以下になるように砥石やブラシ等を用いた通常の平面研削機で研削することにより行われる。従って、鏡面仕上げを行う必要はない。
次に、アルミナセラミックス焼結体の間に、アルミナを主材とし、チタン化合物を添加材として含有する接合材を介在させて熱処理を行うことにより、アルミナセラミックス接合体を形成する工程が行われる。尚、チタン化合物としては、例えば、チタニア、チタン炭酸塩、あるいはチタン硝酸塩等が挙げられる。
接合材の主材として用いられるアルミナは、平均粒子径1.0μm以下、純度99.5%以上、より好ましくは99.9%以上である。平均粒子径が1.0μmを超える場合、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さに由来する凹部にアルミナ粒子が入り込まず、接合強度が低下する。また、純度が99.5%未満の場合、チタニア等のチタン化合物を含有する接合材によりアルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点が過度に下がるため、接合温度も過度に下がり、接合制御がし難くなり、変形する場合がある。
また、接合材の添加材として用いられるチタン化合物は、平均粒子径1.0μm以下、純度99.0%以上、チタニア換算で添加率0.05質量%〜0.5質量%であることが好ましい。チタン化合物の含有率が0.05質量%未満の場合、アルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点を下げられず、接合層中におけるアルミナの十分な粒成長が起きないため、接合が不十分となり、接合強度が低下する。また、チタン化合物の含有率が0.5質量%を超える場合、接合層において、チタン酸アルミニウムがアルミナ粒子の粒界相に多量に存在するため、脆弱性を生じ、接合強度が低下する。
接合材は種々の形態を取ることができる。例えば、これらの粉末に、分散媒、分散剤及びバインダーを加えて混合しペースト状にしたものや、粉末と分散媒等と混練した混合物を押し出し成形等により成形したグリーンシート等を用いることができる。分散媒、分散剤等の配合は、所望性状のペーストやグリーンシートを得るために調整できる。
熱処理は、アルミナセラミックス焼結体の間に、上記接合材を介在させて、アルミナセラミックス焼結体を接合した状態で、ホットプレス装置内に収容した後、ホットプレス焼結することにより行われる。ホットプレス焼結は、酸化を防止するため、アルゴン(Ar)、窒素(N)等の不活性雰囲気や真空雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気は、例えば、アルゴン98%程度の状態である。真空化雰囲気は、13.3Pa〜1.3×10−2Pa程度の真空状態である。
そして、アルミナセラミックス焼結体の接合面に対して、0.98MPa〜2.94MPa、より好ましくは1.47MPa〜1.96MPaの圧力で加圧し、1300℃〜1500℃に加熱する。加圧加熱状態は、3時間〜6時間保持する。
熱処理圧力が0.98MPa未満の場合、接合層を介したアルミナセラミックス焼結体同士の接合が不十分となり、また、接合層における高い気孔存在割合により接合強度が低下する。一方、2.94MPaを超える場合、アルミナセラミックス接合体の変形量が大きく、また接合強度も低下し、さらには接合層の一部で接合が不十分となり、剥離が発生する場合がある。
また、熱処理温度が1300℃未満の場合、接合材とアルミナセラミックス焼結体との溶融不足となり、接合が不十分となり、剥離が発生する場合がある。一方、1500℃を超える場合、アルミナセラミックス焼結体の変形量が大きく、また接合強度も低下する。
形成されたアルミナセラミックス接合体は、アルミナセラミックス焼結体間に接合層を有するように形成されている。そして、接合強度が250MPa以上であり、アルミナセラミックス焼結体を鏡面研磨することなく、一体成形されたアルミナセラミックスと同程度の機械的強度を得ることができる。
接合層は、接合層中の気孔径が5μm以下で、接合層に対する気孔の存在割合が3%以下である。また、厚さが50μm〜200μmで、接合体の変形率は接合層の厚み方向に1.0%以下である。接合焼結時に収縮がほとんど生じず、良好な寸法精度を維持している。
ここで、接合層におけるアルミナの平均粒子径は、3μm〜20μmである。接合層における平均粒子径はアルミナの粒成長の度合いを示し、接合層におけるアルミナの平均粒子径が3μm未満の場合、アルミナの粒成長が不十分であり、接合強度が低下し、一体成形されたアルミナセラミックスと同程度の機械的強度を得ることができない。また、接合層におけるアルミナの平均粒子径が20μmを超える場合も、接合強度が低下し、一体成形されたアルミナセラミックスと同程度の機械的強度を得ることができない。これは、アルミナが異常粒成長したことから、接合材中のアルミナが過剰であり、チタン酸アルミニウム、チタニア等が残存したアルミナ粒子の粒界相の存在により脆弱性を生じ、接合強度が得られなかったと考えられる。
