JP5798954B2 - 非水二次電池用電解液及び二次電池 - Google Patents
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Description
<1>ハロゲン原子を有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種と、芳香族ケトン化合物と、有機溶媒と、電解質塩とを含む非水二次電池用電解液であって、
前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物が、下記式(F2)で表され、前記含硫黄環状化合物が、下記式(S1−1)または(S2−1)で表され、前記芳香族ケトン化合物が、下記式(1)で表され、
前記有機溶媒100質量部に対し、前記芳香族ケトン化合物が0.001〜10質量部とされ、前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種が0.001〜10質量部とされ、
前記有機溶媒全量の50質量%超が融点10℃以下の溶媒で構成されている非水二次電池用電解液。
<2>前記融点10℃以下の溶媒が鎖状カーボネート構造又はエステル構造をもつ化合物を含有してなる<1>に記載の非水二次電池用電解液。
<3>前記有機溶媒が、前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物、含硫黄環状化合物、及び芳香族ケトン化合物以外の化合物からなる<1>または<2>に記載の非水二次電池用電解液。
<4>前記有機溶媒が、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、及びホウ素原子から選ばれる原子からなる<1>〜<3>のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
<6><1>〜<5>のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
本発明の非水二次電池用電解液は、融点10℃以下の溶媒を50質量%超含有する有機溶媒中に、2種の特定量の特性良化剤を含有することで、高いサイクル特性と、低温での電池特性が両立できる。特性良化剤[1]としては芳香族ケトン化合物、特性良化剤[2]としてはハロゲン原子を有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種が選択される。以下、本発明についてその好ましい実施の形態を中心に詳細に説明する。
本発明の非水二次電池用電解液は、特性良化剤[1]として芳香族ケトン化合物を含有する。
芳香族ケトン化合物は分子内に芳香族基を有するケトン化合物である。ここで芳香族基とは炭化水素系芳香族基及び複素芳香族基(不飽和複素環基)を表す。
芳香族ケトン化合物の中で好ましい構造は、下記式(1)で示される構造である。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
式(1)で表される化合物は、さらに好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
本発明の電解液は、特性良化剤[2]として、ハロゲン原子を含有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する。
本発明の電解液は特性良化剤[2]を、有機溶媒100質量部に対し0.001〜10質量部含有する。好ましい含有量は有機溶媒100質量部に対し0.001〜5質量部であり、より好ましくは0.01〜1質量部、更に好ましくは0.05〜0.5質量部である。複数の特性良化剤[2]を併用する場合はその合計量として上記の範囲が規定される。
ハロゲン原子を含有するカーボネート化合物(ハロゲン置換カーボネート化合物ともいう)としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を有するカーボネート化合物が好ましく、フッ素原子を有するカーボネート化合物がより好ましい。フッ素原子の数としては1〜6個が好ましく、1〜3個が更に好ましい。カーボネート化合物は鎖状、環状いずれでもよいが、イオン伝導性の観点から電解質塩(例えばリチウムイオン)配位性の高い環状カーボネートが好ましく5員環環状カーボネートが特に好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物としては、下記式(F1)または(F2)で表されるものが好ましい。
式(F1)中、RFはハロゲン原子またはハロゲン原子を含有する置換基を表す。置換基としては上記置換基Tがあげられる。好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基である。
・nF
nFは1または2を表す。nFが2のとき、2つのRFは同じでも異なってもよい。2つのRFが結合して環を形成してもよい。
・β
βは5または6員環を形成するのに必要な原子群を表す。
・RG,RH
RG,RHは、アルキル基を表し、その少なくともいずれかはハロゲン原子を有する。このアルキル基はオキシ基を介在していてもよい。ハロゲン原子を有しないとき、アルキル基は、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましい。ハロゲン原子を有するとき、なかでも、末端にハロゲン原子を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることが好ましく、末端にハロゲン原子を有する炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
含硫黄環状化合物としては、硫黄原子と環状構造を有していればいずれのものでもよいが、環状構造を形成する原子として硫黄原子を含有していることが好ましい。またS=O結合を有する化合物が充放電時の酸化分解が抑制されて好ましい。環状構造としては5員環、6員環が好ましい。
好ましい化合物としては、下記式(S1)または(S2)の部分構造を有しているものがあげられる。
好ましい含硫黄環状化合物の具体例としては下記の化合物及び、下記化合物の水素原子が置換基に置き換わったものである。
本発明の電解液は有機溶媒を含有し、有機溶媒全量に対し、融点10℃以下の溶媒を50質量%超含有する。有機溶媒全量に対し、融点10℃以下の溶媒の含有量は60質量%以上が好ましく、65質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
有機溶媒は前述の特性良化剤[1]、[2]とは異なる化合物であり、特性良化剤[1]、[2]に含まれる化合物は除く。また後述の重合性化合物も除くものとする。この観点でさらに具体的にいうと、有機溶媒は、フッ素原子をもつ置換基をもたず、環状化合物のときその環構造に硫黄が組み込まれていないものが好ましい。また、有機溶媒が、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、及びホウ素原子から選ばれる原子からなる化合物で構成されていることが好ましい。
これらの中で特にジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンを含有していることが好ましい。
本発明の電解液には電解質塩が含まれ、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩が含まれていることが好ましい。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における電解質塩の含有量は通常有機溶媒100質量部に対し5〜30質量部であるが塩濃度が高くなるにつれて電解液の粘度が高くなるため、高いイオン伝導度を示すための適正なイオン濃度範囲が存在する。イオンの濃度として評価するときには、0.5mol/L〜1.5mol/Lとなるように調整することが好ましい。
