JP5800888B2 - テーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置 - Google Patents
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Description
図1は従来から知られているテーブル形式データに基づく運転のブロック図(特許文献2、3に開示)である。図1に示す例では、基準値に同期させる軸をX軸、Z軸としているものである。テーブル形式データとして記憶された指令データに基づく運転を行う数値制御装置は、時間、主軸位置、送り軸位置等の基準値を形成する信号を計数する基準値カウンタ3、X軸パステーブルTx、Z軸パステーブルTz、X軸パステーブル補間処理部4x、Z軸パステーブル補間処理部4z、送り軸のX軸用のサーボモータ5x、送り軸のZ軸用のサーボモータ5zを備えている。X軸パステーブルTx、Z軸パステーブルTzは、数値制御装置内のメモリ又は数値制御装置にネットワークで接続された記憶装置内に設けられるもので、X軸パステーブルTxには、指令データとして基準値に対応させてX軸の位置が、Z軸パステーブルTzには、基準値に対応させてZ軸の位置がテーブル形式データとして設定記憶されている(以下、この各軸パステーブルに記憶されている指令データをパステーブルデータという)。X軸パステーブル補間処理部4x、Z軸パステーブル補間処理部4zは、入力された基準値カウンタ3の値である基準値に基づいて、X軸パステーブルTx、Z軸パステーブルTzに記憶されたテーブル形式データを読み出し、補間処理をしてX軸用のサーボモータ5x、Z軸用のサーボモータ5zに出力してX軸、Z軸の位置と基準値を同期させてX軸、Z軸のモータ5x、5zを駆動する。
基準値L=0.0でX軸位置、Z軸位置は原点の「0.000」にあり、X軸は該原点位置から基準値Lが「100.0」に達した時点で「0.200」の位置に、Z軸は原点位置から基準値Lが「150.0」に達した時点で「3.000」の位置に到達するように駆動される。その結果、基準値Lが「100.0」に到達した時点では、X軸は「0.200」の位置に、Z軸の位置は基準値Lが「150.0」で「3.000」に到達するように移動する途中であり、「2.000」の位置に到達している。すなわち、基準値L=100.0の位置P1(X,Z)=(0.200,2.000)の位置に到達している。該位置P1からX軸は、基準値L=200.0で「3.000」の位置に到達するように駆動され、Z軸が目標の「3.000」の位置に到達する基準値L=150.0の時点での位置P2では、X軸は、「1.600」である。Z軸はこの位置P2から基準値L=200.0で「0.000」の位置に到達するように駆動され、基準値L=200.0では、X軸は「3.000」、Z軸は「0.000」の位置P3に到達する。
このような工具経路によって加工がなされるが、原点、位置P1、P2さらには位置P3で速度が急激に変化することから、ショックが生じ、被加工物のワークに加工跡が残る場合がある。
請求項3に係る発明は、前記補正範囲指定手段を、パラメータ、入力信号、プログラム指令により、前記速度の変化点からの距離を指定するものとした。
請求項5に係る発明は、前記補正範囲指定手段により指定された前記補正を行う範囲と、その前後の前記補正を行う範囲が重複する場合に、前記補正を行う範囲を前記速度の変化点間の距離の半分にする補正範囲調整手段を備えるものとした。
請求項6に係る発明は、前記テーブル形式データ先読み手段を、順次、読み出された指令データのうち基準値が1番小さい軸の次の指令データを読み出すものとした。
ユーザが補正範囲を指定することで、数値制御装置により自動的にテーブル形式データの補正が行われるため、既存のテーブル形式データに対して適用することも容易である。
L=100.0(位置P1)より前の速度
X軸成分=0.200(mm)/100(msec)=0.002(mm/msec)
Z軸成分はL150.0(msec)で3.000(mm)に達するように移動している途中であるので
Z軸成分=3.000(mm)/150.0(msec)=0.020(mm/msec)
L=100.0より後の速度
X軸成分=2.800(mm)/100(msec)=0.028(mm/msec)
Z軸成分は変化がないから
Z軸成分=3.000(mm)/150.0(msec)=0.020(mm/msec)
基準値L=100.0の前後では、X軸成分が異なることから、位置P1は速度変化点と判断できる。以上のように、指令前後の速度成分を比較することによって、速度変化点か否かの判別ができる。