以下、実施例及び比較例を示して説明する。
(実施例1)
[アルミナセラミックス焼結体の作製]
原料となるアルミナ粉末に、イソプロピルアルコール及び有機バインダーと可塑剤を添加混合し、スプレードライをすることでアルミナ顆粒を得た。この顆粒をCIP成形し、所定の焼成温度で6時間の常圧焼成することで、純度99%以上、密度3.90g/cm以上、φ300×10mmの円板形状のアルミナセラミックス焼結体を形成した。形成された焼結体に研削する機械加工を施して、平面度が20μm、接合面の表面粗さRaが2.0μm以下となるようにした。
[接合材の作製]
接合材の主材であるアルミナに対して、添加材であるチタニアの含有率が、0.05質量%となるように調製した。具体的には、主材であるアルミナ粉末(Al:純度99.5%)と添加材であるチタニア粉末(TiO:純度99.0%)に、エタノール、分散剤、及び有機バインダーを添加、混合し、ペーストを作製した。
[接合]
2つの板状のアルミナセラミックス焼結体を用意し、一方の焼結体の面にペーストを塗布し、もう一方の焼結体の面をはり合わせた。これを大気中480℃で1時間保持して脱脂した後、ホットプレス焼成炉を用いて、0.1MPaの98%のアルゴン雰囲気中で、接合面に1.96MPaの圧力を加えながら、1400℃で熱処理した。そして、アルミナセラミックス接合体を形成した。
[評価]
得られた接合体から、接合層が中央に位置するように曲げ試験片を切り出して4点曲げ試験(JISR1601)により接合強度を測定した。また、接合体の変形率を測定した。
また、アルミナセラミックス接合体を切断し、切断断面を鏡面研磨した後、エッチング処理を施し、走査型電子顕微鏡により接合層を観察し、接合層におけるチタン含有率(質量%)、接合層の厚み(μm)、アルミナの平均粒子径(μm)、気孔の平均径(μm)、及び、気孔の存在割合(%)を測定した。
(実施例2)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%としたほかは、実施例1と同一条件で実施例2のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例3)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.5質量%としたほかは、実施例1と同一条件で実施例3のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例4)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼成温度を1300℃としたほかは、実施例1と同一条件で実施例4のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例5)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼成温度を1500℃としたほかは、実施例1と同一条件で実施例5のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例6)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼結時、接合面を0.98MPaの圧力で加圧したほかは、実施例1と同一条件で実施例6のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(実施例7)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼結時、接合面を2.94MPaの圧力で加圧したほかは、実施例1と同一条件で実施例7のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例1)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.04質量%としたほかは、実施例1と同一条件で比較例1のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例2)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.6質量%としたほかは、実施例1と同一条件で比較例2のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例3)