JP5796623B2 - 電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ケースに電池要素を収納し、ケースの開口を蓋部により閉塞してなる電池に関する。
近年、ビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の小型軽量化及び多様化に伴い、その電源である電池に対して、小型かつ軽量であり、高エネルギー密度を有し、貯蔵安定性等の信頼性も高く、長期間繰り返して充放電が可能である二次電池の開発が強く要求されている。
これらの要求を満たす二次電池として、非水電解質を含む非水電解質二次電池が挙げられる。
非水電解質二次電池の代表例として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能である活物質からなる負極と、遷移金属酸化物、弗化黒鉛、及びリチウムと遷移金属との複合酸化物等からなる正極と、非水電解質とを有する。非水電解質は、非プロトン性有機溶媒にLiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、Li2SiF6等のリチウム塩を混合してなる。
リチウムイオン二次電池は、前記正極及び負極がセパレータを介して巻回された扁平巻状の電極群を、一面が開口し、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるケースに収容し、ケースの開口をアルミニウム又はアルミニウム合金製の蓋部により閉塞してなる。該蓋部には、絶縁された状態で蓋部を貫通するように端子が設けられている。
以上のように構成されたリチウムイオン二次電池の電極群から端子までの電気の取出し工法として、かしめ接続が主に用いられている。このかしめ接続は端子となるリベットの円筒状の脚部(電池内部側)を電池内部の集電体と共かしめすることで導通(接続)を得ている。
図10は、上述の構成の従来のリチウムイオン二次電池の蓋部23を裏側から見た状態を示す斜視図、図11は蓋部23の要部を示す縦断面図である。
蓋部23の中央部には、平板状の頭部24a及び円筒状の脚部24bを有し、断面視がT字状をなす負極端子24が、該負極端子24の表面を除き、合成樹脂製のガスケット25に包囲された状態で、蓋部23を貫通するように設けられている。
蓋部23の裏面には合成樹脂製の絶縁体26が、蓋部3の一端部側の長さが他端部側の長さより短くなる状態で配置されている。絶縁体26は凹部26aを有し、該凹部26aには、銅製であり、板状をなす集電体27が収容されている。集電体27はタブ27bを有し、タブ27bに前記電極群の負極板に接続された負極リードが接続されるように構成されている。絶縁体26,集電体27には、負極端子24の脚部24bを挿通する挿通孔26b,27aが設けられている。
蓋部23は、以下のようにして製造される。
まず、負極端子24を嵌め込んだガスケット25を、蓋部23の中央部に設けられた孔に、脚部24bが裏面側に突出する状態で挿通する。そして、蓋部23の裏面に、脚部24bの端部を挿通孔26bに挿通した状態で絶縁体26を配する。さらに、脚部24bの端部を挿通孔27aに挿通した状態で集電体27を絶縁体26の凹部26aに収容した後、脚部24bの端部をかしめて(カーリングプレスして)集電体27に接合する。
図12は、負極端子24の端部をかしめて集電体27に接合させる状態を示す斜視図である。図中、蓋部23、ガスケット25、及び絶縁体26は省略している。
負極端子24を挿通孔27aに挿通し(図12(a))、脚部24bの端部をかしめてかしめ部24cを形成することにより、負極端子24は集電体27と接合され、すなわち、電気的に接続され(図12(b))、該集電体27及び絶縁体26を介して、蓋部23に固定される。
特許文献1には、集電体の挿通孔に2箇所、切り欠きを設けており、負極端子を挿通孔を挿通させ、負極端子の脚部の端部をかしめた場合に、該端部の変形部分が切り欠きに食い込んで係止された状態で、負極端子が集電体に固定されるように構成した電池の発明が開示されている。この電池においては、落下等の衝撃が加わった場合に、負極端子が回転するのが抑制され、接触不良が生じるのが抑制されている。
しかし、上述した従来の電池及び特許文献1の電池においては、端子の脚部の端部をかしめたのみであり、該脚部と集電体とが完全に密着した状態で接合されていないため、電池が振動等してかしめ部分の界面に隙間が生じた場合、該隙間から非水電解質が浸入して、接触状態(接触抵抗)が不安定になるという問題がある。
また、集電体の厚みは通常略0.2mmであり、薄いので、端子を集電体にかしめるときに力が逃げやすく、接続が強固でなく、内部抵抗値が上昇しやすいという問題がある。