本発明の電解液には、重合性化合物、難燃剤、過充電防止剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。非水系電解液中におけるこれら機能性添加剤の含有割合は特に限定はないが、非水系電解液全体に対し、それぞれ、0.001質量%〜10質量%が好ましい。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
本発明で用いることのできる重合性化合物の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、ラジカル重合性化合物、アニオン重合性化合物、カチオン重合性化合物があげられ、ラジカル重合性化合物及び/又はアニオン重合性化合物が好ましい。なお、ここでいう重合性化合物には上記特性良化剤[1]、[2]にあたる化合物は含まれない。
ラジカル重合性化合物及びアニオン重合性化合物として好ましくは、炭素−炭素多重結合を有する化合物である。炭素−炭素多重結合を有する化合物としては、ビニル化合物、スチレン誘導体、(メタ)アクリレート誘導体、環状オレフィン(環内にヘテロ原子を含んでいても良い)等が挙げられる。更に好ましくは炭素−炭素多重結合及び極性官能基を有する化合物であり、極性官能基としては、エステル基、カーボネート基、ニトリル基、アミド基、ウレア基、スルホラン基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル、環状エーテル基、ポリアルキレンオキサイド基などが挙げられる。これら極性基は鎖状構造でも環状構造を形成していてもよい。
カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物が挙げられる。
それらの中で特に、下記式(3−a)〜(3−d)で示される構造の化合物を用いることが好ましい。
前記、式(3−a)のR3は水素原子またはアルキル基を表す。R3として好ましいアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、R3は水素原子であることがさらに好ましい。
式(3−a)のR4は芳香族基、複素環基、ニトリル基、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。R4の芳香族基としては炭素数6〜10の2π系芳香族基(フェニル、ナフチルなど)が好ましく、複素環基としては炭素数4〜9の複素芳香族基(フリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、キノリルなど)が好ましく、アルコキシ基としては炭素数1から10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、アシルオキシ基としては炭素数1〜10のアシルオキシ基(アセチル基、ヘキサノイルオキシ基など)が好ましく、式(3−a)のR4としては、フェニル基がより好ましい。
式(3−b)のR5は水素原子、アルキル基、またはシアノ基を表し、好ましいアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、水素またはメチル基であることがより好ましい。
式(3−b)のR6はアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表し、アルコキシ基、すなわち式(3−b)はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることがより好ましい。この場合のエステルのアルコール部分に相当するアルコキシ基は炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がより好ましい。
式(3−c)のR7及びR8は水素、アルキル基または芳香族基を表す。R7及びR8が水素であるか、R7が水素でありR8が芳香族基であることが好ましい。この場合の好ましい芳香族基としては炭素数6〜10の芳香族基(フェニル、ナフチルなど)がより好ましい。
式(3−c)のX、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−(C=O)−、−NR−から選択される2価連結基を表すが、XとYが−O−、Zが−(C=O)−であることが好ましい。前記Rはアルキル基または芳香族基を表す。アルキル基の好ましいものとしてはR3と同義であり、芳香族基の好ましいものとしてはR4と同義である。
式(3−d)のR9は水素原子又はアルキル基を表し、水素原子か炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)が好ましく、水素またはメチル基であることがより好ましい。
好ましい置換基としては、前記置換基Tが挙げられる。
本発明による電解液には、電池の性能を向上させるため、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤、難燃剤等のこのような機能性添加剤を用いてもよい。
次に、本発明の電解液の代表的な調整方法を、電解質塩としてリチウム塩を用いた場合を例に挙げて説明する。
本発明の電解液は、前記成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、調製される。
異物除去のためろ過工程を含んでいることが好ましく、ろ過工程は各成分ごとに行ってもよいし、これら複数または全てを混合した後に行っても良い。
本発明の第2の様態は前記本発明の非水電解液を含有する非水二次電池である。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合材C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明の非水二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、通常、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用される。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
・正極活物質
二次電池用電極合材には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。正極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。これらの中でもNiを含む酸化物を正極活物質として用いると本発明の効果が顕著である。
LiCoO2、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、
LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、分散物中、0.5〜15質量%が特に好ましい。
本発明では、前記電極合材を保持するための結着剤を用いることが好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、本発明の非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
本発明の非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明の非水二次電池はサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。