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼成温度を1250℃としたほかは、実施例1と同一条件で比較例3のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例4)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼成温度を1550℃としたほかは、実施例1と同一条件で比較例4のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例5)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼結時、接合面を0.90MPaの圧力で加圧したほかは、実施例1と同一条件で比較例5のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例6)
接合材における添加材であるチタニアの含有率を0.1質量%とし、焼結時、接合面を3.00MPaの圧力で加圧したほかは、実施例1と同一条件で比較例6のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例7)
接合材に添加材としてチタニアを含有しなかった以外は、実施例1と同一条件で比較例7のアルミナセラミックス接合体を製造した。
(比較例8)
接合材を用いることなく、実施例1と同一条件で比較例8のアルミナセラミックス接合体を製造した。
母材であるアルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さRa(μm)と、接合材の主材、添加材及び添加材含有率(質量%)と、熱処理条件(焼成温度(℃)と接合面加圧圧力(MPa))とを、表1に示す。表1中、「※」は本実施形態の好適範囲外の値を示す。
接合層におけるチタン含有率(質量%)、接合層の厚み(μm)、アルミナの平均粒子径(μm)、接合層における気孔の平均径(μm)、気孔の存在割合(%)、接合強度(MPa)、及び変形率(%)を表2に示す。表2中、「※」は本実施形態の好適範囲外の値を示す。尚、Ti含有率はICP分析にて測定した。
表1のアルミナセラミックス焼結体は、その接合面に対する表面粗さRaが2.0μmであり、研削する機械加工を施すだけで、鏡面研磨を必要としないことがわかる。表1及び表2の実施例1〜実施例7から、アルミナを主材とし、0.05質量%〜0.5質量%の範囲のチタニアを添加材として含有する接合材を介在させて、アルミナセラミックス焼結体の接合面に0.98MPa〜2.94MPaの範囲の圧力を加えると共に1300℃〜1500℃の範囲の温度で加熱する熱処理を行うことにより、接合強度が250MPa以上のアルミナセラミックス接合体を形成されることがわかる。さらに、形成されたアルミナセラミックス接合体の変形率は1.0%以下であることがわかる。
比較例1は、接合層中のTi含有率が0.03質量%未満の0.024質量%(接合材のチタニアの含有率が0.05質量%未満の0.04質量%)であったため、アルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点を下げられず、接合層中におけるアルミナの十分な粒成長が起きない。そのため、アルミナ平均粒子径が3μm未満の2μmで、気孔平均径が5μmを超え、気孔存在割合が3%を超えるアルミナセラミックス接合体が得られた。従って、接合が不十分となり、接合強度は230MPaに低下した。
比較例2は、接合層中のTiの含有率が0.300質量%を超える0.340質量%(接合材のチタニアの含有率が0.5質量%を超える0.6質量%)であったため、接合層中のアルミナが異常粒成長し、アルミナ平均粒子径が20μmを超える38μmであるアルミナセラミックス接合体が得られた。また、アルミナの焼結体に対する濡れ性が大きくなり、気孔割合が2%と小さな値となったが、気孔平均径が5μmを超えた。異常粒成長が起きたことから、接合材中のアルミナが過剰であり、チタン酸アルミニウム、チタニア等が残存したアルミナ粒子の粒界相の存在により脆弱性を生じる。従って、アルミナ粒子の粒界相の存在による脆弱性と、平均径が5μmより大きい気孔の存在とにより、接合強度が190MPaに低下した。
比較例3は、熱処理温度が1300℃未満の1250℃であったため、接合材とアルミナセラミックス焼結体との溶融不足となり、接合が不十分となり、剥離が発生した。
比較例4は、熱処理温度が1500℃を超える1550℃であるため、接合材の流動性がよくなり、接合材がアルミナセラミックス焼結体間から押し出され、接合層厚みが50μm未満の30μmと薄いアルミナセラミックス接合体が得られた。