このため、外力が接合部分にかかった場合に、接合部分の界面で隙間が生じず、電解質の前記界面への浸入が抑制され、接触抵抗の上昇が抑制された電池が望まれている。
一方、内部抵抗値の上昇が抑制され、しかも、電池内部の空間効率が減じることが抑制された電池が望まれている。
特開2009−193787号公報
本発明は、内部抵抗値の上昇が抑制された電池を提供することを目的とする。
発明に係る電池は、開口を有するケースと、前記ケースを閉塞する蓋部と、頭部及び筒状の脚部を有し、前記蓋部を貫通する端子と、前記脚部を挿通する挿通孔を有する集電体と、を備え、前記集電体は、前記挿通孔の周囲に肉厚部を有し、前記脚部は、前記肉厚部にかしめられる。
本発明においては、内部抵抗値の上昇が抑制された電池を提供することができる。
本発明に係る電池は、前記集電体は、前記肉厚部の厚みが他部の厚みの1.5倍以上であっても良い。
この場合、内部抵抗の上昇がより抑制された電池を提供することができる。
また、本発明に係る電池は、前記集電体と前記端子との接合部分の一部に、パッキンを介在させていても良い。
この場合、集電体と端子とがかしめにより接合される部分の一部に、パッキンを介在させた構成である。従って、端子の端部を集電体にかしめたときに、パッキンが圧縮された状態となり、電池が振動する等して外力が接合部分にかかった場合に、端子のかしめ部分の蓋部の厚み方向の変位がパッキンの弾性により吸収される。よって、かしめ部の界面に隙間が生じないので、非水電解質等の電解質の前記界面への浸入が抑制され、接触抵抗の上昇が抑制される。
さらに、前記パッキンは、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及びフルオロカーボン系熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂、又は熱硬化性エラストマーからなっても良い
この場合、電解質に対する化学的安定性が良好である。
本発明によれば、内部抵抗値の上昇が抑制された電池を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る電池を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る電池の蓋部を裏側から見た状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る電池の蓋部を示す一部破断側面図である。 本発明の実施の形態1に係る電池の蓋部の要部を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る電池の負極端子の端部をかしめて集電体に接合させる状態を示す斜視図である。 他のパッキンを示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係る電池の蓋部を裏側から見た状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2に係る蓋部の要部を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係る負極端子の端部をかしめて集電体に接合させる状態を示す斜視図である。 従来のリチウムイオン二次電池の蓋部を裏側から見た状態を示す斜視図である。 従来のリチウムイオン二次電池の蓋部の要部を示す縦断面図である。 従来のリチウムイオン二次電池の負極端子の端部をかしめて集電体に接合させる状態を示す斜視図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電池としてのリチウムイオン二次電池(以下、電池という)1を示す斜視図、図2は電池1の蓋部3を裏側から見た状態を示す斜視図、図3は蓋部3を示す一部破断側面図、図4は蓋部3の要部を示す縦断面図である。図2において、凹部32と集電体8との接続部分は省略している。
電池1は、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極板、及びアルミニウム集電体に正極合剤を塗布してなる正極板がセパレータを介して巻回された扁平巻状の電極群10、及び非水電解質(図示せず)を、一面が開口し、略直方体状をなし、アルミニウムからなるケース2に収容し、ケース2の開口をアルミニウム製の蓋部3により閉塞してなる。
蓋部3の一端部には平面視が矩形状をなす凹部32が設けられており、該凹部32の下側には突設部33が設けられている。突設部33には、アルミニウム製であり、板状をなす集電体8が接続されている。該集電体8に垂設したタブ81に、電極群10の正極板に接続された正極リードが接続される。
