JP5794837B2 - 金属ベース集合プリント配線板とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、個片の金属ベースプリント配線板が複数面付け(以降これを「多面付け」と表記する)された金属ベース集合プリント配線板に関し、特に、電子部品を実装した後、個片の金属ベースプリント回路基板に分割するために施されるVカット加工に関するものである。
放熱用途に使用される金属ベースプリント配線板(電子部品実装後のものについては「金属ベースプリント回路基板」と表記する)は、おおよそ図4に示した工程により製造される。
まず、図4(a)に示したように、金属ベース基板1(例えば「アルミニウム、アルミニウム合金、銅」等)の一方の面に、絶縁層2(例えば「プリプレグ」等)と金属箔3(例えば「銅箔」等)とを順次積層し、次いで、周知のフォトエッチングプロセスにより個片の金属ベースプリント配線板MPWの配線パターン4を多面付け形成する(図4(b)参照)。
次に、配線パターン4を保護するソルダーレジスト5を形成した後、隣接する個片の金属ベースプリント配線板MPW間の分割線6(周囲に補強用の捨て基板が配置されている場合には、個片の金属ベースプリント配線板と当該捨て基板との間の分割線も含む)に沿ってVカット加工(図中の「V溝7、8」参照)を施すことによって、当該個片の金属ベースプリント配線板MPWが多面付けされた金属ベース集合プリント配線板MMPW2を得る(図4(c)参照)。
ここで、当該Vカット加工で形成されるV溝7、8は、一般的に、金属ベース集合プリント配線板MMPW2の表裏面から同軸線上(図4(c)の「中心軸線10」を参照)に形成され、尚且つ、Vカット加工後の強度を確保するという観点から、Vカット残厚部9が金属ベース基板1内に残るような深さで形成される。
そして最後に、電子部品13を実装した後、金属ベース集合プリント回路基板MMPCに形成されたVカット加工部14で折り曲げることによって、個片の金属ベースプリント回路基板MPCを得るというものである(図4(d)参照)。
従来、この手の金属ベースプリント配線板は、主に車載品や電源装置等の比較的大きい製品(個片の金属ベースプリント配線板のサイズとして、例えば、1辺が50mm以上で、縦横寸法比率が1〜3前後の製品)に対して使用されてきた。従って、Vカット残厚部9(図4(c)参照)をある程度厚く(例えば残厚t=0.2mm程度)残したとしても容易に分割することが可能であったため特に問題はなかったのであるが(即ち、個片の金属ベースプリント回路基板MPCのサイズが大きい分、折り曲げ力をVカット加工部14に均等に伝えることができるため、分割加工を容易に行うことができる)、液晶テレビのバックライトのように、複数のLEDを横一列に配置するような極端に細長い製品(例えば図5(a)に示したような300mm×10mm程度の金属ベースプリント回路基板MPC)に対しては、Vカット加工部14(図4(d)参照)に均等に折り曲げ力が伝わらず、結果、分割加工の際に、金属ベースプリント回路基板MPCが捩れるなどの問題が発生してしまうというものであった。
そこで本発明者は、上記問題を解決するための手段を特許文献1により既に報告しているところ、その構成は以下のようなものである。
即ち、図6及び図7に示すように、金属ベース集合プリント配線板MMPW3として、個片の金属ベースプリント配線板MPWの長手方向には補強用の捨て基板を設けずに複数の金属ベースプリント配線板MPWのみを配置し、当該個片の金属ベースプリント配線板MPWの短手方向にのみ捨て基板11を配置する。
そして、隣接する個片の金属ベースプリント配線板MPW間に設けるV溝7、8(図6及び図7(a)参照)の深さを、当該個片の金属ベースプリント配線板MPWと捨て基板11の間に設けるV溝7a、8a(図6及び図7(b)参照)の深さよりも深くする{例えば、Vカット残厚部9の残厚tを0.1mm以下、Vカット残厚部9aの残厚tを0.2mm前後に設定してVカット加工する}構成とすることによって、金属ベース集合プリント配線板MMPW3の強度の確保と個片の金属ベースプリント回路基板MPCに分割する際の分割工程の容易化を両立させるというものである。因みに、図8に示した例は、隣接する個片の金属ベースプリント配線板MPW間に設けるV溝7と8を繋げた状態、即ちVカット残厚部9を残さない構成からなる金属ベース集合プリント配線板MMPW4の概略断面図を示したもので、より分割工程を容易にする場合の構成である。尚、図7、図8においては、説明の便宜上、金属ベース基板1以外の構成は省略した。