また、接合層の厚みが薄くなったため、焼結体の接合面付近のアルミナ粒子と接合材を構成するアルミナ粒子とのネッキングに関係する焼結体部分及び接合材の単位体積当りのチタニア含有率が上昇し、アルミナが異常粒成長し、アルミナ平均粒子径が20μmを超える31μmとなった。従って、比較例2と同様、アルミナ粒子の粒界相の存在による脆弱性により、接合強度が165MPaに低下した。
比較例5は、接合面加圧圧力が0.98MPa未満の0.90MPaであるため、接合面に対する加圧圧力不足により、接合層厚みが200μmを超える220μmと厚くなり、接合層中の気孔存在割合が3%を超えるアルミナセラミックス接合体が得られた。従って、高い気孔存在割合により、接合強度が210MPaに低下した。
比較例6は、接合面加圧圧力が2.94MPaを超える3.00MPaであるため、接合層厚みが50μm未満の40μmと薄い一方、変形率が1.5%と変形が大きなアルミナセラミックス接合体が得られた。また、高圧による接合層におけるアルミナ粒子間(粒界)の一部に亀裂状の欠陥が発生し、接合強度が50MPaに低下した。さらに、接合層の一部において、接合が不十分となり、剥離が発生した。
比較例7は、接合材の組成中にチタン化合物(チタニア)を含有していないため、接合材とアルミナセラミックス焼結体との溶融不足で、接合が不十分となり、剥離が発生した。
比較例8は、接合材自体を用いていないため、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さRaが2.0μmと非平滑であるので、アルミナセラミックス焼結体の接合面同士の接触不足が生じ、接合が不十分となり、剥離が発生した。
本実施形態によれば、母材であるアルミナセラミックス焼結体の間に、アルミナを主材とし、チタニアを添加材として含有する接合材を介在させて接合した状態で焼結すると、接合材中の添加材であるチタニアにはアルミナの粒成長を促進する効果がある。従って、母材であるアルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナ粒子と接合材を構成するアルミナ粒子とのネッキングが促進され、さらに、接合材を構成するアルミナ粒子間のネッキングも促進された、優れた接合強度のアルミナセラミックス接合体を形成することができる。
また、上記接合材を用いることにより、アルミナセラミックス焼結体の接合面の表面粗さが2μm程度まで大きい場合でも、接合面の表面粗さに由来する凹部に接合材を埋め込むことができる。従って、接合層中の気孔率を減少させることができ、優れた接合強度のアルミナセラミックス接合体を形成することができる。
さらに、形成されたアルミナセラミックス接合体の接合層は、アルミナセラミックス焼結体と共材であるので、完全一体化できる。この結果、形成されたアルミナセラミックス接合体は、一体成形されたアルミナセラミックス焼結体と同程度の機械的強度を得ることができる。
尚、接合面の表面粗さに由来する凹部にチタニアを含有する接合材を埋め込むことができるので、母材であるアルミナセラミックス焼結体の接合面付近のアルミナの融点を下げることができる。従って、熱処理温度を下げることができ、アルミナセラミックス焼結体の変形量を抑制することにより、アルミナセラミックス接合体の変形量を抑制することができる。

Claims (3)

  1. アルミナセラミックス焼結体間を接合層により接合したアルミナセラミックス接合体であって、
    前記接合層は、アルミナを主材とし、チタン含有率が0.030質量%〜0.300質量%であり、
    前記接合層のアルミナの平均粒子径が3〜20μmの範囲の値であり、
    前記接合層の厚さが50μm〜200μmで、前記接合層の気孔の平均径が5μm以下で、前記接合層に対する前記気孔の存在割合が3%以下であることを特徴とするアルミナセラミックス接合体。
  2. 請求項1記載のアルミナセラミックス接合体であって、
    接合強度が250MPa以上であることを特徴とするアルミナセラミックス接合体。
  3. アルミナセラミックス焼結体の間に、アルミナを主材とし、チタニア換算で0.05質量%〜0.50質量%の範囲のチタン化合物を添加材として含有する接合材を介在させて、前記アルミナセラミックス焼結体の接合面に0.98MPa〜2.94MPaの範囲の圧力を加えると共に1300℃〜1500℃の範囲の 温度で加熱し、前記接合材からなる接合層における気孔径が5μm以下で、前記接合層に対する前記気孔の存在割合が3%以下で、接合強度が250MPa以上であるアルミナセラミックス接合体を形成する工程を備えることを特徴とするアルミナセラミックス接合体の製造方法。
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