蓋部3の中央部には、負極端子4が設けられている。負極端子4は、平板状の頭部41及び円筒状の脚部42を有し、断面視がT字状をなす。負極端子4は、ニッケルめっきを施した鋼材からなり、加工後に焼き鈍しされている。負極端子4は、ニッケル材から構成することにしてもよい。
負極端子4は、表面が露出する状態で合成樹脂製のガスケット5に覆われている。負極端子4を嵌め込んだガスケット5は、蓋部3の中央部に設けられた孔3aに、脚部42の端部が裏面側に突出する状態で挿通されている。
絶縁体6は合成樹脂製で矩形状をなし、後述する集電体7を収容する凹部6aが長手方向に延びるように設けられ、凹部6aの長手方向一端部側にはガスケット5の端部を挿通する挿通孔6bが設けられている。絶縁体6は、挿通孔6bに前記端部を挿通した状態で蓋部3の裏面に配されている。絶縁体6は、蓋部3の凹部32側の長さが他端部側の長さより短くなる状態で蓋部3に配置されている。
集電体7は銅製で本体が板状をなし、該本体の一長辺に垂設され、該本体の略2/3の長さを有するタブ71と、本体のタブ71が設けられていない側に設けられ、脚部42の端部を挿通させる挿通孔72とを有する。集電体7は、挿通孔72に脚部42の端部を挿通した状態で、前記凹部6aに収容されている。該集電体7のタブ71に、電極群10の負極板に接続された負極リードが接続される。集電体7は、ニッケル材、又はニッケルめっきを施した鋼材から構成することにしてもよい。
パッキン9は、矩形板状をなし、中央部に、脚部42の端部を挿通する挿通孔91が設けられている。
パッキン9の材料として、外力に対して変形しない強度を有すること、非水電解質を透過させないこと、非水電解質に対する化学的安定性を示すこと、使用される温度範囲内において、高温での軟化及び変質,低温での固化を起こさないこと、柔軟性及び弾性を有し、接する部材と良好に密着性すること等の性質を備えている合成樹脂が用いられる。
具体的には、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂,例えばPFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフルオロカーボン系熱可塑性樹脂,PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の熱可塑性樹脂、及び例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム),SBR(スチレンブタジエンゴム)等の熱硬化性エラストマー等が挙げられる。中でも、シール性と耐熱性の観点から、EPDMが好ましい。
パッキン9は、挿通孔91に脚部42の端部を挿通した状態で、集電体7の表面に配されている。
パッキン9は、後述するかしめ部43の縁部に対向する部分を含み、集電体7の内径の30%以上の幅(挿通孔91と縁辺部との間隔)を有するのが好ましい。そして、十分に効果が奏されるという観点から、前記幅は前記内径の30%以上50%以下であるのがより好ましい。
そして、本実施の形態においては、パッキン9を挟み込んだ状態で、脚部42の端部が集電体7にかしめられることによりかしめ部43が形成されている。
以上のように構成された電池1は、ケース2の負極端子4が設けられている部分以外の部分が正極(端子)とされる。
蓋部3は、以下のようにして製造される。
まず、負極端子4をガスケット5に嵌め込み、該ガスケット5を、蓋部3の中央部に設けられた孔3aに、脚部42が裏面側に突出する状態で挿通する。次に、蓋部3の裏面に、挿通孔6bにガスケット5の端部を挿通した状態で絶縁体6を配する。そして、集電体7を、挿通孔72に脚部42の端部を挿通した状態で絶縁体6の凹部6aに収容する。さらに、脚部42の端部にパッキン9を嵌めた上で、前記端部をかしめて集電体7に接合する。
図5は、負極端子4の端部をかしめて集電体7に接合させる状態を示す斜視図である。図5において、蓋部3、ガスケット5、及び絶縁体6は省略している。
負極端子4を集電体7に接合させる場合、まず、負極端子4の脚部42の端部を集電体7の挿通孔72に挿通し、さらにパッキン9の挿通孔91に挿通する(図5(a))。
そして、負極端子4の脚部42の端部をかしめることによりかしめ部43が形成され、負極端子4は集電体7に固定される(図5(b))。
本実施の形態においては、図4等に示すように、かしめ部43と集電体7との界面にパッキン9が介在するので、負極端子4の脚部42の端部を集電体7にかしめたときに、パッキン9が圧縮された状態で集電体7と負極端子4とが良好に密着する。従って、電池1が振動する等して外力がかしめ部43にかかった場合に、かしめ部43の蓋部の厚み方向の変位がパッキン9の弾性により吸収される。よって、かしめ部43の集電体7との界面に隙間が生じず、非水電解質の前記界面への浸入等が抑制され、接触抵抗の上昇が抑制される。なお、集電体7と負極端子4との導通は、主として集電体7の挿通孔72の内面と脚部42の外面との接触部から得られるので、パッキン9を設けることによって、導通が低下することはない。