交点1に到達する時点の基準値Lは、基準値L=0.0からL=100.0になる間にZ軸は0.000から2.000に比例して変化するので、Z軸が交点1のZ軸座標値1.9004963・・に達する値として求められる。
交点1の基準値L=1.9004963・・×100/2.000=95.0248140・・(mm)
同様に、
交点2の座標(X,Z)=(0.2813733・・,2.0581238・・)
交点2の基準値L=2.0581238・・×50/1.00=102.9061910・・(mm)
次に、こうして求めた境界位置の交点1、交点2を工具経路の始点、終点とするX軸の工具経路をX軸パステーブルTxの指令データに追加して補正する。なお、以下、始点と終点が指令された工具経路をパスという。交点1は、速度変化点P0(X=0.000、Z=0.000)と速度変化点P1(X=0.200、Z=2.000)とを結ぶ線(パス)上に存在するものであるから、速度変化点P0(L=0.000、X=0.000)から交点1(L=95.0248140・・、X=0.1900496・・)までのパスのX軸速度はそれまでと同じ速度(0.002mm/msec)で、交点1(L=95.0248140・・、X=0.1900496・・)から交点2(L=102.9061910・・、X=0.2813733・・)までのパスは、初速が交点1での直前のパスのX軸速度(0.002mm/msec)で、終速は速度変化点P1から速度変化点P2までのパスのX軸速度(0.028mm/msec)となるような3次関数で接続する。また、交点2(L=102.9061910・・、X=0.2813733・・)から速度変化点P2(L=150.0、X=1.600)までは、それまで速度変化点P1から速度変化点P2まで指令されていた速度(0.028mm/msec)とする。このように交点1から交点2までのパスを追加したX軸パステーブルの指令データは図5に示すものとなる(図5では、追加して修正した箇所のデータを示している)。
なお、テーブル形式データによる運転において、2点間を3次関数で接続する技術は、特許文献2に記載され公知であるのでその説明を省略する。また、2点間を4次関数や5次関数等のより複雑な関数を採用してもよく、これにより、2点間で加速度に変化がある場合に加速度を連続的に変化させることや、速度変化点を通るような工具経路に補正すこともできる。テーブル形式データによる運転において、このような4次関数や5次間数で接続する技術は、特許文献3に記載され公知である。さらに、同様な補正方法として、三角関数を用いることや、複数の関数の組合せを用いることもできる。
指令された半径r≦0.5×の速度変化点間の距離の場合
指定された半径rの値を使用
指令された半径r>0.5×の速度変化点間の距離の場合
使用する半径値を0.5×の速度変化点間の距離とする。
図8は、X軸、Y軸、Z軸の3次空間での工具経路における速度変化点の前後における工具経路の補正の説明図である。
該補正対象の速度変化点より1つ前の速度変化点からの速度ベクトルを(Vx,Vy,Vz)、
該補正対象の速度変化点より1つ後の速度変化点への速度ベクトルを(V’x,V’y,V’z)、
とすると、前の速度変化点と補正対象の速度変化点を結ぶ直線は次の(1)式で表される。
(X,Y,Z)=(Cx,Cy,Cz)+t(Vx,Vy,Vz)・・・・・(1)
したがって、該直線上の点の座標値(X,Y,Z)は次の(2)式のとおりである。
(X,Y,Z)=(Cx+t・Vx,Cy+t・Vy,Cz+t・Vz)・・・・・ (2)
補正範囲を半径rの球面で指定し、補正対象の速度変化点(Cx,Cy,Cz)を中心とする球面の数式は次の(3)式で表される。
(X−Cx)2+(Y−Cy)2+(Z−Cz)2=r2・・・・・ (3)
(3)式に(2)式で示される直線上の点の座標値(X,Y,Z)を代入すると、(4)式に示されるように、該直線と球面の交点(境界位置)におけるtの値が求められる。
t=±r/[(√(Vx2+Vy2+Vz2) ]・・・・・ (4)
(4)式の通り直線と球面の交点は2点求められるが、前の速度変化点から補正対象の速度変化点に向かう直線上にある交点1は速度変化点よりもベクトルの負方向に存在するため、交点1のtの値は次の(5)式で表される。
t=−r/[(√(Vx2+Vy2+Vz2) ]・・・・・ (5)
従って、(5)式のtを(2)式に代入して、交点1の座標値は次の(6)式となる。
t=r/[(√(V’x2+V’y2+V’z2) ]・・・・・ (7)