しかし、特許文献1の構成においても以下のような問題が発生することが確認された。
即ち、個片の金属ベースプリント配線板MPW間のV溝7、8を貫通させる図8(a)の構成においては、表裏面からのVカット加工部が重なる部分に金属バリ1aが発生することがあり(図8(a)の要部拡大断面図を示した図8(b)参照)、このような金属バリ1aが除去しきれなかった場合、電子部品実装後の金属ベースプリント回路基板に悪影響を与えてしまうという懸念があった。
そのため、当該V溝7、8の加工方法としては、図7(a)の構成のように0.1mm以下のVカット残厚部9を残すように行っているのが実情であるのだが、近年、一般的に使用されているVカットマシンの機構として、Vカット刃のZ軸方向への移動機構が備わっていること(即ち、Vカット刃のZ軸方向の調整が可能になったが故に、Vカット加工の際に極僅かではあるがVカット刃が上下動してしまう)や、Vカット刃の磨耗、板厚のバラツキ等の関係から、プログラム設定通りに加工することができず、結局、Vカット加工部の貫通を完全になくすことはできなかった。
特開2008−109055号公報
本発明は、Vカット残厚の設定を極薄に設定(例えば0.05mm設定)してVカット加工を行った場合においても、表裏面に設けられたV溝が貫通することのない金属ベース集合プリント配線板を提供することを課題とする。
本発明は、金属ベース基板の一方の面に積層された絶縁層を介して形成された配線パターンを有する個片の金属ベースプリント配線板が多面付けされている金属ベース集合プリント配線板の製造方法であって、金属ベース基板の一方の面に絶縁層を積層する工程と、当該絶縁層を介して個片の金属ベースプリント配線板の配線パターンを多面付け形成する工程と、当該配線パターンを保護するソルダーレジストを形成する工程と、隣接する当該個片の金属ベースプリント配線板間に、当該個片の金属ベースプリント配線板と捨て基板との間に形設する分割加工用のV溝よりも深いV溝を形設するVカット加工工程とを有し、且つ、少なくとも個片の金属ベースプリント配線板間に施すVカット加工を、当該金属ベース基板中にVカット残厚部が0.01〜0.1mm残るようにVカット刃の進入深さを設定して行うと共に、表面側と裏面側とで中心軸線を0.05〜0.1mmズラして行うことを特徴とする金属ベース集合プリント配線板の製造方法により上記課題を解決したものである。
本発明によれば、表裏面に設けられるV溝の深さが、同軸線上でVカット加工を行った場合にVカット残厚部9の残厚tが0となるような深さになったとしても、表裏面に設けた当該V溝が貫通することなく、確実にVカット残厚部を残すことができるので、Vカット加工部に金属バリが発生するのを防止できる。
本発明金属ベース集合プリント配線板の概略断面説明図。 (a)は、細長い個片の金属ベースプリント配線板を複数面付けした本発明金属ベース集合プリント配線板の概略平面説明図。(b)は小さい個片の金属ベースプリント配線板を複数面付けした本発明金属ベース集合プリント配線板の概略平面説明図。 図2における個片の金属ベースプリント配線板と捨て基板との間に形成されたV溝の加工状態を示す概略断面説明図。 従来の金属ベース集合プリント配線板の製造方法を示す概略断面工程説明図。 (a)は、極端に細長い個片の金属ベースプリント配線板を示す概略平面説明図。(b)は、小さい個片の金属ベースプリント配線板を示す概略平面説明図。 細長い個片の金属ベースプリント配線板を複数面付けした従来の金属ベース集合プリント配線板を示す概略平面説明図。 (a)は、図6における個片の金属ベースプリント配線板間に設けられたV溝の形成状態を示す概略断面説明図。(b)は、図6における個片の金属ベースプリント配線板と捨て基板との間に設けられたV溝の形成状態を示す概略断面説明図。 図6における個片の金属ベースプリント配線板間に設けられるV溝を貫通させた状態を示す概略断面説明図。