従って、電池1は良好な品質を保持する。
なお、本実施の形態においては、パッキン9が矩形板状をなし、中央部に挿通孔91が設けられている場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。
図6は、他のパッキン19を示す平面図である。パッキン19はドーナツ状をなしている。パッキン19は、かしめ部43の縁部に対向する部分を含み、集電体7の内径の30%以上の幅を有するのが好ましい。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る電池は、実施の形態1に係る電池1と同様の構成を有し、集電体17の構成が実施の形態1の集電体7を構成と異なる。図7は実施の形態2に係る電池の蓋部13を裏側から見た状態を示す斜視図、図8は蓋部13の要部を示す縦断面図である。図中、図2、図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
集電体17は銅製であり、本体が板状をなす。該本体の一長辺には、該本体の略2/3の長さを有するタブ17cが垂設されている。そして、集電体17の本体の、タブ17cが設けられていない側で、負極端子4と接合される側には、他部より厚みを厚くした肉厚部17aが本体の長手方向端部に向かって延びるように設けられている。肉厚部17aと本体の他部との間には傾斜面が形成されている。
そして、肉厚部17aのタブ17c寄りには、脚部42の端部を挿通させる挿通孔17bが設けられている。
肉厚部17aの厚みは、負極端子4との接続強度がより高くなるので、本体の他部の厚みの1.5倍以上であるのが好ましく、かしめ接続の安定化と電池内部空間の効率化の観点から本体の他部の厚みの1.5倍以上2.0倍以下であるのがより好ましい。
パッキン29は、矩形板状をなし、中央部に、脚部42の端部を挿通する挿通孔29aが設けられている。
パッキン29の材料としては、例えばPE、PP等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂,例えばPFA等のフルオロカーボン系熱可塑性樹脂,PPS等の熱可塑性樹脂、及び例えばEPDM),SBR等の熱硬化性エラストマー等が挙げられる。
パッキン29は、挿通孔29aに脚部42の端部を挿通した状態で、集電体17の肉厚部17aの表面に配されている。パッキン29は、かしめ部43の縁部に対向する部分を含み、集電体17の内径の30%以上の幅を有するのが好ましい。
図8に示すように、パッキン29を挟み込んだ状態で、脚部42の端部が集電体17肉厚部17aにかしめられることによりかしめ部43が形成されている。
蓋部13は、以下のようにして製造される。
まず、負極端子4をガスケット5に嵌め込み、該ガスケット5を、蓋部13の中央部に設けられた孔13aに、脚部42が裏面側に突出する状態で挿通する。次に、蓋部13の裏面に、挿通孔6bにガスケット5の端部を挿通した状態で絶縁体6を配する。そして、集電体17を、挿通孔17bに脚部42の端部を挿通した状態で絶縁体6の凹部6aに収容する。さらに、脚部42の端部にパッキン29を嵌めた上で、前記端部をかしめて集電体7に接合する。
図9は、負極端子4の端部をかしめて集電体7に接合させる状態を示す斜視図である。
図9において、蓋部13、ガスケット5、及び絶縁体6は省略している。
負極端子4を集電体17に接合させる場合、まず、負極端子4の脚部42の端部を集電体17の挿通孔17bに挿通し、さらにパッキン29の挿通孔29aに挿通する(図9(a))。
そして、負極端子4の脚部42の端部をかしめることによりかしめ部43が形成され、負極端子4は肉厚部17aに固定される(図9(b))。
本実施の形態においては、肉厚部17aを有するので、負極端子4を集電体17にかしめるときに力が逃げることなく、強固に接続され、かしめ部43の金属接触状態がさらに安定化している。従って、内部抵抗値の上昇がより抑制されている。そして、集電体17全体の厚みを厚くしているのではなく、負極端子4との接合部分のみを厚くしているので、電池内部の空間効率が減じることが抑制されている。
なお、本実施の形態においては、肉厚部17aが本体の中途部から長手方向端部に亘って形成されている場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。肉厚部17aはかしめるときに接続強度を維持できる長さを有していればよい。