まず、工具経路に関係する全てのパステーブルの先読みを並行して行う(ステップS1)、先読みしてパステーブルから読み取った各軸の速度を合成して工具経路を割出す(ステップS2)、工具経路の中に、2つ以上の未補正の速度変化点が存在するか、又は次がパステーブルの終点か判別する(ステップS3)。2つ以上の未補正の速度変化点がなければ、ステップS1に戻る。こうして先読みして、2つ以上の未補正の速度変化点が存在するようになると、その未補正の速度変化点の内、基準値の小さい方を補正対象の速度変化点に設定する(ステップS4)。次に、この設定された補正対象の速度変化点に対する補正範囲の始点と終点の算出処理を実行する(ステップS5)。補正範囲の始点と終点の算出処理は、図11に示す処理であり、後述する。
そして、パステーブルの終点まで読み込まれ、パステーブルの終点まで補正が完了したか否か判断され(ステップS7)、補正完了でなければ、ステップS1に戻り、ステップS1以下の処理を行う。そして、パステーブルの終点まで読み込まれ、パステーブルの終点まで補正が完了すれば、この処理は終了する。
Tx X軸パステーブル
Tz Z軸パステーブル
4x X軸パステーブル補間処理部
4z Z軸パステーブル補間処理部
5x X軸のサーボモータ
5z Z軸のサーボモータ
10 数値制御装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 SRAM
15 インタフェース
16 PMC
17 I/Oユニット
18 インタフェース
19 バス
20 表示機/MDIユニット
30 軸制御回路
31 軸制御回路
32 軸制御回路
40 サーボアンプ
41 サーボアンプ
42 サーボアンプ
50x,50y,50z サーボモータ
60 スピンドル制御回路
61 スピンドルアンプ
62 スピンドルモータ
63 ポジションコーダ
Claims (6)
- 時間、軸位置、あるいは主軸位置を基準値とし、該基準値に同期させる複数の軸の位置を基準値に対応させてテーブル形式データの指令データとしてメモリまたはネットワークで接続された記憶装置に格納しておき、テーブル形式データを順次読み出し、前記基準値と同期させる軸の位置を同期して制御する数値制御装置において、
同期させる複数の軸のテーブル形式データを並行して先読みするテーブル形式データ先読み手段と、
前記先読みしたテーブル形式データより工具経路を割出す工具経路割出し手段と、
前記工具経路において速度の変化点を検出する速度変化点検出手段と、
前記速度の変化点において補正を行う範囲を前記速度の変化点からの距離で指定する補正範囲指定手段と、
前記工具経路上における補正範囲内と補正範囲外との境界位置を速度の変化点の前後に2つ求める境界位置算出手段と、
速度の変化点の前後に求められた2つの境界位置間を滑らかな工具経路に置き換える工具経路補正手段と、
前記補正した工具経路に基づいてテーブル形式データを修正するテーブル形式データ修正手段と、
を有することを特徴とするテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。 - 前記工具経路補正手段は、多次元関数または三角関数またはその組み合わせにより接続する事を特徴とする、請求項1に記載のテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。
- 前記補正範囲指定手段は、パラメータ、入力信号、プログラム指令により、前記速度の変化点からの距離を指定する事を特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。
- 前記境界位置算出手段は、前記工具経路と、工具経路が2次元平面上に存在する場合は指定された距離を半径とする速度の変化点を中心にする円との交点を、工具経路が3次元空間上に存在する場合は指定された距離を半径とする速度の変化点を中心にする球面との交点を境界位置として求める請求項1乃至3のいずれか1項に記載のテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。
- 前記補正範囲指定手段により指定された前記補正を行う範囲と、その前後の前記補正を行う範囲が重複する場合に、前記補正を行う範囲を前記速度変化点間の距離の半分にする補正範囲調整手段を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載のテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。
- 前記テーブル形式データ先読み手段は、順次、読み出された指令データのうち基準値が1番小さい軸の次の指令データを読み出す請求項1乃至5のいずれか1項に記載のテーブル形式データによる運転でのスムージング機能を備えた数値制御装置。
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