適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
表1に示す電解質塩を有機溶媒に1mol/Lとなるように溶解させ、これに各成分を括弧内の割合となるように混合し本発明の電解液と比較用の電解液を調製した。
<A>
溶媒
エチレンカーボネート 60質量%
プロピレンカーボネート 40質量%
電解質塩
LiPF6 0.6mol/L
添加剤
ベンゾフェノン 溶媒+電解質塩に対する含有量で0.9質量%
<B>
溶媒
プロピレンカーボネート
電解質塩
LiClO4 1.0mol/L
添加剤
9−フルオレノン 0.02mol/L
<C>
溶媒
モノフルオロエチレンカーボネート(mp:17℃)
電解質塩
LiPF6 0.6mol/L
・融点が10℃以下の溶剤(mp≦10℃)
PC:プロピレンカーボネート(mp:−48℃)
BL:γ−ブチロラクトン(mp:−44℃)
DMC:ジメチルカーボネート(mp:4℃)
DEC:ジエチルカーボネート(mp:−43℃)
EMC:エチルメチルカーボネート(mp:−55℃)
DME:1,2−ジメトキシエタン(mp:−58℃)
・融点が10℃を超える溶剤(mp>10℃)
EC:エチレンカーボネート(mp:38℃)
<電池(1)の作製>
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製し、負極は活物質:チタン酸リチウム(Li4Ti5O12) 94質量%、導電助剤:カーボンブラック 3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて45℃の恒温槽中、4.0mAで電池電圧が2.65Vになるまで1C定電流充電した後、2.65V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に4.0mAで電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを200サイクルに達するまで繰り返した。1サイクル目の放電容量(mAh)と200サイクル目の放電容量(mAh)から下式にてサイクル容量維持率を算出した。数値が大きいほど高温で充放電を繰り返しても容量劣化が小さく良好である。
サイクル容量維持率[Cy ratio](%)=
(200サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
<低温放電率評価>
上記の方法で作製した2032形電池を用いて30℃に対する−20℃での放電容量率を測定した。30℃の恒温槽中、0.4mAで電池電圧が2.65Vになるまで0.1C定電流充電した後、2.65V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に−20℃または30℃の恒温槽中、4mAで電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、放電容量を測定し、以下の式で低温容量維持率を算出した。数値が大きい程低温でも容量の劣化が小さく良好である。
低温容量維持率[Lt ratio](%)=
{(−20℃における放電容量)/(30℃における放電容量)}×100
*2 cで始まるものが比較例、それ以外は本発明例
ただし、試料No.101〜109、112〜125、127、128および133は参考例である。
*3 有機溶媒全量を100質量%としたときの質量%
*4 有機溶媒100質量部に対する質量部
<電池(2)の作成>
正極にコバルト酸リチウム合剤シート(電極容量1.5mAh/cm2:アルミ箔ベース、13mmφ)、負極に天然球状グラファイト電極シート(電極容量1.6mAh/cm2:Cu箔ベース、14.5mmφ)、セパレータにPP製多孔質フィルム(厚さ25μm、16mmφ)を用い、下記表2に示す電解液を用いた評価用のリチウム二次電池を作製した。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて45℃の恒温槽中、2mAで電池電圧が4.2Vになるまで1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に2mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを100サイクルに達するまで繰り返した。1サイクル目の放電容量(mAh)と100サイクル目の放電容量(mAh)から下式にてサイクル容量維持率を算出した。数値が大きいほど高温で充放電を繰り返しても容量劣化が小さく良好である。
サイクル容量維持率[Cy ratio](%)=
(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
上記の方法で作製した2032形電池を用いて30℃に対する−20℃での放電容量率を測定した。30℃の恒温槽中、0.2mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に−20℃または30℃の恒温槽中、2mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行い、放電容量を測定し、以下の式で低温容量維持率を算出した。数値が大きい程低温でも容量の劣化が小さく良好である。
低温容量維持率[Lt ratio](%)=
{(−20℃における放電容量)/(30℃における放電容量)}×100
表2の結果から明らかなように、試験No.201〜206の電解液は、異なるタイプの二次電池においてもその効果を発揮することが分かる。
2 正極活物質
3 負極導電材
4 負極活物質
5 電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (6)
- ハロゲン原子を有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種と、芳香族ケトン化合物と、有機溶媒と、電解質塩とを含む非水二次電池用電解液であって、
前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物が、下記式(F2)で表され、前記含硫黄環状化合物が、下記式(S1−1)または(S2−1)で表され、前記芳香族ケトン化合物が、下記式(1)で表され、
前記有機溶媒100質量部に対し、前記芳香族ケトン化合物が0.001〜10質量部とされ、前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物及び含硫黄環状化合物から選ばれる少なくとも1種が0.001〜10質量部とされ、
前記有機溶媒全量の50質量%超が融点10℃以下の溶媒で構成されている非水二次電池用電解液。
- 前記融点10℃以下の溶媒が鎖状カーボネート構造又はエステル構造をもつ化合物を含有してなる請求項1に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記有機溶媒が、前記ハロゲン原子を有するカーボネート化合物、含硫黄環状化合物、及び芳香族ケトン化合物以外の化合物からなる請求項1または2に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記有機溶媒が、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、及びホウ素原子から選ばれる原子からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
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