本発明の実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。尚、従来技術と同じ部位には同じ符号を付すようにした。
図1は、本発明金属ベース集合プリント配線板の概略断面説明図を示したもので、当該金属ベース集合プリント配線板MMPWは、肉厚の金属ベース基板1と、当該金属ベース基板1の一方の面に積層された絶縁層2と、当該絶縁層2上に多面付け形成された個片の金属ベースプリント配線板MPWの配線パターン4と、当該配線パターン4を保護するソルダーレジスト5と、隣接する当該個片の金属ベースプリント配線板MPW間に形設された分割加工用のV溝7、8とを備えていると共に、当該V溝7、8が、金属ベース基板1の中に極薄のVカット残厚部9を残し、且つそれぞれの中心軸線10がズレた非同軸線上に形設された構成となっている。
続いて、上記金属ベース集合プリント配線板MMPWの製造方法を図4(a)、(b)及び図1を用いて説明する。
まず、図4(a)に示したように、肉厚(例えば0.3〜5.0mm)の金属ベース基板1の一方の面に、絶縁層2と金属箔3(例えば「銅箔」)とを順次積層し、次いで、周知のフォトエッチングプロセス(金属箔3の表面にエッチングレジスト用のドライフィルムをラミネートした後、露光・現像でエッチングレジストパターンを形成し、次いで、エッチングレジストパターンから露出した金属箔3のエッチング除去、及びエッチングレジストパターンの剥離を順次行うことによって、配線パターン4を形成する工程)により個片の金属ベースプリント配線板MPWの配線パターン4を多面付け形成する(図4(b)参照)。
ここで、金属ベース基板1としては、熱伝導性に優れた金属材料であれば特に限定されるものではないが、上記従来技術の説明の中でも挙げたように、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などが汎用性、取り扱い性などの観点から好適に用いられる。
また、絶縁層2としては、アルミナやシリカなどの熱伝導性の高い無機フィラーを含有する熱硬化性樹脂、あるいは、ガラス織布またはガラス不織布などの補強繊維に当該無機フィラーを含有する熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグのいずれを用いることも可能であるが、金属ベースプリント配線板MPWの剛性を向上できる点でプリプレグを用いるのが好ましい。
次に、図4(b)に示したように、配線パターン4を保護するソルダーレジスト5を形成した後、隣接する個片の金属ベースプリント配線板MPWの間に位置する分割線6に沿ってVカット加工を行い、分割加工用のV溝7,8を形設する。このVカット加工を、上下のVカット刃の進入深さ設定を金属ベース基板1の中にVカット残厚部9が極薄(例えば0.01〜0.1mm前後)で残るように設定すると共に(例えば、Vカット刃のZ軸方向の位置ずれ公差が±0.04mm程度の場合、Vカット残厚部9の残厚tが0.05mmとなるようにVカット刃の進入深さをプログラム設定する)、配線パターン形成面側に設けるV溝7と金属ベース基板側に設けるV溝8のそれぞれの中心軸線10をズラして(例えばオフセット値0.05〜0.1mm)行うことによって、図1に示す如き、個片の金属ベースプリント配線板MPWが多面付けされた金属ベース集合プリント配線板MMPWが得られる。
本発明の注目すべき点は、隣接する個片の金属ベースプリント配線板間に設けるV溝を、配線パターン形成面側に設けるV溝7と金属ベース基板側に設けるV溝8のそれぞれの中心軸線10をズラして非同軸線上に設けた点である。
これにより、V溝7、8の深さが、同軸線上でVカット加工を行ったときにVカット残厚部9の残厚tが0となるような深さになったとしても、確実にVカット残厚部9を確保することができる(図1参照)。