以下に好適な実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は、本実施例により、何ら限定されるものではなく、その主旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
[実施例1]
実施例1として、前記実施の形態1に係る電池1と同一の構成を有する電池を作製した。
正極板は、以下のようにして作製した。
正極活物質として平均粒子径が3μmであるLiCoO2粒子、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)、及びバインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、LiCoO2/AB/PVDF=94/3/3(質量部)となるように混合して正極合剤とし、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させることにより正極ペース
トを調整した。
この正極ペーストを、NMPを除いた正極合剤の質量が片面につき0.020g/cm2となるように、ドクターブレードを用いて、厚み13μmであり、アルミニウム製の正極集電体の両面に均一に塗布した後、150℃で1時間の乾燥を行った。そして、室温にて厚みが130μmとなるように極板をプレスし、正極集電体の両面に、合剤層が形成された正極板を得た。
負極板は、以下のようにして作製した。
負極活物質としてのグラファイト(黒鉛)、及びバインダとしてのPVDFを質量比で90:10となるように混合して負極合剤とし、これにNMPを適量加えて分散させ、負極ペーストを得た。
この負極ペーストを、NMPを除いた負極合剤の質量が片面につき0.0095g/cm2となるように、ドクターブレードを用いて、厚み6μmであり、銅製の負極集電体の両面に均一に塗布した後、150℃で1時間の乾燥を行った。そして、室温にて厚みが145μmとなるように極板をプレスし、負極板を得た。
セパレータとしては、厚み16μm程度のポリエチレン製微多孔性膜を用いた。
電極群10は、前記正極板と負極板とでセパレータを挟み、これを巻回して、作製した。
非水電解質としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7で混合した混合溶媒にLiPF6を1.1mol/L溶解させたものを用いた。
そして、前記実施の形態1に係る負極端子4を集電体7にかしめて蓋部3に固定し、集電体7,8のタブ71,81に、それぞれ前記電極群の負極リード,正極リードを接続し、蓋部3に接続された状態で、該電極群をケース2に収容し、蓋部3をケース2の開口部に固定して溶接した。そして、注液孔から前記非水電解質を注入し、注液孔を封口して、電池1を作製した。
電池1の寸法は縦:50mm,横:34mm,厚み:5.2mmであり、蓋部3の本体の厚みは0.8mm、負極端子4の脚部42の寸法は外径:1.38mm,厚み:0.2mm、集電体7の寸法は厚み:0.2mm,挿通孔72の内径:1.4mm、絶縁体6の厚みは0.4mmである。そして、パッキン9の寸法は、厚み:0.2mm,内径:挿通孔72の内径の103%,外径:挿通孔72の内径の200%である。そして、パッキン9はEPDM製である。
[実施例2]
実施例2として、前記実施の形態2に係る電池と同一の構成を有する電池を作製した。
実施例1の集電体7に代えて、肉厚部17aを有する集電体17を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の電池を作製した。
電池の寸法、構成部材の寸法は集電体17の寸法が異なること以外は実施例1の電池の寸法、構成部材の寸法と同一である。
集電体17の寸法は本体の厚み:0.2mm,肉厚部17aの厚み:0.3mm,挿通孔17bの内径:1.4mmである。
[比較例1]
パッキン9を備えないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の電池を作製した。
[電池の落下試験]
実施例1及び2、並びに比較例1の電池を各10個作製し、以下の落下試験を行った。
落下試験は、電池を1.5mの高さからコンクリート面へと自由落下させて実施した。
電池の6面を順に下に向けて落下させるのを1サイクルとし、各電池につき、1サイクル落下毎に電池の内部抵抗を測定し、10mΩ以上の抵抗上昇があった場合のサイクル数を求めた。この落下試験の結果を下記の表1に示す。
表1より、比較例1の電池の場合、10〜20サイクルで、抵抗上昇が生じたのに対し、実施例1及び実施例2の電池の場合、20サイクル繰り返しても抵抗上昇が生じなかったことが分かる。
以上より、本発明の実施例の場合、集電体と負極端子との接合部分にパッキン9,29を介在させており、集電体と負極端子との接続界面への電解液の侵入等を抑制し接触状態が安定化するため、電池が落下して衝撃が加わった場合に接触不良が生じて接続抵抗が上昇するのが抑制されていることが確認された。
以下に、肉厚部17aを有する集電体17を備える電池につき、肉厚部17aの厚みと集電体17の本体の厚みとの割合と、接続状態安定化の効果との関係を調べた結果について説明する。
実施例3
集電体17と負極端子4との接合部分にパッキン29を介在させなかったこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の電池を作製した。
電池の寸法、パッキン29以外の構成部材の寸法は、実施例2の電池の寸法、構成部材の寸法と同一である。集電体17の肉厚部17aの厚みは0.3mmであり、集電体17の本体の厚み(0.2mm)の1.5倍である。
実施例4
集電体17の肉厚部17aの厚みを0.4mm(集電体17の本体の厚みの2倍)にしたこと以外は、実施例3と同様にして製造例2の電池を作製した。
実施例5
集電体17の肉厚部17aの厚みを0.25mm(集電体17の本体の厚みの1.25倍)にしたこと以外は、実施例3と同様にして製造例3の電池を作製した。
[比較例2]
集電体に肉厚部を設けなかったこと以外は、実施例3と同様にして比較例2の電池を作製した。
実施例3〜5、及び比較例2の電池について、上述の落下試験を行った。この落下試験の結果を下記の表2に示す。
表2より、比較例2の電池の場合、10〜20サイクルで抵抗上昇が生じたのに対し、実施例3〜5の電池は抵抗上昇が生じるのが抑制されており、特に、肉厚部17aの厚みを本体の厚みの1.5倍以上にすることで、集電体17と負極端子4との接続状態をより安定化することができることが確認された。そして、肉厚部17aの厚みを本体の厚みの1.5倍にした場合、集電体17の必要とされる部分のみ肉厚化しているので、集電体17の本体全体を肉厚化した場合より、電池内部の空間効率が略1%増加することが算出されている。
以上より、肉厚部17aを有する集電体17を用い、該肉厚部17aにパッキン29を介在させた上で、負極端子4の脚部42の端部をかしめてなる本発明の実施の形態2に係る電池は、肉厚部17aの厚みを集電体本体の厚みの1.5倍以上にすることにより、より集電体17と負極端子4との接続状態が安定化することが推察される。
なお、前記実施の形態1及び2においては、電池が、蓋部3,13に負極端子4を貫通させるリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。蓋部に正極端子を貫通させる電池につき、正極端子と集電体との接合部分に、本発明の構造を適用することにしてもよい。この場合、ケースが鉄製となり、前記集電体がアルミニウム製となり、正極端子がアルミニウム製となる。
そして、前記実施の形態1及び2においては、ケース2が略直方体状をなす場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、本発明の構造は、ケース2の開口面が長円状をなす、すなわち、幅狭の側面が曲面状をなすように構成された角型のリチウムイオン二次電池に適用することが可能であり、円筒型のリチウムイオン二次電池に適用することも可能である。
さらに、本発明の構造は、ニッケル・水素二次電池、ニッケル・カドミウム二次電池等の他の二次電池に適用することが可能であり、一次電池に適用することも可能である。
1 電池
2 ケース
3、13 蓋部
3a、13a 孔
32 凹部
33 突設部
4 負極端子
41 頭部
42 脚部
43 かしめ部
5 ガスケット
6 絶縁体
6a 凹部
6b 挿通孔
7、8、17 集電体
71、17c、81 タブ
72、17b 挿通孔
17a 肉厚部
9、29 パッキン
91、29a 挿通孔

Claims (1)

  1. 開口を有するケースと、
    前記ケースを閉塞する蓋部と、
    頭部及び筒状の脚部を有し、前記蓋部を貫通する端子と、
    前記脚部を挿通する挿通孔を有する集電体と、を備え、
    前記集電体は、前記挿通孔の周囲に肉厚部を有し、
    前記脚部は、前記肉厚部にかしめられたかしめ部を有し、
    前記肉厚部は、前記脚部が前記挿通孔を挿通する方向において前記かしめ部の縁部に対向する部分を含み、
    前記集電体は、前記肉厚部と他部との間に傾斜面が形成されている電池。
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