尚、図2(a)に示したように、個片の金属ベースプリント配線板MPWの面付け状態を、本発明のV溝7、8を挟んで一方向にのみ面付けする場合には、当該面付けされた個片の金属ベースプリント配線板MPWの側面が複数並んでいる辺にのみ当該辺と同じ長さの捨て基板11を配置するとともに当該個片の金属ベースプリント配線板MPWと捨て基板11との間に設けるV溝7a、8aを、図3に示したようにVカット残厚部9aを厚めに残す設定(例えば0.2mm前後)でVカット加工すれば、金属ベース集合プリント配線板MMPWの強度を確保できるとともに個片の金属ベースプリント回路基板MPCが図5(a)に示したような極端に細長い場合においても、当該金属ベースプリント回路基板が捩れることなく容易に分割作業を行うことができる。
また、図2(b)に示したように、個片の金属ベースプリント配線板MPWの面付け状態を、本発明のV溝7、8を挟んで縦横に面付けする場合には、当該面付けされた個片の金属ベースプリント配線板MPWの外周に捨て基板11、12を配置するとともに当該個片の金属ベースプリント配線板MPWと捨て基板11との間に設けるV溝7a、8aを、図3に示したようにVカット残厚部9aを厚めに残す設定(例えば0.2mm前後)でVカット加工すれば、金属ベース集合プリント配線板MMPW1の強度を確保できるとともに個片の金属ベースプリント回路基板MPCが図5(b)に示したような極端に小さい(例えば、30mm×10mm程度)場合においても、当該金属ベースプリント回路基板を容易に分割することができる。因みに、従来のVカット残厚設定では、個片の金属ベースプリント配線板のサイズが極端に小さい場合においても、折り曲げ力をVカット部に伝え難く(掴み代が少ないため力を入れにくい)、分割作業が困難であったが、本発明においては、このような小さいサイズのものでも容易に分割することができる。
一方、面付けされた個片の金属ベースプリント配線板MPWの側面が複数並んでいる辺と同じ長さで配置された捨て基板12との間に設けるV溝7b、8bについては、V溝7a、8aと同様にVカット残厚部9aを厚めに残す設定で加工しても差し支えないが、本発明のV溝7、8と同様の設定で加工するのが、分割作業を容易にする上で好ましい。
本発明を説明するに当たって、金属ベース基板の一方の面に形成される配線パターンの例として、単層の構成を例に挙げて説明してきたが、絶縁層と配線パターンとを交互に積層して多層化することも可能であり、また、予め作製しておいたプリント配線板(例えば両面プリント配線板)を絶縁層を介して積層する構成においても本発明を適用できることはいうまでもない。
1:金属ベース基板
1a:金属バリ
2:絶縁層
3:金属箔
4:配線パターン
5:ソルダーレジスト
6:分割線
7、8、7a、8a、7b、8b:V溝
9:個片の金属ベースプリント配線板間に残されるVカット残厚部
9a:個片の金属ベースプリント配線板と捨て基板の間に残されるVカット残厚部
10:中心軸線
11、12:捨て基板
13:電子部品
14:Vカット加工部
MPW:個片の金属ベースプリント配線板
MMPW:金属ベース集合プリント配線板
MPC:個片の金属ベース回路基板
MMPC:金属ベース集合プリント回路基板
t:残厚(表裏面から同軸線上にVカット加工を行った際の残厚)

Claims (1)

  1. 金属ベース基板の一方の面に積層された絶縁層を介して形成された配線パターンを有する個片の金属ベースプリント配線板が多面付けされている金属ベース集合プリント配線板の製造方法であって、金属ベース基板の一方の面に絶縁層を積層する工程と、当該絶縁層を介して個片の金属ベースプリント配線板の配線パターンを多面付け形成する工程と、当該配線パターンを保護するソルダーレジストを形成する工程と、隣接する当該個片の金属ベースプリント配線板間に、当該個片の金属ベースプリント配線板と捨て基板との間に形設する分割加工用のV溝よりも深いV溝を形設するVカット加工工程とを有し、且つ、少なくとも個片の金属ベースプリント配線板間に施すVカット加工を、当該金属ベース基板中にVカット残厚部が0.01〜0.1mm残るようにVカット刃の進入深さを設定して行うと共に、表面側と裏面側とで中心軸線を0.05〜0.1mmズラして行うことを特徴とする金属ベース集合プリント配線板の製造方法。
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